クリスマスの悲劇から一週間後。
太刀川さんから鬼のように着信があったものの、全て見なかった事にして年末を楽しく過ごして何事もなくとは言えないが五体満足で年を越せた。
彼女から今年の初日の出は富士山で迎えたいとの要望があった。今年は大規模侵攻や遠征やら色々と命を懸けなければならない事が多いので極限まで甘やかせるところを甘やかそうと私は一緒に富士山で初日の出を迎え、その帰りに遊真と遭遇。そのまま家に連れ帰ると千佳が新年の挨拶に来ており、ついでだから初詣に行きましょうと母さんに強制的に連行された。
「オサム、これはなんの祭りなんだ?」
初詣にはじめてやって来た遊真は余りの人混みに驚いた。
「祭りと言うよりは、1年の感謝とか平穏を祈りに来る行事で一番奥にある賽銭箱にお金を入れて合掌して一礼をしてから今年1年を祈るんだ」
「その割には、遊んでる人が多いな」
「まぁ、どちらかと言えば遊ぶ行事に変わってるから」
この中でまともなお祈りをしているのは誰だろうか?そう考えながら歩いていると母さんと遊真以外の携帯が鳴る。
なんだろうと携帯を取り出し確認する私と修と千佳。
「誰からなの?」
「知り合いのボーダー隊員から初詣に行こうぜと」
「私も、玉狛の先輩から」
「あ、僕も同じだ」
差出人こそ違えど、メールの内容は似たり寄ったりで見せ合う私達。
既に初詣に出発していると所在地を教えると今からそちらに行くと三人とも同じメールが帰ってくる。
「千佳ちゃん、その支部の先輩って貴虎の知り合いかしら?」
「確か……殆どの人が貴虎さんを知ってました」
「殆ど、ということは知らない人もいるのね」
「こなみセンパイがオサムのおにいさんの事を知らなかったよ」
「そう……貴虎」
「いやだ」
これから会う玉狛の面々の情報を得る母さんは良からぬ事を企む。
それがなにかと私は直ぐに分かったので断るのだが母さんは無言で私を見つめる。
「どう考えても母さんの方が有利。私が先でも母さんが先でも母さんが圧倒的に有利だ」
「別にいいじゃない。減るものでもないし、仮に減っても明日には数千倍に増やすでしょ?正月なんだから、親孝行や弟やお友だちにカッコいいところを見せなさいよ」
「……」
私の弱点を的確についてくる母さん。そう言われると私も下手な事は言えず、一先ずは御詣りを済ませる。
これからなにが起きるかを想像すると少しだけ嫌な気分になるのだが見た目が手塚国光になった以上はこの呪いからは抜けられない。と言うよりはむしろ手塚でよかったんじゃないかと思う。真田とかだと余計におっさんに見える。テニヌプレイヤーは二十歳以下とか絶対詐欺だ。
「確か、この辺に」
「何時もと違う格好をしてるけど、あそこにいるのはこなみセンパイじゃないのか?」
待ち合わせ場所に来るも見当たらない玉狛の面々。
何処だと修が探すも見つからず、代わりに遊真が着物姿の小南や何時も通りの格好のレイジさん、京介、宇佐美を見つける。支部長と何処ぞのグラサンはそこにはいないので私は少しだけホッとし、修が手をあげて此処だとアピールをしながら歩くと四人は修の存在に気付き宇佐美が手をあげる。
「あけましておめでとう、皆!」
「あけましておめでとうございます、宇佐美先輩」
「今年もよろしくお願いします」
宇佐美の挨拶によりはじまる玉狛の面々との会合。
修と千佳が挨拶したので私も挨拶をしようとするのだが先に京介が口を開く。
「あけましておめでとう。修、千佳、遊真」
え、私だけピンポイントで無視?
