仮面ライダートリガー   作:辰ノ命

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前回、ウォンテッド幹部ナガツキに囚われてしまった永理。
ナガツキはエリアAに手駒のウォンテッド達を向かわせたらしいが…?

それではどうぞご覧ください。


第9劇「早朝」

 屋敷の扉が音を立てて開かれる。巧也と別れてすぐに、兆が急いでこの屋敷に向かったのだ。ここへは走り回る必要もなく、ちょっと歩いたらそれっぽいのがあったので、覗いてみると明らかに怪しいので入った。

 

 

「ピンポーン。勝手に入りまーす」

 

 

 中へ入ると同時に扉は閉まり、僅かに差し込んだ光を遮断し、館内をまた暗くさせる。

 

 

「おーい誰かいるー!? 永理は腹でも減ってるかー!!? 幹部いるなら出てこいやー!!」

 

 

 しかし返事はない。当然だが、相手は幹部で「はい私はここにいます。私はここです。さぁお上がりなさい」なんて言うはずもないだろう。とりあえず勝手にお邪魔してさっさと永理を救出しよう。

 

 

「さて… 何にも見えねーな。こんな暗い中で本読んだら目が悪くなりそうだぜ。それにお化けが出そうだ… まぁ、怖くないけどねッッッ!!!」

 

 

 兆の独り言とは思えない大きな声が屋敷内に響き渡る。

 壁を伝いながら、正面の長い廊下を歩いて奥へ進む。通路にはまるで明かりがない。扉もない。ただひたすらに果てがない廊下を歩き続けている。

 

 

「── あれ?」

 

 

 先程、果てがない廊下と表現したが、これを見る限り大袈裟ではないようだ。感覚がおかしくなっているかもしれないが、何かがおかしい。

 一旦、向きを変えてもと来た道を戻ることにする。

 

 

「こういう訳わからなくなった時は、元の場所に戻る。これが迷子にならない為の秘訣だ」

 

 

 ポジティブなことを言いながら、幾度となく歩き続けている気がする。次第にネガティブな言葉を吐くようになってきた。まるで元の場所へと帰れないのだ。

 大体察しは付くが、永理が受けた例の音と同じように、ナガツキの策なのかもしれない。奴は幻術のようなものを使えるようだ。

 

 

「… まんまと罠にハマった感じか」

 

 

 すると、遠くから鈴の音が鳴り始める。

 シャーンシャーンシャーン

 けれど遠いのかどうかも、この空間ではわからない。ただその音は段々と近くなってきているようだ。

 

 

「来たな。ナガツキ」

 

 

 そして音が収まったかと思うと、暗闇の中よりナガツキが現れた。手にはキラーズガンとそれにデリートガンナイフが差し込まれている。

 

 

「おいおい、もうやる気かよ」

 

「…… 考え無しに敵陣に乗り込むとは… まだ私の力がどう言ったものかわからないはずだ」

 

「わかるよ、俺。幻術みたいな不思議パワーだけど、結局それ壊せば全部ちゃんちゃんで終わりだからな!」

 

「… これがトリガーか?… どちらにせよ、この館に入った以上、生きては帰さんがな」

《ワン・キル》《ナガツキ》

 

「いや、帰るね。またマスターの所でミルクを嗜まなきゃいけないのよ。あと、こんな真っ暗な所じゃ痴漢に遭いそうで困るしな。さっさとお前倒して、記憶戻して帰るぜ…… 変身ッ!!!」

《ONE》

 

 

 2人は引き金を引くと互いの銃弾が飛び交う。

 

 

《シ・ザイ・キリング・ウォンテッド!!イーディアー!!》

《ファーストガンアクション!! トリガー!! リボルヴリボルバー!!》

 

「……ッ!!!」

 

「よっし!! 今日はお前の朝日が昇る日だッ!!!」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 ウォンテッドの大群がエリアAへと一斉に押し寄せていた。人々は逃げ惑い、悲鳴が辺りに響き渡っている。

 

 

「巧也!? 今どこにいるの!?」

 

『もう少し待ってくれ!! 今向かってる!!』

 

 

 RIVERS内は急遽メンバー達が出動している。ただ、この数では到底対処できるはずがないし、悪く言えば気休めになるかどうか。それほど数は多いのだ。

 佳苗は当然ながら焦っていた。だが、彼女がすぐにこの事態に気づき、巧也に指示を煽った事でRIVERSが動けていた。

 

