魔法少女リリカルなのは~竜の国の社会勉強録~   作:ショウマ

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 後半は、リリなのらしくないかもですが
 
 
 



その21 「そんなのずるい!!」

 

 

 赤い月が照らす異界の森と化した月匣内。

 

 濃紺の髪の少女――ルティシアと、手足のある人面紫キノコ、その配下らしい無数のデフォルメされた恐竜の様な緑色のロボットが対峙する。

 

 紫キノコが頭をポフポフと叩く度に、胞子がパラパラとばらまかれる。

 

「ん~、良く見たらお前はマナが少ないにゃ~。むしろ、からっぽ?」

 

「確かにありませんが、それが何か?」

 

 ホテホテと落ち着きなく辺りを歩き回っている紫キノコが、プヒーと木の上のルティシアを見上げる。

 

「俺は、この地に大量のマナ持ちがいると聞いて来たんだみゃ。それ以外に、俺は興味ないにゃ」

 

 そう言うと歩みを止めないまま、去れと言わんばかりに手をヒラヒラと振っている。

 

 逆にルティシアとしては見過ごせなくなる。

 

 この地にいる大量のマナを持つ者。

 

 姉のなのはか、友人のフェイト。

 

 どちらか、あるいは二人共が狙われている可能性が濃厚となったためだ。

 

「あなたの狙いがそれであるなら、私としては止めさせてもらいます」

 

「やめておけにゃ~。お前では、俺は倒せないにゃ」

 

 右手の指輪を構えるルティシアに、顔も上げることなくホテホテと歩き続ける紫キノコ。

 

 だが周りにいる恐竜ロボ達は、スイッチが入ったかのように一斉に振動し始めた。

 

 ルティシアもまた、その身が黄金の光に包まれる。

 

獅子座(レオ)

 

 右手の薬指にはめた獅子の指輪の瞳が輝き、ルティシアの身に獅子座の黄金聖衣が纏われる。

 

 白いマントをひるがえし、右手に集まる雷光……!

 

「雑魚は無視で、ボスからです。撃ち抜きます……獅子の牙、ライトニングボルト」

 

 恐竜ロボ達の頭上を越えて、放たれた雷光は真っ直ぐに紫キノコへと。

 

「無駄にゃ~」

 

 しかし命中と同時に、ルティシアへと跳ね返ってくる。

 

 自らの元に返ってきた雷光を、飛び下りることでかわした少女。

 

 その着地するであろう場所に向かって、恐竜ロボ達が口を開く。

 

『ワッ』

 

『ギャ』

 

 そんな鳴き声と共に、小さなワッとギャの字が高速で飛んでくる。

 

 飛んでくるそれらよりも僅かに早く、ルティシアは着地と同時に横に飛んで避け――。

 

「え……!?」

 

 何かに引っ掛かったかのように、途中で動けなくなる。

 

 確認すると、ギャの字に触れたマントが空中でプルプルと震えながら、そこで固定されていた。

 

「バインドでしたか」

 

『ガー』

 

『ギャー』

 

 聖衣からマントを外したが、周囲から飛んできた大きなガーとギャーの字を避けきれず、ルティシアは吹っ飛ばされていく。途中にあった小さな木を数本薙ぎ倒し、勢いが弱まった所で太い木に叩き付けられて、ようやく止まった。

 

 叩き付けられたダメージはあるが、そこまで大きなものでも無いし、聖衣にも傷は無い。

 

「言葉ではね飛ばされるというのも、シュールな感じですね」

 

 視線を向けると、こちらへと向かってくる緑色の複数の物体。

 

 かなりの跳躍力もあるらしく、木々の上の方の枝へと跳び上がると、身軽な動きで迫ってくる。

 

『ワッ』

 

『ギャ』

 

 こちらへと、四方八方から飛んでくる高速の小文字弾。

 

 弾速はあるが貫通力は無いらしく、木に当たるとそのまま消えていく。ただ、当たると先程の様にバインド状態になるようだ。

 

 大文字の方はその逆であり、弾速は無いが代わりに貫通力や攻撃力が高いらしい。

 

 一定距離を保ちながら文字弾を吐き続ける、それらに対して――。

 

「鬱陶しいですね」

 

 一言、呟いた。

 

 わらわらと動いては、四方八方から文字弾を放ってくるのである。

 

 故に……。

 

 黄金の闘気を放ち、光速で一瞬の内に一体に近付き右手を叩き込み。

 

「ライトニングプラズマ」

 

 閃光が走る……!

