蒼髪少女(中身青年)のプレイ記録(旧題:ワタシはワタシたりえるか?) 作:鋼色の銅鐘
前話が連続投稿されている(はず)なので、十五話目読んでないなという方は前の話へどうぞ!
既に前話は読んできたぜ、という方は是非ここから先を読んで頂けると幸いです!
それではどうぞ!
七月一日
ライブ四回目。
今回はミツキがついに新曲を出した。
そのせいか、感極まって泣いているファンも数人見かけたがまあ致し方ないと思う。
ファンはファンで自分たちの時間を割いて応援だったり観覧だったりと色々な目的の為に来てくれているのだから。
それにワタシ達が活動を始めてこちらの時間で半年近くは経っているし、初期からいるミツキファンであればあるほど喜びも大きかったのではないかと思っている。
……ワタシのファンの方が長く待たされている分曲が出たら出たでまずいことになる気もするが、人に迷惑をかける形にはしないで欲しいな……。
ちなみにライブがいつもより短めのスパンで行えたのは、センター予定だったミツキがかなり早い段階で曲を覚えたからだろう。
ワタシ達全員で振り付けだのなんだのを覚える時間も、今までの経験からかかなり短縮されてきていたし。
その分日程はハードになったけれど、クランのお金で高級料理店などに連れ出してもらうことでメンバーの疲労もしっかりとケアしてもらえた。
……正直女性下着関連の買い物とかは男性として結構やってはいけなさそうな経験だったから、エンリョしようとしたんだ。
無理だったけども。
そんなこんなでチーム一丸でライブを突破したり個人的苦難を乗り越えたりと、我ながらこの半年間よく頑張ったなあと思う。
しかしその割に、住処の購入資金はあまり伸びていない。
月毎の給料も含めて合計三億稼ぐことを予定しているのに、半年でその半分も貯まらないのはある種当然というかなんというか。
まあ見積もりが甘かったのだ。慣れてきたら楽しいことに変わりはないが。
ともかく、そのあたりは仕方がない。
給料は固定給でも、ファンが常にグッズを買っていくとは限らないし。
出来ることなら、あまりズルズルと続けたくはない。
長々と活動を続けてファンが増えると辞めるのにも苦労しそうだし。
……ただ今の段階でもすっぱりと辞めるにはかなり苦労しそうだが、前述のとおり資金が溜まっていないので辞めるに辞められないのが辛いところだ。
そもそも、辞められたところで同期の彼女らがどうなるかもかなり問題になると思う。
今のメンバーを引っ張っているのは間違いなくミオだが、纏まっているのはそれぞれの存在あってこそだとワタシは感じる。
ワタシがいなくなればどうなるか、ということに想像は付き辛いが……あまりよろしくないことになるのは多分間違いない。
……どこかに「これさえすれば全部丸く収まる秘訣」みたいな本転がってないかな……。
考え始めると頭が痛くなりそうなので、今日はこの辺りにしておこう。
おやすみなさい、また明日。
七月三日
ナルキから、次のライブでワタシが歌うことになる新曲の歌詞と譜面が社長経由で送られてきた。
そして歌詞を見た瞬間、あまりのシリアスな歌詞に「この曲はワタシが歌っていいのか?」と躊躇してしまったものの、追伸として付け加えられていた「この曲がテメーに似合わなかったら作曲家として負けちまうぜ(意訳)」というメモを読んだら無駄にやる気が出てしまった。
覚えてろよナルキ・クリエーン……
そして一夜漬けながら歌詞を覚えて、練習に臨んだ訳だ。
それを踏まえて思ったことは、「やっぱり歌いながら踊るって難しい」ということ。
いや、今までも歌いながら踊ってきたのは間違いないのだが。
……しかし今回は「ワタシがメインである」という部分が重要なのだ。
歌と踊りとどちらかが疎かになってもいけない状況でワタシが中心となっているワケだから、落ち着いて集中しなければ曲として成り立たないのである。それも非常に高いレベルで。
あともう少し動ければかなり楽にはなると思うけれど、その「あと少し」がワタシには辛いところだ。
反射速度や動体視力はAGIでサポート出来るとはいえ、絶対的スピードが必須ではないダンスにおいては結局個人の才能が必要だし。
色々考えながら動くのは、やはり難しいのだなあ……。
ともあれ、次のライブの日程も決まった。
七月十五日――そう、このゲームのサービス開始日だ。
公式メモリアルイベントも同時開催のようだし、今からメンタルがまずい。
付け加えると嫌な予感もする。
……とにかく落ち着け、落ち着くんだ
メンタルリセットの為に今日はもう寝たいから、日記もこの辺にしておこう。
続きはまた明日。
七月十五日
