仮面ライダートリガー   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、無事であったマスターことムツキはシェリフと共に幹部たちを殲滅する。その後トリガーの元へ駆けつけたシェリフはシモツキの相手をし見事に勝利を収める。一方、トリガーとムツキはテロスを倒し、永理を救い出す為に本拠地へと潜り込む……

それではどうぞご覧ください。


第45劇「宿命のトリガー」

 トリガーとムツキは建物内へと侵入し、先の見えない真っ暗な道を進み続けている。どれくらい走っているのだろうか。外観からは想像できないほど広く、とても長い道のりが続き、2人の走る音しか聞こえないほど静かであった。

 

 

「マスター。ここはもう地下… だよな?」

 

「あぁ、そうだ。幹部の数が増えた頃、テロスと俺はトリガーを生み出す為に計画を進めた。全てが始まった場所だ」

 

「…… 幹部たちは捨て駒のようなものだよな。俺と戦わせていたのも、俺を成長させる為。永理の件だって若干外れただろうけど鍵としての機能を果たした。テロスの思い通りにことは進んでるってわけだな」

 

「だからこそ一刻も早く止めなければならない。テロスを必ず仕留める」

 

「言われなくともやってやるさ… お?」

 

 

 とても長い道のりの果てに、トリガーたちは円形の大広間へと出た。周りにはパネルのようなものが敷き詰められ、その一つ一つに2人が映し出されている。

 何の為にここまで大きくする必要があったのだろうかとトリガーは思っていると、ムツキが不意に口を開く。

 

 

「── 本来ならここで鍵を開くはずだった」

 

「本来なら?」

 

「テロスは自身の予想とは違う展開に驚愕したことだろう。あの時、お前に勝てないと判断した奴はリスクを覚悟して半覚醒という状態で鍵を開いた… そしてこの場所は強制的に覚醒させる為に用意した場所。リスクを大幅に軽減し、テロスに更なる力を与える為の装置。周りを見てみればわかると思うがあれら全てがその装置だ」

 

「そんな事ができるのかよ… 強制的にって事は鍵を完全に開く事ができるの? もしそれができるとしたら何故今まで使わなかったんだよ?」

 

「強制的にと言えど永理自身が認知し、成長する必要があった。だからこそ今がその時なんだ。この場所にはそれほどテロスの欲と技術が詰め込まれている」

 

「…… なら、さっさと始めようぜ!! そこに居るのはわかってるんだ!!」

 

 

 大広間にトリガーの声が響き渡ると、部屋の中央の空間が歪み始め、その歪んだ場所からテロスが姿を現した。

 先ほど戦ったトリガーにはわかるが、テロスという化け物を前にしただけで絶望感が一気に押し寄せる。覚悟はしていたムツキでも、この異常なまでの威圧感は今までのテロスとは段違いだとその身で嫌というほど感じ取れた。

 

 

「ムツキよ… 非常に残念だ。お前が私を裏切る事になろうとはな」

 

「俺はお前に付いて行く時から裏切るつもりでいた。いや、裏切るという事がそもそも間違いか… 俺は最初から倒すつもりでいたからな」

 

「その結果が多くの犠牲を生む事にはなったが、お前の作戦は成功していたぞムツキよ」

 

 

 テロスはそういうと目線をトリガーの方に移し、再びフロンティアフォーエバーの姿をじっくりと見る。自分の予想とは違う全く新しい姿。最初の頃は忌々しく思ったが、今は不思議とそんな感情よりも嬉しさが込み上げてきた。

 それからテロスは部屋の中央の天井近くに、永理を瞬間的に出現させると、両腕を鎖のような物で縛り付ける。

 トリガーは声をかけるが永理は気を失っているのかピクリとも動かない。

 

 

「永理… 待ってろよ。必ず助けてやるからな」

 

 

 そう言ったトリガーはフォーエバーピースメーカーを構えながら、一歩ずつテロスに近づき、それに合わせてテロスも上空から地面へとおりる。

 互いに充分な距離まで近づき、足を止めて睨み合う。

 

 

