仮面ライダートリガー   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、またもヤヨイとウォンテッドの出現でしたが、アフタートゥエルブが圧倒。ヤヨイをトリガーとハントで押したが、後一歩のところで取り逃しました…が、それも全てお芝居だった!!?そして出会う3人。果たして…

それではどうぞご覧ください


幹部編
第19劇「仇」


 当然のことながら、事情を知らなければ互いの勘違いが起こる。それは後に争いにまで発展するかもしれないし、最悪の場合は罪を犯してしまうかもしれない。内容が濃ければ濃いほどそういうリスクが高まる。

 

 

「あ、狩馬さん」

 

「…… トリガー」

 

 

 狩馬はヤヨイから聞いた事は信じきってはいないし、そもそも親を殺した張本人の話をまともに聞くはずもない。それが本当か嘘などどうでもいい。とにかくトリガーを捕まえ金を貰う。そして失ってしまった永理の全てを聞き出す事が今の彼を駆り立てるものだ。

 

 

「トリガー。お前も俺の表情見て察してるだろうが、今から楽しいお喋りなんかしねーぞ」

 

「まぁ、いつかこうなるとは思ったけど。急じゃない?」

 

「俺は金がいるって前に言ったよな? お前を警察に突き出せば一生暮らせる金が手に入る。それさえ手に入れれば、俺は永理を幸せにできる」

 

「あいつ金より食いもんの方が好きよ。お兄さん? それにRIVERSだって警察なんだけど」

 

「RIVERS以外にお前の正体を知る奴はいない。前に課長さんが協力関係にあるって言ったが違うな。完全にお前のことを信じきっている。つまり仲間意識があるって事だ。それにトリガーの件でうるせーはずのRIVERSがいつだかを境に静かになった。これはもうそっちにトリガーの首出しても穏便に済ませちまうだろうよ」

 

「…… そうなの?」

 

 

 兆は巧也の表情を窺うと、いつも通りの顔ではあったものの、頬に汗が伝っているのがわかった。内心は焦っているらしい。

 それから巧也はキカンドライバーを腰に装着すると、壱月チケットとギアナイフを取り出す。それと同時に兆もセイブドライバーを装着し、ファーストガンナイフを取り出した。

 

 

「俺は別にお前に恨みがあるわけじゃない。金の為でもあるが、お前のような奴を世に歩かせておくと、妹の永理まで危険に晒すからな…… 今ここで潰す」

 

「俺はそんな危険な男じゃない。たまーに狼になるが、それはワイルドな俺の演出だから」

 

「訳がわからない事を言うな。人殺しも大概にしろよ」

 

「最悪の場合はそう言う事にもなるけど、俺は……」

 

「ウォンテッドの話じゃねーよ」

 

「じゃあなんだって言うんだよ」

 

「……… もういい。調べれば出てくるだろうぜ」

 

「なんだかよく分からないけど、やるしかないなら!!」

《ONE》《SET》

 

「おいそれと…… 永理が食い物の方が好きなのは知ってるぜ!!」

 

「「変身ッッッ!!!!!」」

 

《ファーストガンアクション!! トリガー!! リボルヴリボルバー!!》

《壱式!! ギアチェンジ!! ゲツヨウ!!》

 

 

 互いに変身最中に駆け出し、互いの硬く握った拳で頬を殴る。バキッという音を立て2人は後退し、銃を構えてほぼ同時に撃ち放つ。

 

 

「ぐっ…!」

 

「くぅ…!」

 

 

 ギアハンターの方が威力が高い為、トリガーが軌道をずらそうと銃弾に向けて放ったが、威力で負けてしまった。そのままトリガーに向かって弾は飛んでいき吹き飛んでしまう。

 

 

「初期とか舐めてんのか? さっさと使えよ… ネクストを!!」

 

「このままじゃ勝てないって思ってる?……俺もそう思う!!」

《NEXT》《SET》

 

「使った所でだがな!!」

 

 

