メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

125 / 143
感想が作者のやる気を起こすのでお待ちしております
誰でもいいから近界民憎しな派閥だけども比較的に話し合いが通じるタイプだが遊真の入隊を理由にボーダーには要られないと思ってボーダーやめて小南パイセンとか那須とかに「すみません、どちら様ですか?」って言って記憶封印されたフリして笑顔を曇らせる話書いてくんねえかな


第125話

 

「ん……なんだこの騒ぎは?」

 

「あ、太刀川さん。進級に必要なレポート終わったんすか?」

 

「おう!コレで進級出来る……なんか皆で見てるみたいだけど今日はランク戦無い筈だろ?」

 

 太刀川が大学の進級に関わっている大事なレポートを遂に終わらせた。

 締切がホントにギリギリだったがなんとか無事に終わらせたので暫くはランク戦が出来るぜと喜びながらソロランク戦のブースに向かえば大勢の隊員が1つの試合を見ていた。どういう状況か出水に聞いた。

 

「三雲の奴が迅さんとタイマンしてるんですよ……」

 

「三雲の奴がか。迅を相手に……10本勝負か?」

 

「テニスの5セット6ゲームマッチ戦で、先に6本取ったら勝ち。5−5になったらタイブレークっす……」

 

「ほぉ、そいつは面白いな……で、どんな感じだ?」

 

「5−7,6−2,6−3,1−6で最終セットにまで持ち込んでます……ヤバいっすよ」

 

「ほぉ、迅を相手に互角や勝ち越してんのか…………よし」

 

「太刀川さん、乱入は無理ですよ」

 

「なに!?」

 

「槍バカが乱入しようとしたけどもなんか乱入出来ない様にロックがかかってるみたいで」

 

 貴虎と迅のタイマンを聞いて自分も参戦したいのだと笑みを浮かべる太刀川。

 しかし同じことを考えているバカこと米屋が先にやろうとしたのだが出来なかった。

 今回のこの迅vs貴虎のソロランク戦のタイマンはガロプラの侵攻から守り切った報奨として貴虎が貰った物であり第三者からの妨害行為というか乱入が出来ないようになっている。もっとも仮に乱入した場合は貴虎と迅は邪魔するなと協力して乱入者を倒すが。

 

「え〜コレがサッカー観戦等ならば今の内にお手洗いに行ってくださいと言えますが皆さんトリオン体なのでその辺は大丈夫ですが間もなく狙撃手の合同訓練があります……東さん、どうしますか?解説が出来そうな人がチラホラ見えていますので行っても構いませんが」

 

「ここまでの白熱した試合を生で見ないのは勿体無いので……他の隊員達もどういうことなのかを知りたがっていますしこのまま解説を続行します」

 

「ありがとうございます!では、4セット目について振り返りましょう。4セット目は迅隊員が三雲隊員のお兄さんに大差をつけての見事な勝利でした。最初の1本目を取れたと思いきや勢いに乗れなかった感じがしますが」

 

「いや…………勢いに乗れなかった、と言うよりは勢いが無くなったが正しいですね」

 

「と言いますと?」

 

「三雲隊員の兄はボーダーに入って間もないです、才能を有しサイドエフェクトと言う特異性を持っています……ですが、インターバルを含めて3時間半以上の激闘を繰り広げている。1手でも失敗したらダメな実力者なだけでなくその1手がなんなのか知っている迅隊員が相手です…………おそらくですがオーバーヒート、処理能力や判断能力が低下しているんでしょう……その辺は三雲隊員が詳しいのではないでしょうか?」

 

「はい……兄さんは処理や反応、対応に限界が来てオーバーヒートを起こしてます……迅さんレベルの実力者相手ならばまだオーバーヒートは起こしません。迅さんのサイドエフェクトの予知があるからオーバーヒートを起こしています。それに加えて……あ、いえ、コレは無しですね。とにかく兄さんが何かしらの奇策を打ってきても迅さんは既にそれを知っていたで潰すことが出来ます。なのでプランAが通じなかった時のプランBを考え続けています」

