最高最善の魔王を目指すRTA   作:ぴんころ

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我が魔王と世界の破壊者ディケイドがオーマジオウと戦ったところだよ。独自設定と独自解釈もあるから気をつけてね


おまけ

「ここから先には行かせない」

 

「お前からしたら厄介なだけのレジスタンスかもしれないが、今の俺たちからしたら希望でな」

 

 倒させるわけにはいかない、と背後に庇うレジスタンスには目もくれず門矢士は宣言した。

 常磐ソウゴと門矢士はライドウォッチが壊れ始め、世界が亡ぼうとしている最中、それを食い止めるために明光院ゲイツとツクヨミがやってきた2068年の世界にまでタイムマジーンに乗ってやってきていた。

 無論、門矢士のオーロラがある以上タイムマジーンを使用する意味など無いに等しいのだが、オーマジオウ側にタイムマジーンが無いとは断言できなかったために、もしもの場合を考えて。

 今のところは、タイムマジーンで迎撃しなければならない相手はいない。

 それ故に、二人は己が仮面の戦士へと変身するためのベルトをすでに装着していた。

 

「若き日の私よ。お前がこの時代に再び来るなど、私の記憶には無い」

 

 50年後の常磐ソウゴ(オーマジオウ)の困惑気味の声。

 それは、これまで超然としていた王者の風格を持つ者が人間であることを理解させる。

 常磐ソウゴは50年という月日を経ても王という機構に成り果てたわけでは無い。

 

「それならよかった」

 

 ただ、それは今を生きる、2018年に仮面ライダーとなった常磐ソウゴには関係ない。

 むしろ、2068年のオーマジオウが知らないのは彼にとっても都合が良かった。

 

「俺は、オーマジオウにはならない」

 

 オーマジオウ本人が知らないと保証する、常磐ソウゴが行った出来事が存在する。

 オーマジオウの辿った道筋とは、まるで違う出来事が発生している。

 最低最悪の魔王ではなく、最高最善の魔王を目指す常磐ソウゴにとってそれ以上の朗報はない。

 

 けれど、今はそれは置いておかなければならない。

 やらないといけないことは二人とも理解している。

 

 ”ツクヨミとゲイツを守る”

 

 ブランクライドウォッチをツクヨミの懐に忍び込ませた以上、あとは”二人の生存”を達成しなければならない。

 そのために、今二人はオーマジオウに立ちふさがっている。

 

「行くよ」

 

「ああ」

 

 取り出したライドウォッチの能力解放弁である『ウェイクベゼル』を回しジオウの顔を模したレジェンダリーフェイスが表出しているアクティブ状態へ移行。

 そして起動スイッチである『ライドオンスターター』を押すことで起動させる。

 

 《ジオウ》

 

 起動によって光を放つウォッチをすでに装着したジクウドライバーのD'9スロットに装填。

 それに伴って背後に巨大な時計が出現。その中央には『ライダー』の文字が浮かんでいる。

 ベルト上部に存在する入力承認キー『ライドオンリューザー』にライドウォッチを承認させた後、腰を落とし左腕を右肩の方へと上げた。

 

 同時に、門矢士もライドブッカーから一枚のライダーカードを取り出す。

 そこに描かれているのは世界の破壊者、仮面ライダーディケイド。

 彼が腰に装着しているネオディケイドライバーの起動スイッチ、ディヴァインサイドハンドルはすでに左右に引かれているため、カードスロットは上部に展開されている。

 

『変身!』

 

 二人が同時に叫び、各々の工程を終える。

 

 常磐ソウゴは左腕でジクウドライバーのメインユニット『ジクウサーキュラー』を反時計回りに回転させる。

 門矢士はカードスロットにディケイドのライダーカードを装填し、ディヴァインサイドハンドルを押しもどす。

 

《ライダータイム!》

 

《カメンライド》

 

 常磐ソウゴが理論具現化装置『ジクウマトリクス』によって実体化されたライドウォッチのデータを装着して変身を完了する。

 門矢士がライダーカードを装填してハンドルを押し戻したことでエネルギーが二次元から三次元に解放され、変身を完了する。

 

 現れた戦士は仮面ライダージオウ、そして仮面ライダーディケイド。

 二人の戦士は各々の武器を構え、オーマジオウと相対する。

 

「行くぞ!」

 

「言われなくても!」

 

 ディケイドの言葉にジオウが飛び出す。

 ディケイドはそれを追いかけることはせず、一枚のカードを取り出す。

 それは上半分にジオウが、下半分にジオウライドウォッチが描かれたカード。

 

《ファイナルフォームライド》

 

「ちょっとくすぐったいぞ」

 

「え」

 

《ZIZIZI-O!》

 

 オーマジオウが迫ってくる過去の自分に攻撃を仕掛けるよりも尚早く、ディケイドの両腕がジオウの背中に突き刺さる。

 

「え、ええええええ!?!?」

 

 人体の構造を無視した謎の変形を自らの体が行なっているという事実に思わずジオウは戸惑いの声を上げ、オーマジオウも衝撃波を放つために上げかけていた腕を下ろしてしまう。

 ほんの数瞬、たったそれだけの時間が過ぎ去った後にはその場にジオウの姿はない。

 残っていたのは変形した後の人間大のサイズのジオウライドウォッチだけ。

 

「え、なにこれ、どうなってんの!?」

 

「騒ぐな。行くぞ、魔王!」

 

 剣モードにしたライドブッカーを右手に、ライドウォッチの形になったことでディケイドをすっぽり覆う盾として機能するようになったジオウを左手に。

 まるで剣と盾を携えたかのような姿になった世界の破壊者は最低最悪の魔王に向かって駆ける。

 そうなれば、困惑するのはオーマジオウの方だ。

 

(あれは、本当にディケイドか?)

