仮面ライダートリガー   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。最後に近づいて参りました。

前回、鍵を開いてメーデン・テロスに進化したテロス。その力はフロンティアと互角。そして今まで幹部を復活させ、シェリフがそれらと対峙し、ハントはシワスとシモツキを相手にしていたが、シワスが何を思ったかシモツキを逃し、自分の頭に銃弾を撃ち込むと、周りのウォンテッドを吸収して更なる力を手に入れてしまった……

それではどうぞご覧ください。


第43劇「バウンティハンター」

 シワスの手に入れた新たな姿。

 それは言語を話さず、ただ不気味なほど平然としている。心臓部が剥き出しになっており、非常に気持ちが悪い。一体あの行為がなんだったのかはわからないが、ハントは取り敢えずは身構える。

 

 

「まずは様子見だ」

 

 

 ギアハンターを構えたハントはシワスの剥き出しの心臓目掛けて銃弾を放つと、ハントの胸に矢が飛んできた。突然のことでわからなくなりそうだったが、撃った後すぐに矢を放ったのだ。目にも止まらない恐ろしいほどの速さ。

 しかし幸い胸は貫かれなかったが、装甲が少し凹んでいるのがわかる。

 

 

「あ、危ねぇ…!!」

 

 

 装甲を気にしている場合ではない。すぐにまた矢が放たれ、その矢は爆散して無数に分かれる。

 八方向から飛んでくる矢を、ハントは地面に手をついて何重もの壁を作り出した。今迄通りであるならこれでなんとか防げていたが、明らかに何かが砕けている音が聞こえる。

 

 

「これがあいつの攻撃か!!? あの時とまるで違うじゃねーかよ!!… くっ!! 激しくなってきやがった…!!」

 

 

 シワスの矢は壁に当たり、激しい振動と衝撃がハントを襲う。

 同じ場所を重点的に狙い始めたらしく、バリバリと壁を破っていき、ついに何重も貼ったはずの壁が残り1枚にまで矢が届いてしまっていた。

 

 

「仕方ねぇ… 緊急脱出ってやつを…!!」

 

 

 そして大量の矢がハントの作り出した壁を破ってハントを貫いた。

 そう見えたのだが、既にハントは地面に穴を開けて別の場所へ移動していたのだ。その場所はシワスの真後ろであり、拳を硬化し炎を纏ったパンチを後頭部に喰らわせる。

 シワスは体勢を崩し、そのままハントの炎が燃え移って火ダルマとなった。

 

 

「こ、これで…… ん?」

 

 

 風を切る音が聞こえて来る。

 ハントは何処から鳴っているのかと耳を済ませていると、頭上から鳴っていることに気がついた。上を向くといつ放ったのかわからない矢が雨のように降り注ぐ。

 すぐに全身を硬化させ、自分の真上に巨大な水泡を作り出して少しでも威力を下げようと試みた。

 

 

「ぐっ… うぅおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 しかしその矢は細かくなって威力が減っているはずにもかかわらず、水の中に入ってもその速さは衰えず、防御を破って全ての矢が彼を捉えた。

 本当の雨のように絶え間なくハントを襲い続け、ようやく落ち着いた時には、ハントはかなりのダメージを食らってしまい片膝をついてしまう。

 

 

「今… やっとわかったぜ。なんでこんなにレベルが上がったのかがよー…」

 

 

 元々キラーズガンは自分に撃ち込むことで身体に変化をもたらしウォンテッドになる。やり過ぎると暴走形態となって、2度ともとに戻れなくなるという副作用がある。だが、幹部たちはそれを克服し、より強力な能力を手に入れた。

 コップにギリギリまで水を入れて表面張力という奴で溢れないという状態が幹部だとしよう。そこにコインを1枚だけであるなら溢れる事はない。だが、仮に数枚一気に入れたとしたら溢れて当然のことだ。

 つまりシワスは何発も撃つ事で無理やり暴走状態となってはいるのだが、ギリギリのところで理性を保っているという感じだろう。

 

 

