さて前回、ヤヨイの手により幹部が復活し、更にフィガンナイフへの耐性がついていた。こちらの攻撃が効かぬまま幹部達は再び現れる。
それではどうぞご覧ください。
「ハッ!!」
「オラッ!!」
幹部達の能力に苦戦しながらも、シェリフとハントの連携で劣勢にはなっていない。しかし現状はハントの方を主力とし、シェリフは後ろから応戦するという形になっている。劣勢ではないにしろ、限界が来るのも時間の問題だ。
「ハァ… 逃げる事はできないし、暗い場所行けば幻覚が見えるし、かと言って攻撃すれば溶けるしかてーし、力つえーし最悪だな!!」
「本来なら、俺と兆が協力してやったやつもいる。それに前に交戦した時よりも力が増している」
「ナイフ切り替えながらやるしかねーな。課長さん」
「そうだな。単調な攻撃は無意味だ」
攻撃をかわしながらフィガンナイフとチケットを取り出し、それぞれエイスガンナイフ、参水チケットに交換する。
《EIGHT》《SET》
《エイスガンアクション!! シェリフ!! ロックオンスナイパー!!》
《参式!! ギアチェンジ!! スイヨウ!!》
「狩馬!! 前は任せたぞ!!」
「最初からそのつもりだッ!!」
ハントの両手から水が湧き、それを両腕に纏わせて前へ打ち出す。すると、大量の水が幹部達を取り囲んで動きを鈍らせる。鈍った隙を逃さず、スナイパーウエスタンで遠距離から5人を撃ち抜く。
「これでどうだ!? 少しは効いたか幹部ども!!」
「…… っ!! いや、まだだ!!」
「このやろっ…!!!」
ジェル状になったハヅキが、水を通ってハントに纏わり付く。完全にホールド状態となり動く事ができない。そして水の包囲網は崩れ去り、幹部達は自由になると、戦略的にも弱い方、シェリフを狙って襲いかかって来た。
「わかってやっているのか!!」
「気をつけろ課長さん!! くそっ!! 離しやがれ!!」
シェリフはすぐさまエイスガンナイフを抜き、セブンスガンナイフを差し込む。それから引き金を引いて、現れた銃弾で敵を跳ね除ける。
《セブンスガンアクション!! シェリフ!! バーストアサルト!!》
「生憎テンスはない。だが… 少しでも時間稼ぐ事はできる!!」
アサルトウエスタンに変形させ射撃するが、こちらに集中しているせいもあり、フミヅキの力で銃弾は遅くなり、容易にかわされてしまう。その後、近づいて来たウヅキとサツキによるダブルパンチによる威力で吹き飛ばされる。
「マジかよ!!? …ちっ!! これで離れろ!!」
《弍式!! ギアチェンジ!! カヨウ!!》
ハントは力づくでチケットを交換し、弍火チケットを差し込む。体から炎が燃え上がり、そのままハヅキを剥がすと、他の幹部にも火球をぶつけ怯ませる。それから急いでシェリフの元へ駆けつけた。
「おいおい冗談抜きで大丈夫か?」
「あ、あぁ… ゴホッ!! なんとかな…」
「もろに食らってたぞお前。無理すんな。ここで休んでろ」
「問題ない。あいつが来るまで時間を稼ぐ」
「あいつになんでそこまで賭ける事ができる? 話しに聞きゃお前、トリガーに親殺されてるんじゃねーのか?」
「あぁ、そうだ。トリガーは憎い。必ず逮捕するつもりだ… だが、まだあいつが犯人と決まった訳じゃない。それに兆は…… RIVERSの仲間だからな」
「……… わっけわかんねぇよ。本当に」
「俺もそう思う」
シェリフは立ち上がり、セブンスからナインスガンナイフに切り替える。そして幹部達が近づいて来たと同時に引き金を引く。巨大なミサイルが現れ、幹部を弾き飛ばす。
《ナインスガンアクション!! シェリフ!! エクスプロージョンミサイル!!》
「まだやれるな?」
「それはこっちのセリフだぜ?」
2人は銃を握り締めると、幹部達へ一斉に駆け出した。