 ハントはチケットを抜き取り、新たに肆木チケットを取り出して差し込む。ギアナイフを押し込んでトリガーよりも早くフォームチェンジを行う。それから地面に手を置くと、そこらに生えたなんの変哲もない雑草が纏まってツルのようになり、トリガーに巻き付く。

 

 

《肆式!! ギアチェンジ!! モクヨウ!!》

「ほらよ!!」

 

「ちょちょちょ!!? 使えって言ったのはあんたでしょうが!!」

 

「待つとは一言も言ってないぜ!!」

 

「待つのが基本なんだよ!! いででででででっ! し、しまるぅ…!!」

 

 

 ネクストガンナイフを持ったまま、何もできずに体が締め付けられていく。ただの雑草の塊のはずなのにも関わらず、その強度が異常だ。力を入れようにも、関節部分を締め付けて力を入れ難くされている。さすがハンターというべきだが、褒めている場合ではない。

 

 

「これで終わりだ。狩ってやる!!」

 

「かっこつけてファーストからやらなきゃよかった…!!」

 

 

 ギアハンターに壱式チケットを差し込んで放とうとする。だが、突如横から強烈な打撃を喰らい、ハントは吹き飛んで、弾は明後日の方向へと飛んでいく。すぐに体制を立て直し、攻撃された方向を確認すると、アフタートゥエルブに変身したシェリフが立っていた。

 

 

「課長さんッ…!! なんで邪魔しやがった!!」

 

「…… ヤヨイに何か吹き込まれたんだろ?」

 

「なに…?」

 

「お前は確かに奴に憎悪を抱いてるに違いない。ただお前もヤヨイもそれをわかって取引をしているんだろう? 狩馬。これ以上奴に従う事はない。真実を話せ」

 

「まるで知ったような口振りだな。それが事実だとして、俺になんの利点があるってんだ? あ?」

 

「内容によってはお前を手助けできる…… それに永理自身がそれを望むのか?」

 

「…… うるせーよ… お前たちにはわからないんだよ。何十年と探してやっと会えた妹なんだよ。ただ何かしなければ永理の記憶は戻らない……!!!!」

 

「なに? 狩馬……!!」

 

「今日はここまでだ!!… トリガー。いつ何時もお前を狙ってるからな」

 

 

 雑草を壁のように変形させ視界を遮り、アフターで破った先には誰もいなくなっていた。ハントが離れると同時に、トリガーを縛っていたツルが弱まって頭から落ちてしまう。

 

 

「い、いったぁ!!!」

 

「…… 兆。聞いたか?」

 

「ん? 聞いたよ。やっぱりというか予報通りというか… 永理絡みでしたかー」

 

「それにしても妙だった。言動にしろ行動にしろ、お前の何かを知っているような感じでもあったな…」

 

「やっぱりそれもヤヨイだろうね。あいつ俺の悪い噂広めて、俺の人気潰そうとでも思ってるのかな」

 

「…… 人気があるかどうかはさておき… やれやれ。永理にどう説明すればいいのやら」

 

「俺に任せてよ!! 永理なんて手のひらのダンゴムシよ!!」

 

「なに?───」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

「えーいーりーちゃーーん」

 

「モグモグ…… 兆さん。気持ち悪いです。パンが不味くなります」

 

「直球でちょっと傷付いたな!! 狩馬の事なんだけどおー…」

 

「多分兄がどうかしました?」

 

「まぁさっきあったことなんだけどさ」

 

「はい?」

 

「……… 狩馬はウォンテッドと手を組んでる」

 

 

 RIVERSに戻り、永理に狩馬の事をど直球なに伝えた。そんな兆に巧也は頭を抱えて、拳を握りしめて殴る準備をする。オブラートに包み込むのかと思ったら全くそんなことはなかった。

 それを聞いた永理はしばらく黙っていたが、ようやく口を開くと、いつも通りの笑顔で兆たちに答えた。

 

 

