あー前回。狩馬の妹と判明した永理であったが、突然の事に動揺を隠せない。一方、巧也はテンスガンナイフの力により身体に大きなダメージを負ってしまった…
それではどうぞご覧ください。
あれから数日が経ち、巧也が退院して来た。まだ身体に違和感があるらしく、しばらくの間は前線へは出ない。はずだったが、リハビリという訳のわからない理由で戦うらしい。いつもはしっかりしたみんなの頼れる課長ではあるが、自分の事になると結構適当な部分が出て来たりする。
「おかえりです課長!!」
「病院生活暇だったでしょ」
「すみません課長… 僕のせいでこんな事に…」
「巧也さんおかえり。祝いのケーキに歳の分、蝋燭刺しといたよ。見た目は最悪だこりゃ、剣山みたい」
それぞれ言いたい事はバラバラではあるが、全員が巧也の帰りを待ち望んでいた。そして現状報告と今後について、ケーキを食しながら見た目は緩いが、内容は濃い会議が始まる。
「さて、まず現状はウォンテッドの動きはいつも通りと、他幹部に動きはない。テンスガンナイフについては今尚、対策が組めていない。そして…… 狩馬の行方はわからないままと」
「……」
「まぁ、なんだ。とりあえず永理。狩馬の件は俺たちに任せろ。仲間の為ならなんでもするのがRIVERSだ」
「あ… はい!!」
「よし早速だが、エリアIに向かう」
巧也の予想では、狩馬はヤヨイの元へ向かったと思われる。そこで幹部を倒すと共に、彼の安否を確認するという内容だ。幹部と戦闘を行うので、病み上がりの巧也は兆のサポートに回りつつ捜索に当たるつもりである。
「じゃあ行くぞ、兆。永理は今回、孝四郎の手伝いを頼む。俺がいない間かなり研究に没頭してくれていたからな。無理はさせないようにしてくれ。佳苗は何かあれば連絡をくれ、こたらも何かあればすぐに連絡する。以上だ。RIVERS… 任務開始だ!!」
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兆たちはエリアIに向かう途中のパトカー内で、テンスガンナイフの負荷についての話をしている。それは兆の愚痴から始まった。
「孝四郎さんと俺はテンスガンナイフをどうするかとあれこれ試行錯誤したんだけど… どうも、うまくいかなくてよ…」
「俺はそういった面はよくわからないが、何か引っかかる部分があるのか?」
「まぁね。テンスの理不尽負荷掛け能力がどうしても解消できない。巧也さんがやった5倍を上限として、任意で発動できるにはしたいが、その調整がうまくできないんだよ…」
「なるほどな… 分けられればいいのにな」
「分ける?」
「ん? あぁいや、上限が10倍で、今やろうとしてるのが5倍なんだろ? それなら分けて、それぞれ5倍ずつにすれば、俺と兆で共有できるんじゃないかと思ってな。しかし、5倍で俺があの状態だから馬鹿なことを言ったな、ははっ」
「……………」
「…? どうした兆?」
「巧也さん携帯貸して」
「誰かに連絡するのか?」
「孝四郎さんに電話するの。あ、それと巧也さん大好き愛してる。俺はあんたに一生ついてく」
「お、おぉ… そろそろ着くから早めに終わらせろよ」
電話を終えると、丁度エリアIに着いた。何が起きるかわからないエリアの為、乗り込む前に変身をし、トリガーとシェリフはと姿を変え、バレないように裏から侵入する。
一応ヤヨイの根城へと向かう訳だが、前にトリガーとシェリフの高威力な攻撃により、破壊されて今では地面の中に埋まってしまっているはずだ。
「いやー巧也さんとデートしてる訳だけど、あいつのアジトどうなってるんだろうね」
「それは行ってみないとな。ヤヨイも頭は切れる方だろう。敵に知らせるために、同じ場所へわざわざ造る必要はないとは思うが……」
シェリフの思った通り、そこは前と同じように地面に埋まったままのアジトがあった。予想通りと言えど、新たなアジトの場所は分からず、また0からのスタートとなってしまった。
シェリフは腕を組んで、画面の下で眉を潜める。トリガーも何かないかと辺りを捜索するが、特に見つからずに疲れて床に座った。
「さて、困ったな」
「ヤヨイのアジトは今まで通り隠しているはずだ。俺が3日探しても見つからなかった。また探すとなると今度は2人がかりとは言え、いつまでかかるだろうな」
「あーあ、こんな時にその道のプロの狩馬兄さんがおればなぁ…」
