「さて…………どうしましょう?」
「そこはお前の仕事だろうが」
「そうだけど……村上先輩レベルの近距離戦に強い人が入ってきた場合を想定していないわ」
「まぁ、だろうな」
メディア対策室に押し付けられた仕事をこなしつつも那須隊で作戦会議を行う。
志岐が相変わらずアワアワしているが無理に私に視線を合わせずに無視をしてくれても構わないと話は通してある。
作戦会議を行う!となったのだが那須はどうすればいいのかを悩む。村上先輩以上の実力者が加入した……が、その使い道が浮かんでこない。いざ10000ポイント越えの実力者が入ればそれをどういう風に処理すればいいのかがわからない。
「神田さんが抜ける前の弓場隊みたいに玲に指揮を取らせて三雲くんが自由に動く?」
「………………………………そうだな…………………………私は今シーズンの残り2試合だけの契約だ。確実に点を取らないといけない……1戦目でB級上位に、2戦目でB級上位安定……………次の相手は?」
取りあえずは浮かんだ作戦を口にする熊谷。
弓場隊みたいなやり方もありだがそれについて今シーズンの残り2試合だけの契約になっている。
1戦目でB級上位を確定させなければならない。
「香取隊と柿崎隊と諏訪隊です」
「……………アレをやれば1点は取れるか………………」
次に戦う部隊を聞けば狙撃手が居ないことが判明する。
そうなると使える技が1つだけある。狙撃が効きにくい迅やカゲさんには使えないしタイマンには向いていない、混戦のランク戦だからこそ出来る技があるのだと思い浮かべる。
「アレってなんですか?」
「……試合が開始するとランダムで転送される。それから今の状況を理解しようとほんの僅かだが隙が生まれる」
「まぁ……そうね。転送位置とかある程度の間隔で他の部隊の面々が転送されてバッグワーム付けたり付けてなかったりでオペレーターと盤面の理解をして整理するのに最低でも10秒から30秒ぐらいは時間を消費するわ。そこから各々で立てた作戦や転送位置から色々と行動するけど……それがどうしたの?」
「その数十秒の間にグラスホッパーで飛んでアイビスを構えて壁抜き狙撃で盤面の理解をしようとしている誰かを落とす」
試合開始と同時に生まれるほんの数十秒の隙、盤面を理解しようとするまでのほんの僅かな隙がある。
そこの時間帯を使わない理由は何処にもない。グラスホッパーで空を飛んでアイビスで壁抜き狙撃で撃ち抜く。
「いや……無理でしょ……」
志岐がそれは幾らなんでも無理があると言った。
「流石の私も練習しなくちゃ会得出来ない技術だ」
「いや、練習しなくちゃじゃなくて練習しても無理でしょ?最初の盤面の理解から次の行動に出るまでの数十秒の間でアイビスを構えてグラスホッパーで飛んで壁抜きって」
「アイビスを構えて壁抜きが難しいだけで他は可能だ……落下しながらの狙撃が難しいから体で覚えないといけない」
「……まず、大前提に誰が何処に居るのかが分かるんですか?」
「ああ、それなら問題無いぞ。ランク戦のマップ内部ならば大体は見切れる、数km程度ならばトリオン体の隊員達の電磁波を見れば何処に潜んでいるのか分かる」
開幕グラスホッパーで飛んで誰でもいいからアイビスで撃ち抜く。
確実に1ポイントを稼ぐことが出来る方法だが落ちながらアイビスを定めないといけないから難しい。練習しないといけない。
アイビスで撃ち抜くところが難しいだけで後はホントに簡単だ。
「試合開始時に盤面を理解し行動する前に潰す……コレは最初の1試合目でする。2試合目ではしない」
「初見殺しな要素はあるけど、防ぐの難しいから2試合目でも……2試合目ならフィールド選択権があるんじゃないかしら?」
「いや……那須隊に正式に入隊したのだとまだ他の面々は知らないしなによりネタが割れれば開幕と同時の狙撃が来ると常に頭に入っていてバッグワーム+シールドに出るし……狙撃手が居る部隊が相手ならば撃ち落とされる可能性が高い……技の真似は出来ないがな」
開幕と同時にグラスホッパーで空中を飛んでアイビスで撃ち抜く。
