仮面ライダートリガー   作:辰ノ命

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5話目でございます。
前回ウヅキを取り逃がしてしまったけど、一応倒したから…いいよね!

それではどうぞご覧ください。


第5劇「畑日和」

「さて、ウヅキ。この結果だけど、どーすんの?」

 

「………」

 

「油断してたーだけじゃ済まないと思うけど──」

 

「黙れ " フミヅキ " ッ!!」

 

「おー怖っ。でも、ボスに何の断りもなくエリアAに乗り込んだ挙句、トリガーに倒されただなんて、こんな醜態晒して俺らに何か言えるの?」

 

「…ッ!!」

 

 

 フミヅキはしてやったりとニヤリと笑い、ウヅキはそれ見て拳を震わせる。悔しいが、これが事実である。他エリアへの侵入は、幹部クラスであろうと許されていない。ボスが無駄な接触とイザコザを防ぐ為にルールを設けているのだ。

 

 

「で、これからどーすんのさ、ボス。もうエリアBは落ちたようなもんでしょ」

 

「── 向かわせる」

 

「えっ?」

 

「サツキを向かわせる」

 

「サツキッ!? だ、大丈夫なの…?」

 

「… すでにエリアA内にいるはずだ… 次のトリガーを引くとする」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 RIVERS内は今日も今日とで騒がしい。

 

 

「兆さん!! 巷で噂のカフェに新しいパフェが加わったんですよ!! 行きましょう行きますよね? 行きます!!」

 

「うるせぇぇぇぇっっ!!! 俺は今な。新しい素晴らしいワンダfoo↑なガンナイフ製作中だ!! それに孝四郎さんにも、教えてるんだよ… 時間空いたら行く」

 

「悪いね、兆くん。あ、じゃあ今度はこっちに特化させてみたらどうかな? で、これをこういう感じで」

 

「ふふっ。相変わらず騒がしいわね。はい、3人ともお茶よ。少しは休んだらどうかしら?」

 

「佳苗。さっき聞いた情報は、どうやらデマの可能性があるな。急いでいたとはいえ、確認を取らなかった、すまん」

 

 

 あれからここも賑やかになった事を、巧也は実感している。この研究員(仮)の兆が入ってきたからとでも言うか。今迄の緊迫した空気は、だいぶなくなっただろう。

 巧也は椅子に座り、パソコンを開くと、メールボックスを確認する。すると、そこに匿名でメールが1通入っていた。大体は悪戯の可能性があり、ウイルスに感染する場合もあるので、不用意に開く必要性はない。

 

 

「そういえば、佳苗。ウヅキに操られていた方達の具合は?」

 

「えぇ。だいぶ調子は良くなってきているそうよ。記憶も一応戻ってるみたいだし、RIVERSのみんなも元気そう」

 

「ふぅ、大事には至らなくて良かった」

 

「そうね。はいお茶」

 

「ありがとう。いつウヅキ以外の幹部たちも来るかはわからない。用心しておくに越した事はないな」

 

「あんまり無茶しないでよ。まともに戦えるのが、例のトリガーしかいないんだから」

 

「…… 皮肉なもんだ」

 

「あなたにとっては… 兎に角今は、猫の手よりも人の手の方が良いものね」

 

「… ったく、こうなる事を誰が予想したか…… ん?」

 

 

 ふとパソコンの方に目をやると、先程の匿名のメールが開いていた。間違えて開いてしまったのか。消そうとしたが、その内容を見ると手が止まった。

 

 

「…………」

 

「あら?」

 

「… 皆を呼んでくれ。そのいつが今日になった」

 

「…え!? わかったわ」

 

 

 巧也はRIVERSのメンバーを集めると、今来たメールの内容を話し始めた。最初は何事かと思ったが、内容を聞くと、彼が怖い顔になるのも無理はない。

 

 

「えっ、また他エリアから幹部きたの」

 

「しかもご丁寧にハッキングしてくれた。佳苗のセキュリティのお陰で、根本の部分までは何とか抑えられてはいたが… それより、新たな幹部がこのエリアAに出現した。早急に手を打つぞ」

 

「今度は予告まだ入れて来やがったよ。悪戯ならともかく、マジなやつかぁ… まだフィガンナイフ完成してないんだけど…」

 

「兆と孝四郎はここに残ってフィガンナイフの製作を続けてくれ。佳苗は何か分かり次第すぐに連絡を、俺と永理は調査に出る」

 