そんな事を呟くと、微かに誰かが呼ぶような声が聞こえた。シェリフに聞いてみたが、何も聞いていないと返ってきた。首を傾げながら、辺りをぶらつこうとすると、また声が聞こえてきた。
「…………」
「… なんだ」
「いやー、呼んだかなぁと」
「さっきも言ったが呼んでない」
すると、今度はシェリフにもその声が聞こえた。声は「北へ行け」と指示を出している。ただそれを信じていいものか疑問に思ったが、他に手段はないのでそれに従い北を目指す。
次は東へ西へと、蛇のようにぐねぐねとした道を進んで行くと、ある一軒家の前に止まった。声は聞こえなくなってしまい、ここに何かがあるとすぐに2人は確信する。
「行くぞ」
「警戒を怠るなよ」
「俺の真似か?」
「はい」
中へ入ると、人の気配はない。広くもなく、一般的な家ではあるが、ただ何かがあるのは察しが付く。
「ここにあるかな? いやこっちか? いやいやこっちかな?」
「あいつは妙な仕掛けを作る奴だ。隅々まで探せ」
「もう爆破してもいいんじゃない?」
「何言ってるんだ。ただの民家の可能性だってあるんだぞ? それに狩馬が敵に捕まっている場合もあってだな……」
「わ、わかってますよ。トリガーさんの可愛い冗談っすよ〜」
そう言って後ろへ下がって壁にもたれかかると、背中に何か違和感を覚える。気になってその違和感に手を添えてみると、明らかに何かがあることがわかり、試しに強く押してみた。
すると、壁が開いて通路が姿を現した。シェリフは驚いてこちらを見て、トリガーの肩を叩いて褒める。
「よくやった!」
「まぁやろうと思えば簡単なんですよはい」
「よし、進むぞ」
「後ろは任せて」
奥へ進む度に、通路に明かりが付いていく。まるで2人を誘っているかのような感じが伝わってくる。トリガーが後ろに警戒しながら、シェリフは次々に照らされる通路を進むと、二手に別れた道が現れた。
「出たよこれ。巧也さんどうする?
「俺は左へ行こう。何かあれば連絡する」
「へいへーい─── あ、そうだ。巧也さん」
「なんだ?」
「また倒れないように」
「…… なるほど。バレバレって訳か」
シェリフはテンスガンナイフを取り出して、トリガーと後ろ手振りながらその場から離れる。
「… ったく、ホント無茶する人だよな。さすがだ」
トリガーは通路を歩いて行くと、今度また二手に別れた道があった。当然分からないのでガーツウエスタンを立てて、倒れた方に向かおうとするが、その時足音が聞こえてきた。トリガーから見て左の方だ。奇襲を仕掛けようと壁を背に構える。
「悪い奴はお仕置きだぜっ!!」
そして銃で殴ろうとしたが、目の前にいたのはウォンテッドでもなんでもないただの人間。いや、バウンティハンター。いや、狩馬であった。
「のあぁぁぁぁぁっっっ!!!??」
「うおわぁぁぁぁっっっ!!!??」
2人の悲鳴は辺りに小玉し、それからすぐ同時に、お互いの口を抑え合う。トリガーの正体を知らないので、それは言わずに事情を説明すると、理解してくれたのか、特に何もして来ずに案内をしてくれた。
「はぁ… 絶好な獲物が目の前にいるってのにな」
「はははっ、ごめんなさいね」
「このまま直でヤヨイの元へ向かうつもりだ。お前もその為に来たんだろ」
「えぇまぁ」
「そいつの所までは連れてってやるが、ことが済んだら覚えておけよ」
「…… へいへい」
連れてこられた先は広い空間となっていた。トリガーは辺りをキョロキョロと見回すがヤヨイの姿はない。とても嫌な予感をし、狩馬の方を見るが、彼自身も驚いている様子だった。
「…… あのーもしかして2人ではめられたとか?」
「やっぱり一筋縄じゃ行かない野郎だな。全員集まるようにしていたんだろうぜ。ほら、あっち見てみろよ」
トリガーは指を刺した方向を見ると、シェリフも別の道からここまで辿り着いていた。全員が同じ場所へ集まったと同時に、来た道がシャッターで完全に塞がれる。急いで壊そうとするが、何をしようと傷一つ付かない。
「うわっ! 完全にやられた!?」
「き… トリガー!! 狩馬まで…… なるほど。俺も間抜けだったらしい」
「男3人で密室とか最悪だよ…… ん? あれは──」
天井に近い奥の方の壁が開き男が出てくる。その男は不敵に笑い、3人を見下ろしながら、キラーズガンにデリートガンナイフを差し込む。
「やった来たか。遅かったな?トリガー、シェリフと…… 誰だ?」
「……っ!!」
狩馬はグッと拳を握る。今、目の前にいる男こそヤヨイ。彼の両親を殺め、妹の永理を売ろうとした男なのだから。