 

「どうしよう。このままじゃ…」

 

 

 外にはウォンテッドがずらりと並んでいる。しかし何故か隊列を崩すことがない為、被害はあまりない。

 佳苗は眉をひそめる。これだけの数を集め、エリアAに乗り込んだのはいい。ドローンで確認をしていると、進行を邪魔する人などには容赦ないのは勿論だが、それ以外のものには目もくれずにただ真っ直ぐどこかへ向かっている。

 

 

「目の前のものは破壊しているけど、それ以外には全く見向きもしない… 一体どこへ─── ッ!! まさか!!」

 

 

 佳苗はパソコンでウォンテッド達の進行ルートを見てみると、明らかにRIVERSへと向かって来ているのだ。

 

 

「なるほど… やってくれるじゃない」

 

 

 すると、ドローンのカメラはウォンテッドが次々に倒されていく様を捉えた。それを見た佳苗は胸を撫で下ろす。

 

 

「遅くなった!!」

 

『…… はぁ。よかったぁぁぁ…』

 

 

 電話越しに安堵の息を溢す彼女に、シェリフへと変身している巧也は少し笑い、電話を切って戦闘に集中する。

 

 

「しかし本当に数が多いな… ハッ!!!」

 

 

 シェリフは休む暇なく戦い続け、先頭の集団はなんとか倒したものの、更にその後ろにそのまた後ろにと、エリアEから全員来たんじゃないかという多さ。まるで終わる気配がない。

 

 

「ハァ…!!」

 

 

 この量を相手にし、いくら変身しているからと言って、体力が無限なわけではない。次第に動きが鈍くなり、本来当たるはずもない攻撃にも無様にくらってしまう。

 

 

「ぐぅ… 体力が底を尽きる方が早いな…」

 

 

 そんなシェリフが抑えきれないウォンテッド達が進行を続ける。このままでは警視庁が危険であるが、この量を捌く術がない。

 

 

「どうすれば……」

 

 

 途方に暮れるシェリフに電話が掛かり、咄嗟に出てみると孝四郎からであった。

 

 

「孝四郎か? 急ぎで用件を頼む」

 

『今すぐRIVERSに戻って来てください。完成しました』

 

「なに……… こちらを優先してたが、そうだったな。その為に戻って来たんだったな」

 

 

 RIVERSに急いで戻ると、孝四郎が新作のフィガンナイフを持って待っていた。それを受け取り、外へと飛び出す。

 

 

「こっちは俺に任せろ。必ず幹部を倒せ、兆──」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

「─── うがぁぁあぁぁぁぁあぁあぁあぁっっっ!!!!!」

 

 

 その頃、兆の怒りは爆発し、腹から出した叫び声が響く。ナガツキによる幻術のせいでまともに攻撃が当てられておらず、更には相手が見えないと言う仕様。

 

 

「逃げんじゃねーよ!! 男ならそんなもん使わないでガッと来い。ガーッと!!!」

 

「… 先ほどはこの力を称賛していたが?」

 

「かっこいいと思ったよ!? すげーと思ったよ!? だけど何回もやられると正直イライラしてくるよね!!」

 

「… 知能が低い輩と話すことはない」

 

「言ってくれるじゃないの…!! 俺もう許さへんよ!!」

 

 

 ここに至るまでに何度も繰り返した手ではあるが、デタラメに銃で周りを撃ちまくる。もちろん当たるはずもなく、背後から銃で撃たれる始末。

 

 

「あ、いったぁ!!? 背中やめろ!!」

 

 

 後ろに警戒はしているものの、やはり見えない敵は厄介であり、分かっていても攻撃をくらってしまう。

 廊下を駆け回り、壁を撃ち、そんなことを繰り返しているうちにトリガーの体力も底を尽きかける。

 

 

「あー… 横っ腹痛い……ん?」

 

 

 すると、目の前にただならぬ気配を感じる。何かがいるのは察しはついたが、それがなんなのかは考えたくなかった。

 何故なら、トリガーよりも遥かに大きくなっているナガツキだったからだ。その大きさは足の指でトリガーを軽く超える。

 

 