 

 幾筋もの光の軌跡を描いて、放たれた閃光はその個体と周囲の数体を切り裂いていく。

 

 それらが空気に溶け込むように消えていくのを見届けずに、その場をすぐに離れる。

 

 着弾する文字弾の、飛んできた方角と数を確認しながら、次に狙う場所を選別する。

 

「バルディッシュ、フォトンランサー」

 

《photon lancer. get set》

 

 静かな声共に飛来した数条の雷光が、二体の恐竜ロボを撃ち抜いていった。

 

 ルティシアの近くに飛来したのは、金髪ツインテールの黒衣の少女――フェイト。

 

 そして。

 

「ほらほら、サクッといくよ!」

 

 駆け抜けるオレンジの狼――アルフが、別の恐竜ロボの一体に爪を振り下ろしている。

 

「大丈夫? ルティ」

 

 まだまだ多い言弾を避けながら、フェイトが話しかけてくる。

 

「ありがとうございます、フェイトにアルフ。言葉の暴力に気を付けて下さい。捕縛と衝撃です」

 

「一部よく分からなかったけど、気を付ける。バルディッシュ、行くよ」

 

《yes sir. scythe form. stand by》

 

 光刃の鎌を構えつつ、ルティシアが狙うのとは別の位置にいる恐竜ロボへと向かっていく。

 

 ルティシアも近くの恐竜ロボに拳を叩き込んで壊すと、アルフに近寄る。

 

「アルフ。これのリーダーが、フェイトを狙っているかもしれません。フォローを」

 

「何だって!? フェイトのことは任せときな!」

 

 ルティシアから言葉を受け取ると、アルフは援護をするべくフェイトの方へと駆け出す。

 

 互いの死角をカバーしながら、次々倒していく。

 

「ライトニングプラズマ……ボルト」

 

 近くにいたのをまとめて倒すと、上空の個体をボルトで撃ち抜く。

 

 そして、次の群に――。

 

「あ……!?」

 

「アルフ!」

 

 向かおうとしたら、焦る二人の声が聞こえた。

 

 見ると、小言葉弾をアルフが避け損ね、そちらに気をとられたフェイトもまた動きを止められている。

 

『ガー』

 

『ギャー』

 

 大文字弾が、ロボ達の口から動けない二人に放たれ――

 

 

「フェイトちゃん、危ない!」

 

《wide area protection》

 

 展開された防御壁が、言弾から二人を守る。

 

 二人の横に空から降りてきたのは、肩にフェレット――ユーノを乗せた茶髪の白い装束と濃紺のマントの少女――なのは。

 

「どうして……」

 

「お前、どういうつもりだい? あたし達は敵同士なんだよ?」

 

 助けたなのはに対し、フェイトは困惑、アルフは敵意を向ける。

 

 だが、そんな二人を前にしてもなのはは落ち着いた表情。

 

「少なくとも、今は敵じゃないよね? それに、ルティちゃんを助けてくれたんだよね?」

 

 逆にそう尋ねた。

 

「それは……そうだけど」

 

「だから、今だけでも一緒に戦おう? この間のように、変なものが居るとみんな困るし」

 

 躊躇しているフェイトに向かって、なのはは近くに浮いているガンビットを見せる。

 

「ルティちゃんは、多分ここから退かないから」

 

 と言うと、遠くで雷光を放つルティシアを見る。

 

「また、こっそり一人で戦おうとしたみたいだし……ユーノ君が気が付かなかったら、絶対内緒にしていただろうし。後でオハナシしないと……」

 と、黒い笑顔を浮かべるなのは。

 

