私は色々と頑張った。具体的に言えば大規模侵攻をなんとか原作よりも被害を少なくした。
しかし拉致被害者が出てしまった……が、それはC級隊員だ。ボーダーに入っているのならばこうなることも覚悟しておけよと思いつつも今回の1番の功労者を……成果であるレプリカをジッと見つめている。
「こんなところになんの用事だ?」
本日は2月8日(土曜日)今日は修達の那須隊と鈴鳴第一とのランク戦が行われる。
修は出水に色々とアドバイスを貰い唯我というちょうどいいサンドバッグを見つけた。出水にスパイダーを修が使えばいいとのアドバイスを送っている……ホントならばマンツーマンレッスンしてやりたいが母さんにバレるとなに言われるか分かったものじゃないからな。
『兄殿、ユーマ達のランク戦を見に行かないのか?』
「見に行かない」
『弟の大事な戦いなのだが、いいのか?』
「そうだな……修はまだギリギリ越える事が出来るラインに立っている。遊真に依存した状態でだ。私は今後修がどういう立ち回りをすればいいのかを知っている……だから修に極力干渉をしない。私は身内に対してはとことん甘い人間だ。直ぐに答えを教えようとしてしまって答えに至る段階をすっ飛ばしてしまう……それはいけないことだ」
答えに至る段階をすっ飛ばしている。考える事を止めてしまえば人は弱くなる。
考える事を、試行錯誤を繰り返す段階に修はいる。答えは知っていても言わない。言ってはならない。
「修達のランク戦を見てしまえば最後、私は余計な事を口走ってしまう……答えだけ教えても血にも肉にもならない」
故に修のランク戦を応援はしても真剣に見ない。最初のランク戦で解説を佐鳥に頼まれてよくわかった。
修に色々とアドバイスを送ってしまう。答えだけを教えてしまう。それだと意味はないのを100も承知している。
「そういうレプリカはどうなんだ?保護者として遊真達になにか言うことはあるのか?」
『私の口から語れる事は少ない。少なくともユーマは今の様にのびのびとやっておけばなにも問題はない。今玉狛第二の抱えている1番の問題は……チカだ』
「千佳ちゃんはなにも悪くはない、当然の事だ」
『だが、これからの事を考えれば人を撃つ事が出来るようにならなければならない。トリオン兵を撃つことは出来ても人を撃つ事が出来ないのならば遠征に選ばれない可能性が高い』
「いや……そうだな……」
『?』
千佳ちゃんが居れば遠征艇を大きくする事が出来る。
次の世界に行くために
『兄殿は先程からパソコンと向き合っているがなにをしているのだ?』
「株とかFX……頭金を手に入れる事が出来たからな、もう一発大きな金を用意しておく。修達の目的が果たされた時、元の道筋に戻れる様に土台をしっかりとさせておきたい」
とにかく今は金が必要だ。サイドエフェクトを思う存分に利用させてもらい、株やFX等で種火の100万円を大きくしている。
その気になれば宝くじを当てる事が出来るがあんまりやりすぎると余計なのに狙われたりする。宝くじは禁断のアイテムだ……早く18になって競馬とかの博打が出来るようになればそれでいいんだがな。
『兄殿、それは私でもする事は出来るだろうか?』
「どうしたんだ、急に」
『ユーゴが残した蓄えが沢山あるとはいえ何時かは底を尽きる。今の内にユーマが自由に生きる事が出来るぐらいには蓄えておきたいと……ユーマの今の収入源はトリオン兵の討伐のみだ』
「成る程……だが、株はある程度纏まった種火が必要だ。持っているのか?」
『この前の大規模侵攻の戦功で100万程ある。それで足りるだろうか?』
「充分だ……じゃあ、そうだな」
サイドエフェクトを用いてとりあえず手堅いところから行くか。
「もうすぐ始まりますよ」
レプリカの本体が貴虎と接触しに行っている一方その頃の玉狛支部。
間もなく修達玉狛第二がランク戦を行うのでリビングに茶と菓子が用意される。
「いよいよここからってところかしら?」
今まで遊真に依存した勝ち方やフィールドを選ぶ事が出来るなど玉狛第二にとって有利な戦いだった。
しかし今回、ラウンド3からは違う。フィールドを選ぶ事が出来ず更には遊真が勝てない可能性を秘めた鈴鳴第一の村上鋼がいる。今までの様に思うようにいかない。ここからが本番だと小南は呟く。
「って、あれ?多くない?」
ランク戦が行われるのでそれを観戦すべく茶と菓子が用意されてるのだが茶の数が多いことに小南は気付く。
「小南先輩、知らないんですか?三雲さんのお父さんも観戦するんですよ」
