ジュエルシード――荒神との戦いから数日が経過した。
いつも快活だったなのはだが、あの金髪黒衣の女の子との一瞬の邂逅以来、ルティシアやユーノの前ではずっと思い悩んだまま。
家族の前や学校では普通を装っているが、親しい者達の目は誤魔化せていないようだ。
『きっと自分達に言えない事で悩んでいるから、自分から相談を持ちかけて来るまでは今は見守ろう』と、父――士郎がなのはの居ない時にそう話した。
「いじめなんかだったら絶対に許さないが、そういったモノでも無さそうだ。それなら、ルティシアが既に終わらせているだろうし」
「私が普段どう思われているのか、詳しく聞きたいのですが……」
心外です、と言いたそうな表情のルティシア。
そんな少女の肩に、母の桃子がそっと手を置いた。
「私達も注意して見守るけど、一番長く、近くに居るのはあなただから。あの子を助けてあげてほしいの。それで、今よりも深刻になりそうなら教えて」
桃子の真剣な表情に、ルティシアもしっかりと頷いた。
居住まいを正すと、二人に深く頭を下げる。
「父様、母様、分かりました。私に出来る範囲で可能な限り」
「ありがとう。でもね、ルティシア? あなたも大事な私達の家族なのだから、困った事があったら相談してね?」
「はい、母様」
そのようなやりとりもあって、それからの家族の団欒の時間は、それぞれがそれとなくなのはを気遣っていた。
ごく自然にそれが行われているため、なのはが不思議に思うこともなかった。
そして、そのなのは。
毎朝の魔法の練習は、奇跡的(?)にも続けられていた。
「ジュエルシードをあの子が狙っているとするなら、今後、あの子とまた会うかもしれない」
そうユーノに言われたこともあるが、二つの理由により、なのは自身が必要を感じたせいでもあった。
一つは、今回みたいな大きな騒動が、また起きるかもしれないこと。
その時自分にもっと力があれば、“誰か”に無理をさせずに、かつ早く終えられるかもしれないと思ったからだ。
練習にも自然と熱がこもるが、つい先日話をした手前、無理はしないようなプランを組み立てている。
そして、もう一つの理由は――。
「どうしてジュエルシードを持っていったのか、それを聞きたいから」
あの子と話をしてみたいから、となのはは二人に話した。
そんな練習風景の近くでいつものように座禅を組みながら、ルティシアは内心ため息をつく。
二人を会わせて、話をさせる。
それが会わせるだけならば、“今は”簡単なことなのに、と。
あの事件の後、ルティシアはフェイトと“意外な場所”で出会っていた。
その際に、なのはがフェイトと話が出来る機会を設けようとしたが、失敗に終わっていたのだ。
フェイトが拒絶を示したために。
『今は話せない、話したくない。あの子にはきっと分からないから』と。
はっきりと言い切ったその様子に、ルティシアも今はまだ無理であると判断した。
アリサやすずか達と同じく、良い友達になると思ったのですがと、ルティシアは内心で再び嘆息する。
その時の様子を思い出しながら……――。
これまでルティシアにとって、ジュエルシードの探索は『ユーノの手助け』という意味合いが強かった。
だが、以前に現れた魔族達。
そしてジュエルシードと共に現れた、封印されたはずのアラケスや荒神。
……もしかしたら、あの蛙もそうなのかもしれないが。
これら全てが、実は繋がっているのでは? とルティシアは考えるようになっていた。
それは発想を飛躍させ過ぎた、杞憂・こじつけなのかもしれない。
しかし、ただの偶然で片付けるには、重なりすぎている。
なのはが塾に通う日。三人と塾の前までは一緒に行った後、ルティシアは拠点へ向かった。
購入したドッグフードを置くのと、拠点にあるデータバンクでセイティーグの資料――封印が解除されているかどうか、記録を確認するために。
公園奥の森の一画。外から目立たぬ位置にある一本の木。
「そういえば、ドッグフードをどこに置くか、考えていませんでした」
