魔法少女リリカルなのは~竜の国の社会勉強録~   作:ショウマ

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 今回はやや短めの日常を
 
 
 
 
 



その25 「負けず嫌いですから」

「なの姉さん。早く起きるか、離して下さい」

 

 

「ふふ~ん。ルティシア、その姿勢ではもう逃げられないでしょう?」

 

 

 朝日が射し込む海鳴温泉の一室。

 

 

 家族だけでは無く、友人も一緒の旅行の場合注意が必要な場合がある。

 

 部屋の人数は四人。

 

 

 敷かれた布団は三つ。

 

 

 もちろん反対する人物(一名)は居たが、なし崩しに決定してしまった。

 

 

 深夜の騒動の関係で、布団に戻ったなのははすぐに夢の中に旅立ち、それを見届けたルティシアもすぐに就寝。

 

 

 そこまでは良かった。

 

 

 気配を感じて目を開けたら、すぐ近くでニヤニヤしたアリサと、少し離れた位置でおろおろしているすずかが視界に入った。

 

 

「おはようございますアリサ、すずか……?」

 

 

「おはよ、ルティシア」

 

 

「お、おはようルティシアちゃん」

 

 

 ルティシアの視線はアリサに。正確には手に持ったペンへ。

 

 

「そのペンは何でしょうか、アリサ?」

 

 

「何だと思う?」

 

 

 ニヤニヤした表情のままのアリサに、ルティシアはため息をつく。

 

 

「想像はつきますが、やめてください」

 

 

「嫌よ」

 

 

「即答ですか」

 

 

「だって、こんな機会そうそう無いじゃない。あ~も~、何で起きるのよ」

 

 

 しかし、ペンが置かれる様子はなく、むしろ構える姿勢に。

 

 

「ま、起きても聞いた通りの体勢だし、結果は変わらないわね」

 

 

 体勢とはなのはが抱き付いて寝ている事だろう。

 

 

 それよりも気になる事はーー。

 

 

「聞いた通りとは誰にですか?」

 

 

「美由希さん」

 

 

「やはりみゅー姉さんでしたか」

 

 

 あっさり答えられた名前に再びため息をつきーー。

 

 

「……く」

 

 

「……ちぃっ!」

 

 

 伸ばされたペンを首をひねって避ける。

 

 

 そして、冒頭の会話になる。

 

 

「さあ、観念しなさい!……ああ、心配しなくてもなのはにも書くから安心なさい」

 

 

「後半は分かっています」

 

 

 ジリジリと迫るアリサから離れようと、なのはを起こそうともがく。

 

 

「ふっふっふ、あんたがなのはを力づくで振りほどかないのは分かってるのよ!」

 

 

「みゅー姉さん……」

 

 

 ルティシアの脳裏に、笑顔でごめんね~と言っている美由希の姿が思い浮かんだ。

 

 

「さあ、……覚悟!」

 

 

 アリサの手が伸ばされ――。

 

 

「……ふっ!」

 

 

「……ぶにゃ!?」

 

 

 ペンに視線を向けたまま、一呼吸と共にペンをかわす。

 

 

 何か潰れたような声が聞こえたが。

 

 

「なるほどね。振りほどかなくても、上に乗って転がる何てね」

 

 

「これ位なら、なの姉さんも怒らない筈です」

 

 

 言うルティシアが見つめているアリサの表情は、避けられたにも関わらずニヤニヤしたまま。

 

 

 不審に思ったルティシアが口を開こうとして――額に当たる感触に正面に視線を向けると。

 

 

「ごめんね~ルティシア。」

 

 

 いたずらっ子の顔をした美由希がペンを動かしていた。

 

 

「武術で学んだ気配殺しを、こんな事に使わないで下さい。みゅー姉さん」

 

 

「どうしても、ルティシアにイタズラしたい衝動が抑えられなくて。いつも年に合わない落ち着いている子が、友達と一緒なら相応に見えるのも姉として嬉しいしね」

 

「前半とその表情と動かし続けるペンで後半が……って、アリサも書かないで下さい。すずか、写真ではなく止めて下さい」

 

 

 

 

 

「アリサちゃん、ひどいよ~」

 

 

「起きないのが悪いのよ」

 

 

 きっちり落書きされたなのはが顔を隠しながら文句を言っている。

 

 

 四人で温泉に向かいながらだが、一人は顔を隠し、もう一人は堂々と。

 

 

「お湯じゃないと消えないペンとは……部屋でお湯を使えば良いのでは……」

 

 

「温泉なら、朝にも入るものよ!」

 

 

「そういうものなのですか? すずか」

 

 

「え~と、そういう人も多い、のかな?」

 

 

「というか、あんたはちょっとは恥ずかしがるとかしなさいよ! 堂々とし過ぎて、横にいるあたしの方が恥ずかしいじゃない!」

 

 

「自分でしておいて、何を言うのですか……」

 

 

 理不尽な怒りにルティシアはため息。

 

 

「そういえば、美由希さんはどうしたのかな?」

 

 

「みゅー姉さんでしたら、兄様にちょっと報告したら引っ張っていかれましたが」

 

 

「気にしていない様に振る舞って、きっちり仕返ししてるじゃない」

 

 

 

 あれ? というすずかに、ルティシアが返して、それにアリサがジト目で言う。

 

 

「みゅー姉さんは度々こういう事をしようとしていましたし、丁度良い機会かなと」

 

 

 淡々と語るルティシアに、今度はアリサがため息。

 

 

「通りで……。あれこれ教えてくれたわけよね」

 

 

「温泉まだ~?」

 

 

「もう少しだよ、なのはちゃん」

 

 

「ふぇ~……恥ずかしいから早く落としたいよ……」

 

 

