前回、敵陣に乗り込んでしまった狩馬と連れ去られた永理を助ける為、兆が向かいましたが、やはり罠であり、幹部3人を相手にします。当然きつかったので敗北しかけます。しかしハントの新アイテムをバオに持って来させており、ハントは新フォーム漆曜式となります。果たして……
それではどうぞご覧ください。
ハントは右腕に炎を、左腕に水を纏い、それをビームのように両手を突き出して放つ。その威力はヤヨイが作り出したウォンテッドの壁を簡単に粉砕する。個々の能力も上がっているようで、ヤヨイをいとも容易く巻き込んで爆発を引き起こす。
「な、なんだこのパワーはッ!! さっきまでとはまるで違うぞ!!?」
「さっきまでと違わなかったらパワーアップの意味がねーぜ!!!」
「調子に乗るなよこのガキィ!!!」
それからヤヨイはウォンテッドを召喚して、ハントの目の前を覆うと、後ろに回り込んで自分から殴りに行く。だが、ヤヨイの拳はバキリと音を立てる。まるで骨が折れたかのように… いや、折れたのだ。
この硬度は悟式によるものである。先程も言った通り能力は向上しているので、ただの攻撃で壊れることはまずあり得ない。
「く、くそっ!!?」
「どうしたヤヨイ? さっきまでの態度とは違うな?」
「… ふっ、ふふふっ…」
「なにがおかしい? 絶望的状況過ぎて気でも狂ったか?」
「俺は1人じゃねーんだぜ?」
するとハントの後ろからシモツキが両腕の剣を構え、今にも斬りかかろうとしていた。もちろんハントはそれには気が付いてはいない。
シモツキの剣が振り下ろされ、完全に決まった。三枚おろしの完成… と、思われたが、斬るどころかそれ以前に装甲でピタリと止まっている。
「僕の剣が通らないだと!!?」
「お前がシモツキだっけか? 兆に聞いていたより大したことなさそうだな?」
「言いやがったな!! こいつ…ッ!!!」
またも剣を振り下ろそうとしたが、トリガーのガトリングウエスタンによって何発もその身体に撃ち込まれる。彼もシワスの能力によって力は失ってはいるが、隙をついての攻撃とあれば通る。
「狩馬さん。俺はシモツキとシワス両方相手するからヤヨイ頼むぜ」
「お前1人で大丈夫なのか? さっき力を無くしているようだったが…」
「なに言ってるの。あんだけで俺がヨロヨロするかよってんだ!! とにかくヤヨイをやってくれよ。ぶん殴るんだろ?」
「…… あぁ!! ならそっちは任せたぞ!!」
そしてハントは前に向き直すと、すでにヤヨイはハントの周りにウォンテッドを大量に囲ませていた。当のヤヨイは能力を最大限に発揮させ、いつしかハントは光が差さないドームの中心に呑まれてしまった。
しかしハントの心はとても落ち着いている。寧ろ次にやることを考えている余裕があるほどだ。
「こんな小細工がよー……」
ドームは弾け飛んだ。中からの強いエネルギーがウォンテッドたちを瞬時に焼いた。ヤヨイは何も言えずに固まり、一歩も動けずにいる。
そしてゆっくりとハントはヤヨイの元へと歩み寄る。とても静かに、それでいて圧を強く。
「今の俺に通用するとでも?」
「や、やめろッ!!! 命だけは…ッ!!!」
「命乞いか? それならもっと前から人を助けるんだったな…… お前のような人を平気で道具とするクズの命乞いなんて聞く意味がねーからな」
「金ならある!!! そ、それに高級車だって、でかい家も!!! それからッ──」
「そんなもん俺にとってはどうでもいい。ただ俺が今、欲しいものは… お前の魂だ」
「ひ、ひぃぃぃぃっっ!!! 許してくれ!!! なんでもやるから許してくれッ!!!」
「ん? 今なんでもするって言ったな? 言ったからな。俺はこの両耳で確かに聞いたぞ?」
「あ、あぁ…」