素早く近くに誰もいないことを確認すると、上手く円形に広がっている幹へと跳躍。キーワードを唱えることで現れる、茶色と緑色でカモフラージュされたかのような、小さな小屋。
誰かが来る前にと、素早く玄関を潜り抜け――。
「あ、おかえり」
「邪魔してるよ~」
「……え?」
――誰もいない筈の室内で、二人の女性の声に出迎えられた。
そんな予想もしていなかった出来事に、ルティシアの口から、小さな驚きの声が上がる。
一人は分かる。
一階の中央にあるリビング。そこに置かれた応接セットの椅子に座り、こちらを申し訳なさそうに見ている、姉が今悩んでいる人物については。
憂いを帯びた寂しそうな赤い瞳の目に、輝くような金髪、黒衣に身を包んだ少女――フェイト。
しかし、フェイトの後ろに立っているもう一人の人物については、全く覚えが無かった。
オレンジの髪に青い瞳で長身、露出部が多いラフな衣服の女性。
こちらを見つめる女性の顔には、まるでとっておきのイタズラが成功した、小学生みたいな表情が浮かんでいた。
「……オレンジ?」
ルティシアが室内を見渡しても、あの独特な色の狼の姿がない。
次いで、女性とフェイトを交互に見る。
一人はふふ~んと大きな胸を張り、一人は申し訳無さそうな顔で縮こまる。
それを見て、ルティシアは深くため息をついた。
「賢すぎる狼とは思いましたが、ファミリア……こちらでは使い魔でしたか? アルフ」
「あったり~!」
頭痛をこらえるかのように額を押さえながら言うルティシアに、アルフはよく出来ました! と言わんばかりの満面の笑みである。
「ごめん……ルティ。どうしても、驚かせたいってアルフが」
「確かに驚きました」
真逆な表情の二人に、ルティシアも額を押さえながら返す。
「〈魔法感知〉や〈魔力感知〉を人に向けて使うのは失礼に当たると、私は教わっていたのですが……考え直した方が良いのでしょうか?」
無論これはセイティーグでの話であり、あちらでは初対面の相手をジロジロ見つめる事に相当する。
多くは魔族や邪竜といった、侵入者を見分けるために使用するからだ。
「ん? あんた魔導師なのかい? 念波が通じないから違うと思ったんだけど」
「この前も違うって言ったよね?」
「私は魔導師ではありません。魔法も……道具の力を借りるだけです。この家も、その一つですが」
ルティシアの言葉を不思議に思った二人が疑問を口にしたため、それには簡潔に答える。
魔法を見せてと言われると困るが。
前回大きく消耗した魔晶石は、まだチャージを終えていない。
右手の薬指にはめた獅子の指輪に付与されている効果は、あくまでもゆっくりとしたものだった。
〈明かり〉といった消費の少ないものも含め、チャージを終えていない間は、彼女としては余り魔法を使いたくないのである。
「あの黄金の鎧も?」
「そうですね。後言えるのは、ホームステイの小学生ということくらいでしょうか」
「ホームステイは知らないけど、何であんたはあの場所に居たんだい?」
言われてアルフを、フェイトを見る。脳裏に浮かぶのは、姉の姿。
「私からは言えません。聞くのなら、姉から聞いて下さい」
それを聞くと、フェイトは下を向く。
「ごめん、言えない。あの子には話せない。それに話しても、意味がない」
「意味がない?」
聞き返しても、フェイトはこれ以上言いたくないのか、硬く口を閉ざす。
「こっちにはこっちの、そっちにはそっちの事情があるからね。絶対に引けない事情があるなら、話をしても意味がないじゃないか」
うつむくフェイトを見ながら、辛そうにアルフが語る。
「お互いに事情があるのは仕方がありません。でも、フェイト? いつか姉の言葉が届いたら、話をしてあげてくれませんか?」
「うん。届いたら……ね」
「見た感じの甘ちゃん子の言葉じゃ、届きゃしないと思うけどね」
「今はそう見えても、気持ち一つで変わると思いますよ?」
「ふーん? そんなもんかね」
