ポケットモンスターレガーメ   作:とんま

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第10話 新たなライバルとジムバトル

「コックさんがジムリーダー!?」

 

 シェフのセクトの自己紹介を聞いてスフレは驚いて声をあげ、イルは呆然としている。

 その様子を見ていたフィオリーノは笑い出した。

 

「ウフフ、いい反応するわね。連れて来たかいがあるわ。」

 

 フィオリーノの様子を見てセクトは呆れたようにフィオリーノに話しかけた。

 

「まったく、何度このやり取りをさせるんですか。」

「そういう割には律儀に付き合ってくれてるじゃない。それにレストランとジムが同じ建物だと気づかないトレーナーちゃんもいるから案内してあげてるのよ。」

「たしかにジムだと思ったらレストランで驚く挑戦者も多くいますね。一応看板を立てているのですが。」

「意外と気づかない子たちも多いみたいね。街の人たちも案内する時レストランとジムが同じ建物だとあえて黙っているみたいだしね。」

「まったく、僕や挑戦者を困らせて楽しまないでくださいよ。」

「誰も嘘はついてないわよ。困ってたらちゃんとフォローしてしね。」

 

 2人がそんな話をしているとスフレが話しかけた。

 

「あの!つまりここはジムでコックさんがジムリーダーってこと?」

「ああ、すみません話し込んでしまって。ええその通りですよ。」

 

 スフレの質問にセクトは笑顔で答える。

 

「とりあえず自己紹介がまだだったので、あたしはスフレっていいます。それでこっちは。」

「あ、イルです。よろしくお願いします。」

 

 スフレに話を振られたイルは小さくお辞儀をして名乗った。

 

「スフレさんにイルさんですね。改めまして、フリュウジムのジムリーダーセクトと申します。以後お見知り置きを。」

「それでここがジムって事はジム戦を申し込みたいです。」

「ス、スフレちゃんいきなりすぎない?」

「フフ、まあポケモンリーグを目指すならそうじゃないとな。」

「そうですね。もちろん構いませんよ。」

「やった!」

 

 セクトがそう答えるとスフレが喜び立ち上がるが、セクトが申し訳なさそうに眉を下げて言葉を続ける。

 

「と、言いたいところなんですが。申し訳ございませんがすでにジム戦の予約がはいっていまして、お受けする事が出来ないんですよ。」

「あらそうだったの?午後はジム戦の予定がないって聞いていたから連れてきたのに。」

「はい。おそらくみなさんがこちらに向かっている間にポケモンセンターから電話がありまして、ジム戦を受け付けたんですよ。」

 

 話を聞いたスフレは残念そうに席に座り直した。

 

「そうなんだ。残念だなぁ。」

「仕方ないよスフレちゃん。美味しいご飯が食べれたんだからそれだけでもよかったと思わない?」

「それもそっか。本来はジム戦の予定じゃなかったし別にいっか。」

「そう言って貰える助かるわ。サプライズのつもりだったのに爪が甘かったわ。」

「フィオさん気にしないで大丈夫ですよ。」

「そうだよ。料理は最高だったし、ジムの場所もわかったしでいい事しかなかったし。」

「ありがとう。2人がいい子でオネエさん泣きそうだわ。」

「フィオさん落ち着いてください。明日なら予定が空いていますし予約しますか?」

「「お願いします。」」

「はい承りました。少々お待ちください。今メモ帳を。」

 

 セクトはそう言うと、エプロンからメモ帳を取り出し予定を書き込んでいく。

 

「あっそうだ。それとタッグバトルで挑戦したいんだけど、大丈夫ですか?」

「タッグバトルですか。もちろん構いませんが、何か理由でも?」

「ポケモンリーグのタッグリーグに挑戦しようと思っているんです。」

「確かまだ一般には発表されていなかったと思うのですがよく知っていますね。」

「ロッタジムのトウシさんから教えてもらったの。手持ちのポケモンが足りなかったから、イルと一緒にバトルしたらいいって。」

「なるほどそうだったんですね。発表はまだされていませんが、もちろんタッグバトルの挑戦でも大丈夫ですよ。」

「それじゃあよろしくお願いします。」

 

