メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第45話

「……」

 

「あの、スーツ似合ってます」

 

「やめてくれ。余計に傷つく」

 

 家でゴロゴロとしていると雨取(母)さんからの電話があり、千佳の事について色々と話したいことがあると聞いた。

 最初は遂に来たのかその日がと小さくガッツポーズをしていた母さんだったがボーダーの書類にサインをして貰う説得が今日だからその事についてだと修が話すと小さく落ち込んだ。

 

「修くんは分かるけど、なんで貴虎くんまで?」

 

「下の名前はやめてくれ、三雲でいい。

千佳のボーダー入隊とかの事で色々と話があると電話が掛かってきて、修が呼び出されてついでだからお前も行けと母さんに尻を蹴られた」

 

「叩かれたじゃないんだ……」

 

 千佳の事に関しては修だけで良いんじゃないかと色々と言った。

 それでも貴方が行った方がもっと良いことになるから、とっとと行けとスーツに着替えさせられて向かって……例によって間違えられた。

 

「私が居ない方が話がスムーズに進むと思うんだが、邪魔なら出るぞ?」

 

「居てください」

 

「例によって余計な事を言うかもしれないぞ?」

 

「多分、それは言ってくれた方が良いことだと思います」

 

 この場での部外者は言うまでもなく私だ。

 おばさん達を説得するには色々と言わないとならない。トリオンとかはボーダーのスポンサーとか三門市のお偉いさんとか極々一部のボーダー外の人達も知っている。なんならトリオンに関する研究をしている大学院もある。

 ある程度はバラしても問題はないのだろうが千佳は普通のボーダー隊員になるんじゃない。ボーダー側が守らないといけない存在で、遠征を目指そうとしている。そうなるとその辺に関しての説明もある。

 

「私も同席してよろしいでしょうか?」

 

「おう、構わねえぞ」

 

 林藤支部長の許可も貰い、この場に相席させて貰う。

 既に色々と話したのかは知らないが林藤支部長はあっさりと承諾したんだが、どうもなにか考えている。

 

「修くん」

 

「は、はい」

 

 なにを考えているのか分からないが別の事は分かる。

 おばさんが物凄くピリピリとしており、怒りの矛先を修や私に向けていることを。怒っている理由は言うまでもない。

 

「千佳を誑かしたの?」

 

「え?」

 

 千佳のことである。

 

「修くんなら安心だと思っていたのに、ボーダーに誘うだなんて……」

 

「待って、お母さん!!修くんは」

 

「千佳、これは修くんの問題なんだ。

修くん、君がボーダーに入ったことについて私はとやかく言うつもりはない。だが、千佳まで入る必要は無いはずだ。

千佳が近界民に狙われていて、これからも狙われる可能性があると林藤さんから聞いた……君が千佳を守りきれるのか?」

 

「なんか話が脱線してる気がするんだが」

 

「ボス、静かにして。多分、良いところだから」

 

 うちの娘を誑かしてと怒り、修の評価を下げているおばさんとおじさん。

 話の方向がなんかズレている事を林藤支部長は感じるのだが宇佐美は良いものが見れると黙らせる。

 

「千佳は、ボーダーには頼らない。自分で抱え込んでしまっていて、兄の麟児はいない。頼れるのは君だけだ」

 

「お前、省かれてるぞ」

 

「あ、そういう感じのじゃなくて私は私で守らないといけない方がいますので自動的に省かれているんです」

 

 話の方向がズレているものの千佳の入隊には反対な二人。

 お前も男だったら先に生まれたのならば自らの意思でボーダーに入ったのならばうちの娘を守り抜けと言ってくる。言っていることは特になんの間違いもないのだが言っている人(両親)と言っている場所(千佳の家)だけに別の意味に聞こえており、千佳もそれを感じはじめているのか顔を真っ赤にしている。

 

「修、これはもう責任を取るしか無いんじゃないか?」

 

「な、なにを言うんだよ!?」

 

「顔を真っ赤にして慌てるな。千佳、恥ずかしいからって摘まむな」

 

 少しだけ煽ると無言で睨んでくる千佳。

 これは弄くりすぎると後に色々と弄くられると真面目に話を進める。

 

「千佳、お前はなんの為にボーダーに入る?」

 

「それは……」

 

