2月15日(日曜日)修達はここまで原作通りに事が進んでいきB級上位に食い込む事に成功した。
原作通りに事が進んでいくのならば此処で1度上位の壁に阻まれる。遊真1人だけではボーダーのランク戦を勝ち抜く事が出来ないと証明される……が、とある転生者もとい貴虎がほんの僅かながら時計の針を進ませている。
「どうかな?」
ラウンド4のB級上位戦がある為にボーダーの本部に足を運んでいる玉狛第二。千佳は貴虎から色々と言われた結果、幾つかの答えを導き出す事に成功した。
現状ではとある人物しか使っていないサブトリガーが鍵だと示された千佳は一先ずはチームを組んでるB級A級のデータを洗い浚い調べた。
その結果、三輪のみが鉛弾を使っており千佳は鉛弾を入れて色々と試行錯誤を繰り返した。その結果、ライトニング+鉛弾のコンボを見つけ出す事に成功した。的に向かって鉛弾のライトニングを撃つとガコンと六角形の円柱型の鉛が出現する。
「なるほど、こういうのもあるのか」
基本的には遠距離から狙撃して相手を撃ち倒すのが狙撃手でサポートをする事は無い、というよりはサポート出来ることが少ない。
過去にとある人物が武器のみを狙撃して破壊していたりしたが、残念な事に千佳の現段階の技量ではそれをするのは不可能である。というかアイビスで撃った場合は武器どころか武器を持ってる人ごと撃ち抜いてしまう。
「オサムのワイヤー戦法もあるし、チカの黒いライトニングは初見じゃ防ぎようが無いから今回もイケそうだな」
「えっと、それなんだけどね遊真くん、修くん……私、人を撃とうと思えば撃てると思うの」
「む?人が撃てないから、こうして色々と試行錯誤してるんだろ?」
人を撃つことが出来るならば膨大なトリオン能力に物を言わせて相手を潰す事が出来る。
しかし千佳は人を撃つことが出来ず、修達はその事に関して深く踏み込まない。人を撃つことが出来る方がハッキリと言えば異常なのである。人を撃つことが出来るのならば最初からああだこうだと色々と試行錯誤を繰り返さずにトリオン能力に物を言わせた戦法を取った方が色々といい。テクニックよりも火力のゴリ押しだけで勝てるほど千佳はトリオン能力に恵まれている。
「貴虎さんに私は撃ちたくないから撃たないだけって言われたの……色々と考えてみて、私は心の何処かで撃ちたくないって思ってる自分と遊真くん達が限界ギリギリにまで追い詰められたりすれば迷わず発砲する自分が居るって気付いたんだ。撃ったらなにを言われるか分からなくて怖いって思ってたけど、怖いのは皆一緒なんだって最近思い出して……」
現在はランク戦という命の保証がある軍事訓練の一環だが、全ては近界民に対して色々と備える為の訓練だ。
遊真や緑川の様にランク戦をeスポーツ感覚で遊んでいる者も居れば近界民に対して復讐をしようと躍起になっているものもいれば自衛の手段としてボーダーに入隊している人も居る。
「だからね……撃つよ」
「千佳……」
ボーダーに入隊したいと言った時と同じぐらいには覚悟を決めている千佳。
数日の間でこれほどまでに変化があったのは貴虎の影響だなと修は気付くのだが口にしない。とにかく今は自分達がやるべき事をやるんだと気持ちを新たにする玉狛第二であった。
「お、こっちで見るんだな」
一方の貴虎はと言うとランク戦を観戦すべく観客席に座っていた。
出水は玉狛支部で見ると思っていたので少しだけ意外そうにしている。
「私は玉狛支部の人間じゃないからな、その辺りは勘違いしないでくれ」
修達の味方ではあるが近界民の味方かと聞かれれば答えはノーである。貴虎はそれはそれ、これはこれと線引きはしている。
「でもなんだかんだで今回は見に来てるんだな」
「まぁ、色々と言ったからな」
最初の解説はともかくとしてラウンド2と3は見ようとする素振りしか見せなかった。
今回は千佳や修達に色々と言ったのでそれがどの様な結果になっているのか気にならないかといえば嘘になる。
「メガネくんはスパイダーで戦う方法があるって事に気付いた。唯我との実戦でスパイダーでワイヤー陣を貼ることが出来たから……今回は成功するだろうな」
