メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第53話

━━━ジリリリリ

 

 

 1月20日、新しい朝が来た。希望と絶望の朝が来た。

 今日は何時もより早く5:30にセットした目覚ましで目を覚まし布団から無理矢理出て寒さで意識を叩き起こす。

 

「あ~……絶望の朝だな」

 

 なんでこんなことをしなければならないんだ。

 低血圧で気だるく愚痴を言いながらも体を起こしてメガネをつけようとするのだが、手を止める。

 

「地獄絵図……いやいやいや、違う違う違う」

 

 窓の外(三門市側)から見える不吉な相。

 発生源は言うまでもなくボーダー基地を中心とした警戒区域で、住居崩壊は勿論のこと負傷者、死者が出ると私のサイドエフェクトが言っている。

 その光景を見て、胃が痛くなるのだが何処ぞの実力派エリートは、これから起きるかもしれない出来事を未来視で見ている。最終的に一つしか起きないが、実力派エリートは無数の起きる事を見ている。

 あんな日頃がダメな奴がそれでも耐えていたりどうにかしようとしているのだから、私も胃を痛めたり泣き言を言ったりすることなんて出来ない。

 

「あら、早いのね」

 

 洗面所に向かうと母さんがタオルで顔を拭いていた。

 何時もは後一時間ぐらいは寝ているのだが、今日は物凄く早く起きている私を見て驚くのだが、母さんがこの時間帯に起きていることの方が驚きだ。

 

「朝シャンしよう」

 

 何時も通りの母さんを見て、なんか力が抜けてしまった。

 相も変わらずマイペースだからか、母さんだからか気を引き締めても無駄だなと顔を洗うのを中止にして朝シャンにし、体全体を洗う。だが、直ぐに思う。真冬に朝シャンは逆に体を冷やすなと。これはあれだ、風呂沸かした方がいいと風呂を洗い、沸かす方向へと切り替えて、風呂を沸かしてゆっくりと浸かる。

 

「珍しいわね、夏ならまだしも冬に朝からお風呂だなんて。なにかあったの?」

 

「なにかあった、と言うよりはこれからあるんだよ」

 

 気付けば一時間ほど経過しており、何時も目が覚める時間になっていた。

 何時もと違うことをしている私を見て母さんはなにかあることに気付き嘘をついたところで特に意味は無いので、正直に言う。

 

「母さん、今日の一時まで時間空いてる?」

 

「空いてないわ。

午前中は家の掃除に洗濯物、後、夕飯の献立を考えるのに忙しいわ」

 

「じゃあ、午後からはちゃんと時間が取れる?」

 

「そうね、夕飯の献立さえ決まれば後はスーパーに買い物に行けば良いから午後からならいけるわ」

 

 ダメだ。今から起きる出来事について説明をしたとしてもこの人、一切気にせずに家で家事してるイメージがある。

 

「じゃあ、午後に病院に……いや、違うか。

多分、昼過ぎに一度家に帰ってくると思うから帰るまで家に居てくれないかな?」

 

 病院に先回りして欲しいが最後にちゃんと会っておかないと気が済まない。

 

「……なにをするかは聞かないわ。

けれど、するならしっかりとやりなさいよ。貴方が、そうすべきだと思ったのなら」

 

 病院という不吉なワードを出して、少しだけ動揺するも母さんはなにも言わない。

 放任主義、とかでなく自分でやりたいと思ったのならばすれば良いと背中を押してくれた。それを聞き、心の中で少しだけホッとすると朝食を頂く。朝から色々と元気が出なかったものの、母さんが背中を押してくれたので食欲が湧き、何時もより美味しく食べることが出来た。

 

「時間が無いから和んでる暇はない」

 

 母さんの朝御飯に満足をして浮かれてはいけない。

 自分の部屋に戻り押入れに隠している金庫を出して、ロックを解除する。

 

「え~と、必要なのは」

 

 三つあるアタッシュケースの内、Xと大きく書かれたケースを取り出して中に入っている必要なT2ガイアメモリを取り出す。

 本音を言えば、全て(ケースに入っている分)のT2ガイアメモリを持っていきたいが、それは出来ない。今から学校に行くのだから25本もUSBメモリを持っていくとか怪しまれるし、なによりも適合者がいればメモリと引き合う可能性がある。なんらかの拍子でドーパントになったら一大事だ。

 

「S、Z、A、Dを持っていくとして……こいつはどうするか」

 

