メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第15話

 学園祭はなにかと辛いことが多かったものの、売上的に言えば大黒字で終わった。

 メガネ(兄)のお茶(自腹)だけで済んでいるので大黒字であり、一部拝借してポケットマネーにしたとかどうとか。

 しかしまぁ、そんなことは些細なことで順調と時は過ぎていく。創立記念日が休みでなく校外学習としてスケートとかしに行ったりと、まぁ、それなりに楽しく過ごし……終業式を迎えた。

 

「三雲、学年一位だ」

 

「……なにを、なにをやれと言うんだ!!」

 

「いや、単純に褒めただけだからな」

 

 処刑宣告と言う名の通知簿が渡されるメガネ(兄)。

 進学校でも受験戦争がある学校でもない順位を明確にしない普通校なのに、通知簿を渡されて何故か一位と言われたことを疑うメガネ(兄)。

 特に深い意味合いは無く、単純におめでとうと言う意味合いで言ったのだが、そう言うときに限って高確率で生徒の代表として挨拶をしなければならない。メガネ(兄)は身内が関係していないのならば、迷いなく逃げる男であった。

 この男、授業態度とかすごく真面目でテストの点数も文句無しなのだが、やる気が無いのである。

 

「次、三輪」

 

「はい」

 

「通帳どころか小遣いまで差し押さえられたらいかんな」

 

 通知簿を見て、ホッとするメガネ(兄)

 もし酷い成績だと、優しい父はドンマイと言うが、母からなんか飛んでくるのをなんとなく理解している。もしかすると財布の差し押さえをくらうかもしれない。あの母ならば私の弱点をついてくると何故か否定することが出来ない。

 これを見せても、なんの反応もしなければどうするかと考えていると通知簿を受け取った三輪が戻ってきた。

 

「どうだった?」

 

「三学期のテストを全部休んでも問題ない……俺はだが」

 

「……悲鳴が聞こえる」

 

 何処かからとは言わない。

 隣の教室から物凄く聞き覚えのある声で「ガッテム!」と叫ぶ声が二人の耳に入る。隣の教室もここと同じく通知簿を渡しており、バカが悲鳴を出して泣き叫ぶ。

 

「米屋がビリか、ヒカリがビリか……三学期は頑張れ」

 

「三学期の成績は、捨てに行く」

 

 米屋は何度も同じ過ちを繰り返す。

 冬休みは特になにもないので、よいお年をと終わりの挨拶をすると帰ろうとするクラスの面々。

 メガネ(兄)も帰ろうと鞄を手にすると、痩せ細った米屋が教室に入ってきた。

 

「やべえ……下手したら、今年のお年玉無しかもしれねえ」

 

「お年玉を家庭教師代に一票」

 

「三雲、それは無理だ……今更、家庭教師の一人や二人ついたとしても無理だ」

 

「あぁ、そうか」

 

「お前等、死人に鞭打つんじゃねえよ……」

 

 体育しか5のついていない通知簿を泣きながら見せる米屋。

 三輪達は大きくため息を吐いて、頑張るしかないなと三学期に力を入れると気持ちを少しだけ改める。

 

「とりあえず、冬休みはどうする?

確か三輪達は三門市民で、村上さんや国近先輩みたいに帰省はしないんだろ?」

 

「冬は夏と違って何処にも遊びに行かねえよ。

何時も通り防衛任務したりして、年越ししてそのままの初詣からのオールして、お年玉を貰って額を確認してから一眠りだ」

 

「お前、そこそこ酷いな」

 

「で、初詣どうする?」

 

「1日に家族で行くから、3日辺りが」

 

「3日はダメだ……東さんの誕生日なんだ」

 

 今じゃなくても別に良いのだが、今だからこそと冬休みの予定を立てていくメガネ(兄)。

 年明け前は特に触れず、年明けしてからの予定を立てるのだが三ヶ日で躓きそうになる。

 

