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「トリガーチップ交換に来ました」
「そこにあるから好きにしてくれ」
今日も今日とてトリガー構成を弄りにやって来た。
最早馴れたものだと雷蔵さんはトリガーチップが置いてあるので好きにしろと言う。コロコロとトリガー構成を変えている事に関して1度一つのトリガーを極めた方がいいんじゃないのかと言われたが私は全部出来る様になりたい。
「雷蔵さん、スイッチボックスのトリガーチップってどれですか?」
「今度はトラッパーを目指すつもりなのか?」
そこにあるトリガーチップが全てではない。欲しいトリガーチップことスイッチボックスのトリガーチップを要求すると雷蔵さんは奇異の目を向ける。全部のポジションをすることが出来る隊員を目指すのであって完璧万能手は目指していない。全てのトリガーで8000点、つまりはマスタークラス並の腕前を持っている様になりたいのである。
「私は全部が出来る様になりたいだけですよ。それでスイッチボックスのトリガーチップは?」
「スイッチボックスのトリガーチップはコレだぜ」
「あ、冬島さん」
スイッチボックスのトリガーチップを差し出してくれるのはA級2位の冬島隊の隊長で数少ないトラッパーの1人である冬島さんだった。
とりあえずトリガーをパカッと分解してスイッチボックスのトリガーチップをトリガーに嵌め込む。
「何時ぞやは勝手に名前を使って申し訳ありませんでした」
冬島さんとはコレがある意味初対面なので一応は謝っておく。
私も冬島さんも置鮎ボイスで、使えるからと嘘の通信を取ってしまった。その事に関する謝罪をしていなかったなと頭を下げる。
「いいって、結果的には死人を出さずに済んだんだからな。それよりもスイッチボックスを使うのか?」
「はい……トラッパーは未知に近いですが、使いこなせる事が出来れば化ける事が出来るかと思いまして」
「まぁ、部隊を組んでる奴等でトラッパーって3人ぐらいだからな……折角だし伝授してやろうか?」
「いえ、申し訳ないですが自分で試行錯誤を繰り返したいので……スイッチボックスを入れて他のポジションをこなせるかの実験もしてみたいんです」
「トラッパーは何処に居るのか分からない様にしないといけないからサブトリガーがバッグワームタグになっちまうから可能性を探すのは難しいぞ。トリオンも結構食うし」
「大丈夫ですよ。トリオンならかなりあるので」
「そうか……まぁ、トラッパーの戦術のレパートリーを増やす事が出来ればそれでいいけどよ」
トラッパーはなにかと特殊なポジションである。
A級8位の部隊にある
「失礼します……あ……」
「なんだ修か」
トリガーチップを交換しつつ色々とやっていると修がやって来る。
ここに来たという事はトリガー構成を弄りにやって来たという事なのだろう……。
「修、順調か?」
「少しずつだけど前に進むことが出来てるよ」
「少しずつか……他の人達も1歩ずつ前に進んでいる。普通にやっても意味はない」
「うん。だから普通じゃない方法を探そうと思ってるんだ。千佳もトリガー構成を変えたりしてるし僕もトリガー構成を少し変えてみようかなって」
「試してみるのはいいことだ。だが……お前のトリオン能力だとトリガーフル構成は不可能だし、火力で誤魔化すなんて芸当は出来ない。テクニックで乗り切るしか無いが……そのテクニックを会得する時間は少ない」
次のランク戦まで時間が残っていない。
次のランク戦で力を発揮出来なくても名誉挽回する事は出来るだろうが、次のランク戦で発揮する事が出来るに越したことは無い。
「うん。だからサブトリガーで色々とやってみようかなって」
「……それは誰かからアドバイスを受けたからか?」
「出水先輩が勝つだけがランク戦じゃないって教えてくれて、倒されない様に粘る方法と妨害工作とかを教えてくれて……今からそれを試そうと思うんだ」
「……そのトリガーはスパイダーだな」
「……兄さんはなんでもお見通しなんだね」
「15年もお兄ちゃんをやっていれば色々と分かるものだ」
良かったぞとホッとするべきか、修は通常よりも早くにスパイダーの存在に気付いた。
これならば次のランク戦は期待する事が出来るなと安心しつつ雷蔵さんに代わってトリガーチップを入れる。
「仲良いな、お前等」
「「兄弟ですから」」
仲の良さは嵐山さんのところより上だと自負している。2人で声を合わせて冬島さんに返事をすると冬島さんはプッと笑う。