京介が挨拶をするのだが、私の名前だけ呼んでおらずピンポイントで無視をしており目線が少しだけ合うのだが気にせずにいる。
ここ最近、なにか嫌われることでもしたっけ?と最近の出来事を必死になって思い出そうとするのだが特に心当たりはない。じゃあなんでと思っていると京介の視線は小南に向いていた。
「はじめまして。私は小南桐絵と申します。何時もお宅の修くんには御世話になっております」
「ブッ!!」
くぎゅうボイスをここぞとまで発揮し、お嬢様声として綺麗な挨拶をする小南に私は吹いてしまう。
どちらかと言えばアホの子の筈なのにとてつもなく上品に振る舞おうとしており、小南の普段を知っているので衝撃的だった。
「あ、そうだ。修くん、千佳ちゃん、遊真くん、ちょっと」
物凄く猫を被り猫なで声で吹いた私を気にせず修達を呼ぶ小南……否、小南パイセン。
思い出した。この女は学校とかではオペレーターやってる機械苦手系お嬢様女子高生として通じているのを。
「こ、小南先輩、今のは」
「いいから、変な素振りを見せないで。私、一応ボーダー以外にはオペレーターをやってるって事にしてるんだから」
「なんでそんな事をするんだ?」
「そりゃあ……まぁ、アレよ。アレ」
※修の首に腕を掛けてボロを出すなと命令をするのだが、割と聞こえる声量で言っているので丸聞こえであり京介とレイジさんと宇佐美は生暖かい眼で見守る。
「……どうかしたのかしら?」
口裏を合わせるべく色々と話し合っているのだが丸聞こえで、大体合わせ終わると母さんは声をかける。
しまった!と小南パイセンは修のアームロックを解除して修達を返して綺麗な笑顔を見せる。
「すみません。実は昨日、玉狛支部に訪れた際に忘れ物がありましてそれについて色々と」
小南パイセン、何処まで白を切るつもりなのだろうか。
「なにを忘れたのかしら?」
「え、ええっと……メガネです!修くんったら、メガネをお忘れになって」
「それだと修はスペアのメガネをしていた筈よね?それにメガネを忘れたのならば千佳ちゃん達は関係無いわよ?」
「ぅ……」
「ちょっとあの人、なんかポンコツ臭がスゴいんだが」
「それもそうです。あの人こそ、ボーダーが誇るポンコツガール、小南パイセンです」
「誰がポンコツよ!!……あ……」
母さんによって徐々に徐々に小南パイセンのポンコツ具合を見せられ、京介に紹介されるとツッコミを入れて素を出す小南パイセン。
徐々に徐々に顔を真っ赤にしていきレイジさんが肩に手を置いた。
「修達と口裏を合わせる会話、丸聞こえだったぞ」
「なぁっ!?」
「ドンマイです、小南先輩」
真実を伝えられ物凄く落ち込み顔を真っ赤にする小南。
「も、申し訳ありません!お姉さまの様なお綺麗な方を前に機が動転してしまい」
「「「母です」」」
「え?」
恥の上塗りを繰り返そうとする小南パイセンの姿は割と見苦しかった。
そして予想通りと言うべきか母さんを姉だと間違えたので私達3人は何時もの事を行うと固まる。
「え、お母さん?」
「はい」
「……嘘、私と2歳ぐらいの歳の差があるかないかの見た目じゃない!?」
「あら、お上手」
「こなみセンパイ、ウソみたいな話だけどこれが本当でおれも一回、間違えた」
ありえないものを見る眼で母さんを見る小南。
後、数年もすれば小南は母さんよりも老けて見えると予想すれば母さんの若さは異常であり、レイジさんや京介も表情こそ変えてはいないものの驚いている。宇佐美は表情を変えている。
「こんなんでもお前の一回り以上、上だ」
「あら、手が滑ったわ」
例によって余計な一言を言うと財布で頭をシバかれた。
「まぁ、熟年のカップルなんですね」
そんな光景を見て勘違いをして微笑む小南。これにより私のゲームオーバーが決まった。
「小南先輩、兄です」
「え?」
「小南ちゃん、息子です」
「え?」
「小南、メガネの兄、略してメガネニキです」
「えぇ!?」
こいつ、ボーダー隊員じゃなくてリアクション芸人じゃないのか?
