さてさて、修達は自分が出来る事を見つけようとしている。
遊真はのびのびとランク戦を行いボーダーのトリガーに馴れていっている。千佳は自分が人を撃てないのではなく撃ちたくないと言う事を貴虎が教えた。千佳はこれから自分だから出来るトリガーの組み合わせを試行錯誤する時間だ。修は唯我をサンドバッグとし、戦いそのものに馴れる。スパイダーに関しては出水がそれとなーく教えるつもりでいる。原作よりも時計の針が速く進んでいる……様に見えた。
「おい、アレって例の」
「ああ、マスクマンだ」
謎のマスクマンに換装した私は狙撃手の訓練所にやって来た。
何をしに来たかと言われれば当然狙撃手としての訓練を積みにやって来た。忘れちゃいけないが私は初心者をある一定の実力にまで持っていくマニュアルの様な物を作ろうと思っている。トリガーを渡して後は自力で頑張ってねは余りにも酷というもの。
「よぉ、今日はランク戦をしねえのか?」
「【今はテスト期間中なので程よくやっておきたいんで……流石に遊んでられません】」
当真さんが私に気付いて声をかけてくる。
ここ数日は見ていなかったのか珍しそうなものを見る目で聞いてくるので今日はランク戦をするつもりはないと意志を示す。テスト期間中なので遊んでいる暇は何処にもない。カゲさんとかそんなの関係無しにランク戦を挑んできそうだけども。
「大変だねぇ、後輩は」
「【そういう貴方こそ来年から色々と悲鳴を上げたりするんじゃないんですか?】」
「バカを言え。流石にレポートぐらいちゃんとやるよ」
オペレーターが怖いからとかいうオチなのかもしれない。
とりあえず狙撃手の訓練を行う。と言っても的当てだけの簡単な訓練だ。サイドエフェクトがあるのでスコープを除いて的を絞る事をしなくていい。近距離戦闘も中々だが中距離、遠距離もこのサイドエフェクトは色々と力になってくれる。
「はぁ……」
狙撃の訓練をしていると隣の台にいる佐鳥が大きなため息を吐いている。
困っていると言う
「なにため息吐いてんだよ?嵐山さんの隣に立って酷い目にあったのか?」
「いやいやいや、あの地獄の様な思いは二度としたくない、って違いますよ!」
当真さんが佐鳥に話しかける。
元気が無いが本人が困っているんじゃなくてどうにかしたいと思っている感じの悩みっぽい。そして佐鳥、嵐山さんの隣に立ったら色々と辛い目に遭うぞ。具体的に言えば嵐山ファンがワーキャー言って、なんだ佐鳥じゃんという3枚目の芸人扱いを受ける……いや、発言からして既に受けているか。
「ちょっと木虎の事で困ってるんですよ」
「木虎のこと?あいつが困るって烏丸関係ぐらいしか思い浮かばねえけど」
「それがこの前の大規模侵攻で
間に私を挟んで話し合う当真さんと佐鳥。
話題はこの前の大規模な侵攻、木虎はラービット相手に緊急脱出をさせられた。相手が悪かったとしか言いようがないが前線に立っている奴が負けてしまったのは精神的に来るものがあるだろう。
「聞いた話だと東さんの至近距離のアイビスが効かねえ程に頑丈だったそうじゃねえか。トリガー使いを捕獲する為に作られてたって話だし1人だと無理あるだろ」
「俺もそう言ったんすよ。でも、太刀川さんとか村上先輩とかはそれより強い色付きのを倒したりしてたしなによりあの場でA級の自分が落ちるのは全体の士気に関わる事だって頑固でして」
「……そのトリオン兵のデータはあるのか?あるんだったら再現してもう1回、再戦させりゃいいだろう」
「いや……それだと意味が無いって言ってるんですよ」
「なんでだ?」
「来る相手が分かってなくても初見の相手でも勝ててこそのA級だって……1本でも落とせばA級以前にボーダーの意識に関わるって」
「めんどくせえな、おい」
だが言っている事に関しては一理あると思う。
A級なんだから初見の相手だろうと黒トリガーだろうとなんとかしないといけない。エリートを自称しているのと自尊心やプライドが高い人間ならば尚更だろう。
「とっきーも普通のA級でも難しいからってフォローを入れてくれてるけど……なんかいいアドバイス、ないですかね?」
「狙撃の事ならともかく、そういうのはちょっとな……三雲、お前ならなんとか出来るんじゃねえのか?」
「【また随分と滅茶苦茶な事を……】」