「そこをハッキリとこの場で言わないと、ダメだろう。

宇佐美や支部長を連れてきて説得を手伝って貰うのは悪くはないが、それはお前の本気を見せるものだ。お前の本気はもう見せ終わっているんだから……お前の気持ちを伝えろ」

 

「……はい」

 

 浮わついた空気をかき消し、緊張が走る静かな空気を作り出すと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる千佳。

 

「ボーダーに入って兄さんを、友達を探したい。

本当に1%でも見つけることが出来るなら、探したい。もう、なにもせずにジッとしていられない」

 

 自衛の為?近界民に立ち向かう為?違う。兄と友達のため。

 千佳がボーダーに入りたい理由はそこであり危険を冒してでも麟児さんを見つけ出したいと意思を見せた。それを見て二人は無言となり、色々と考える。

 麟児さんの一件もあるのでやっぱり反対だという親としての感情はとても大きく、これから先、近界民に狙われる可能性があるならばと色々と考えていて悩みに悩んでいる。

 私のサイドエフェクトでは本当にやめてほしいと心から心配して渋々の妥協に近い形で最終的に折れると言っている。原作でも何だかんだで入っていたしその未来は確定だろう。

 

「麟児さんと友達を探す、ね」

 

「修くんと遊真くんと一緒に、遠征を目指します」

 

「そうか……それ確実に言ってはいけないことだ」

 

「え……あ!?」

 

 さも当たり前の様に遠征について語る千佳。

 色々と事情を知ってる私だからかすんなりと話してしまっているのだが、遠征はボーダーの極秘情報で喋ってはいけない。

 いずれは千佳も遠征に行くし修も行くのならば、親とかに言うことになるし私もなんやかんやで知ることになるのだろうが、少なくとも今は言ってはいけない。

 

「遠征?どういう事ですか?」

 

「え~これは極秘情報なので内密に願いたいのですが、ボーダーは近界民の世界に行く方法を模索しており、この数年で段々と近界民の世界に行く目処がですね」

 

「おっさん、そういう感じで惚けたいんなら惚けても良いが……最終的にはちゃんと正直に話してくれるんだろうな?」

 

 近界民の世界に行ける方法を模索していると嘘をつくので先に潰す。

 今回は嘘だということで通してやるが後々正直に話せと遠回しにいうと黙ってしまう支部長。宇佐美はそれを見て修の顔を見るのだが修は首を横に振った。

 

「兄さんは、ノーヒントで誰かに教えて貰わなくて気付いています」

 

「と言うよりは、こんな時期に出水や当真先輩が居ないのがおかしいだろう。

この前の近界民と言う名のロボットの大量駆除、下手をしたら死者が出るのを分かっていてリスクを承知の上でああいう事をしたのにも関わらず出水達は居なかった」

 

「……お前、何処まで知っているんだ?」

 

「知ってるんじゃなくて、考えているんです。

メディアに色々と情報操作をしてますが学校という最前線に居ますので、誤魔化すことが出来ない事実を色々と見ることが出来るんで」

 

 原作知識こそあれども、それ以外でも出水達が遠征に行ってるんじゃないのか?そう思える所はある。

 この前のラッドの一件なんて特にそれである。アレだけの騒ぎだというのに上位陣を全くといって見ていない。学校に居なければそれは分からないことだ。

 ある意味最前線にいるんだと説明をすると林藤支部長の電磁波に乱れを感じる。私の言っている事にそこそこ動揺しているが、納得をしている。

 

「じゃあ、何処まで考えてるんだ?」

 

「今は千佳の説得の話ですから、言う義理は無いです。

こういうのは何処かで誰かが汚れ役をしないといけないから私が汚れ役をするが、覚悟は出来ているのか?」

 

 話題が大きく変わろうとしたので、話を元に戻す。

 遠征の事が話題に出たのでさっきまでは折れかかった雨取両親はやっぱりボーダーにはと躊躇いを持っており、私は修正と汚れ役を買ってでる。

 

「向こうの世界に行って、兄さん達を探します。

見つからない可能性が大きくても、危険な事だと分かっていても、それでも1%でも見つかる可能性があるなら行きたいです」

 

「それは分かっている」

 

「え?」

 

「私が聞いたのは、見つけたとしてもその手を伸ばしても掴んで貰えない可能性は覚悟してるか?」

 

「掴んで貰えない?」

 

