前回、壊れたセイブドライバーとキカンドライバーを修理する為、兆のセイブドライバーのコピーを移し、そして新たなフィガンナイフを作成しようとしていた。そんな中、突如現れたカンナヅキの元へ向かう兆だった。アフターネクストの力で圧倒したものの、カンナヅキはウォンテッドとしての力を発揮し、兆を苦しめる…
それではどうぞご覧ください。
ここで確実に倒さなければ、ここら一帯が更地となるだろう。
トリガーはカンナヅキの攻撃を避けながら、何とかできないものかと考えている。アフターネクストの力では、単純な肉弾戦は不利だ。
「あーもう!! どうすりゃいいんだよ!!」
ガーツウエスタンにファーストガンナイフを挿して放つ。カンナヅキには当たるが、エネルギー弾はまるでシャボン玉の様に弾けた。当然のことながら全くダメージは入ってない。
するとカンナヅキの口が大きく開き、その口内が赤い光を見え始める。
「…… 冗談だろおい」
トリガーの嫌な予感と共に、口から高熱のレーザーが放たれると、それは地面をえぐるようにしてトリガーに向かってきた。
避けるか避けないかという選択を頭の中で考える。だが、答えが出るよりも早くレーザーは彼を包み込んだ。全身に熱湯を浴びている気分になる。
「あっ…!!! つぅぅぅぅぅ…ッッッ!!!」
この熱さはまずい。装甲が溶けかけているのがわかる。
それからトリガーは時間を消し飛ばし、一気にカンナヅキの元へと走る。近づいたら最大出力で蹴り飛ばしてやる。それが有効打でなかったとしてやるしかない。
トリガーはセイブドライバーの引き金を引いてから高く飛び上がり、上空からカンナヅキの頭部に一撃をお見舞いする。
「ぶっ壊れろォォォォォ!!!!!」
近くのビルの窓ガラスを割るほど衝撃が発生した。
こうして本気で蹴ってみるとわかるが凄まじく硬い。突出した能力はない。だが、どの幹部よりも、単純な身体的能力だけは右に出るものはいないだろう。
それに今、カンナヅキがゆっくりと頭を上を向こうとしているのだ。つまりトリガーの必殺技は返されようとしている。
「く… そっ…!!!!」
「ヴァオオォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!」
トリガーの攻撃はついに弾かれてしまい、アフターネクストで時間飛ばしできる時間にもなっていない。
カンナヅキは口を大きく開いて、何もできないトリガーに狙いを定める。トリガーはガーツウエスタンにフィガンナイフを入れようとするが、もう間に合わない。
そしてカンナヅキから熱線が放たれてトリガーを包み込んだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
暫く焼かれた後、熱線が止み、トリガーはドサリと地面に落ちる。ボロボロになりながらも、何とか立ち上がろうとするが、体に力が入らなくなっていた。
カンナヅキがこちらに近づいてきているのがわかる。暴走状態とはいえ、本能的に仕留めようとしているのだろう。
「これは本当にやばい……ッ」
徐々に近づくカンナヅキから逃げようにもやはり体は動かない。
必死にどうすればいいのかと考え、ふと頭をよぎったのはラストガンナイフの存在だった。他のフィガンナイフで対抗できない敵に対し、この状況を一気に変えられるとしたらこれしかない。
「だけどダメだッ!! また暴れたりでもしたら……」
ライスデイズに変身して暴れていた時に誰を傷つけ、誰を殺してしまったのかという記憶すらない。これだけはどうあっても使ってはならない。
トリガーは使わなければならないとは思ったが、そう思ってしまうと恐怖と悲しみで使うことができなかった。
しかしそれは本人の意思だけの話である。
「な、なんだ…… これは一体ッ…!!!?」
トリガーの持っていたラストガンナイフが赤黒く光を放ったかと思うと、触れてもいないはずのアフターネクストが自動的に引き抜かれてしまう。全く意図しないままにラストガンナイフはセイブドライバーに差し込まれてしまった。
それを引き抜こうとするが、接着剤でも付けたんじゃないかと思うくらいしっかりとはまってしまっている。
「待て待て待て待てッ!!! よせッ!!!!!」
「オオォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!」
「…ッ!! まさかテロス!! これが目的ッ───」
カンナヅキが前脚を振り上げ、トリガーをその巨体から為す全体重で踏み潰す。時間は掛かったが時間を飛ばせる事ができるようになったはずだ。普通であるなら避けられた攻撃だった。
だか、トリガーのアフターネクストガンナイフは地面に落ちており、彼の帽子であろう物が瓦礫の上に飛んでしまっていた。
その帽子がそこにある時には、すでにカンナヅキが宙へと投げ飛ばされていた。足の下に先ほどまでいたトリガーはもういない。何故ならそれはトリガーではなく終焉をもたらす者なのだから。