それからすぐヤヨイは引き金を引き、みるみるうちに姿を変える。
《シ・ザイ・キリング・ウォンテッド!!イーディアー!!》
「お前達はここで終わりだ。俺の力は幹部の中でも上位に入る強さだ」
「お前がヤヨイか。狩馬さんもそうだが、ここで生活している人たちの人生も好き勝手しやがってよ!!」
「トリガー… まずはお前から消すとしよう」
「やれるもんならやってみろ!!」
トリガーとシェリフはそれぞれフィガンナイフを取り出し、セイブドライバーに差し込む。
《FIVE》《TEN》
《SET》
《フィフスガンアクション!! トリガー!! ファランクスガトリング!!》
《テンスガンアクション!! レディーゴージュウ!!》
「無茶しないでね♡」
「……… わかってる」
「今日はお前らの蜂の巣と蜂の子のオリーブ炒め日だ!!!」
ヤヨイが降りてくると同時に、周りの壁からも溢れんばかりのウォンテッドの群れが一斉に襲いかかってきた。トリガーはフィフスウエスタンを取り出し、周りの敵を一掃する。一方のシェリフは流れに乗り、一気にヤヨイの元まで走り抜ける。
「ハァッ!!!」
「来たな… シェリフ!!」
テンスから繰り出される一撃は幹部と言えど、かなり重いらしく壁際まで吹き飛ばされてしまう。すかさずヤヨイは銃で応戦するもテンスの速さでそれを軽々と避ける。
「なんだと…!!?」
「グッ…!! たったこれだけで…!!」
完治はしていない体での使用。流石のシェリフでも耐えきれないらしく優勢に攻撃を喰らわしていたが、徐々にスピードが落ちていった。
その隙を逃さずシェリフの首根っこを捕まえ、地面に叩きつける。
「ぐわっ!!!」
「巧也さん!! くそっ!!!」
トリガーはウォンテッド達を撃っているうちに気づいた。このヤヨイという幹部の力は兵隊を増やすことであると。確かに前もかなりの多さではあったが、ヤヨイがいるこの場所はまるで数が減る様子がない。それどころか増えてきているのだ。
「数に物言わせるってか。狩馬さん!! あんた俺の後ろに……!!」
「── ふざけやがってよ」
「あっ…?」
「道具としか思ってねぇ…… 人を… 自分だけが良ければそれでいいかよ!!」
「怒るのはわかるが、今大ピンチなんだぜ!?」
「……ちっ、予定変更だ。こっから逃げるぞお二人さん」
「なんか手が?」
「この日の為に時間は掛かったがな…!!」
「それは…!!」
狩馬が懐から取り出したものはセイブドライバーだった。いや、少しに似ているが、また別のドライバーのようだ。そのドライバーを腰に巻きつける。
《キカンドライバー》
そして彼はフィガンナイフに似たものを取り出し、もう一つ平たい正方形のアイテムを取り出す。
まず後者… 壱月チケット。をドライバーを真ん中に差し込むと、機関車のような音が流れ始める。それからフィガンナイフ… 改め、番式ギアナイフを前に突き出す。
「変身ッッッ!!!」
セイブドライバーの時と同様に左側差し込むと、巨大な銃が現れて銃弾が放たれると、その銃弾が機関車へと変化し、狩馬の体を通り抜ける。みるみるうちにアーマーが装着されて行く。
《壱式!! ギアチェンジ!! ゲツヨウ!!》
「んなっ…!!?」
「まさか…!!」
そして狩馬は背中についている銃─ 週式ギアハンターを取り出し、腰を落として構える。
「── ハント開始だ」
そう言った狩馬─ ハントはその銃で見事な腕前で、ウォンテッドを打ち抜きながらシェリフの元へと向かう。しかし、彼の近くにはもちろんの事ヤヨイがいる。攻撃を仕掛けてくるが、ハントはかわしてギアハンターで即座に撃つ。
「危なかったな課長さん?」
「すまん。助かった…」
「ここで休んどきな」
シェリフを抱えて壁際へ寄せ、トリガーと共に群れに対し応戦する。ハントの放つ銃弾はかなりの威力で貫通し、ウォンテッド達を撃ち抜く。
弾はヤヨイにまで届くが、それらを全てウォンテッドの肉壁で防ぐ。
「人間じゃないにしても気の毒なもんだな…」
「狩馬さん… あんた一体…」
「お前に話すつもりはないぜ。今はこいつらに集中しろ。さっさとここからトンズラするぞ!!」
「えぇ…… ま、いいや。アイアイサー!!」
なんとか立ち上がったシェリフはドライバーの引き金を引く。トリガーも同じく引き、ハントはギアナイフをもう一度押し込む。
「「「ハァァァァァァッッッ!!!!!」」」