 かつて麟児さんにも言った事を言う。

 既に大人だった麟児さんはともかく拐われた友達は今生きているのならば、千佳と同年代である。ボーダーが表に出る前に拐われている。

 単純計算で最低でも5年以上は向こうの世界で過ごしていて、なにもかも、それこそ価値観の1つも変わっているかもしれない。日本の自分の家で過ごすべき時間を過ごしていない。変わってしまった友達を受け入れる覚悟があるのか?友達を助けようと必死になって伸ばした手を掴んで貰うどころか拒まれる可能性だってある。

 国が一つ違えば価値観は大きく変わる。日本で犬や兎と言われれば大抵は愛玩動物と考えるが、国によっては兎や犬は食材、食べるものと考える国がある。虫を食べる国だってある。

 

「四年前に拐われた人達もそうだ。

見つけ出すことが出来ても、変わり果ててしまっていたのならば受け入れられるのか?向こうの世界が危険で、拐われた人間同士が殺しあいをしていて、人を殺したとしてもなんとも思わなかったり、人殺しの自分はもう帰らないとか言う可能性だってあるぞ」

 

 頑張って探そうと、危険なのは分かっていてもと一筋の希望に向かって必死になっている千佳に絶望を全力で与える。

 向こうの世界にいって友達を見つけることに前向きで、過去に拐われた人が見つかった前例が無い為にそう言うこともあると言われていないのかその事を想像し徐々に徐々に顔色を悪くする千佳。

 

「その辺についてはどうするつもりなんですか?

ボーダー側としても向こうの世界がどんな感じなのか世間にゲロられると困るだろうし、最初の内は管理下に置いたりしますよね?」

 

「どうだろうな?そういうのはオレの担当じゃないから分からない」

 

 あくまでも支部長でありメディア対策とか営業とかとは違う林藤支部長。嘘の答えは出すことができず、分からないと曖昧な事を言うと千佳は俯いてしまう。

 

「三雲くん、千佳ちゃんは必死になって探そうと頑張ろうとしているのに、なんで」

 

「だからに決まっているだろう」

 

 今こうして誰かが先にこういったことを言っておかないといけない。

 宇佐美は私の事を批難するが、私はそういうことを思われたり言われたりするのを覚悟の上でそういっている。

 

「必死になって伸ばした手を拒まれれば最後、千佳は立ち直れないかもしれない。

変わり果てた姿を見て、変わらせた原因が分かって受け入れることが出来ずに自分のせいでああなったと自分を責め続ける」

 

「……ぅ……」

 

「千佳!?」

 

 拒まれた自分を想像し、罪悪感に耐えきれなくなったのかお腹と口を押さえる千佳。

 そのまま立ち上がりトイレへと駆け込んでいき千佳は嘔吐し、宇佐美はそんな千佳に声をかける。

 

「千佳ちゃん、大丈夫!?」

 

「大、丈夫です」

 

「何処が?顔、真っ青だよ!」

 

 吐き出すものを一気に吐き出し、もう吐くものが無いのかふらふらとしながらも立ち上がる千佳。

 戻ろうとするのだが、顔色は真っ青で宇佐美は駆け寄り行かなくて良いと言おうとするのだが千佳は宇佐美の手を拒んだ。

 

「いか、ないと」

 

「行かなくて良いよ。

千佳ちゃんの気持ちはご両親にも伝わっているし、支部長も私も、それに修くんだって」

 

「千佳……まだまだ辛いかもしれないが、最後まで居れるか?」

 

「修くん!?」

 

 行こうとする千佳を宇佐美は止めようとするも立ち止まらない。それどころか修が手を貸して千佳を歩きやすくして戻ろうとする。

 

「ダメだよ。戻ったら、三雲くんが」

 

「言いますよ、きっと」

 

「だったら」

 

「見ないと、ダメなんです……」

 

 私が色々と余計な事を言う。

 それを見るのを耐えられない宇佐美は止めるが修も千佳もそんな事は百も承知だった。

 

「貴虎さんが言ってることは、間違ってはいないんです」

 

「正しい間違いの問題じゃないんだよ!?」

 

「でも、事実は変わりません。私、なんとなく分かる、いえ、もう知ってるんだと思います」

 

「知っている?なにを知ってるの?」

 

 少し前、と言うよりは遊真と出会った日の、近界民と言われたり自身が狙われる原因が分かったりボーダーが遠征だなんだとあった物凄いまでに濃い1日。その中でも物凄く薄く本当に些細な事があった。