「私は気にしてませんよ。ただそうであるなら、ヤヨイもきっと兄さんもなんとかしなきゃいけませんね!!」

 

「永理… 大丈夫なのか?」

 

「はい! そんなウォンテッドと手を組むような兄なんか兄にあらず! ……だからこそ助けたいんです」

 

「あっそ。なら、俺も答えは一つだな。協力してヤヨイから狩馬を解放して、ついでに俺たちの記憶のありかも聞いてやる。どーせ知ってるだろ。あいつらなら」

 

「よーし頑張りましょう!! 兆さん!!」

 

「おうっ!!」

 

 

 皆は気づかなかったが、永理の表情は必死に作っている嘘のものだと。未だに信じることができない兄という存在。わからないが、狩馬の顔を見る度に何かが込み上げてくるのだ。それは統一してとても暖かい記憶。

─── それから数日が経過した頃、永理が兆の担当から外れてしまった。その理由は、暫く兄について独自で調べてみたいというものだ。

 

 

「そうか… ま、仕方ねーな」

 

「すみません兆さん。急にこんな事を……」

 

「まぁいいじゃん。俺はお前が外れてくれたおかげで楽できるし、金も減らないし、何より金が減らないし」

 

「………」

 

「なんだよその目は!! お前のせいで俺のマナーは日に日に消えていってるんだよぉ!!」

 

「兆さんが奢ってくれるっていうから……」

 

「そうなんだけどさ!!」

 

「…… 兆さん」

 

「なんだよ」

 

「また落ち着いたら… ゆっくりご飯でも食べましょう」

 

「永理…… また奢らせるつもりだろうが、今度は奢ってもらうからな!!」

 

「いいですよ! ジャンケンに勝ったら!」

 

「なんでだよ!!」

 

 

 そして永理はRIVERSから少し離れる事になった。これは巧也の判断であり、彼女の意思を尊重した。その日からどこか寂しそうな兆をRIVERS一同が心の中でにやけていたのであった。

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 その頃、狩馬は変身し、1人ウォンテッドと戦っていた。ヤヨイと取引はしているが、市民を危険に晒すという事に関しては違う。奴は人の死、仲間の死に対しては何も思わない。それが自分の利益となるなら話は別だが、それ以外ともなればただの道具に過ぎないのだ。つまりここで狩馬が何をしようと何も言うことはない。

 

 

「どいつもこいつも好き放題しやがって!!」

 

 

 ウォンテッドを積み上げ、ギアハンターを固定して放ったり、それらを壁にしたりと応用しながら敵の数を減らす。記憶が入っているウォンテッドと対峙する事になれば少々苦戦はするだろうが、そうでない空の奴らはただの雑魚。操り人形。躊躇なく倒して行ける。

 

 

「ヤヨイのやろう…… 何こんな数出してくれてんだ」

 

 

 チケットを交換し、参水チケットを差し込む。ギアナイフを押し込むと参式の姿なってから敵を水の力で弾き飛ばす。両手から水を吹き出させ、左右の敵を何体かまとめて取り込んで、そのままハンマー投げをするかのように回転し始める。

 

 

「おーらー……よっっ!!!」

 

 

 回転する事で更に敵が水の中へと入り、それが大きな塊となって、威力も範囲も上がる。全員取り込んだ後に上空へと投げ飛ばす。それからギアナイフを押し込み、両手にエネルギーを集中させて巨大な水の塊を作り出して、それを一気に小さく圧縮して、先ほど投げたウォンテッドの塊に投げつける。

 

 

《キカンギアブレイク!!》

「これで最後だ!!」

 

 

 爆散させるとその破裂した水が雨のように降り注ぐ。一息つこうと、変身を解除しようとしたその時、後ろから何者かに狙撃される。

 

 

「ぐっ…!!?」

 

 

 突然の事に状況が把握できないまま、とりあえず周囲を警戒する。すると遠くの方から1人、こちらに向かって歩いてきている。少々暗がりで見え難かったが、光に照らされていくと、その姿は見覚えがあるデザインをしていた。