「え、そうなの!?」
茶の数が多いことに気付くと烏丸は息を吐くかの様に嘘を付く。
「あの人はこんなヴァイオレンスな光景は見ないわ……烏丸くん、冗談も良いけど大概にしなさいよ」
「す、すみません」
母から放たれる圧に烏丸は屈する。
小南も騙したなーと叫びたがっているが母の無言の圧力になにも言うことは出来ない。
「それで誰が来るの?貴虎は来ないから……迅くん?」
「いや、違いますよ」
1つだけ多いティーカップを気にする。
この場に居ないのはレイジと迅でレイジは防衛任務中なので迅のカップかと思ったが迅は今回のランク戦の解説を担当しているのでこの場には居ない。
「連れてきたぞ」
「……」
では誰かという話になる。
お子様S級隊員こと林藤陽太郎は最後の人を……貴虎と相討ちになる形で脱落し、その後置いてけぼりをくらったヒュースを連れてきた。
ヒュースを見た小南はギョッとした顔をし、すぐ近くに居る玉狛の支部長こと林藤支部長の顔を見る。
「ちょっとボス、大丈夫なの?」
「トリガーは取り上げている。暴れればお前等なら抑えられるだろ?」
「確かに出来るけどそうじゃなくて、おばさんが」
「私は大丈夫よ。大凡の事情を知った上で見守る系の母親だから」
母こと香澄が居る場所で重要人物であるヒュースがいる事を気にする。
しかし母である香澄はライトノベルとかでよくある主人公の事情を何も知らない系の親ではなく大凡の事情を把握した上で息子達を見守る系のお母さんなので問題はないと主張する。
「仮にトリガーを手に暴れたとしても私なら止めることは可能よ」
「……マジに聞こえるわ」
トリガーとは無関係そうな主婦である香澄。
しかし何故だろうか、母はヒュースが蝶の楯を手にしたとしても絶対に負ける事は無い雰囲気を醸し出している……実際のところ、仮にヒュースが陽太郎から蝶の楯を手にしたとしても勝てない。諸事情で貴虎が使えない最後のベルトを香澄は使いこなす事が出来るので先ず負ける事は無い。
「ふん、こんな女程度にやられるほどオレは雑魚じゃない」
「その女から生まれた息子に負けたのは何処の誰よ……それと目上の相手には敬語を使いなさい。貴方の倍以上は生きているのよ」
「なん、だと……」
倍以上生きているという事実に驚愕するヒュース。
それもその筈、二十歳ぐらいの姉と言われてもおかしくないぐらい母である香澄は若々しい。ヒュースは倍以上ということはと計算するのだが、貴虎のせいで50はあるんじゃないかと思ってしまう。貴虎の容姿は手塚国光なので余計に老け顔なので17と言っても信じるのは難しい。
「お、そろそろはじまるぞ」
ヒュースが香澄の年齢に関して色々と考察しているとランク戦ラウンド3が始まる。
フィールドは台風の市街地、橋が掛かっておりどう動くのか見ものでそこからは原作通りに駒が動く。時計の針がほんの少し早く進んでいるのは修だけだ。修は貧弱であり多少マシになったとしても中位で安定しているボーダー隊員を相手に出来ない。倒れない様に粘る事は出来ている。
「あのメガネは弱いな」
「ええ、弱いわね」
修が1番弱いと感じているヒュース。香澄は修が弱いと言われても否定はしない。事実、弱いのだから。
弱いという事を修自身が自覚しているので母は否定しない。修は弱いからといってなにもしない男ではない。上手く遊真や千佳を使い……遊真は村上と一騎討ちをし、勝利を収めて原作通りの結果になった。
「……危ないわね」
原作通りの結果になり玉狛第二に4点が入った。結果的に勝利することが出来たものの運が良かったと母は見ている。
次から相手にするのは格上の相手だ。今回の様なギリギリのところで勝利を収めてるのならば上位ではカモにされる。
「ふん、随分と原始的な訓練だな」
「実戦が1番の訓練なのよ……捕虜のくせに生意気言ってるんじゃないわよ」
ヒュースがランク戦を見た感想を呟くと呆れる小南。
「あのメロンはどうした?アイツが居るならばもっと上手く立ち回る事が出来るだろう」
「貴虎はボーダーに所属しているけど何処かのチームに入っているわけじゃないわ……それよりも貴方、今後どうするつもりなのよ?」
貴虎がこの場にいない事を教えると話題はヒュースに切り替わる。
置いてけぼりをくらったヒュースだがヒュースは船が強制送還されたので置いて行かれたと思っている。実際のところは国の連中に切り離されたのだがその事にはまだ気付いていない。
「このまま捕虜を続けるつもりなの?」