 

「スコーピオンを用いての後出しの権利の様な回避不可な技は?」

 

「後出しの権利は相当な集中力と判断力を使うのでそもそもで連発自体難しいんです……迅さんがサイドエフェクトで視ているから潰されたと分かっている技をまだ幾つか隠し持っています……回避不可な技も原理を頭に叩き込めば即座に対応方法が、例えば出せない状況にしたりするなんかが浮かんで初見殺しすら出来ません」

 

 4セット目を振り返れば迅が快勝した様に見えるが貴虎の方が不調を起こした。

 東はオーバーヒートを起こしたと推察し修がその通りだと言えば武富が後出しの権利の様な先読み出来ない使われた時点で負けな技を使えばいいのではないのかと尋ねるがそもそもで後出しの権利の様な技は神経をすり減らす技だ。それがなんのデメリットもなく使えるというのならば貴虎は最初から使っている。迅の予知が無ければ幾つか使える技も存在していた事をそれとなく言いつつも迅の恐ろしさを語る。

 

「インターバルは15分で三雲隊員は最初にラムネを買いに行かされてましたね。糖分チャージで頭に糖分を回しているんですかね?」

 

「食べて直ぐに脳に栄養が行くわけでもないですし………気休め程度ですね」

 

「3セットマッチならば三雲隊員の兄が勝てていたんですがね……迅を相手に5セットマッチは考えが甘かったか……」

 

 迅を相手に連続で2セット奪えたが、途中から動きのキレが悪くなった。

 3セットマッチのところを5セットマッチにしている。本気の迅を相手にして5セットマッチは太刀川達ですら厳しい。

 実戦経験が足りないのが原因かと東は考えるが実戦経験を積んでなくてこの強さ、迅という壁にぶち当たっているのだがどういう風にぶち破るのかを東は考える。既にオーバーヒートするぐらいに集中力が限界を迎えている。この状況が続くのならば4セット目と同じく貴虎は大敗する。

 

「大丈夫なの?」

 

「あら、貴虎を応援してくれてるのね」

 

「いやいや、どっちも応援してます……ただオサムのお兄さんがオサム達の言うように限界を迎えてるのは明らか……3セット勝負なら勝てていたけども…………オサムのお兄さんがそこを見誤ったのかって……」

 

「そうね……オーバーヒートせずに迅くんに勝てるだなんて考えを持つほどうちの息子はバカじゃないわ……それにオーバーヒートしない戦い方もちゃんと知ってるわよ」

 

 貴虎の方が不利な状況で5セット目が間もなく行われようとしている。

 15分間のインターバルがあって栄養吸収率が半端じゃないトリオン体でラムネ等のブドウ糖を吸収しても直ぐに脳に向かうわけでなく焼け石に水に近い。4セット目と同じ状態の貴虎では迅には絶対に勝てないと遊真は確信している。

 この状況下から脱出することが出来るのかと聞けば貴虎はこの状況を想定していると母は読んでいる。迅を相手にしてオーバーヒートを起こさないなんて甘い考えは持っていない。

 

 

「メロンくん……君はもう限界を迎えてるよ……」

 

「まだだ、まだ決着はついていない!」

 

「このままいけばオレの勝ちだ……いかせてもらう」

 

「勝って賭けに勝利するのは……俺だ!」

 

「こい……メロンくん……いや……貴虎!!」

 

 4セット目はボロ負けだった。迅を相手にして情報処理や判断能力に限界を迎えてしまった。

 俺のサイドエフェクトはあくまでも視力のみを強化しているので他の部分は強化されていない。強化されている視力に伴い三半規管が通常より頑丈になっているだろうがサイドエフェクトレベルじゃない。

 

「最後はコレだ……」

 

 右手に弧月、左手にレイガストを構える。

 村上先輩の片手剣スタイル、コレで迅を叩きのめす……だが……だが、それでもまだ足りない。序盤ならば色々と出来たが俺の頭の方が限界を迎えてしまっている……この状況は幾つか想定していた。こうなれば意識を変えないといけない。

