「ったく、あのおっさん抜け目無いわね」
ヒュースの入隊を上手い具合に認可させた修達は無事に成功したのだと玉狛支部に帰還した。
ヒュースの入隊が出来たが代わりに千佳を遠征艇のタンク代わりにさせてくれという交渉に及んだ。抜け目無いわと小南は若干だがプンプンとしている。
「あんた達、ちゃんとしなさいよ!残り3試合で1位を目指しなさい!」
「はい」
「安心しろ、驚異的なのは二宮隊と影浦隊だけだ…………オレがもう1人のエースになる事で足りない部分を埋める」
「……そうか……………………」
「どうした?」
「いや……兄さんならどうしたんだろうって」
「ダメよ修」
近界民を1人入れるという荒業を使ったので少々思うところがある。
貴虎ならばもっとすごい答えを導き出す事が出来たんじゃないのかと考えるのだが母に止められる。
「頼ったらダメって言ってるけど、修の兄貴が色々と暗躍してるんでしょ?」
「まぁ、そうですね……スパイダーもスイッチボックスも黒いライトニングも兄さんが答えに至ってます。でも直接言えない」
「修くんがホントの意味で成長する為に……」
修がホントの意味で1人前になるには貴虎は邪魔な存在である。
小南は自力で答えに至っているのでなく貴虎が裏で色々と暗躍をしているのを知っているので結局のところは貴虎頼りだろう。
「それで次はどうすんの?」
「あ、次の作戦ならもう出来てます……ただ宇佐美先輩の負担が大きいのと結局のところ空閑が落ちたら終わりの状況が変わらないので」
「ほほぅ、私に負担かね」
「はい。先ずは千佳の威力に特化させた
「OKOK……んじゃ、千佳ちゃん今からどれくらい
「はい」
貴虎が考えていたボンバーマンなる作戦に近いものを思い浮かべている修。
前回炸裂弾でワイヤー陣形を破壊してくる様にしたのならば今回はワイヤー陣形をあえて破壊させる。そうする事により起動する罠が出てくる。本命の罠が何処かにあり、それしか破壊してはいけない。それ以外を破壊すれば千佳のトリオンに物を言わせた
「まぁ……アレね……考えさせておいてなんだけど防衛戦向きじゃない作戦ね」
ランク戦だからこそ使える防衛戦じゃ使えない作戦を軽々と考える修に母は言葉を濁した。
千佳のトリオンに物を言わせた作戦は決して間違いじゃない。他の人に負けない武器で戦っている。それがたまたまトリオン能力だったが問題はそこではなく防衛戦に関しては全くと言って使えないのである。
「ユーマが落ちればその時点で1対1の真正面からの戦闘が不可能になる。何処かと対戦をしている2つ以上の部隊を撃ち落とすだけになる……個人で点を取れる人間がまだ玉狛第二には足りない」
だからオレがもう1人のエースになって埋める。そうすればA級とも互角に渡り合える実力を手に入れる事が出来る。
小南はなに当たり前の事を偉そうに言ってるのと軽くチョップを入れるのだが気にせずにうどんを啜っていると迅が現れた。
「……………あ〜……………ヤバいな…………………」
「どうしたの?」
「メロンくんとタイマンする事になった」
「兄さんとですか…………またなんで」
「まぁ、メロンくんが裏で色々とやったことが巡り巡って帰ってきたとしか言えないね………………」
「ほぉ、おさむの兄と対決か。迅、けちょんけちょんにしてやれ!」
「いや……それが負ける未来が見えてる」
「……それってアイツの自前のトリガーを使って?」
「いいや、違う。互いにボーダーのトリガーを使っての戦闘だ………………負ける未来が複数存在してる」
「むっ、ジンさんが負けるのか」
「……………メロンくん、全力でオレを倒しに来る。まぁ、勝つ未来も存在してるんだけども…………五分五分かな……」
「……前から思ってたんだけど修の兄貴っていったいなんなのよ?戦闘経験が少ない素人の癖に迅に勝てるって早々にいないわよ?」
貴虎の化け物っぷりを気にする小南。
裏技を使って驚異的な速度で成長していたりするのだがとにかく迅には見える。貴虎との激闘の未来が。