「んじゃ、2日にするか」

 

「2日か……まぁ、変に長引かなければ問題ないか」

 

「なにかあるのか?」

 

「特に大したことじゃない……それよりも、教室を出るぞ」

 

 ただ単に家族総出で競艇をするだけであり、そこまで大した用事ではない。

 新年の予定を早々に立てて、教室を出ていき下駄箱に向かったメガネ(兄)達。今日が終業式なので、同じ様に新年の予定を立てたりしている人で賑わっている。

 

「柚宇さん、諦めるのも大事ですよ」

 

「そ、そだねー」

 

 賑わっている人の中には出水と国近もいた。

 二人の手には通知簿が握られており、国近は焦っていた。思ったよりも、成績が酷く実家に帰省した際に怒られると怯えていた。出水はバッサリと諦めろと言った。

 

「出水、どうだった?」

 

「まぁまぁだ……お前は、まぁ、うん……お年玉を家庭教師の費用に入れるに一票」

 

「三雲と同じ事を言うんじゃねえ!!」

 

 通知簿の見せあいをする出水、米屋。

 体育以外は残念な通知簿を見て、家庭教師とか塾とかに行かないとやべえんじゃと感じ、メガネ(兄)と同じ事を言い出す始末。

 

「よっし!」

 

「国近先輩、ガッツポーズしているところあれですが、貴女も大概です」

 

「大丈夫だよ~太刀川さんや米屋くん達には勝ったから。

あ、そうだ。三雲くん、なにかリクエスト無いかな?私、年末年始は実家に帰省するから北海道のお土産買って帰るよ」

 

 上手く誤魔化したな。

 出水と三輪はこの手の話題を続けると、最終的に泣かれる未来が待ち受けるのを知っている。

 一学期に補習が決まった米屋にあれやこれや言って、最終的に米屋が「バーカ!バーカ!」と小学生以下の語彙力になったの今でも覚えているのだから。

 上手く話題をそらし、北海道のお土産という心引かれるものを話題に出したので通知簿の話は終わった……が、これもこれで面倒だった。

 

「じゃ、メロンでお願いします。

築地の初競りの夕張メロンで、一番高いのを速達でお願いしますね」

 

「え……」

 

「ああ、大丈夫です。

代金はこちらで持ちますので、購入さえしてくれれば……とりあえず、50000円渡しておきますね」

 

「ちょ、ちょっと」

 

「余った金でショコラティエのチョコとポテトチップチョコレート、インカのめざめ買ってきてください」

 

「……結構ガチ目の頼んだね」

 

 白い恋人とか生キャラメルとか牛乳とかを頼まれるかと思ったが、割とガチなのを頼んでポンっと諭吉を出してきた。

 よくよく見れば、財布がそこそこ太っているじゃんとメガネ(兄)の財布事情を驚きながらも携帯でメモをする。

 

「国近先輩、何時頃から帰省するんですか?」

 

「27日から5日までは実家だよ。

こっちで今ちゃん達とクリパやったり、向こうで地元の友達と遊んだり色々とね……」

 

「そうですか……で、野郎共は予定あるのか?」

 

 あえて触れない様にしていたところに突撃してきたメガネ(兄)

 賑わっていた下駄箱が本当に一瞬だけシンと静かになる。

 

「……太刀川さんは、同年代でパーティー。唯我のアホは、学校の友達とパーティー、柚宇さんは……」

 

「出水、泣くな!」

 

「な、泣いてねえよ!おれはあれだ、京介と一緒に近界民を討伐するんだ!」

 

「そんなモンハンみたいなノリで言うな、オレも悲しくなるじゃねえか!」

 

 あれ、おれぼっちじゃね?と真理に至った涙目の出水。

 米屋が励ますのだが、全くフォローにならずにそれどころか自らもダメージを受けてしまうという始末で、空気が重たくなる。

 

「最悪、野郎クリパでもしておくんだ。色恋沙汰が薄いボーダー隊員同士でな」

 

