メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第133話

 

「出汁巻きの中でも京都風はちょっとちゃうねん。前から後ろに玉子を巻くんが一般的やねんけど、後ろから前に巻くのが京都風や」

 

「そうなんですね」

 

 ランク戦の翌日、生駒さんと一緒に朝食を食べる。生駒さんお手製の出汁巻き卵は美味しい、関西方面だと砂糖じゃなくてホントに出汁を使ってて素の状態で甘くなく噛めば噛むほど味わえば味わうほどに卵焼きの美味しさが分かる。

 

「あ、コレわざわざ焼いてるんですね」

 

「軽く炙ったら思ったより美味かった」

 

 味付け海苔を生駒さんはわざわざ炙ってくれていた。味付け海苔としての美味さは勿論のこと、香ばしさが増している。

 

「待て待て待て待て待て!……どういう状況?」

 

「なにって、水上が言うたんやろ!イコさんの手料理を食べたいって」

 

「んなこと言ってません!生駒さんなんで三雲の朝ごはん作っとるんか聞いただけやのに……三雲も三雲でなんで当たり前の如く生駒さんの朝ごはん食べとるん?」

 

「いや……1人で作るとなると煮物とかがどうしてもオーバーになってしまって生駒さんが一緒に作ったるわ!で。カレーとかなら食堂で食べれるけれどもこの大根と牛すじの煮物とかが食堂無いんです」

 

 生駒さんと一緒に朝ごはんを食べていると同じく一緒に朝ごはんを食べている水上さんにツッコミを入れられた。

 さも当たり前の如く生駒さんが作っている朝ごはんを食べていること、お隣さんの関係だけの生駒さんの朝ごはんが思ったよりも美味しい事を。

 

「いや、言いたいことは分かんねん。大根炊いたんとか1人で作っても処理すんのめんどうやし米の研ぎ汁とか必要なん」

 

「大根と牛すじの煮物じゃなくて炊いたものって言うのですね」

 

「せや。大根と牛すじを炊いたんで関西やったら通じるわ」

 

「家はこれが牛すじやなくて油揚げでしたわ……腹立つことに美味いわ……」

 

 カレーとかなら食堂の方が美味しいんだけどもどうしても煮物が欲しくなる。そんなところに生駒さんの美味しい煮物があった。

 なんでこんな事になってんだと呆れながらも水上さんは箸を進めている。3連続で大根に箸を伸ばしたという事は気に入ったんだろうな。

 

「さて、三雲……世の中、タダ飯なんて概念は無いんや。散々、俺に甘えたんやからそれ相応の支払いをしてもらおうやないか」

 

「急にどうしたんです?……材料費を寄越せと言うのならば出しますけど。手元に財布が無いので後でATMから……10万ぐらい?」

 

「生駒さんの手間賃と食費含んでもそこまでいかんやろ。3万ぐらいで」

 

「金で解決しようとするな!!何でもかんでも金で解決しようとする人はイコさん嫌いやで!!」

 

 朝ごはんを食べ終えれば皿洗いをしていると生駒さんが今まで食った分を飯代を払えという。

 まぁ、タダでご飯を食べれるほどに甘くはないのは分かっているので手間賃を含めて10万を出そうとするのだが、水上さんがそれは出し過ぎだと相場を教えてくれる。しかし生駒さんは何故かキレている。金で解決するなと。

 

「…………ランク戦?」

 

生駒(イコ)さん、三雲は基本的には1本だけにしてますから無理強いはアカンとちゃいます?」

 

「ちゃう!俺が三雲に払ってもらいたいのは…………どないしたらそんなにモテるんや!!」

 

 米屋の様にランク戦を要求されるのかと思ったが生駒さんは何故かモテるかモテないかの話に切り替わった。

 なに言ってるんだコイツ?と水上は心底呆れておりどうするべきかとこちらの視線を見る。雑に扱うのだけは無しで上手く切り抜けてくれという事だろう。

 

「しらばっくれても遅いで!モテとるやろ?」

 

「……なにを基準にモテていると?嵐山さんみたいに皆のアイドル的な意味合いではモテてないですよ?」

 

「いや、そういう感じのモテやないで。ライクやなくてラブの感情を向けられとる奴多いんやろ!そしてお前は全然モテてないって言うんやろ!隠岐と同じパターンはさせへんで!!」

 

「…………生駒さん」

 

「なんや?」

 