 

「誰よりも高い場所にいた 全てをやり終えたと思ってた

描いた未来の景色へと忘れていた感情が疼き出すまでは

本能が胸を刺す 強くなりたいと叫んでいる

熱く熱く舞い上がる炎 胸を焦がしていけ

自分だけの夢に挑むのはahhahh今しかない」

 

「歌……っ!?」

 

「どんな結末があろうとも戦いは続いていく永遠に

心が震える瞬間をこの命あるかぎり探し求めてる

受け入れてこそ運命戦う場所など何処でもいい

強く強く握った拳を空へと突き上げる

目指す場所は決して変わらないahhahh迷いはない」

 

「おいおい……そうくるか?」

 

「1人で歩いていく事を決めた。もう戻らない覚悟

熱く熱く舞い上がる炎 今を燃やし尽くせ 強く求める想い 想いがあれば 必ず辿り着く」

 

 ※

 

「おっと!!先制を取ったのは三雲隊員のお兄さん!4セット目の動きが嘘のように、いや、むしろここに来て動きのキレが増してないか!?」

 

 5セット目の迅と貴虎のタイマンの1本目を取ったのは貴虎だった。

 村上の様にレイガスト(シールドモード)と弧月のガンダムスタイルでなくブレードモードのレイガストと弧月の二刀流で1本奪った。4セット目の動きが嘘のようにキレを取り戻している。それどころか今までで1番の好調と武富の目には見える。

 

「15分の休憩時間が……いや………………………口を動かしている?」

 

「……コレがまだあったか……」

 

「三雲隊員、納得でなく解説を」

 

「兄さんは……歌を歌いながら戦ってます」

 

「……え!?この極限の状態で歌ってるんですか!?」

 

 東の目にも貴虎が動きのキレが戻ったどころか更に良くなっている様に見える。

 15分の休憩か今まで隠していた刃か色々と考えている中で修がそれが残っていたのかと納得するので説明を求めれば……貴虎が歌っている事を教えた。ラスト1セットの極限な状態で歌っている、聞けば呑気なものでふざけているのかとざわめく観戦者達。

 

「兄さんは決してふざけていないです……カラオケで歌を歌っていた時に意識が高揚したりすることはないですか?歌を歌うことにだけ意識を割かずに別の行動をすることが出来ますか?」

 

「意識が高揚したり別の行動は出来ますが……音楽を聴けばコレだと無意識の内に気分が……え、え、まさか!?」

 

「兄さんは歌を歌うことで意識をトランス状態に変えています……そうすることで今まで掛かっていた精神的な負荷が大幅に減ります。とはいえ迅さんには予知がありますのでそれに対抗しての予測が出来なくなるデメリットもありますが」

 

「歌を歌うだけでそこまで出来るんですか!?」

 

「それが出来るのが兄さんなんです」

 

 考えるのに限界を迎えて体が追いつかなくなった貴虎は考えないで戦う、意識を殺して戦うスタイルに切り替えた。

 攻撃をする際に大抵の人は意識を向ける。影浦がその意識を感情受信体質で受けて反応するが東や遊真はその時の意識を殺す、いや、消すことが出来ている。歌を歌って高揚する気分を落ち着かせる、至ってシンプルで誰にでも真似が出来る技だがそれを実戦レベルにまで持っていくのは難しい。迅と貴虎は剣を合わせる。弧月とレイガストのスタイル、弧月で重点的に攻めレイガストで受けるとみせかけて弧月を受けに使いレイガストのスラスターで突撃する。今までの貴虎の動きとは異なる歌を歌うことで意識と気持ちを落としたスタイルに迅は苦戦している。レイガストをV字型の短刀に切り替える。迅はレイガストのスラスターでの投擲を予測しエスクードを展開し妨害するがスラスターを起動させて投げる際に勢いを持ったまま……旋空弧月を撃った。

 

「嘘やん!?」

 