 4人が話をしていると、カランと入り口に設置された鐘が鳴り新たな来客が来た事を告げる。

 4人が入り口の方を向くとウエイターの1人が新たな来客に接客しているしている。

 その相手は裾の長めの学ランにボタンを止めずに羽織り、その下に赤いシャツ着て、黒いズボンに学生帽を目深にかぶったイルやスフレと同い年くらいの少年だった。

 

「いらっしゃいませ。人数はおひとりですか?」

「…ジムリーダーに挑戦を。」

「ジム戦の挑戦者の方でしたか。お名前を確認しても?」

「タイガ、です。」

「タイガ様ですね。ジム戦の予約の確認ができました。それではジムリーダーを呼んできますので少々お待ちください。」

「話は聞いていたので大丈夫ですよ。タイガさん本日はお越しいただきありがとうございます。」

 

 セクトはそう言うとウェイトレスを下がらせて、タイガと名乗った少年と挨拶を交わした。

 

「タイガさんですね。僕はフリュウジムジムリーダーのセクトです。よろしく。」

「…。」

 

 セクトはそう言うと右手で握手を求めるとタイガも黙って右手を出して握手をした。

 そんな様子を見ながらスフレたちは3人で話をしていた。

 

「それじゃあご飯も食べたしどうしようか?ジム戦は明日だしこれから何しようか。」

「う〜ん、どうしようか?」

「あら、貴女たちは観ていかないの?」

「何を?」

「あの子のジム戦よ。ジムリーダーのバトルを観れるし、ライバルの実力も確認できるしでお得よ。もちろんバトルの勉強にもなるしね。」

「そっか、ジム戦に挑戦するってことは、あの人もポケモンリーグを目指していてライバルって事になるのか。それじゃあさっそく。」

「あ、スフレちゃん。」

 

 スフレはそう言うと椅子から立ち上がり、セクトとタイガの元へ向かう。

 

「それではバトルの準備をするので少々お待ち下さい。」

 

 そう言ってセクトが立ち去るとタイガは腕を組んで壁に寄りかかると軽く目を閉じる。そんなタイガにスフレは話しかけた。

 

「ねえねえちょっといい?あたしたちあなたのバトルを見学したいんだけどいいかな?」

 

 スフレに話しかけられるとタイガは目を開きスフレをチラリと見ると黙ってまた目を閉じた。

 

「ねえ、聞こえてるのに無視するのはひどくない?!」

 

 無視されて怒るスフレを慌ててイルが止めに入った。

 

「スフレちゃん落ち着いて。ジム戦の前だからきっと集中したいだろうし、邪魔しちゃダメだよ。」

「む、それもそうか。それならごめんね。見学するなら許可を貰っといた方がいいと思ったんだけど。」

「はぁ、勝手にしな。」

 

 スフレはタイガに謝り立ち去ろうとすると、タイガはちいさくため息を吐きつつ小さく答えると、再び黙り込んだ。

 

「うん!ありがとう勝手にするね。イル、見学しても大丈夫だってさ。」

「うん。良かったねスフレちゃん。えっとありがとうございます。」

 

 イルとスフレはお礼を言うとタイガから離れていった。

 タイガは2人が離れて行く様子をチラリと眺め、再び目を瞑り、そんな3人の様子を少し離れた場所でフィオリーノが微笑んで見ているのだった

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 〔フリュウジム バトルフィールド 観覧席〕

 イルとフィオリーノと共に観覧席に案内されたスフレはモンスターボールから出したピカチュウのピカと一緒に席に座るとバトルフィールドを見渡した。

 フリュウジムのバトルフィールドはロッタジムのシンプルなフィールドとは違い一面が草に覆われており、所々に木が植えられている。さらにバトルフィールドを取り囲むように木や花壇が配置されており、まるで庭園のような作りになっている。