私を父親だと勘違いをしていた小南に3連続で兄だというと見比べる小南パイセン。
「失礼ですよ小南先輩。三雲さんは小南先輩と同い年なんですよ」
「この展開を望んで敢えて私を省いて挨拶したお前にだけは言われたくない……と言うことで兄だ。
しかしまぁ、そのなんだ……猫被るのはいいんだが事前に口裏合わせしてないしボロが出まくるし、リアクション芸人みたいなだな、小南」
改めての自己紹介をすると俯いた小南。
顔を真っ赤にしプルプルと震えている姿から発する電磁波は羞恥心と怒りが半々で混ざり合っており、間もなくそれが爆発する。
「だました、なぁああああああ!!」
「だ、騙したもなにも小南先輩が勝手に勘違いを」
「うがぁあああ!!」
「いや~新年早々に面白いものを見れた……」
けど、喜べない。
「貴虎」
修にアームロックをかけて噛みつく小南パイセンを尻目に私に声をかける母さん。
寄越せと右手を差し出しており私の敗けだと財布を取り出して諭吉を1枚取り出して母さんに差し出す。
「遊真くん、千佳ちゃん、それに貴女達も甘酒でもどうかしら?」
「良いんですか?」
「ええ。そこの小南ちゃんが見事に貴虎を勘違いしてくれたお陰で私の勝ちで、貴虎の奢りになったわ」
「三雲さん、ゴチです」
小南パイセンが私を兄と母さんを母と当てなければこの近隣の出店の飲食代を奢る。
ついさっき母さんと交わした賭けは私の敗けだったので私の奢りになり京介達に甘酒を奢ることになるのだが、やはり私の方が分が悪い。
私が負ける条件が小南パイセンが私を父親と勘違いし、母さんを姉と勘違いする。対して母さんが勝つ条件が自身を姉だと勘違いさせて私を父親だと勘違いさせる。
どちらにせよ勘違いをされる顔で母さんに声をかければ姉と間違えてしまい、じゃあ隣に居る若い男は兄でなく父親という先入観を抱く。私を父として間違えたら隣に居るのは姉だなと母さんを姉だと思う。と言うよりは思わざるを得ない見た目だ。
「そ、そういえば、迅さんは?」
「ああ、ボスと一緒に挨拶回りでもうすぐ来るわ」
甘酒を飲みに甘酒が売っている屋台に向かう最中、グラサンがいないことを聞く修。
小南パイセンになんとか解放されており若干だが首が痛そうなのだが小南パイセンはそんなに気にせずにもうすぐグラサンがやって来ることを教えると嬉しそうな顔をする……セクハラ無職が。
若干だがグラサンセクハラ魔に嫉妬をしてしまうのだが、直ぐにその感情を押し殺す。このままだとお尻大魔人が来るのは確定で今会うのは非常にまずい。多分だが、私はあの男がサイドエフェクトで視ている未来をねじ曲げまくって、ボーダーからも頼りにされている未来視を力技以外で破れる奴が居たなんて今分かれば面倒だ。
「みぃ~く~もぉ~」
「ぬぅお!?」
どうやってこの場から逃げるのか考え周りに意識を向けないで居ると聞き覚えのあるアゴヒゲの声がし頭を鷲掴みにされる。
もしやと後ろを振り向いてみると鬼のような形相のダンガー太刀川(着物)と堤さんと加古さんと最年少A級の双葉がいた。
「太刀川さん、着物姿似合ってますよ。何時もより大人らしく見える」
「そうかそうか……それで済むと思ってるのか?」
「いや~なんのことでしょうか?私、この一週間貴方とは顔を」
「ライスコロッケ、そう言えば分かるよね、三雲くん」
糸目の笑顔の堤は物凄く優しく怒りを見せる。
今年の文化祭でクッキングパパの11巻を炒飯スランプ中の加古さんに貸したから、今年は炒飯でなくライスコロッケだったことを知らなかったようでそれを伝えなかった事を、炒飯からライスコロッケに変えたことを怒っている。
「ホームランバットのココアライスコロッケはダメだ」
「ええ、思ったよりもパッとしない味だったわ」
「あ、すみません。三雲のおねえさん、ちょっと三雲くんを借りていきますね」