「でも、見てらんないんですよ。木虎がピリピリしてるんで三雲さんの弟さんに射手としてのテクニックを教えることが出来ないって嵐山さん困ってたし」
「【待て……どういうことだ?】」
「とっきーにとりまるから電話が来て弟さんに銃手や射手のテクニックを教えて欲しいって頼まれたんですけど木虎がピリピリしてるから隊室に呼び出せないって」
「【……おぅ……】」
木虎の鼻っ柱が折れていない為に厄介なバタフライエフェクトが起きた。
一応は出水に答えはスパイダーだと教えてはいるのだが原作通りに覚えてくれるに越したことはない。下手な原作介入で余計な事になってしまった。巡り巡ったツケが今頃になってやって来た。
「なんかいい案はないですかね?」
「【……そうだな】」
木虎は鼻っ柱を折られて立ち直ろうと必死になっている。それ自体はいいことだ。だが、周りに心配されている程に鬼気迫っている。
ここらでなにかきっかけの様なものを与えないと周りにも被害が出る可能性が高い。というか修がスパイダーに関して教えを受けない可能性が出てきている。
「【内密にしてくれるのならば力を貸してもいいぞ】」
「ほ、ホントですか!?」
「【成功する保証は何処にも無いし、もしかしたら鼻っ柱を根本から叩き折る可能性がある。かなりリスキーだが……それでもやるか?】」
「……あ、嵐山さんと相談していいですか?」
「【好きにしろ】」
あくまでも浮かんだ案で即興だ。失敗する可能性は高い。成功したら天狗になる可能性も高い。
佐鳥は早速嵐山さんに連絡を取ると隊室で事務処理をしているとの事なので来てくださいと佐鳥に連れられて嵐山隊の隊室にやって来た。
「話は聞いているよ。木虎を元気づける方法があるんだね?」
嵐山隊に入ると嵐山さんが出迎えてくれる。
お茶を出してくれたので1杯頂きつつ嵐山さんと対話する。
「【元気づける方法かどうかは分かりませんが、今から変化させるのならば出来ますよ】」
「そうか。ならそれを」
「【ただそれがいい目になるのか悪い目になるのかは分からない。コレばかりは木虎次第……私の占いでは72%の確率でいい方向に向かわない。ただ変化はすると言っている】」
「そんな事も分かるのか!?」
「【サイドエフェクトの応用です……で、どうしますか?】」
別にやらないのならばそれはそれでいい。しかし停滞してしまっているのも事実だ。
木虎がここから変わる事が出来るかどうか、ラービット相手に折られた鼻っ柱と今後どうやって向き合っていくのかが大事な事である。
「……具体的にはなにをするつもりなんだ?」
「【別に特別な事はしませんよ。ただトリオン兵と戦ってもらうだけです……ただし、ちょっと特別なトリオン兵ですけど】」
具体性を求めているので答える。
一昨日の那須隊のバスケみたいな特別な事はしない。純粋にバトルをしてもらう……それに打ち勝つ事が出来たのならば木虎は慢心に近い自信を取り戻す事が出来るかもしれない。
「……よし、頼んだよ。三雲くん」
「【謎のマスクマンなので出来れば名前で呼ぶのはやめてほしいんですが……】」
「す、すまない。マスクマンくん」
それもそれで困るんだがな。
とにかく木虎に自信をつけて貰う事にしたので私は早速自分の部屋に戻りゲネシスドライバーを手にし仮想訓練を行う訓練室に向かった。
『メロンエナジー!ロック、オン!』
「変身」
『ソーダ!……メロンエナジーアームズ!』
久しぶりに斬月・真に変身した。
ボーダーのトリガーであれこれやっているがやっぱりと言うかゲネシスドライバーの方が私には合っているな。トリオン体じゃなくてトリオンで出来た鎧を身に纏っているのがなんともしっくりと来ている。
「木虎、連れてきました」
「なんなんですか急に」
「なに、ちょっとした実験だ」
時枝が木虎を連れてきた。
急に呼び出された木虎は若干だが不機嫌そうになっており嵐山さんが実験に付き合って貰うという体で今から戦ってもらうという事になり……私と向き合う。
「この夕張メロンと戦うんですか?」
「残念だが私と戦うんじゃない。戦うのはコイツだ」
『ディケイド!』
私と戦うと思っている木虎だが生憎な事に斬月・真は生身の肉体に鎧を纏っているのと同じだ。
戦うことは不可能に近い……まぁ、木虎クラスならば完成されたゲネシスドライバーと斬月・真の前には無力に等しいが流石に傷害沙汰は洒落にならない。