 

「なんていうか綺麗なバトルフィールドだね。」

「うふふ、レストランと同じ建物の中に作るからには手は抜けないって、ジムリーダー自らこだわってデザインしたらしいわよ。今日はいないけど料理を食べに来たお客さんたちもよくジムバトルを観戦しに来るらしいからよりこだわっているのかもしれないわね。」

「へぇ、じゃあセクトさんの自慢のバトルフィールドなんだ。そういえばセクトさんって何タイプのジムリーダーなんだろ?イル知ってる?」

「え?ううん知らないよ。」

「あら?カントー地方から来たスフレちゃんはともかくイルちゃんも知らないの?確かフラウ地方出身よね?」

「はい。でもスフレちゃんに誘われるまでポケモンリーグに挑戦しようなんて思ってなかったから調べたりしなかったんです。」

「因みにあたしは何も知らない方が面白そうだから、何も調べてないよ。」

「そんな堂々と答える事じゃないと思うよスフレちゃん。」

「そうかな?」『ピィ〜カァ〜。』

 

 堂々と胸を張って答えるスフレにピカは呆れて首をふった。

 

「そういえばスフレちゃん、ピカと一緒に観戦するの?」

「うん。1匹だけなら手持ちのポケモンと一緒でもいいらしいから、せっかくだから一緒に観戦しようと思ってね。イルこそ一緒に見なくていいの?」

「う〜ん。ブイは寝ちゃったし、ぐーもバトルにあまり興味なさそうだし、別にいいかな。」

「ブイもぐーもマイペースだよね。そういえばセクトさんって何タイプを使うんだろ?イル知ってる?」

「ううん、知らないよ。」

「あら?イルちゃんはフラウ地方出身だったわよね。ジムに挑戦するなら調べたりしなかったの?」

「えと、わたしはスフレちゃん誘われるまでジムに挑戦するつもりはなかったので、調べたりは何も。」

「あら、そうだったのね。」

「ちなみに、あたしは知らないほうが楽しそうだから何も調べてません。」

 

 スフレが胸を張って言うと、ピカが呆れたように横目でスフレを見る。

 

「スフレちゃん、胸を張って言うことじゃないと思うよ。」『ピ~カ~。』

「へ?そうかな。」

「うふふ、貴女たち本当に仲が良いわよね。あらそろそろバトルが始まるみたいね。セクトちゃんがどんなポケモンを使うかは自分の目で確かめるといいわ。」

 

 3人がそんな話をしていると、準備が整ったのかセクトとタイガがバトルフィールドにやってきた。

 2人がそれぞれの立ち位置につくと先程タイガが来店した時に対応していたウエイターが審判としてバトルの説明を始めた。

 

「それでは、ただ今からフリュウジムのジム戦を始めます。使用ポケモンは2体。ポケモンの交代はチャレンジャーのみ可能となります。それではジムリーダーからポケモンを出してください。」

「まずは前菜と参りましょう。いけ!ホイーガ!」

 

 セクトがタイヤのような体をしたポケモン、ホイーガを繰り出した。

 

「ホイーガってことはむしタイプかどくタイプのジムリーダーになるのかな?」

「ええ、セクトちゃんはむしタイプの使い手。それに対して挑戦者ちゃんのポケモンちゃんは何かしらね?」

 

 スフレたちがそんな話をしているとタイガは静かに黒と白のクマ型のポケモンヤンチャムを繰り出した。

 

「行くぞ、ヤンチャム。」『チャム!』

 

 ヤンチャムを見たスフレは興奮していた。

 

「何あのポケモン、かわいいしモフモフだし抱きしめたい。」

「スフレちゃんは本当にモフモフしたポケモンが好きだね。」

「うふふスフレちゃん、気持ちは分かるけど、そろそろ始まるみたいだから落ちつきなさい。」

 

