魔法少女リリカルなのは~竜の国の社会勉強録~   作:ショウマ

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その14 「少しの間、楽しみましょう?」

 

 

 多くの客が利用出来る充分な広さと、出来たばかりということもあってまだ小綺麗な更衣室の中で、向かい合って立つ二人の少女。

 

「どうかしましたか? これは必要なモノ……なのでしょう?」

 

 微笑を浮かべている中学生くらいの少女は、真っ直ぐにその紫色の瞳でルティシアを見つめていた。

 

 その差し出している右手に、青い瞳の様な宝石――ジュエルシードを乗せて。

 

 ルティシアが見ている限りでは、発動する兆候は見られない。

 

 荒事になるという予感のままに、着替える予定の水着が入った袋を、ルティシアは後ろ手にロッカーの中に押し込んだ。

 

 目の前の微笑んでいるだけの少女から放たれている妙なプレッシャーを感じ取り、ルティシアの頬を一筋の汗が流れる。

 

 風が無い筈の室内で、少女の腰までストレートに伸ばされたプラチナブロンドの髪と、赤い紋様が描かれた薄紫色の長衣(ローブ)の裾がゆらゆらと揺れていた。

 

「うふふ、そんなに警戒しなくても。まぁ、確認に来たのは確かですが」

 

「確認……ですか?」

 

「そう、ちょっとした確認です。うふふ」

 

 微笑を崩さず、楽しそうに話す相手の意図が読み取れずに、警戒をより一層強めるルティシア。

 

「頭痛はどうですか? 脳にも多大な影響が出ているみたいですが」

 

 少女の言葉を聞いたルティシアの身体が、ビクッと震えた。

 

 無表情なことが多いその顔には、はっきりと驚きが表れている。

 

「何を……言っているのですか?」

 

 その言葉もいつもの淡々としたものではなく、動揺を含んだ硬い声。

 

「昔々、貴女がこちらに来るかなり前に、次元空間内で〔事故〕がありました。時が経過しても直ることなく、計器にも表示されず、しかしそこを通過する際には影響が出る程の」

 

 ルティシアの様子を気にする事なく、少女は謳うように語り始めた。

 

「そんな場所を、不安定な状態で発動した〈次元転移魔法〉で通過したのです。重度の症状が出るのは当然ではありませんか」

 

 そう言うと、少女は溜め息をついた。

 

「予定通りにいかないと思ったら、あの子が前にやらかした“やんちゃ”に影響されていたとは」

 

 後半は愚痴っぽくなっていたが、そのプレッシャーは微塵も揺るがない。

 

「お陰で……」

 

 微笑は冷笑に、紫の瞳はスッと細められる。

 

「今後の微調整の為に、調べないといけなくなったではありませんか」

 

 何の力の躍動も感じさせず、空間が変わる。

 

 周りに荒野が広がる岩場へと。

 

 左手で亜空庫から氷雨を取り出すと、すぐさま鞘から抜き放つ。

 

 さらにニ基のガンビットが表れると、左右に翼のようなものが展開し、即座に戦闘モードに切り替わる。

 

 目の前の相手を強敵と判断したルティシアは、家と見回りに使っている二基も使おうとするが、呼び出しにも反応が返ってこなかった。

 

「この結界内では喚べないみたいみたいですね。あなたはいったい何者ですか?」

 

「……知らない方が、こちらには好都合ですね。私の事は今はヒ・ミ・ツです、うふふ」

 

 ルティシアの問いに、目を閉じた少女は唇に人指し指を当てると、にっこりと微笑んだ。

 

 ジュエルシードを持つのとは別の手には、いつの間にかティーカップが握られていた。

 

 湯気立つ中身を、優雅な仕草で口に運ぶ。

 

 不意に、ルティシアの首元が何度も輝いた。光を放っているのは、黄金の十二のオブジェ。警告を発するかのように、幾度も瞬いていた。

 

「これは……」

 

「黄金聖衣を纏うのは構いませんが、余りオススメはしませんね」

 