「どうぞどうぞ」
この場に私の人権は存在しないらしく、首根っこを掴まれて連れていかれる私。
「あいつ、太刀川達とも知り合いなのね」
「今の人は?」
「あのアゴヒゲは太刀川。
個人でも総合でも部隊でも一位を取っている……まぁ、私の次にやるまぁまぁなやつよ」
「まぁまぁ、ですか」
そんな私を見て連れていった男は誰かと疑問を持つ修に答える小南なのだがいらんプライドが発揮。
個人でも総合でも部隊でも一位ならば文字通りの一番じゃないのかと言いたいのだが、それを言い出せば駄々を捏ねそうになるのでそれ以上はなにも言わず、甘酒の出店に辿り着くと実力派エリートがいた。
「やぁやぁ、待ってたよメガネ君!千佳ちゃん!遊真!
新年あけましておめでとう!今年もよろしくお願いします!ということでこれ、お年玉」
「おお……ぼんち揚げか」
新年早々にもぼんち揚げをつまみに甘酒を飲む迅。
お年玉と称して修達にもぼんち揚げを一袋を渡し、新年の挨拶をする。因みにだが私はぼんち揚げよりコンビニ限定の粉増量のハッピーターンが好きだ。
「貴方が迅くんね」
「ああ、どうもどうも!メガネくんのお姉さん!」
「母です」
「え!?」
そして奴もまた間違えた。
「で、私をわざわざ引っ張ってきたのは?後、一人見たことの無い子が居るんですが」
幸か不幸か、実力派エリートに会わなくて済んだ私は太刀川さん達に人気の無い場所に連れていかれた。
「黒江双葉です……子供扱いしないでください」
「それは悪かった。ところで私になにか用ですか?」
私にありのままの怒りをぶつけるのならばとっくにぶつけている太刀川さん。
それをすることはせずに加古さんや黒江を連れて人気の無い場所に連れてきたということは暴力を振るう為ではないだろうと理由を尋ねると笑顔になる。
「お年玉くれ!」
おいこら、ダンガー。お年玉を金玉だと女子高生(斧)に教えたダンガー。
もうすぐ成人式を迎えるというのに三つ下の男からお年玉を要求しないでくれ。
「お年玉もなにも今は手持ちが」
「ああ、そうじゃないよ。お金とかそういうのじゃなくて、占いをしてほしいんだ」
「占い、ですか」
「ええ、そうよ。
ぶっちゃけ、ここのおみくじのよく分からない内容よりも貴方の占いの方が分かりやすいのよ」
「と言うことで俺達全員を占ってくれ」
「占ってくれ、ね……」
実力派エリートはこの近くに居る。ボーダーの新年の挨拶をしているならば、この面々とも顔合わせをしている。と言うよりは普通は出会うはずだ。この四人はあの実力派エリートと顔見知りだ。
私の占いはあの男と違いビジョンがハッキリとは見えない。おみくじ感覚でするならばちょうどいいかもしれないと思っているのだろうが私の占いの成功率は既に9割を越えているんだぞ。
「じゃ、まぁクリスマスの事とかもありますしお年玉と言うことで」
この前の一件の詫びと今後の為の仕込みとして準備すべくメガネを外す。
今回を逃せば次に会うのは病院のベッドの上になりそうなのでここは真剣にならなければと気持ちを切り替えると肌で伝わったのかビクりとする黒江。
「ところでカードを使わなくて良いのかしら?」
「ちょっと黙ってください。今、本気でやってますから」
加古さんは普段はカードを使っているが今回は使用しないのかと疑問を持つがカードは占いをちゃんと占いらしくする為の道具で、占いをする為の道具じゃない。
加古さん達の顔を見て真剣に占い、どう答えるべきかと考えるのだが非常に面倒な事になっている。試しに関係の無い人の電磁波を見るのだが、それもまた非常に面倒な事になっている。
「……一応手相も占うので、お願いします」
気持ちの整理をしようと時間を作るべく占いっぽいことをする。
太刀川さん達の手相を見て真剣に占ってますよ感を出しながらどう答えるべきかと考える。
