前回、永理の過去が明らかとなりましたが、鍵とは一体…?狩馬を説得しにエリアIへと向かいますが、なにやら不穏な空気。新たな幹部シワスとシモツキが現れると巧也に衝撃の事実を伝える……
それではどうぞご覧ください。
「俺の父母が…… 幹部だと? そうかわかった。お前達はどうやら俺に嘘を吹き込んで動揺させるつもりだったんだろ? ならそれは失敗だ… 俺は今無性に腹が立っているからな!!」
「嘘でわざわざお前の為にここに来るか? 我ならばそんな暇があるなら計画を進めるまでだ」
「これほどまで両親を侮辱されたのは初めてだ…!! シワスと言ったな。覚悟はできているんだろうな?」
「息子は今まで知らなかった。両親が人を殺めていたウォンテッドの幹部だと。その事実を知っていたトリガーはお前の両親を殺した」
「違うッ!!! 父は俺の目標だった。警察になった理由だってそれだ!! 誰よりも強く、誰よりも優しい。そして誰よりも正義に生きた人だった!!! 母だって誇れる外科医だった!!! 今迄に何人もの命をその手で救ってきたッ!!!」
「裏では何百人と殺した両親が、表だと随分な功績を見せてるようだ。いっそ清々しいな」
「やめろぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!」
アフターの能力を発動し、全身の筋肉を倍加させて、シワスを殺さんとばかりに顔面を殴る。しかしその拳には当たったと言う感触はあるが、捉えたという感じではなかった。何故ならシェリフの拳は片手で押さえられてしまっていたのだ。
「我が憎いか? それともお前の親か? トリガーか?…… いや、違うな。お前は今、行き場のない怒りを我にただぶつけているだけに過ぎない」
「ぐぅっ…!!」
「下がっていろ」
シワスがグッと力を入れると、あのアフターの力を物ともせず、軽く押しただけで大きく後方へと吹き飛ばされて壁に激突する。その衝撃により変身が解けてしまった。
この状況は非常にまずい。トリガーはこの後の行動を考える。相手が何を考えているかわからないし、きっとネクストのスピードにも対応してくるだろう。誰をどう助ければいいのか全くわからない。
「トリガー…」
「…っ!…… なんだよ」
「あの男の両親を殺したのはお前だ。と、わかったな?」
「俺たちを仲間割れさせようって魂胆か? なら、やめておけよ。こんなんで俺たちが喧嘩するとかそんな風に思ってるなら間違いだぜ?」
「くくくっ… さて、それはどうか」
シワスが腕を横に振るうと、シワスとシモツキの体は霧状となって姿を消す。兆は変身を解くと、永理に狩馬を頼み、自分は巧也の元へと駆け寄る。幸い気を失っているだけのようで、見た感じ異常はなさそうだ。
巧也の名を呼びながら揺らしていると、唸り声を上げてから目が開く。
「巧也さん! 大丈夫?」
「兆か…… そういう事だったんだな。お前が俺の両親を殺したのか」
「… そうらしい。どうする巧也さん… あんたの両親から命を奪った野郎は、あんたと一緒に戦ってきたわけだけど」
「俺の両親は共に幹部だった。お前に殺されるくらいどうしようもない人たちだったんだ…… ははっ、俺は一体どこの誰に憧れて警察になったんだろうな」
その光景を永理は遠くから見ていた。声は聞こえないが、良き話ではない事はすぐに理解できる。すると膝枕していた狩馬の目が開く。やっと気がついたようだった。
「あ、兄さん起きた?」
「永理…… やっと会えたな。長かったぜほんとに…」
「でも、私は聞いただけで全てを思い出してないよ。ただ言える事はお待たせって事かな…?」
「…… あぁ、俺は生きててよかったよ… くそっ目がいてーな。ゴミでも入ったか」
狩馬の件はこれにて終わったのかもしれない。だが、RIVERSには新たな問題が増えてしまった。それはある者が思い描いた通り、着々と進んでいる証拠なのだ。