『そういえば兄殿も入隊式の日に入隊だったな』
「今までと違ってどれだけやれるか分からないから実戦形式でポイント割り振るみたいで……ヒュースとメロンくんがポイント稼ぎまくって初日でB級に上がる。んでもって……次の日にメロンくんとタイマンする」
「当日じゃないの?」
「入隊式やるの夕方以降だから……メロンくんとタイマンは恐ろしいぐらいに時間を使う」
「ほほぉ……ジンさんのサイドエフェクトで勝ってる未来に辿り着くように誘導できないの?」
「そりゃするよ……ただ、メロンくんも数秒先なら未来は視える。数手先ならオレの方が正確に視える。形はどうあれほんの少し先の未来を視ることが出来る人間同士の対決だから恐ろしいぐらいに泥沼になる可能性が高いんだ。そうなると泥沼試合かあっさりと決着がつくかのどっちか。最低でも18回は戦闘するから泥沼試合になる確率が高いんだ………」
泥沼試合になる……1試合の決着がつくのが30分かかる未来も普通に視えている。
モグモグタイムはありなのかと後で連絡をしようと迅は考えていると母が少しだけ嬉しそうにする。
「貴虎がガチで行くだなんて、滅多な事じゃ見られないわね……」
「あの男が今までは全力ではなかったと?」
「本気でやってるのとガチで真正面からやるのは違うわよ……あの子、色々と視えてるのと色々と考える知識と知恵があるからこの前の防衛戦の時みたいに複数のことを1人で色々と考えるのよ……でも、ガチで真正面からの戦闘をしなきゃいけない。迅くんを倒すのを前提にあらゆる手を使ってくる。余計な事を考えずに真正面からの戦闘をするガチモードの貴虎なんて滅多な事じゃ見れないわ」
大規模侵攻の時は修と千佳を守るために戦った。この前のガロプラの時は現場で指揮しろと上から命じられていた。
だから色々なことを考えなければならないのだが今回は迅を倒すことにだけ集中すればいい、世に言うガチモードの貴虎が見れる。
「あの子はね……いい子であろうとしているのよ。修のお兄ちゃんとして立派になろう。立派な人間になろう。真面目に頑張ろう。だから押し殺してる部分が多いわ……でも、ガチモードはそれを無くしている…………余計なものがないガチモードの貴虎は最強よ」
「…………親バカだな」
私の息子は最強なのよと胸を張る母は親バカだなとヒュースは呆れていた。
ともあれ日は進みランク戦が行われる。修のワイヤー陣形に炸裂弾を設置するという作戦は見事なまでに成功し修は6点を手に入れる事が出来て玉狛第二は3位にまで上がった。エグい作戦を考えてきたが漁夫の利を得るのと空閑が落ちたらその時点で終わりな真正面からの戦闘に弱いという弱点があると当日解説をしていた当真は言っていた。前衛を張れる人が居れば戦えると。それと同時にワイヤー陣形は安易に壊してはいけないという印象をつけることに成功した。
「さて……………実際のところどれだけなんだろうな」
玉狛第二のランク戦の舞台裏で行われるのは入隊式だ。
普通ならばお試し期間的なので実際にどれだけ出来るのか測られるのだが今回はそれが出来なかった。なので実戦形式でボーダー隊員同士が戦ってポイントを稼いでくれと言われて貴虎は無双した……が、最後の壁にぶち当たっていた。
それは同じく入隊のヒュース、10000ポイント越えと同等の剣の腕を持っているヒュースを相手にしなければならない。
「ぬぅお!?」
「うわ!?」
「げふ!?」
「お前、下手に目立ち過ぎれば目をつけられるぞ」
「お前が言える立場か?」
5人での乱戦だがヒュースは3人を瞬殺した。残りは貴虎とヒュースだけになり貴虎は弧月を取り出して構える。
ヒュースは斬りかかるので貴虎は弧月で対抗していく。
「成る程……コレで素人か」
「ああ、素人だ」
撃ち合いを続ける貴虎とヒュース。素人と聞いているが判断能力等が明らかに素人ではない。
自分のように剣を振るっていたかと言われればそれも異なる。圧倒的な才能と反則とも言える裏技を用いての急成長をしている。