《ラストガンアクション!! ディシーストリガー!! スリーシックスティファイブ!! ドゥームズデイ!!》
「………」
空中へと飛ばしたカンナヅキを追い、トリガーも飛び上がると、拳を握り締めて頭がくの字になるほど思いっきり殴る。
殴られた巨体が殴られて勢いを増して地面に落ちた。それは一種の隕石のようであり、周辺の街が衝撃により崩壊してまう。
「オォォォォ……ォォ……」
「………」
知能を失った者と言葉も失った者の決着は一瞬だった。
セイブドライバーの引き金を引き、頭を踏むと禍々しいエネルギーが、トリガーの脚を包み込んでいく。その脚に力を込めて思いっきりカンナヅキの頭を踏み潰す。
《ラスト!! ファイア!! END》
カンナヅキは強烈な爆発を起こし砂煙が舞う。
それが止むと、辺りは更地となっており、その中心にいるのがトリガーである。目の奥に闇しか見えない。闇しか存在しないのような、まるでこの世のものとは思えないものが佇んでいる。
永理は爆発音を聞きつけ兆の元へと来た。カンナヅキを倒したと思っていた。倒した事は倒したが、今度は別の問題が彼女の目の前にいる。
「使ってしまったんですね…… 兆さん…」
それからトリガーの真っ黒な瞳は永理を映し出す。
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─ 次の日
RIVERSの研究室ではセイブドライバーの修復と新たなフィガンナイフの製作が行われていた。孝四郎は昨日から寝ずにずっと作業をしている。
セイブドライバーの修復はほぼ完成に近い状態だが、問題の新しいフィガンナイフを作ることができない。そもそも元はテロスが作り出したものであり、そこに全く新しいフィガンナイフを組み込むというのは無謀かもしれない。
「兆くんは作れるとは言ってし、というか僕もやるって言っちゃったし…… でもきっかけもないのにどうやって…」
すると、コンコンと研究室の扉を叩く音が聞こえ、「どうぞ」というとお盆を持って永理が入ってきた。お茶が入った湯呑みを孝四郎の近くのテーブルへ置く。
「あ、ありがとうございます…… ハァ」
「まだできそうにないですか?」
「そうですね… でも人間があれほどの力を作れるはずがありませんよ…」
「いえいえ! 孝四郎さんならできますよ! だってセイブドライバーをこんな短期間で直してしまいましたし、それにほとんどのフィガンナイフを製作したのだって孝四郎さんじゃないですか!」
「あれは元があったからで… でも、ありがとうございます…… あ、そういえば兆くんの様子はどうですか?」
「兆さんはラストガンナイフと睨めっこしてます。あの出来事がなかったら───」
*****
「兆さんやめてください!!」
「………」
「やっぱり…」
永理はラストデイズとなってしまったトリガーから逃げていた。
トリガーは何故か歩いて近づいてくる為、距離をなんとか保てている。しかし逃げているだけでは意味がない。
「あの時みたいに私が触ればもしかしたら…!!」
そして永理は迷う事なくトリガーに近づいて、セイブドライバーからラストガンナイフを引き抜こうとした。止まって欲しいと願いながら、手にグッと力を込める。
だが、あの時のような光は起こることはなかった。
「あれ…? どうしてっ!!?」
必死になって外そうとするが、何も起こらず、トリガーの手は彼女の首を掴む。徐々に持ち上げられ、ついに地面から足が離れて首が更に締まる。
「や、やめて…… 兆さん…!!」
その手を引き剥がそうとする事はまず無理だろう。助けを呼ぼうにも声が出ないし周りにはすでに誰もいないし、連絡をしようにもこの状態では不可能である。
またこのまま記憶を取られるのだろうか、と思っていると首の締まりがなくなってきたのがわかる。永理はそれをなんとか振り払って地面に落ちる。
「兆さん?」
「………ッ」
トリガーはラストデイズの呪縛をほんの僅か、ほんの一瞬だったが耐えたのだ。しかし一瞬であるが為、すぐにまた永理に向かって歩き始める。
また永理はセイブドライバーに手をかける。そして願いながらラストガンナイフを引き抜こうとする。
「お願い抜けて!!」
「………」
「兆さんッ!!!!!」
「………ッ!!!」
永理の手がトリガーに掴まれる。これはまずいと思い、手を払おうとしたが、その掴む手は何故かとても優しい。
そしてトリガーはラストガンナイフを掴み、方向をあげながら思いっきり引き抜いた。
変身が解除されて兆はその場で倒れた──。
*****
「── あの時、兆さんが意識を取り戻してくれなかったらどうなるかと…」
「でもよく耐えましたね… 言っちゃいけないんですけど、やはりテロスの力が少しですけど出てきたのかもしれません」
すると扉が閉まる音が聞こえ、RIVERSに誰か入ってきたとわかる。兆だと思い、永理が出ていくとそこにいたのは巧也と狩馬であった。