近くにある建物の上から4人を見つめるシワスとシモツキ。ある者とはシワスで、うまく進んだ事に自然に笑いが込み上げてくる。
「くくくっ… 計画は着実に進んでいる。我々は引いてやったのだ」
「これで後は自然に任せてれば、奴らは内部崩壊待ったなし… だよね兄さん?」
「弟よ。最高の始まりをする為には下準備を丁寧に終わらせなければならない。つまり後一手間が大事なんだ。そう、後一手間がな──」
>>>>>>>>>>>>>>
RIVERSに戻った一向はお互いの話を整理し合う事にする。普通ならあのような事実を聞かされたら冷静ではいられないだろう。しかし先ほどまでの怒りは何処へやら、巧也はいつも通りの冷静さを見せていた。ただそれは外見だけの話であり、心情はとても複雑な気持ちである事は確かだ。
「── 兆がもう1人いるというのか?」
「もう1人か…… 本人かもしれないんだがな」
狩馬は今までの経緯を巧也に全て話す。その中で特に気になったものが兆という存在。正確に言えば兆がもう1人いる可能性があるというのだ。はっきり言って信じられない事だろうが、シワスから聞いた巧也の両親を殺したとされるトリガーの可能性もある。
「お前の言う日が正しければ、兆は俺たちの敵になるって事だ。しかし兆は怪しい行動は全くしていない。格好は怪しいがな。偶にいなくなる時はあるが、いつものバーに通っているだけのはずだ」
「確かにいつも通りのことなんだろうな。課長さんが言う事は正しい事はわかる。だが! 俺はあの時あいつにやられたんだ! 根拠もなければ証拠もない! ただはっきりしているのは、俺はあいつから、あいつ自身から聞いてるんだよ!!」
「… 一体どうなってるんだ。俺たちの知らない兆がいるって事なのか? あいつの記憶と何か関係があるのか?」
「…… なぁ、そういえばよ。その原因のあの野郎は何処だよ?」
「ん?…… そういえばあいつの姿がないな?」
この話し合いが始まってからずっと兆の姿がない。巧也は1人1人に確認を取るが、皆気づいていなかったし、彼が何処へ行ったのか聞いたものもいないらしい。狩馬がほらっ見たか、という顔で巧也を見てきたが、それを流し兆を探しに行く事にした。
「その本人がいなければ意味がない。俺が探しに行ってくる」
「あ、課長! 私も行っていいですか?」
「永理もか? 別に構わないが、もっとゆっくりしてていいんだぞ?」
「それは私のセリフですよ。課長が怪我をして新人の私がゆっくりしてられませんから!」
「ふっ、そうか。なら行くか。狩馬はここで休んでていい。お前が一番体が堪えている筈だ」
お言葉に甘えてという風に隅へと移動し、椅子を並べて横になる。そして巧也と永理の2人は兆があるであろう場所へ向かう準備をする。
2人がドアから出るのを確認した佳苗は、パソコンでいつも通りウォンテッドの反応があるか確認していると、1つ反応が入ってるのに気がついた。
「ウォンテッドが現れたのかしら?…… でも特に緊急ってわけでもなさそう。というか動きがない? なにこれ… こんな反応初めてかも。でもこの場所って──」
パソコン内の反応が出ていた場所。地図が示した場所はBAR TRIGGERであった。
>>>>>>>>>>>>>>
車を走らせ、巧也たちはバーに辿り着いた。兆がいるとしたら大体この場所である。ここへ来る前にウォンテッドの反応があったと、佳苗から連絡が来ていた為か、永理からしたら兆と来る馴染みの場所がとても禍々しく感じる。ここまでの話の流れからして、相手も何か考えがあって罠を仕掛けている可能性がある。
巧也と永理は互いに顔を見合わせ、アイコンタクトを行いバーの扉を開ける。中はいつも通り変わらない光景だった。そのカウンターの真ん中に兆が座ってコーヒーを飲んでいる。