「今回はか?」
「ああ、今回はだ。ボーダーの訓練は死なないから直ぐに学習する事が出来る。村上先輩程じゃないが数日ありゃ対策の1つや2つ用意する事が出来るだろう」
ボーダーの死なない実戦形式のランク戦は割とバカにする事は出来ない。1回目は成功した戦法でも2回目以降からは対策の1つや2つ用意されている。
「因みに出水的にはワイヤー陣をどう突破する?」
「メテオラで焼き尽くす…………そう考えりゃ今回の相手は悪いな」
ボーダーで2番目のトリオン能力を持っている二宮隊の二宮、適当だが威力のあるメテオラをぶっぱする影浦隊の北添がいる。
どちらもメテオラを標準装備としており、もしかしたらワイヤー陣をメテオラで焼き払うといった可能性も無いことも無い……が、それは限りなく低い可能性である。
「まぁ、玉狛第二には後幾つか新戦法が存在しているから問題は無いだろう」
「ってことはあのトリオン怪獣がなんか見つけたのか?」
「私のサイドエフェクトでは見つける可能性が90%を超えているし、仮に見つけ出す事が出来なくても千佳ちゃんは人を撃つことが出来る。きっかけになる火種は与えたんだからな」
見る人が見れば雨取千佳は人を撃つことが出来ないと判断する。
故に今回限りだが雨取千佳は人を撃つことが出来ないと思い狙撃に対する警戒心を僅かながら弱める。それこそが悪手、千佳が撃つアイビスは基本的には防げない、回避するしか道は無いのである。
「遅れて申し訳ありません!」
そうこうしている内に観客席に大勢のC級やB級がやって来る。
もうすぐランク戦が開幕するのに中々に実況者が来ないなと思っているとやってきたのは嵐山隊の綾辻だった。嵐山隊の事務処理の仕事が忙しく、時間ギリギリのところで間に合ったといったところだ。
「B級ランク戦夜の上位戦、実況は私、嵐山隊の綾辻です。解説は風間隊の隊長の風間さん、加古隊の隊長の加古さんにお越しに頂きました」
「どうも。あ、風間さん、綾辻ちゃん、1日遅れだけどバレンタインのチョコを上げるわね」
「やった」
「頂こう……今回のマップは市街地Bだそうだな」
「はい。高い建物と低い建物があり射線が中々に通りにくいところ。今回マップを選んだ東隊は射撃を警戒したのでしょうか?」
「奥寺くんか小荒井くんが選んだのよ。地形戦を活かすのはいいけども味方の射線まで塞いじゃうのは東さんらしくないし、この前の那須隊と鈴鳴第一と玉狛第二の天候で妨害する策なんて博打に近いから東さんは選ばないわ」
試合が間もなく開始されるので今回のマップについて語り合う3人。
今回は市街地Bで台風の目となる玉狛第二等が居るのでどうなるのかと語り合っている内に二宮隊、影浦隊、東隊、玉狛第二がマップ内に転送される
「お、おおっと!」
「雪だな」
「なんと豪雪地帯です!」
市街地Bにはこれでもかと雪が積もっていた。
マップ選択権があるチームはマップの天候も指定する事が出来て今回は東隊の小荒井がラウンド3の那須隊の中位戦を見て、面白そうだと豪雪地帯に天候を変えた。
「うっひゃあ、歩きにくい」
二宮隊の犬飼は一般道路を歩くのだが、上手く歩けない。雪が片栗粉の様に柔らかくなっており移動するのにも一苦労である。
「積もっている雪は30cm程でトリオン体ならば動くことは出来なくもないですけど、一苦労な感じですね」
「コレは絶対に東さんじゃないわ。小荒井くん辺りが弄ったのよ」
「…………」
ここまでは大体は原作通りである。
原作通りであるが異なる部分も存在しており、玉狛第二の全員がバッグワームを起動しているということ。
「転送位置は大体均等にバラけてるな……メガネくん達は合流する?」
本気でA級を目指している修達はなんとしてでも多くの点を取って1位または2位にならなければならない。
ガッツイて前線に出るのかと思ったがフィールドがフィールドだけに動きづらい。