「……アフトクラトルに関する情報は教えるつもりは一切無い」
「ならアフトクラトルじゃない情報を教えることは出来るんでしょう。それを上手く使わないと永遠に故郷に帰る事は出来ないわよ」
例えコンプライアンスの概念を無視した拷問を受けようともヒュースはアフトクラトルに関する情報を吐くつもりはない。
逆を言えばアフトクラトルのことでない情報ならば吐くことが出来る。そこのところを上手く扱わなければヒュースは帰る事は出来ないと母は言う。
「……問題無い……どうにかする」
ヒュースは知っている。
もう少しすればアフトクラトルに従属している国が此方に近付いてくるのを。その時にボーダーから脱走すればいいと淡々とその日が来るのを待っている。母の言うことにも一応は一理あると納得はしかけている。
「ま……ボーダーが超えてはならない線を超えなければ私からはなにも言わないわ」
既に色々と言ってるじゃんとその場にいた玉狛の面々は思ったけれども言わなかった。
今日も修は無事に勝利を収める事が出来たので修の好物であるクリームコロッケでも作ってあげようかと母は呑気に考える。
「今日はコレぐらいにしておこう。あまりガッツイても後で税金がかかってややこしくなってしまう」
『強化視覚のサイドエフェクトで、たった数時間で30万の利益を叩き出すとは兄殿にはいったいなにが見えているのだ?』
「色々と見えているからな……コレばかりは死ぬ気で努力したとしか言えない」
トリコのココと同じ超視覚を持っているがそれを自在に使いこなす事が出来るのは努力したからだ。今回は上手く成功しているがこのサイドエフェクトを持って転生した際には転生させた仏を本気で恨んでしまった。見たくはない物が嫌でも見える。大規模侵攻の数日前から不吉な相や死相がそこかしこに見えてベルトもなにもなかったので見捨てる事になってしまった自分の弱さを悔やんだ事もある……まぁ、その結果今の彼女と出会う事が出来たのだが……転生して間もない頃はホントに辛かった。私が転生者でなかったら発狂していただろう。
『兄殿、ユーマ達のランク戦が終わったようだ』
「結果は?」
『ユーマが鈴鳴のエースを倒し、4点の勝利を収めてB級上位に入った』
「……そうか」
修は射手として点を取れるようになれればいいなと出水に頭を下げに行った結果、唯我というサンドバッグを手に入れた。
原作よりも強くなっており、聞いた話だと風間さんから1勝もぎ取ったりしている。逆境に追い詰められた際の伸び代は原作よりも大きいのだろうが……修から放たれるオーラが微弱だが強まった程度、1を5から7辺りに進化させた程度。10や100には敵わない。
『褒めに行かないか?』
「そうだな……余計な事を口走りそうだが、弟の頑張りを労うのはお兄ちゃんの務めだ」
とりあえずお疲れ様だとスポドリと甘い物を用意しておかないといけないので売店でスポドリとアルフォートを購入する。
レプリカ(本体)に誘導されて修達が居る場所に向かえば修と遊真と千佳ちゃんと宇佐美の玉狛第二の面々がいた。
『兄殿が労ってくれるそうだ』
「試合は見ていなかったが結果は聞いた。
先ずは今回のランク戦の立役者を褒めておかなければならない。
玉狛第二は修のチームだが要はなんと言っても遊真である。村上さんが強化睡眠記憶でパワーアップを果たしているにも関わらず遊真はそれを打ち破った。運が良かった等もあるのだろうが勝てた事に関しては変わりはない。
「じゃいあんと……なんだそれ?」
「格下の相手が格上の相手に勝つことが出来たという意味だ。村上さんは中々に強力なサイドエフェクトを持っているからな……ホントによくやった。コレで玉狛第二には実質10000点超えの
「ふふっ、頼りにしてくれて構わんぞ」
「ああ、修はお前の事を信頼している……私はなる事を拒んだがお前は千佳ちゃんや修にとっての柱になっている」
「柱?」
「ああ。例えどんな時でも折れずに支えとなる柱だ……」
麟児さんになにかがあった時に柱になってくれと頼まれていたが私は拒んだ。
遊真ならば修や千佳ちゃんにとっての柱になる事が出来ている……他人に託すのは無責任かもしれないが遊真ならばと私は信じている。
「さて、とりあえず差し入れを渡しておこう」
「お、ありがとう!」
「なに、礼を言うのは私の方だ。流石にオペレーターまでは出来ないからな……オペレーターがその辺の奴だったら使い物にならない可能性もある。A級経験者がオペレーターである事は嬉しい限りだ」