ライブ五回目。
……今日は諸事情で書ける元気もあまりないが、冷静に書いておかないと飲み込めない。
まず結論から書くと、ライブは確かに無事に成功した。
その後、ステージ上で探偵から取材を受けた際にネカマをバラされたというだけで。
いや、“だけ”では済まされないのだけれども。
まあ当然の如くブーイングはあった。
主に探偵に向けてだが。
ワタシにはむしろ“盛大に新曲お披露目ライブやった後なのにかわいそう……”という雰囲気が大きかった。
ひかりから「お兄ちゃんなの?お姉ちゃんなの?」とナチュラルにぶっ刺されたのは心が痛かったが。
ひかりとミオ以外の他のメンバーについては何やら納得した風だったし、ミオはなぜか終始ワタシに向けて「ごめんなさい」と謝りっぱなしだった。
……そんな彼女に対して「また今度話聞くから」と声を掛けておいて、
『バラした彼女が悪いのではなく、事実を隠していたワタシが悪いのだと一個人として思っています』
『今回の件においてはワタシが事実を隠蔽していたことが全面的に悪くクランは関与していません』
『ですがこの件でクランに責任追及が及ぶのも個人として嫌だと感じる為、そして最初の責はワタシにある為、ワタシがアイドルを辞めればよいというのなら辞めます』
――と、思い切り宣言したのはワタシが全面的に悪いだろう。
社長から直接の解雇連絡もあったし。
……勿論社長や同期の皆含んだクランメンバー総出で引き止められはしたが。
けれどまあ、多分これでいいのではないかと思う。
逆恨みやらなにやらはワタシに向けられればいいのだ。
バラすなと言っておいてバラした探偵も悪い気はするが、まず隠していたワタシが一番悪いのだから。
ミオの話はまた今度聞こう。
……掲示板も見るのが怖いな……。
とにかく、また明日以降はドタバタとするだろうし今日はこの辺りにしておくことにする。
おやすみなさい、また明日。
七月十六日
今日は丸三日間ドタバタしっぱなしだった。
クランの拠点から普段使いに置いておいたアイテムを回収したり、<DIN>からアリアさんが探偵を引き連れて謝罪にやって来たりとか。
一番メンタルに効いたのは、やはりミオの話だったけれど。
……彼女の話はこうだ。
①ワタシがアイドルを始めた理由が彼女にとってはとても胡散臭くて、まるでアイドルになりに来た人物とは思えず信用し辛かった
②しかし練習で共に過ごしたりだとか相談に偽装した観察をしていくうちに段々と性格や人柄についての理解が深まり、「この人はいい人では?」と思うようになった
③そして信用はされたものの、接するうちにまた別の「この人はなにかを隠しているのではないか」という疑惑が湧き上がり、個人では確信には至らなかった為<DIN>に調査依頼を出す
④依頼を引き受けた調査員が非常に運の悪いことに例の探偵であり、今回の件へと繋がった
とのこと。
ミオ本人としてはあの探偵がああいった行動に出るとは思っていなかったようで、こちらでアリアさんから聞いた話にも「探偵の独断でああなってしまった」という内容もあった。
まあ、あれからまた考えたワタシ個人の見解としては探偵が四割悪くてワタシが六割悪いだろうと思う。
ミオに関しては、今回の件で彼女が責任を持つべきではないと思っている。
彼女がワタシに対して疑惑を抱いたことは、悪いことではないし。
むしろそこまで信用がなかったワタシのせいだ。
……ダメだな、少し感情が漏れている。
話を変えよう。
幸いなことに、世論としては探偵よりもワタシに矛が向いている。
それでもワタシに対する擁護の意見のほうが多いと感じるのは、活動期間がそれなりに長かったからだろうか。
しかし不満があるファンについてはどうしようか。
しっかりとケジメはつけておきたいと思うが……ううむ。
あ、多分これがいいな。
うん、そうしたほうがいい気がする。
ワタシは考えすぎると面倒になって投げ出すし、これが一番良いのかもしれない。
……では、掲示板の
一応、この間の検証でワタシ個人の資産でも闘技場を借りるだけの資金があることはわかっているし。
しかし我ながらこういった事態に直面するとメンタルが脆いほうだと思う。
……とにかく、今日はもう休もう。
日記は……明日以降つけられるかな、どうだろうか。
それではーーおやすみなさい、また明日。
今回もここまで読んで頂きありがとうございました!
ついに日記形式部分が終了致しました。
次回はキャラクター紹介を挟んで、次々回以降一人称や三人称視点となっていきます。
更新ペースはこれまでよりも落ちていくと思いますが、どうぞよろしくお願いします!
それではまた次回〜!