「でも、ごめん……今はまだ言えないし、話せないんだ」
今はこれで充分と、ルティシアは判断した。
フェイト達にはジュエルシードを必要とする引けない事情があり、今は無理でも、今後によっては会話に応じるつもりはある。
これが分かっただけでも収穫だろう。
なのはもそうだが、フェイトもなかなかに意思が硬そうだ。
長期戦になることを覚悟しつつも、ルティシアは二人に少しでも早く会話の機会が訪れることを期待する。
それとは別に、彼女には気になることがもう一つあった。
「説明は、話せるようになってからでも構いません。ところで……」
「うん」
「二人は、まさかずっとここに?」
「う、うん」
ルティシアはジッと、気まずそうにしているフェイトを見つめる。
見られていることに気が付いて、今度は恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「血色も良く、体調の方も大丈夫そうです。アルフ、フェイトはきちんと食べ、眠っていますか?」
「そうだね。ここに来てからはきちんと食べてるし、夜もしっかり休んでるよ」
アルフの事は聞かなくても大丈夫そうだ。どう見ても健康そのものである。
「あ、食器はどうしていますか? 教えていなかったと思いますが」
「え、音声が教えてくれたけど?」
キョトンとして、フェイトが答える。
「音声……?」
この家の音声は場所によって変わっているが、元は一つのセキュリティシステムである。
普通は、主か本国の関係者にしか反応しない。
ここにきてルティシアは気が付いた。
何故、二人がずっとここに居るのか。
居続けられることは、本来あり得ないのだ。
極端な話で言えば、機密を守るために二人はここでの記憶を消され、外に出されていても不思議ではないのだから。
「システム……」
『イェイ』
ルティシアが呼ぶと、天井からやけに明るい『声』が返ってきた。
それを聞いたルティシアは軽い目眩に襲われる。
「イェイ、ではありません。理由を聞かせてくれませんか?」
『怪しい人物ではなく、危険な思考や目的も特に感じられず、放置すると行き倒れになりそうで』
「ええ……!?」
最後のそれに赤面し、珍しく大きな声を出すフェイト。
『そして、何より……』
「何より?」
途中で言葉を途切らせたシステムに、先を促す。
しかしシステムはすぐには答えず、やや間を置いてから
『主にとって、とても数少ない、貴重な友人の一人だから』
どこか同情的な音声が流れた。
「ルティ……」
「あんた……」
二人からも、何か意味がありそうな視線が向けられたルティシアは、慌てて頭を横に振る。
「友人はきちんといます」
システムに理由を聞いていたはずが、何故か寂しい人扱いされていた。
しかし、そんなことは無いと、ルティシアは強く否定する。
「ちなみに、何人だい?」
「よ……五人です」
アルフに聞かれ、言い直すも答える。
フェイト、アリサ、すずか。そして、ごく稀に図書館で出会うはやて。
それにこっそり、目の前のアルフも加えた。
少なくとも、自分としては友人と思っている。
『少ないですね』
「何故、システムにそこまで言われなくては……」
ようやく治ったはずの頭痛がすると、額を押さえる友人を微笑ましく見ていたフェイト。
しかし。
『フェイト、あなたも主一人だから一緒です』
「えええ……!?」
システムは容赦なく、フェイトにそう告げた。
加えて。
『アルフも同上です』
「あたしにも振るのか!?」
我関せずを決め込んでいたアルフにも。
「でも、私は今を友達を作るよりも……」
『そちらの事情は分かっています。言ったはずです。目的も、と』
「……!?」
システムの言葉に、フェイトは息を飲む。
自分達の狙い……目的や考えは分かっている。
システムはそう言っているのだ。
フェイトとアルフは顔色を変えると、それに対して何かを言いかけ――。
『ご心配なく』
それより先に、システムの音声が流れる。
