『最終安全装置解除!EVA初号機…リフトオフ!』
初号機の肩のラックとリフトの接合が外れる。これで初号機は完全自律状態になった。
先程の『死』からなんとか自分を呼び戻したオルガは触り慣れない操縦レバーを握り指令を待つ。赤木リツコの通信。
『オルガ君、今は歩くことだけ考えて』
「丸腰のまま敵に突っ込むわけにはいかねぇだろ…」
悪態をつくオルガを、
『我慢なさい!男の子でしょ!』
ミサトは一括する。しかし武装がないんじゃ戦いようが…
「…チッ、格闘戦ってわけかよ…」
歩くことだけ考える、歩くことだけ考える、歩くことだけ、歩く、歩く、歩く…
初号機の右足が持ち上がり、前へ。一歩、一歩と前進を始めた。
「歩いた!」と興奮したのはミサト。歩くかどうか不確定なものに乗せるなよ、とオルガは思うが口には出さない。
「よぉし!初号機!目標へ急ぐぜ!」
オルガは操縦桿を握り直すと強く押し出した。
『ちょっとオルガくん、あんまり急いで動かすと…』
リツコが言い終わらないうちに歩行を走行に切り替えた初号機は正面の黒色の異形…『使徒』へ向かって突進を始めた。しかし。
「!?…うおおおあああ!!!???」
転んだ。
「だからよ…止まるんじゃねぇぞ…」
『EVA初号機転倒!沈黙!』
『パイロットの状態は!?』
『生命反応ゼロ…死んでます』
「俺は止まらねぇからよ…」
オルガは重い頭を持ち上げ自信を元気付けるように呟いた。
『パイロットの生命反応徐々に上がります…信じられません、心拍脈ともに…正常値に戻りました…!』
『生き返ったというの…マルドゥック機関の報告は本当だったのね…』
「敵は!?」
オルガは右、左、と目を回して最後に正面…正面だ!
「クソ…動けよ…ッ!!」
操縦桿をガチャガチャと鳴らすが初号機はびくともしない。やがて使徒が腕を伸ばし初号機の頭部をつかむ。
「俺は…俺はこんなところで…」
「コックピットからの脱出方法は…いや…」
「どこにも逃げ場なんてねぇぞ、オルガ・イツカ…あの目を裏切るようなことはできねぇ」
「俺は死なねぇ…終わらねぇ…こんなところじゃ…終われねぇ!!」
「だろ…」
轟音。
「ミカァ!!!!」
地面を割って現れた『それ』は、鋼鉄のメイスを一発、使徒にぶち込んだ。
『あれは…』
司令室に動揺が広がる。あれは実戦で使える代物では無かったはず、一体誰がアレを…
『…”ガンダム”…ファリド准将は何を…』
「超古代複合機関式ヒト型機動兵器ガンダムフレームタイプ8号機…通称ガンダム・バルバトス…」
マクギリスは前髪を触る手を下ろしモニターを眺める。
「この世界で光明を見せてくれるのはまた君となるか…三日月・オーガス」
「オルガ…生きてる?」
「ミカか!」
思わぬ者との再会に喜び半分、動揺半分。しかし今はそれより。
「ミカ…すまねぇ、こいつは動かなくなっちまった。あのMAを黙らせてくれ」
「うん、そのために来たし…でも」
バルバトスはメイスを握り直すと起き上がりかけた使徒に強襲をかける。
弾かれる。
『ガンダムが実戦投入されなかったのはもちろんブラックボックスと化したエイハブリアクターの影響もあるわ、でも一番はそれじゃない』
リツコはモニターを凝視しごちる。
『…ガンダムにATフィールドは破れない』
「やっぱり」
バルバトスは一歩退く。
「えーとなんだっけ、コアを持たないバルバトスはなんとかフィールドを張れない、って…そっか」
振り返り、初号機に視線を移す。
「コアを持てばいいんじゃん」
「おいミカ…何を…」
「オルガ、じっとしててね」
「動けねぇんだが…」
バルバトスは初号機の胸の装甲をこじ開け、その中の赤黒く光るコア部分を掴み、持ち上げ…
「この辺かな」
自身のエイハブリアクターへ押し込んだ。
『何をやってるのあのパイロット…コアが同化するわけないじゃない!』
『いえ、これは…』
「これでなんとかフィールドが張れればいいんだけど…ん?」
三日月は自身の阿頼耶識から声を感じた。
『僕を取り込んだのは君かい?』
「あんた誰?」
『僕はコアだよ、君が取り込んだ』
「ふーん、そっか」
『戦い?』
「うん、あんたがおれに力を貸さなきゃみんな死ぬ」
『使ってよ』
「わかった…あんたはなんて呼べばいいの?」
『なんだろう、僕にも分からないよ』
「まあ、なんでもいっか」
「信じられません…ガンダムタイプにコアの出現を確認…!微弱ながらATフィールドの展開も確認しました!」
「そんな…やはりエイハブリアクター、まだまだ未解明ね…」
「行くぞ…バルバトス!」
シンエヴァもオルガゲリオンも終わっちゃったじゃん!