「なにか分かったんですか?」
「……逆だな、これは。分からないことがわかった」
黒江の小さな手を最後に見終えると、黒江から結果を尋ねられたので曖昧な返事をする。
難しく言っているが結果的には分からないと言っているので黒江に睨まれるのだが気にせずに続ける。
「やっぱ、商売道具が無いと無理なのか?神社だし、水晶とか探せばあるし何処かから借りてくっか」
「借りなくていいです。分からないことがわかっただけで、なにも分からないとは言ってませんよ」
「どういう意味だい?」
「1月20日午後からの未来がプツンと消えている。
太刀川さん、堤さん、黒江、加古さんだけじゃない。ついさっきまでいた私の弟や友人、それにその辺を歩く初詣にやって来た三門市の人達全員の未来が1月20日午後以降の未来が占えない」
「やけに具体的だね」
流石にその日を過ぎれば色々とバレるだろうから、多少隠さなくても問題はない。
「1月20日の午後以降の未来が占えないって、どういうことだ?」
「さぁ、私に聞かれてもよく分からないです。
ただ太刀川さんの未来を占えないとか加古さんの未来を占えないとか個人に特定して未来を占うことが出来ないとかじゃなくて、その辺を歩いている初詣に来た三門市在住の方々も占えないとなれば……」
大規模な災害としか考えられない。
敢えてその事を言わずに無言を貫くとさっきまで浮かれていた表情だった面々は少しだけ真面目な顔をする。
1月20日の午後から近界民の世界で一二を争うほどの大きい国であるアフトクラトルからの大規模な侵攻があるのでそこの結果次第で未来が大きく変わる。
アフトクラトルの大規模な侵攻が私がどう動くか、今もこうしている間に実力派エリートが裏でいらんことをしてたり色々と未来が変動しまくってるせいか1%の可能性も一瞬にして30%の可能性に変動したりして正確に占えない。
「なにがあるんですか?」
「分からないと言っている。
だが、少なくとも1月の20日になにかがある。もし気になるのならば、その日を待てばいい。もしその日がなにか分かれば備えれば良い。もしその日が怖いのならば逃げれば良い。私が分かるのはこれだけでそれ以外はさっぱりだ」
「……」
「睨まないでくれ」
「睨んでません」
「1月20日の午後か……ほうほう」
ニヤリと笑みを浮かべるダンガー太刀川。
「できれば周りに言いふらさないでくださいよ」
「ええ、分かったわ」
占いを終え、念のためと釘を刺すと加古さん達と別れる。
20日にある大規模侵攻、そこに加古さんの姿はない。正確に言えば物凄く遅れてやって来る。ドライブに行ってて参戦出来なかったという割と些細な理由で、到着した頃には敵が残したトリオン兵を倒すだけとなっていた。これで少しは未来が変えることが出来た、と願いたい。
「1月20日の午後になにかが起きるって言ってましたけど、それってやっぱり」
「今、上とか周りで噂をされてる大規模な侵攻よ」
「……あの人、その事について知ってるんですか?」
「いや、三雲くんはボーダー隊員じゃないよ。
弟の方がボーダーにいるとは聞いているけど、つい最近までC級でそこまで目立った隊員じゃないし……占いで当ててるんだと思う。彼の占い、やたらと当たるんだ」
「ハズレる時はハズレるけどな!……1月20日になにが起きるかは分からない。三門市を巻き込む地震が起きるかもって」
「太刀川くん、そういうのは良くないわよ。けど、面白い事を聞けたわね。その日は出掛けないで本部で待機してみようかしら?」
その事を言い触らさず、その日が来るのを若干だが待ち遠しく思う太刀川さんと加古さん。
何故に笑っているんだろうと疑問を堤さんは持つのだが、私が言っていることが実際のところなんなのかは分からないのでなにも言えずにそんな二人を見るだけだった。
