メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第33話

 ただし別役、テメーはダメだと拒んだ翌日。

 早速、佐鳥が勉強の準備が出来たので図書館に来てくださいと言われた。

 

「コピー代請求……いや、自分ですると言ったからいいか」

 

「三雲さん、三雲さん」

 

「ん?」

 

 図書館に向かいながら数分前の出来事を思い出していると、京介が図書館の入口前の柱に身を隠すように隠れていた。

 もう殺意を抱くレベルで熱いのだから、図書館内のクーラーの効いた部屋で涼んでも文句を言わないのに律儀だなと思っていると手招きをしていた。

 何事かと近付いてみるとマスクとグラサンを装備している佐鳥が京介の影に隠れていた。

 

「なにをしている?」

 

「これでも、ボーダーの顔なんで……こういうプライベートな場所でワーキャ言われてSNSとかに上げられると困るんすよ!」

 

「アイドル気取りも大概にしろよ、三枚目!そういうのは隊長である嵐山さんの役目で、お前は小学生に呼び捨てにされる枠だ!」

 

「酷いっすよ!?」

 

 目を閉じて想像してみれば、佐鳥が如何に調子こいてるかが分かる。

 プライベートなのにワーキャ言われてしまう嵐山さん、近所の小学生に呼び捨てにされる佐鳥、なんの違和感も感じられない。

 

「時枝は?」

 

「あ、トイレに行ってます」

 

「じゃあ、先に中に入って勉強するぞ。この図書館の勉強できるスペース、19時までらしいからチンタラしてられない」

 

 姿が見えない時枝が何処かと分かると中に足を踏み入れようとするのだが、京介と佐鳥が顔を見合わせた。

 なんだと思っていると携帯を取り出してなにかに気づく二人。

 

「すみません、連絡するの忘れてました」

 

「?」

 

 京介が謝ってきたのでなんだと思っていると、マスクをつけた六頴館高校の女子生徒が近付いてきた。

 

「綾辻さんに頼んだら、割とあっさりと承諾してくれたんすよ!」

 

「…………それ、私要るか?」

 

 六頴館の頭良い奴を呼んでいるのならば、最初から私は必要無かった様な気がする。

 目頭を少し抑えてマスクで顔を隠している六頴館の女子生徒もとい綾辻に挨拶をする。

 

「……どういう感じで話が伝わっている?」

 

「勉強を見てくれる人かな?私は……って、知ってるよね」

 

「綾辻、だったか?」

 

「うん。君はボーダー内で色々と噂されている三雲くんだよね。よろしく」

 

「……どういう感じに噂されているんだ……」

 

 米屋達が裏でチラッといらんことをボーダー内で語っているのは知っている。

 そのせいで時折、ボーダーの人間だと間違われたりすることもあるのだが、私はボーダーは嫌いだ。

 

「え~っと」

 

「京介、答えなくて良い。それやると諸悪の根元を叩かないとどうしようもなくなるから」

 

「そうすか」

 

 割と長くなりそうなので、京介を黙らせると図書館内に入る私達。

 他所の中高大も間もなく試験なのか、テスト前勉強をしており何時もの馬鹿騒ぎしている教室とは真逆でシーンとしていた。それを見て、こういう空気は大事だなと空いている6人座れる長方形の縦長に席に座る。

 

「じゃあ、勉強を……古文、数学、地理、英語、現文、生物基礎を」

 

「佐鳥、ほぼ全部はダメだって」

 

「全部怪しいの!」

 

「喧しいぞ、佐鳥」

 

 椅子に座って早々に6つの教科を出してくる佐鳥。

 6つも怪しいのならば広報活動を多少自粛して、頭良い奴を教師につけろよと思うのだが無理か。

 

「えっと、じゃあどれから」

 

「まず、3人ともこれをやれ」

 

 6つも出してくることは予想外だったのか若干だが焦るものの、手をつけようとする綾辻。

 その前にとついさっきコンビニで印刷してきた用紙を時枝達に渡した。

 

「三雲さん、これって……」

 

 用紙に書かれている問題を見て目を見開く時枝。用紙に書かれている問題は期末で出てきそうな問題ばかりだった。

 

「去年の期末テストを偶然にも見つけたから、文章を少し弄くったり問題を一部変えたりして印刷してきた。

とりあえずはそれをやってみてノー勉で何処まで取れるのかを確認する。ある程度の点数が取れる教科は後回しで、赤点を取りそうな教科を優先的にして……60点を取れる様に勉強する」