 その旋空弧月を見て叫んだのは生駒だった。

 何故ならば貴虎が撃った旋空弧月は生駒にしか出来ない0,2秒間のみ伸びる旋空弧月、通称生駒旋空だったから。

 

「パクられた!パクられてもうたで!!」

 

「そういうレベルやないでしょ……生駒(イコ)さん、スラスターで勢い付いた状態で生駒旋空撃てるん?」

 

「いや、無理や……なんなん?三雲めっちゃやるやないか……やっぱ俺の作った朝ごはんがパワーになっとるんか?」

 

「なに一緒に朝食食ってはるんすか。てか向こうもよく承諾したっすね」

 

 生駒旋空をパクられたと生駒は言うが生駒旋空よりも高度な事を貴虎はしている。

 水上が出来るかどうかを聞くが無理だとハッキリと言う。そして朝ごはんの力がやっと出てきたかとウンウンと頷いている。

 

 

「シャラララ素敵にキッス 

シャラララ素敵にキッス

シャラララ素敵にキッス

シャラララ素直にキッス

明日は特別スペシャル・デイ」

 

「貴虎、バレンタインはもう終わったんだよ!!」

 

「あ〜なーたーは髪の毛」

 

「その歌はやめよう!色々とややこしい!ていうかよく知ってるな!!」

 

 歌を歌いながら俺は戦う。集中するのに意識を持って行かずにするトランス状態の集中に切り替える。

 今まで読めていたのと異なるのだと迅から2本を奪えたが迅は歌を歌いながら戦う俺のスタイルを直ぐに理解する。

 左手にレイガストのシールドモードを構える……色々とあるがこのスタイルが1番しっくりと来る。迅が襲ってくるのが視えている……無理に意識を集中させなくても対応することが出来る。が、余計な事を考えていない状況でもある。

 3本目から迅が俺の動きを見抜いてきた、いや、馴れてきた。予知で理詰めが出来ると分かったのだから防戦に回り耐久に走り、3本目と4本目を奪われて再びイーブンになるが動じない。

 

「……まだだ……もう少し……もう少しでいける……」

 

「なにが狙いだ?」

 

 歌を歌うことでトランス状態になり戦う事が出来ているが俺の狙いはそこじゃない。

 ここからもう1手、更に進化する……それは意識してする技じゃない。無意識の内に使えるようになっている技だ。

 

「天もぶち抜くほど高く抉っていけ情熱に火をつけてみろ

その双眼()に映し出せ未来を手に入れろ運命さえ蹴散らせよ

T・R・Y限界なんてモノ存在しない進化は加速する

挑め・戦え・ぶっちぎれ 立てよ いけよ 振り返るな 0を(無限大)に変えて美せよ!

革命を起こせ世界は待っちゃくれない 諦めなんて誤魔化しじゃ許されねえ!

このままじゃ終われないさぁ!絶望にまみれた屈辱の底で!

拾い上げた希望にそうしがみつけばいい!命を滾らせて革命しろ!」

 

 歌を歌うことで意識をトランス状態にするがまだそれじゃ終わらない。

 この時の為にと用意していた手はあるのだとレイガストの丸い穴の部分を弧月に指して鍔代わりにする。

 迅はスコーピオンで斬りかかってくる。

 

「スラスター起動」

 

 そんな迅よりも早くに弧月を振るう。

 いや、正確に言えば弧月の鍔としてセットしたレイガストのスラスターの推進力で加速した。迅が対応できない手で攻める。

 迅は切り裂かれるのだが……まだ終わらない。次は迅が取りその次も迅が取って3−4と負けかける……

 

「……ふぅ………………やるか」

 

 やっとここでこれた……

 

「……………っ!?」

 

 ※

 

「おや、迅隊員が立ち止まりました。コレは…………何故でしょう?」

 

「なにかが視えて手が出せない、そう考えるのが妥当なところですが……」

 

生駒(イコ)さん、アレって剣道の基本的な構えですよね?」

 

