終盤が近づいてきました…長いね!!
前回、テロスの正体。そしてその計画が判明した。そのクローンである兆は悩みながらもウォンテッドを倒す為に戦う。そんな時、佳苗からカンナヅキの反応があると向かった先には、ガンホーレとイッシュウがおり、テロスもそこに来ていた。ラストガンナイフの使用を促すテロスだが、断り続けているとガンホーレが……
それではどうぞご覧ください。
銃声が響き、ガンホーレは確実に脳天を撃たれて死んでしまったと思っていた。
しかしよく見ると、ガンホーレは無事であり、特になんともなかった。よかったと胸を撫で下ろしたかったが、なぜ止めたのだろうかと疑問が浮かんできた。
テロスはトリガーを踏みつけるのはやめてガンホーレに近づく。
「テロス!! それ以上おっちゃんに手を出すな!!」
「せっかく止めてやったのに感謝の一言もないのか?」
「あるわけねーだろッ!! なんて事してんだよ!!」
「わかっていない。お前は何も理解してはいない。これが最後のチャンスだと言いたいんだ。今の瞬間にお前の心は憎悪と怒りの感情が入り混じっていたはずだ。私をこの手で始末したいと、そう思っていた」
「だからなんだって言うんだ…」
「そしてもう一つ思ったはずだ。このラストガンナイフさえあればあいつを倒せる… と。その答えは正解だ。非常にいい回答だと思うぞ。しかしだ…… お前は正解を出したにも関わらず、最終的に出した答えは全く違った。この意味がわかるか? 二度目はないと言う事」
テロスはガンホーレの首に腕の横から出たブレードを当てる。
触れただけで彼の首から赤い液体がツーッと流れた。少し力を入れただけでも首が簡単に跳ねられてしまうだろう。
トリガーは拳で地面を叩き、頭を抱えて必死に考える。答えが出なければ彼は殺されてしまう。でも出せば自分が誰かに危害を加えてしまうかもしれない。
「(考えろ考えろ考えろ考えろ考えろッ!!!!!)」
その時、後ろから女性の声が聞こえる。トリガーは振り返り、聞き覚えのあるその声の主を見る。彼女は永理だ。なぜここにいるのだろうか。
「あ、兆さ…… テロス!!?」
「来るな永理ッ!!! 早く逃げろ!!!」
「は、はい!!… きゃっ!!」
「永理ィ!!!」
カンナヅキがいつの間にかいなくなっており、彼女に肩を回して動けないようにしていた。
幸いだが、彼女も気づいているだろう。自分という鍵を殺すわけにはいかないから命の保証は確実にあると。きっと邪魔をしないように一時的に捕らえているだけだ。
今はガンホーレの方が問題なのだ。
「さぁ、決めろ…… いや、既にお前の運命は決まっている」
「畜生…ッ!!!」
そしてトリガーは立ち上がり、ラストガンナイフを構える。
だが、手元が震えてしまい、起動することができない。もう考える時間もないと言うのに。
「残り5秒だけ待ってやろう」
「ハァ……ハァ……」
カウントが刻まれていく。1秒が異常なまでに短く感じる。もう3秒だ。早く決めなければ、ガンホーレが殺されてしまう。
何度も手に力を入れるトリガーだったが、やはり起動ができない。
「… 1」
「兆さんッ!!!」
永理が暴れてトリガーの元へ向かおうとすると、カンナヅキが彼女に向かって思いっきり平手打ちをした。地面に倒れ、そのまま気絶してしまった。
それがトリガーにとって引き金となったのだ。ガンホーレを人質に取られ、頭に上っていた血が今まさに破裂した瞬間だった。
トリガーの憎悪と怒りの感情が入った咆哮は全体に響き渡る。
「お前らッ…!!! 絶対に殺してやるッ!!!」
《LAST DAYS》
まさに今、終焉へのトリガーが引かれた瞬間であった。
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「エリアJって、確かシモツキの野郎が陣取ってるとこだろ?」
「あぁ、全く腹立たしい限りだな」
これはまだ兆がRIVERSで待機している頃。巧也と狩馬はパトカーに乗り、エリアJの道を進んでいた。現在はエリアH付近を走っている。
着くまでの間、ただの世間話をして暇を潰す。
「確かこのエリアはハヅキって幹部がいたんだよな。確か兆がやったんだっけ?」
「そうだ。あの時はなかなか大変だったらしいな。スライム状に体を自由自在に操る能力だったらしい」
「へぇ〜、キサラギの上位互換っぽいけどな…… あ、悪りぃ」
「…… 気にするな」