「私の弟についてはご存知ですよね?」

 

「ああ、知っとるで」

 

「…………玉狛第二の狙撃手の千佳ちゃんは修の幼馴染み」

 

「ぐふぉお!?」

 

生駒(イコ)さん!!三雲、お前は鬼か!歳下の異性の幼馴染みなんて完全なフィクションな存在を出してくるんは卑怯やろ!!」

 

 モテているモテていないの話題を出せば先ずは修がモテていると教える。

 生駒さんはさっき食べたばかりの朝ごはんをリバースするかちょっと心配なものの、大ダメージを受けている。同年代の異性の幼馴染みの方がおかしいとは私は思うが。

 

「因みにだが修は那須とテニスを、ダブルスを組みました」

 

「あぎゃあああああ!?テニ、テニス……テニスやと!?アカン!アカンやろ!!テニスなんてお下品なもの!」

 

生駒(イコ)さん、テニスに対して偏見持ってません?……三雲が知っとるって事は三雲もおったんやろ?」

 

「熊谷と一緒にペアを組みました」

 

「…………やっぱお前、モテとるやないか!!」

 

「三雲、多分無限ループが続くから諦めろ。生駒(イコ)さんで遊ぶな」

 

 一緒にテニスをやったことに関して言えば生駒さんはショックを受けている。そして最終的にモテるに話は戻る。

 水上さんが潔くモテるって前提で話を進める様に言ってくる。

 

「モテるモテないかの話になれば、先ずは幾つかの条件があります」

 

「ほぉほぉ」

 

「第一に嵐山隊の様にワーキャー言われたい場合はトーク力を磨く、この人は愉快な人だなと周りに思わせる。小粋なジョークの1つや2つ、人生経験から来る面白い話をする。ライクという意味合いで好かれるにはこのトーク力が如何に上手いか上手くないかの世界です」

 

「ほぉ……」

 

「三雲、マジレスか」

 

「生駒さんがモテたいと言うなら力を貸すのが大事ですよ、水上作戦参謀」

 

「誰が作戦参謀や」

 

 生駒さんがモテたいと言うのならばモテる方法を考える、第一に必要なのは嵐山隊の様にワーキャー言われたいのならばシンプルにトーク力を磨けばいい。この人は愉快で面白い人なのだと思わせればいい。

 

「そないな事を言うてもなんやおもろい話なんてあるんか?」

 

「実体験だけでなくそういう一例もあるという些細な雑学を入れたりすれば……私の場合は経験ですが」

 

「例えば?」

 

「柄の悪いだけで根は真面目はともかくちゃんとした不良は死にやがれとか……」

 

「なにがあったんや!?」

 

 こればかりはホントにくたばれとしか言いようがないので、ちゃんとした不良は社会のゴミで死にやがれと思う事は普通にある。

 私の中の黒い部分を見せれば水上さんが驚いているが、一応はマジで色々とあったとだけは……ホントに不良くたばれとしか言えない。

 

「まぁ、とにかくトーク力を磨く。次に告白されまくりはコミュニティを広げて深める」

 

「俺、どっちかと言えば交友関係広いで?」

 

「広いだけじゃ意味が無いんです、その場合だと良い人だけども友達ぐらいの関係性です。女性に対して何かしらのフォローをしたりする、全体的にこの人と居て楽しいとかと思わせる状況を幾つか作る…………ただしその場合は柿崎さんが恐ろしい強敵になります」

 

「いや、でもあそこはガチ勢がおるから」

 

「照屋をガチ勢と言うな」

 

 トーク力の次はその人との関係性を深める。

 

「シンプルにここは頼れる大人の先輩って言うのが大事だと思いますよ」

 

「三雲、それ生駒(イコ)さんが一番足りんもんやから遠回しに諦めろ言うとらん」

 

「その場合だと歳下に近付きやすい先輩で、とりあえずの拠り所で……ここで大事なのは真面目にやることです。ギャグではなく真面目にやる、相手を笑わせるための小粋なジョークはいいですけども限度を。とりあえず大事なのは相手の話を聞く。悩みの種を持っている人は多いから、いきなり相手の深いところを踏み込まずに警戒心を解いてそこからこの人になら相談出来るというブランド力を手に入れる」

 

「…………なんや、スゴい手間かかるな……」

 

「基本的にはトーク力を磨く、それで大体はどうにかなります。そして仮に異性として好きな人が欲しいというのならばそれは諦めるしかないです」

 