「了解… と言いたいところだけど、フィガンナイフは孝四郎さんに任せるよ。俺もついてく」

 

 

 孝四郎は兆の言葉に驚いた。これを制作する機会や教わる機会はあったが、まだ数日しか経っていない身で、それをじゃあ1人で出来るかと言われると無理だ。

 

 

「き、兆くん。それはいくらなんでも」

 

「いけるよ。孝四郎さんは俺の跡目を継ぐことが出来る人だ。それにほら、もう俺が言わなくても大体はできちゃうでしょ」

 

「で、でも」

 

「最終調整は俺がするよ。途中までやるやらないで違うし。じゃあ頼みますね〜」

 

「ちょっ、兆くん!?」

 

 

 スキップしながら出ていく兆を、ポカンと口を開けて見送る。そんなあいつは巧也と永理の元へ行くと、早速調査に出向く。2人はパトカーで行くそうなので、愛馬のバオを呼んだが無視されてしまい、仕方なく乗車した。

 それから車を走らせ、人が多い場所に向かい、聞き込みを開始する。巧也は単独で動くそうなので、兆と永理が組むことになった。

 

 

「さて、また2人きりになっちゃったな」

 

「そうですね… はぁ…」

 

「なんだ? 腹でも減ったか?」

 

「それもありますけど… パフェ食べたかったなぁ…」

 

「……── 時間空いたら行くって言ったし、今から行くか?」

 

「良いんですかっ!?」

 

「あぁ。ま、閉まってなきゃいいがな」

 

「じゃあ早速行きましょう!!!」

 

「へいへい」

 

 

 しかし、閉まっていた。こういう事は言いたくはないが、控えめに言って畜生めが。永理の目からは滝のような涙が溢れている。兆はそっと肩に手を置き、こういう事もあるさと、励ましてあげた。

 

 

「… 今度からは調べて行こうな」

 

「……………はい」

 

「さてと… ん?」

 

 

 何やら向こうでトラブルが発生しているようだ。男2人と女の声が聞こえてくるが、穏やかではない。

 

 

「あれ、まずいですね。私、行って来ます」

 

「あ、おい!」

 

 

 柄の悪い男たちは、1人の女を取り囲み、お茶でも誘っているようだ。そんな奴本当にいるのかと、内心面白がっている兆であったが、そんな彼らの前に残念な天才が現れた。

 

 

「あ? 警察か?」

「こりゃまた可愛いな。どうだい? 俺らと一緒に遊び行かない?」

 

「いやです。それよりもその女性から離れなさい。でなければ…」

 

「なになに? 殴っちゃう?」

「やめてぇ〜怖い〜」

 

 

 女はアワアワしながら、その光景を見つめる。圧倒的体格差であり、しかも相手は2人。不利だ。

 それから兆はやれやれと、帽子を被り直し、軽い準備運動をして永理を助けようとしたが、彼女の肩に手を触れようとした男が投げ飛ばされ、もう一方の男は何が起こったかわからず、そのまま殴られ蹴られで地面に倒れる。

 

 

「忘れてた。あいつ超が付くほどの天才だった」

 

 

 情けない声を上げ、2人は逃げて行く。逮捕はしないが、これに懲りたら2度はこないだろう。多分。

 逃げて行った2人を余所に、永理は女に怪我がないことを確認し、ホッとしているようだ。

 

 

「あ、ありがとうございました…」

 

「いえいえ、当然の事をしたまでです… お買い物の途中でした?」

 

「あ… はい」

 

 

 よく見ると、その女性は袋を持っている。中身は飲み物に何かの野菜の種。

 ん?種?

 

 

「じ、実は、うち農業を営んでおりまして…」

 

「はえぇ〜農業を、なるほど… あ、またあの輩が現れるか分かりませんので、お家まで送りますね!!」

 

「え、えぇ!?」

 

「安心してください。しっかり送り届けますから」

 

 

 そういう問題なのか? と、少々疑問に思った兆であったが、とりあえず彼女を家に送ることにした。

 

 

「あの〜お名前は?」

 

「わ、私は " 小島 " です…」

 

「小島さんですね。私は内嶋 永理です」

 

「内嶋さん… えっと、あちらの男の方は…」

 

「あれは射手園 兆さんです。私の部下です」

「おい」

 

 

 そんな会話をしながら、電車に乗り、暫くすると殺風景な田舎に着く。エリアAでもかなり上の方だろう。そこから更に歩いて行くと、大きな畑が見えて来た。

 