「なら、お前の命を取っていいってことだよな?」
「や、や、やめてくれぇぇぇぇぇッ!!!!」
そうしてヤヨイは手で顔を覆う。そしてハントが腕を振り上げた瞬間「なーんてな」と大声で笑い始める。恐怖でおかしくなったのか? と思うハントであったが、次にヤヨイが指を指した方向を見ると、永理の首にウォンテッドが手をかけていた。
「て、てめぇッ…!!! きたねーぞッ!!!」
「汚くて結構だ!! いいか狩馬? 戦場ではいつ何時も気を抜いちゃならねーんだぜぇ!!? 綺麗事抜かしてる暇があんならどんな手を尽くしてでも勝利する!! それが戦いってもんだ!!!」
「…… くくくっ」
「何がおかしい? お前こそ気が狂ったんじゃねーか? お?」
「なーんてね」
「は……?」
「お前というクズが簡単にへーこらと諦める筈がない。何の対策もなしに永理をそのままにしておくと思うか?」
永理の方へと目をやると、首をかけていたウォンテッドが、スタジアムのコンクリートに埋め込まれているではないか。
そう、ハントは最初からヤヨイを既に警戒をしていた。この男には勝てると確信していたが、負けるとわかれば何をするかわからない。だからすぐに対応ができるようあの戦いの最中、いちいち気にかけていたのだ。
「なぁ、ヤヨイ」
「ひっ!!?」
「俺に対して1番やってはいけないことをお前はやってしまった。この意味わかるよな?」
「ゆ、許してくれっ!!! 命だけは… 命だけはご勘弁をぉぉぉぉぉッ!!!!」
「わかった」
「え?」
「命だけは助けてやろう」
「ほ、本当か!!?(こいつ調子に乗りやがって…… だが、命だけは助かる。いつかこいつに目にもの見せてやろう。へっ、意外とチョロい男で助かっ───)」
「── ただし命だけだ。死ぬ寸前まで痛めつけてやるのはありってことだよなぁッッッ!!!!?」
「え? えぇ? ちょ、待ッ……!!! やめて…… やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!」
ギアナイフを押し込んでからこれでもかと殴り続けてから跳び上がり、両脚を揃え、全能力を発動させ、ヤヨイへと突っ込んでいく。もちろんヤヨイはウォンテッドを出して抵抗するが、何の意味もなく貫通してヤヨイに全てのエネルギーをぶつける。
ハントは着地してヤヨイを後ろに手を振る。
「あばよ。俺の仇。俺の過去」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉぉッッッッ!!!!!!」
ヤヨイは大爆発をし、キラーズガンとデリートガンナイフは木っ端微塵に壊れてしまう。ヤヨイの本体が倒れた事を確認すると、トリガーの助けに行こうとそちらを見るが、ハントはその光景に驚いた。劣勢してるかと思いきや、トリガーは幹部2人相手に押していたのだ。
「どうしたシモツキとシワス!!! それじゃあこのトリガーに勝てないよん!!!」
「ありえん…… 我の矢に触れ、確実に力を失ったはずだ… なのにどういう事だッ…!!」
「お前らには一生わからねーよ。だって俺だってわからないからなッ!!!」
困惑するシワスを先ほどから煽るトリガーだが、その後ろにシモツキが近づいていた。兄を馬鹿にする事は決して許さないのだ。
しかしそんなシモツキも途中から入ったハントによって、トリガーへの不意打ちは阻止されてしまった。
「狩馬さんそっちは終わったかい?」
「こっちはな。だからこいつらはさっさと…」
「片付けるとしますか!!!」
トリガーはセイブドライバーの引き金を引き、ハントはギアナイフをもう一度押し込み、2人で宙を舞う。シワスは全エネルギーを矢に集中させ、シモツキも同様に剣にエネルギーを溜め込みいつでも放出できるよう構える。