どうやら病院に無理言って退院させてもらったようだ。
「か、課長!!?」
「あぁ、悪いな。心配させた」
「お身体の具合は?」
「完治しているわけじゃないが、おちおち寝てもいられないだろう…… そういえばまたラストガンナイフを使ったんだな。佳苗から連絡をもらった」
「はい… ですけど兆さんの意思とは関係なく、ラストガンナイフが勝手に動いてラストデイズへと変身してしまったそうなんです。その時に兆さんは危機的状況下にあったということでした」
「…… 兆も気付いている。テロスはこの事をわかっているからこそ敢えて手を出さないようにしているんだろう。しかしこれが徐々に状況関係なく変身するとなれば、話は変わってくるな」
ラストデイズという脅威でしかない存在を、巧也はどうすればいいのかと病室でずっと考えていた。答えはもちろん出る事はなく、ただ一刻も早くこうして退院して兆に戦わせないようにする事以外に方法はない。
巧也が永理からお茶を貰おうとした時、警報がRIVERSに鳴り響く。佳苗に状況を確認すると、どうやら街にミナツキとキサラギが現れたようであった。
ついに現れた巧也の両親。迷わず彼は現場へ向かおうと、研究室の扉を開き、セイブドライバーを取りに行く。
「直っているか孝四郎?」
「え、えぇ今終わりましたけど… 大丈夫ですか? 相手は2人ですよ?」
「アフターとネクストを借りるぞ。勝つも負けるも俺の腕次第だ。そして…… 俺の覚悟が本物か否かだ」
「… わかりました。気をつけてください課長」
「わかってる」
それからすぐにRIVERSから出て、パトカーに乗り込んで、サイレンを鳴らして現場へと向かった。
残された狩馬はキカンドライバーを自分で直す為、孝四郎と向かい合う形で座って作業に入る。これは孝四郎の負担を減らすという事もあるが、それ以前にキカンドライバーは狩馬自身が1から作成した者であるので、やった本人の方が正確だろう。
しばらく無言の状態が続き、手を止めた孝四郎が設計図だけでどうしてそこまでできたのかと質問する。
「あ? そりゃ永理を助けたい一心で色々と勉強したんだよ。この賞金稼ぎって立場になるまでずっとな。やっと三十路でこのくらいはできるようになった…… ってそもそもがよ。それお前が言うか?」
「は、はい?」
「俺よりも遥かに作り出してるお前の方がすげーよって話しだ。俺の漆曜式だって孝四郎がやってくれたんだろ?」
「そうですけど…… 手が止まっています。今までは元があったからできたんです。狩馬さんの物も繋ぎ合わせて調整しただけなんです。だから元のフィガンナイフを強化するしか方法は…… あっ」
「ふっ、やり過ぎて頭が硬くなってたようだな天才」
それから狩馬はテーブルにあったテンスガンナイフを取ると、くるりと回してから孝四郎に手渡す。
このテンスガンナイフがあったからこそ、ネクストとアフターを作るきっかけとなったし、その2つを組み合わせることができるように調整したのも孝四郎なのだ。
「できるだろ?」
「…… えぇ、ありがとうございます。課長の為にやってみせます。そして… 兆くんの為にも」
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現場ではミナツキとキサラギが街を破壊し、人々を撃ち殺し、悲惨な状態とへと成り果てていた。
かつての父と母の面影は全くなかった。警視総監として警視庁のトップであり、誰から信頼され憧れ、まさに警察の鑑であった父。自分が警察になるきっかけとなった父。その存在があったからここまで来れた。
母も天才外科医として多くの患者を救い、彼女の手にかかれば治せないものはないとまで言われた。まさにゴッドハンドというにふさわしい人だった。とても優しく、厳しかった母。
それも全て偽り。その2人は今、巧也の目の前で破壊の限りを尽くしている。
「父さん…!!」
「…… やっと来たか巧也。私はお前を待っていたんだ。と、まだ父として呼んでくれるのか? 嬉しいな」
「…っ!! ミ、ミナツキ!! お前をこの手で止めに来たぞ!!」
「止めにー…か。お前に止められるのか? 私の事を充分に攻撃できなかったお前が?」
「俺はその覚悟でここにいる。俺は過去に打ち勝つ!!」
《AFTER NEXT》《OVER SET》
「やってみるといい。私の息子よ」
「変身ッ!!!」
アフターネクストへと変身したシェリフは自分の両親に向かって全力で走る。
それは人々のためでもあったが、彼の衝動は過去を倒す為、息子として立ち向かう為。血の繋がりあるものとして終わらせる。
「うおぉぉぉぉッッッ!!!」
彼の咆哮と共に戦いの火蓋が切られた。
自分の過去は自分で片を付ける!!
そしてRIVERSの為に、人々の為に、孝四郎は自分自身が思う最高傑作となるフィガンナイフを製作する。
次回、第37劇「覚悟の百銃」
それでは次回もよろしくお願いします!!