「これが本当のラストバトルってやつだな。トリガーさんがお前を倒して世界を救ってやるよ」

 

「口だけならいくらでも言える。どちらかが勝ったという事実が証明された時こそが真の決着だ」

 

「俺は必ずお前を倒す。ここにいるマスター… RIVERSのみんながいたからこそ俺はこうして生きてこれたし強くなれた。自分という存在についても教えられた。そんな人達の為に俺は勝つ…… 今日がお前の敗北日だぜ、テロス」

 

 

 そして二人の間にしばらく静寂が訪れていたが、先に手を出したのトリガーであった。近距離で銃の引き金を引くが、テロスに避けられ、弾は後ろの壁を貫いていく。

 目の前から消えたテロスは、すでにトリガーの後ろへと回り込んでおり、握った拳で殴ろうとした。

 しかし、そこへムツキが片腕をシールドへと変化させてガードする。

 

 

「お前の能力では私は抑えられん」

 

「ぐぅ…!!」

 

 

 やはり0 テロスの力には、例え幹部最上位の力とされるムツキであろうと攻撃を受け止めることはできない。

 そのままムツキは吹き飛ばされてしまう… と、思われたがシールドをブレードに変化させて地面へと突き刺して耐える。その剣を軸として回り、テロスを勢いのままに蹴り飛ばす。

 

 

「私がただの細い木の枝であるならばよかったな。この程度では怯むこともない」

 

「わかっている。お前に俺の攻撃は通らないと… だから俺は囮として動く」

 

 

 その言葉の意味を瞬時に理解したテロスであったが、ムツキの後ろから弾丸が飛んでくると肩を撃ち抜かれる。

 それはトリガーのフォーエバーピースーメーカーより放たれた弾丸である。

 

 

「やはり私自身が私の障害となるとはなッ…!!」

 

「俺は1人で戦ってる訳じゃない。お前とは違う!! 俺は俺だぜ!!」

 

 

 トリガーはムツキの背に手を当てて、飛び越えてから蹴りを放つ。それに合わせてムツキはブレードですかさずテロスを斬りつけ、そらからトリガーと共に蹴りを放って吹き飛ばした。

 しかしこの程度ではテロスは耐えてしまう。吹き飛ばされた彼は脚を踏ん張り、すぐに2人との距離を0にし一気に近づくと、まずムツキを殴り怯ませる。続いてムツキを掴み上げトリガーに投げつけ、それに合わせて掌から黒い球体を出現させてそれを飛ばす。

 

 

「ぐわあぁぁぁっっ!!?」

 

 

 そして黒い球は大爆発を引き起こし2人を包み込む。テロスは更にトドメと今度は両手で巨大な球を作り出して飛ばしてくるが、トリガーが飛び出してそれを受ける。

 全身に激しい衝撃が来るのはわかるが、トリガー自身にはあまり効果はない。そのまま渾身の力で球体を両手で圧縮し爆散させ、テロスに近づいてその顔を殴り抜ける。

 

 

「いいぞ兆… だが、まだ足りない。私の零に沈むがいいッ!!」

 

「うっ…!! な、なんだ!!?」

 

 

 するとテロスが手を翳すと、トリガーの身体が急に動かなくなってしまう。

 この状態になることはまず有り得ない。フロンティアの能力とメーデン・テロスとしての能力は互いに打ち消し合っており、この程度では普通であるなら動けるのだ。

 しかし、明らかにトリガーはテロスの力によって動きが止められている。

 ムツキはその状態のトリガーを見ると永理の真下であり、そして周りのパネルが徐々に光を放っている事に気づく。

 

 

「身体が動かない…!!」

 

「兆ッ!!…… くっ、テロス。お前まさか── !!」

 

 

 パネルがより一層光を放ち、トリガーと永理の間に紫電が発生し、そのエネルギーはテロスへと吸い込まれていく。

 そう。テロスは既に準備が終わっていたのである。これら全てはテロスの策略のうちであった。

 

 

「うわぁぁぁッッッ!!… ぐぅっ!! テ、テロス…ッッッ!!!」

 

