蒼髪少女(中身青年)のプレイ記録(旧題:ワタシはワタシたりえるか?)   作:鋼色の銅鐘

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5話目です。

3000程度にゆっくりもクソもないですがごゆっくりどうぞ!


十月一日〜十月三十一日

 

十月一日

 

ゲーム内でおおよそ半年と一ヶ月半が経過した。

なのでたまには日課だけこなして別のことをしてみるのもいいだろうとアムニール外周5周をさっくりと終わらせて、初めてアムニールの闘技場に足を運んでみることに。

 

……試合を一戦見てみた感想だが、<警邏隊>所属の一部メンツが闘技場だと死合になんなくてよぉ、とか見世物優先だからちとつまんねえんだよなあ、とか言っていた理由が分かった気がする。

派手な魔法を優先して使ったり、大仰な武器の振りなどが目立つ印象を受けたのだ。

 

確かにアレは実戦戦闘に特化したメンバーの多い<警邏隊>には肌が合わなさそうだとは思う。

血湧き肉躍る肉弾戦のほうが彼らには性に合っているのだろうし、ここの魔法や演出に重きを置いている決闘はやり辛そうだ。

 

八百長などはしていなさそうだが、特に勝敗にこだわっていないような感覚もする。

別のところに拘りでもあるのだろうか。

 

それはさておき、今はティアンも<マスター>も関係なく闘技場に参加しているものの、ワタシの予想からするとそのうち<マスター>の方が圧倒的に有利になるのではないかと考えている。

 

……その理由についてだが<エンブリオ>というものは<マスター>により強力なステータス(ステータス補正)を与えて、なおかつすべてのものが固有の(スキル)を持っている。

 

その力こそが、<マスター>を<マスター>足らしめていて……恐らく最終的にはティアンよりも遥かに強くなるだろう。

一部は例外だが。師匠とか【妖精女王】様とか。

 

実際、既にエンブリオが上級の第Ⅳ形態まで到達した<マスター>もまだ少数だがいるらしい。

ステータス補正をより強くし、まさしく勝負を決めうる必殺スキルを獲得している者たちが、だ。

 

……ワタシの【トール】は未だ第Ⅱ形態だが、進化段階は個人差のようだし今は戦闘技術の習得に努めた方が良さそうだ。

 

下級職不相応のステータスはあっても技術が無ければボロクソに負けることを身でもって理解してしまった訳だし。

 

ただ、他の知り合いの女性たちには特訓より食べ歩きとかショッピングとかしないのか、と言われたが……そろそろそのあたりも考えなければならないのか。ううむ。

 

それについては明日以降考えるとして、今日は一旦ここまでにしておこう。

また明日。

 

 

十月五日

 

今日は久々に師匠に稽古を付けて頂く予定だったものの、ギックリ腰でお流れになった。

 

時間が空いてしまったので折角だし、と先日から計画を立てていた食べ歩きをしてみることに。

 

高級素材をふんだんに使った(らしい)チョコとバナナのクレープからよくわからないゲテモノ焼き(案外イケた)までもしゃもしゃと食みつつ街を散策した訳だが……その最中で、面倒くさいトラブルにいくつか遭遇してしまった。

 

ひとつ。些細なことでケチを付けて襲おうとするバカ集団。

ふたつ。バカを撃退しようとした途端に割り込む金髪アホ。

みっつ。バカを処理したらアホに言い寄られた。

 

……特に最後だ、最後。

 

『女神だ……』とか恍惚の表情で言われて鳥肌が立ったぞ。

名乗りをわざわざ上げてた時に聞いたが【ローラン】とか御誂え向きのエンブリオ過ぎる。元ネタは全裸とか武勇伝のほうが有名だが。

 

ともかく、アホ……もといアルヴィオンを引き剥がしつつ、華麗にログアウトをキメて来た訳で。

 

最後に『せめて名前だけでもぉぉぉ………………』とか聞こえた気がするが無視だ無視。

ああいうのは優しくするとどこまでも付け上がる……というか擦り寄ってくる。

 

厄介なファンの心理やら動物の世話やらと同じだ。

適度に距離を置いて接する必要がある。

アレは接する必要もなさそうだが。

 

……ただまあ、次のログインからは気をつける必要がありそうだ。

 

 

十月十九日

 

二週間前に『面倒なのに遭遇したくなければ街に行かなければ良いのでは?』と思いついた結果、修行場に引きこもってしばらく経った。

 

ギミック突破に集中していたり、色々なことで積み重なったイライラをぶつけていた為かはたまた単に時間をかけて来た経験が生きたのか……修行場に置いてある技術を要するタイプのギミックはほぼ制覇し切れた。