「またまた〜上手い事を言っちゃって」
宇佐美が居てくれた事はとにかく幸運だったと言うべきか。宇佐美は褒め上手だと照れるが私は事実を述べたまでだ。
ともあれ修のチームは上位に来た……原作知識等があるとはいえここまでホントに良くやったと思う。我が弟ながら誇らしい。
「次はいよいよB級上位戦だ。此処からはマスタークラスは当然の事、なんらかの武器で10000点超えている人がチームにいると考慮しておかなければならない……さて、ここで問題だ」
「問題?」
「1つしかない10と1つしかない100、どちらがより大きな数字だ?」
「そりゃあ……100だろ?」
「1つの100と1つの10だとどう見ても100の方が大きい……1が10になるよりも10が100になった方がより大きな数字になる」
「……なに当たり前の事を言ってんの?」
遊真は極々普通の事を意味深に大層に語っている私に対して首を傾げる。
確かにそうだ。私が言っている事はそれこそ陽太郎でも簡単に分かる事だろう。だから修には気付いてほしい、素の実力を上げるだけなのが今すべき事ではないと。
「っと、これ以上この場に居れば余計な事を言ってしまう。修、1を10にするぐらいなら10を100にしろ。そっちの方が何かと効率がいい」
「……どういう意味だろう……」
ホントに身内に対してはとことん甘い人間だと痛感する。
これ以上この場に居れば答えまで言ってしまいそうなので修にスポドリとアルフォートを渡してこの場を去る。
『兄殿、大丈夫か?』
「……あのままあの場に居れば答えを教えてしまいそうだから逃げた」
ちびレプリカが着いてきたのでとりあえず逃げたことを認める。
逃げたことに関してはちびレプリカは深くは責めない。答えを教えてしまうのはいけない事だからと認識してくれているからだろう。
「あ、三雲くん」
修達から逃げた先に熊谷が、というか那須隊の面々がいた。
熊谷は私の事に気付き、那須隊の面々は私を認識しオペレーターの志岐はビクりと反応して那須を盾にする。
「小夜ちゃん大丈夫よ。三雲くんは危険じゃないわ」
「またそんな人を問題児みたいに言わないでくれ……まぁ……当然の結果だったな」
絶対的とは言い切れないがエースと言うに相応しい実力者の
「っ……どうすればいいかしら?」
毒を吐いている私に対してなにか言い返そうとする素振りは見せるが那須は言葉を飲み込んだ。
実際2つのチームと那須隊は劣っていると認識をしており、酷な現実を受け入れてアドバイスを聞き入れようとする。
「エースで頭でリーダーであるお前に負担がかかりすぎているから他が素の実力を高める……と言っても村上さんの様なサイドエフェクトがない限りは1日2日で強くなるのは不可能だろうな」
「……茜ちゃんに残された時間は少ないわ」
「……日浦の両親の反応は当然と言えば当然だ。A級は負ける、C級は攫われるとなれば明日は我が子の可能性もあるんだからな」
そう考えると我が家は寛容的だ。
母さんは危険だからやめておきなさいと言っている反面でホントにやりたいことならばやりなさいと認めてくれている。
「どうすれば……どうすれば……」
那須が頑張っても限界がある、というか那須隊は現時点で那須に負荷が掛かりすぎている。玉狛第二と同じ壁にぶつかっている。
那須は焦っている……原作通りならば今回はランク戦は8回のみ。原作通りに行けば那須隊は上位に入ることは出来るが入ったことが出来たとしてもカモにされる未来が待ち構えている。A級に高卒までに上がれるかどうか……難しいな
「ふぅ……私もとことん甘い人間、いや、違うか」
那須隊がこんなに頑張っている原因は元を正せば私にある。
私がサイドエフェクトと原作知識で余計な事を言ってしまったから……だったらその責任を取らなければならない。
「お前等、暇そうでスポーツやってくれそうな人にコネを持っているか?」
「え、どうしたんですか急に」
「1日2日でパワーアップを果たすのは殆ど無理に等しい……が、似たような事は出来なくもない……多分だが」
やったことはないが持ち前の器用さとサイドエフェクトがあれば理論上は出来る筈だ。
「ホントならばこういう事をすれば後で悲鳴を上げて泣き言を言うんだが……まぁ……責任は果たさなければならないからな。修達にすらやっていない事を特別サービスでやってやる」
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