「よぉし、じゃあ次は英語だ」
バカを決めるテストはまだまだ続く。
次の課題である英語に移り変わる。学校のテストならばヒアリングの問題等もあるのだが、このめちゃイケ風のテストにそんなのは存在しない。
普通の記述式のテストのみであり語群なんてのは以ての外、コロコロ鉛筆でクリアされる可能性も配慮している。
「英語はな……英語は悲しいことに90点台1人も居ねえんだわ」
「マジすか!?」
答案用紙を確認する諏訪。
誠に残念な事に今回のテスト、国数英理社一般常識の6科目、どの科目1つも1人も100点を取ることは出来ていない。それどころか酷い奴は一桁代の点数を叩き出している。真面目に勉強している奴等はちゃんとした結果を残してるのにコイツ等はと若干苛立ちつつも頭を冷静に切り替える。
「英語の1位は……風間、お前だ!!」
「おめでとうございます。1位です」
「……何処を間違えていた?」
1位という結果を聞いてもあまり風間は喜ばない。
貴虎が拍手を送るのだが普通校の中学生程度の問題、余裕で満点を取ることが出来ると思っていただけに少しだけショックを隠せない。
何処をどう間違えていたのか、最後の最後で詰めを誤ったと貴虎に何処を間違えたのかを尋ねるので貴虎は風間の答案用紙を返した。
「……オレもまだまだの様だな」
「日本の英語は暗記しとけば赤点だけは回避する事が出来たのとヒアリングの問題とか無かったから仕方ない事です」
「だがお前は満点を取ったのだろう?」
「まぁ、そうですけど……」
「ならば年齢や通っている学校の違いを言い訳にする訳にはいかない」
硬いなこの人は。貴虎はそう思った。
それはそうとしてテストの珍回答発表に移る。
「じゃあ問二の問題、昔話を英語で書け……緑川の答え」
「【EnsyentoStory】……まぁ、直訳すれば間違いではないにはないけども……」
「ええ、違うの!?」
「違うに決まってんだろうが。何処見てエンシェントストーリーになるんだ。old taleだ……ついでに黒江の答えも」
「【long long ago】……惜しいわね」
「昔って単語には辿り着いてるけども聞いてるのは昔話だからな。コレだとずっと昔だけの意味になる」
「そうなんですか……」
「まぁ、英語初めて1年ぐらいだから仕方ない事だ……と言いたいが太刀川!!」
「やべ……何書いたか覚えてねえ……」
DANGERをダンガーと読み間違えるヤバい大学生、今回のバカ代表の大学生の1人として抜擢されている。
英語が自分でも自覚するぐらいには苦手な太刀川は答えになにを書いたのかすらまともに覚えておらず、トリオン体にも関わらず冷や汗をかいている。
「Hey there, this is not a smoking room. Please don't smoke……先ずは三雲の答え」
「【ここは喫煙室じゃありません。喫煙室で吸ってください】……模範的な答えね」
「続いて太刀川さんの答え」
「【ヘイ!この部屋には横綱がいない、横綱を出してくれ!相撲を取らせろ】っ……」
「おい、おい!もう一度文をよく見やがれ!何処に横綱がいる!!」
「だってだって……スモウキングじゃん」
苦し紛れの言い訳をする太刀川。
スモーキングをタバコだと気付かないどころかスモウキング、相撲取りの頂点である横綱だと勘違いをする間抜けっぷり。
「スモーキングは
「太刀川さん、酷いとの噂はなにかとお聞きになっていましたがここまでですか……」
あまりの内容に笑うしかない美味しい思いをしている諏訪に対して貴虎はドン引きしている。
貴虎だけじゃない。師匠である忍田や風間、弓場もそりゃねえよと言った顔をしている。
「太刀川さん、そりゃねえだろう。スモーキングをスモウキングって」
「そういう米屋もなんだかんだで問題間違えてるからな。アルファベットを全部書けでLを書き忘れてるからな」
「ぬぅおぁ、マジかぁ!?」
「おいおいおい、米屋しっかりしろよ。ダラしねえな」
此処では言えないだけで珍回答は兎にも角にも多い。
そんな中でどの珍回答を発表してやろうかと諏訪は生徒達の答案に目を通していくと違和感に気付く。
「なぁ、三雲、じゃなかった。貴虎主任、コレってPの方は要らねえよな?」
「三雲でいいですよ……あ〜……確かに要らないですね」
「……緑川、米屋、仁礼、別役、日浦、起立」
「な、なんすか今度は!!」
ただでさえ赤点だというのに悲惨な事になっている。
別役は冷や汗をダラダラとかいており貴虎は橘高に立たせた5人の答案用紙を提出する。
