蒼髪少女(中身青年)のプレイ記録(旧題:ワタシはワタシたりえるか?) 作:鋼色の銅鐘
十五話です。
なんと今回は連続投稿です。おいしい!
それと先日投稿した際にまたランキングに載っかっていたようで、10000UA突破やお気に入り300件突破などしておりました。
本当にありがとうございます!
それではプロローグ終わりの連続投稿一話目、どうぞ!
六月一日
今日も今日とてレッスン。
ダンスに限らず、技術というものは日に日に上達していっているかどうかというのをなかなか実感し辛いものだ。
が、意欲と才能があってなおかつ体力や精神が付いてくれば、元が下手でも見違えるように上手くなるような人物もたまには存在する訳で。
つまりなにを書きたいか、というと。
――そういった人物が、ワタシの同期にはひとりいたということである。
今までで四人の同期のうち三人の名前を日記に出してきたが、今回の人物はその四人のうち最後のひとりだ。
……その娘の名前はミツキ、年齢は自己申告で十五歳。
様々なことをなんでも出来るような才能がある訳でもないけれど、好奇心を原動力に努力を重ねてここまで走ってきた少女。
自称・オタク、ということだが人見知りな面は確かにあるだろう。
やや口下手な部分もあるし。
それでも、好きな事に全力投球出来るということはとても貴重な財産になるだろう。
とまあワタシの所見はこういった感じだが、彼女自身はまだ自己評価が低いと感じている。
クローネもどうやら似たような評価らしいので、今度一緒に食事でも誘ってみるか?
自由な時間だとひかり以外はバラバラに分かれて個人行動しているから、いつになるかはわからないけれども。
ワタシはいつも鍛錬や狩りだしな……。
お陰で掲示板(最近アイドルスレが出来た)をたまに覗いたら「美人モデリングになった女ハンター」とか「顔がいいのに普段の行動で損をするアイドル」とか書かれてるし。
特に前者の奴は年代を考えろ年代を。
何年前だと思ってるんだ。
……それはさておき、眠気がそろそろ厳しいので今日はこの辺りにしておこう。
おやすみなさい、また明日。
六月十三日
トールが第Ⅴ形態に進化した。
……といってもこれといった新スキル追加などはなかった。
多少ステータス補正が上がったり、スキルの範囲や効果がいくらか上方されたくらいか。
大きな変化ではないが、第Ⅴ形態としてはなかなかのものに仕上がっているのではないだろうか?
ただ、ワタシ個人としては必殺スキルがまだ表れていないことがやや残念に思う。
……それでもいずれはスキルとして表れるだろうし、気にしていてはいけないのだろうけど。
ともあれ、試運転として決闘で人員を募ったところ結構人柱と観客が集まった。
手の内を明かすことにはなったが、プレイスタイルとしての決闘がメインではないので人柱に立候補したメンツを遠慮なく縛って殴って叩きつけて……それで、ワタシの実力もある程度把握できた。
鎖の手錠による【拘束】は特化型特典武具故かかなり固いようで、STRが最低でも
逆に鎖部分で纏めて絡めて縛ろうとするとSTR対抗が手錠に比べてかなり緩いらしい、とか。
雷属性と物理の混合攻撃は装備防御頼りの戦い方に対して案外効く、とか。
《エクステンドブレイク》で拡張した通常攻撃を初手から撃つと相手をリングごとぶっ飛ばせる、とか。
鎖の頑丈さやら人柱の変態さに呆れたりはしたものの、色々と収穫はあったのだ。
……武闘派アイドル、という評価が更に加速しそうなのは置いておこう。
ともかく、今日はこのあたりで終わりにする。
また明日はなにかあるだろうか?