 3人がバトルフィールドに目を戻すと同時に審判がバトルの開始を宣言した。

 

「先行はチャレンジャーになります。それではバトル開始!」

「ヤンチャム“ビルドアップ”だ」『ヤン!チャーム!」

 

 ヤンチャムはマッスルポーズを決めると、ヤンチャムの体が一瞬赤い光に包まれた。

 

「まずは身体能力を上げて戦いの前準備という事ですか。ならばこちらから攻めます。ホイーガ“ハードローラー”!」『イーガ!』

「ヤンチャム回避だ。」『チャム!』

 

 ホイーガは体をまさにタイヤの様に回転させるとヤンチャムへ突撃する。ヤンチャムは横に跳んで攻撃を避けるとホイーガは回転をやめて動きを止めた。

 

「“ほのおのパンチ”!」『チャム!』

 

 ホイーガが動きを止めた事で背後をとった形になったヤンチャムは拳に炎を纏わせてホイーガへと殴りかかる。

 

「その動きは想定通りです。“ポイズンテール”!」

「!!ヤンチャム止まれ!」『チャム?!』

 

 ホイーガは体の後ろに生えた尻尾のような触手に毒を纏わせると体を横に回転させた。

 ヤンチャムは間一髪攻撃を回避したが、ホイーガは体を横に回転させる事で体の正面をヤンチャムの方へと向けていた。

 

「この距離避けれますか!“ハードローラー”!」『ホイーガ!』

 

 ホイーガは再び体を回転させ始める。

 

「ヤンチャム!受け止めろ!」『チャム!』

「何!?」『イーガ!?』

 

 ホイーガが回転する前にヤンチャムが飛び込み、ホイーガの頭のツノを掴んでホイーガの回転をちからづくで止めた。

 

「“ストーンエッジ”!」「ヤン!チャーム!」

 

 ホイーガを止めたヤンチャムはツノから手を離すと拳を地面に叩きつける。すると地面から石柱が飛び出してホイーガに直撃し、ホイーガはバランスを崩した。その隙を逃さずヤンチャムは拳に炎を纏わせてホイーガを殴りつけた。

 

「“ほのおのパンチ”!」『チャーム!』

「ホイーガ!?」

 

 “ほのおのパンチ”が直撃したホイーガは倒れきぜつしている。

 

「ホイーガ戦闘不能。」

「ホイーガよく頑張りましたね。ゆっくり休んでくださいね。」

 

 セクトはホイーガを労うとモンスターボールに戻し、タイガに話しかけた。

 

「タイガさんお見事です。ですがホイーガもタダではやられませんよ。」

「っ!?」

 

 タイガがヤンチャムの方を見るとヤンチャムは苦しそうに息を荒げていた。

 

「ホイーガの特性‘どくのトゲ’ホイーガに触れた相手はどく状態になります。これであなたのヤンチャムダメージを受け続ける事になります。」

「…。」

 

 2人がそんなやり取りをしているなか、観客席ではスフレたちが今のバトルに見入っていた。

 

「自分の体より大きなホイーガの動きを止めちゃうなんて、すごいねあのヤンチャム。」

「うん。でも倒されちゃったけど、ホイーガも“ポイズンテール”使って方向転換するなんて、やっぱりジムリーダーのポケモンはすごいね。」

「そうだよね!どっちも凄くて見入っちゃったよ。でも勝ったけどヤンチャムは毒状態になっちゃったしタイガはどうするんだろ?イルならどうする? 」

「あまりダメージは受けていないけど、1度ポケモンを休ませてあげたいからわたしなら1回交代するかな。」

「なるほどね。」

「うふふ、2人ともおしゃべりもいいけれども、今はバトルに集中しましょう。セクトちゃんが次のポケモンを出すみたいよ。」

 

 スフレとイルがバトルフィールドに目を戻すと、セクトが下半身の形が蜂の巣になっているポケモンを繰り出した。

 