 四塚市に逃亡するべく公共交通機関を使い逃亡した際にお金を使った。電車の切符の買い方を遊真は知らず、それを修が教えており、10000円で切符を買った時に小銭と千円札のお釣りが出てきて増えたと喜ぶ。

 増えたんじゃないんだよと説明をした。そうなのかと分かっても増えたと思っているのか喜んでいる遊真の姿は微笑ましかったのだが、ついさっきの言葉で絶望に切り替わる。

 日本語が読めなかったりするものの決してバカではない。遊真はちゃんとしっかりとしている。それでも小銭についてよく分かっていなかった。紙幣についても価値についてもイマイチだった。

 海外から来た人と深く交流があるわけではないものの、それは異質である。千佳は別にそれを理由に差別だどうのこうのとはしないが異質であることはわかっていた。

 

「宇佐美先輩、実は……」

 

 遊真が学校にやって来た日、今は一歩ずつ此方の世界に馴れようとはしているがその時は今までの環境基準でやっていた。やられたら倍返しでやり返したりとか、信号は赤ならば渡ってはいけないとか、何処かが自分達とズレていた。

 

「でも、遊真くんは近界の世界に居たからで、遊真くんはこっちの世界に馴れようとしてるよ。だったら、変わることだって」

 

「……できない可能性だって、あります」

 

 ブルブルと震えながらも前に進もうとする千佳の手を掴んで止める宇佐美。

 止められた千佳は少し深呼吸をするが震えは止まらない。だが、それでも前に進もうと昔を話し始める。

 

「小学生の頃、トリオン兵に追いかけられた事があって、その時はまだボーダーがいなくて、周りも……お父さんもお母さんも信じてくれなかった」

 

「千佳ちゃん?」

 

「でも、一人だけ青葉ちゃんって子が信じてくれて……青葉ちゃんは行方不明になりました」

 

「それって」

 

「多分、近界民です……私と居たから、青葉ちゃんは拐われたんです」

 

「違うよ。それは違う。今でこそ鬼怒田さんが開発してくれた門誘導装置で門を誘導しているけど、四年前のあの日よりも前の日に拐われたのは誰かが悪いなんてない。もし悪いのが居るなら、こっちの世界に侵略してくる近界民だよ!」

 

「私が、原因なんです。

拐われて、青葉ちゃんが居なくなって周りの人達が信じ始めて、ボーダーが出て来て、今までのが少しだけ分かって、青葉ちゃんが拐われたのは私が原因だって……近界民の世界の遠征は何処に行けるか分かりません。やっとの思いで青葉ちゃんや兄さんが見つかって、変わっていたら、お前のせいで拐われたって言われたら……貴虎さんの言葉でその事が頭に過りました。そしたら気持ち悪くなって、吐いたんです」

 

「千佳ちゃん、それは普通のことだよ!誰だって責められれば怖いし、変わってしまった友達を見るのは辛いことだよ!私だって辛い!」

 

「違うんです……」

 

「なにが違うの?」

 

「私、兄さんと青葉ちゃんがどれだけ変わっても兄さんと青葉ちゃんだって言い切れるんです。

私の事を信じてくれた青葉ちゃんもずっと私の事を思ってくれた兄さんも、どんなに変わってても手を伸ばしたい。でも、お前のせいでこうなったと言われたくない。その2つが混ざりあって、足が震えるんです。責められたくない、責めないでって。私、自分の事しか考えてないんです」

 

 自分の昔の事を語り、変わってしまった兄や友達に手を伸ばす覚悟こそあれども変わってしまった兄達にお前のせいだと責められたくない、誰かを傷つけた事を責められることが怖い。

 それは当たり前の感情である。

 

「千佳ちゃんは自責の念が強すぎるよ!

そんなに自分を悪者にしなくていい。千佳ちゃんが悪いのなら殆どの人が悪━━」

 

「本当なら、青葉ちゃんは私と同じクラスで一緒になって勉強をしていたかもしれない。本当なら、青葉ちゃんはボーダー隊員になってたかもしれない。本当なら、兄さんは大学に通いながら修くんの家庭教師をしていたかもしれない。本当なら、兄さんもこの場に居たかもしれない。 私が二人の時間を奪ったことは変わらないんです。二人の時間が失われたことには変わりないんです」

 

「っ……」

 