市街地Dの様なデパートがあるフィールド以外ならばこの作戦は通じる……ただし私がどれだけ成功できるか。
「成功する確率はどれくらいなの?」
「練習無しで6割、練習有りで8割だが初見殺しの要素が入っている。2回目以降は私の狙撃の精度を上げてもネタが割れてるから対戦チームにもよるが75%以下は確定だ」
那須が成功する確率を聞いてくるのでサイドエフェクトでどれくらい成功するかを占う。
初見殺しの要素があるので練習をすれば8割の確率で成功する……2度目以降は75%以下と確率がガクンと下がる。
勿論、初見殺しだから二度と使わないものだと3試合ほど置いておけば再び可能性は上がるが……一番最初の初見殺しよりは低いが。
「開幕グラスホッパーアイビスで先ずは確実に1点をもぎ取る……問題は次だ……誰を落とせたとしても銃撃戦が待ち構えている」
柿崎隊、諏訪隊、香取隊は銃を持っている。
銃撃戦になるのは見えておりこの中で中距離戦が出来るのは那須で、那須隊には日浦がいる。狙撃手の狙撃という利点がある。
「純粋な撃ち合いになればリアルタイムで弾道処理する事が出来る那須が一番強いだろう……が、柿崎隊と香取隊は銃撃戦が無理ならば近付いての戦闘が出来る。柿崎隊も香取隊も単独行動よりも集まっての行動をしているケースが多く1人が当てない行動を制限する銃撃に専念し1人が那須に近付けばその時点で那須の間合いは潰れて高確率で落とされる」
「玲を近付けさせない様に私がフォロー……ダメね……前衛寄りの万能手タイプが多すぎるわ」
那須ならば倒すことが出来るので那須が倒されないように熊谷がフォローに回ると言うが柿崎隊と香取隊は銃を持っているし近付いての戦闘も可能としている。混戦状態でそれが出来るのは大きい。
「……そのスタイルで行くから…………………今回はメインにレイガスト、スラスター、アイビス、
「え、バッグワームを装備しないんですか!?」
「私に狙撃は殆ど効かない……狙撃手がスコープを経由して見れるならば私の視力で逆に見返せる。2試合目ではそれを活かしてアイビスの代わりにライトニングを入れる…………問題はこのスタイルだと点を取りにくい事だ……」
今回のトリガー構成に関して言えば日浦は驚く。全隊員が搭載しているバッグワームを入れないという暴挙に出ているのだから。
だが私には関係無い話だ……今回は狙撃手が居ないし迅やカゲさんの様に理詰めで詰みの状況に追い込まないと狙撃は効かない。今回は狙撃手が日浦だけだ。
「…………三雲くん、迅さんとの一騎討ちで最後は弧月とレイガストだったけど……………」
そっちのスタイルで挑めば点を多く取れるんじゃないのか?と那須は聞いてくる。
「太刀川さんや小南パイセンレベルならスコーピオンとレイガストの二刀流なんかを使うがこのメンツなら問題無い……後、アレは迅が相手でこっちも限界ギリギリにまで追い詰められてオーバーヒート起こした状態だったから、迅レベルの実力者で尚且つ攻撃を見切るサイドエフェクトを持っているから何時間も掛かっただけだ……迅が相手じゃないならもう少し楽に勝てた」
ホントに迅が相手だったから泥沼化しただけで他の面々ならばもう少し楽に勝てた。
迅が相手だったから使えなかった技が幾つか存在している。意識の外から攻撃する置き弾系の技とか……カゲさんなら通じたが迅には意識外の攻撃は通じないんだ。
「レイガスト主軸で戦うからガンガン攻めて攻撃は難しい……だが、防御力は高い筈だ……そして今回は狙撃手が日浦だけと言う利点がある。狙撃合戦の追いかけっこが発生しないから意識を逸らさなくてもいい……まぁ、荒船さん以外の狙撃手が相手ならば私が逆探知して潰して点を取れるがそこは置いておこう」
「…………三雲くん………分かってたことだけど……………大分反則的な性能しているわね…………」
トリオン多い、狙撃効かない、逆探知可能、盤面理解前に潰す……口にするのは可能だが普通にヤバい。
熊谷は色々と反則的な性能をしている事を言うがそれぐらい出来てこその真のエリートだと私は思うな。