「せやで……正眼ってゆう剣を持つ普通の構えや…………………けど………」

 

 剣道で言うところの正眼の構えを貴虎が取れば迅が動かなくなった。

 どうして迅は動かないのか?シールドやエスクード、急拵えのグラスホッパー、やろうと思えばタイムアウト権を使いテレポーターも搭載出来る。1本はまだ落としても大丈夫な状況なのに、どうして迅は動くことが出来ないのか、なにか良くない未来が視えたのかと生駒と共に考察しようとする水上だったが生駒が出す言葉に悩んでいた。

 

「どないしはったんですか?」

 

「いや、正眼の構えやねんけど…………次になにが来るか分からん」

 

「次になにが来るか分からん言いますけど、剣は最終的には9つの攻撃しかないんちゃいますん?」

 

 唐竹、袈裟斬り、右薙、右斬上、逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突。

 剣には色々な型や流派があるが存在しているのは9つの攻撃だけ。そこに至るまでの過程が異なるだけ。

 貴虎が取っているのは剣を持って構えるで真っ先にイメージをする正眼の構えでそこから先が読めなかった。

 

「コレは………………読めねえ………いや………なんでも出来るか?」

 

 攻撃手のマスタークラス越えの面々は貴虎が次にどう出てくるのかを予想した。

 生駒の様に口にする面々が何名かは居るが皆が異なる見解を行っており太刀川が読むことが出来ない剣だと気付く。

 

「え、あの……剣道でよくある構えですよね?剣を持つならこんな感じだと1番分かりやすい構えですよね?」

 

 武富は剣道でよくある正眼の構えを取っているだけだと言う。

 銃手や射手、そして合同訓練をサボりこの試合を見ている狙撃手達はよく分からない。攻撃手として剣の腕を磨いた者達だけが貴虎の構えから読めた。無数の答えが。どれにでも動けるという構えが。

 

「まさか……………アレをやったの?」

 

 射手だがレイガストを使って戦う修もここで気付く。

 

「三雲隊員、アレってなんですか?」

 

「阿頼耶識です」

 

「阿頼耶識……………阿頼耶識ってなんですか?」

 

「聴覚、視覚、味覚、嗅覚、触覚、意識……その6つを掛け合わせて生まれる末那識よりも深い意識……分かりやすく言えば無意識です。兄さんは無意識で1手目から色々な攻撃のパターンを匂わせている。1手から続く2手目を10パターンほどの動きを用意している……本来はテニスで打つ瞬間まで10パターンぐらいの動きを見せる技で足が流血するぐらいの負担がかかるんですが……」

 

「あそこから何パターンもある…………迅隊員のサイドエフェクトを真っ向から潰してきましたね……」

 

 迅のサイドエフェクトは可能性として存在している未来を視れるものだ。

 貴虎が限界にまで追い詰められて至った阿頼耶識で迅に10パターン以上の1手を読ませそこから派生する10パターン、つまりは10✕10,10の二乗を匂わせる。後出しの権利とは真逆、迅が先読み出来るが故に選択肢を無数に増やすという荒業で迅の予知を潰してきた。

 

 

「最後はガチンコ勝負でいこうじゃないか!!」

 

「まさか無限の未来を見せてきてオレのサイドエフェクトを封じるだなんて…………」

 

 俺の頭はオーバーヒートしている。予測して考えての行動は難しくなっている。

 対する迅は私の阿頼耶識で無限の未来を見ている。正眼の構えから移行できる10パターンの動きがありその10パターンの動きから更に10パターンの動き……10の何乗の未来を見ているかは知らないが迅のサイドエフェクトを真っ向から潰した。

 考えての行動は不可能だ。向こうも見てからの行動の処理が出来なくなった。残ったのは純粋な強さだけだ。

 

「ぶっちぎりの強さを俺に見せてくれよ 俺を本気にさせろよ

全てを賭けたからこそ残せる足跡を置いていく時が来た

手加減なんてない 悔いなど残さない

何度だって立ち上がって!何度だって進化して!圧倒的なリアルAh!