 目を閉じたまま、ジュエルシードを乗せたソーサーの上にカップを置いた。

 

「次なる世界に向かう前に何かがあれば、取り返しがつかないことになってしまいます。そう……今度も再生が出来るとは限らないのですから」

 

 その言葉に、ルティシアは本国で受け取った際に聞いた話を思い出す。

 

「聖衣を破壊し、聖闘士達を倒したというのは、あなたですか?」

 

「正確には言うならば、私の相方ですね。数多の次元で、世界を護るために立ち上がってきた彼等を、全て破壊しました。そして、わずかばかりに残った破片は貴女の国に向かい、その技術で復活を遂げた。死してなお、闘おうとする戦士の魂を宿して」

 

 生徒に教えるような口調で、少女はティーカップに手を添えながら語る。

 

「私は、今後の為にも余り壊すつもりはありません。ですが、何かの拍子で壊れる可能性はありますので、纏うならそのつもりで」

 

 言い終えると、話は終わりとばかりに再びカップを口に運ぶ少女。

 

「では、そろそろ始めましょうか? 細かい調整や説明は好きですが、これでも忙しいのです」

 

「そうですか。私も約束がありますので、早く終わることには賛成です」

 

「うふふ……気が合いますね」

 

 それには答えず、ルティシアは刀を構える。

 

「では、少しの間ですが楽しみましょう? 今宵は、ほんの一時(ひととき)の夢の宴。今の貴女に合わせたおもてなしをしてあげます」

 

 カップが“カチャリ”と音を立てて、ソーサーに置かれた。

 

 ルティシアが、少女に向けて刀を突き付ける。

 

「ガンビット!」

 

「幻想舞刀」

 

 氷海を滑るように、複雑な軌道を取るガンビットを迎え撃つのは、大小十本の刃物。

 

「今の貴女では、これは少しばかりきついかもしれませんね」

 

「刃物を向けられる程度では、私が怯むことはありません」

 

「そういう意味で言ったのではないのですが……さ、舞いなさい」

 

 その鏡のような刀身はガンビットからのビームを反射し、接近してくる二基もまた、まるでその軌道が分かっているかのように弾き飛ばされていく。

 

 ガンビットに合わせて接近したルティシアもまた、待ち構えていた数本の刃物に道を阻まれていた。

 

 その太刀筋も完全に読まれているのか、氷雨も一振りの剣に受け止められる。

 

 続いて振るわれた左手の鞘もまた同様、他の刃物に阻まれていた。

 

 ルティシアの動きが止まると、他の刃はその隙を逃さず、すぐさま殺到してくる。

 

「――く」

 

 

 察知して回避行動を取るルティシアを捉え、刃は易々と白い制服を、その黒いアンダーウェアごと切り裂いていく。

 

 赤く染まる制服。

 

「訓練の動きではなく、自分の動きをしないと怪我を増やすだけですよ? ガンビットも、戦闘にも使えるというだけで、本来は不向きです。プログラミングされただけの動きでは、なおのこと」

 

 四本の刃物をガンビットに割り振ると、残り六本は少女の周囲へと戻っていった。

 

 距離にしてほんの数メートルが、ルティシアには遥かに遠く感じられていた。

 

 ニ十メートルほど後退したルティシアは、小さく回復魔法を唱えて怪我を癒すと、刀と左手の鞘を交錯させる。

 

「ファイアーバード!」

 

 ルティシアの周りに現れる、その名の通りの数十羽の炎の鳥。

 

 ――刀の一振りを合図にして、少女を焼き尽くさんと燃え盛る鳥達が一斉に飛び立つ。

 

「炎鳥来来」

 

 ティーカップを口元に運びながらの、少女の囁くような声。それに合わせてほぼ同数の、しかしこちらには青みがかった炎の鳥が現れる。

 

「翔」

 

 殺到する赤い炎の鳥の群れを、一言を合図に飛び立った青い炎の鳥が迎撃つ。

 

 迫る赤の全てを打ち消して、青の鳥はルティシアへと逆に殺到していった。

 