 唯一まともに使うことの出来ない黒のJのT2ガイアメモリ、ジョーカーメモリ。

 使用すれば使用者のスペックを極限まで上げ、使用者の心に反応して限界以上のパワーを出すことの出来る切り札の記憶が宿るガイアメモリ……という名前のトリガー。

 ポチりとボタンを押してみるも一切、音声は鳴ることなくロストドライバーに差し込んでも全くの無反応。私が唯一使うことが出来ない物だが、私以外に使える人物がいる。弟の修だ。

 蓮乃辺市の山奥でコッソリと見せた時にジョーカーメモリと引き合ったのか無意識の内に手に取り、ドーパント化した。

 

「兄さん、おはよう」

 

 その時の修は暴走していた。

 その時にエターナルに変身して、修をボコった。元に戻った修はなにも覚えておらず、幸いにもガイアメモリの毒素にやられていなかった。変身したのがエターナルで、相手がドーパントだったから相性が良かったが物凄いまでに強かったジョーカードーパント(修)。

 

「修、これを持っていけ」

 

 私は起きて挨拶をする修にT2ジョーカーメモリを渡す。

 

「なっ……!?兄さん、これは」

 

 T2ジョーカーメモリを手渡された修は意識が一瞬にして目覚めて慌てる。

 過去に一度、やらかしてしまい今の今まで厳重に保管していた物をなんの迷いもなく渡したのだから慌てるのも無理はない。

 

「押してみろ」

 

「でも」

 

「良いから、押してくれ」

 

「……」

 

『ジョーカー!!』

 

 ジョーカーメモリを返そうとする修を押しきり、ボタンを押させるとマダオボイスが流れ、私が何度押しても鳴らなかった音声がジョーカーとハッキリと響く。

 

「今日一日だけ貸すから、ちゃんと返してくれ」

 

「今日一日って、もしかして……」

 

 京介から聞いた話では風間さんから私が使いそうな戦闘スタイルで勝利をもぎ取ったらしい。米屋から聞いた話だと、緑川にボコボコにされて手も足も出ずにいたら遊真がマジギレしてたと聞いている。

 ボーダーで起きた出来事は一応は秘密なので基本的には言ってこない修。もうすぐ、大規模な侵攻があることを特に言ってこなかった。

 

「昼飯はちゃんと食べるんだ。そうじゃないと、元気が出ない」

 

「兄さん、これは僕には」

 

「持っておけ。文字通り、それがお前の切り札なんだ」

 

 修からハッキリと死相が見える。

 それを回避する方法は幾つか存在し、最もリスクを生じないのが今ここで修を気絶させて四塚市に連れていくことだ。だがそれは出来ない。そうしたらより大変な事になるし、修は怒る。例え死ぬかもしれないと分かっていても、修は前に進もうとする。それならば、前に進む為の後押しをすれば良い。

 

「ベルトを介さずに使えば暴走する。だから、ベルトを届けるまでは絶対に使うな」

 

「……届けに来るんだね」

 

 ベルトを届けに来ると言うことがどういう意味なのか分かっている修はモヤモヤする。

 私が来ることは良いことなのか悪いことなのかと。ボーダーのトリガーと色々と違うので出来れば危険だから来ないで欲しいと思っている。修には言っていないが、洒落にならないほどに危険だろう。

 

「コレが危険なのも、コレをちゃんと使った戦闘がダメなのも分かっている。だが、それでも渡すべきだと判断したから渡した」

 

 実力派エリートの掌の上なら大丈夫かもしれないが、それを脱線させて最高最善の未来に辿り着くにはきっとコレが必要な場面がやって来る。

 

「ボーダーのトリガーと違って、剣も銃も弾も盾も出すことが出来ず緊急脱出も出来ない。

徒手空拳で戦う事になり、リスクが一気に高くなるが……それを気にしないほどの力をコイツは秘めている」

 

「文字通り切り札(ジョーカー)になるトリガー……」

 

「ベルトを届けた後、色々とやってみて、もうどうすることも出来ない時に使うんだ」

 

 修にガイアメモリを使った戦闘は向いていないだろう。

 それでもそれが切り札になると、持っていて欲しいと頼むと修は了承し、ズボンのポケットに入れる。

 今、修に出来ることはこれだけだ。此処から先は色々と頑張らなければと何時もよりも早く家を出て原付を使わずに歩いて向かった。

 

「里見と雪丸は不在……冷静に考えれば、なにやってんだ?」

 

 登校し、午前の授業の用意をしながら三門市に居ない部隊について頭に?を浮かべる。

 10000超えの攻撃手と銃手一位の男は今現在、県外のボーダー隊員スカウトに行っている。それについては……まぁ、色々と思うところはあるがそれは置いといて、近界民の大規模な侵攻があることが分かっているのならば、もう少しどうにかならないだろうか?