 全てが露わになると、ハントは驚いて目を丸くし、そして確信した。

 

 

「── トリガー…!!」

 

「………」

 

「お前がやったのか。どうなんだ?」

 

 

 しかしトリガーは答えない。答えはしないが、銃口をハントに向け、引き金に指をかける。その瞬間ハントは横へ飛ぶとそれと同時に撃ってきた。完全にこちらに敵意があると見ていい。何故急に攻撃してきたのかは謎だが、ここでやられるわけには行かない。

 

 

「そっちがその気なら… いや元からこうなんだよな。お前はよ!!」

 

 

 見た目はファーストリボルヴと全く持って一緒だ。世界に二つしか存在しないとされるセイブドライバーだが、その腰に巻かれているものは見た目は似ていてもカラーリングが違う。

 そしてトリガーはハントに向かって走ってきた。スペックでは完全にハントの方が上である。すぐさま裏に回り込み背中に一発放つ。

 

 

「…… っ!!」

 

「また初期フォームで挑もうってか?…… 死ぬぞお前」

 

 

 だが、なにも答えない。むしろそのまま向かってくる。トリガーは頭部に向かって蹴りを喰らわせようとしてきたが、片手で受け止めて、両腕でその手を掴んで後ろへと投げ飛ばす。それからトリガーに銃口を向ける。

 

 

「お前…… 本当にトリガーなのか…?」

 

「………」

 

「ヤヨイの差し金か?」

 

 

 どう考えても様子がおかしい。兆であるのならとりあえず何かは喋るはずだ。そうでなかったとしたら、ヤヨイの見せた映像の信用が上がる。とにかく今は倒して真実を突き止めるまで。

 トリガーは構えると銃を放つ。何発か被弾するがどうということはない。一気に距離を詰めて腹を殴り、怯んだところに銃を放つ。

 

 

「お前いったい誰だ」

 

「………」

 

「答えないと… よーくわかった。ぶっ潰してから洗いざらい聞かせてもらう!!」

《肆式!! ギアチェンジ!! モクヨウ!!》

 

 

 チケットを変えて肆式へとフォームチェンジを行って、そこらに生えている植物を彼の体に巻きつける。抵抗しようとするがガッチリと掴んで離さない。先ほどのトリガーと同様に全く身動き一つ取れていないようだ。

 

 

「くらえっ!!」

 

 

 ギアナイフを押し込んで、纏まった植物たちがギチギチという音を立ててトリガーを飲み込み、凄まじいエネルギーと共に圧縮する。しばらく締めた後に彼を解放してセイブドライバー?からフィガンナイフを抜こうとしたその時、周りからウォンテッドがどこからともなく現れた。

 

 

「なに? いったいどこから… まさかお前…!!?」

 

 

 振り向くと、トリガーの姿は無くなっていた。そしてまた、ウォンテッドたちに目をやると、その真ん中にトリガーは立っていた。この群れを指揮しているようで、手を挙げると、一斉に後ろへ下がっていく。

 

 

「どういうことだこれは……」

 

「………」

 

「仲間なのか…?」

 

「………」

 

「聞いてんのかトリガーッッ!!!!」

 

 

 それからセイブドライバー?からフィガンナイフを取り出すと、変身が解かれる。ハントはその姿を見て固まった。ヤヨイを信じるつもりはないと思えたが、これは予想外である。見るからにウォンテッドの仲間という事は確実で、現に群れを操れている。それにこれが仲間だとしたら、ヤヨイの言う事柄や映像が本当に事実であって、彼を人殺しと言われれば信じてしまう。

 その真実は直接、目の前の彼に聞くことにしよう。

 

 

「どういうことだ── 兆」




またお休みしました申し訳ないです。
これは兆なのか……?真実は次回明かされるのか…?

それでは次回、第20劇「鏡写し」

次回もよろしくお願いします!!
是非、質問・感想等お待ちしております!!それではまた!!

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