 

「100点じゃ無いんすか?」

 

「100点を取る奴は日頃からコツコツと勉強している奴だ。

テスト前だからと勉強している奴とか成績の残念な奴は出来るだけ上の高得点を目指すのは間違いで、酷すぎないかといって良すぎない程よい点数をゴールとしておく」

 

 昨年の米屋関係で成績残念な奴をどうにかする方法はなんとなくだが分かっている。

 60点に疑問を持っていた京介が成る程と納得をすると数学から手をだし初めて問題を解答していく。

 

「うぅ……はじまって秒でテストなんて……」

 

「泣き言を言わないの。遅かれ早かれ、何回かはやるんだから」

 

 トホホと涙目の佐鳥の尻に蹴りを入れる勢いで止めを指しにいく時枝。

 一先ずはこれで時間が潰れるなとドイツ語検定準一級の本を取り出し、自分の勉強をするのだが綾辻視線を向けてくる。

 

「えっと……」

 

「佐鳥達がやっているテストの答え。

覚えにくかったり間違いやすい問題は×を、点数が取りやすい問題には○を、点数配分が多いが難しい問題には△を入れている。流石に三人纏めて教えるのは無理で、別々の教科になると手間が掛かるから出来そうなのを頼む」

 

「う、うん……わかったよ」

 

 (私、この勉強会に必要かな?)

 

 綾辻は自分が此処に居る意味はあるのかと疑問に思う。

 早速、教えようとしたら去年の期末テストが出て来て、教える立場の人はそれが終わるまで試験勉強かと思えばドイツ語の勉強でなんの力にもなれない。しかしまぁ、居て貰わないと困る。どう頑張っても二人までしか教えられず、英語に苦戦している佐鳥には二人分の労力が必要な気がする。

 

「三雲さん、ヒアリングの問題が配点高いですよね?」

 

「そこは禁断の裏技だから、やめておけ」

 

 ヒアリングの問題に目が行った佐鳥。

 授業でやっている所が昨年と同じなので、出る問題も殆ど同じだと気付いたのかヒアリング問題を事前に聞いておいて丸暗記してそこで点数を稼ごうとするので止める。今時ならば簡単にテストで使っているヒアリング問題用のCDは手に入るが、それは本当に手を出してはいけない。夏休みの宿題を買うぐらいにダメなことだ。

 釘を刺された佐鳥は昨年の期末テストを答えていくのだが、英語のテストのせいか単語の意味とかに空欄が多くて50点を越えなさそうな怪しい雰囲気を醸し出している。

 

「くっ」

 

「翻訳アプリが正しいとも限らないので日本に来た外国人に使ったりする。

体を動かす方を極めたのがプロのスポーツ選手で、それ以外の基準を決めるのに勉強がちょうど良いだけだ」

 

「まだなにも言ってませんけど!?」

 

「俺、日本人なのになんで英語を勉強してるんだろう。今は翻訳アプリとかあるじゃん。

それにどっちかと言えばオレは体育会系だし、高校の勉強とかってぶっちゃけ社会に出ても学者とかの専門職以外に役立たないじゃん……違うか?」

 

 佐鳥がいらんことを言う前に釘を指す。

 米屋と仁礼を経験しておけば、頭悪い組は簡単に封じることが出来る……あの二人より酷いのが……あ~一人だけ居たな。頑張れ、修。

 

「佐鳥、こういう時は考え方を変えろ。

高得点を最初から期待されておらず、60点付近を取りさえすれば良いだけなんだ。100点と言う険しいゴールから一気に下がって60点……進研■ミの私、点数低すぎと違って喧嘩を売ってないだろう」

 

「三雲くん、名指しはまずいよ」

 

「85点で点数低すぎは舐めてる。

一つの100点よりも多くの85点の方が褒められる……とにかく、ゴールがちゃんと存在していて尚且つ低い位置にあって、更に言えばゴールのその先は夏休みだ」

 

「夏休み……そうだ、夏休みだ!!」

 

「佐鳥、さっきから五月蝿いぞ」

 

「あ、ごめん」

 