 近界民が何時襲来するかは何処ぞのグラサンには分からない。だが、襲来してくるということは分かり、その時に誰がどうなるかというのは大体分かっている。

 それならば、その未来を少し弄くれば良い。例えば、京介が近界民が襲来した瞬間等、重要な事が起きる度に何処に何年何月何日何時何分にいるか書かれたプラカード的ななにかを上げる様にしておけば良い。

 迅の未来視が主観視点なのか客観視点なのかは知らないが、それをしておけばある程度の正確な日時を割り出すことが出来る筈……京介がプラカード的なのを上げている未来が数パターン見えたら、逆に混乱を招くか?

 

「た……三雲」

 

「三輪、随分と早いな」

 

 どうすれば未来が視えるか色々と考えていると、三輪がやって来た。そして下の名前で呼ぼうとしたのだが、ちょっと恥ずかしくなってやめていた。

 それなりの緊張の糸を張っており、何時もよりも早く登校をしてきたのだがここに来る理由が見当たらない。

 元旦にあんな事があったものの、1ヶ月は待ってくれる。出水と米屋も本当ならば言わないといけない事が分かっているが、一番言いたくて私をぶん殴りたい奴が我慢をしているのだから今まで通りなにも変わらずに居る。

 

「約束の日まで、残り十日だ。

お前がなにをしようとするかは俺には分からない。俺は今まで通りにするだけだ……お前を信じている。だから、コレを書いてくれ」

 

「お前、言い方を選んでくれ!」

 

 うっほ、良い男!

 色々とアレな言い方をし、ボーダーの入隊試験を受けるのに必要な書類を出してきた三輪。私とお前は友達であり、ホモ逹じゃない。

 

「なにを言っている?」

 

「……いや、もう良いです」

 

 三輪が女性だったらヤンクーツンのトリプルデレ美女になるのだろうか?

 渡された書類を受け取り、記入する。修が出したものと同じなので、何処になにを書けば良いのが分かるのだが、手を止める。

 

「三輪……私、なに入隊になるんだ?」

 

 これを書かされているということは正式な手続きを踏んで、正式な方法での入隊をしようとしているということだが、それをすれば5月入隊に、いや、修のお陰で2月になるが大分後になるぞ?

 

「簡単な筆記と運動能力を測る試験だが、その実態はトリガーを使うための才能を測るものだ。

一先ずはお前が何処まで出来るのかを知らないと話にならない。お前が強く、考えることが出来る人間なのは知っている。サイドエフェクトも強力なものだが、実際の細かなところが分かっていない」

 

「随分と買ってくれているな」

 

「お前について、なにも言わなかった事について上に知られれば降格処分も有り得る。

そうなったらお前に俺と陽介と出水を率いてA級まで戻して貰う。その為にはお前がなにが出来るかを知っておかなければならないんだ」

 

 ベテランの万能手に、マスタークラスの攻撃手に、マスタークラスどころか10000P超えてそうな弾バカ。

 わざわざそれらをB級に降格させればA級に行こうと必死こいてる奴等の邪魔でしかないぞ。

 東隊の様にメンバーが違ってたらともかく、不祥事で降格してメンバーが変わらない影浦隊とか一人減ったが、主力が居なくなったわけじゃない二宮隊の元A級の部隊とか既になにかと面倒なのが居るのに、ゲームバランスを崩壊させて楽しいのだろうか?A級を不祥事でB級に降格させるのは、色々と面倒だぞ。

 

「そうなったら責任は取るが、たけのことかはどうするんだ?」

 

「奈良坂達は太刀川さんの所に行かせる。

幸いと言えば良いのか太刀川さんの所には狙撃手がいないから狙撃手を二人追加し、中距離でサポートを行う奴や狙撃手をメインとして倒して、太刀川さんが近距離で戦う攻撃手を倒すスタイルにすれば良い……親の七光りは知らん」

 

