ポケットモンスターレガーメ   作:とんま

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第9話 新たな町と新たな出会い

 イルとスフレはスターリー博士とポケモンセンターに戻った後、食堂のおばちゃんが腕によりをかけて作った料理に舌鼓を打ち、ポケモンセンターで1泊して、早朝から次の町へと旅立った。それからもうすぐ正午になる頃に新たな町に到着した。

 

 〔フリュウシティ〕

 

 フリュウシティはなだらかな丘の上に作られた町であり、フラウ地方の貿易の要とも呼べる土地である。町の南には港があり、大小様々な船が止まっている。

 また町の中央には、町を東西に分けるように大きなゼラニ川が流れており、川の3箇所にはね橋が架かっている。

 貿易の町と言うだけであり、多くの人々が行きかい、港の近くには出店が並ぶ市場があり大いに賑わっていた。

 

 町の入り口は町を一望できる高台があり、イルとスフレはそこからフリュウシティを眺めていた。

 スフレは目を輝かせてイルに話しかけた。

 

「話には聞いていたけど大きな町だね!」

「うん。たしかフラウ地方でも1番大きな町になるのかな?」

「そうなんだ、だから人がいっぱいで賑わってるんだね。おっ! あそこは市場かな? 人がいっぱいで賑わってるみたいだよ。イル行ってみようよ」

「スフレちゃん、楽しみなのは分かるけど、先にポケモンセンターでポケモンたちを回復してもらわないと」

「そうだね。ここまでくるのにポケモンと結構バトルしたから、みんな疲れてるだろうしね」

「うん。スフレちゃんあっちのほうにポケモンセンターがあるみたいだよ」

 

 イルが指を指した方を向くと、川の近くにポケモンセンターの目印である赤い屋根が見えた。

 

「よーし、ポケモンセンターまで競争だよ。よーいドン!」

「ちょっと待ってよ、スフレちゃん」

 

 突然駆け出したスフレを追ってイルもポケモンセンターへと走るのだった。

 

 

 〔ポケモンセンター〕

 スフレがイルより先にポケモンセンターに駆け込むと、ちょうどポケモンセンターから出ようと入り口に近づいていた紙の束を持った男性にぶつかりそうになった。

 

「わわ!?」

「おっと」

 

 スフレは慌てて止まろうとして間に合わなかったが、男性は体を横にずらすことでスフレを避けた。しかし男性が持っていた紙束から数枚のチラシが落ちた。

 そこに遅れてやって来たイルがスフレに声をかけた。

 

「スフレちゃん! 大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。それよりぶつかりそうになってごめんなさい」

 

 イルに返事いたスフレは慌てて男性に謝罪をした。

 男性は細身だが筋肉質な体をしており、それが服の上からでもはっきりと分かるくらいぴっちりとした服装をしており、髪は紫色で顔は化粧で綺麗に整えられている。

 男性はスフレが謝ると、驚いた顔からフッと軽く笑うと2人に語りかける。

 

「ええ、アタシは避けれたから大丈夫よ。でもぶつかって怪我をしていたかもしれないから、今度からは飛び込んで来ちゃダメよ」

「……」

 

 長身で筋肉質な身体つきをした男性とは思えないほど高い声で、女性口調で話しかけられたスフレは驚いて固まってしまう。

 

「あら、突然固まっちゃってどうしたの? 大丈夫?」

 

 男性にそう言われたスフレは慌てて返事をして、頭を下げた。

 

「あ、大丈夫です。すみません今度からは気を付けます」

「分かってくれればいいのよ。もうしちゃダメよ」

「はい」

 

 2人が話している横で、イルは男性の落としたチラシを拾うとチラシの内容が目に止まり、そのチラシの内容を見て固まっていた。

 

「あら、貴女拾ってくれたの? ありがとう」

「ふえ、あ、はいどうぞ」

 

 男性に話しかけられたイルは慌てて持っていたチラシを渡した。

 そんな様子のおかしいイルにスフレが話しかける。

 

「どうしたのイル? あのチラシに気になることでも書いてたの?」

「え、えっと、その……」

 

 言い淀むイルを横目にスフレは男性に質問する。

 

「そのチラシ見せてもらってもいいですか?」

「ええ、いいわよ。何か知っていたら教えてくれるとおねえさん助かるわ」

 

 おねえさんはそう言うとチラシを1枚スフレに手渡した。

 スフレはチラシを受け取り読み始める。しばらくしてチラシを読み終わると、

「えっ……」と小さく声を漏らした。

 チラシを読み終えたスフレはオネエさんに話しかけた。

 

「あの、これって」

「1週間くらい前に行方不明になったポケモンちゃんのチラシよ。アローラ地方からの貿易船にそのポケモンちゃんが紛れこんで来ちゃったらしくてね。船員ちゃんたちが保護しようとしたのだけど、逃げちゃったのよ」

 

 スフレは昨日会ったスターリー博士がたまに他の地方のポケモンが船でやってくるという話を言っていた事を思い出した。

 