「単独で動かない部隊が多いからこっちもそれに合わせるのが1番ね」
「私の今回のスタイルはフォローだ……だから日浦と那須が主軸で点を取れ。熊谷もフォローや囮に回る…………村上先輩、遊真、カゲさん、生駒さんは居ないからある程度は気が楽だろ?」
あの4人がいないのであれば攻撃手の近距離戦はああだこうだ考えなくて済む。
だから今回は日浦と那須に点を取らせるスタイルで行く。
「…………いっそのこと私もレイガストに切り替えて防御に専念すれば…………」
「いや、今回はそれはやめとけ……今の熊谷なら香取と照屋以外なら高確率で倒せる筈だ」
「……その2人が難問ね」
ムラッ気が多いが調子が良い時は強い香取。攻撃手と銃手でマスタークラスに行っているから実力は本物だろう。
ただ本当にムラッ気が酷い……修と一戦やってから気持ちを切り替えているがムラッ気が酷いのは変わっていない。だからと言って若村達が香取を活用する作戦を考えたり単独で戦えるレベルに至ったわけじゃない。
照屋に関しては……隊長がな……柿崎さんには悪いが柿崎さんが悪い部分が多い。
「防御のスタイルは私に任せて攻める揺さぶりを入れる……が、玉狛第二と戦った時の様に炸裂弾はやめておくんだ。追尾弾を入れるのがいい」
「追尾弾……私、追尾機能とか誘導機能とか使いこなせないわよ」
「トリオン体にダメージを与えられる威力に設定して残りは弾速、射程に割く。シールドを割るのを一切頭に入れない。今から追尾弾でトリオン体にダメージを与える事が出来る威力を算出、最大射程でどれだけか算出、志岐がオペレートで戦闘中の銃手達との間合いを測定してそこから威力はトリオン体にダメージを、射程は当たるか当たらないか、残りは速度に振った追尾弾を追尾機能を適当に使い当たらないが動きを制限する弾を撃ちながら自分の間合いに持っていく……相手の動きや相手が使うトリガーをシールドにする……シールドを展開しながら突っ込んで間合いを詰めて攻撃手の間合いにする」
「ねぇ……三雲くん……………口出ししないんじゃないの?」
熊谷にアドバイスを送れば作戦は自分で考えろと言っているのに色々と言ってきてるじゃないかと那須は言ってくる。
「さっきから言っている作戦は私がいる前提で動いている……今回は私は前衛的でなくフォローに回って戦う……大事なのはこのシーズンを終えた次のシーズンだ……この2試合だけで私は抜ける。熊谷と特訓はするが個人として強くなるだけで……それの上位互換、影浦隊と言う壁があるだろう?彼処は作戦よりも個人の能力でA級をもぎ取った印象だ……だから私が抜けた後にどういう補強をするのか?私は色々と今の段階でアドバイスを送っているが私が居る前提で動いている。そうじゃなくなった後にどうするかが那須の課題だ」
私が居なくなった後にどういう風に戦うのかについては那須の課題だ。
私自身の力を直接的に貸すことが出来るのは2試合だけ、その2試合で上位にまで引っ張るのは簡単だがそれ以降、上位安定からのA級昇格に関しては那須が頑張らないといけない。新規で隊員入れたりするのは自由だ。今シーズンにかかる負担をなくしているだけだ。
「言っておくがコレでも指揮能力には自信は無い方だ……実戦経験も乏しい…………じゃあ連携の方を考えるが…………三輪でいいか」
「え?」
「A級の隊員に実戦形式で手伝ってもらう……米屋と10本勝負する代わりに三輪隊を……三輪隊相手に開幕アイビスを出来るようにする」
米屋との10本勝負はスコーピオンでやろう。
三輪隊に手伝ってくれと頼めば志岐が顔色を悪くする。男が来るのはキツいだろうが諦めてほしい。
三輪に連絡を入れれば三輪はあっさりと承諾してくれてランク戦を想定した戦い方をしたいと手の内を明かせば三輪は呆れていた。
「確かに状況整理に数十秒を使うが……それは実戦で使えるのか?」
開幕と同時にグラスホッパー+アイビスで相手の位置を叩き出す。最初の状況整理から指示までの間に数十秒は使う。その数十秒の間にアイビスで撃ち抜く。そんなことが出来る隊員は存在していない。実現は不可能だと三輪は認識している。