 たけのこ達についてもどうするか考えているのか。

 三輪達をA級に戻すのは良いとして、ぶっちゃけ修達と戦う場合は八百長をしてしまう自信があるぞ。そして唯我には爆弾でもつけて、爆発させるか攻撃系のトリガーを全て取り外してエスクードとかグラスホッパーとかスパイダーとかの補助に使えそうなトリガーに極振りした方が良いぞ。

 

「トリガーを使う才能と、どのポジションが合うのかの適性を調べるのには正規の手順を踏んだ方がいい。

だからといって、筆記試験と体力測定の手は抜かないでくれ。一応、そこでそれなりの成績を出していると入隊時に貰えるポイントが若干とはいえ多くなる……犯罪歴とかそういうのも調べられたりするが普通に試験を受ければいい」

 

「私、盗んだバイクで無免許で走ったぞ」

 

「……前科持ちなのか!?」

 

「安心しろ……バレてはいないし、やったのは一回だけだ。

というか、犯罪歴で言ったらボーダーの方が怪しいだろう。表に出てくる前のボーダー、兵器の所持とかそっち系の法に触れてるだろう」

 

 表に出たのが、あんな感じだったし、今でこそ政府公認の組織とかそういう感じになってっけど、色々と法律に触れてるはずだからな。動力源がトリオンだから核でも危険物でもなんでもないと言えなくもないが、多分なにかの法律には触れてるはずだ。

 

「貴虎くん、世界史のノート持ってる?」

 

 ある程度、書いていると登校してきた熊谷が世界史のノートを借りに来た。

 防衛任務で休んだ分を埋めるべく借りに来たのだろうが、タイミングが悪かった。

 

「あ、三輪くんもノートを……!?」

 

 三輪が居たので、自分と同じく防衛任務で休んだ分のノートを借りに来たのかと机に視線を向ける熊谷。

 そこにあったのは休んだ分の授業を纏めたノート、ではなく熊谷もよく知るボーダー入隊試験を受ける書類であり、固まった。驚いていたが直ぐに声を殺した。

 

「熊谷、世界史は何時間目だ?」

 

「五時間目よ……それよりもそれって」

 

「今は気にするな」

 

「気にするわよ!

貴虎くん、ボーダーが嫌いだって。今入隊試験を受けたら5月入隊で受験とかと被るし、いったいなんで……」

 

 今までの事とか修は修、私は私と線引きをしてたりと一線は引いている。

 仲の良いボーダー隊員ともボーダー隊員だからとかそういうのは勉強関係以外では言っておらず、熊谷は驚いている。私が言えるのは、今は気にするなの一言だけで、それ以上はなにも言えない。

 

「私は自分で蒔いた種を自分の手で回収しているだけだ」

 

「熊谷、2月まで待て」

 

 なんでと細かな詳細は語らず、アバウトな説明で終わらせてなんで入るかを聞かせない様にする。

 2月まで待てば良いと、その事については語らない姿勢を貫くときっぱりと諦めて聞いてこないが、何処かホッとしている。

 

「……まぁ、入れたらの話なんだがな」

 

「大丈夫よ。私でも入れたんだから。それよりも世界史のノートを貸してくれない?」

 

「……いや、貸さない」

 

「え!?あ、今日世界史だったっけ?」

 

 さっぱりと熊谷はこの話を終えて、本題に移るのだが渡すことは出来ない。

 この後、世界史の授業だったかと掲示されている時間割を見るのだが、世界史は今日はなくて慌てる熊谷。

 

「その、もしかして……ノート、借りすぎた?」

 

 困ったら隊員じゃない私にノートを借りに来る。三輪、小佐野、熊谷、米屋、出水、隠岐と色々と借りに来る。

 それについて嫌気が差したのかと思い顔を青ざめるのだが、そんな気持ちになるなら一年生の頃になっている。それなら、自分が提出するノートとは別に各教科一冊ずつノートをとっていない。

 

「そうじゃない。五時間目に授業があるということは、昼休みに写したりするんだろ?」

 

「そうだけど、なにか問題でも?お昼を食べ終えても充分に時間が余ってるし、貴虎くんのノートは写しやすいから直ぐに終わるわ」

 

「なら、その時間を勉強に回さずに休む時間に回せ……ノートを写すだけなら、私がどうにかする」

 

 そんなことに無駄な時間を割くわけにはいかない。

 熊谷にノートを持って来させると私は本気を出し、一瞬で世界史のノートを写す。スタンドの事を知って、テンションを上げまくる岸辺露伴並の絵や文字を書く速度の私ならば無駄な時間を作らせない。