それから双方の必殺技がぶつかり合い、大きな衝撃波を生み出して、中心部にヒビが入り始める。
「うおぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
「「ハァッッッ!!!!!」」
2人のキックはシモツキとシワスのそれぞれに当たりスタジアムの端まで吹き飛ばした。かなりの大ダメージにより、2人は立ち上がることもできないようだ。
トリガーとハントは互いにハイタッチをして称え合う。
「いやっふぅぅぅ!! 今日の俺も勝利の日ッ!!」
「よくやったぜ兆!! 後はあいつらのキラーズガンとデリートガンナイフをぶっ壊すだけだ」
「あーそうだった! 大人しくしろよ幹部のお二人さ〜ん」
しかし急に2人は背筋がゾッとする感覚に襲われる。すっかり忘れていたのだ。このスタジアムには幹部3人以外にテロスがいるという事を。
テロスは客席から消え、既に倒れている幹部2人の元へと移動していた。
「テロス…!!」
「兆…… お前がここまで成長してくれている事を私は嬉しく思う。手塩にかけた甲斐があったというものだ」
「おい、それってどういうことだ?」
「ふふふっ、お前は忘れてしまっているだろうが、いずれ思い出す日が来る。だが、もう少し時間がかかりそうだ」
「待てッ!!! 俺の何を知っている? 俺はいったいなんだってんだよ!!!」
「── お前は終焉のトリガーとなる」
「… は? 終焉のトリガー?」
トリガーが聞こうとした瞬間、目の前に闇が現れ、それが消えるとヤヨイを残して誰もいなくなっていた。ハントは慌てて永理を見るが、どうやら彼女はそのままらしい。
「よかった…… 永理は無事だな」
「終焉のトリガー… 嫌なネーミングだぜ。あいつ変なこと言いやがって!!」
「またこれでわからなくなってきたな、お前の過去。ただあのテロスが深く関わってる事は間違いない。今はまだ深く考えなくてもいいんじゃねーか?」
「それもそだね。よしっ!! 永理を連れてBAR TRIGGERへレリゴー!!!」
「ヤヨイも忘れんなよ」
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1ヶ月が経った頃、巧也がやっと退院してきた。警視庁の方もほぼ直った為、バーから離れRIVERSは再び元の場所へと集まる事ができた。しかしまだ終わったわけではない。残る幹部は半分となったが、それよりも別の問題が増えしまっている。
巧也はこの1ヶ月の間に何が起こったのか兆と話していた。
「残る幹部は6人。ゴールが見えてきたとはいえ、それよりテロスの言葉が気になるな。終焉のトリガーとは一体なんだ」
「まるで俺がこの世界を終わらせるみたいな感じに言ってきやがってよー… 絶対やらないし! というかやる意味ないし! そもそもこの世界滅ぼそうとしてんのはウォンテッドの方だろ!! 記憶とか訳わかんないもん集めやがって!!」
「…… やはり兆の記憶も奴が握っているんだろう。全ての答えはそこにありそうだな」
「なぁ、巧也さん。俺がもしその終焉のトリガーとかいうのになったらよ。迷わず俺を倒してくれ」
「何だ急に? 奴が適当に言っている可能性も…… いや、ここまで来て適当であるはずないか。わかった。その時が来たら俺はお前を倒す」
「あーでも痛くしないでね?」
ただの冗談なのか。その時の巧也は特に何も考えず答えていた。
それから兆はバーに行こうとすると、急に視界が塞がれる。多分これはカップルがよくやるだーれだという定番なやつだろうと彼は思った。誰かすぐわかったので名前を言おうとしたが発狂した。まぶたに爪が突き刺さっているのだ。すぐにそれを外し後ろを振り向く。