『あなたが言いたくないことを、ワタシからは伝えません。それが例え、主であっても』
「立派な心掛けにも聞こえますが、何か言いたくなる気持ちになるのはどうしてでしょうね?」
主のそれを無視して、システムの話は続く。
『それはあなたが、自分の意思で伝えることですからね。そしてあなたが進む道のその先に、あなたを理解して手を差し伸べる人も出てくるでしょう。だから今はもがいてでも、迷ってでも、前へ進みなさい。いつか目を背けたい真実に辿り着こうとも、強き心を持ち、あなたの周りにある絆を信じることです』
ふざけていたかと思えば一転真面目に。音声だけが室内に響く中、誰も何も喋らない。
『understand ? トッピロキー?』
「ルティ……?」
「私を見られても……。このシステムを作ったのも、選んだのも私ではありませんから」
不安そうに見つめるフェイトに、ルティシアもため息をついた。
自分も受け取っただけですから、と。
「あんたの所の機械、ずいぶん変わってるんだね」
アルフは呆気にとられたような、面白がっているような、そんななんとも複雑な感じの口調だった。
「私が知っているシステムはもっと普通でした。これだけが、ちょっと変わっているのです」
『心外、心外。system all green.perfect.あべし』
「「ちょっと?」」
「聞き返さないで下さい」
異口同音に言われて、顔を片手で覆うルティシアだった。
『主? その仕草はどういう意味か聞きたい所なのですが、封印は正常であり、過去から現在まで解除されたことはありません』
「そうですか、分かりました。では、これで……」
確認したかった事を聞いて、ヨロヨロと外へ。
自分がまだ、質問を口に出していないことにも気が付いていない。
「あ、ルティ! ここは……」
「好きに使って下さい。駄目なことはさすがに止めるでしょうし」
フェイトが何か言いかけたが、それにルティシアはどこか投げやりに答えると、ふらつきながら出ていってしまった。
「行っちゃった。いいのかな? ここ使っても」
「本人が良いって言ったんだし、使っても良いんじゃない?」
二人のやりとりに、頭上からやれやれと声がする。
『強き心を持て、という話をしただけだというのに。主が何にショックを受けたのか、理解出来ません。木から落ちていますし』
「「え?」」
それに顔を見合わせた二人は、慌てて外へと向かう。
「――……ん?……ちゃん? ルティちゃん!!」
「ルティシア、大丈夫?」
座禅を組んでいたルティシアがいきなり前方に倒れたせいで、鍛練を中断してなのはとユーノが駆け寄ってきた。
「大丈夫です。ただ、ちょっと集中が足りていませんでした」
「悩み事?」
「いえ。本当に大丈夫ですから」
なのはとフェイトのことは気になるが、自分もしっかりしなくてはと気を引き締める。
魔族、荒神、システム。
一筋縄ではいかないものばかりなのだから。
「そう? でも、悩みがあったら相談してね?」
「それは、姉さんもです」
「うん。魔法のこともあるから他のみんなには相談出来ないけど、ルティちゃんとユーノ君にはきちんと相談するね」
そんな姉妹に、ユーノが嘆息する。
「ボクとしては、二人が無理をし過ぎな所を直してほしいけど。……休むことも大事だよ?」
「うん、ありがとうユーノ君。あ、今度すずかちゃんの所のお茶会に呼ばれているから、ユーノ君も一緒に行こうね」
心配してくれる友人になのはは笑顔で答える。
「すずかの所ですか?」
「うん」
「私には話がきていませんし、欠席で――」
「出席だよ?」
この子は何を言ってるんだろう? 言葉には出さずとも、なのはの表情がそう語っていた。
そして、週末。
予定通り、月村家ではお茶会の日が開かれる運びとなった。
「ごめんー。お待たせ、お兄ちゃん!」
支度を終えたなのはが一人、部屋を出ると階下の居間に向かう。
部屋の中には共に行く兄――恭也と、家で留守番をする姉――美由希。
そして。