 こういうのは自力でやらないと頭に入らないのは分かっている。熊谷の為にならないのも分かっているが、今回ばかりは休むのに時間を優先させる。

 何時もとは違う私を見て熊谷はなにも言えず、出水や米屋が登校して来て段々と教室内の人数が増えていき、三輪は去り、授業の開始を告げるチャイムが鳴ろうとするので熊谷も教室に戻り、授業が開始した。

 

「さーっ、昼飯、昼飯」

 

「お、今日はパンなのか?」

 

 そして昼休みを迎える。

 出水は弁当を、米屋はパンと紙パックの飲料を取り出して昼食を取ろうとする。

 

「無性にカレーパンが食いたくてよ。三雲、一緒に食おうぜ……っと、どうした?」

 

「出水、米屋……何分で食い終わる?」

 

「ん~……まぁ、喋らずに食うのにだけ集中したら10分ぐらいで終わるぞ」

 

「甘いな、オレは5分で食い終わる!」

 

「いや、お前パンだからだろう!

おれ、弁当でお米だから!パンは一つで終わるけど、お米だとおかずとの配分を考えて食わないと後がめんどうに」

 

「お前ら、そういうの今は良いからさっさと食え」

 

「さっさとって、お前が言い出しただろう……眼鏡どうした?」

 

 悪ふざけをしている暇なんて、何処にも存在しない。

 私は昼食を食べることなくメガネを外して窓の外を……方向で言えば、ボーダー本部がある方を見てカウントをはじめる。

 

「888、887、886、885、884、883」

 

「なんで888からのカウントをしてるんだよ?」

 

「882、881、880、879、878、877、876、875、874」

 

【飯を食うなら早くしろ。諦めるならば、さっさとトリガーを起動したりオペレーターの誰かを呼んだりしとけ】

 

「ぶふぉおう!?」

 

 突如としてカウントをはじめ、疑問に持つがカウントに口を使っているので、ノートに文字を書いて米屋に答える。

 トリガーを起動の文字を見てクワっと目を見開き、飲んでいる飲み物を米屋は吹き出して私にぶっかけるのだが気にせずにカウントを取り、米屋達と筆談をする。

 

「870、869、868、867、866、865、864、863」

 

【さっさと選べ】

 

「いや、ちょっと待て!!お前、なにしようとしてるんだ!?

メガネくんから色々と聞いてたとしても、おかしいだろうが!まさか……迅さん!?」

 

「853、852、851、850、849、848、847」

 

【俺のサイドエフェクトで来る時間を割り当ててるだけだ】

 

 急な事に慌てるものの、私の頭がおかしいと疑ったりはせずになにを言っているのか理解して信じる出水。

 この段階で俺が出来るのは数えるだけなのと、飯を食うのか食わないのかを決めさせることだけだ。

 

「ちょっと待て、お前のサイドエフェクトって視力を強化するもんじゃねえのか?未来は見えねえって、言ってただろう」

 

【その辺について今は説明をしている暇はない。

それよりも今はどうするのかをさっさと決めろ。雲行きが一気に怪しくなっている】

 

「何処がだよ」

 

【信じないなら信じなくて良いぞ】

 

 窓の外は一面の青空で、雲こそあれども普通の真っ白な雲。

 黒く淀んだ雨を降らせる雨雲の様なものは何処にもない……と、米屋と出水には見えるのだが私にはそう見えていない。ボーダーを中心とし、別空間からの干渉を徐々に徐々に受けていて気流の流れや雲の動き、雲や地球が発する電磁波が乱れていく。

 

「777、776、775、774、773、772、771、770、769、768、767、766」

 

【開きそうな門の数からして普段からお前達が相手にしている数の十数倍もしくは一体一体が物凄く強い近界民が来る。門誘導装置の誘導無効化装置を使って来た場合はその時点で相手の勝利で終わりだが、そんな事をするぐらいならば神戸なんかの人が多い地域を狙うだろう。なので、それは無しと仮定してボーダーを中心とした警戒区域に何時もの十数倍の近界民が出現。今現在、防衛任務中の隊員が何時も通りのシフトで回している場合、太刀川さんみたいに強い人ならまだしも普通の隊員は】

 

「もういい!!」

 

「お前、これで嘘だったらおれ達に焼肉を奢れよ!トリガー、起動!!」

 