夢や汗や涙 孤独や憧れが 俺達の今が永遠になる

まだ誰も知らない本当の自分を解き放つ時が来た

背中に突き刺さる 視線がやけに熱い それはお互い様だ

駆け引きなんてない

決着つけようぜ

何度だって立ち上がって!何度だって進化して!誰にも邪魔させないAh!

夢や汗や涙 孤独や憧れが 捧げた伝説が全てになる」

 

 考えてのよりも無意識の行動を取る。普通に弧月で斬りかかるが迅には複数の未来が視える。

 迅はもう未来を選ばない。未来は視えているが現在を見ようとしている。俺が勝ち迅が勝ちタイブレークに入りそこからは何度も何度もシーソーゲームを繰り返す。

 

「迅、サイドエフェクトに頼らなくても強いな!」

 

「それはお互い様だ!」

 

 サイドエフェクトが通じない使えない中でシーソーゲームを繰り返す。

 私は歌を歌って意識をトランス状態に切り替え阿頼耶識で動きを無数に読ませてどの動きになるのかを読ませない。それに対して迅は真っ向から純粋な強さで勝負する。コレこそが今のボーダーが出来てバチバチにやりあい太刀川さんと1位の座を争っていた迅の純粋な実力か。

 

「はぁはぁ……」

 

『おい!大丈夫なのか!?』

 

 42−41であと一歩のところまで迅を追い詰めた。

 個室に転送されれば俺の息は大きく乱れており……俺の事を観測していた藤丸さんから通信が入る。

 

『お前と迅のバイタルがヤバいことになってんぞ!』

 

「大丈夫ですよ、生身の肉体にはそこまで負荷はかかってない……生身の肉体なら俺の体が限界を迎えてぶっ倒れてる……」

 

 頭に負荷がかかっているのは理解している。

 頭が考えることを拒否していて歌を歌うことだけで精一杯だが歌えれば意識をトランス状態に持ち込める。

 仮に生身の肉体でならば俺の方の肉体が音を上げている。

 

『42−41……試合開始』

 

 5セット目の84本目の勝負が行われる。歌を歌いながら俺はレイガストで正眼の構えを取る。弧月は鞘に仕舞ってある。

 迅はどういう風に出てくるかを考えない。自分の持っている武器にだけ頼る。迅はスコーピオンで振りかぶるのでレイガストのシールドモードに凹みを作りスコーピオンを滑らせれば迅はスコーピオンを消して腕を完全に振り被りエスクードを地面から生やす。

 弧月がまだ残っていると弧月に手を伸ばそうとすれば弧月を装備している部分にシールドを展開するのでだったらとジャンプしてエスクードを飛び越えて迅を視界に入れる。空中からの動きは限定される。

 

「スラスター起動!」

 

 レイガストのシールドモードでスラスターを起動し、シールドチャージをする。

 迅は反応したが攻撃に移っている。それに合わせて弧月を右手で抜いて迅に突こうとするのだが迅はスコーピオンで滑らせて寸でのところで受け流そうとした……がこれでいい

 

「首刈り弧月」

 

 迅の首筋前まで弧月を持ってくることが出来た。

 幻踊弧月で刃を左側に切り替えて迅の視界に入らないところから一気に引いたと同時に迅でスコーピオンに切り裂かれた。

 

 ※

 

「ここまでとは……」

 

 迅と貴虎の一騎討ちの最後のタイブレーク、気付けば多くのボーダー隊員どころか忍田本部長も見に来ていた。

 どっちが勝つのか分からない。タイブレークのシーソーゲームが終わらない。旧ボーダーの頃からの付き合いであり頼りになるご意見番の迅、そんな迅に対して真っ向から勝負を挑ませてくれと言った。

 

「ゲーム&マッチ、ウォンバイ、三雲!5−7,6−3、6−2,1−6、43−41!」

 

 迅は予知という能力に加えて純粋な強さがある。

 そんな迅に対して挑むのは些か早いような気がしていた忍田本部長だったが言葉が出なかった。

 