「くそ、旋空弧月で真っ二つにしてやりてえ」

 

「メテオラぶっぱのゴリ押しでぶっ倒してえ」

 

 そんなことをしたら、ボーダーという組織が潰れるので絶対にやめましょう。

 くだらなくない、人として大事な話をして笑いあったり憎みあったりするメガネ(兄)達。クリスマスどころかお正月も予定は無い一部の学生は死ねよと思っていると、熊谷がやって来た。

 

「三雲くん、来週の火曜日、暇かしら?」

 

「!」

 

「!?」

 

「ほぅほぅ」

 

「火曜日……」

 

 覚悟を決めた顔をしているくまちゃん。

 本日は12月21日の金曜日、火曜日とは4日後に来るもの。21+4=25、即ち12月25日。

 Xデーだなんだと言われてはいるが、一番分かりやすい言い方で言えばクリスマス、クリスマスなのである。そんな日が暇かどうかを、話題を広めそうなバカ(米屋)がいるのに聞いてくるということは勇気を振り絞り、決心したのである。

 出水、米屋、国近、三輪はなにが言いたいのか察して空気を読もうか、それとも(三輪以外は)煽ろうかと考えていると携帯を取り出したメガネ(兄)。

 

「3か月前から1万8000ぐらいするバスツアーの予約いれてるから無理。よいお年を」

 

「え、あ……よいお年を……」

 

 その日は普通に予定が入っていたので却下された。

 これ以上は馬鹿騒ぎ出来ないなとメガネ(兄)は普通に帰っていった。

 

「……生キャラメル、買ってくるよ」

 

「おれ、肉うどん、奢るぜ」

 

「あいつ、ちょっと蹴り飛ばしてくる」

 

「クリスマスはもうダメだ、だが1月2日なら空いている。その時が狙い目だ」

 

 ラブストーリーは突然に、とは言うもののはじまらなければ意味がない。

 デートになったら全力で煽ってやろうと思っていた面々(三輪以外)は熊谷がかわいそうと不憫に思い、励ましを入れる。

 

「う、ううん……そこまで、大事な用事じゃなかったから。映画を見に行くだけだから、特になにも問題無いわ……」

 

「那須に蜂の巣にされる未来、確定したかもしれねえな」

 

 知らず知らずの内に、あいつがボーダー隊員になったら全力でシバくと恨みを買うメガネ(兄)

 これ以上はここで馬鹿騒ぎも出来ないと各々が学校を出ていき、家へと帰り通知簿を見て怒られたり笑われたり褒められたり、お年玉無しになったり、クリスマスでプレゼント無しになったりと各ご家庭で色々とあった。

 とまぁ、終業式を終えた学生達は決戦に備えたりして土曜日、日曜日と英気を養い、月曜日を迎えたのだが、そこはボーダークオリティ。浮いた話なんぞ特に目立ったことは無いとイブを過ごしクリスマス。

 

「三雲くん、一日だけでも良いからボーダー隊員になってくれないかしら……」

 

 普通に用事があってデート失敗とかそんなレベルじゃないミスをしたのを聞いた那須。

 くまちゃんよりもバスツアーかと苛立ちながら、蜂の巣に出来ないかと恐ろしい事をボーダー内部の自販機前で考えていた。

 

「玲、もういいから。

そりゃあ、行けなかったのは残念だったけど……クリスマスに一緒に映画を見に行くのは、難易度高すぎるわ。もう少し、もう少しこう、段階を踏まないと」

 

「そうね……プールなんて、どうかしら?