「兆、やっぱりここにいたのか。ちょっと用があるからRIVERSに戻るぞ?」
「…… ん? あぁ、巧也さんか。永理も… で、どうしたの?」
「急にいなくなるなよ。こっちは話し合いしてたんだぞ? それにお前から色々と話してもらえないといけない事があってな」
「あー了解了解。狩馬さんが何か言ってたんだろ? あそこにいるとまた殴られそうだから落ち着いた時いこうと思ってね。じゃあ行こうぜ」
「行く前に兆。実はここの周辺からウォンテッドの反応があったらしい。そいつを探してから戻るとするぞ」
「…… え? ここから? こんな狭いところの何処にいるんだか…」
それから外へと出るが、永理だけはこの異様な雰囲気を感じ取っていた。いやそれは常連には見ればわかることなのだ。何故ならマスターやガンホーレたちの姿はいないし、決定付ける理由としては兆であるならミルクを飲んでいる筈だから。
車に戻り、エンジンをかけようとすると、急に周りから人々の悲鳴声が響き渡る。車から離れて様子を見に行く。どうやら佳苗の言った通りウォンテッドがいたらしい。
「永理ッ!! お前は市民を避難させろ!! 俺と兆でこいつらを殲滅する!!」
「わかりました!!…… 課長」
「どうした?」
「気を付けてください。よくわからないんですけど、お昼ご飯を忘れた時のような空腹感というか……その、兆さんに気をつけてください」
「その例えは… まぁいい、お前なりに何か感じ取ったんだな。一応だが狩馬にも連絡しておけ。お前に何かあってからじゃ、あいつに合わせる顔がなくなるからな」
「わかりました。それでは課長…… お気をつけて」
ウォンテッドが道の真ん中を集団で広がって歩く。何処かへ向かっているようだが、巧也はその向かっている先がわかった。明らかに方向が兆と巧也の方である。まるで何かに操られて、いや最初からここへ来るよう仕掛けられていたかのように、迷いなくこちらに向かってきているのだ。
「んじゃ、早速やろうか巧也さん」
「あぁ……なぁ、兆」
「なに? さっきの事なら…」
「いやなんだ。俺は裏切ってくれるなよ」
「…… ふっ、なんだそんな事か。もちろんだ。なんたって俺はRIVERSのメンバーなんだからな!」
「そうか。それでいいんだ。それさえ聞ければな…… 行くぞッ!!」
《SIX》《SET》
「おう!!」
《ONE》《SET》
「「変身ッ!!!」」
《シクスガンアクション!! シェリフ!! オートアオート!!》
《ファーストガンアクション!! トリガー!! リボルヴリボルバー!!》
変身シークエンスで出た銃でウォンテッドを後退させた後アーマーを纏う。変身完了後、2人は頷き合ってからウォンテッドたちに向かって走り出す。トリガーはシェリフの後ろから発砲し、ある程度のウォンテッドを押し除けると、そのまま真っ直ぐ走ってきたシェリフが残りの敵を全力で殴る。
「ハァッ!!」
「さすが巧也さん! 後方支援は俺に任せて!!」
「あぁ!!」
シェリフが集団の真ん中に入って1匹ずつ相手にしながら、トリガーはその戦闘に割り込むものが居ればそいつを優先的に撃って近づけさせない。偶に銃で対処できなければ、彼自ら飛び込んでシェリフを助ける。
「いやぁ、俺たちってホントいいコンビじゃね?」
「…… かもな」
「はっきり言ってくれよ。お前とは最高のコンビだぜーっとかさ!」
「おい、戦闘中だ。気を抜くなよ」
「はいはい!」
仮面の下で巧也は微笑んでいた。永理には気を付けろとは言われてはいるが、いつも通りの兆であり安心したのだ。あの話を聞いてから本当は怪しく思っていた。両親に裏切られ、絶望しかけていたが、RIVERSのメンバーは裏切ってくれない。自分を信じてくれる。だからこそ今度は自分が兆を信じなくてはならないのだ。
「決めるぞ兆ッ!!!」
「おっけい!!」