「今回はこいつと戦って勝つ……初見の相手だがA級のエースならばどうにでもなるだろ?」
「当然です。こんなピンク色のバーコードの人型トリオン兵なんて1分もあれば蹴散らす事が出来ます」
「随分と大きく出たものだな……じゃ、カメンライドで」
ディケイドはネオディケイドライバーにカードを挿入する。
流石に無いとは思うがクローズビルドになりたくないのである程度の距離を取っておく。
『KAMENRIDE EXーAID MUTEKI GAMES』
「え」
『輝け流星の如く!黄金の最強ゲーマー!ハイパームテキ!エグゼイド!』
「悪趣味な見た目ね」
「ノーノーノー!コレは幾らなんでもダメだ!」
なんでも良いので強いのに変身しろと思っているとまさかのムテキゲーマーに変身した。
流石にムテキゲーマーはいかん。この部屋、トリオンを消費しない仮想訓練室だから私が解除しない限り半永久的に戦い続ける。
「コレだと流石に弱い者いじめになってしまう」
「……なんですって?」
他のライダーにカメンライドしてもらおうとすると木虎がピクリと反応する。
木虎から放たれるオーラが明らかに不機嫌そうになっており、私の事を強く睨んでくる。
「このトリオン兵に私が勝てないと言うんですか!」
「まぁ、そうだな……ぶっちゃけ誰が相手でも勝つことは不可能だ」
ハイパームテキに勝つ方法は存在しない。あってもせいぜいこっちもハイパームテキを使うかネビュラガス的なのをまき散らすかだ
木虎では勝つことが出来ない。迅だろうが太刀川さんだろうが東さんだろうが絶対に勝つことは出来ない。ハイパームテキはそういう存在だ。
「……いいじゃない。このまま続行してください」
「いや、だから……はぁ。もう好きにすればいい」
なにを言っても動こうとはしない木虎。
こうなってしまった以上はやらせるしかないとハイパームテキと戦わせる……いや、違うか。一方的なリンチになる。
「っ、早い」
「身長 217cm、体重119kg、パンチ力128t、キック力128t、ジャンプ力128m 、走力100m0,128秒……圧倒的なまでのハイスペックを持っているがハイパームテキの売りはそこじゃない」
「この!」
ハイパームテキの売りは歴代のライダーの中でも群を抜いて高いスペックじゃない。ありとあらゆる攻撃に対して無敵の耐性を得ている事だ。
ガシャコンキースラッシャーを取り出したので木虎は一旦距離を取ろうとするのだがハイパームテキがあまりにも素早いので一瞬で間合いを詰められる。スパイダーを使って自分の得意な陣形を作り出そうとするがそれよりも早くガシャコンキースラッシャーで切り落とし更には間合いを詰めて木虎の頭をガッシリと掴んで顔面を蹴り上げて木虎を空に飛ばす
『FINAL ATTACK RIDE EEE、EXーAID』
それは一瞬だった。
ハイパームテキゲーマーのエグゼイドは姿を消した……かと思えば木虎の背後に立っており木虎は地面に倒れた。するとどうだろうか。【HIT】の文字が無数に木虎から出現して木虎のトリオン体は粉々に砕け散った……が、此処は訓練室なのであっという間に復活する。
「これだと一方的なイジメと変わらない。別のにする」
そう言うとディケイドエグゼイドは元のディケイドの姿に戻る。
木虎を相手にちょうどいい仮面ライダーなんて居たっけと考えつつも仮面ライダーのカードを確認する。ムゲン魂、ジーニアス、トライドロン……どれも木虎単体で相手をするのは難しいものだ。
『KAMENRIDE WIZARD FRAME DORAGON』
他にも色々とあるけどこれならばいけるだろうとカードをベルトに装填した
『ボーボーボーボーボー!』
仮面ライダーウィザード フレイムドラゴン。
基本スペックもそこまで高くないしチート過ぎる能力も持っていない。コレならばいけるだろう……私はそう思っていたのだが世の中そんなに甘くなかった。
『DORAGOTIMER、SET.UP』
「え、ちょ、それはアカンって」
ディケイドウィザード(フレイムドラゴン)はドラゴタイマーを取り出し起動した。
ウィザードソードガンを片手に木虎に斬りかかるのだが木虎は軽快に避けた……が、詰んだ
『ウォータードラゴン!』
背後からディケイドウィザード(ウォータードラゴン)が出現して木虎の背中をバッサリと斬り裂いた。
