年が同じということで私と千鶴は呼び捨て、敬語無しで話すことになった。
「・・・どうしよう、かな・・・」
私と千鶴は途方に暮れていた。
「まさか、お留守だなんて・・・」
千鶴が京で頼りになるのは行方不明のお父さんを除けば松本先生だけらしい。
「・・・少し、急ぎすぎちゃったのかな」
当然、私にも頼りになる人などいない。
「でも・・・」
「まずは、とまる場所を探さなくちゃ」
千鶴は言葉を引き継いだ私に同意するように頷いた。
このとき私は、京の危険性をまるで理解していなかった。
「おい、そこの小僧」
――実際に、浪士から声をかけられるまでは。
はじかれたように振り替えると、三人の浪士が私達に視線を向けていた。
「・・・何か?」
千鶴と私は平静を装いながら咄嗟に小太刀に手をかける。
「ガキのクセに、いいもん持ってんじゃねえか」
浪士たちが見ていたのは、私達というよりも私達の持った木立だった。
「小僧には過ぎたもんだろ?」
「よこせ。国のために俺たちが使ってやる」
「これは―― 」
私は言いよどむ千鶴に構わず小太刀を抜くと、相手の指を切り落としてから刀を弾き飛ばした。
「ぐああああっ」
手を抑えてうずくまる浪士。
「今、何があったんだ」
「鎌鼬かっ」
私が手を切ったのが見えなかったのだろうか。
浪士が顔色を真っ青にして間に千鶴が私の手を引っ張って一目散に走り出した。
しばらくすると、
「――あ!? おい、待ちやがれ小僧!」
正気に戻った浪士が追いかけてきた。
ずいぶんと走ったような気がするけれど、浪士たちは怒鳴りながら追いかけてくる。
私達は、更に狭い路地を駆け抜ける。
彼らがまだ追い伝てこ無いのを確認して、家と家との間に身を津べり込ませた。
立てかけられた記の板たちは、しゃがみこんだ姿を覆い隠してくれる。
これでうまい具合に、やり過ごせるといいんだけど・・・。