「なんでなん?」

 

「この人に好かれたいと言うのならば自分自身が変われますが、まだ顔もなにも知らない条件がピッタリ嵌まる人は早々に居ないです。なのでここはトーク力を磨いて親しみやすく相談にも乗ってもらえばカッコよく解決してくれる…………柿崎さんで充分か……」

 

柿崎(ザキ)ちゃんが……柿崎(ザキ)ちゃんが強敵過ぎる。今だ嘗て無い程に柿崎(ザキ)ちゃんが……」

 

 おのれ、柿崎!となる生駒さん……水上さんの言う通り、頼りになる先輩感は薄い。戦闘力としては頼りになるが人として頼りになるかどうかは別だな。多分、結構真面目な話をしたとしても変な風な答えになって帰って来る。そこが生駒さんのいいところだが、世の中には冗談が通じない相手も普通に居る。

 

「顔面偏差値の話は……しますか?」

 

「多分、殆どの人が傷つくからええわ…………って、三雲がモテとる理由が分からんままや!」

 

「いやいや、生駒(イコ)さん、話、聞いてました?要するにトーク力磨いて信頼出来る人やって思われるところからスタートって」

 

「せやかて、藤丸のののアレにダイブして殴られんかった聞いたで!!お前が弓場ちゃんとこと特に繋がりは無いのに好感度高いやないか!!日頃の行いで済ませてエエ話やないで!」

 

 トーク力云々のくだりで生駒さんは納得するかと思ったが納得しなかった。

 水上さんはトーク力があれば大体はどうにかなる云々を理解してくれたが生駒さんは納得が出来ないと言う顔をしている。

 

「お前にはきっと秘密がある!俺にはないモテる能力の秘密が!」

 

「……その秘密を聞いてどうするんです?お前が行けたから俺も行ける!な謎の理論で行くんですか?私と同じ理論で行っている、他には無いなにかを既に持っている私から聞いてなにか参考になりますか?ただの成功談を集めただけですよ?」

 

「それは……」

 

「生駒さん、貴方は料理を始めたのは迅にアドバイスされたからですが……モテる為に始めた努力をやる前とやってからなにが変わりました?」

 

「…………」

 

「生駒さんはモテたい!と言う思いはありますが具体的にこうなってほしいと言うゴールが無いです。男女の関係は基本的には1:1の関係性です、ワーキャーモテていると思わせても最終的には1人を選ぶ世界です……そしてここで問題なのは生駒さんは自分の個性を押し付けすぎです」

 

「俺の個性の押し付けすぎ…………」

 

「生駒さんがモテないのは圧倒的にマイペース過ぎるから、だからやってしまう。モテる要素のまず第一のステップを歩まずに、料理等のスキルを求める……」

 

「そんな……俺の料理が間違い言うんか!!」

 

「間違いではなく、最初の1段目でなく5段目ぐらいを生駒さんは踏もうとしている。コレはモテる要素を持っているとか言う以前の問題、そもそもで生駒さんを異性として認識していない。典型的な失敗です」

 

「せ、せやけど……柿崎(ザキ)ちゃんや迅みたいに……俺もなりたいんや……モテモテに」

 

 生駒さんは恋愛方面は典型的な失敗、そもそもで異性として認識されていないところがある。

 面白い愉快な人ではあるのはこの部屋に来てから理解しているが真剣な話に真剣な答えを出さなかったりしている。愉快な人と言う認識を作ってしまった。恋愛の世界では典型的な失敗だ。

 

「なら、先ずは一番下になる……そこから……刻むんです……先ずは愉快な人と警戒心を解く、悩みを相談したら真剣に返してくれるしっかりとした大人と認識してもらう、戦闘以外でも秀でた能力を持つ。そういうのを一歩一歩刻んで歩いていく。生駒さんの料理のスキルはそうすることで始めて生きるんです……」

 

「…………俺はホンマもんのアホや。自分がホンマもんの恋愛弱者やって気付きたくないから逃げ道を歩いてた…………」

 

「……………なんやろな……多分、なんか使うタイミング間違っとるんやな……言うとる事は分かるし理解も納得も出来るけど、もっと別の場面で刻んで努力する事を教える。生駒(イコ)さんがモテるかモテへんかの話で階段を自分でも登れるレベルに刻むのをアドバイスするって……絶対使うタイミング間違っとる」

 