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RIVERSの研究室では、フィガンナイフの製作が終わらず、完全に兆と孝四郎は意気消沈していた。数時間もの作業で疲れもあってか、思うように事が進まず、先程から同じ事を繰り返すようになっている。
「課長に狩馬さん大丈夫かな……」
「大丈夫だろ…… 多分」
「さっきから同じ失敗ばかり。このままじゃ終わらないし、課長達の身が心配だよ」
「わかってるよー… なんでダメなんだろうなぁ…」
試行錯誤を繰り替えながらテンスのデータを、2つのフィガンナイフに移そうとしているが、そもそものデータが両方に送れないのだ。
兆は椅子に座って回りながら、ずっと天井を見上げている。
「資料にもそれらしい事は書かれていないし… 兆くん。役に立たなくてごめん」
「いやいや、別にあんたのせいって訳じゃ…」
「いいんだ。元々、僕は兆くんよりフィガンナイフについては素人同然。少しできたからって調子に乗っていたのかな…?」
「孝四郎さん……… あーもう!! こうなりゃ意地でもやってやる!! 無駄にはさせねーぞこらぁ!!!」
「ちょ、ちょっと兆くん!!? そんなデタラメにやったら…!!」
何かが切れてしまった兆は、フィガンナイフのデータを適当に弄り、無理矢理入れようと試みた。わかっていた事だが、逆効果となってエネルギーが2つのフィガンナイフから溢れて爆発する。
その音を聞きつけて、佳苗が慌てて研究室に入ってきた。
「な、なにッ!? どうしたの!?」
「あ、あぁ… 佳苗さん。ゲホッゲホッ!! オゥエェッホン!!… やっちゃった……」
「はぁ… 全くなにしてるのよ」
「へへっ」
「笑い事じゃないってば!! それで、やっぱりまだできない?」
「もちろんっす」
もう半分諦めていた。テンスの強大な力を分けようなんていうのが、そもそもの間違いではなかったのかと。アフロの髪型となった兆はそのまま床に寝転がってゴロゴロとし始める。
するとその時、RIVERSに永理が帰ってきた。佳苗が迎えると、どうやら救助が終わったらしく、現状報告も兼ねて戻ってきたらしい。
「兆さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫に見える?」
「見えなくもないです。どうしたんですかその髪型?」
「あぁこれ? 爆発した時ように買っておいたの」
帽子を外してアフロを取り、再び帽子を被る。ジョークも入れてくる彼であったがいつもの元気はないようだ。
「… うまくいってないんですか?」
「まぁね… 半分諦めてる。もう半分は僅かな希望にしがみ付いてる気力」
「…… あの兆さん」
「なーに?」
「私、兆さんと色んな場所へ行ってわかったんです」
「どんな事が?」
「本当にお馬鹿な人だなーって」
「なんだとこらぁ!!!?」
「── だけど」
「ん?」
「本当に凄い人だなって思いました」
「あ、あぁそりゃ、どうも」
「だから諦めないでください。私も協力します。私がいれば百人力です! だって毎回そうだったでしょう?」
「……… なにを協力するんだか。まーったく、どっかネジ外れてるんだよなぁ永理は」
「それは兆さんも同じです」
「俺は違うもんね」
すると研究室は和やかな雰囲気に変わり、兆と孝四郎の目に正気が戻る。スイッチを切り替え、フィガンナイフの製作を進めた。
「私が全力で応援しますからね!!」
「やかましい」
「肩でも揉んであげますよ」
「いらん」
「まぁまぁ遠慮しないでください!!」
「… ったく、仕方ねーな───」