「えっと……」

 

「フェイト。何か妙な気配を感じるんだけど……」

 

 妙な迫力を放つ目の前の少女に、思わず一歩引きそうになったが……。

 

 フェイトも、ルティシアへと視線を向ける。

 

「アルフ」

 

「へいへい、一時休戦ね」

 

 二人はまた恐竜ロボの方へ。

 

 聞いたなのはは、一緒に戦える喜びでいっぱいである。

 

「そういうことだから、ユーノ君とレイジングハートもお願いね」

 

「うん、サポートするよ」

 

《all light》

 

 なのははルティシアの方へと。

 

 そして……。

 

「ライトニングボルト」

 

「撃ち抜いて! ディバイン!」

 

《buster!》

 

「貫け、轟雷!」

 

《thunder smasher》

 

 雷光が。

 

 桜色の光が。

 

 金色の光が。

 

 恐竜ロボ達を飲み込んでいった。

 

 ロボ達を倒し終わり、ルティシアの近くに集まる一同。

 

「これで、終わり?」

 

「いえ、まだリーダーがいます。フェイト」

 

「リーダーて何? この間みたいな荒神とか?」

 

 聞いてきたフェイトにルティシアが答え、なのはも質問を口にする。

 

 問われ、しかしルティシアは表現を考えながら答えた。

 

「手足の生えた人面紫キノコ?」

 

「何だいそれは……」

 

「ちょっと……想像つかないな」

 

 ややあって紡がれた言葉に、アルフとユーノは分からないと首を捻る。

 

「見たらすぐ分かると思いますが、それよりも。四人共、今からでも帰りませんか?」

 

 ルティシアに、全員がキョトンとした顔をする。

 

「そういえば、フェイトを狙ってるって言ってたね」

 

 

「私?」

 

「フェイトだけではなく姉さんも。もしかしたらユーノとアルフもです。敵の狙いはマナ、みんなの持つ魔力です」

 

「それは……確かに、ボク達も狙われるかもね」

 

 アルフの言葉を補足しながら相手の狙いを説明すると、それを聞いたユーノが思案顔をする。

 

「でも、全員で一斉にやっちゃえば良いんじゃないかい?」

 

「そうだよ。みんなで、頑張ろう?」

 

 アルフの意見に、なのはがすぐに賛同する。みんなで、の部分が強調されている。

 

「とりあえず、ルティ。時間を与えたら不味そうだから、行こう?」

 

 フェイトが真っ直ぐルティシアを見る。

 

 退く気を全く見せない一同に、『自分にもっと上手い言葉があれば、四人を危険に晒さなくて済んだのだろうか?』と、心の中で自分自身にため息をついた。

 

「あ、ルティちゃん」

 

 歩き始めたら、なのはがこっそり話しかけてくる。

 

「フェイトちゃんといつ仲良しになったのか、後でオハナシしようね?」

 その顔を見ないようにして、ボスがいた広間へ。

 

 ずっと歩き回っていたキノコは、今は肘をついて横になっている。

 

「あれかな? 確かに変なものだね」

 

 そう言いながらも、なのははレイジングハートを構える。

 

「ライトニングボルト」

 光速でキノコの後ろに回り、不意打ち気味にルティシアから放たれた雷光は、やはり少女自身に跳ね返ってくる。

 

 ルティシアは技を放った後、そのまま元の位置へと戻った。

 

 跳ね返ったのを見て、一同の顔色も変わる。

 

「このように跳ね返されます」

 

「そうにゃ~。俺にはそんなのは効かない。それに、ここは俺の世界。俺を倒したかったら、俺のルールで戦うにゃ」

 

「あなたのルール?」

 

 フェイトも、なのはの横でバルディッシュを構えながら問う。

 

「プヒー。そうにゃ。俺を倒すには、知力。頭を使って勝負にゃ」

 

「頭? 頭突きでもするのかい?」

 

 寝転がったまま喋る紫キノコに、アルフが苛立たしげに言い返す。

 

「あ~あ、言っちゃったにゃ」

 

 途端に、アルフの体が石へと変わる。

 

「お馬鹿な禁句を言っちゃうと、石になるにゃ」

 

「アルフ!? よくも、アルフを!」

 

《thunder smasher》

 

 一瞬で石化したアルフを見て、激昂したフェイトが紫キノコに向けて、バルディッシュから金色の光の奔流を放つ!