「そういえばスターリー博士がそんな事言ってたな」

「知っているなら話が早いわ。違う地方からやって来たポケモンちゃんの中には環境の変化で体調を崩しちゃうポケモンちゃんもいるから、見つけたら保護して元の地方に帰すか、無事に過ごしているか観察出来るように居場所を知っておく必要があるのよ」

「へぇ、なら早く見つけないとですね」

 

 スフレはそう言ってチラシを見ると、行方不明のポケモンの写真が大きく載っており、その下にポケモンの名前や特徴が書いてあった。

 そしてスフレは写真を見ると、イルと同じように「えっ……」っと声を漏らして固まってしまう。何故ならチラシに描かれたポケモンはどう見ても、数日前にイルがゲットしたヌイコグマだったからだ。

 スフレがイルの方をチラリと見ると、イルは腰に付けたモンスターボールの手を置き見つめている。

 

「あのこのポケモン……」

「スフレちゃん待って、わたしに言わせて」

 

 スフレの言葉を遮り、イルがオネエさんと向き合うと覚悟を決めたような表情で話し始める。

 

「あの。行方不明になっているポケモンってこの子ですか?」

 

 イルはそう言うと、モンスターボールからヌイコグマの【グー】を出した。

 

「あら。そのヌイコグマちゃんはどこで会ったの?」

「3日くらい前にデーツの森で出会ったんです」

「なるほどね。ヌイコグマちゃんはフラウ地方に生息していないはずだから、その子が行方不明のヌイコグマちゃんで間違いなさそうね」

 

 オネエさんがイルの足に体を擦り付けているヌイコグマを見ながらそう言うと、イルは俯くようにヌイゴクマを見ながら質問した。

 

「あの、グーは元々棲んでいた地方に帰さなきゃいけないんでしょうか」

「え?」

「でもグーがこんなにイルに懐いているなら帰さなくても大丈夫ですよね!」

 

 オネエさんがイルの言葉に驚いていると、スフレも説得しようと慌てて話に入ってきた。そんな2人の様子を見て、2人が勘違いしている事に気がついたオネエさんは声を出して笑ってしまった。

 

「ウフフフフ! なんだそういう事ね」

 

 突然笑い出したオネエさんを2人は呆然と見上げる。

 

「フフフ。ごめんなさい笑っちゃって。2人とも勘違いしているわよ。アタシたちは別に何が何でもポケモンちゃんたちを元の地方に戻そうとしている訳じゃないのよ。誤ってフラウ地方に来ちゃったり、環境が変わって苦しんでるポケモンちゃんを保護しているだけなの。トレーナーにゲットされていたり、楽しそうに暮らしているポケモンちゃんまで帰したりしないわよ」

 

 その言葉を聞いた2人は肩を撫で下ろした。

 

「な〜んだ、慌てちゃって損したよ」

「うん。なんか勘違いしちゃってたね」

「ウフフ。愛されてるようで良かったわね、ヌイコグマちゃん」

 

 オネエさんがヌイコグマにウインクすると、ヌイコグマは首を傾げながら、イルたちを見回すのだった。

 

 ──────────────────────────────────ー

 〈ポケモンセンター テラス〉

 その後、ポケモンたちの回復が終わった2人は川に沿うように作られたポケモンセンターのテラスで柵に寄りかかって川を眺めていた。

 

「それにしても大きな川だよね。川に架かっている橋も大きくて立派だし」

「そうだね。アイラ川って言ってフラウ地方では1番大きな川なの。あの橋もはね橋になっていて、大きな船が通る時に開くらしいよ」

「へえ〜。この川ってエフロ湖に繋がってるんだよね」

「うんそうだよ。フリュウシティの港に集められた品物はアイラ川を通ってエフロ湖にあるレストタウンへ行って、そこからフラウ地方全体に届けらるんだよ」

「へえ、貿易都市って言われる訳だね」

「因みに、フリュウシティはアイラ川でウエストエリアとイーストエリアに別れていて、ウエストエリアは観光客向けの店や市場が、イーストエリアは住宅街や倉庫街が多く建てられているのよ」

 

 2人が話していると、先程のオネエさんが話に入ってくる。

 

「ごめんなさいね、待ってもらっちゃって。色々と連絡してたらおそくなっちやったわ」

「い、いえ、大丈夫ですよ」

「うん、眺めもよくて時間なんて気にならなかったしね」

「それなら良かったわ。そういえば自己紹介がまだだったわね。アタシの名前はオーレよ。しがないポケモントレーナーよ」

「あたしはスフレよろしくです」

「あ、あのイル、です。オーレさんよろしくお願いします」

「フフ、よろしくね」

 

 2人の自己紹介をするとオーレはウインクをして返事をした。

 

「ところで待っててくれって言われたから待ってたけど、どうしたんですか?」

「もしかして、グーの事で何かあるんですか?」

「ウフフ、それが用事ならポケモンセンターの中にいる時にやってもらうわよ。別に他の地方から来たポケモンを捕まえたからって何かしてもらう事は無いから安心しなさい」

「じゃあ何で?」

「貴女たちお昼はもう食べてる?」

「え、まだだけど」

「そういえば正午は過ぎちゃってるね」

 