「コレは……こっち側のミスでいいのかしら?」
「いやいやいや、ダメですよ。流石にコレは見逃す事は出来ません」
「な、なぁ。さっきからなんの話をしてるんだよ?」
「よし……小佐野、帯島、消しゴムを英語で書いてみろ」
「すわさん、幾らなんでもナメすぎでしょ。イレイザーだよね」
「Eraserでいいですか?」
「おぅ。お前等正解だ」
消しゴムという単語を英単語で答えろという問題だ。
小佐野と帯島はそれぐらいならば初歩的な事だと簡単に答える。
「アタシもイレイザーって書いたぞ!覚えてる!」
問題の解答に関して仁礼は覚えている。ハッキリとEraserと書いたことを覚えているのだが貴虎が眉に皺を寄せる。
ジッと現在席を立たされている面々を見ており大きく「はぁ」とため息を吐いたら橘高に合図を送る。
「緑川、仁礼、米屋、日浦、別役の答え【plastic Eraser】」
「え〜……答え的には間違いではないです。消しゴムはゴムと言っているけどもプラスチック製品のもありますが……皆さんなんでプラスチックの単語が出てきたんでしょうか?」
「えっと……」
答え自体に間違いはない。プラスチック製の消しゴムは確かに存在している。
しかしそんなのを何故にこのメンツが知っているのかという話になり、なんで知ってるかと貴虎は問い掛けると別役は目を逸らす。
「……犯人はコイツだ!!」
「おまっ、人の筆箱を漁るんじゃねえよ!!」
「馬鹿野郎、支給品でボーダー所有の物なんだからいいんだ」
仁礼に突撃する貴虎。
仁礼は必死になってとある物を死守しようとするのだが貴虎の方が素のスペックが圧倒的に高く、仁礼は筆箱を奪い取られてしまい……支給品の筆箱の中に入っていた消しゴムを取り出す。
「……お前等、カンニングしたな」
「ギ、ギクリ」
消しゴムは何処にでもある近所の百均やコンビニで購入できる極々普通の消しゴムだ。
MONOと書かれている消しゴムであり……PLASTIC ERASERとの表記されている。
「茜、あんたまさか!!」
「ど、どぅぁああああ!!す、すみません!悪気は無かったんです!無かったんですけど消しゴムに書いてあったからつい!」
「犯人は皆似たような事を言う……5人全員10点減点だ」
「ええ、そりゃ無いよ!問題を作った側に今回の責任があるでしょう」
「口答えをするな!」
不備が生まれた原因は出題者側にあると緑川は主張するがカンニングをした事実には変わりはない。
貴虎は5人を問答無用で10点減点する。
「そんな、ただでさえ0点に近いのに10点も減らされたら」
「大丈夫だ別役……0点の人は普通にいる」
「えぇ、誰ですかそいつ!」
「…………太刀川さん」
「慶、お前そこまでだったのか!?」
「異議あり!間違えたり答えが分からなかったりした問題は多かったけども全部埋める事は出来たんだ!米屋達が10点減点されてても俺はプラスチックって書かずに普通にイレイザーって書いたの覚えてるぞ。0点はない」
尚、太刀川は消しゴムを見てEraserだと分かった勢だが万が一バレても回避出来る様にplastic書かなかった勢である。
0点はいくらなんでもおかしいと主張する。おバカキャラはなんとしてでも回避しなければならない。答案用紙を返して貰うと問題の☓印が多く目立つのだが幾つかは答える事が出来ている。自分の何処が0点なんだと言いたげな顔をする。
「太刀川、テストをする上で忘れちゃいけない事はなんだ?言ってみろ」
「そりゃあ……書き間違いとか書く位置がズレてないかとかじゃないですか?」
「まぁ、そうだな……お前、このテストを受ける際に最初になにを書いた?」
「なにってそりゃあ名……あ、やべ」
「気付いてももう手遅れです」
太刀川は此処で自分が0点である理由に気付いた。
なにが間違っているのか一部の隊員は理解出来ないので橘高がモニターに繋がっているカメラに答案用紙のコピーを映す
「【TACHEKAWA K】……お前の名前は何だ?」
「……太刀川慶です……」
「太刀川さん、別に名前は日本語でも良いんですよ」
太刀川は自分の名前を英語で書こうとした。本人的にはローマ字のノリで書いたのだがその結果タチェカワケーが生まれた。
ボーダーに太刀川慶という人間は所属しているがタチェカワケーという人間は所属していない。初歩も初歩、自分の名前を普通に間違ってしまっている。名前を間違う奴は問答無用だと切り捨てられる。それがこのテストの
「というわけで英語のテストの1位は風間さん、ビリは0点の名前書き忘れのタチェカワケーさんです」