3人のキックでウォンテッドは一気に消滅し、壁もついでに壊れた。3人はこの瞬間を逃さず即座に駆け込む。ヤヨイはウォンテッドを使って追いかけてくるが、ハントの巧みな銃の扱いにより、その距離を徐々に遠退かせる。
「とりあえず久々の… 今日の俺も勝利の日!!」
「まだ任務完了してないぞ」
「それじゃあ、あばよ」
こうしてエリアIからなんとか抜け出した一行はRIVERSへと戻る事にした。
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「………」
「……… そっか。やっぱり覚えてないか」
「すみません」
「おいおい。一応だが、俺とお前は兄妹だぜ? 敬語なんか使うなよ」
狩馬がRIVERSに帰ってきて、ほんの少しだが永理の笑顔が戻っているような気がする。しかし不思議なことに、この2人の関係はデータベースに一切に載っていないのだ。佳苗により奥の方まで潜り込んだ探してみたらしいが、見つからないということはまずあり得ない。
「あー全然ダメ! この兄妹について全く記載がないわ」
「そんなはずはない… はずなんだけどな。ここまで探して見つからないとなると、ウォンテッドが絡んでいる可能性があるな」
「巧也?」
「永理の記憶がないのは過去のショックが原因の一つ。もう一つはウォンテッドによって記憶を奪われたか… おそらくどちらもだろう。ヤヨイ以外にフミヅキも何か知っているようだったらしいが、その何かが引っかかる。過去が重要なのか、それとも永理自身が重要なのか」
「なるほどね。永理ちゃんに一体何があるっていうのかしら」
「それを言うなら、兆もそうだ。なんにせよ全てはウォンテッドの頭が知っている」
それから巧也は狩馬に近づき近くにあった椅子に座る。彼も察したようで向き合う形で座り直す。
「わかってると思うが──」
「あれはキカンドライバー」
「…っ!!」
「そしてそれにこの壱月チケット… 纏めて言うなら週曜チケット。んで、こっちが番式ギアナイフ」
「…… 明らかにセイブドライバーと似ているが、機能的な面では少々違うらしいな」
「これは全部俺が作った。セイブドライバーを真似てな」
「なにっ…!? 一体どうやって…」
「前に資料あったろ? あれをちょっともらって行ったまでよ。ほら返すぜ」
資料の内容はデータに全てインプットした為、使わずに隅の方へ置いていたおり気づかなかった。いつ盗られていたのかも全くわからない。
「… まぁいいだろう。よく作れたな」
「いや、実際これはセイブドライバーより精度は悪い。リミッターがないもんでギアナイフ取り替え過ぎると、オーバーヒートしてこいつも俺も限界くるのよ。ただその代わりそれよりも力は上にはなってると思うぜ?」
「不便なものだな」
「だろ? あんたとあのトリガーの物できれば欲しいんだけどな」
トリガーの正体は未だに彼な耳には入っていない。追われる前に逃げてRIVERSへと先に戻ったのだ。
そんな彼は現在、巧也の言った分けるという案をそのままに、孝四郎と共にフィガンナイフを製作していた。
「分断するとはよく言った物だね… 2つにしてもかなり負担がかかるのは変わらないよ?」
「もちろんもちろん、そりゃわかってるよ。だけど孝四郎さん。ウォンテッドの奴らは確実に力をつけているし、それに半分を切ったところから幹部の強さも格段に上がっていると思う。勝つにはもうやるしかない」
「…… そうだね。完成させよう」
「さぁて、新フィガンナイフだ。気合入れていくぞ!!…… 10の次と後だ!!」
そう叫んだ途端、研究室のドアがものすごい音をたてて開かれる。叫びながら悲鳴を上げると、孝四郎もそれに驚き叫ぶ。
「な、何だよ永理かよ!! 脅かすんじゃねーよ!!…… チビったらどうするんだよ」
「た、たたたた…」
「た?」
「大変です!!!兆さん!! 大変なんです!!!!!」
「わ、わかったわかった。落ち着け。で、何が大変なんだ?」
「幹部が… 幹部がぁ…!!!」
「ウォンテッドのか? それがどうした」
「今までに倒したはずの幹部達が再び現れたんです!!!!!」
「へぇーなるほど。幹部がね。しかも倒したやつと来たか。ハッハッハッ……… え…? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!??」
これはいったいどういう…?
そして新たな仮面ライダーハントの登場!!
ここから更に何かが起こる!?
次回、第16劇「復活」
次回もよろしくお願いします!!