コレで素人と言うのは詐欺だなと撃ち合いを続けるヒュースと貴虎。
「……」
貴虎は素人だが強い。
剣を握るのが久々で腕が鈍っている自分が居るのだと自覚をしているヒュースは貴虎と戦い剣の感覚を取り戻そうとする。
既にぶつかり合う貴虎の弧月とヒュースの弧月、ヒュースは仕掛けようとしても先読みされて攻撃が封じられてしまう。
「…………仕方ない…………真面目にやるか」
「なに?」
真面目にやるかと貴虎は言った。
今まで手を抜いていたのかと一瞬だけ考えるヒュースだがそんな事をする理由は無いのだと弧月を振りかざし、貴虎は弧月の下段で受けた。
「っ!?」
「ヒュース、お前にとってはこの国いや、この世界は文明が進歩してねえと思ってるだろうがそれは間違いだ……トリガー技術は負けているが純粋なこういう殺し合いは得意だ……特に侍と呼ばれる化け物はな」
弧月を中心にヒュースの重心が抑えられた。
どうなっているのだと驚いていると下段で抑えつけている弧月を摺り上げてヒュースを浮かせると唐竹割りでヒュースを真っ二つに切り裂いた。
「……今のは……」
「とある侍が使っていた必殺技、龍飛剣だ」
龍飛剣を使いヒュースを撃退した。こんな必殺技を持ち合わせていたのかと驚くが直ぐに受け入れる。
時間があるのならばもう1回と言いたいところだが今はB級を目指さなければならない。
「嵐山さん、私はもういいですよね?」
4020と手の甲に浮かび上がるポイントを貴虎は嵐山に見せる。
大規模侵攻の際の報奨として貴虎はポイントを貰っていた。ヒュース撃退分を合わせて貴虎はボーダー隊員で最速でB級に昇格した。
三雲貴虎は正式にボーダーに入隊し正式にB級に上がった。誰にも切ることが出来ない歴代最速の記録を叩き出した。
「歴代最速のB級昇格か……」
「なんだ、見に来ていたのか」
三輪が貴虎を見に来ていた。
歴代最速のB級に昇格したのかと言葉が上手く出ないのだが貴虎と一緒にトリガー開発室に向かう。
なにをしに来たかと言えばC級の訓練生用のトリガーからB級の正隊員用のトリガーに切り替えに来た。
「結局のところ、どういうトリガー構成で行くんだ?」
「無いぞ」
「無い?」
「私はその時その時に応じてトリガー構成を変える……ポイントを稼いで1位だ2位だは拘らない。戦えるか戦えないかだ」
「……
「ああ、異なる……例えば出水とニノさんと那須は同じ射手だがやっていることが異なるだろ?私はそれら全てをこなせるようになる。人数上の都合の問題でお前と組むことは無いがお前と組むのなら銃手だろうが……………」
どんな状況にも合わせて戦える、なんでも出来るを売りにする。
自分ならばそれが可能だと信じている貴虎だがそれは無理があるんじゃないのかと三輪は思い先ずは1つでもマスタークラスになった方がいいんじゃないのかとアドバイスを送ろうとする。
「だが、その前に越えないといけない壁がある……」
「よぉ、メロンくん」
「っ、迅!!」
「三輪、そう身構えるな…………約束通り初日でB級に上がったぞ」
「ああ、約束通りだ……たださメロンくん、熊谷ちゃん達に話を通してなかったりしてるでしょ?それはまずいから今から那須隊の隊室に向かいなよ……んでもって今日は時間も時間だから明日にしてくれ……でないと睡眠という休憩を取らないといけない」
「……………まぁ、そうだな」
迅が現れた事で三輪は警戒心をむき出しにする。
貴虎が落ち着けと言えば手の甲を見せつけて今から勝負だとやる気満々なのだが貴虎はまだやっていない事があるのだと言われたのと時間帯的に長期戦が出来ないとトリガー開発室を後にし、那須隊の隊室に向かった。
「あ、三雲さん……先輩?」
「好きなように呼べばいい……………そっちの景気はどうだ?」
「…………あまり良くないわ」
那須隊の隊室に向かえば那須隊の面々がいた。
貴虎が今日からボーダーに正式に入隊するという話を事前に聞いていた日浦はどういう風に呼べばいいのかと悩むので好きに呼べといい那須に景気の話、つまりはランク戦はどういう感じなのかを聞いてみた。