「さ、最後は判定勝ちでしたが…………………6時間17分に及ぶ激闘に継ぐ激闘を制したのは三雲隊員のお兄さんだ!!」

 

 ボーダーのトリガーを使って貴虎が迅に勝った。

 最後は判定勝ちの相討ちだったが貴虎は迅に勝利した。5セット勝負というシンプルな勝負にも関わらず6時間という膨大な時間を使っている。

 

「コレは……評価を改めるべきか……」

 

 貴虎は強いが代わりが利く程度の実力だと忍田本部長は認識していた。

 迅のほうが強いし迅の方が正確に未来が視える……そう思っていたのだが貴虎は迅に勝利した。

 昨日B級になったばかりの人間がボーダーで上から数えて直ぐの男を倒した。

 

「……………………………だぁーーーっ!!負けだ!負けだ!!」

 

 個室から迅が出て来て叫んだ。

 迅は負けてしまったのだと負けを素直に認める。

 

「よーし、その勢いのまま俺と」

 

「無理!この状況で太刀川さん相手にしたら確実に負ける!トリオン体だから誤魔化せてる部分あるけどマジでキツい!」

 

 貴虎との激闘はあまりにも負荷がかかった。

 6時間以上の激闘を繰り広げるのは最初からサイドエフェクトで分かっていた事だったので入隊初日を避けた。

 朝の時間帯に始めてから気付けばおやつの時間が終わりそろそろ夕飯の準備をしなくちゃな時間になっている。太刀川が迅に挑みに行けば迅はこれ以上は無理だとハッキリと断った。

 

「兄さん……」

 

「……………どうだ?お兄ちゃんは強いだろ?」

 

「うん……うん……………兄さんはやっぱり最強だよ……」

 

「よくやったわ。流石私達の息子で修のお兄ちゃんよ」

 

 個室から広いスペースに降りてくる貴虎を修と香澄が出迎える。

 兄は強いんだぞと胸を張れば貴虎が最強だと修は頷いた。香澄は褒めた。それだけで報われたのだと思っていると……ののが現れた。

 

「おい、さっさとトリガー解除しろ!」

 

「少しぐらい勝利の余韻に浸らせてほしい……と言いたいところだが無理か」

 

 貴虎のバイタルを見ていたののはとっくの昔に貴虎が限界を迎えていた事を知っている。

 貴虎はあの迅に勝つことが出来たのだからと言いたいがそれ以上は無理だとトリオン体から生身の肉体に切り替わる。

 筋肉などが疲れているという事はない……だがとことん頭を使った。途中で糖分チャージをしたが頭の限界は迎えており……貴虎は鼻血を流しながらのののおっぱいに向かって倒れた。

 

「……っ!医務室に」

 

 胸にダイブした事について言いたいことはあるが貴虎は鼻血を出して倒れた。

 限界を越えた戦いをしたのだとののは医務室に連れて行く。

 

「迅…………彼はどうだった?」

 

「いや〜……強いですね……オレが予知で回避出来るから使わなかった技が幾つかありますし……今シーズンを終えてからどうするか?現段階のボーダーの実力を見る上で審査する側か審査される側かそれを判断する側か……審査される側になればなんでもするよ貴虎は」

 

「そうか……」

 

「忍田さん、今日はオレには頼らないでね……大丈夫だから……医務室に行ってくるね……」

 

 貴虎が限界を迎えていたように迅も限界を迎えていた。

 これ以上は限界だと医務室に向かいトリガーを解除すればドッと疲労が押し寄せてくる。

 

「最初で最後のチャンスを逃したか……貴虎、いや、メロンくんに追加を提案しよう……こんなに楽しいのは久々だ……けどもうこのルールでやりたくない……」




そこから偽りの記憶を入れるギャグ展開しか書けねえんだ

特別演習

  • 審査する側(上層部)
  • 審査する側(A級と)
  • 試験に参加する側

使用楽曲コード:0F510680,20399341,23944986,71363378

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。