メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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来週の月曜日まで書き溜めしておこうと思ったが、えらいことになってるので投下。


第57話

「なんだそのUSBメモリは?」

 

 鞄から出したスカルメモリを鳴らすと待機状態に苛立っていた影さんは意識を私に向ける。

 

「地獄への片道切符だ」

 

「また随分と詩的な答えだね」

 

 ダブルドライバーが悪魔(フィリップ)と相乗りする道具ならば、ロストドライバーは地獄(仮面ライダーとして戦う日々)への片道切符。

 私の答えになにか意味があるのかと王子さんは興味津々で、ロストドライバーを腰に当てると自動的に巻かれるのを見て驚いた。

 

「ベルトを自動的に巻くとか、随分と未来的やな」

 

「隠岐、それは言ったらダメなやつだ」

 

 主に平成二期以降のライダーにあるベルトを腰に当てるだけで紐が自動的に巻きつけられるシステムに感心する隠岐。

 そのシステムに関しては基本的に気にしていたら負けであり、もっと言えば体内からベルト出すタイプのライダーはどうやってとか、手動で腰に巻く系のライダーは器用に巻き付けてるとかそういう感じのを気にしてはいけない。

 

『スカル』

 

「変身」

 

 ロストドライバーにスカルのガイアメモリを挿し込み、ベルトを傾ける。

 挿し込んだスカルのガイアメモリに宿る骸骨の記憶のせいか、段々と血の温度を感じなくなり、若干だが視線が高くなった……スーツアクターとか中の人の都合的に仮面ライダーに変身すれば体格が嫌でも大きくなるのはわかるが、そこまで再現しなくても良いのにな……。

 

「たか」

 

 変身した()に驚き、名を呼ぼうとする熊谷。

 その前に動いたのは影さんだった。

 

「ちょ、タイムタイム!!」

 

 影さんは驚いたものの、一瞬で動いた。

 俺の背後に回り腕を掴んで背中を押さえ付ける、ドラマとかで警察が腕を背中に引っ張って逮捕する感じの事をした。

 

「てめえ、何モンだ!!」

 

「いやいやいや、俺ですってば!」

 

 突如として変身した俺を敵として認識した影さん。

 骸骨男になればそりゃそう思うよなと慌てながらも説明しようとするのだが、北添さんが突撃銃を構え超至近距離で向けてくる。

 

「熊谷ちゃん、離れてて。なにしてくるか分かんないよ」

 

「え?」

 

「トリガーを使う人型の近界民だね。外岡くん、隠岐くん、王子、ちょっと周りを誤魔化せる?」

 

「了解っス!」

 

「ちょ、三雲を探してきます!」

 

「本部に連絡を入れておくよ」

 

 部隊というわけではないが、連携が取れてるぞ。

 

「熊谷、ヘルプ」

 

「あ、あの」

 

「騙されんな、こいつは三雲じゃねえ」

 

 熊谷に助けを求めてみるも、影さんが問答無用で黙らせる。

 結構キツ目の殺気を俺に向けており、どうやって話し合いをしようかと考える。

 

「なんで俺が三雲じゃないって言うんですか?俺、正真正銘の三雲ですよ」

 

「ざけんな。いくらなんでもアイツがトリガーを持ってるわけねえだろう」

 

「嘘をつくならもう少しまともな嘘をついた方がいいよ」

 

「影浦さん、大変っすわ!何処にも三雲がいないんです!」

 

「んだと!!おい、てめえ、三雲を何処にやった……まさか!」

 

「だから、俺がその本人だっつってんだろ!!」

 

 隠岐が避難場所を探し回るも、ここにいるので見つかるわけもなく、影さんは既に拐われたのではと想像するが此処にいる。

 

「残念だったな。三雲は自分の事を俺なんて言わねえんだよ」

 

 信じてくれと叫ぶものの、影さんは信じてはくれない。

 それどころかスコーピオンを首元に置いて何時でも殺すことは出来ると脅してくる。

 