 

「あれが小島さんの?」

 

「はい。そうです」

 

「すっごい大きいですね。それにお腹が空いて来ました」

 

「え…?」

 

 

 そんなこんなで家に着くと、お礼にと野菜料理を振る舞ってくれた。感謝しながら食べるのはいいが、一切の遠慮がなかったな。

 

 

「兆さん。貰えるものは貰っておくほうが得ですよ」

 

「それもそうだな。まさかお前に最もな事を言われるとは思わなかったよ」

 

「ふっ」

 

「おい、なんだ今のドヤ顔は。すごい腹立つ顔してるぞ」

 

 

 小島はオドオドしながら、2人の食事する風景を眺めていた。何か言いたげではあるけど、何も言わずに顔は笑顔を保ったままだ。

 

 

「あ、あのお味は…」

 

「とってもおいしいです!!!」

 

「…! 良かったです」

 

 

 彼女も嬉しそうに微笑む。しかし兆はここであることに気づく。そう。我々は重要な事を忘れてはいないか。

 

 

「… あっ」

 

「どうしました?」

 

「調査」

 

「………… あぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

「やべぇ… すっかり忘れてたぜ」

 

「ご、ご馳走様です!! 私たちは仕事に戻りますので!! ありがとうございました!!」

 

 

 家を出ようとした時、兆が永理を止めに入る。

 

 

「兆さん!! まだ食べたい気持ちはありますけど、さすがにそろそろ帰らなくては…」

 

「ちげーよ!! 前見ろ!!」

 

「あっ…!!?」

 

 

 家の前にはウォンテッド達が並んでいた。後ろを振り向くと、小島は悲しげな顔をしている。

 

 

「小島さん… まさか──」

 

「そうです。私はウォンテッドの1人です」

 

「……」

 

「あなた達が着いて来てくれたのは予想外でした。私はエリアDの幹部" サツキ "です。ボスの命令により、あなた達を…… 殺します」

 

「そんな…!!」

 

 

 そしてウォンテッド達はサツキの合図とともに一斉に襲いかかって来た。

 兆はドライバーを装着して、ファーストガンナイフを差し込む。

 

 

「小島さん… いや、サツキ。全部罠だったってことか」

 

「………」

 

「…って事にしておかないと、ホイホイついてった俺たちが恥ずかしいじゃんか!! 変身ッ!!!」

《ファーストガンアクション!! トリガー!! リボルヴリボルバー!!》

 

 

 ウォンテッドの群れの中に飛び込み、永理の様子を伺いながら戦う。そんな彼女はサツキと真正面から何か話しているようだ。

 

 

「小島さん… まさかあなたが幹部の1人だったとは…」

 

「だ、騙してごめんなさい。だけど… 私にはこれしかないの」

 

「… 違います」

 

「え?」

 

「あなたは他の幹部… どのウォンテッドとは違う気がします」

 

「…… なぜそう思ったの?」

 

「理由は簡単ですよ… あなたの料理が証拠です!!」

 

「あ、はい?」

 

「あの料理はすごく優しい味がしました。きっと、小島さんの気持ちが現れていたんだと思います。事情がお有りなんですよね?」

 

「………」

 

「大丈夫です!! 私は口が硬いので恥ずかしい事でもなんでもかかってこいですよ!!」

 

「…………… はぁ… 内嶋さんもおバカですね。本当に。だけど… あなたになら話していいかもしれません」

 

「…はい」

 

「私は農家で5人の兄弟と父母と、このエリアAで暮らしていました。もちろん裕福な家庭ではありません。それでも家族で精一杯努力して、やっとの思いで、良い暮らしとは言えませんが、それなりの生活はできるようになって来ました… ですが、ある日…」

 

 

 

*****

 

「ここら一体を買い占めて、テーマパークを作る。もちろん金はたんまりありますよ」

 

「こ、困ります!! この畑は私たちの大切なものです!! いくら金を注ぎ込まれようと、譲るわけにはいきません!!」

 

 

 父ともう1人、ふくよかな男がいたのを覚えています。その男はテーマパークを作ると言って、この土地を譲れと言って来たんです。父は反対しました。私の家族全員も同じように反対でした。

 

 

「でもお宅… そろそろ体にガタが来てるでしょ? 現にお父さん。あなたもう動けてないとか」

 

「よ、余計なお世話です」

 