 向かってくるそれらを見つめるルティシアからは、避けようという動きは無い。

 

〈反射魔法〉(リフレクション)

 

 紅い膜のような光がルティシアの身体を包み、それによって殺到した青い鳥の全てを跳ね返していく。

 

 相手の少女も目を閉じたままで慌てることもなく、自身の周囲にあった刃物の内の四本を十字に配置。

 

 それを基点に、魔法陣が表れる。

 

 戻ってきた鳥達は吸い込まれる様に、その魔法陣の中へと次々に飛び込んでいった。

 

「なるほど、魔法も魔晶石頼み……といったところですか。しかし、既知の力では私を倒すことは出来ませんよ」

 

「既知……?」

 

「ええ。数多に存在する次元世界。人界や魔界、天界に狭界、そして……冥界。多種多様な存在を見て、倒してきました。そして、私は一度見たものは全て、記憶しています。もっとも、まだ生きている者もいますが。私と相方の子は、自分達の楽しみの為に戦い、認めた存在にはトドメは刺しません。またいつかの楽しみの為に」

 

 ルティシアに、カップへポットから追加の紅茶を注ぎ入れながら、少女が語る。

 

「この世界であなたは……あなた達は、何をするつもりですか?」

 

「今の貴女では知る資格はありませんが、そうですね……あくまでも私達の楽しみのためです。ですから、しっかり力をつけて下さいね? 私と違ってあの子はやんちゃですから。遊びにならないと判断すれば、簡単に壊しに来ますよ?」

 

「それだけは、絶対に防いでみせます」

 

「言葉だけでは無いと、期待しています。うふふ」

 

 少女が妖艶に微笑み、ルティシアは一気に接近しようと足に力を込めて――

 

「ですが……」

 

 ルティシアの真下の地面から、二本の刃物が飛び出してきた。

 

 最初は飛び出した動きそのままに縦に切り裂くと、刃物はそのままルティシアの周りを旋回して斬り付けていく。

 

「くぅ……ぁ……っ」

 

 対応しようとするルティシアだが、舞い踊る刃物は氷雨を、鞘を掻い潜ってはその刀身を朱に染める。

 

「まだまだ甘いですね……翔」

 

 先程の炎鳥を吸収した魔法陣から、一羽の青い炎の巨鳥が現れて、刃に翻弄されているルティシアへと飛び立った。

 

 

 羽ばたきの度に、青い火の粉をばらまきながら。

 やがてそれはルティシアを飲み込み、巨大な青い火柱を上げる。

 

「召雷来来」

 

 ソーサーにカップを置いて、上に向けた手のひらの上に浮かぶ、紫色の小さな光球。

 

 激しくスパークしているそれもまた、少女の「翔」という一言で、ルティシアの元へと高速で飛び去った。

 

 青い火柱の中に飛び込むと、逆側からルティシアごと飛び出していく。

 

 近くの岩山を一つ、轟音と共に突き破ると他の岩場にめり込み……同時に、雷の嵐が荒れ狂い岩山を瓦解させていく。

 

 しばらくして雷が収まると、後に残ったのは大きく抉れクレーターと化した大地と、砕かれ辺りに散らばる岩山だったもの。

 

 そして……意識を失って地面に横たわる、ぼろぼろになったルティシアの姿。

 

 衣服はほぼ原型を留めておらず、近くには氷雨が突き刺さっている。折れてこそいないものの、その刀身にはあちこちヒビが入っていた。

 

 あちこち破損しながらも飛び続けていたガンビットも、ルティシアの制御を離れたために地面に転がっている。

 

「さて……こんなところですか。やはり、後遺症が大きいみたいですね。彼女に合わせて炎と雷だけにしたというのに、この程度とは。もっとも、炎といっても火竜も灼く冥界の炎ですが」

 

 そう言いながら、少女はティーカップを片付ける。目も開けず、一歩も動くことなかった戦い。

 

 彼女にとっては言葉の通りに調査であって、戦いでは無いが。

 