「あー… なぁ、巧也。俺はもう家族は永理だけだからよ。そのまぁ気持ちはわかっているつもりだ。そりゃウォンテッドが親… それも死んでいたはずなのに生き返って、幹部なんて事実知ったら複雑な気持ちにならない方がおかしい。だけどよ? 俺がこの年齢で、しかも変身できるだろう? もしも俺だったらふざけんなって思いっきりぶん殴るけどな」
「お前ならやるだろうな」
「そ、それどういう意味だよ」
「悪い意味で言ったつもりはない。ただお前なら本気になって間違っていると伝えてやるんだろうなって思ったんだ…… だけど俺は違う。未だに迷いが出て前に進めていない。兆は自分が何者だと知っても尚、あぁやって立ち上がって進んでいる。俺よりも悩んでいるはずだろうにな…… これじゃあ課長としての面目丸潰れだな」
「……ったく、課長らしくないな。RIVERSメンバーからは優しくも厳しく、そしてクールでナイスガイで自信に満ちていると、聞いたんだがなぁ。お前がそんな感じじゃダメなんじゃないか? 組織は頭が潰れたら終わりだろ? 悩むなら仲間に言えと言ったのはお前だぜ巧也」
「あぁ、そうだったな… 忘れてはいけない事を忘れる所だった。すまないな狩馬。まさかお前に説教されるとは思わないかった」
「説教ってほどじゃねーよ!…… ま、少し顔つきは良くなっ…どわぁっ!!?」
巧也は急にブレーキを踏み、車は急停止した。
この状況に狩馬は怒ろうとしたが、前を見るとそう言えなくなる。何故なら目の前にシワスとシモツキが立っているのだから。
2人は車から降りると、シワス達に近づきながらドライバーを装着する。
「ちょうどお前達に用があってエリアJに向かう予定だったが… そちらから来てくれるなら手間が省けた」
「我々もお前達に用があって来たのだ」
「それは?」
「… こういう事だッ!!!」
シワスは矢を放つと、それを見切っていた巧也と狩馬は互いに避け、即座に変身する。
シェリフはアフターへ、ハントは七曜式へと変わり、2人に向かって走る。
「ハント開始だ!!」
「全員捕縛する!!」
向かってくる2人に弓を構えて放ち、それに続くようにシモツキも、両腕から剣を伸ばして飛びかかってきた。
ハントは水泡を無数に作ってからそれを飛ばす。するとシワスとシモツキは視界が遮られてしまい、更にはいつの間にかシワスの脚がコンクリートで固められている。
その隙を逃さないシェリフはシモツキを倍化させている腕で顔面を殴り抜け、シワスの元へと吹き飛ばす。
「兄さんごめん…!!!」
「ぐわぁっ!!?」
シモツキが吹き飛ばされただけならばよかったが、ハントが追撃で高熱の炎をビームのように両手から出して、さらにシモツキのスピードを加速させた。
この衝撃はさすがにシワスでもまともにダメージが入ってしまう。
「何だこの強さは…!!」
「兄さん大丈夫!! 兄さんと僕なら勝てるよっ!!」
「あぁ、わかっている。こいつらを倒して、我はのし上がるぞ。ボスのお隣に相応しいのはこの我だ!!!」
巨大な矢を放ち、シェリフ達の手前で爆散し、無数の矢となって襲い掛かる。シモツキはその一瞬のうちに2人は近づいて真っ二つにしようと、両腕にエネルギーを纏う。
そうはさせないとハントが盾となり、シモツキの攻撃を受けるとまたシワスの方に吹き飛ばした。だが、二度同じ攻撃は喰らうはずのないシワスは、シモツキを不本意ながら避けてまた弓を構える。
「なんだとッ…!!」
シェリフがシモツキの陰に隠れていた。突然飛び出してきたが、シワスにとって問題はない。
それからシェリフはセイブドライバーの引き金を引き、左脚でシワスの側頭部を蹴ったのだが、アフターの力では片手で抑えられてしまう。
そう。シワスは確信していた。ハントが来なければこいつは倒せると。
しかしシェリフはこの行動を読んでいた。残しておいた右脚を、サッカボールを蹴るが如くシワスの胸部に喰らわせてやった。
「ば、ばかなッ!!? 貴様ァァァァ!!!!」
「ハァァァァァッッッ!!!!!」
シワスはその一撃を喰らって吹き飛び地面を転がる。流石の彼でもまともに受ければかなりの痛手のはずだ。
案の定シワスとシモツキは立ち上がり、しかしこれ以上追撃することはなく武器を下げる。
「シモツキ。日を改める… 引くぞ」
「え、兄さんッ…!!」
「来い。これ以上は我々が不利だ。勝つという確信がなくなった今、引く方がこの場合正しい」
そして彼らは下がって行き、闇へと消える。
シェリフとハントは周囲を確認してから変身を解き、2人で終わった事に安堵し、パトカーに戻る。