 

「やれやれ、無駄と言ってるにゃ」

 

「っ!! 危ない、フェイトちゃん!!」

 

 跳ね返った金色の奔流からフェイトを助ける為に、なのはがフェイトごと横に跳び――。

 

「ライトニングボルト!」

 

 二人の前に立ったルティシアが、下から上へと雷光を放ち、金色の光を弾く。

 

 二つの光は混ざり合いながら、赤い空へと消えていった。

 

「フェイトちゃん。だいじょうぶ?」

 

 先に立ち上がったなのはが、フェイトに手を差し出す。

 

「うん、ありがとう。……えっと」

 

 手を取って礼を言いながら立ち上がり、でも何かに気付いて言いよどむ。

 

「わたし、なのは。高町なのは」

 

「ありがとう、なのは」

「うん!!」

 

 嬉しそうななのはの様子に、フェイトも一瞬微笑を浮かべかけるも、アルフの事を思いだして表情を引き締める。

 

 それを見たなのはも表情を引き締め、紫キノコに視線を向けた。

 

 紫キノコは相変わらず寝転がったまま、片手をヒラヒラさせている。

 

「もういいかにゃ? 心配しなくても、俺を倒せば犬っころも戻るにゃ」

 

「それで、何をすればいいのですか? 頭を使う勝負とは」

 

「か~んたんな事にゃ」

 

 キノコがニヤリとした笑みを浮かべる。

 

「しりとりで勝負にゃ」

 

 脳が言葉を理解したくなかったのか、何を言われたのか分からなかった」

 

 一陣の風が吹き、それぞれの髪を、衣服を揺らす。

 

「「「「え?」」」」

 

 ユーノも含めて、異口同音に。

 

「ん? 聞こえなかったかにゃ? し・り・と・り・にゃ」

 

「やっぱり、しりとりなんだ」

 

「えっと……」

 

 改めて言われても、困惑する。

 

「フェイトちゃん、しりとり自信ある?」

 

「ごめん、余りない……」

 

「ユーノ君は?」

 

「ボクも余り無い、かな」

 

「そっか」

 

 二人共、自信が無いと頭を振る。

 

「とりあえずそこの白いのと黒いのは参加にゃ。後の二人は、どっちでもいいにゃ。だが、小さいのも参加だと嬉しいにゃ」

 

 身を起こしながら紫キノコが言うと、その図上に大きな白いボードが現れる。

 

「さて、参加者を決めるにゃ」

 

「二人は、絶対に参加なのですね?」

 

「そうにゃ。後の二人は好きにするにゃ。助言は構わないがにゃ。ああ、参加者以外は危険はないにゃ」

 

 それを聞いて、四人は顔を見合わせる。

 

「どうしよう?」

 

「私はアルフの事があるから。苦手だけど、絶対に助ける」

 

「そうですね……」

 

 暫し、相談した結果。

 

 ユーノ以外の三人が参加となった。

 

「ユーノ君、良い答えがあったら教えてね」

 

「うん、なのは達も気を付けて」

 

「んじゃ、ルールを説明するにゃ。今からこのボードに、24枚の絵が浮かぶにゃ。それを選んで、言葉を言う。合っていれば○。間違っていれば、制限時間内なら選び直せるが、間違える度に時間は減るにゃ」

 

 宙に浮かぶボードを中央に下ろしながら、紫キノコが説明する。

 

「先攻は俺。そちらは好きな順番で良いが、一度決めたら最後までそのままいくにゃ。尚、繋がる絵が無かったり、制限時間がくるとその段階で終わり。そして……」

 