 イルが時計を確認すると、時計は午後1時を過ぎたあたりだった。

 

「気づくとお腹空いてきちゃった」

 

 そう言ってスフレがお腹を押さえると、オーレは手を打ち笑顔で提案した。

 

「なら丁度良かったわ。一緒にランチでもどう? 美味しいレストランを知っているの。もちろんお姉さんが奢っちゃうわよ」

「えっ! いいんですか?」

「ええ、アタシ新人トレーナーさんとご飯を食べるのが趣味なのよ」

「へぇ〜、あれ? あたしたち新人トレーナーだって言ってたっけ?」

「フフフ、色んなトレーナーちゃんたちといっぱい会って来たからね、その子の表情とか仕草で何となく分かるのよ」

「モリーさんってすごいんですね!」

「あら〜、スフレちゃんったら素直ね〜。まあいいわ。そろそろレストランに行きましょうか」

「はい!」

 

 歩き出したオーレの少し後ろを2人はついて歩いて行くのだった。

 

 

 ──────────────────────────────────ー

 〔レストラン SECT〕

 

 3人は海を一望できる丘の上に建つ立派なレストランに来ていた。

 レストランの内装は埃ひとつ無いんじゃないかと思えるぐらい綺麗で、昼時を過ぎたからか、満員とはいかないがまだ多くの人々が食事を楽しんでいる。

 2人は海が良く見える席に通され、オーレにおすすめされた料理を楽しんでいた。

 

「おいしい〜! オーレさんがおすすめしてくれた海鮮パスタとても美味しいですね」

「ウフフ、お口にあったようで何よりだわ。イルちゃんはどう?」

「とても、美味しいです」

「2人とも気に入ってくれたみたいだし、連れてきたかいがあったわ」

「それにしてもオーレさんってとてもいい人何ですね」

「あら、どうしてそう思うの?」

「だって、ここに来るまでの間に多くの人たちが話しかけてたじゃないですか」

 

 オーレがレストランに来るまでの間に、市場の店員たちや、通りすがりの老人や子どもたちから挨拶されており、それらに気さくに返事をしている様子を2人は見ていた。

 

「だからオーレさんは町のみんなに慕われるくらいとてもいい人なんだなって思ったんです」

「ウフフ、そんな風に言ってくれるとお姉さんも嬉しいわ」

「そういえばオーレさんって何のお仕事をしているんですか?」

「えっ? グーを探してたって事は船乗りさんじゃないの?」

「でも船乗りさんなら同じ場所で働いている人たちを船乗りちゃんって言うかな?」

「ウフフ、細かい所までよく話を聞いているわね。そうよアタシは船乗りじゃないわ。ただみんなが困っていたから手伝っていだけなの」

「そうだったんだ。船乗りさんたちが報告に来たりしてたからまとめ役みたいな人だと思ってた」

「何度も手伝った事があって慣れただけよ」

「それだけ多くの人やポケモンを助けたからみなさんから信頼して貰えてるんですね」

「本当にオーレさんって何してる人なの?」

「それはヒ・ミ・ツ。アタシの事はお節介やきな人助けが趣味のオネエさんって覚えてくれればいいわ♡それよりも次はこっちの番よ。2人は新人トレーナーちゃんって聞いたけど、やっぱりポケモンリーグに挑戦するの?」

「うん。イルと一緒にタッグリーグの方にも挑戦するつもりなの。」

「タッグリーグ?そういえば今回から実験的に開催するって聞いたわね。」

 

 3人が話していると1人の男性がやって来て、3人の座るテーブルの横に立つ。

 男性はコック帽を被っており、その下の顔は紫色の髪で左眼が隠れている。コックさんの格好をしている為、この店のシェフだということが分かる。

 男性は軽く礼をすると3人に話しかけた。

 

「本日は本店にご来店まことにありがとうございます。オーレさんもいつも来ていただきありがとうございます」

 

 急にシェフに話しかけられて2人が驚いていると、オーレとシェフは親しそうに会話を始める。

 

「フフ、今日の料理も最高に美味しかったわ。ね、イルちゃん、スフレちゃん」

「は、はい」

「とても美味しかったです」

 

 オーレに同意を求められ2人は返事をする。

 その言葉を聞いてシェフはお辞儀をしてお礼を述べた。

 

「お口に合ったようで何よりです。お二人は初めてのご来店ですね」

「ええ、新人のトレーナーちゃんみたいでね、貴方を紹介しようと連れてきたのよ」

「なるほど、そちらの方のお客様でもございましたか」

 

 シェフはそう言うとイルとスフレに向き直ると、自己紹介を始めた。

 

「遅くなりましたが自己紹介を、僕の名前はセクトと申します。見てのとおりこの店のシェフをしております。それと同時にこのフリュウジムのジムリーダーをやらせてもらっております」

 

 そう言うとセクトは笑顔でお辞儀をした。

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