「くくくっ… ふはははははッ!!! 私がただお前達と戦っているだけだと思っていたのか? それは大きな間違いだ。私の目的はお前に勝つことではない。お前と永理の力を喰らい、全てを喰い尽くす力を身につけること…」

 

「これは…!!」

 

「そうだ。お前達がここへ来る以前に罠を仕掛けておいた。おかしいと思わなかったのか? いや、思うはずがないな。ムツキ… お前が裏切った事はシワスから既に耳にしていた。だから私はこの装置に予め細工をしておいた」

 

「なんだと…?」

 

「お前がラストデイズの制御装置を作り出したのなら、私はその逆を作ることにした…… このパネルにはフロンティアとは逆の回転を与える機能がつき、止めている状態。つまりラストデイズは今や暴走状態にある。即ち私の能力は、零の力は通る!! この意味がわかるか?」

 

「バカな… 兆ッ!!」

 

 

 更にテロスへと2人のエネルギーは吸収され、膨大なエネルギーが彼の身体をまるで血管のようにドクドクと流れる。

 このはち切れんばかりのエネルギーの流れは想定の範囲外ではあったが、装置によりテロス自身が耐えられるようになっている。これは彼も確信していた。必ず成功すると。

 だからテロスは両手を広げ、天に向かって笑い始める。確実な勝利をその身で実感し、そして目の当たりにしていたからだ。

 

 

「さぁ!! 開くがいい!! 私の力を更なる高みへと… 全てを零にする為の力を!! 次元の扉をッ!!!!!」

 

 

 そしてテロスの身体から発せられたエネルギーは部屋の天井を貫き、先ほど永理の鍵を開いたように光の柱が天を貫く。

 その光景は巧也と狩馬。孝四郎、佳苗も確認した。いや、地上にいる全ての者はわかるだろう。

 空は大きく割れ、巨大な赤黒い0という数字が浮き出ており、ゴゴゴゴゴゴッという重たい音が鳴り響く。

 暫くしてから光は止み、トリガーと永理は力なく落ちてきた。

 

 

「兆ッ!! 永理ッ!!」

 

 

 ムツキは2人をなんとかキャッチし、ゆっくり地面に下ろす。

 それからテロスの方を向くと、彼の姿は既にライダーとしての名残がなくなってるほど禍々しい怪人へと変わっていた。全体的に鋭利で刺々しい肉体になり、まさにあらゆるものを殺して喰らうという言葉が似合うほど恐ろしい何かへと変貌している。

 

 

「また繰り返してしまうのか… 悲劇が…!!」

 

「── ムツキよ。お前はよくやってくれた。私の元でよく働いてくれた。それには大いに感謝しているぞ… だが、お前も覚悟はしていたはずだ。最初からそれはわかっていた。私を裏切るという事は何を示すか」

 

「テロスッ──!!」

 

 

 ムツキは一瞬にして背後にに現れたテロスに振り向いた瞬間、腹部に何かが入り込んだのがわかった。

 それが何か気づくまで時間がかかった。余りにも一瞬であり、自分の身に何が起こったのか整理がつかぬほどのほんのひと時。

 そしてテロスが自分から離れていく時にわかった。自身の腹部に入り込んだのはテロスの腕であると。引き抜かれたその拳にはムツキの血がべったりとついており、地面にポタポタと落ちている。

 

 

「……ッ」

 

 

 声が出なかった。叫べなかった。痛みもなかった。

 ムツキは力なく倒れた。薄れゆく意識の中で兆の顔が思い浮かぶ。もちろん元の世界に残してきた家族の事も思い出していたが、兆との思い出が彼の脳裏をよぎった。

 

 

「(兆… お前には迷惑をかけたな……)」

 

 

 それからムツキはトリガーの頭を優しく撫でる。

 まるで父親のような目で彼を見つめた。自分には子供はいなかったし、結婚もしていなかった。

 しかし彼と過ごしてきた日々はムツキにとって… マスターにとっては家族と共に過ごしたようなものだったのだ。

 

 

「(… 死ぬ事は覚悟していたが、いざとなると逝きたくないな。お前ともう少しだけ過ごしていたかった…… 俺がこう思うのもおかしいが、お前の良き親でありたかった… それももう無理な話だ。ありがとう、兆。永理も。もう伝える事もできないが… 最後にこれだけは──)」