四塚市のマリンワールドなら気温を操作することが出来て、年中夏みたいに暑くて遊べるわよ」

 

「待って、プールはいきなり過ぎるわ!」

 

「でも来年の夏休み、米屋くん達と海に行くって聞いたわよ?」

 

「え、そうなの?」

 

 あたし、そんな事を聞いてないんだけど。

 お嬢様学校に通う親友が自分よりも自分が通っている普通校の生徒の情報を握っている事に困惑する熊谷。とりあえず、このまま自販機前で話をしていては迷惑だと隊室に戻ろうとすると隊室前に玉狛支部の小南が立っていた。

 

「桐絵ちゃん?」

 

「くまちゃん……玲ちゃん……」

 

 なんだか泣きそうな顔をしている小南。

 ここで泣かれては騒ぎが大きくなると、隊室に入れて何事かと話を聞こうとするとジュースが入った袋を出した。

 

「クリパ……しない?」

 

「えっと……玉狛の皆としないの?」

 

 ボーダーで唯一の市民の窓口となっていない玉狛支部。

 支部の職員は10にも満たないが、A級、S級とどいつもこいつも曲者で一品物のトリガーを使う猛者ばかり。個性豊かな面々が多い玉狛支部だが、アットホームな職場であり、隊員同士の仲も良い。

 しかし、クリパは行われなかった。

 

「ボスは陽太郎を連れて、町内会のクリスマスパーティー。

とりまるは年末年始の今こそが稼ぎ時なんですってシフトを滅茶苦茶入れて、防衛任務。

クローニンはエンジニア同士で飲んでて、レイジさんとゆりさんは……とにかく、とにかく、玉狛には誰も居ないのよ!時期が時期だけに、スカウト組は実家に帰省する準備をしてたりするし……その、あ、遊ばない?」

 

 各々が用事があり、誰一人として遊べなくて物凄く寂しくなった小南。

 頬をちょっと赤く染めており、アホの子騙されガールの彼女をとても可愛く見えた二人は何事もなく受け入れた。

 

「茜ちゃんと小夜子はどうしたの?」

 

 急遽クリパをすることとなり、パパっとお菓子を皿に盛ったりゲームの用意をするのだが何時もの二人が居ないことに気付く。

 

「小夜子はクリスマスイベントがどうとかで、茜は家族と一緒に過ごしてるわ。

そういえば、玉狛の皆は無理でも嵐山さんは……無理か、クリスマスとか絶対に忙しいわよね」

 

「ええ、そうよ。嵐山くんも忙しいわ……」

 

「沢村さん、何時の間に!?」

 

 この場にいない他の面々について話をしていると、幽霊の如く何処からともなく現れたS村さん。

 死んだ顔をしており、なんでそんな顔をと熊谷が思っていると小南がなにかに気付く。

 

「そういえば、忍田さんも広報活動に、准と一緒に、サンタの格好をして……」

 

 尚、佐鳥は真っ赤なお鼻のトナカイさんの格好をしている。

 

「えっと……」

 

「まだ、まだよ。響子。

あんな訳のわからない、全身タイツのターバンの小僧が言っていた占いが当たるわけないじゃない」

 

 S村さんにどんな言葉をかけてやれば良いのか見つからない小南。

 ファイトだよ!と大晦日に頑張るんだとガッツを入れようとするのだが、メガネ(兄)の占いはハズレはしない。大晦日に忍田とは良い雰囲気にならない。除夜の鐘とか初詣で二人きりになったとかと思えば、高確率で太刀川が現れて空気がぶち壊される。

 

「ふぅ……ごめんなさい。

実は、今日がシフトだったりする人達を誘ってパーティーでもしないかと思ったの。折角のクリスマスを、仕事で終わらせちゃ、申し訳ないって……今日、ひ……空いている人って誰か他に居ないかしら?」

 

「ひ……空いている人ですか、ちょっと待ってください」

 

 明らかに暇な人と言おうとしたのだが、触れないS村さんと那須。

 携帯を取り出して本日暇だったり手が空いている人は居ないかと確認をする。

 