 

 仮面ライダーディケイドに見えるのは間違いない。

 だが、あれはオーマジオウが力を受け継いだディケイドとはまるで違って見える。

 とはいえそれもディケイドがやってきた経緯を考えれば当然の話なのだが。

 

 そもそもこのディケイドは『オーマジオウが存在する未来からやってきた明光院ゲイツが逢魔降臨暦に記載されたことで、未来からやってきたウォズが呼び寄せた』門矢士が変身している。

 つまり、オーマジオウがオーマジオウに至る物語においてはやってきていない。

 『平成一期の仮面ライダーに変身できる』仮面ライダーディケイドの力は受け継いだだろうが、『平成二期にまで変身できる』門矢士が変身した仮面ライダーディケイドについて知らないのはそこまでおかしなことではなかった。

 

 そして、見知らぬライダーだからこそ、そのライダーが仮面ライダージオウ(過去の自分)を変形させて盾としながら突っ込んでくるがゆえに、いつもレジスタンスを撃破するように衝撃波を放つわけにはいかない。

 この状態のジオウの耐久力が彼にはわからないのだ。どれだけの力ならばこの状態のジオウでも『殺す』ではなく『倒す』で済ませられるのか、それがわからないからこそ下手な手出しはできない。

 

「ふっ!」

 

 なので、とりあえず殴ってみた。

 無論、力はそこまで込めていない。

 オーマシグナルによって必ず敵対している者の力を上回ることが可能なオーマジオウだが、ディケイドであってもジオウであってもオーマジオウのスペックには届いていないため、その効果が発揮されてスペックが変動することはない。

 今の彼にわかっているのは『この二人のスペックは自分よりも下』という事実だけである。

 

「痛っ!」

 

 本来のライドウォッチにおけるレジェンダリーフェイス部分に拳を当てるとジオウの声が響く。

 痛いという程度で済んでいるため、この程度の威力であれば出しても問題ないということはわかった。

 その代償としてライドウォッチの影から迫り来る剣状態のライドブッカーを相手にすることにはなったが、その程度ならば『オーマコーザリティーハンド』が持つ因果律操作能力でどうとでもなる。

 それがなくとも、ソレムアームアーマーで受け止めれば極限の防御力を持つそれをただの一撃で抜くことなどできず、例え通ったとしても『オーマラディアントアーマー』が纏う特殊エネルギーフィールド『アブソリュートスロウワン』によるダメージの萎縮(威力の軽減)と、『ノーブルアジャストライクスーツ』の持つ最高レベルの自己修復機能によってダメージの蓄積はない。

 

「面倒だな」

 

 そして、相手にダメージが通らないことは今の一撃でディケイドも理解した。

 相手が出せる実力に制限がかかろうと、こちらが出せる全力が相手の防御を抜けないのであれば意味がない。

 

 ジオウライドウォッチを盾として扱っていることで『メリディアンサッシュ』から放たれる絶対境界波動『セパレートサージ』による異次元への放逐は免れている。

 ジオウライドウォッチを盾として扱っていることで相手の持つほとんどの力を封じて『戦い』という状況にまで落とし込むことができている。

 

 だが、それだけでは勝利などできるはずもない。

 

 ライドブッカーを突き出したことでその剣先をオーマジオウが掴もうとする。

 ジオウライドウォッチの影からディケイドを引きずり出そうとする動きではあるが、ライドブッカーをガンモードに変形させ銃撃を連射することで、ダメージを望めなくともノックバックで無理矢理に距離を取らせる。

 

「なるほど」

 

 開いた距離をどちらも埋めることはなく、遠距離戦が始まるわけでもなく、そんな中で門矢士は呟いた。

 何が「なるほど」なのかは常磐ソウゴにはわからないが、全く役に立たない情報がわかったというわけではないのだろう、ということだけは想像がつく。

 

「何がなるほど、なのさ」

 

 なので、真正面から尋ねる。

 今は世界崩壊が迫っている現状。

 ディケイドを失うわけにも、ジオウが死ぬわけにもいかない。

 

「どうやらこの戦い、俺は参戦しないほうがいいらしい」

 

 だから、その言葉は常磐ソウゴにとってはかなり謎な発言だった。

 

「そういうわけだ、魔王。あとは任せるぞ」

 

「え、ちょ……」

 

 その言葉とともに門矢士はオーロラを展開してその場から消える。

 おそらく2019年に戻ったのだろうと推測はできるし、ジオウもライドウォッチから本来の形に戻っている。

 ジオウがライドウォッチに変形したことに気を取られて未だに退避できていないレジスタンスの姿も見える以上、ここでジオウが退くという選択肢はない。

 グランドジオウライドウォッチがない以上、今の状況で確実に変身できる中で最も強いのは仮面ライダージオウⅡ。

 だが、それはオーマジオウにとって過去の自分でしかない。

 

「やれるか……?」

 

 だから、それを取り出した。

 ジオウ、ゲイツ、ウォズ、三人の力を一つにするジオウトリニティライドウォッチ。

 

 失敗するかもしれないという焦りはあれど、仲間を信じる気持ちを胸にジオウはそのライドウォッチを起動してD'3スロットに差し込んだ。




ここからは原作通りなのでスルー

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