「ナガツキさーん!! どーしてそんなに大きくなっちゃったんですかー!?」

 

「………」

 

「あぁ… もういやん」

 

 

 その大きな足がトリガーの頭上へと移動し、一気に下される。走って逃げようとしたが、間に合わず踏み潰されそうになるが、なんとか渾身の力で受け止める。

 

 

「これは幻術だっ!!! 全く重さを感じない!! あーなんて軽いんだろうなぁぁぁぁぁ重いぃぃぃぃっっ!!!!」

 

 

 幻術である事は確かなのだが、完全にその術中にハマってしまっている。見た目通りの重さが直にのしかかっているように感じられてしまっているのだ。

 なんとか受け止めていたが、とうとう膝をついてしまい、腕も限界に近づいていく。

 

 

「ぐぅぅぅぅぉおぉおぉぉぉぉぉ……!!!」

 

 

 その時、急に重さが軽くなり、すぐさま押し上げてバックステップで相手から遠退く。そしてバランスを崩して倒れるナガツキを、指差して笑いながらある事に気付いた。真っ暗闇だった部屋が明るくなっている。

 

 

「これって──」

 

「きーざーしーさーーーん!!!」

 

「ん? おぉ、永理!! 無事だったか!?」

 

「はい、大丈夫です!!」

 

 

 辺りを見回していると天井近くの窓から顔を出した永理がいた。この明かりは彼女が点けたのだとすぐに分かった。

 

 

「なんで明かりでこいつの術を破れると思ったんだ!?」

 

「単純に外も中も明かりがないのなら、光をプレゼントしてみたらどうなるかなと思いやってみました!!」

 

「そうか、大成功だったぜ!! ありがとよ!!… ていうか、おまえどうやって逃げたんだ!!?」

 

「それは私が天才ですから!!」

 

「なんだそりゃ!!? まぁいいや、さっさと決めるぜ!!」

 

「決めてください!!」

 

 

 術が破れたナガツキはヨロヨロと立ち上がり、見た目から怒りが伝わってくる。それもそのはず、捕まえた女は逃げて、更にその女には呆気なく弱点が見つかり、一気に形勢逆転されたのだから。

 

 

「… どうやら、私も堪忍袋が限界らしい」

 

「なら来いよ。こっからは俺の技術を味合わせてやるよ」

 

「… トリガー…!!」

 

「あらよいしょっ!!」

《THREE》

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《SEVEN》

「捕縛する…!!」

 

 

 別々の場所で互いにフィガンナイフをセイブドライバーを差し替える。ハンマーを起こして引き金を引くと、シェリフの近くに巨大なアサルトライフルが現れ、バラバラに飛んだアーマーを連続で撃ち抜いていき装着される。

 

 

《セブンスガンアクション!! シェリフ!! バーストアサルト!!》

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《サードガンアクション!! トリガー!! ショットショットショット!!》

 

 

 ナガツキはフォームチェンジ完了と共に銃弾を放つが、トリガーは華麗にかわしながら、ガーツウエスタンとサードポンプを合体させてサードウエスタンにして近づいて行く。

 

 

「うおぉぉぉぉぉッッッ!!!」

 

「当たらない…!!」

 

「俺は当たる!!」

 

「なっ…!!!」

 

 

 トリガーは既にナガツキの懐に潜り込んでおり、腹部にはサードウエスタンの銃口が向けられていた。

 例え幻術を使われることがあったとしても、この距離であるならば流れる事はできない。

 

 

「兆さんひっさーーつ!!!」

 

「必殺ッッッ!!!」

《スリーガーツ!! マーチシューティング!!》

 

 

 近距離で放たれた本来は拡散するサードのエネルギーは、一点に集中して、爆発的な威力を生み出す。そのエネルギーと共にナガツキは耐えられず吹き飛ばされ、叫び声を上げながら爆発し、キラーズガンとデリートガンナイフは砕け散る。

 

 

「今日の俺も───!!」

 

「勝利の日ッ!!!」

 

「あぁん俺のセリフ!!?」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

「ハァァァァッッッ!!!!!」

 

 

 シェリフの専用武器タイムウエスタンを変形させると、まるでアサルトライフルような形となり基、アサルトウエスタンの連射力はかなりの物。みるみるうちに大群を蹴散らして行く。