 倒れたままのルティシアの身体がフワリと浮かぶと、そのまま少女の所へと移動を始めた。

 

 炎と雷でぼろぼろになったその身体には、何故かあれだけ斬られたというのに切り傷が刻まれていなかった。

 

 制服……だったものは確かに赤く染まっているのだが。

 

「ここは私の作った夢の世界。今の彼女では、現実との区別はつかなかったかも知れませんが」

 

 少女の目には、更衣室で立ったままのルティシアの姿が見えている。

 

 もちろんその身体に傷も無ければ、着衣の乱れも無い。

 

 更衣室に入った時のままの姿。

 

「夢といっても、痛覚はありますが」

 

“斬られた”という感覚によって、出血というイメージに繋がっていた。

 

「さて……肉体レベルは“成長”すれば戻り、幻想舞刀によって脳の異常は断ち切りました。魔力も石頼みのため、影響は少ない。後は……」

 

 その時、ルティシアの左腕が激しく帯電し始めた。

 

 雷が手のひらに瞬く間に集束し、球となる。

 

「バニッシュゲイザー!」

 

 そして目の前の少女の身体へと、その雷球を叩き込む。

 

「後は……そこに戻るまでにどれだけかかるか、ですね」

 

 少女は何事もなかったかのように微笑を浮かべる。その紫の瞳で、意識のこもっていないルティシアの、()()の瞳を覗き込んだ。

 

 そして、触れる直前に何かに阻まれるかのように止まっているルティシアの左手を掴むと、大きく空へと放り投げた。

 

「とりあえず、あの子の遊びによる余波は取り除きました。力は戻すことはしませんが、せいぜいその子達と共に、這い上がってきて下さいね? アフターサービスは、確かにしましたよ。うふふ……」

 

 放り投げた後のルティシアを見る事なく、その少女の姿が揺らぐと、その場から消え去っていった。

 

 

     ※ ※ ※

 

 

 水面に、派手な音と共に大きな水飛沫が上がる。

 

「え゛?」

 

 真っ黒だった意識が覚醒し、ルティシアの視界に飛び込んできたのは歪んだ青い世界と、白い気泡だった。

 

 

「(み、水……!?)」

 

 慌てて近くの何かに掴まって浮上すると、水面へと顔を出す。

 

「う……〈耐水魔法〉(ウォーターシェル)

 

 口早に唱えた魔法は、既にかかっていた上位の魔法により効果を表さなかったが、一種のパニック状態だったルティシアはそのことに気が付かなかった。

 

 耐水魔法をかけた安心感からようやく落ち着くと、大きく息を吸っては吐いてを繰り返しつつ、周りを見渡す。

 

 そこは大勢の人で賑わうプール。

 

 自身の近くには、よく見知った三人。

 

 何故かアワアワと慌てている、紫色の髪の少女――すずか。

 

 心配そうにルティシアを見つめている茶髪の少女――姉のなのは。

 

 そして……目の前で顔を赤く染めて、プルプルと震えている金髪の少女――アリサ。

 

 びしょ濡れだが、ここがプールであるなら特におかしな事ではないだろう。

 

 その様子に、ルティシアは小首を傾げる。

 

「どうかしましたか、アリサ?」

 

 その頭の上に、手を置いていることに気が付かないまま訊ねる少女の耳に、何かが切れたような音が聞こえたような気がした。

 

「あ・ん・た・は……」

 

 水の上に、やはりプルプルと震えている握り拳が出てくる。

 

 危険を感じたルティシアは、なのは達の方へと離れながら視線を二人へに向けた。

 

「ルティちゃん、プールサイドからの飛び込みはダメだよ?」

 

「ルティシアちゃんに気付いたアリサちゃんが、「水が苦手と言っていたから、足を滑らせたんじゃ!?」って、凄く心配したんだよ?」

 

「そう……でしたか。更衣室に入った辺りから、ちょっと記憶にないのですが」

 

 二人が状況を教えてくれたのだが、記憶がようとしてはっきりしない。

 