六月二十日
ライブ三回目。
ここまで来ると結構会場の規模も大きくなっており、厄介なファンもちらほら見受けられた。
ライブはライブで規則が出来とるんだぞ阿呆め。会場配布のチラシを読め。
それにしても、ファンがわざわざ手伝いで会場整理だのをしてくれるあたりレジェンダリアもなんだかんだで日本人が多めなのだろうか。
日本のアイドル文化は海外とは微妙に違うというらしいし。
ともかく、今日はクローネの新曲披露ということでクローネファンがかなり盛り上がっていた。
クローネは纏う空気感が緩めなことも相まって、色々なものに疲れた感じの男性ファンが多いようだ。
その他にも、例えばひかりは老若男女問わずニコニコ笑顔で手を振られるし、ミオは熱狂的な若い男性ファンが多い。
ミツキは隠さない努力が評価されているのか、女性と男性が半々程。
そしてワタシだが、一部のコアなファンが懸念点というだけで他は真っ当に応援してくれている。
真っ当、という概念については検証が必要だとは思うが。
……とまあ、そういったファン事情もある訳だ。
他にも最近だと<DIN>の取材が一回あったが、そこに探偵やアリアさんがいたのはワタシという縁があったかららしい。
人脈はあって損がないな。
余計なことまで根掘り葉掘り聞こうとする探偵をアリアさんが制止する、というのが一回の取材の中で数回はあったので、手綱を握るのもかなり苦労しているらしい。
有能なことに違いはないのだが人格で損をするのはああいう例だろう。
それと取材が終わった後に、ミオが何かしらを聞いていたようだが……まあ、個人の話だし首を突っ込まないほうが良いな。
ともあれ、今日はここまで。
明日以降は少しゆっくり出来そうだ……。
六月三十日
今日はウチのクランの協力者二名の住んでいる家へ訪ねに行った。
そのうちの一人はあちらから「シッカリ見極めてえから来てくれ」と指名があったからだが。
それで、その二人は兄弟でこちらに来て自由気ままな創作生活をエンジョイしているとのことだった。
クラン所属という扱いではなく外部協力者という扱いなのも、本人達の希望なのだとか。
――それで、問題の人物像だがともかくまず兄のほうから行こう。
ナルキ・クリエーン。
実年齢不詳、外見年齢20代後半。非常に人相が悪い。
クランにおいては「提出期限無期限、機材提供無制限、だがリターンとして最高にデキのイイ曲を提供する」という条件で外部協力者を務める作曲家にして作詞家。
リアルでは元バンドマンだったらしい。
簡単に身体的特徴などを記すとこういった感じだが、実際に会ってみると「音楽というものに全霊を掛けた男」というイメージになった。
ワタシ自身音楽に造詣は深くないものの、彼のつくる曲はなんというか魂を震わせるものが多い。
本人は「俺じゃあエンゼルバーグのジイサマには到底及ばねえさ」と言うが、彼の曲には彼のファンはキチンと付いて来ているだろうと思う。
ワタシ個人としては、応援したい人物だ。
……ちなみに、今回ワタシを呼んだのは彼の方だった。
作曲の最後のひとかけらが足りない、とのことだそうで。
その為音楽やら漫画やら、色々な分野の話をお互いにしたものの「オメーどうなってんのかよく分かんねえな」と無事ノックアウトを食らった。
ただ、本人はその後色々とインスピレーションが湧いたらしく「多分七月頭には譜面出せるぜ!」との返事が社長経由でワタシに来た。ありがたい限りである。
……やや話が逸れたが、実は今回は弟の方にも用事があって訪問して来たのだ。
その彼の名前はムスビ・クリエーン。
兄と同じく実年齢不詳の外見年齢20代後半。
人相は兄ほど悪くはないものの、兄のナルキ曰くテンションが上がった時の口癖が非常に特徴的らしい。
ともあれ、彼もまた兄と同じくクランの外部協力者だ。
服飾方面、つまりアイドルの衣装作成で大いに貢献してもらっている。
いつもありがとうございます、と礼を告げると「構わないよ、こちらは好きでやっている仕事だからね」との返事が返って来た。
好きでやっている仕事だからこそ、熱意と矜恃をもって取り組んでいる類の人種だろうか……というのは、兄のナルキを見ていても納得がいく。
兄弟揃ってものづくりに並々ならぬ熱意があるのは凄いことだと思う。
そしてお茶を頂いて談笑した後、今日は何の用事で来たのかと聞かれたので「普段着を作って欲しい」とこちらから依頼を持ち掛けた。
ワタシは最近知名度がなんだかんだで上がって来たから、変装も兼ねてパーカーとかジャージとか欲しいのだ。再現性や着心地はともかく。
……と、伝えると「練習用に渡されているものではダメなのかい?」との返事が。
それに対して、アレって借り物では……?と返せば「あれはもう私物にしていい奴のはずだよ」との答えがあっさりと返ってくる。
そんなことは社長から一欠片も言われていないので嘘だろオイ、と一瞬動揺したもののそれはそれでありがたい話だった。
後でしっかり社長に確認を取らないといけなさそうだけれど。
とまあそんな訳で、ありがとうございますと重ねて礼を告げて今日は彼らの家を去った。
……今度差し入れでも持って行こうかな。
今日はこんな感じだったけれども、明日からは何があるのやら。
少なくともライブ四回目が明日なのは確定だけれども……どうなるかな。
楽しみなことが増えてきたが、その一方で嫌な予感も少しずつ高まってきている。
何もなければ良いのだが。
今回もここまで読んで頂きありがとうございました!
【トール】の第Ⅴ形態詳細については後日投稿するキャラクター紹介に挟む予定となっております。
それではまた次回!