 ギラリと、キノコの目が怪しく輝く。

 

「止まった奴のマナを貰うにゃ!」

 

 その言葉を合図に、ボードに24枚の絵が浮かぶ。

 

 浮かんだのだが……。

 

「ルティちゃん。絵が下手で分からないよ……」

 

「あれとこれは、分かる……かな」

 

「何を描いているのか分からないのは、きついですね」

 

「分かるのから答えていくか、分かりにくいのを優先して消していくか迷うね」

 

 鉛筆らしきものや、太陽みたいなモノの中で、落書きみたいなモノもある。

 

「順番は、フェイト、ルティシア、なのはで。分かるモノから答えよう。練習の時間がないのは辛いけど」

 

「始めるにゃ~」

 

 キノコは手をワキワキと動かしながら指先から光を放つと、落書きみたいな絵が書かれたものを指す。

 

「どへたなえ、にゃ」

 

「「「「自分で言わないで(下さい)!」」」」

 

 だが、○だったのか絵が消える。

 

「じゃ、じゃあえんぴつ」

 

 フェイトが指した絵も消える。

 

「つぼ、にゃ」

 

 三脚の上に細長い白い筒、さらにその上にスコープらしきモノが付いた絵を指す。

 

「ぼうえんきょう、です」

 

「うし、にゃ」

 

「しろくま!」

 

「マイク、にゃ」

 

 黒いゴワゴワしたような丸いモノに銀の筒、それから紐を伸ばした様な絵が消えた。

 

「えっと……」

 

「『フェイト。下が白で上が黒、その上に点線でmみたいになっている絵を指して、くじら』」

 

「『うん』くじら」

 

 こちらの動物を知らないかも? というユーノの機転(フェイトに恥をかかせないように念話)により、フェイトが指した絵が消える。

 

「プヒー、ここから本気を出すにゃ」

 

 そう言うと、紫キノコは先端が丸みを帯びている黄色い棒の絵を指し。

 

「ラケット、にゃ」

 

 消していく。

 

「えー!? そんなのずるいよ! 今のはしゃもじじゃないの!?」

 

 というなのはの抗議に対して、紫キノコはどこ吹く風と知らない振り。

 

「俺にはラケットに見えたにゃ。実際消えたにゃ」

 

「ずるいー!」

 

「ずるくないにゃ。そっちの番にゃ。早くしないと、時間無くなるだけにゃ」

 

 しかし、次のルティシアは悩んでいた。

 

 分かりにくい絵がまだあるが、それも含めて残っているのは。

 

 コーヒー。たぬき。ゴリラ。馬。太陽。家。羊。スイカ。パンダ。ろうそく。ギター。ロケット。インクらしきモノ。ラジオらしきモノ。黄色い板に何か取っ手みたいなモノがついたもの。黒い箱に目盛りとアンテナみたいに棒が伸びたもの。

 

「と……ど……と……」

 

「降参かみゃ~」

 

「ルティちゃん」

 

「ルティ」

 

 考える。考える。

 

「ろうそくで、ともしびです」

 

 絵が消える。

 

「「「やった!」」」

 

「ちっ! ひつじ、にゃ」

 

 喜ぶ姿に舌打ちし、次を選ぶ。まあ、あれが負けても利点が少ないからにゃ、と思い直す。

 

「え~と……あ! これで勝てるかも!」

 

 なのはが選んだのは家の絵。

 

「じゅうたく!」

 

 消えた。

 

「上手いなのは! く、は無いよね」

 

「良い手です」

 

「これで勝てる、かな?」

 

「えっへん!」

 

 勝ち誇るなのはに、紫キノコはプヒーと息を吐き出す。

 

「甘いにゃ~」

 

 指したのはギターの絵。

 

「クラシックギターにゃ」

 

 消えた。

 

「「「「え」」」」

 

「プヒー、まだまだ甘いにゃ」

 

「ずるいーー!?」

 

 悔しがるなのはを、フェイトが慰める。

 