おかしなところがあったのだろうか?……まぁ、いいか。
「ん?熊谷からか」
トリガーの調整を終えた頃にボーダー支給の携帯端末から電話が入る。
こんな時になんの用事なんだろうと電話に出てみる。
「もしもし」
『あ、三雲くん。今いいかしら?』
「少しぐらいなら問題無いが……なにかあったのか?」
黒子のバスケの赤司が出せる究極のパスを受けて現段階で出せる最高のパフォーマンスを出すことが出来る。
その時の感覚を覚えてしまったのでその時の感覚をもう一度と思って逆にパフォーマンスを乱してしまっている……いや、それは無さそうだな。
『この前言っていた話を受けようと思うんだけど……小夜が固まっちゃって』
「それは私に相談してどうにかする事が出来る案件なのか?」
『いや、まぁ……私としては三雲くんの力を借りたいけどこのままだと……なにか良い方法はないかって』
「……女装?」
『玲も同じ事を言ってたわ……流石にやってくれって』
「それはそれで面白そうだからいいぞ」
『え、嘘!?』
「ちょうどトリガー開発室に居るからトリオン体を弄る事が出来る。トリオン体で女装をすればいい」
『いや、そこまで体を張らなくても別にいいんだけど』
「雷蔵さん、トリオン体を使って女装したいんですけどトリオン体を弄くってくれませんか?」
そうと決まれば女装するしかない。熊谷が色々と言っているのだが気にする事なく電話を切ると雷蔵さんに話を持ち掛ける。
雷蔵さんはコイツはいったいなにを言っているのだろうと言う顔をしている。確かに女装する事はオカマやおネエでないと浮かばない発想だが、こうでもしないとまともに対話をする事は出来ないのである。
「兄さん、なに言ってるの?」
「男性が苦手なオペレーターがいてな、このままだとまともにコミュニケーションを取ることが出来ないらしい」
「で?」
「トリオン体を女性に改造して貰おうと思ってな……ここならば自由に弄り放題だ」
奇妙なものを見る目で修も接してくるので何をするのか教える。
「トリオン体の改造……実際の身長より10cm程大きくしたり出来ますか?」
「出来ない事はないけども、実際の肉体との違和感があるから上手く動かすにはそこそこの訓練がいるよ」
トリオン能力をどうにかする方法は無いので、トリオン体を弄くってみようと試みる修。
残念な事にトリオン体を下手に弄ったら生身の肉体との差異で違和感を感じて使いこなすにはそれ相応の訓練が必要だと言われて断念する。訓練が不要だったら身長約180cmの修を見ることが出来たのか……私より大きな修は無しだな。
「修、次の対戦相手の二宮隊だが女性に対して免疫が無い隊員が居るらしいぞ」
「……僕にも女装しろって言うの?」
さぁ、そんな事は言っていないよ。
とりあえず修からトリガーを借りて雷蔵さんに渡すと無言のサムズアップをした。任せろと言っており、目にも留まらぬ速さで修の女装バージョンのトリオン体をチューンナップする。
「出来たぞ……元が良いからそこまで弄らなくてもいい」
「修は中性的で母さんに似ているからな」
「……っ……」
修は色々と言いたいことがあるという顔とやるしかないのかという諦めの顔をする。
ここで駄々を捏ねてもなにも変わらない。トリガーを起動して貰えば修の胸は大きくなり身長が5cm程小さくなり、ショートボブの髪型に……
「元と対して変わらないな」
修はトリガーを起動して女体化した。
元の顔が中性的なので髪型を少しだけ弄り胸を盛って背を少しだけ縮ませた……修が修くんじゃなくて修ちゃんの世界線か……乙女ゲーの主人公だな。悪役令嬢的なのも居るし爽やか系のイケメンもモッサリとしたイケメンも謎のイケメンもいて可愛い女の子の幼馴染みもいる……乙女ゲーの主人公だ。
「私はこんな感じで頼みます」
容姿が手塚国光なので安易な女体化は出来ない。
こういう感じの見た目にしてくれと紙に書くと雷蔵さんは任せろと目にも留まらぬ速さで仕上げてくれる……頼んでおいてなんだけどもこの人、疲れてるんだろうか。深夜テンションでモノを言っているからな……。
「お前の
「よし、トリガー、オン!」
確実にハイになってしまっている。しかしそんなのは関係無いとトリガーを起動する。すると目線が5cm程低くなる。
私の身長が181cmでマイナス5cmだから175cmぐらい……女性基準で言えば物凄く背が高い。
「ふむ……まぁ、こんな感じだろうか」
鏡を見て呟く。雷蔵さんに頼んだ通りの仕上げになっている。