永理が兆の方に触れた瞬間。彼の脳にフラッシュバックが起こった。自分の知らなかった何かが見える。ただそれは一瞬で、溢れんばかりの情報量だった。どこかにいる光景。薄暗い部屋の中。そして目の前には男が立っている。
それが止まると、兆は急に脱力し、椅子から落ちてしまった。
「き、兆さん!!? どうしました!!?」
「い、今のは……」
「力加減間違えました…?」
「あぁ、いや…… あの光景は一体なんだったんだ…」
「あの光景?」
「なんでもない。それよりなんか、いい方法が思いついちまったな」
そういうと兆は片方のみではあるが、何度もやってできなかったフィガンナイフをあっという間に完成させてしまったのだ。これには孝四郎も目を丸くした。それから兆はもう一つの方のデータを打ち込み。完成したフィガンナイフを持って行く。
「兆くん… これはどうやって──」
「説明は後々。それより早くヒーローが駆けつけねーとな。孝四郎さんそこにデータ打ち込んだいたからもう一つの方頼んだぜ? んじゃ、行ってくる」
RIVERSのメンバーに手をふると、バオを呼び出し跨がる。しかし全く動いてくれず、静かに涙すると猛スピードで走り出した。振り回されながらも、バオは目的地へと急行する。
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現場ではシェリフとハントはまさに絶体絶命の危機に陥っていた。両方体力の限界もそうだが、シェリフは万策尽き変身解除に追い込まれ、ハントは過度なフォームチェンジによるオーバーヒート状態になっていた。
「やべぇ… 一旦変身解除するぞ…!!」
ついに限界に到達してしまった狩馬も変身解除してしまう。徐々に近づいてくる幹部達の中には、ヤヨイも来ていた。
ヤヨイはこの状況を楽しんでいるようで、2人の哀れな姿を見て笑っている。無理だとわかってはいるものの、巧也は銃を構えた。
「それを構えてどうするつもりだ?」
「本能がそうさせた」
「くくくっ… そりゃ結構だな。さて、この状況をどうするつもりだ? あ?」
「悪いが笑っていられるのも今のうちだ。あいつが来る頃だろうからな」
「あいつ? はっ、まさかトリガーを待っているとでも?」
「そうだ」
「お前の父親と母親を殺したあいつをか?」
「そうだ」
「馬鹿か。なにを根拠にそう言えるんだ?」
「トリガーは… 兆はこういう場面で来るようなどうしようもない奴だからな」
「そうかよ。勝手に妄想垂れてろ…… さぁて、そろそろ2人のゴミを始末するか。これで俺の位も上がるだろうよ」
ヤヨイと幹部達は一斉に銃を構え、引き金に指がかけられた。
その時、黒い馬が巧也と狩馬の頭上を跳び、幹部達を蹴り飛ばした。ヤヨイはすぐに体勢を立て直し、こちらを睨み付ける。それから馬から振り落とされ、地面に叩きつけられた男がゆっくりとキメ顔をしながら立ち上がる。
「遅いぞ── 兆」
「巧也さん待った?」
「かなりな… できたんだろ?」
「もちろんっすよ!」
「なら行ってこい。思いっきり暴れろ!!」
「そのつもりだぜ」
それから兆は幹部の前に立ち塞がる。ヤヨイは笑う。無理もないだろう。この数相手に1人で勝てるはずがないのだから。
「こっちは6人。お前は1人。雑魚どもならまだしも、俺たちが相手だ。死ぬぞお前」
「そりゃブーメランだぜ。俺は勝つからよ」
「ほう。どうやって勝つつもりだ?」
「見てればわかるさ」
兆は懐からフィガンナイフを取り出す。それは完成したばかりの新作であり、この状況を打開できるアイテム。そして顔の横へ持って行き起動させる。
「トリガーは次に進む。俺は… 進化し続ける!!」
《 NEXT 》
そしてフィガンナイフ… ネクストイレブンをセイブドライバーに差し込み、ハンマーを起こし、引き金に指をかける。
「変身ッ!!!!!」