「見事なまでにバラけていて玉狛第二、東隊、絵馬隊員がバッグワームを使用……東隊、奥寺隊員と小荒井隊員は合流を果たそうとしています。玉狛第二の三雲隊長と空閑隊員も合流が目当てです」
「ふむ……三雲自体が腕を上げて空閑のサポートに出た、というわけではなさそうだな」
余計な事はせずに今は自分の得意なフィールドを作り上げに行こうとする玉狛第二。
各々が各々の動きをしている中で二宮隊の動きだけがやや遅かった。
「二宮くん、困惑してるわね。こんなの東さんの作戦じゃないのに色々と考えちゃって」
「相手を知り尽くしているというのも考えものだな」
二宮は考える。東隊はどうやってこのフィールドの利を活かすつもりなのかを。小荒井と奥寺にグラスホッパーを持たせて機動力での勝負に走るのかと考える。考えるのだがその間に動いた男がいた。
「うわ、出た。ゾエの適当
影浦隊の北添が二丁のメテオラを使いレーダーを頼りにメテオラをぶっ放した。
レーダーを頼りにしているものの割と適当なので二宮隊の誰にも当たる事は無かった。
「おい、誰も当たってねえじゃねえか!」
「いやいや、レーダー頼りなんでこんなもんっしょって、うわぁ!?」
仁礼に命中しなかった事をツッコまれる北添。
コレが限界なのよと言いたげな顔をしているとアステロイドが飛んできた。
「やっば!1番近くに居たの
1番近くに居たのが二宮隊の二宮だった。
適当炸裂弾から何処から飛んできたのか予測してアステロイドを撃つのだが北添は間一髪で避けきる……が、既に二宮の標的に捉えられていた。これはまずいと絵馬にSOSを頼むと近くに潜んでいた絵馬はイーグレットを構えて撃つのだが二宮はシールドを展開して防いだ。
「ごめんゾエさん。オレの手に負えない……イーグレットじゃ割れない」
「ヤバいヤバい!二宮さんに目をつけられた!」
「なるべく粘りやがれ!」
標的に捉えられた北添は距離を取ろうとするのだがタイマン最強と呼ぶに相応しい二宮相手に生き残るのは難しい。仁礼は死ぬことを前提に粘れと言ってくる。
「っち、空閑の野郎何処に居やがる?」
二宮が北添をターゲットにすると影浦は一番面白そうな相手である遊真を探そうとする。
「あ、新しい反応が出たぞ!」
「っつーことはそれが空閑か!」
「って、消えた!?」
マップに新たなる反応が浮かび上がったと思えば消えた……のだが一定の距離が開いた後に再びレーダーに反応が映る。
「東さんがダミービーコンを使った……わけじゃなさそうですね」
レーダーに新たな反応が映ったり消えたりとしており東が装備している偽の反応が写るダミービーコンかと二宮隊の辻は考えるのだがダミービーコンならばもっと反応があるとダミービーコンではないと考える。
「恐らくは玉狛だ……」
「倒しに行きますか?」
「玉狛の空閑は村上を倒した実績がある。2人で挑め。東隊と遭遇しても深追いはするなよ、二人が挑んでくるということは東さんの準備が出来ているということだ」
「「了解」」
オペレーターの処理を邪魔しようとバッグワームを起動したりオフにしたりしている。
オペレーターの処理を邪魔する事に成功して更には指揮官の指揮を妨害する事に成功している。この状況でこんな事をやるのは玉狛だと判断した二宮は犬飼と辻にレーダーに映っている場所に向かわせる。
「お、止まった」
消えては映りを繰り返していた反応が止まった。
コレは玉狛の誰かだが修と遊真のどちらかなのだろうかと犬飼は考える。修ならば自分1人で対処する事が出来るが、遊真だった場合負ける可能性が高い。こんな事をしているという事は案外遊真と修、両方が潜んでいる可能性も高い。
「辻ちゃん、後どれくらいかかりそう?」
「1分は掛かります」
遊真は単独で倒すことは出来ない。犬飼は冷静にそう判断している。
辻と合流してから動くべきかと考えていると頭上からアステロイドが降ってくる。
「おっと……」
直ぐ近くの住居の屋根の上に乗っていたのは修だった。
犬飼はシールドを展開して修のアステロイドを防ぐと自身の
「運が悪かったね」
何時ものフィールドならばまだ逃げる事が出来たかもしれないが今回は残念な事に雪が積もっている。