 

 

 トリガーのベルトに手を掛けると、その手を伝いムツキの全エネルギーをそこへ注ぐ。自分の死がわかっているからという理由ではない。このエネルギーでフロンティアの回転を更に上げ、ここの装置を跳ね除けようとしている。

 それだけでどうこうなる話なのかと言われればそうなのだろうが、彼のエネルギーは確実にベルト内部へと入り込み、超高速で回転し始める。

 全てのエネルギーを送り込むと共に、ムツキの姿は人間態へと戻った。

 

 

「(先にガンホーレの元へ行く。さらばだ、兆…… 我が息子──)」

 

 

 マスターは最後に笑顔のままゆっくり息を引き取った。

 その一部始終に興味はないテロスは、特に気にする事なく空にできた0の元へと行き、そこは手をかざすと更に大きく膨れ上がる。

 これは次元の扉であり、テロスはその扉の中へと入って行った───。

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>

 

 

 兆は泣きながら、声にならないほど叫び続けている。何度もマスターの名を呼んでいた。だが、非情にもいくら叫ぼうと返事はない。

 マスターの変わり果てた姿を見て、永理も膝から崩れ落ちて泣いていた。

 

 

「わかっていた… わかっていたさ!! 最初から予想だってしていた!! こうなる事くらい初めからわかっていたはずなんだ!!…… けどッ!!!」

 

「マスターさん…!」

 

「こんな終わり方ってあるかよッッッ!!!!!」

 

 

 2人に別れの言葉を言えずにこの世を去ってしまった。

 最初からわかっていた。 テロスを裏切れば命の保証は絶対にないという事くらい。

 この呆気ない終わり方が兆にとってこの上なく苦しく、そして悲しかった。辛かった。

 

 

「── 永理。俺はマスターにさよならも言えてない… ありがとうの言葉だって言ってない」

 

「兆さんの気持ち… 凄くわかります。だけど私が思っている以上に、とても辛いですよね…」

 

「辛過ぎて涙が引っこんだよ。今は… あいつに対しての怒りで胸がいっぱいだ」

 

「…… そのテロスは既に次元の扉へ行きました」

 

「あぁ、わかってる。今から向かうさ… いつまでも悲しんでいられない。いちゃいけない…… この装置を押し除けられたのもマスターのおかげだ… マスターがくれた力で助かった。だから無駄にしちゃいけない。俺はテロスを倒して世界を救う!!」

 

「これが正真正銘… 最後の戦いです」

 

「…… あーあ、やっぱり怖いな〜… あんなパックリ割れたところに入って、やべー野郎とこれから戦うなんてよー……」

 

「私は兆さんが勝つって思ってますよ。いつも通りヘラヘラしながら帰ってくる姿が想像できますもん」

 

「そっか。そりゃいいな…… なぁ、永理」

 

「はい?」

 

「…… いや、また帰ってきたあと言うわ。なんかまた早い気がしたからよ」

 

「えーなんですかそれ!!」

 

「はははっ…… じゃ、行ってくる。みんなに宜しく頼むぜ」

 

「はい… 気をつけて。負けたら承知しませんよ」

 

 

 すると永理は兆を屈ませて頬にキスをし、ニッコリと笑い敬礼を行う。

 兆はそれに笑顔で、手を銃の形にして同じように敬礼のような仕草をしてから、セイブドライバーにラストガンナイフとフロンティアガンナイフをセットして変身する。

 

 

「よっと!」

 

 

 トリガーはフロンティアの力で宙へと浮かび、そのまま次元の扉をこじ開け中へと入って行った。

 それを最後まで見届けた永理には手を胸に当て静かに願う。

 

 

「…… 必ず帰ってきて」

 

 

 

 

 

─── そしてここにトリガーの最後の戦いが幕を開ける…!!




最後の戦い。
果たして訪れるのは平和か終焉か。

次回、最終劇「今日が俺のガンアクション」

最後もよろしくお願いします!!
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