木虎はなんでと言った顔をしているがウィザードの魔法は何でもありに近いので仕方がないと見守っているとドラゴタイマーの針は進んでいく
『ハリケーンドラゴン!』
緑色のウィザード、ハリケーンドラゴンが出てくる
『ランドドラゴン!』
最後と黄色いウィザード、ランドドラゴンも出てくる。
1人の人間に対して4人のディケイドウィザード……ここから更にエグい事が出来るのだがそれはただのイジメになるのでやらない。
『ファイナルタイム!オールドラゴン、プリーズ!』
4人のディケイドウィザードに四方から囲まれる木虎。
ここからウィザードソードガンで撃たれたら一溜まりもないのだがディケイドウィザードは手を緩めない。フレイムドラゴン以外のウィザードがフレイムドラゴンのウィザードに集結し、ドラゴンの翼を尻尾を爪を頭を生やして空高く飛翔し急降下。木虎の下に潜り込んだと思えば木虎を蹴り上げて天井にまで叩きつける。
「……ここまでなのか……」
仮面ライダーの力がチートなのは前々から分かっていた。
いざボーダーのA級隊員と戦わせてみればここまでの大差を開くとは思っていなかった。見守っていた嵐山さんはあまりの力の差に開いた口が塞がらないのだろう。
「仕上げだ」
『KAMEN RIDE GAIM KIWAMI AMRS』
互角の勝負を繰り広げられないならば圧倒的なまでに力を見せつけるのみだ。
コレで木虎がどうなるかは私は知らない。吹っ切れるかもしれないし折れて終わるかもしれない……だが、私の知ったことではない。
『極アームズ 大・大・大・大、大将軍!』
最後だと手を緩めはしない。
ディケイド鎧武 極アームズに変身すると大橙丸を取り出して木虎に迫る。空を飛んだり圧倒的なまでのスペックで戦ったりと色々なのを相手にしてきて馴れてきたのか木虎はワイヤーを張るのだがディケイド鎧武は切り裂いていき
『キウイ激輪 イチゴクナイ パインアイアン レモンレイピア シャインライチソード マンゴパニッシャー ドリノコ ギガドリノコ』
極アームズの売りと言ってもいい無数のアームズウェポンを出現させて何処かの英雄王を思わせるかの様な攻撃をした。
いきなり出現して飛んでくるアームズウェポンに木虎はシールドを展開して防ごうとするのだがキウイ激輪が砕き、イチゴクナイをはじめとする武器が飛んでいき木虎に命中した……。
「ここまでだな」
結果だけを見れば木虎はただただディケイドに圧倒されていた。
ディケイドがオーマジオウに続くチートライダーであるから当然と言えば当然だろう。むしろ途中で泣き言を言ったり投げ出さなかっただけマシだろう。
「木虎、お前は天才に見えるだけの秀才に過ぎない。本当の天才は別にいる……お前は確かに強いし努力もして成果を上げているが……所詮は秀才止まりだ」
ロックシードをオフにしてディケイドを消して変身を解除する。
木虎に対して厳しい事を言う。決して木虎は天才じゃない。天才に近い秀才であり、一言で言えば綺麗に纏まっているだけに過ぎない。
「自分はA級だからとかそんな事を思っているならば本物には勝てない。世の中には常軌を逸脱した化け物染みた存在が多々いる」
プライドが高いのは別に構わないが世界の広さというものは知っておかなければならない。
少なくとも私は世の中にはとんでもないヤバい奴とかが居るのを知っている。
「……嵐山さん、私に出来る事はここまでです。フォローを入れるのか厳しい言葉を投げかけるかは貴方の勝手です」
やれることはやっておいた。未知の敵を相手に何処までやれるのかを試してみてその結果木虎はボコボコにされた。
此処からはチームのリーダーとしてフォローするのかどうか知らないが嵐山隊の面々がどうにかしなければならない。私はこの場を去った。
「木虎……」
ボコボコにされた木虎に対して嵐山さんは寄り添う。
なにか上手い事を言いたいのだが今の木虎に対してなにを言ってもマイナスにしかならない事を嵐山さんは気付いている。次があると言ってもその次がもしかしたら来ない可能性だってある。下手な励ましは傷口に塩を塗るのも同然だ。相手が悪かったなんて言葉は甘えである。
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