「こんなはずでは……」
恭也に捕まっているルティシアの姿があった。
なのはが準備をしている間に、先に着替えを済ませておき、そのまま外へ――。
出て行こうとしたところを恭也に呼び止められて、ごく自然に片手で抱えあげられて確保されたのだ。
「なの姉さん。兄様が一緒に行く事を黙っていましたね?」
いつもの無表情に淡々とした口調だが、その濃紺な瞳の目だけは、若干ジト目になっている。
美由希に見送られ、バスに乗って月村家へ。
出迎えに現れた、メイド長の女性――以前海の別荘でも一緒だったノエルに案内されて、三人は中へ。
ルティシアの後には、既にネコが数匹。
案内された部屋には、すずかとアリサ、すずかの姉の忍、すずか付きのメイドで別荘でも一緒のファリンが居た。
恭也と忍とノエルは忍の部屋に移動し、ファリンは後から来た姉妹のお茶の用意をしに退室。
部屋には四人組……と猫達が残った。
「すずかちゃん、アリサちゃん」
「いらっしゃい、なのはちゃん、ルティシアちゃん」
「よくやったわなのは。ルティシアも、逃げずにちゃんと来たわね」
「すずか、アリサ。ところで、その満面の笑みは何でしょうか?」
二人と姉妹が挨拶を交わす中、ユーノは初めて訪れた場所を眺めて……身をすくませた。
ジッと見つめる子猫が一匹。
やがて――。
「キュ、キュウーー!?」
――猫とネズミのアニメのような、おいかけっこが始まる。
ネズミ役に攻撃の意思がないという違いはあるが。
「ああ!? ユーノ君!」
「アイ、やめなさい!?」
「一匹だけですか。もっと集まるかと……」
「あんたね。ユーノを囮に考えてどうするのよ?」
ユーノを助けようと、なのはが席から立ち上がり、子猫を止めようとすずかが立ち上がる。
ユーノを追いかけているのが一匹と、残念に思っているルティシアは、早くも腰辺りまで猫達に侵略されていた。
お茶とお菓子を持ってきたファリンの周りを二匹が走り回り、目を回した彼女が食器を落としそうになるハプニングがあったが、なのはとすずかのお陰で何とか事なきを得た。
ネコ達と戯れている(?)ルティシアをファリンに任せて、三人娘は庭に移動する。
最近元気が無いなのはをなんとかしようと、二人で相談して開いた今回のお茶会。悩みがあるなら自分達にも相談して欲しいと、すずかに言われたなのはは感動で胸がいっぱいになっていた。
そんななのはが二人に感謝を述べようと口を開いた時だった。
――ジュエルシードが発動したのは。
「『ユーノ君!!』」
「『うん! このすぐ近くだ!」
「『でも二人が一緒だから行けないよ……。危険に巻き込みたくないし、今はルティちゃんも居ないし』」
「『ルティシアは後から来てくれる事を信じて、ボク達だけでも先に! ここはボクに任せて』キューキュー」
ユーノが、ジュエルシードを感じた庭の奥へと駆け出していく。
二人から見れば、テーブルの上にいたユーノが突然駆け出したように見える。
「あ、ユーノ君! ちょっと探してくるね」
「大丈夫?」
「一緒に探そうか?」
席を立つなのはに、二人も協力を申し出る。
それに、大丈夫! と答えたなのはは急ぎユーノを追いかけた。
「多分、すぐ見つかると思うから。かわりにルティちゃんをお願いー!」
「いつもなのはの面倒を見ているから、休ませよう(面白いから)と思ってそっとしたけど」
「ファリンもまだ来ていないから、まだタワー中なのかも……?」
妹のことを二人に任せたなのはは、ユーノと合流し反応があったと思われる場所を目指す。
たどり着いた先には、巨大化したアイと呼ばれていた子猫。
そして、その場にはもう一人。
「あの子だ……!」
なのはが視線を向けた先……黒い衣装に黒いマントをなびかせて、右手に棒状のデバイス、ツインテールに結われた金髪の少女が、ネコとなのはを木の上から見下ろしていた。
next
白と黒、二人の少女の二度目の出会い。
白の少女は、黒の少女に呼びかける。
なのは「名前を教えて」