 京介から怒られたので口を塞ぎ、テストに集中する佐鳥。

 そういえば、夏休みは何処に行くべきか?冬でも遊べる四塚市のプールは絶対に行かない。夏に行くのは疲れる。

 夏休みについて考えは纏まらず、何時も通りで良いかとドイツ語の勉強をし、一通りのテストをやり終えた佐鳥達のテストを確認する。

 何処が間違っていたのかをはっきりと指摘するべきなのか、自分で間違いだと気付かせるべきなのか考える。

 

「教えるのは、向いていないな」

 

 感覚とか理論とかそれ以前の問題で、私は教えるのが余り向いていない。

 どうすべきかと考えていると、時枝の間違いを上手に指摘して自力で答えを出せる様に綾辻が導いていた。上手だな。

 とりあえずは手本にして真似て、佐鳥と京介に教えるのだが佐鳥と京介だと地力が違うのか差がハッキリと出る。

 

「どうしたものか……」

 

 成績は落とすまいと自主的に勉強をしている京介と時枝は70~80目指そうぜ!と頑張れる。対して佐鳥は米屋や仁礼ほど絶望的でないとはいえ、かなり悪い。

 目標を50点に下げて、確実に点を取れるであろう問題だけに絞り込んだ方がいいのかと悩み、一息つくべくメガネを外して、メガネ拭きで拭く。

 

「……なんだ?」

 

「三雲さん、マジすか……」

 

 メガネを外した私に有り得ないものを見るような視線を向けてくる佐鳥。

 新年のボーダーの広報活動のお年玉企画の時にメガネを何度か外しているのを見たことある筈なのに驚いている。

 

「なんでコンタクトしないんですか!?」

 

「私のは伊達で度が入っていない」

 

「それ絶対に間違ったオシャレ!メガネ無しの方が3割増しでイケメンですよ!」

 

 人の顔について色々と言ってくるが、とにかく五月蝿い佐鳥。

 イケメンが3割増しと言われても顔じゃない系の女性も多数居るんだぞとその一例の綾辻をジッと見つめる。

 

「……」

 

「……っ……」

 

「あ」

 

 無言の私に見つめられるのが恥ずかしくなり、そっぽを向く綾辻。

 ほわほわとした雰囲気が一瞬にして醸し出されており、その空気を感じて読み取った京介は気付いてしまうがそれ以上掘り下げるとややこしくなるのでなにも言わない。

 

「佐鳥、ああだこうだ言っているが点を取れてるな。

現文に関してはそこまで酷くないからちょっと勉強しなくても、赤点はまずないな」

 

「よーっし!!夏休みが近付いてきた!」

 

 模擬テストが終わり、そこそこ勉強するとメキメキと頭角を表す佐鳥。

 元が低い分、伸び幅は大きいのだが声の方はもっと大きく時枝に脇腹をつつかれて黙らされる。

 

「夏休み、夏休みとテンションを上げまくるのは良いがお前等遊べるのか?」

 

 佐鳥や時枝達は広報活動を一手に引き受けている嵐山隊の一員で、夏休みともなれば物凄く忙しい。

 

「ああ、大丈夫です。

俺達広報の仕事が多かったりしますけど、その辺の調整はちゃんとしてくれてるので五連休を頂いてます」

 

 素朴な疑問に答えてくれたのは嬉しいが、時枝の言っていることが既に社会人のそれに近い。しかし本人は特に気にしていないのでなにも言えない。

 

「とっきー、夏休み何処に行く?」

 

「まだ期末すら受けてないんだから、早すぎるよ」

 

「いやいやいや、こう言うのは早くしないと。夏休みシーズンは何処もかしこも混むんだからさ」

 

 勉強そっちのけで夏休みの予定を立てる佐鳥。気が早いどころか、遅い。既にUSJとか東京ビックサイト付近のホテルは抑えられている。

 注意しようかと思ったが、一休みの為にと声量を小さくしろよと一言だけ入れて続けさせる。

 

「でも、折角の夏休みだし何処かに遊びに行きたいよね」

 

「プール、四塚市のマリンワールドに行きたいっす!