「さすが幹部だな。あの状態でもまだ消えないか。その忠誠心…… そしてもう一つわかった事がある。お前の能力はエネルギーの矢を飛ばす事でも、他者のエネルギーを弾き飛ばすでもない。本当の能力はエネルギーを吸収するという能力だ。矢を作り出したのは周りから取り入れて生成した物。弾き飛ばしたというのは厳密にいえば吸収して体外に吐き出させた… そういう事だろう」

 

 

 シワスの本当の能力がわかったところで状況が変わるわけではない。だが、負けるという選択肢もない。負けるわけにはいかないのだから。

 ハントは気力を振り絞って駆け出す。

 

 

「絶対に負けるかよッ!!!」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>

 

 その頃、シモツキはとてつもないスピードで山の頂上まで登っていた。上へ行くたびに激しい爆発音と装甲がぶつかり合う音が響いて来る。

 頂上へ着くと木の影からその様子を伺う。トリガーとテロスが一歩も引かない互角の勝負を繰り広げていた。

 

 

「兄さん大丈夫かなぁ…… と、心配ないよね。兄さんなら… ボスは今どういう状況だろ?」

 

 

 するとシモツキの方にテロスが吹き飛ばされてきた。

 シモツキはテロスに近づいて大丈夫か否かを問おうしたが、手をかざして静止させる。

 

 

「何故ここにいる…… シモツキ」

 

「ボ、ボスの何か役に立てる事はないかと思い──」

 

「邪魔だ。お前はシェリフの元へでも行っていろ。ここはお前如きが来る場所ではない…!!」

 

「も、申し訳ございません!!!」

 

 

 すぐにその場を離れようと、シモツキはシェリフの元へと駆け出したが、進んだはずなのにも関わらず、その場から一歩も動けていなかった。

 シモツキはテロスがやったのだとわかったが、何故やったのかまでは理解できない。

 

 

「こっちへ来い。今、お前がやらなければならないことを見つけた」

 

「なんですか…?」

 

「時間を稼げ」

 

 

 テロスがシモツキの頭を掴むと何かのエネルギーを流し込んだ。そのあまりに強いエネルギーに絶叫しジタバタと暴れる。このまま破裂してしまうんじゃないかというくらい詰めれるだけ詰め込まれている感じだ。

 追ってきたトリガーはその光景を見て、何をしているのか理解できなかったが、嫌な予感がしてすぐに蹴り飛ばそうとした。

 しかし壁を作られてしまい、その攻撃は弾き飛ばされてしまう。

 

 

「── これでいいだろう」

 

「こ…… れは……?」

 

「計画の変更だ。身体が凄まじい早さで馴染んでいる… 思っていた以上にな。このまま各地に撒いたウォンテッドたちを吸収し、そこで手に入れた記憶のエネルギーを使い完全に次元の扉を開く。最終的に兆たちのエネルギーさえ喰らえば、この世の全ての記憶を喰うことができる…… つまり私はやる事ができた。ここは任せる」

 

「ぐ、ぐわぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

 

 シモツキが咆哮すると、身体から禍々しく赤黒いオーラが出てきた。

 それを見てからテロスは姿を消すと、壁が消えてトリガーが入れるようになる。入ったはいいのだが、シモツキの様子がおかしい事に気づき身構えた。

 次第に苦しみの声が薄れていき、シモツキの両腕は剣と一体化し、とても長細くなった。

 

 

「テロスの奴… 一体何をしたんだ」

 

「……… ありがとうボス」

 

「…っ!!?」

 

「感じる。この身体にエネルギーが満ちてきたよ…あぁ、最高だ。斬りたくなってきた。斬りたい。お前を。トリガー…!!!!!」

 

「さっさと倒して永理を連れて帰りたいのに… 仕方ない。まずはシモツキ。確実にお前を倒す──」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>

 

「どうする…… どうすればいい……」

 

 

 シワスの能力はわかったがそれに対しての対抗手段が思いつかない。追尾するし分裂する。一本一本の威力が高く、ハントの能力を最大限に発揮しても、先ほどのように貫通されて終わる。

 やってやる、と意気込んだのは良かったが、そういうことを考えていなかった。現在はシワスの矢をなんとか避けながらその隙を伺っているのだが、全く隙というものが見つからない。

 

 

「ハァ… ハァ…… やべぇ、さっき受けた矢の影響かこれ…」

 

 