「あら、お帰りなさい」
「ただいま、って修達は?」
一方、私は母さんの元へと戻るのだが母さんしかいない。
「遊真くんが屋台をコンプリートしてくると言って一緒に行ったわ。
あの子、見た目に対して千佳ちゃんよりも多く食べるものだからビックリしたわ」
トリオン体で食事しているんだから、そりゃ無尽蔵だろう。
京介達もボーダーの人達が初詣に来ていると知り、会いに行ったらしく修がお腹いっぱいでフラフラになって帰って来るのを待っているらしい。その話を聞いて何処ぞの実力派エリートがこの場には居ないと知って少しホッとする。
「はい、これ甘酒とステーキ串」
「チョイス的に間違いじゃないけど、同時に食うものじゃない……」
少しだけ文句を言いながらもステーキ串をつまみに甘酒を飲む。
いいとこのお肉を使って焼いているのかステーキは美味く、甘酒も美味しいのだが同時に食うもんじゃないなと先にステーキ串の方を優先して食べる。
「それで、どうなの?」
「どうって、なにが?」
「最近、金庫を開けてる回数が増えてるじゃない。
この前のトリオン兵?の一斉駆除で皆、修っぽくしていたのはなにかあったから。裏で貴方も準備をしているんでしょ?」
「……本当になんで分かるんだ?」
「母だから、これ以上の理由が必要かしら?」
「いりません」
最強の言葉を使わないでください。お願いします。
「どうにかなりそうなの?」
「なると言えばなるし、ならないと言えばならない」
「どっちかハッキリしなさいよ」
「そう……じゃあ、ハッキリ言うけど修に死相が見えるよ」
「!」
クリスマスが明けてから、修から微弱だが死相が見えるようになってきた。
日を跨ぐ度にその死相は段々と強くなっていき、遂には今日ハッキリと修に死相が浮かんで見えた。100%死ぬという死相でなくもしかしたら死ぬかもしれないという死相で回避することが出来る。
「なにで死ぬの?」
「外的要因、第三者による暴力での死。
なにをして殺すのかは知らないけれども、それが起きる可能性は低いが確かに存在している……だから、私は色々とするよ」
「お兄ちゃんだから?」
「それもあるし、それだけじゃない」
修が死ぬという事には流石に動揺したが、私が動いていると分かれば安心してくれる母さん。
兄だから助けるのもあるが、それだけじゃない。やりたいことを見つけてやろうとしている奴の邪魔はさせられない。きっと麟児さんを見つけた後も修達は近界とこの世界の架け橋になろうとする。その邪魔はさせない。
「と言うことで以後今まで以上に迷惑を掛けます」
「なにを改まって言ってるの。それが貴方がやりたい事なんでしょ?迷惑でもなんでもないわ」
「……本当に、勝てないな……」
母さんの言葉の一つ一つが深くて重い。なんだか涙が出てきたと思っているとハンカチを取り出して拭いてくれる母さん。
「三雲、くん?」
優しさに包まれていると着物姿の熊谷に声をかけられた。あ、これダメなやつだ。
実力派エリート「当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話!!」
三3三「ジンさん、ジンさん」
実力派エリート「どうした?メロンくんは絶賛修羅場(笑)を迎えているから、こっちに来れないぞ?」
三3三「どうしてボーダーはスカルをオサムのおにいさんだと思わなかったの?」
実力派エリート「お、良いところに目をつけたな……ご都合主義だ」
三3三「ジンさん、つまんない嘘をつかないでよ」
実力派エリート「ん~嘘じゃないんだけどな。
けどまぁ、確かにスカルの正体がメロンくんだとボーダーが見抜いていないのはご都合主義だと思うから一応の解説をしようか。聞きたいことはあるか?」
三3三「スカルになるのも一応、トリガーでかざまさん達を倒したんでしょ?