「七曜式がなかったらまずかった。アフターでは分が悪いからな」
「はっはっはっー。よく言うぜ。そんな不利な状況でもあの切り返しはさすがだ」
その時、巧也の携帯が鳴り、電話に出るとその主は永理だった。何やらとても慌てており、周りが非常に騒がしい。
「どうした永理? それになんだ。周りがやけに騒がしいが…」
「課長ッ!! き、兆さんを助けてください!!!」
「…っ!! 兆がどうかしたのか!!?」
「テロスに脅され… ラストガンナイフを使用してしまいました…」
「なんだと!!?…… すぐに行く!!」
巧也は今のことを狩馬に伝える。佳苗には連絡をもらっていたので場所はわかり、急いで現場まで急行するのであった──。
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《LAST DAYS》
ついに起動したラストガンナイフ。今のトリガーは憎悪と怒りといった感情が殺意に変わってしまった。ただ目の前のものを潰すために。
それからラストガンナイフをセイブドライバーに挿し込む。
《FINAL SET》
「テロスゥッッッ!!!!!」
そしてセイブドライバーの引き金が引かれる。
いつもであるなら砂嵐や装甲が辺りに飛び交うが、この時だけは違った。巨大な銃だけが現れ、その標準はトリガーの心臓に向けて放たれる。すると全身の装甲にヒビが入り、腕と肩から鋭利な刺が伸び始める。目は真っ黒く染まり、兆が大事にしていたマスターからの黒い帽子は、その変身の衝撃と共に吹き飛んでどこかへ飛んでいってしまう。
その時に生じた余波は彼の周りにいる全てを吹き飛ばした。
《ラストガンアクション!! ディシーストリガー!! スリーシックスティファイブ!! ドゥームズデイ!!》
「…………」
変身後のトリガーからは言葉が消え、恐ろしいほど静かになる。何も話さず、ゆっくりと一歩ずつ踏み出す。ただ歩いているだけにも関わらず、人間1人背負っているんじゃないかというくらい、それぞれに重い空気がのしかかる。
そして光のないその目はテロスを捉えていた。トリガーは走らずに歩み寄る。
「くくくくっ…… フハハハハッ!!! ついになったな。終焉のトリガー… ラストデイズに!!」
「………」
「さぁ私の成功作よ。その力を見せてみろ」
トリガーは殴られ、少し後退させられたが、痛がったりとかそういう行為はしない。またテロスはもう1発浴びせようと殴りかかってきたが、カウンターで避けて腹部にめり込ませる。
テロスは吹き飛びすぐに体勢を立て直す。ダメージは通っているようだが、全くと言っていいほど平然としている。
「さすがはラストデイズだ。素晴らしいぞ兆…… だが、それは私を倒す為のものではない。この世界に終焉をもたらし、全ての人間から記憶を抜き取るのだ」
するとトリガーは近くにいたカンナヅキの頭を掴み上げ、白いモヤが出てくるとそれを吸い始めた。 テロスが命令して動いたのではない。自主的に何かをしようとしている。
そしてカンナヅキからモヤが出なくなると、乱暴に捨て去って、一瞬にしてテロスに近づいて殴り抜ける。
永理は巧也に連絡を行いながら、トリガーの様子を伺う。伝えた後、電話を切り、兆の名を叫ぶが全く聞く耳を持とうとしない。
「兆さん!! しっかりしてください!!」
「…………」
テロスとは五分五分と言っていいだろう。テロスの力は個々を対象として1つを0にする。それは距離だろうと時間だろうと選ばないで発動する。
しかしこのラストデイズは抜き取ったものの記憶を糧に力を増す。そしてもう一つは──。
全てのガンナイフをデメリットなしで、更に通常よりも強化された状態で使用できるということ。
「…… お前の力は見せてもらったぞ。後はこのままにしておけば、すぐにでもこの世の記憶は私のものとなるだろう… 楽しみだ。私の計画が叶うその日がとても……」
そうしてテロスはカンナヅキを抱えて、一瞬で闇へと消えていった。
もう気は済んだ。その強さを認め、トリガーに全てを託したのだ。自分の計画を成功させる為に。
もうテロスはいない。だが、トリガーは止まらない。全ての記憶を奪い、この世を破壊するまで決して。
「兆さん……」
「……………」
トリガーは永理に向かって歩み始めた──。
仮面ライダートリガー ラストデイズ。全てを奪うまで止まることはない。
やばいよ永理ちゃんに近づいている!これはまずい!
次回、第34劇「終焉のトリガー」
次回もよろしくお願いします!!