 あの矢を喰らってしまっている為、ハントのエネルギーはかなりの量が体外に出てしまった。走っているだけで息が荒くなり、能力の質も落ちてきているのがわかる。

 それでもシワスの攻撃は止まることはなく、矢が雨の如く降り注ぐ。

 

 

「…ッ!!」

 

 

 ハントは地面や植物を操り、自分の周りに分厚いドームを作り出した。

 その瞬間、ドームに大量の矢がぶつかりまた削り始める。先ほどもやった手であり、相手もそれがわかっているはずだろう。後ろに周り込んだとしても対処されるのが目に見えている。

 ドーム中に響き渡る矢がぶつかる音。段々と近づいてきている。

 このままジッとしている訳にはいかない。ハントは意を決して弾き飛ばした。

 

 

「…… あいつらだけにいい格好させてたまるかよォォォォッ!!!!」

 

 

 全ての矢がハントを捉え、限界まで硬化した装甲と言えどこの量を受ければ一溜まりもない。エネルギーを吸収されて飛ばされる。

 しかしハントはシワスに向かって走り出す。こんな事をすればエネルギーが底をつき、変身が解除されてしまうのは確実だった。

 

 

「ガッ…!! こんなもんッ!!」

 

 

 ハントはギアナイフを押し込むと、シワスの剥き出しの心臓に殴りかかったが、いつ放ったのかわからない矢がハントの拳を弾いて全身に撃ち込まれる。

 そしてぐらりと崩れてそうになったハントに、シワスは刃となった弓で突き刺さそうする。

 しかしその直前でハントは身体を回転させ、頭を蹴り飛ばして体勢を崩させると、シワスの心臓に拳を当ててグッと力を入れる。

 

 

「やっぱりよ。俺の方が強いな…… オォォ… ラアァァァァァァァッッッ!!!!!」

 

 

 全身の力を拳という一点に集中させ心臓を殴り抜ける。

 これが今のハントにできる最大にして最高の一撃だった。もう他に余力は残ってはいない。

 それから変身が解けて地面に座り込んでしまった。

 

 

「…… お前が立ってられたら俺の負けだ。もう変身する体力もないぜ…」

 

「………」

 

 

 シワスはピクリとも動かない。心臓にダメージを与えた筈であったが、全く効かなかったのだろうか。そうであるなら狩馬の負けだ。既にハントへの変身するエネルギーはどこにも残っていない。

 だが、狩馬は負けるとは思ってはないかった。勝ちを確信しているわけではないけれど、何故か勝利したと思えるのだ。

 

 

「── ッッッ!!!」

 

「お前の台詞を借りるならよ、兆…… 今日の俺も勝利の日ってやつか」

 

 

 その瞬間、シワスの心臓に徐々にヒビが入り大きくなっていくと、そこから光が漏れ出す。全身から光が放出された時、シワスは爆散してその場から跡形もなく消え去った。

 狩馬はそれを見届けると深いため息をついてゴロンと寝転び空を見上げる。

 

 

「きったねー空だな… 少し休憩してから行くか。今ウォンテッド来たら対処できねーよ────」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>

 

 シェリフは戦いながら幹部達の中にムツキがいないことに気づく。それはマスターが無事であるという事を示している。ホッ一息着きたいところだが、9人という数相手に中々手間取っていた。

 ヤヨイの能力によりただでさえ雑魚が多い状況であるのに更に増やされ、ナガツキの能力で幻覚を見せられている。

 

 

「それにこれがカンナヅキか…… なるほど。ラストデイズを使わざるを得なかったのがよくわかる」

 

 

 この幹部達含めたウォンテッドの数。プリズンハンドレッドと言えどこの数相手に戦えるのだろうか。流石の彼も冷静さを失ってしまうのではないだろうか。

 しかし、そんな心配はいらない。何故ならシェリフはとっくに覚悟を決めている。彼にとって数は問題ではない。やるかやらないか。勝つか負けるか。

 

 

「全員… 捕縛するッ!!!」

 

 

 その光景を建物の上から見る男が1人。

 男は右腕をブレードに変えると、シェリフの方へと飛んでいった────。




あ…(察し)
この男の正体はー!!?

次回、第44劇「RIVERS」

次回もよろしくお願いします!!

最終回まで残り── 2話
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