 更衣室で誰かと会ったような気もするのだが、霞がかりボンヤリした夢みたいな曖昧なものだった。

 

「ルティちゃん、本当に大丈夫? ボーッとしてたら危ないよ? 今もだけど」

 

「ルティシアちゃんが浮上するときに、アリサちゃんの肩とか頭に手をついて浮上したから……」

 

 心配そうにしつつも、二人はそろそろとルティシアから離れていく。

 

 ゾクリとした感覚に襲われた少女の肩が、背後からの手に掴まれた。

 

「あんたは、もう一度沈みなさい……!」

 

「アリサ。これは、沈むというより……っぷ……沈まされる……のですが」

 

「うるさいうるさい、うるさーい! いちいち屁理屈を言うなーー!!」

 

 騒ぎ続ける少女達の所では、幾つもの水飛沫が上がる。

 

 沈まされかけている少女は、ツッと近くに貼られているポスターを指差した。

 

「騒ぐのは周りの迷惑にならないように、充分気を付けましょう。後、他人を沈めるようなことは大変危険です。決して、行わないようにしてくださ――」

 

「助けたあたしを沈めかけたあんたが言うな!!」

 

 

     ※ ※ ※

 

 

 プールから上がって更衣室で着替えた四人は、迎えが来た二人と歩いて帰る姉妹と分かれて、それぞれの家路に着いていた。

 

 夕闇の中を並んで歩く姉妹。その影は沈みかけている夕陽を受けて、道路に長く伸びている。

 

「ルティちゃん、本当に身体は悪くないの?」

 

 プール内で既に何度も繰り返した問いを、なのはが不安そうに口にする。

 

 その度に大丈夫とだけ返していたルティシアだが、友人達が居ないこともあって、少しだけ言葉を付け足すことにした。

 

「はい。耐水も間に合ったみたいですし、肉体的な問題は無いようです」

 

「それなら良いけど……ルティちゃんも辛いときはきちんと言ってね?」

 

「はい。でも、それは姉さんもですが」

 

「うん、気を付けるね」

 

 こうもなのはが心配する理由。

 

 沈められた後に少しは泳いだものの、強い倦怠感を覚えたルティシアは早々にプールサイドに引き上げていたのである。

 

 後の時間は三人と話すことに使っていたが、運動で滅多に疲れたなどと口にしない妹の様子に、不安が募ったらしい。

 

「……姉さん」

 

 ふと足を止めたルティシアが、なのはを呼ぶ。

 

「ルティちゃん、どうかしたの?」

 

「これを」

 

 振り返ったなのはに、ルティシアは制服のポケットから取り出したそれを差し出した。

 

 そこにあったのは、青い瞳の様な宝石。

 

「ふぇー!? ジュ、ジュエルシード!? どこにあったの?」

 

 驚きの声を上げて尋ねてくるなのはに、ルティシアは首を傾げる。

 

「確か更衣室……だったとような気はするのですが、ちょっと記憶が曖昧です。誰かから貰ったような感じも……」

 

「え、そうなの? で、でもとりあえず……レイジングハート、これをお願い」

 

《all light.receipt》

 

 《声》と共に、ジュエルシードがレイジングハートの中に収納される。

 

「これで、五つ」

 

「順調ですね。姉さんも魔法が使えるようになりましたし」

 

「うん! ユーノ君のためにも頑張らないと! でも、ルティちゃんは今日はしっかり休むこと」

 

「プールにいた時には怠さのようなものがありましたが、今はもう――」

 

「しっかり休んでね?」

 

「…………はい」

 

 仲良く並んで帰る二人の姿を、夕陽が照らし続けていた。

 

 

 




 
 
 
next
 
 
日曜日。

姉妹は親友達と一緒に、父が監督をしている少年サッカーチームの観戦へ。

思わぬハプニングは起きたものの、穏やかで楽しい時間。

そんな時間の影で、青い宝石は陽光に煌めく。
 
 
なのは「倒したら勝ち!」
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