「それではメインディッシュとまいりましょう。行ってくださいビークイン!」

 

 バトルフィールドに出たビークインはその場で対空しながらヤンチャムを赤い瞳で睨みつけている。対してヤンチャムは毒で苦しそうにしながら睨み返した。

 睨み合っている2匹を見ながらセクトはタイガに話しかけた。

 

「タイガさん、ポケモンを交代するなら今行っても大丈夫ですが、どうなさいますか。」

「…。ヤンチャム、やれるか?」『チャ…ム、チャム!』

 

 タイガの問いにヤンチャムは力強くうなづく。

 そんな様子を見たセクトは微笑をうかべ、審判は大きく宣言する。

 

「ではバトルを再開します。先行は変わらずチャレンジャーになります。では、バトル開始!」

「ヤンチャム、“ストーンエッジ”。」『チャ〜ム!』

 

 ヤンチャムが地面に拳を叩きつけると、いくつもの石柱が地面から飛び出し、ビークインへと向かっていく。

 しかし、ビークインは素早く“ストーンエッジ”避けながら飛び回る。

 

「ビークイン、“れんぞくぎり”です!」

 

 ビークインは素早くヤンチャムに近づき、すれ違いざまに爪で切りつける。

 ヤンチャムは攻撃され怯んだ隙にUターンして再びすれ違いざまに切り付け、さらに追撃しようとヤンチャムに近づく。

 

「ヤンチャム、今だ!」『チャム!』

 

 ビークインが攻撃の為に近づくのに合わせてヤンチャムが“ほのおのパンチ”で攻撃する。

 しかしビークインは直前で飛び上がり攻撃を避ける。

 

「っく。」

「惜しかったですね。次の攻撃はどうしますか?“エアスラッシュ”です。」

 

 ビークインは羽にエネルギーを溜め、風の刃を作りヤンチャムへ飛ばす。

 

「ヤンチャム“まもる”。」

 

 ヤンチャムは体の周囲にエネルギーの膜を張り“エアスラッシュ”を防ぐ。

 2匹の攻防を見ている観客席の3人は。

 

「すごい。ジムリーダーのポケモンの攻撃にちゃんと対応している。」

「でも、ヤンチャムは毒のダメージで苦しそうだよ。」

「うん。もう長くは戦えなさそうだね。」

「うふふ。そろそろ本格的に攻めるんじゃないかしら。」

 

 ヤンチャムはさらに息を荒くしている。

 

(あまり時間はないな。そろそろ決める。)

「ヤンチャムそろそろ決めるぞ。」『チャム!』

「来ますよビークイン!“かげぶんしん”です。」

「ヤンチャム“ストーンエッジ”」『チャーム!』

 

 ビークインは10体以上の分身を作り出し、ヤンチャムが拳を地面にたたきつけるといくつもの石柱が扇状に飛び出してビークインへ向かっていき、何体かの分身に当たり分身が消える。

 

「ビークイン“エアスラッシュ”です!」

 

 分身も含めたビークインたちが羽にエネルギーを溜めヤンチャムに狙いをつける。

 その様子をタイガは睨むように観察する。

 ビークインたちは“エアスラッシュ”をヤンチャムに放つと、土埃が巻き上がる。

 土埃が晴れるとヤンチャムの姿はその場になく、ビークインはヤンチャムの姿を見失い顔をキョロキョロと動かす。

 

「ビークイン気をつけてください。」

(しかし“かげぶんしん”はまだ残ってる。さあどう攻めてきます。)

「左から3つ目の石柱の近くにいるやつをねらえ!」

「何ですって!?」

 

 ビークインの近くにある石柱の影からヤンチャムが飛び出した。

 

「“ほのおのパンチ”!」

 

 ヤンチャムは拳に炎を纏わせ、ビークインを殴りつける。するとほかのビークインが消えていく。

 炎のに包まれたビークインは地面にたたきつけられ、炎が消えるとビークインは戦闘不能になっていた。

 