 目から徐々に生気がなくなっていく千佳に、そうじゃないと言葉を掛け続けたがどうすることも出来ない宇佐美。

 修を頼ろうと顔を見るのだが、修は千佳の顔を見ているだけでそうじゃないという言葉はかけない。

 

「此処で逃げれば、麟児さん達を見れなくなる。麟児さんだけじゃない。過去に拐われた人達も見れなくなる」

 

「……うん」

 

「どうしても、行くんだね?」

 

「今、此処で逃げたら私、これから先、一生逃げ続けるだけになると思います」

 

 まだなにもはじまっていない。これから先、辛いことが待ち受けている。

 何処ぞの実力派エリートは未来は明るいと言っているが私はその真逆であり未来は暗くて絶望的だと教えた。

 

「でも、なんで今言うんだろう……千佳ちゃんがボーダーに入りたいって言う話なのに、三雲くんは千佳ちゃんがボーダーに入る事は反対なの?」

 

「違うと思います」

 

「どういうこと?」

 

 意味が分からない宇佐美は部屋に戻らず、修達と一緒に部屋前で聞き耳を立てることに。

 

「お前さ、未来に向かって走ろうとしてる奴等を追い込むか?」

 

 一方、その頃私は林藤支部長に物凄く睨まれている。

 後もう少しで両親に許可を貰えたのに貰えなくなったからというわけでなく、大人として私に怒っている。

 希望を持ち前に進もうとしている千佳を叩き折りに来たことは許されないことだろう。

 

「その未来が絶望だったら話にならない」

 

「0だとも言えないだろ」

 

「きっと宇佐美はなんであんな事を言っていたんだと激怒する。嫌われて当然の最低な事を言ってますし、もしその未来が来なくて恨まれても憎まれても当然の事をした自覚はありますよ。出来れば嫌われる未来が来て欲しい……聞くなら今しか無いだろうから聞きますが、ボーダーが千佳を見つけたんですか?修がボーダーに千佳を連れてきたんですか?」

 

 憎まれる事を覚悟していると言った後、確かめたい事があるので聞いた。

 

「どっちも同じ意味……じゃ、ないよな」

 

「修がボーダーに連れていったとボーダーが千佳を見つけた。連れていったと見つけたじゃ全然意味が違います。意味を理解していて、即答しないのは修が千佳をボーダーに連れていったのと捉えますね。」

 

 修は既にボーダー隊員。ボーダー隊員の修が千佳を見つけたのもあながち間違いではない。だが、そうは聞いていない。

 京介が佐鳥が村上さんが見つけたのか、既に知っていた修が連れて来たのかでは大きく変わる。

 

「千佳は、ボーダーが表に出る前から近界民に襲われていました。

その時にどうして助けてくれなかったなんて言いません。それを言えるのは千佳だけで、他は誰も言えません。

ただ、今回の一件、その事について知っている修がボーダーに連れてきたのとその事について知ったボーダー隊員がボーダーに連れていったのでは話が変わります。

千佳が近界民に狙われる原因を知っていて、それが放置出来ないことで、宇佐美の様にオペレーターをしている、言い方はアレですが平隊員でなく、支部長がわざわざご両親にボーダーに来てくださいと頭を下げに来ています。

林藤支部長、ボーダーにはスカウト組と呼ばれる人達が居ますよね?村上さんや別役、国近先輩。スカウトされている人達には本当に申し訳ないんですが、それよりもボーダーはこの街に居る近界民に狙われる原因を持った人達をどうにかしようとしないんですか?

私は中学は蓮乃辺市の中学を受験していましたから、ちゃんと見てはいないですが、あの大きな本部が出来て、ボーダー隊員が段々と増えている今も近界民に狙われる原因を持つ子供を探そうとしてません。

この前の修擬きがそこかしこにいた近界民の一斉駆除、聞けば修と千佳の通っているボーダー隊員が一人もいない中学にもいて危うくイレギュラーな門が開きそうになったらしいじゃないですか。もしかすると千佳を狙って開こうとしたんじゃないんですか?イレギュラー門が開く前になんとか出来ましたが、ボーダー側はその辺の調査を怠っています。その辺についてはなにか話し合ってるんですか?」

 

 これから先、ボーダーの偉い人と何度も会う機会がある。

 こうして色々と言えるのはきっとこれが最初で最後で、ガキみたいな考えだと言われようが言い切り返事を聞こうとするも答えない支部長。私は預金通帳を取り出して支部長の前に置いた。

 