歩き辛いフィールドで撤退をするのは一苦労で、修の実力からして完全に逃亡するのは不可能……犬飼が突撃銃を持って突撃したその瞬間だった
「テレポート」
「っ!?」
修のシールドモードのレイガストに向けてアステロイドを撃とうとした犬飼だったが突如として修を見失った。
「コレは」
なにが起きたのかと思考が一瞬だけ停止したその瞬間、遊真が背後から現れて犬飼の首を切り裂いた。
「あ〜…………それもあるにはあったか」
犬飼が突如として消えたと思えば遊真の近くに立っていた。遊真は犬飼を切り裂いた。
一連の動作だけ見れば簡単かもしれないがなにが起きたのかが分からないと観客席に座っているB級やC級はざわめく中で貴虎はなにが起きたのか気付く。
「コレは……スイッチボックスでしょうか?」
瞬間移動する事が出来るトリガーはあるにはあるが、強制的にとなれば1つしかない。
綾辻は
「多分そうね、スイッチボックスの中にあるテレポートの罠を使ったってところかしら」
加古もコレはスイッチボックスの中にあるテレポートの罠を使ったと推察する。
「スイッチボックスはトラッパー専用のトリガーで、バッグワームタグと併用しますのでかなりのトリオンを消費するものですが」
「……雨取にスイッチボックスを持たせたな。面白い事をする」
「雨取隊員にですか?」
「アイツの武器は圧倒的なまでのトリオンだ。理論上は可能でもトリオン能力の都合上で組み合わせる事が出来ないトリガーの組み合わせが出来る」
「ということは雨取隊員は
「いや、どうやら罠も張れる狙撃手の様だ」
冷静に状況を分析する風間。なにが起きたのか周りは分かった。
「すみません、落とされました。三雲くんと空閑くんの両方が居て……多分スイッチボックスを使ってます」
「スイッチボックスだと?」
「雨取ちゃんのトリオン能力ならもて余す事は無いと思いますよ」
落とされた犬飼は直ぐにオペレーターのところにまで向かいなにが起こったのかを教える。
此処に来ての予想外のスイッチボックス、二宮は玉狛第二は自分の得意なフィールドに誘い込んで戦う戦法を見つけ出したのかと考える。
「氷見、レーダーの性能をスイッチボックスの罠が見えるレベルにまで高めろ」
「了解」
自分の得意な陣形に持っていくがスイッチボックスの罠はレーダーに映らないわけでもない。
多少トリオンを消費するがスイッチボックスの罠は危険なので玉狛第二が居る場所に向かっている辻のレーダーの性能を上げさせる。
「よぅ、空閑!!」
「お、かげうら先輩」
辻が向かっている中で先に影浦が遊真の元に辿り着く。
面白い玩具を見つけた子供の様に影浦は笑みを浮かべてスコーピオンを構えると遊真に向かって突撃してくる……が、影浦は引っかかる。修が展開し雪と同化していたワイヤーに
「っ!?」
「オサムのワイヤーからは視線は感じないからな、タイマンも悪くはないけれども悪いね、かげうら先輩。タイマンはソロランク戦でやろうよ」
ワイヤーに引っかかって1手行動不能になる影浦を遊真は逃さない。
スパッとスコーピオンで胴体を斬り込むと影浦のトリオン体は限界を迎え、緊急脱出した。
「誰かが
「状況からして影浦先輩だけど……こんなに簡単に落ちるものなの?」
緊急脱出の流れ星を見て辻は一旦足を止めた。
玉狛第二が自分達にとって有利なフィールドの中で戦法をするとしてもあまりにも早すぎる。まだなにかあるのかと警戒心を高める。
「スイッチボックスの罠地帯を突破すればメガネくんの用意したワイヤー陣……下手に踏み込まない様にしてもスイッチボックスのテレポートで強制転移させられる……蟻地獄かよ」
「自分の得意なフィールドでのタイマン……全体で強くなるのでなくエースを絶対に勝たせる負けない様にする、か……」
結果的には玉狛第二の戦法に辿り着いた事を喜ぶべきか魔改造し過ぎじゃないのかと困惑すべきなのか、貴虎は困る。
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