「ビークイン戦闘不能!よって挑戦者の勝ち!」

 

 審判が宣言するとセクトとタイガはそれぞれ自分のポケモンに近づきねぎらいの言葉をかける。

 

「ビークインお疲れさまでした。ゆっくり休んでくださいね。」

「ヤンチャムよくやった。」

 

 セクトはビークインをモンスターボールに戻し、タイガはヤンチャムにモモンの実を渡し食べさせる。

 2人は歩み寄ると握手を交わした。

 

「お疲れ様です。見事なバトルでした。」

「…はい。」

「ひとつお聞きたいのですが、本物のビークインをどうやって見つけたんですか?全てのビークインは同じ動きをしていたはずですか。」

「…攻撃痕を見ただけです。」

「なるほど、そういう事ですか。」

「タイガだったよね。すごいバトルでメチャクチャ興奮したよ。」

 

 タイガとセクトが話をしているとバトルフィールドに降りてきたスフレが会話に入ってくる。

 そんなスフレをタイガはめんどくさそうにため息をはいて帽子を目深にかぶり体を背けた。

 

「ちょっと無視はひどくない!?ねぇってば!」

 

 スフレがタイガに一方的に話しかけている傍らで、同じく降りてきたイルがバトルフィールドを眺めていた。

 

「そっか、“かげぶんしん”の分身の攻撃は実体じゃないから攻撃痕が付かないから、攻撃痕の向きを見てビークインの場所が分かったんだ。」

 

 そうつぶやくイルをフィオリーのせてとタイガが横目で見ているのだった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 〈レストラン 入口〉

 レストランの入り口から外に出ると空が橙色に染まっていた。

 

「改めて、タイガさんよきバトルでした。今後のジム戦も頑張ってください。」

「…ありがとうございました。」

 

 セクトはタイガと再び握手を交わすと、イルとスフレのほうへ向き直る。

 

「スフレさん、イルさん明日のおふたりとのバトルを楽しみにしていますね。」

「はい!」

「明日はよろしくお願いします。」

「うふふ、もちろんアタシも見学させてもらうわね。」

「頑張ろうねイル。」

「そうだねスフレちゃん。」

 

 スフレたちが話しているとタイガが立ち去り始め、そんなタイガにスフレは声をかけた。

 

「タイガもよかったら見においでよ。」

「…興味ない。」

「むぅ、ならしょうがないか。じゃあまたねタイガ!」

「またどこかでね。」

 

 スフレとイルは立ち去るタイガに別れの挨拶をするとタイガは右手を小さく上げて立ち去って行った。

 

「よし!もう夕方だしそろそろポケモンセンターに戻ろっかイル。」

「そうだね。明日に備えて早めに休まないとね。」

「それではおふたりとも、また明日お待ちしていますね。」

「うふふスフレちゃん、イルちゃん明日ここでまた会いましょうね。」

「うん、セクトさん明日よろしくお願いしますね。」

「フィオさん、今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」

 

 スフレとイルもセクトとフィオリーノに挨拶するとポケモンセンターへと帰っていく。

 セクトとフィオリーノは手を振り2人を見送った。

 スフレとイルが見えなくなるとフィオリーノがセクトに声をかけた。

 

「うふふ、今回のチャレンジャーたちもなかなかいい子が多いみたいね。楽しみだわ。」

「ええ、タイガさんの実力は新人とは思えませんでしたし、明日のバトルも楽しみです。」

「イルちゃんの方はタイガちゃんのやったことに気づいていたみたいだし、明日も手ごわいバトルになるかもしれないわね。」

「ええ、ですが簡単に負けるつもりはありませんよ。」

 

 そう言うとセクトはレストランに戻って行く。

 

「セクトちゃんも若いわねぇ。でもポケモントレーナーならそうじゃなきゃね。」

 

 フィオリーノは星が輝き始めた空を眺めながらそう呟くのだった。

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