「おいおい、なんだこりゃあ?」

 

 通帳の中身を見て驚く支部長。

 10桁にこそ届きはしなかったが9桁の額が入っているもので、どうして私がこの額を持っているのか聞いてきた。

 

「ある人から、火種を貰ったんです。

それを元手に株とかFXとか色々とやって、なんとかそこまで漕ぎ着けた。今、貴方が即座にボーダー側は調べようとしているのを見て、一応見せておこうかなと……返してください」

 

「ん?出資するんじゃないのか?」

 

 話の流れ的に出資するから調査しろと言うものだと思っていた支部長。

 後もうちょっと頑張れば9じゃなくて10桁になると私のサイドエフェクトが言っているのでまだ出さない。それにこれはそういうお金じゃない。

 

「これは第二、第三の千佳を見つけ出してなんらかのフォローをする為の、千佳や修達が連れて帰る過去に拐われた人達が、こっちの世界で生きることができる様にする為のお金なんですよ。これだけじゃ足りない。あのタヌキみたいな開発室長のおっさんになんでしなかったとか言えば、材料とか資金が無いんだ!と言われそうだから10桁まで貯める」

 

「……色々と、考えてるんだなお前」

 

「こういうことしかしてないだけですよ。

その内、それこそ修達が向こうの世界に行く事が決まったりしたら出しますので、その時はなにかと条件を付けて出資します。拐われてしまった人達の勉強を教える教師をこの人にして欲しいとか言ったり……とにかく、その調査とかに関しては上の人とかキツネとタヌキのおっさんに言ってくださいよ。調査とかに資金が必要なら今の時点だと3億ぐらいまでなら出せますので」

 

 私に感心をしてる暇があるならば、調査について進言しろ。里見と並べても見た目が変わらないどころか兄弟に……いや、やっぱ里見の方が老けて見えるな。このおっさん、三十路過ぎてるし。

 

「……千佳、入るなら戻るなら早くしてくれ」

 

 私が言いたいことと聞きたいことは色々と分かった。

 少し前から千佳や修がコッソリとこちらを覗いたり聞き耳を立てたりしているのでバトンタッチだと呼び出すと入ってくる千佳達。

 

「貴虎さん、教師にしたい人って、火種をくれた人って」

 

「それを知りたいのなら、本人に聞けばいい」

 

 火種となる金を渡したのは、教師にしたい人だと頭に浮かべる千佳。

 千佳の元に向かった時には私に対して怒りを向けていた宇佐美は誰なんだとこの状況に少し困惑していた。

 

「三雲くん、狙ってた?」

 

「いや……そもそも此処に来る予定は無かったから、狙うもなにもない」

 

 千佳に覚悟を決めさせる。第二、第三の千佳を見つけ出せるようにする。千佳の友達を見つけて帰れる場所にする。直接的な手は貸さないが千佳の力になることを遠回しにしている。

 宇佐美はそれを狙って、そうなると分かっていてそれを伝えるべくこの場にやって来たのかを聞くのだが、それはない。少し前までなんやかんやで上手く行くのは知っているだろうし、行かなくても良いと思ってたのだから。母さんに行ってこいと言われてなければこの場には居なかった。こんな事になると母さんが考えていたから、行かせた……あの人、サイドエフェクトかなんか持ってるのだろうか?

 母さんの掌の上で踊らされていると感じながらも、千佳の説得を見届ける。千佳は責められる事を想像し怖がっているがそれでも入りたいと言う。そんな千佳の姿を見て折れる雨取両親。

 

「それで。お前、ボーダーに入らないか?」

 

 その後、林藤支部長からスカウトっぽいのがあった。

 

「私の通っている高校はボーダー提携の三門第一です。

出水、熊谷、三輪の様にこの町出身もいれば国近先輩や別役の様に外部からのスカウト組も居ます……最初の調査はそれ以外の生徒でと言うことでどうですか?」

 

 なので、スカウトする場所を作れと言った。

 

「抜け目ねえな、お前。迅みたいなことをしてよ」

 

 そこそこ傷つくことを言わないでくれ。

 スカウトを断ると支部長はあっさりと手を引いて宇佐美と修と千佳と一緒に玉狛支部へと向かった。私は家に帰った。

 

「今年、やることはもう終わったな」

 

 千佳はサインを貰えた。遊真はボーダーに入った、修はB級へと昇格した。

 あとは正式入隊日を待つまで特訓あるのみとなり、私が出来ることはなにもない。

 