「三雲の奴はチクチクする不快な視線は稀に送るが、それでも普段は普通の視線だ。

それがどうだ?てめえがその変なトリガーを起動した途端に、オレはなにも感じなくなった。今こうしている時もよ!」

 

 俺に対して物凄くメンチを切る影さん。

 スカルのメモリを使っている間は死んでるも同然の状態だ。人から向けられる感情を受信する感情受信体質という影さんのサイドエフェクトと色々と相性が悪い。骸の骨である骸骨(スカル)と向かい合ったところで感情を受信することは出来ない。

 

「っ、貴虎くんは何処なの!!」

 

 影さんのサイドエフェクトでなにも感じないと分かるや否や最初は心配をしてくれていた熊谷も俺を疑い、弧月を鞘から抜く。

 

「何度でも言うが、俺が三雲貴虎だからな」

 

「明らかに体格とか違うし、ボーダーのトリガーならまだしも見たことの無いトリガーを使ってる奴が三雲くんって言われても信用出来ないよ」

 

「……影さんの実家はお好み焼き屋で、店名がひらがなでかげうら。

のれんは右からお、好、み、焼の文字が書かれていて、村上さんとかちょくちょく食べに行ってる」

 

「!」

 

 疑心暗鬼な三人に信じて貰うべく、影さんの実家であるお好み焼き屋を出す。

 影浦さんと親交のあるボーダー隊員の中では割と有名であり、店の特徴について語ると驚いて抑えている力が緩む。

 

「待って。確かイレギュラー門を発生させたトリオン兵は此方の世界を調査しにきたって」

 

「今年の俺の誕生日に影さんが奢ってやるよと言って、影さんとこのお好み焼きをごちそうになった。

その日は出水が朝から昼過ぎまで防衛任務で、遅れてやってきて、貰った誕生日プレゼントが千発百中Tシャツで影さんは結構ガチ目のトーンで在庫処分の為にゴミを押し付けるんじゃねえと言い、出水がこれ意外と売り上げが良いんですよと言い返した!」

 

 影さんの店名は調べようと思えば簡単に調べる事が出来ると北添さんが言うので俺達ぐらいしか知らなさそうな情報を上げてみるとまさかといった驚いた顔をし、力が緩んだのでゆっくりと立ち上がる。

 

「本当に三雲くんなの!?」

 

「トリガーを使ってこんな感じになりましたけど、三雲ですよ」

 

「トリガーをって、そいつは明らかにボーダーのトリガーじゃねえだろう」

 

「色々とあるんですよ、色々と」

 

「もしかして貴虎くん……」

 

「熊谷、俺は地球生まれの三門市と蓮乃辺市育ちだ……とにかく、隠岐とか呼んできてくれ」

 

 俺がトリガーを使っていると言われてもイマイチピンと来ていない。

 ボーダーから横領したトリガーならまだ分かるも、ボーダーのトリガーとは明らかに違う。自身の中にあるトリガーのイメージとは圧倒的に異なる姿の俺を信じきれない三人。

 周りに対して上手く誤魔化したり本部に通信したりしていた外岡、王子さんが戻って来た。

 

「適当に誤魔化しましたけど……なんで解放してるんスか?」

 

「人型近界民じゃなくて、俺が三雲本人だからだよ……」

 

「ダメだ。タトバの事を本部に報告しようにも、通信が繋がらない」

 

 二人の近況報告を聞き、やっと話せると大きくため息を吐いた。

 本部に通信が繋がらないのは爆撃用のトリオン兵のイルガーに爆発させられたとかそんな感じだろうな。

 

「さっき言ったみたいに本部が襲撃されたりしてるんですよ。俺の方もちんたらしてられませんので本題に入って良いですか?」

 

「本題って、なんかするん?」

 

「動けないお前達を動かす」

 