引き金を引くと、巨大な銃が現れ、砂嵐で舞い上がったファーストリボルヴの装甲が装着される。砂嵐が止むと、それから新たな装甲が夕陽が現れると共に宙に舞い、銃がそれらを撃ち抜いて行くと、装甲の上から更に纏うような形で装着される。
《ネクストガンアクション!! フォローイング!! トリガー!! イーハーイレブン!!》
「おいウォンテッド!! よく聞いておけ!! 今日は俺の!! ─── 新たな誕生日だ」
変身完了と共に幹部達が近づいてくる。5人の能力が1人の男に集中する。逃げられるわけが無い。逃げようが無い。
「……(新たなフィガンナイフを作ろうがこの数相手になにもできるはずがない)」
「── って思ってそうだな」
「な…ッ!!?」
ヤヨイは一瞬なにが起こったのかよくわからなかった。何故なら、目の前からトリガーの姿が消えてしまったのだ。辺りを見渡すが全く見えない。気がついた時には幹部全員が吹き飛ばされているということだった。そしてヤヨイの目の前にはいなかったはずのトリガーが出現した。
「お前… 一体なにをした!!」
「見てればわかるっつったろ?」
立ち上がったサツキが襲い掛かってきたが、回し蹴りであの硬い装甲を割り、ウヅキが迫ってきた時には、既にトリガーは消えていた。
「あいつまさか…!!」
ウヅキが気づいた時には遅かった。ウヅキとサツキは爆散し、残りの幹部達も無残に立てなくなるほどダメージを与えられていた。
「消えていない!! 速過ぎるのか!!」
そう。トリガーは目にも止まらぬ速さで動いていた。ヤヨイもなんとか抵抗しようとウォンテッドを大量に出すが、一瞬で倒され無意味に終わってしまう。そしてまた見えた時には一気に形勢が逆転している。
「あれぇ〜おかしいな。どっかの幹部さんは俺を… なにするんだっけ?」
「調子に乗るなよガキが…!!」
「その言葉。今の状態だと苦しい感じだな?」
「ほざいてろッ!!」
「それじゃあ… 決めるぜ」
引き金を引いてから少し待ち、ヤヨイ達が構えた瞬間に駆け出す。そして残りの幹部をまとめて蹴り上げ、地上に向かって蹴り飛ばす。蹴り飛ばした幹部よりも早く地面に着地し、目の前に来ると同時に突き出すように蹴る。
《ネクスト!! ファイア!!》
「今日の俺も!!!」
「ちっ…!!」
「勝利の日ィィィィィィッッッ!!!」
凄まじい一撃と共に大爆発を引き起こし、幹部達を一掃した。しかし、なんとか他幹部を盾にしたヤヨイはその場から逃げてしまう。それに気がつかないトリガーはいつもの決めポーズを巧也と狩馬に向けてやっている。
「狩馬さん。流石に今はやり合えないでしょ?」
「……… 何もみてなかったのか」
「え?」
「ヤヨイは逃げたぞ」
「えぇ!? いつ!?」
「まぁ…… よかったがな」
「んん? なんて?」
そして3人は肩を組みながらRIVERSへと帰ろうとするが、兆は後ろから突き刺すような視線を感じ振り向くと、そこには誰もいなかった。気のせいだと思い前を向いて歩き出す。
「── やっぱり負けたか」
「最初から分かってはいたが、こうもあっさり負けるとなるといよいよだな」
「どうする兄さん?」
「どうするもこうするもない。結局、今のままでは我らには勝てん。ボスの命が出るまで待つ」
「そうだね。そうするよ」
「…… このエリアAは平和過ぎる。ムツキはなにをしているのか… ボスは何故あいつを気に入っておられるのか…」
「兄さん?」
「行くぞ。ここにもう用はない…… 我らは他にやるべきことがある」
一難去ってまた一難。兆達の知らぬ所で、二つの影が動き出そうとしていた。
年明けちゃっ…たぁ!!
という訳で、今後ともご贔屓に。良いお年を。
次回、第18劇「後のステップ」
次回もよろしくお願いします!!