「あ……帰ってきたのか」

 

 クリスマスは遊ばなければと考えていると、携帯がなった。電話の相手は太刀川さん。

 遠征に行っていてそろそろ帰ってくるのは知っていたが今日だったのかと電話に出る。

 

「もしもし?」

 

『三雲、お前の占い半分だけ当たって半分だけはずれた!』

 

「……覚えてたんですね」

 

 太刀川さんの元気な声を聞いてもう1つ、仕事があった。堤さんには悪いことをしたが、死ぬほど苦しいだけで死ぬことはない。さらば、太刀川さん、堤さん、二ノさん。




弾バカ「当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話……え?ちょ……おれだけ!?今回、まさかのおれだけなの!?」

 天の声的な助けは入ります



弾バカ「なんか流れてきた!?」

今回はなんちゃってQ&Aコーナーです


弾バカ「なんちゃってQ&Aコーナー?」

そこにダンボール箱あるから適当に選べ、弾バカ


弾バカ「雑いしさっきよりかくかくしてるし……そもそも作者、Q&Aとか○○とかどうですかと言われても特に深く考えてない一時のテンションで、メロンニキとメガネニキの語呂が似てるなでメロン選んだ奴だぞ」

そういう裏話はいいから、とっととやれ


弾バカ「ええっと……ああ、じゃあこれで。
ペンネーム、ののっぱいは機械により生み出されたから豊胸手術では?さんからの質問……おい、本人に聞かれると殺されるぞ」

ギャグ時空だから死ぬことだけはない

弾バカ「震えてんじゃねえか……あ、読むんだな。なんかラジオ番組みたいだな
えっと【はじめまして、弾バカ】はい、はじめまして……【メガネニキは最近、おっさんだと間違われて傷ついている話が多いですがメガネニキが容姿とかで傷ついた事って老け顔以外で何かあるんですか?】あ~あいつが傷ついたことか」

A  国近と仲が良く、ゲームの話で盛り上がっていると熊谷が付き合ってるんですかと聞いて、お友達だよと言い、付き合ってる風にしか見えないと色々と聞いていると最終的に「イケメンだけど顔がタイプではない」と言われたこと

弾バカ「って、おい!お前が言うのか!?」

読むのだけがお前の仕事だ


弾バカ「おれの存在意義!!っつーか、柚宇さん地味に酷いな。タイプは人それぞれでもストレートか。
えっと、ののっぱいさんには弓場さんからアステロイド(拳銃)が送られます……あ、ののさんから拳も送り届けられるとのこと」

後者はご褒美になるので中止になりました



弾バカ「変態じゃねえか!!いや、ペンネーム的にそうしか聞こえないけど……次だ、次!
ペンネーム、ワールドトリガーは全力で性癖を刺激してくるさんからの質問…………え~【メガネニキは色々とクソッタレな事を言っています。その中でも一番クソッタレな発言はなんですか?】とのこと。その辺を判定するのは読者じゃないのか?」

A 香取がおっぱいを盛ってたり三浦に我が儘放題でそれでも従う三浦の姿を見て、ヤリサーの姫みたいだなと言ったこと。その為に香取からは嫌われている


弾バカ「やめろ、マジそれやめろ。なんか若干だけどそう言われるとフィットするからやめてくれ!
メガネくんがボコってくれたから納まったけど、あそこは物凄くギスギスしてて空気が重いからやめろよ!他だ、他!
え~ペンネーム、実力派エリート4月以降、尻触れば刑務所行きさんからです。【もしあの時、クマッガイとオサノンの告白が成功してたらどうなってたか?(彼女いないでお願いします)】ですね。あ~どうなんだろうな。なんだかんだでモテてるからな、あの二人」

A ドッキリカメラを疑い吊り橋効果を疑い勘弁してくださいと全力で土下座の後、逃亡します。そしてどちらも病みます
尚、来馬さんと付き合う場合は別役(金目当てじゃないのか)、今(料理とか出来るのか)、村上(俺より強いのか)の順番に倒さないと交際を認められません

弾バカ「ああ、うん……まぁ、あの人には最強のセコムがついてるからな。
次はペンネーム、柿崎さんリア充ながら19歳組随一の苦労人からの質問【メガネニキと影浦パイセンって仲良い感じですが、なにかあったんですか?】……別にあの二人って、特別に仲良いわけじゃないし、別に何かあったわけでもないぞ」