「知ってますよ。家族には黙ってるだろうけど、借金まみ──」

 

「やめろッッ!!!」

 

 

 そう。父は黙っていたんです。それなりの生活ができていたように見せていただけで、実際は借金まみれだったんです。

 それから私たちはこの畑を売ってしまいました。悔しくて、苦しくて、あいつが許せませんでした。本当に許せなかった…。

 

 

 

*****

 

「そしてその日を境に、私はウォンテッドの力を手にして、あの男を殺して、

 この畑を取り戻しました。それに高い適応力から幹部に成り上がりました」

 

「でも、幹部になって良い事はありました? 許せないのはわかります。けれどあなたがやっている事は犯罪なんですよ!!?」

 

「わかっています!! だけど… だけど、私にはこれしかなかった。父が大切にしていた土地を誰にも譲りたくはなかった…」

 

「… 私も昔、この身を売られたことがありました…」

 

「え?」

 

「売られる前に助かったから良かったですけど、そのままだとどうなっていたか… 許せなかったですし、怒りもありました。けど、私はこの警察という仕事を目指しました。誰かが私と同じ目に合わないようにと。だから、小島さん。もうやめてください。あなたはただ良いように利用されているだけです。今ならまだやり直せますから…!!!」

 

「………」

 

「小島さん…」

 

「…………っ!!」

 

 

 すると、サツキは手を挙げると、ウォンテッド達が一斉に静止した。それを好機と思った兆はセカンドガンナイフに差し替え、再び変身する。

 

 

《セカンドガンアクション!! トリガー!! ツインライトニング!!》

「なんかよくわからないけど、行くぜ!! 今日がお前らの快晴日だ!!」

 

 

 ガーツウエスタンとライトニングウエスタンに、それぞれガンナイフを差し込み、回転しながら的確に相手を撃ち抜く。

 

 

《 ワンガーツ!! ジャニュアリーシューティング!! 》

《 ライトニング!! セカンドシューティング!! 》

 

 

 全員を打ち終えると、指でくるくると銃を回し、腰のホルスターに両銃を収めると、指を銃の形に胸の前に持ってくる。

 

 

「今日の俺も、勝利の日」

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

「では、14時15分… 逮捕しますよ」

 

「はい… 申し訳ございません…」

 

「まぁまぁ、でも良かったです。あなたと争いがなくて」

 

「エリアDの家族に、謝っておいてもらっても良いですか?… 私はとんでもない事を…」

 

「それはしっかり反省してください。あなたの帰りをみんな待ってます」

 

「うぅ…」

 

 

 今回は丸く収まって良かったな。ただなんか嫌な予感がする。こんな簡単に終わってしまって良いのだろうかと。別に期待しているわけではないが、妙な気分だ。

 署に向かおうとした時、その予感は的中する。道中に全身黒いコートで覆われ、帽子を被った男が1人彼らの前に立ち塞がった。

 

 

「兆さん…」

 

「久しぶりだな」

 

「えっ、知り合いですか?」

 

「あぁ、あの日と全く変わらねーな」

 

 

 兆はその男を知っていた。かつて、彼がバーに住む前に、そこを紹介した張本人。その男を見るや否や、サツキは血相を変える。

 

 

「あ…… あぁ……っ!!」

 

「こ、小島さん!? 大丈夫ですか!?」

 

 

 サツキの表情を見た兆は何となくだが、察しがついた。どうやらこの男は兆に住む場所を教えてくれた優しい人ではないらしい、いや、優しいどころかど畜生である。兆の予想が正しければ奴は…

 

 

「ウォンテッドの… ボスか」

 

「う、うそ……」

 

 

 そしてこのボスの出現と同時に、現在単独で調査を行う巧也の前に、ウヅキが現れていた。

 

 

「最悪な状況だな…」

 

「トリガーに用があって来たんだが… まぁ、いい。RIVERSの頭を潰せば、こちらとしてはかなりの戦果だ」

 

「…… 潰せると思うか?」

 

「あぁ」

 

「俺も舐められたもんだな。幹部相手だろうと、俺は負けるつもりはない」

 

「生身で何言ってるんだか…」

 

 

 そして、巧也は銃を構える。兆と永理も銃を構えた。

 今まさに、次のトリガーが引かれようとしていた。




最悪な状況下の中で3人はどう戦うのか?
ボスの言う次のトリガーを引くとは?

と言う事で、また次の話でお会いしましょう。

次回、第6劇「2の6」
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