「開幕1点で流れを完全に掴む……狙撃手が日浦しか居ない組み合わせだから出来る事だ……練習無しで成功する確率は6割、練習ありで8割……今回は銃撃戦がメインになる。那須が落とされれば詰む、私は射手だけは向いてないから防御特化でいく……私のスペックありきな作戦になるが確実に1点を取れるだけで大きい……出来るか出来ないかで判断するんじゃない。やるかやらないかで判断する」
私ならば出来ると自惚れているわけではない。私がやらないといけないと思ったからやるだけだ。
「連携に関しては私が援護と防御と妨害で那須がフルアタックを意識して出来るようにする」
「それなんだけどよ……三雲の方が弾を撃った方が効率良くねえか?」
「
「なんでだよ?強化視覚のサイドエフェクト持ってんだから空間認識能力は優れてるだろ?迅さんの時にリアルタイムでレイガストの長さを変えて攻撃を当てれんだから射手のトリガーも上手に扱えるはずだろ?コツを覚えたいなら弾バカ呼ぶぞ?」
「米屋……トリオン体を経由しての視覚共有は可能か?」
「ちょい待ち……………あ、いけるみたいだぞ」
「じゃあ、私が射手して那須の負担を軽減すればいいと思ってる奴は視覚共有で私が見てる景色を見れるようにしてくれ」
「はいはいっと……って、全員射手した方がいいんじゃねえって思って…………っ!?」
「待て……なんだ、コレは……………」
「米屋の言う通り空間認識能力は優れているからリアルタイムで変化弾の弾道処理は少しだけなら出来る……だが、この状態でだ……」
風間隊が聴覚共有したように視覚共有をする。
実戦では使えないものだろうが今ならば使える。私が射手系のトリガーを使って那須の負担を軽減したりと言う意見はもっともだろうがそれは出来ない。
「お前……普段からこんなのを見ていたのか!?」
「ああ、そうだ……………私のサイドエフェクトは遠くの物を見ることや動体視力や色の識別が目立っているが、1番はそこじゃない」
「ちょっと解除して……キツイわ」
「常人が本来は見えない光の波が見える……空間認識能力には優れている。それは正しい見解だが私の目は見え過ぎているんだ。本来は見えない電磁波なんかを、常人ならば雷やスタンガンでないと電気を見ることが出来ないが私の目には電気が見える。磁力の波、重力の波、他にも色々と見える。この状況下でリアルタイムで弾道を切り替えて攻撃の手を変えるのは私の頭では無理だ」
視界を共有すれば米屋達が酔った。というか平静を保てなくなった。
熊谷が解除してと言ってくるので解除してもらい普通の視界に切り替える。
「玲、アレで弾道処理出来る?」
「ごめんなさい、無理よ……変なものが沢山見えて……」
那須とも繋がっていたので弾道処理が出来るのかを熊谷が聞いた。
ハッキリと無理と言い切り変なものが沢山見えたと言っている。
「射手のトリガーの弾道処理は雑になら出来る。だが射手としてA級やマスタークラスに位置している人のレベルの弾道処理は私には不可能なんだ……色々と試したしこの前の迅とのタイマンで悟った。私の頭にも限界はあるんだと」
だから射手としての私にはあまり期待しないでほしい。那須達はそれを受け入れる。
そして再開する。開幕グラスホッパー+アイビス作戦を……練習のおかげで8割に持っていくことに成功した
暫くこれで更新をしなくて済む……ダイレクトメッセージで更新まだですかと聞いてこないでね。ホントに気紛れ更新だからさ
特別演習
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審査する側(上層部)
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審査する側(A級と)
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試験に参加する側