彼処は室内プールがあるから、雨が降ろうが遊べますし電車で行ける距離でそこまでお金も掛かりません!」

 

「がっつきすぎだぞ、お前」

 

 割とノリノリの綾辻に食いついた佐鳥は欲望を丸出しにする。京介はそんな佐鳥に呆れる。夏休みにレジャー施設、しかもプールに行くだなんて死にに行くようなものだ。彼処は冬の季節が空いていて遊べるんだぞ。

 

「三雲さんもプール、どうっすか?」

 

「私は家に引きこもってゴロゴロしてるのが一番だ」

 

 私にも意見やらなんやら求めてくるので、ハッキリと引きこもり宣言を出す。

 

「え~せっかくの夏休みなんですから、遊びましょうよ!」

 

「言っとくが、お前達と遊ぶ予定が無いだけで色々とやることはあるからな。

北添さんと一緒にバイクの免許合宿に行ったり、米屋達とリアルプロゴルファー猿選手権したり、バスツアーで信玄餅の詰め放題をしたり、ぶどう狩ったり、割と忙しい」

 

 特に米屋達とのリアルプロゴルファー猿選手権が一番忙しい。負けたら、食べ放題の焼き肉を奢らなければならないから変なゴルフクラブを作れない。結構ガチ目なのを作らなければ負ける。

 

「引きこもりとか言ってる割には滅茶苦茶外に出てるじゃないですか。バイクって完全にアウトドアでしょ」

 

「いや、バイクの免許は今後に関わるから本当に取らないとダメなんだ。

盗んだバイクで走り出すリアル15の夜どころか13の夜をやってしまって、本当に必要なんだ」

 

 転生特典の一つ、と言うかベルトの付属品なのかセットでバイク(サクラハリケーン)がついてきている。

 はじめて乗った時は近界民が襲撃してきたから仕方なくで乗ったが、無免許で乗ったのは本当にまずい。運転の仕方が分からなくてビビったぞ。

 

「三雲くん、バイク盗んだの!?」

 

「四年前に近界民がこっちの世界にやって来た際にちょうど今のボーダー本部がある辺りに出掛けてて、近界民を見て走っても無理だと思ったから乗ってった」

 

 尾崎ゆたかよりも15の夜的なのを過ごしている私に綾辻は驚くのでとりあえずの説明をする。

 変身したとかトリガー拾ったとかそんな事は言っていないが、嘘はなに一つ言っていない。あの日以降は一度もバイクには乗ってないのだから。

 

「……三雲さん、夏休み何処かに行きません?」

 

 はじめてバイクに乗った日について教えると静まり返る場。

 空気を読んだのか場を和ませようと時枝は遊びの誘いをしてくれるのだが、そんな暇はあったのだろうかとスケジュール張を取り出してカレンダーの部分を確認する。

 

「夏休み開始から約二週間は教習所。

そこからゴルフクラブを作ってリアルプロゴルファー猿選手権で…変なところでなにもない日があったりで、三連休が一回だけだな」

 

「あ、この日、休みですよ」

 

「……遊びに行くとして、どうするんだ?

プールとか海とか行ってみろ。佐鳥が小中学生に呼び捨てにされる未来しか待っていないぞ」

 

「あ、それだったらこう言うのはどうかな?」

 

 徐々に徐々に詰みに向かっていく私の三連休。

 ボーダーの顔と一緒にいるとややこしくなるからパスとするのだが、綾辻が潰した。

 値段が安くて近くに薬局とコンビニが存在して、料金を追加すればバーベキューとかも出来るプライベートビーチ付きの海に近い民宿があると携帯を見せる。

 

「こう言うのは誰か二十歳越えの引率者が必要になるだろう。

というよりは、プライベートビーチ……野郎だけで行って楽しいのか?」

 

「え、私も行くつもりだよ?」

 

「……むしろダメだろう」

 

 話の流れ的に佐鳥と時枝と京介は普通に来てくれる。そこに引率者(♂)で私を足せば男子5人。

 対して女子は綾辻1人になると空気が重い。この面子ならば問題は無さそうだが、なにかしらありそうで怖い。

 

「まぁ、保護者の人が反対しそうですよね」

 

「じゃあ、他の人も誘いましょうよ!熊谷先輩とか国近先輩とか!三雲さんとも仲が良いですし、海で遊ぶとなったら水着に……」

 

 そこまでにしておけよ、佐鳥。

 明らかに水着を見たい人を見る価値がある人を的確にチョイスし、想像する。今先輩とかをチョイスしないのは絶対にわざとだ。

 この後も勉強をそっちのけで海に遊びに行く話は進んでいき、予算や向こうで何をするのか的確に組み立てていく。

 

「去年は真っ白だったのに、今年は真っ黒になったな……」

 