 カウントを絶対に止めず、ずっと窓の外を見ている私を見て飯を食っている暇は何処にもないと米屋と出水は判断し、トリガーを起動。私は未来を少しずつ変えていく。




IF

三雲隊

MEMBER

隊長 三雲貴虎 NPAR

隊員 三輪秀次 AR

隊員 米屋陽介 AT

隊員 出水公平 SH

OP  月見蓮

説明

不祥事を起こせば影浦隊の様に隊を巻き込み降格すると思い、隊を解散したり脱けたりしフリーのA級になってからB級に降格した三輪、出水、米屋を不祥事の原因である貴虎がA級に戻すべく出来た部隊。
なんでアイツ等降格させたとB級中位陣に小言を呟かれており、試合をする度にトリガー構成を変える貴虎がいるのでデータに基づき戦術を組み立てるのが難しく、元A級の二宮隊と影浦隊以外の上位陣にはさっさと上の席を開けて欲しいからA級に戻れと小言が言われ、必死になって上を目指そうとしているB級隊員達にとってこの上なく面倒で、不祥事を起こす度にB級降格は止めてくんないかなとクレームが入る要因となる。
貴虎のサイドエフェクトが多方面に置いて強すぎるためにオペレーターはそこまで苦労せず、楽でつまらないらしく、隊室の備品や飲み物、お菓子、打ち上げ代等は全て貴虎の給料や貯金から引き落とされている。

UNIFORM

不祥事を起こしてB級に降格した3人を戻す為の部隊の為に3人とも隊服はそのまま。
貴虎は使う武器により服を変えるのだが、一度志村けんの白鳥のバレエ衣装を着てランク戦に挑み生駒隊を大爆笑させてしまい、試合にならなかったので過度の隊服変更は禁止と上に睨まれている。

PARAMETER

1から5段階評価(()の中の数字は貴虎がその距離をこなすトリガー構成をした場合)

近 4(5)

中 5

遠 1(5)

説明

 三輪隊での近距離戦闘をそのまま使うことができ、三輪隊に足りなかった中距離を出水がフォロー。米屋と出水の間に三輪が立つことにより、太刀川隊でも三輪隊でも出来なかった近中距離での強力な連携での戦闘を可能とする。
 唯一手薄な遠距離の狙撃は貴虎がカバー。と言うか、狙撃手が何処に隠れているのか瞬時に見抜けるのと出水と貴虎が火力ゴリ押しが出来るのでそこまで狙撃手が必要でない


FORMATION&TACTICS

米屋&三輪&出水or貴虎

 三輪隊の中距離ver

 三輪隊でも使っていた三輪と米屋が互いにフォローしながら近距離とも中距離とも言い難い距離で戦う戦法を改造したもの。
 三輪を倒そうとすれば米屋が、米屋が倒そうとすれば三輪が攻撃し、二人から逃れようとすれば奈良坂と古寺に狙撃されるのが三輪隊ver
 三雲隊verは二人が戦っている間に合成弾(コブラ)やバイパーを使い、的確に相手を貫く。


出水&貴虎


 ラビットラビット&タンクタンク

 貴虎がグラスホッパーとエスクードを1つ以上とシールド二枚を入れている時にのみ使える戦術。
 その内容は至ってシンプルで貴虎が出水をおんぶし戦う。出水が攻撃のみに集中し、貴虎が移動と防御に集中する。
 あらゆる弾を使いこなし、バイパーの弾道処理をリアルタイムで行える出水と相手の動きを完全に見切り、遠くに居る狙撃手すら見える貴虎の二人が織り成すリアルラビットタンク
 元々は人を攻撃することをしたくない千佳にと考えていた攻撃しないサポート妨害特化の戦闘スタイルをベースとしている。

出水&米屋

 ボム乱打

 威力に特化したメテオラを出水が出して、その辺に落ちてる石とかにくっつけ、それを米屋がぶん投げる。
 レイジが使うスパイダーとメテオラを合わせたブービートラップと熊谷が村上のレイガストにメテオラをくっつけてたので出来るんじゃないかとやってみたらなんか出来た戦術。威力に極振りしているので大体の隊員のシールドはぶっ壊すことが可能で10mを越えた距離になると旋空弧月以外攻撃手段を持たない米屋の中距離攻撃
 玉狛第二は威力に極振りした千佳のメテオラを修のレイガストにくっつけてスラスターで飛ばすという方法をやってみるのだが威力が高すぎるせいで爆破に巻き込まれるので実戦では使えない。

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯
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