「いてーよッッッ!!!!!」
「だーれだ」
「誰だもこうも一生誰かわからなくなるところだったわい!!!」
「いや〜背的な問題が発生してまして… しょうがないですよ」
「じゃあやるなよ!!!…… まぁいいや。何の用?」
「助けてもらったのでお礼をしたいんです。今からバーに行くんですよね? 奢りますよ?」
「え、マジ? じゃあ行こう!」
「行きましょう!」
2人して出て行こうとした時、警報が鳴り始める。巧也はすぐに佳苗に何があったのか聞くと、エリアAにトリガーが現れて人々を襲っているとの情報が入った。1ヶ月ぶりに幹部が動き出したので、兆・巧也・狩馬の3人は急いで現場へと向かう。
── 街は異様なまでに静かだった。それはそれでいいのだが、情報通りであるならこれほどまで静かなはずがない。人の声も街の音も何一つ聞こえないのだ。
「巧也さん。なんか様子おかしくない?」
「はめられた可能性があるな」
すると向こう側からトリガーの姿をしたカンナヅキが堂々と歩み寄ってくるのに気がつく。兆は初めてその姿を目にするので、巧也と狩馬に先ほどから何かを訴えている。きっと例の事をまた掘り返してきているのかもしれない。
そのまま兆は前に出て、自分の偽物と相対する。
「あんたがカンナヅキか。散々、俺の悪評広めちゃってくれてよ? どう責任取るつもりだこのやろう」
「あそこで囚われておけばいいものを… これが俺とはな」
「あんたが俺なんだろ? 変なこと言いやがって!!」
「違うな。何も間違ってはいない。俺はお前なんだよ」
「話が通じないらしいな。いいよ。やりたかないけどその仮面の下のハンサムフェイスに一発入れてやるよ…… 変身ッ!!!」
《ファーストガンアクション!! トリガー!! リボルヴリボルバー!!》
トリガーに変身し、自分の全く同じ姿のカンナヅキに飛びかかっていく。
巧也と狩馬も加勢に入ろうと変身準備を行おうとすると、反対側から何者かの気配を感じる。振り向くと、そこにいたのは既に変身し終えたミナツキとキサラギの姿があった。
「おい巧也。あれって…」
「俺の両親だ…… やるぞ狩馬。もう覚悟はできている…」
「… 本当だな? 最悪の場合があるからな」
《WEEK START》
「あぁ、大丈夫だ。あれはウォンテッド。俺の親は死んだんだ!!」
《AFTER》
「「変身ッッッ!!!!!」」
《漆曜式!! ギアチェンジ!! スタート!! ニチ・ゲツ・カ・スイ・モク・キン・ドッ!! オールウィーク!!》
《アフターガンアクション!!フォローイング!! シェリフ!! イーハートゥエルブ!!》
2人は変身し終えると、ミナツキとキサラギが近づいてくるのを待つ。シェリフは未だにこの2人が幹部であった事を心の中でずっと否定し続けている。だが、考える度に、否定する度に、過去の記憶で彼らの今までの行動が全て人々を苦しませていたとは思ってしまうのだ。
ミナツキはシェリフを見ると、まるで息子の退院を喜ぶかの如く優しく手を広げる。
「巧也。よく生きていてくれた。とても嬉しく思うよ」
「お前は父親じゃない。俺の父は誰かを苦しめるような人ではなかった!!」
「現実とは非情なものだな… 子供にさえも否定されるとは…」
「非情なのはお前だ。今迄の罪を償ってもらうぞ」
「お前にやれるのか? この私たちが?」
「その為に2人の前に立っているんだ」
この戦いで何が変わるのかはわからない。ただそれぞれが前に進む為、銃を握り、戦いに身を投じるしかないのだ。
今だけは──。
あーもう30話近いんよ〜。
前作よりも書いてるけど苦ではない。読んでくれる方がいるから(喜び)
次回、第29劇「エリアA」
次回もよろしくお願いします!!