声の方もどうにかしたいが流石に声帯を弄るのには時間が掛かる。修は梶裕貴ボイスなのでギリギリ女装はイケる筈だが私は置鮎龍太郎ボイス、ゴリゴリの男の子で声も男だ……。
「む……もうちょっと大きいのが良かったんだがな」
「馬鹿を言え、ヒンニュー教の教えも受けてるんだ……藤丸ののより1つカップが下なだけで充分デカいんだぞ」
とりあえず女になったらやることとして胸を揉んでみる。
修以上の巨乳になっているので堪能しようと思ったのだが……なんか違う。モノホンのおっぱいを揉んだ事があるので違いが分かる。なんかシリコンみたいなのが埋め込まれている感じがする。
「冬島さん、どうすか?」
「え、ぇええ!?お、俺に振るのか?」
雷蔵さん的には渾身の出来である修ちゃん。
冬島さんに評価を頂こうとするのだが冬島さんは修に視線を合わせようとしない。このおっさん、JKに対して耐性を持ち合わせていないからJCになった修もマトモに直視する事が出来ていない。
「冬島さん、感想をお願いします」
「いや、まぁ……に、似合ってるよ」
「直視して答えるんだ!修の女装が似合っているか直視するんだ!!」
「……に、似合っているんじゃないですかね……」
視線を合わせろ、ヒゲ。
とりあえず修の女装はJKに対して耐性を持たない冬島さんに対して効果を発揮している。コレならば二宮隊の辻にも通用するんじゃないかと思っているとトリガー開発室に出水がやって来た。
「メガネくん、中々来ないからどうしたって、えぇ!?」
「い、出水先輩……」
「メガネくんの股間のレイガストがオフになった……嘘でしょ!?」
「あ、あの……変、ですよね」
「い、いや、変じゃねえ……似合ってるぜ」
ここで修を褒めるとは出水はホモじゃないかな。
モジモジと赤らめている修を出水は直視する事が出来ていない。それだけ修の女装のクオリティが半端じゃないということだ。とりあえず他の反応も見てみたいので修を引き連れてソロランク戦が行われるブースを目指す。
「さて……ソロランク戦をするか」
「え……反応を楽しむんじゃなかったの?」
「何事もなければそれはそれで良し……」
「あ、三雲先ぱ……ぃ?」
ソロランク戦を行うブースに立ち寄れば早速引っかかった男がいた。
草壁隊の緑川だ。手を上げて三雲先輩と声を掛けようとするのだが修の股間のレイガストがブレードモードからシールドモードに変化しており、胸もそこそこ大きいのでアレ?っと首を傾げる。
「三雲先輩だよね?」
「ああ……」
「なんか縮んでる。てか、女の子になってないですか!?」
「……色々とあったんだ。色々と」
「話せば長くなるから簡単に言えば二宮隊対策だ」
「……ああ、辻先輩か……って、冬島さん……じゃないよね」
息を吐くかの様に嘘を付くと緑川は察した。辻の女性に対する耐性はそこまでなのか。
今度は隣に立っている私に気付き声からして冬島さんを頭に浮かべるのだがヒゲのむさっ苦しいおっさんがこんな美少女の訳ないなと否定して誰なんだろうと首を傾げる。
「私が誰かなんて気にしなくてもいい。それよりも他に誰か居ないかな?修の女装にどう反応するかみてみたいんだ」
「……オレ、この三雲先輩ならイケる」
「止めとけ。おちんちん付いてるんだぞ」
「その見た目でおちんちんとか言わないでよ……」
ホモの道は修羅の道だ。この修がイケると緑川は言うがトリオン体だからおっぱいがあるわけで、本来は中性的な顔の修である。忘れちゃいけない、この修にはおちんちんがついている。可憐な見た目になっている私がおちんちんと言っているのを緑川は気にするがそれを言えば私にだっておちんちん付いている。
「む……オサム!?」
「あ、遊真先輩!」
修の股間のトリガーがオフになっており生えていると緑川に言っていると二人目のターゲットもとい遊真が引っかかった。
まずいところを見られたと修は視線を外すのだが遊真がジッと見つめており視線を合わせない様に必死になっている。
「なんでオサムが女に……」
「私がやった……予想以上に似合っており私も若干引いている」
ここまでハマるとは思いもしなかったよ(すっとぼけ)
ジッと修を見つめている遊真は修の両手を握ると遊真は口を開いた。
「修、結婚しよう!」
「なぁっ!?なにを言っているんだ!」
「冗談だよ、冗談…………アリだな、メガネちゃん」
「良かったな、修。高評価の嵐だぞ」
「そ、そんな事を言われても全然嬉しくないよ!」
やはり修には女装のセンスがある。
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