 刻んで歩くように言えば生駒さんは現実から目を逸らしていた事を理解する。

 柿崎さんや嵐山さんの様なイケメンや真面目な対応が出来ないホントの恋愛無能じゃないと否定したかったからギターや料理に手を出していた。モテる要素の1つを、別に料理が出来なくても結婚出来ている人は普通に居るので他人の成功談で自分も成功しようとしている。なんか水上さんがもっとこう、遠征部隊選抜試験辺りで言いそうな事を言っていると呆れている。

 

「よし、今日1日使ってモテる為になにが必要か!イケメンとの違いを……アカン!顔面偏差値の時点で違う!」

 

「三雲、どないするん?また無限ループ入りそうやで?」

 

「じゃあ、もうこの後に色々とするのでついてくればいいんじゃないですかね?」

 

「対応、雑!」

 

 最終的には顔面偏差値の話に舞い戻り、生駒さんは凹んだ。

 このままだと無限ループに入る。テニスで無限ループに入ることはあっても、こういう事で無限ループには入りたくない。水上さんがどうするん?と聞いてくるので最初の予定通り俺からモテる要素を知る。自分にはないなにかを見つける為に。

 

「ところでなんかあるん?」

 

「…………嵐山隊と撮影です」

 

「え、なんで?」

 

「……あのメロンは何者だなんだが出てきているのでメディア方面に出ろと。中の人でですけど」

 

「あんだけ暴れまわったらそうなるわな」

 

 那須隊には後1試合しか居ないので連携云々はしない、熊谷の底上げとかは次のシーズンからだ。

 嵐山隊との撮影会とかがあり、割とめんどくさいと思っているのだが水上さんはあれだけ暴れまわったのならば仕方ないと言う。

 修を記者会見で捨て石にされたのならば私だって普通に怒る。修のイケメンな対応でもいいがどっちにせよ……いや、まぁ、結果的にはこうなったで受け入れるしかない。

 

 皿洗い等を終えたので嵐山隊が居るところに向かう。

 嵐山隊が居るところに向かえば既に嵐山隊の面々は居る……

 

「何故生駒さんが?」

 

「あ、気にせんといて。イケメンビームを浴びに来ただけやから」

 

生駒(イコ)さん、さっき思いっきりボロクソ言われたのに真面目にやりません」

 

 時枝が何故に生駒さんが来ているのかと聞けば生駒さんはイケメンビームを浴びに来たという。

 ついさっきまで色々と言われたというか言ったのに何時も通りの生駒さんをみてコレはこういうのだなと少しだけ認識を改める。この人、ホント電磁波とかオーラとかで判定するの難しいタイプの人間だ。

 

「じゃあ、撮影いきますね。トリガーの方をお願いします」

 

「わかった」

 

『メロン!ロックオン!』

 

「変身」

 

『ソイヤ!メロンアームズ!天下御免!!』

 

 生駒さんと水上さんは基本的には黙っている。撮影が始まったので変身を求められた。

 戦極ドライバーを取り出して斬月に変身をする。

 

「嘘やん、あそこまでメロンカッコよく着れるもんなん?」

 

「子供ウケ間違いないでしょうね」

 

「三雲、後で俺も変身させて!」

 

「戦極ドライバーは生体認証システムがあるので最初に使った私しか使えませんが……生駒さんでも使えるゲネシスドライバーならありますよ?」

 

「じゃあ、貸して」

 

 ゲネシスドライバーを取り出して生駒さんは腰に添えればベルトが巻かれる。

 コレでどういう風にすればいいのか?と生駒さんが聞いてくるのでゲネシスドライバーにメロンエナジーロックシードを装填、レバーを引けばいける。

 

『メロンエナジーアームズ』

 

「ええっ、それ誰でも変身、出来るんすか!?」

 

「出来るには出来るが鍛えていないと恐ろしく肉体に負荷がかかり筋肉痛になる」

 

「え?」

 

 佐鳥が斬月・真に変身した生駒さんを見て驚いた。

 私のトリガーは私にしか使えない物だと認識していたが、ゲネシスドライバーとかは誰でも使える。ただし肉体に結構な負荷がかかる。生駒さんは危険なものだと話を聞いていないと即座に斬月・真の変身を解除した。




Q 貴虎の異常なまでの高いスペックってなんなの?

A ハイドープになりかけでヘルヘイムの実の毒素を若干取り入れて人間やめかけてるから

特別演習

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