「ヤベえ、ヤベえぞ……」
このままだとA級1位ではなくバカの1位を取りそうな勢いのタチェカワケーさん。
0点を取ったことによりビリレースを一気に駆け抜けていっている。なんとしてでも汚名返上しなければならないのだがテストはとうの昔に終えており、現在は珍回答が発表される場であり汚名返上は不可能に等しい。
「じゃあ、最後に社会のテスト……1位は月見、お前で94点だ」
「94点、残念ね」
「ケアレスミスで得点を間違えた感じですね……え〜……せめてこの問題は全員正解して欲しかった」
「どの問題だ?」
「【今から約4年半前に三門市に現れた近界民を倒した組織の現在の正式名称を書け】……別役、タチェカワさん、米屋、仁礼、小佐野、黒江、緑川、柿崎さん、月見さん、風間さんミスです。界境防衛機関BORDERが答えでボーダーだけでは三角です」
絶対に答える事が出来そうなところでのまさかのケアレスミス。
ボーダーの事を基本的にはボーダーと呼ぶので誰も正式名称で呼ばなかったりする。ボーダーで定着しているのでなにも言えない。
「さ、気を取り直して……古代より存在している貴族制度、その爵位を高い階級から順番に書いていけとの問題だ」
「仁礼光の答え【公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵】……正解よ」
「ま、あたしにかかりゃコレぐらいなんてことねえよ」
「日頃から漫画で知識を得ているから……まぁでも後上1つあったりするんだが、それに関しては今回は見逃してやる」
大公に関しては知らない人も多いので今回は目を瞑る。
少しでも正解しておかなければならない仁礼は小さくガッツポーズを取った。
「戦国時代に関する問題だ。長篠の戦いで織田・徳川の連合軍は新兵器の?を使って武田勝頼を破りました……先ずは小佐野からだ」
「ふ、ズバリ拳銃だよ」
「惜しい、余計なの入ってる」
「え、違うの?」
「合ってるけど余計なの入れてしまってる」
拳が無ければ正解に辿り着いたのに実に残念な回答、小佐野は三角である。
「さぁ、仁礼。新兵器の何を使って武田に勝利した」
「刀」
「いや、戦国時代より前から存在してるわ!!」
「緑川、何を使った?」
「えっと、弓?」
「だから戦国時代より前から存在しているわ!お前等アレか。戦国時代より前は石で殴り合いする原始的な戦争をイメージしてるのか!」
諏訪のツッコミが火を吹く。
原始的な生活を繰り広げていたのはかなり前の話であり戦国時代には既に存在している。
「米屋、言ってやれ。新兵器はなにかって」
「おぅ、槍だ!」
「それも昔から存在している……別役、言ってやれ。新兵器の名前を」
「はい!ロケットランチャーですよね」
「お前、時代の先取りにも程があるだろう。この時代でロケランの量産に成功してたらニ週間ぐらいで天下とれるぞ!」
貴虎のツッコミも火を吹いた。
それだけ別役太一の書いた答えが酷かったのだ。ロケットランチャーがある戦国時代……圧倒的なまでに混沌としている。タイムスリップものでも早々に出てこないぞロケットランチャー。
「タチェカワ、答えを言ってやれ!」
「火縄銃だろ?」
「そうだ。鉄砲、銃、火縄銃が正解だ。おサノは拳銃って言ったがこの時活躍したのは銃であって拳銃じゃねえ。ケアレスミスだからな」
「う〜すわさん、厳しい」
「キビしかねえよ、常識だろこんなもん。次の問題は……明智光秀は織田信長を討って権力を得たが直ぐに滅ぼされた為に三日
「橘高さん、どうぞ」
「緑川、米屋、別役、仁礼の答え【坊主】」
「やると思ったよ!お前等それしか出てこないと思ってたよ!タチェカワさんの答え!」
「タチェカワケーの答え【天下】……丸です」
ここに来て英語の0点が嘘の様に巻き返してくるタチェカワ。
戦国時代に関する問題をサラリと答えており他のアホどもとは違うんだと一線を見せつけてドヤ顔になる。
「タチェカワさん、いい点を取れたのはいいですけど代わりに友人を失いましたよ」
「太刀川さん、見損なったぜ」
「もうちょっと面白いのを期待してたのに」
「なに普通に答えてんだよ……」
「こう、捻りが無いっすよ!」
米屋、緑川、仁礼、別役の順にタチェカワは蔑まれる。
「俺、問題に正解したよな?」
バカはバカ同士で仲良くしなければならない謎の連帯感が生まれていた。
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