だったらトリオンとかが残留しててそこからオサムのおにいさんだって探せるんじゃないの?」
実力派エリート「確かに残留しているトリオンを計測すればボーダーも探そうと思えば探せるんだが、メロンくんのあの姿は擬似的にとはいえ死んでいる。そのせいかトリオンの性質が変わってたり反応が全く残らなかったりと上手く探せないんだ」
三3三「じゃあ、銃の腕は?ゆばさん以外であんなに銃の腕がたつひとはそんなにいないでしょ?」
実力派エリート「確かにそうなんだが、そもそもでボーダーはスカルを近界民だと先入観に囚われている。それと弓場の銃の腕はどちらかと言えば努力で手に入れたものだ。里見が言っていた様に何千とランク戦を重ねた末に得た強さで、勿論弓場の才能もあってこそだが努力で手に入れたもので、偶然にもメロンくんと被ってるぐらいで向こうの世界の物凄く強い銃手と真っ先に考えられる。」
三3三「なるほど……でも、こいつかもってならなかったの?」
実力派エリート「風間さんが何度かは考えたけど、直ぐにそれはないってなった」
三3三「なんで?」
実力派エリート「スカルとメロンくんを照らし合わせて似ている要素は多い。けれど、似ていない要素もあってその中でも幾つかがメロンくんじゃないと思わせるものがあった」
三3三「同一人物なのに似ていない要素なんてあるのか?」
実力派エリート「例えば体格。大人の事情とも言うべきか、身長170cmの佐野■が仮面ライダー鎧武に変身をすると203cmになる。それと同じで身長が188cmのメロンくんが変身をすると嫌でも210cmを越えになってて、メロンくんとスカル、両方に面識のある風間さんはメロンくんとスカルの体格や骨格が合わないと考える。
トリオン体だから幾らでも弄れるんじゃと考えるけども、直ぐに否定。それは基本的に誰もしないから。ボーダー隊員には髪や胸を弄くっている隊員はいるけど、身長を20cm以上も弄る人は一人もいない。それをすれば体の感覚がおかしくなって上手く動かすことが出来ずにまともな戦闘が出来ないから」
三3三「……ん?じゃあ、オサムのおにいさんは普段とは違う大きさで戦ってるのか?」
実力派エリート「ざっくりと言えばそうなるけど、少し違う……まぁ、なんで違うと聞かれればネタバレになるから教えられない」
三3三「むぅ、そのネタバレが気になるな……」
実力派エリート「これはメロンくん曰く世界初のバグスターウイルスに感染した事を告発する時と同じぐらい衝撃らしいから教えられないよ……まぁ、オレとしてもこれは言っちゃったらまずいことだけど。
とにかく、ボーダーはスカルを近界民だと思っていてこっちの世界の人間だとは思っていない。
稀にメロンくんの事を知ってる風間さんが頭に浮かべるけど、メロンくんはこっちの世界の人間でトリガーを持っている時点でおかしいとなって体格や骨格がメロンくんと被らないと否定する。今のところ、ボーダーは自爆機能を持った遠隔操作が出来るトリオン兵かなんかで試運転で風間隊と戦ったんじゃないのかと考えている」
三3三「ほうほう、だからオサムのおにいさんは見つからないのか」
実力派エリート「それとご都合主義で……とにかく、メロンくんが見つかるのはもう少し先だ。
それはそうと次回予告!危うく修羅場を迎えかけたメロンくん。なんとか誤解が解けて秀次と出会うのだが秀次はメロンくんを見た途端に逃げ出した。次回、ワールドトリガー【過去と未来を向き合う】にトリガー、オン!……あ、因みに作者が番外編でも作ってやろうかとギャグ時空回を模索中」
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