 

 

「さすが孝四郎だ。これほどの物を作れるとはな…… ありがたい!!」

 

 

 セイブドライバーからセブンスガンナイフを抜いて、アサルトウエスタンに差し込み、ウォンテッドの群れに向かって走り出す。

 

 

「ハァァァァァァ…… ハァッッッ!!!!!」

《シチジカーン!! セブンスターイム!! アサルト!!》

 

 

 ただデタラメに放つのではなく、一人一人を確実に撃ち抜き、みるみるうちに全てのウォンテッドを倒す。

 やがて辺りが静まり返ると、銃を肩に乗せ、空を仰ぎながらボソリと呟く。

 

 

「── 任務完了だ」

 

『そうね』

 

「うおぉっ!?… なんだ佳苗か」

 

 

 ドローンを巧みに操り、煽るようにしてシェリフの周りをぐるぐると回る。

 

 

「なんだ」

 

『それ決め台詞?』

 

「………」

 

『どうなのー?』

 

「こ、孝四郎ッ!!! 佳苗を黙らせて連れてけ!!! 俺は兆に連絡を取る!!!」

 

『ふふっ』

『やれやれ…』

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 あの後ナガツキを倒した瞬間、外に眩しい光が降り注いだ。ぶっちゃけナガツキ自体そこまで強くなかったけど、幻術は結局幹部なのか本人の力なのか全くわかってない。それに当の本人も身元不明。本当になんなんだろうと思う。ちょっと怖いよね。あ、そういう怖いじゃないからね? 決して幻術が怖いとかじゃないんだからね!!?

 ん? なんだ? 永理がうるせーぞ?

 

 

「もしもし兆さん兆さん」

 

「はいはいなんでしょう永理さん永理さん」

 

「課長が来る前に話してたあれって…」

 

「あーあれ…」

 

 

 巧也から連絡が来る前、ナガツキを捕らえた後に永理とお互いに情報交換していた。何があったのかやはり気になるらしい。後半ただの世間話だ。

 

 

「ウォンテッドのボスが懐しい感じがしたって言ってましたけど、何か記憶と関係があるんですかね?」

 

「いやいやね。懐しいって言ったけど、冗談じゃねーよ… だってもしかしたらさ。俺の住んでた村的なのがあって、そこで俺が最後の生き残り── 的な話だったら最悪じゃね?」

 

「確かにそうです。ですけど、気のせいです」

 

「だよな」

 

「兆さんが最後の生き残りに見えないからその説はあり得ません」

 

「え、そっちのそっちッ!!?」

 

 

 そんな2人を見て笑う3人。ただ、孝四郎は手を止めずに、次のフィガンナイフの製作に取り掛かっている。

 

 

「お、孝四郎さん新作?」

 

「あぁ、兆くん。まぁね。戦えない代わりにこれくらいやらなきゃ… それにこれを教えて貰わなきゃ、僕はいつまで経っても役に立ってなかったからさ」

 

「え?」

 

「ごめんごめん。暗くしたかな?」

 

「… あ、いや… 孝四郎さんが役に立ってなかったって、それは冗談でしょ」

 

「本当さ。現に僕の作った物は奴らには通らなかっただろ?」

 

「……… はぁ、孝四郎さん」

 

「なんだい?」

 

「あんたのお陰で巧也さんは助かったし、あんたのお陰で今までウォンテッドと戦ってこれたんじゃないか?」

 

「え?」

 

「… それに俺しか作れないはずのフィガンナイフも簡単に作っちゃうしさ。後さ。効かないなんて冗談やめてくれよホント。あのタイムウエスタンの調整だって孝四郎さんがやった事知ってるぜ? そんな芸当普通できると思うかい?」

 

「兆くん…… ごめんよ。さて、じゃあ気を取り直してフィガンナイフ作るぞ!!」

 

「ははっ!! それでこそだ!!……… ところで、それ俺の?」

 

「シェリフ用だよ」

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」

 

 

── この明るいRIVERS内から一変し、別エリアでは1人また1人と願いを叶えて死ぬという恐ろしい事態が起きている。

 それを知るのはまた次のお話。




1日遅れました。申し訳ございません。
以降気をつけます。

さて次回、第10劇「星に願い」

次回もよろしくお願いします!!
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