 

亜竜級ゴーレムや純竜級ゴーレムとかは今のステータスでどうしろと案件なのでまだ触れてすらいないけれども、これで師匠に課された上級職取得の条件はクリアとなった。

 

ステータスは一ヶ月前から伸びてはいないけれども、技術自体は確実に習得出来ている。

進歩は目覚ましい。

 

ならばそれを生かす為に、地道にコツコツとやる必要がある……のだけれど、そろそろ微妙にやる気を保ち辛くなって来た。

 

少しデンドロから離れて英気を養ってから、バカを回避しつつ遊ぼう。

 

……胃が痛い。

 

 

十月二十四日

 

デンドロ連続ログインを切って五日が経った。

 

久々にログインして修行場へ向かってみれば、ちょうどウルフェンを含んだ<編纂部>のメンバー(更にメンバーが増えて今は十六名程)とフィオネ&アリメラ&あまねの三人娘が共同で純竜級ゴーレムを討伐していた。

 

しかし相変わらず見事で鮮やかな連携だ、と感心する。

 

連携の中核にいるのはオラクルだった。

【響天導地 エコー】だったか、そんな名前のエンブリオでパーティメンバー、及び範囲内の味方全員に指示(ウィスパー)が飛ばせるらしい。

また、サポート役のゲンジョウが周りを良く観察出来ているのも優れた指示力に一役買っているのだろう。

 

そしてこのメンバーだと三人娘が遊撃のポジションにいる。

フィオネが特殊な矢とトラップで足止め、あまねがアリメラを背負い移動砲台にして鈍重かつ頑健なゴーレムに決定打を浴びせていくスタイルとのこと。

 

そして、ウルフェン他優秀なタンクが複数名存在するのも大きい。

ウルフェン自身は【獣拳士】なものの、エンブリオが特殊な毛皮型アームズ(TYPE:フュージョンアームズ)で、スキルがタンク向けであったりステータス補正がEND寄りだと言う事もあり耐久力が通常のアタッカーとタンクよりも高いのが強みだそうだ。

 

他にも各属性に特化した魔法使いなど、マジックキャスターにも事欠かないのが凄い。

 

……<編纂部>、人材豊富だなあ。

 

と、見入っていたら結構時間が経っていたのでこれはまずいとアムニールで転職する為に急いだ訳だが。

 

これがまずかったというかなんというか、見つかったのだ。

 

そう、あの面倒くさい金髪に。

 

案の定纏わり付かれて面倒だったが、一喝すれば怯んだのでその隙にどうにか逃げ出せた。

 

大声を出したので周囲の人には嫌な目で見られたが、その辺りは仕方ない。

わざわざストーキングしてくるアレが悪い。

 

無事【剛槌士】に転職出来たのは良かったが、また別の対策も必要になるだろう。

 

……対策の心当たりはあるが、かなり嫌というか心情的に辛い。

ともかく明日以降色々探ってみよう……。

 

 

九月三十一日

 

色々対策は考えたがやはりこれしかない。

 

 ――そう、変装である。

 

あまりやりたくなかったものの、正直非戦闘時なら着飾るのも良い気はすると思ったのだ。

他の女性<マスター>からも綺麗な見た目だとは言われているし。

 

そういうことで単に服装をいつもの革鎧から普段着にするだけでも効果はあるだろう、ということになり敢えてヒラヒラした清楚系ワンピースや麦藁帽子などを衣服屋で購入。

 

この時点で心が死んだ。

 

次に髪。

さすがに髪は切れないし染められない、ということなのでやはり髪型だとなり色々試行錯誤を繰り返した結果普段のポニーテールからロングヘアに落ち着いた。

素が一番。

 

ここまで終えると心が折れそうだったが、色々整え終えた後に鏡を見た時点で「ああ、自分の理想だ」と内心思うくらいには決まっていたのでキャラクターメイキングはそれほど間違えてはいなかったのだろう。

 

……街中を歩くとじろじろ見られたりして気が気じゃなかったが、な!

 

途中、アルヴィオン(アホ)とすれ違うことはあったけれどもギリギリ気が付かなかったのでこの選択は正解だったと思いたい。

 

声音をある程度作れるようになったのも大きいだろうが、それでも精神に負担が掛かるのであまり常用したくはないな……。

 

さて、これを書いている時点で深夜零時を回ったのでそろそろ寝る。

 

……おやすみなさい、また明日。




今回もここまで読んで頂きありがとうございました。

作中の年内までにはあともう一人面倒なのを出しておきたいところですね……。

がんばれ主人公。
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