 閉館時間になった時にはボーダーの人達と海に遊びに行く予定の8割が完成していた。




メガネ(弟)「当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話!!」

メガネ(兄)「本日はトリオン兵について説明をするぞ!」

メガネ(弟)「それって説明して良いことなのかな……」

メガネ(兄)「画面の向こうにいる人に説明をするから問題ないだろう」

メガネ(弟)「あ、危ない発言はちょっと」冷や汗タラー

メガネ(兄)「それを気にしちゃ、このコーナーは出来ない」

メガネ(弟)「分かったよ。じゃあ……トリオン兵は、その名の通りトリオンで出来た兵士。
日頃、ボーダー隊員が戦って撃退しているのはこのトリオン兵で、世間では近界民=トリオン兵と認知されているんだ!」

メガネ(兄)「要するに日頃から襲撃してくるのがロボットで、それを作ってる人が近界民だな」

メガネ(弟)「大体そんな感じかな。
トリオン兵には色々な形があり、状況や使用用途によって使い分けてる。
先ずはバムスター。四足歩行で亀っぽいなんとも言えない見た目をしていて人を捕獲することに使用されている。基本的に近界民は僕達の世界を支配して植民地にする事はせずトリオン量が豊富な人達を拐う為なのか三門市によく現れるんだ」

メガネ(兄)「特徴らしい特徴は?」

メガネ(弟)「えっと……戦闘用じゃなくて捕獲用のトリオン兵だから攻撃力は低くく、装甲が硬い、かな?
他と比べてで、B級以上のちゃんとした隊員なら割と簡単に倒せるトリオン兵で、ボーダー本部が出来てからはバムスターに拐われた話は聞いたこと無いよ」

メガネ(兄)「トリガー持ってない人に使うトリオン兵……こっちの世界だと、10体ぐらいで街を壊滅出来る。トリガーじゃないと倒せないから、旧ボーダーがなければ此方の世界が植民地になってた可能性があるかもしれない……恐ろしいな」

メガネ(弟)「次は、モールモッド。
これは相手を排除する戦闘用のトリオン兵で、自動車ぐらいの大きさをしていて、バムスターよりも遥かに硬くて尚且つ早いんだ。
フナムシの様な見た目で、弱点は真正面にある大きな目玉。そこに一太刀を入れれば倒すことは出来るけど、そこまでが困難だけどある程度の実力があるボーダー隊員なら簡単に倒せる……僕はそのある程度じゃなくて、訓練で何度も何度も苦戦したり敗北したりしたよ」

メガネ(兄)「訓練で負けることは恥じるな。
今はもう何度やっても勝てるぐらいには強くなっているし、自分の型を見つけたんだろ?」

メガネ(弟)「兄さん……」

メガネ(兄)「お前の強さは心にある。それだけは薄っぺらい人間の私が一生かけても手に入れる事は出来ないものだ」

メガネ(弟)「でも……空閑やヒュース達に頼ってやっと前に進めるんじゃダメだと思うんだ。
兄さんみたいに、迅さんのサイドエフェクトを封じる技を開発したり、自分のサイドエフェクトで真っ向から撃ち破る強さが何処かで必要になる。このままだと、僕が足手まといになって」

メガネ(兄)「考え方を変えるんだ。時には後ろや下を見ろ。
トリオン量が低くて体を動かすのが苦手なお前が仲間達と連携をすれば元A級やB上位陣とまともに戦える様になる。戦い方を一つ変えるだけで大物喰いが出来るならばボーダーに入隊出来るギリギリのトリオン量の人達の希望にだってなる」

メガネ(弟)「後輩達の希望……」

メガネ(兄)「何気にお前の歩んでいる道は苦難の道だ。
サポートに長け、隙あらば自分で点を取ろうとするが個としては弱い。だが、仲間の力を借りて支え合えば大きく化ける。そう言うのは化ければとんでもない者になる時もあれば、そうでない時もある……黒子のバスケの黒子テツヤがある意味、修が歩んでいる道の極致かもしれないな」

メガネ(弟)「そこは、黛さんじゃないんだ……」

メガネ(兄)「そこは甘やかすつもりはない……え?」

メガネ(弟)「もう時間が無いんですか?……分かりました」

メガネ(兄)「持っていたバイク(サクラハリケーン)が車検に通ったことに驚愕する貴虎は海で遊ぶ為にと新しい水着を買いにショッピングモールへと向かう。次回、ワールドトリガー!【貴虎の夏休み】にトリガー、オン!」

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯

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