 先ずは太刀川隊。

 隊長である太刀川は同年代の加古を祝いに行き、呪われる。

 同学年である出水は現在防衛任務中で、終わったら東さんと焼肉に行って、ボウリング大会に行く。

 誘うつもりはないが一応聞いてみる唯我はお坊ちゃん校のパーティーに参加しており、無理。

 明後日から帰省の国近は村上とか生駒とか別役とかの三門市外部スカウト組でクリパをしており、各都道府県のご馳走を持ち寄るなんか秘密のケンミンショーみたいなことをしている。

 

 次に冬島隊。

 隊長の冬島も防衛任務中で、それが終わればエンジニアとしての仕事、それが終われば飲み会と大忙し。しかし女性関係は全くない。

 No.1狙撃主の当真も同じく防衛任務中で、それが終われば影浦の家のお好み焼き屋で荒船達や影浦達とともにお好み焼きパーティー。

 そんな二人のケツを叩いているオペ子こと真木理佐は冬島達がクリスマスだからって浮かれんなよと仕事をサボらない様に尻を蹴り上げており、恐怖で支配していた。

 

 射手の王、二宮はボーダー本部にいれば確実にファントムばばあに捕まると分かっているので、本日お休み。

 小型かつ高性能の風間は、加古に呼ばれているのだが、加古に会う前と誕生日を祝った少し後に筋肉(ゴリラ)のハートキャッチ(物理(笑))の手伝いを自らの体を犠牲にレイガストを作り上げたデブと数少ない喫煙者の隊員である豆腐とともにしなければならず割と忙しいが、それなりに楽しんでる。

 古寺、菊地原、歌川は進学先が進学校で、もうすぐ入試なので遊んでる暇なんて無いと勉強会からのちょっとお高めなバイキングに行く。

 堤大地、間もなくファントムばばあの炒飯により殺される。

 来馬辰也、間もなくファントムばばあからとても美味しい炒飯を振る舞われる。

 槍バカと迅バカと三輪は出水と同じく焼肉からのボウリング。

 

「……結構、予定があるみたいです」

 

 約1名、逃げている男はいたもののそれぞれ予定があった。

 それが男女関係的な意味での浮いた話かと聞かれればまた別ではあるが、とにかく皆それなりに予定があることを知ると那須は若干だがイラッとする。具体的に言えばメガネ(兄)に対してである。くまちゃんの誘いを受けていればと怒りを溜める。

 割と暇そうな隊員がいないことにショックを受ける四人だったのだがその時作戦室がノックされる。誰だと思っていると自動ドアが開き、物凄く落ち込んでいる小佐野が入ってきた。

 

「ど、どうしたの?諏訪くんと堤くんが居なくて、寂しかったの?」

 

 どちらかと言えば明るい性格の小佐野が一生に一度見れるか見れないかの落ち込みっぷりで入ってきて焦るS村さん(独身)

 中に入れて、小南が持ってきたオレンジジュースを飲んで一服すると、更に表情が暗くなる。

 

「……つつみんは、加古さんの誕生日祝いに行ってる」

 

「え、ええ……加古さん、今日が誕生日なのは知ってて太刀川がなんかそれ用の動画を撮ってたわ」

 

「すわさんはレイジさんの応援をしてる……ひさと、はまだ早いからいいか。

とにかく、高校生以上で同じ部隊の人達は男がどうとか女がどうとかしているのに、しているのに私は今日なにをしているんだろうなって」

 

 小佐野ってこんなキャラだっけ?と我を忘れる一瞬が生まれる熊谷。

 話を聞く限りは小佐野もまた小南と同じクリボッチなのだがどうも小南とは違うようで、どちらかと言えばS村さんに近かった。

 

「もしかして……」

 

「三ヶ月前から予約してるバスツアーがあるから無理だって、断られた。

急に言われても予定たてられないだろうからって期末テスト終わって直ぐに誘ったんだけど、無理だった」

 

「断られたの!?誰よ、誰なの!?犬飼?それとも柿崎さん?」

 