 顔を隠しながら歩くなのはを誘導しながら、すずかは姉の姿を出来るだけ見せないように壁になって歩くルティシアに声をかける。

 

「でも、ルティシアちゃん。せめて、恥じらいは持ってね?」

 

 

 言われたルティシアは首をかしげる。

 

 

「恥じらい……ですか? 昨日言われた通り、タオルは巻きますが」

 

 

「むしろ、あんたが恥ずかしがる姿を想像出来ない事が、既に問題ね……。以前のウェイトレス姿も、嫌がりはしたけど恥ずかしくてじゃなかったし」

 

 

「温泉~~……」

 

 

 

 

 

 

 温泉から出ると、朝食。

 

 

 力尽きていた美由希も、何とか食べ終えて各自自由時間に。

 

 

 昨日確認した土産品を 購入して、卓球台へ。

 

 

「じゃ、軽く練習しよう? ルティシアちゃん」

 

 

「そうですね。昨日の分を取り戻さなくては」

 

 

 そう言いながら、本人達の言う軽い練習に入る。動きこそ少ないが、既に高速ラリーである。

 

 

「あんたも、何だかんだでよくすずかと勝負してるわね」

 

 

 その様子を見ているアリサは呆れ顔。

 

 

「負けず嫌いですから。お互いに」

 

 

 まだ喋る余裕があるのは、やはり軽い練習の関係だろうか。

 

 

 ラリーを終えて、温泉から出た後ずっと伸ばしていた濃紺の髪を、いつも通りポニーテールに纏めて――開始。

 

 

 横の別世界を見ないようにして、なのはとアリサもゆっくりとラリーを始める。

 

 

「なのは」

 

 

 不意にアリサが口を開いた。

 

 

「ふぇ?」

 

 

「言えない悩みを無理には聞かないけど」

 

 

「……え」

 

 

「それ以外の抱えきれなくなったものは、遠慮しないでいつでも言いなさい。あたしもすずかも、あんたの……その……友達なんだか……ら」

 

 

 静かに……、後半は顔も赤いし声も小さかったが、なのはにはきちんと届いていた。

 

 

 だからこそ。

 

 

「ありがとう、アリサちゃん。それに、すずかちゃん」

 

 

 親友に素直に感謝する。

 

 

 そして、誓う。今はまだ言えないけど、いつか言えるようになったら必ず伝える、と。

 

 

「隙あり!」

 

 

 動きが止まっていたなのはに構わずポイントを得る。

 

 

「ふぇ~~!? ひどいよ、アリサちゃん!」

 

 

「ふふ~ん。油断したなのはが悪いのよ」

 

 

 抗議のなのはに対しても、余裕の表情。

 

 

「む! 絶対に負けない!」

 

 

「来なさい!」

 

「二人には感謝しています」

 

 

「何のことかな?」

 

 

 横のやりとりを実は聞いていた二人。

 

 

 アリサが喋り始めた時点でスピードをやや緩めていたため、あの小声もしっかりと耳に入っていた。

 

 

「色々、気を使わせてしまっていますね」

 

 

「友達なら、当たり前だよ? 無理に聞くだけが友達じゃないから、私達に出来る範囲で力になるだけだよ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「感動して、負けちゃうかな?」

 

 

「少なくとも、それはありません」

 話しながら、二人のラリーのスピードは再び増して、動きも激しくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 昼食を挟んだ後に、近くを散歩してまた卓球へ。

 

 

 ただ、朝の疲れが取れていないため早々に三人娘は部屋でひと休みする事に。

 

 

 ルティシアは一人、散歩の時に通った河原へとやって来ていた。

 

 

 何をするでもなく、ただじっと木にもたれて河を見つめる。

 

 

 どれくらいそうしていただろうか。

 

 

 不意に、頭上の枝に気配が現れる。

 

 

「一人で戦う方法でも考えてるのかい?」

 

 

「違いますよ、アルフ。私がお世話になった方に、決して絶望に折れない事を誓っていただけです。」

 

 

「ふ~ん。まぁ、無理はするんじゃないよ? フェイトも心配するし」

 

 

 姿を見せないアルフに、ルティシアも顔を上げずに。

 

 

「アルフはどうしてここに?」

 

 

「昨日の今日で、また戦っているかもってフェイトが気にしてさ」

 

 

「自分が無理しないように、って伝えて下さい。姉さん曰く、ジュエルシードを見てから必死になったそうですし、実際最後も飛び込んで行きましたしね」

 

 

「フェイトも無茶する子だからね……。今は特に。理由は、言えないけど……」

 

 

 辛そうにアルフが語る。

 

 

「可能な範囲で手伝える事が出来たら言って下さい。この間も言いましたが、フェイトもアルフも傷付いたらお互いが悲しむのですから」

 

 

「ありがとね、ルティシア。じゃ、あたしは帰るよ」

 

 

「これを」

 

 

 立ち去ろうとする気配に合わせて、虚空から取り出した袋を頭上に送る。

 

 

「お土産です。二人でどうぞ」

 

 

「貰っていくよ」

 

 

 気配が完全に無くなると、ルティシアももたれていた木から離れる。

 

 

 もう一度、流れる河――その澄んだ清流を見つめると、ゆっくりした足取りで旅館へと戻っていった。

 

 

 

 




next


出会った頃よりは打ち解けた。


しかし、戦う可能性は残っている。


戦いたくは無いという思い。


しかし、負けたくもないという思い。


二つの思いの中で……。


なのは「お願いしていいかな?」
 
 
 
 
 
 
 
ユーノが居ない?


温泉に連れていかれない様に少女達から逃げて。

恭也の所に逃げたら、ラブラブ空間に。


士郎の所に逃げたら、ラブラブ空間に。


最終的にグッタリしている所を美由希に捕まりました。

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