A メガネ(兄)は影浦はガラが悪いだけでイイ人なのは知っているので基本的に悪感情は向けない。影浦もそういうの向けてこず普通に接するので、自分も普通に接しているだけである。

弾バカ「あの人は人の視線とかに敏感で、悪くない人間には優しいだけだ。たまたま、三雲とそれが被ってただけ。柿崎さんリア充ながら19歳随一の苦労人さんには影浦さん家のお好み焼き屋の無料券を差し上げます。次は……ペンネーム、アステロイド、バイパー、ハウンド、メテオラの4つをトリコの王食晩餐みたいに四人がかりで合成してみたいさんから……おれもやってみたいな、それ。【こんにちは、出水さん】おお、名前が出た……けど、ここじゃあ弾バカがいいな。【もしですか、メガネニキがボーダー隊員の誰かと付き合ってたらどんな感じになってるんですか?】とのこと……もしもなにも、その未来は絶対に有り得ないんだよな。先ず最初にドッキリを疑い、次にそれは吊り橋効果での好意だと説明に走るから……」

A 勘弁してくださいと全力で逃亡。相手によっては病む。春を買うとか言い出し色々と逃げる。


弾バカ「結局は病むのか……いや、でも普通にありえそうだな。王食晩餐さんには賢い犬リリエンタール全巻セットを送ります。そこ、四巻しかないとかいうな。次はペンネーム、宇宙いぬさんからの質問【メガネ(兄)がボーダーに入ってたらどういう感じなんですか?】……まぁ、色々とあるぞ」


 1 三輪と同じ時に入隊してA級の細かい制度が出来る前にA級になっててフリーでグータラしてて、強制的に何処かの部隊に入れられる√(太刀川隊とかに)
 2 高校進学を気に入隊し、真面目にコツコツと頑張るが部隊に入ることを一切せずに、最終的には本部長と揉めて辞表叩き付けて修と色々とあり出戻るのだが色々とあったしとポイント剥奪で唯一C級に降格し、相変わらずB級グータラ√
 3 トリガーを持っていることはバレたものの、まともに扱えるのは貴虎だけなのでスカウトするのだが部下になるのはごめんだと縦の繋がりでなく横の繋がりになり、ボーダーに協力するEX級隊員√
 4 よろしいならば戦争だとぶちギレた母がメガネ(兄)に命令をくだし、ほぼ壊滅状態にした後にボーダーのNo.2に君臨した母の忠実なる手下を勤める側近√

弾バカ「最後だけなんかおかしいだろう……次で最後か。
ペンネーム、カナダ人と言っておけばなんでも通用するわけねえだろうさんからの質問。【まだ会ってなかったりする人とかの相性とかってどうなんですか?】……男の方に関しては基本的に問題ない。二宮さん所と色々とあるけど、あそこはそれはそれ、これはこれって一応の一線を区切れる人だけだ。迅さんとも罵倒しながら協力して、サイドエフェクトが噛み合えば太刀川さんと二宮さんと里見と当真先輩の1位だけのチームに挑んでも余力を残して勝てる。女子の方は……木虎と香取NGだな」


 男性は基本的に問題なし。
 小南 小南パイセンと呼ばれるのをオンリーワンだからと騙され続けるが、相性良し。
 木虎 性格的にNG、メガネニキの方から組みたくないと断られる。
 香取 過去に言った悪口から物凄く嫌われておりNG
 加古 唯我独尊というか常に自分の道を歩んだりしているのでメガネニキが付き従うしか道はないのだが基本的に問題ない。
 双葉 なんか厳しい師弟関係みたいなのが生まれるものの割と良好
橘高、藤丸 趣味が合ったりするので良好な関係を気付くのだが目上の者と言うのもあり敬語の他人行儀が多く少しだけ距離感があり、割と気にする。

弾バカ「オペレーターとはそれなりに仲良く出来るし、サイドエフェクトが万能過ぎて多少のミスや雑な指示でもフォローは可能だ……これで最後か……え、これが次の次回予告……うし。
クリスマス、それは加古の誕生日。自らが生き残るべく生け贄を作る太刀川と堤、しかし、それが悲劇の始まりだった!次回、ワールドトリガー!【クリスマスプレゼントは正露丸】にトリガー、オン!……やっぱ無理なのか」

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯
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