 ボーダーの中でもモテる人と言えば、嵐山、奈良坂、綾辻、烏丸の四人だ。

 小佐野は元読モであり、綾辻の次にモテる。女子としてはNo.2のモテる女で、断られたことに小南は驚くのだが、那須と熊谷は断った人物に物凄く心当たりがある。

 

「あの、もしかしてそれってアレかしら。

今年の体育祭で何故か部活動対抗リレーに帰宅部として出場して、ボーダー組と陸上部を追い抜いて優勝した……あいつ?」

 

「うん」

 

「……意外な強敵登場ね、くまちゃん」

 

 この那須の一言をきっかけに、恋話が始まったりするのだがその前にと摘まめる物を増やすべく買い物に出掛けることにした。

 

「そういえば、迅さんは?」

 

「なんか朝から、リア充怖いって布団に引きこもってるわ。

とりまるもレイジさんもボスも触れるなって言ってたし、珍しく元気が無かったから皆でソッとしてるの……リア充が怖いって、あいつなにが怖いのかしら?辻ちゃんと違って、普通に女性と話せるのに……」

 

 実力派エリートこと迅のサイドエフェクトは未来視だ。

 確定した未来ならば数年先だろうがハッキリと見えて、不確定なら本当に少し先しか見えない。そして本日はクリスマス、クリスマスとはSOXであり、未来が見える迅には辛かったり辛くなかったりする日である。小南はリア充が怖い意味に気付かないのであったが、気付かなくていいんです。それが彼女のバ可愛いところなのですから。




メガネ(兄)「当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話!!」

メガネ(弟)「三雲兄弟の進行でお送りいたします……けど、米屋先輩達は」

メガネ(兄)「母さんが許可したとはいえ、人の部屋に不法侵入した愚か者はおしおきで一昔前に流行ったリズミカルなだけで面白いかどうかと言われれば別な一発屋芸能人の芸を纏めたDVDを見せている」

メガネ(弟)「おしおき、になるのかな?」

メガネ(兄)「面白いコントでも漫才でもない一発屋芸人の芸を永遠と見せられる、しかも一昔前でもうブームが過ぎている人達のを……もう苦痛でしかない。今回は前回予定していたボーダーのランクについてだ」

メガネ(弟)「ボーダーの隊員は大きく分けて三つあって、訓練生のC級、正隊員のB級、選りすぐりの精鋭のA級の3つです」

メガネ(兄)「具体的にどういう感じでC→B→Aに上がっていくんだ?」

メガネ(弟)「訓練生のC級はボーダーに入れば自動的になる。
正式入隊日前に幾つかの適正訓練なんかをして、各々の武器を決めるんだけど攻撃手、銃手、射手になる子は武器が一つしか入っていなくて出力の低い訓練用のトリガーを貰うんだ。そのトリガーには1000ポイント以上のポイントが入っていて、ランク戦……模擬戦でC級同士が戦って、ポイントを奪いあって4000を越えれば正隊員のB級になれるよ」

メガネ(兄)「デスゲーム、圧倒的なまでに仲間内での殺しあい、デスゲームだな」

メガネ(弟)「えっと……トリオン体で、機械に接続することで絶対にとは言わないけど基本的に死ななかったりするように作られてるから、デスゲームじゃないよ……因みにC級とB級が戦ってもポイントの変動は起きないよ。C級はC級と、B級以上の人達はB級以上の人達じゃないと、ポイントは変動しない」

メガネ(兄)「そうすると弱い者いじめとか起きるから当然か。
BからA級に上がるにはどうすれば良い?10000ポイント稼がないといけないのか?」

メガネ(弟)「BからAに昇格するのにポイントは関係無いよ。
ポイントは個人の強さを分かりやすく指し示すもので、CからBへの昇格は4000ぐらい稼げる、ある一定の強さを満たしているまで持たないとダメだって線引きだと思えば良いよ。
ポイントは個人の強さを現していて各ポジションと総合で順位付けされているんだ。全攻撃手兼全隊員兼全部隊で1位をとっている太刀川さん、射手1位で総合で2位の二宮さん、狙撃手1位で総合4位の当真さん、総合は不明だけど銃手1位の里見さん、その4人がボーダーの各ポジションのトップで、全員がA級上位陣またはA級にいたことがある人達なんだ」