修達玉狛第二が快進撃とも呼べる速度でB級ランク戦の上位に至った。その結果、鈴鳴第一、弓場隊、香取隊が中位と上位の間を行き来している。
ムラッ気がある香取と隊員が1人抜けた弓場隊が不調なものの後1回勝てば上位に行ける中位の上位に位置に安定しつつあり鈴鳴第一が上位に挑んでは上位の壁に阻まれて中位に落ちてきて弓場隊か香取隊が上がる感じになっており那須隊が入り込む隙が無い。
「このままだと……茜ちゃんは……」
「日浦がどうかしたのか?」
「親がボーダーを辞めさせようとしていて交渉の結果、2年以内にA級に上がれなければ辞める……そして今回は今までで1番の成績、ランク戦上位陣に食い込まないと強制的に辞めさせる」
「…………現実的な話をすれば那須隊が上に上がるのは厳しいし上に上がっても即座に転落する」
貴虎についてきた三輪はどういう事だと状況を聞いた。
それを聞けば難しい顔をする。現実的な話をすれば那須隊が上に上がるのは厳しい、それがA級の男がくだした判断だ。
「鈴鳴第一は村上先輩にかかる負担が大きい。香取隊は香取のムラッ気が酷い。弓場隊は神田先輩の抜けた穴が大きい……どれもエースが動いて他が細かに動くタイプの部隊だ……那須隊は作戦も指揮も那須が考えている、那須のリアルタイムの
「………………………」
「A級の男が正しい評価をくだした……その考えは私は間違いではないと認識している…………だから、選べ。ポリシーを捨てるのかを」
「ポリシー…………」
「ガールズチームで女性としかまともに向き合えない奴がオペレーターだ……別にそれを悪いとは言わない。ガールズチームで居たいのならばそれで構わない……だが、1日2日でパワーアップできるほど都合良くはいかない」
「…………なにをすればいいの?」
「…………明日、迅とタイマンする」
「え!?」
ガールズチームで行くつもりな那須隊だがポリシーを捨てれば勝つ方法は幾らでもある。
その中で1つだけある方法、三雲貴虎が那須隊に加入するという裏技がある……が、それではまだ一手足りない。
「迅とタイマンする……そして勝利する……それで那須隊の負荷をある程度は軽減する事が出来る……と言っても精神的な意味だが」
「どういうこと?」
「私が勝てば…………を貰うことになっている。そうすれば私はボーダーでもトップクラスの
「……を?確かに迅さんなら持っているとは思うけど」
「……を渡すと向こうは承諾してくれた。向こうからすれば失っても痛くも痒くもないものだがそれがあるかないかで言えばあった方が那須隊の精神的なゆとりが手に入る………………だから、明日1日迅とのタイマンを全部見るんだ……それでもお前の眼鏡に適わないのならば潔く諦める」
「……………どうして、どうしてそこまで出来るの?」
「自分で招いた事で私がそうすべきだと思っているからだ」
別に那須隊に同情したわけじゃない。原作キャラを救済しなきゃと思っているわけでもない。
自分がそうなるようにした結果、こうなった。だったら自分が最後まで付き添って解決するのが筋だ。
「じゃあ、明日にでも連絡を入れる」
「ええ……見させてもらうわ」
貴虎が那須隊に相応しいのか?那須隊に入れば那須隊を上位陣に食い込ませる事が出来るのか?
迅のサイドエフェクトから見れば目当ての物が無くても貴虎が那須隊に入れば上位陣に食い込むことが出来る。だがそれだけじゃ意味が無い。強者であると目に見えるものを貴虎は持っておかないといけない。
「貴虎、ああは言っているが迅に勝てるのか?」
「正直言えば負ける確率の方が高い……だが、勝たなければならない……でないとお前の復讐の共犯者にはなれない」
なにせ迅に負けたのならばエターナルメモリを迅に渡さなければならないから
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