「最後に、私たちが勝てばいいから。たいよう」

 

「これで、うまがくるとして……」

 

「甘いにゃ。うちゅうりょこう」

 

 予想に反し、消えたのはロケット。

 

「あれもずるいけど、何で馬じゃないんだろう?」

 

「何かあるね。あのキノコ、何か狙ってるはず」

 

「ボクもそう思うけど、狙いは何だろう?」

 

「悩んでも時間は減りますし、続けるしかありませんが……うま」

 

「マウンテンゴリラにゃ」

 

 うま、ゴリラと消える」

 

 残りは七枚。

 

「ら……ら……『ラジオ』……ラジオ!」

 

 黒い箱の絵が消えた。

「なのは、凄い」

 

「次は……?」

 

「おおくまねこ、にゃ」

 

 パンダが消えた。

 

 む~、と唸るなのは。

「コーヒー」

 

 フェイトが消して、残り四枚。

 

 紫キノコは深くため息をついた

 

「結局、こいつかにゃ。つまらんにゃ」

 

「どういうこと?」

 

 

 不可思議な発言に、怪訝な顔をする一同。

 

「決まりにゃ、ひきだし」

 

 指したのは、黄色い板に取っ手が付いたもの。

 

「まな板にしか見えないのに!」というなのはの抗議は、やはり無視。

 

 残り三枚。

 

「し、ですか……」

 

「お前の死にゃ。マナ的に一番つまらんにゃ」

 

 本当につまらなそうな紫キノコ。

 

「ルティちゃんは死なせない!」

 

「ルティまでやらせない」

 

 それぞれに、相棒を構える。

 

 そんな二人の横で、ルティシアとユーノは考えていた。

 

「少なくともスイカは違うよね?」

 

「しが付きそうな名前は思い付きませんね……。悪い読み方で、インクでしょうか?」

 

「し……の付くインク」

 

 ルティシアは何かが引っ掛かっていた。

 

 つい最近、見なかっただろうか。

 

 チラッと見るだけで、読まなかったもの。

 

 最近。学校。図書室。開いていたのは……工芸品。

 

「時間かにゃ」

 

「タヌキで……しがらきやき、です」

 

 タヌキが消えた。

 

「ルティちゃん、やったーっ!」

 

「ルティ、良かった」

 

「そういうのがあるんだ……」

 

「馬鹿な!?」

 

 四者四様な反応。

 

 インクとスイカ。

 

 四人が見つめる中、紫キノコはじっとボードを見つめる。

 

 動かない。

 

 目を閉じて考えていた。

 

 四人も固唾を飲んで、ジッと待つ。

 

 キノコが、カッ! と目を開く。

 

「サラバだにゃ」

 

 キノコの足下から煙が吹き出すと、そのまま空を飛んでいってしまった。

 

「え?」×4

 

 その様子を、四人は茫然と見送ってしまう。

 

  が、しかし。

 

「あ……あれ? あたしはどうしたんだっけ?」

 

 と、言う声に意識を取り戻した。

 

「アルフ!!」

 

 喜びの声を上げたフェイトは、アルフのフサフサな体に抱き付いた。

 

「フェイトちゃん……良かった」

 

「そうですね。とりあえずこれで、終わりでしょうか?」

 

 二人を見ていた姉妹とユーノも一息をつき。

 

『いや、死の定めからは逃げられんぞ』

 

 赤から青へと月の色が変わり、少女の体を黒い鎌が貫いた……!

 

 




next


突然の一撃


絶望の中、鎌は振るわれる


フェイト「負けない、許さない!」
 
 
 
 
 
 
 
(注)

 ワギャンランドシリーズより。


 紫キノコには、PAPUWAより コモロくん成分 を少し足しています。


 このシリーズのしりとりは、初見だと実際「ずるい」と言いたくなることがあります。むしろ、ありました。



 マイナー作品ネタは、多分今回でしばらく終わりです。


 世界観が狂ってる?


 きっとナマモノ成分のせい
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