メガネ(兄)「攻撃手4位の村上さんが12042ポイントで6位の生駒さんが11177で、これがトップクラスかと納得してからの太刀川さんの45961ポイントはインパクト強すぎた。今のボーダーが出来て直ぐに入隊した人だが数字おかしいだろう」

メガネ(弟)「太刀川さんは弧月二本で戦っているから、弧月のポイントが多めに」

メガネ(兄)「だとしても、45961はおかしい。
こうなるとニノさんとか当真さんのポイントが逆に気になる。あの人のポイント、公式早く教えてくれねえかな……」

メガネ(弟)「メタな事を言っちゃダメだ!!
オホン……B級に上がると、オペレーター+最大4人の隊を組むことが出来るようになって、隊同士でのチーム戦をするんだ。トリオンで作った本物そっくりのフィールドで、色々な隊員が大乱闘を繰り広げて、相手を一人倒すと一点、自分の部隊以外が試合終了時にいなかったら、生存点の二点が隊に入って、その点数で隊の順位を決めていくとても過酷な戦いでランク戦と呼ばれていて、隊の順位=隊としての強さになるんだ」

メガネ(兄)「順位を決める方法は分かったが……どうやってA級に?」

メガネ(弟)「B級1位と2位の隊はA級への昇格試験を受ける権利を手にいれることが出来て、そこに合格すればA級に、A級は討伐した近界民(トリオン兵)の数で給料に加えて固定給を貰うことが出来て、今あるトリガーを改造したり、1から新しいトリガーを作って貰ったりも出来るんだ。迅さんはトリガーを使う権限を利用して、エンジニアの人達と一緒にスコーピオンを生み出したんだ」

メガネ(兄)「ああ、そう」

メガネ(弟)「きょ、興味が薄いんだね」

メガネ(兄)「いや、向こうが変にジェラシー持ってたりしてアホなことするから苦手なだけだ。
体格とか背丈とか顔とか性格は嵐山という上位互換がいて、戦闘とかは私と迅は一種の相互換なんだが、日頃の行いが酷いせいか、私の方が上になってて……いざという時、私を修は頼りにしてくれるし、修のお兄さんならと遊真も頼ってくれるし、周りにいる年長者だと千佳も頼っててくれて、あ~お兄様辛いわ」

メガネ(弟)「兄さんと迅さんの間に、どんなことが……」

騙されアホガール「ただのブラコンよって、誰が騙されアホガールよ、変えなさい!!」

メガネ(兄)「小南、何処から……まさか、姉枠を狙いに来たのか!?最近流行りの、姉なるものもしくは姉を名乗る者枠を……いや、そのおっぱいじゃ無理か。姉なるものも姉名乗る者もデカいから、ちょっとBじゃ無理っすわ」

S級くぎゅう「言ったな!!言ってはならないことを言ったわね、アンタ!!そして、これも却下よ!!」

メガネ(弟)「えっと……次回もお楽しみに!」

メガネ(兄)「私に勝つなど100年早い。因みに、修は貧乳は死ねと思っているムチプリ派です」

お馬鹿(愛)の子「嘘、そんな……」

メガネ(弟)「いや、なにを言ってるの兄さん!?」

メガネ(兄)「おっと、違ったな。修は千佳のこ、うぎゃあああ!?」

メガネ(弟)「ち、千佳のメテオラが飛んできた……」

お馬鹿(愛)の子「あれが嘘ってことは、修はロリコ」

メガネ(弟)「違います!!兄さんが適当についた嘘です」

お馬鹿(愛)の子「なっ……騙したなぁああ!!ていうか、これも却下よ!!」

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯

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