《オート!!》《リボルバー!!》
《ファイア!!》
2人のは天高く跳び上がり、ウォンテッドの集団目掛けて飛び蹴りを行う。エネルギーを纏ったそれは接触すると同時に大爆発を引き起こした。砂埃が薄れてくると、そこにいたウォンテッドは見事に消え去っている。
シェリフは安堵した。彼にとって憧れだった人は消え、自分の全てを裏切られた。だから信じられる者が、信じてくれる者が今の彼を支えてくれるのだ。こうして共に戦う仲間がいる。
「兆… 俺はお前を信じられる。記憶がないとか、両親を殺しただとか、そういう事は問題じゃない。ここまで戦ってきてわかった。お前は正しい事をやっているんだと…… 悪い、今更だったかもな」
「なぁ、巧也さん。 俺はあんたを裏切っているのかも知れないんだぜ? 前からずっとさー… それなのにあんたは俺を信じるの?」
「あぁ、狩馬の言う事は本当だとは思うが… それはお前じゃない。ウォンテッドに絡んでいるのはお前とは別の誰かだ。もしかしたらお前に化けているのかもな…」
「………」
「テロスも何かを隠しているはずだ。こうなったのも全部計算のうちだろう。シワスの奴らも上から命令されて、内部崩壊を狙ったんだろうが、まぁ無理な話だったな」
「なるほど…… ところで巧也さん」
「あぁ、なん─────」
パーンッと言う音と共に、トリガーの銃口から煙が上がる。発砲していたのだ。誰にか? それはもちろん、近くにいる人物である。無防備だった彼。シェリフは自分に何が起こったのかよくわかっていない。
「きざ… し……?」
「悪いが俺は敵だ。今も昔も変わらない…… トリガーだ」
ガーツウエスタンにフィガンナイフを挿し込み、シェリフの腹部に銃口を宛てがう。徐々にエネルギーを収縮して行くそれを眺める彼の姿。トリガーは耳元でシェリフに一言。はっきりとよく聞こえるように。
「RIVERSは… 俺が潰す」
そして引き金を引いて、溜まったエネルギー弾を至近距離で放つと、シェリフは大きく吹き飛んで変身が解ける。トリガーはそれを確認すると、変身を解いてから明後日の方向へと歩んで行く。
巧也は何処かへ行こうとする兆を止める為、直撃を喰らったにも関わらず大声で静止するように言う。
「待て兆ッ!!!…… はぁはぁ… なぜだ。何があったんだ。お前は兆じゃないのか!!?」
「俺はトリガー… 射手園 兆だ。それ以上でもそれ以下でもない。別人でもなければ似ているわけでもない。俺は兆本人なんだよ」
「わからない。わかるはずがない!! どうしてなんだ!!? お前の何がそうさせたんだ!!?」
「元からこうさ。ボスの命令のままに動くだけ。ウォンテッドの幹部を減らしたのもそれだ。お前は俺を信じたからこそ、俺に色々と喋ってくれたから本当に助かった。そこだけは感謝しておいてやろう」
「兆…… 嘘だろ? 待ってくれッ!!」
「それとこれから俺の名は幹部名で呼ぶんだな。『カンナヅキ』と… それじゃあな。次会う時は… その命も記憶も貰うから」
「何故だッ……!!! 今までの事は全部演技だったのかッ…!!! 兆ィィィィィィッッッ!!!!!」
「カンナヅキだ…… いつも通り、今日の俺も勝利の日」
雨が降り、雷も鳴り始める。巧也のどうすることもできない感情は、声に上げても雷の音でかき消されてしまう。何度叫んでも、何度も見てもそれは現実でしかなく嘘ではない。
兆が闇に消えた所で永理がやってきた。巧也から今迄何があったのか聞いたがまるで答えてはくれない。ただ永理の嫌な予感は的中していた。今はそれで充分なのかもしれない。
永理は巧也に肩を貸し、亀のようにゆっくりと、ただ足取りは重く、RIVERSへと戻るのであった。
やべーよやべーよ…
完全にぶっ込んで行きましたが、如何だったでしょうか?
次回、第23劇「明後日」
次回もよろしくお願いします!!