 警報を鳴らし、十数分の時間を稼いで米屋達を先に行かせた後に、向かおうと思えば直ぐに修達の元へと向かえた。

 向かえることならば今すぐにでも向かいたいが、それをやったとしても大して意味が無い。米屋や出水に言った様に、守りきれない。俺が修の所に向かったところで、他の地域に影さんの様に強い隊員がいないのがどうにかなるわけでもない。

 

『ゾーン!』

 

 トリガー使い捕獲用トリオン兵、ラービットの登場により順調にトリオン兵を倒していたボーダーの形勢は悪化。

 B級は絶対に部隊として合流するまで戦闘に参加するなとの指示がくだり、B級上位陣や個人として下手なA級よりも強い人が動くことも出来ず、尚且つその場に居る面々での混成部隊なんかも出来なかった……と言うのが原作だ。

 俺が裏で色々としてはいるものの、放送室でどうすれば良いのかと言わなくても影さん達は戦闘禁止だっただろう。

 

「動かせない駒を動かす」

 

 ゾーンメモリとスカルマグナムを取り出し、俺は残っている面々を見る。

 俺が修達の元に向かわなかったのは本当ならばこの大規模侵攻に参加する事が出来ない隊員を参加させる為だ。そして予想通りか、物凄く強いのに合流していないから動けない部隊が残っている。

 

『ゾーン、マキシマムドライブ!』

 

「さて、先ずは論より証拠だ」

 

 スカルマグナムにゾーンメモリをセット。

 影さん、北添さん、王子さん、外岡、隠岐、熊谷と扇風機の首振りの様に誰にしようかなと銃口を向ける。

 

「ちょ、なにをするんですか?」

 

「論より証拠だと言っただろう」

 

 口で説明をするのは面倒だし、なによりも出来るかどうかすら若干だが怪しい。

 外岡はイーグレットを取り出すのだが、そんな物騒なものはとっととしまってほしい。

 

「それを撃つなら僕に撃ってくれないか?」

 

 誰に撃とうかと決めかねていると、王子さんが挙手してきた。

 

「良いんですか?」

 

「なにかあるんだよね?だったら、それを見せてくれ」

 

「そうですか」

 

 この場で俺がなにかをしようとしてると考えた王子さんは胡散臭さMAXなこの状況で俺を信じてくれた。

 もしかすると普通の攻撃なのかもしれないのに、銃口を向けているのに特に怯えずにくらおうとしている姿を見て、この人は戦闘力よりも心と頭が強いなと感じ、安心して撃つことが出来た。

 

「……あれ?」

 

 覚悟してゾーンのマキシマムドライブをくらった王子さん。

 くらえばなにかあると思っていたのだが、特にこれと言ったことはなかった。

 トリオン体は破壊されていない、セットしているトリガーが使えない、全く見知らぬトリガーをセットしているなんてこともなく極々普通で違和感を感じる事も無い。

 

「お前、テレポーター入れてたか?」

 

 王子さんの身に特にこれといった変化は0……意外と重要だが、見方によれば本当に些細な事が一つあった。

 さっきまで俺の真正面180度を扇状に囲む形で真正面に影さん、影さんの右に北添さん、北添さんの右に外岡、影さんの左に熊谷、熊谷の隣に隠岐、隠岐の隣に王子さんが居た。しかし、銃を撃った後、王子さんは何時の間にか影さんと向かい合っていた。

 影さんは視界から数十メートル内を瞬間移動できるトリガー、テレポーターを王子さんが使ったのかと思ったが違うと首を振る。

 

「もしかして……」

 

 北添さんはタラリと一滴の冷や汗を流す。

 

「座標とか場所の画像とかを見せてくれれば、三門市の何処にでも飛ばせる」

 

 地帯(ゾーン)のガイアメモリを使えばワープすることが出来る。

 なら、それを弾にして撃てばどうなるのか?その答えは2つ。撃った攻撃の弾が途中でワープして撃った方向とは異なる方向から弾が飛んでくる攻撃バージョンと撃たれた対象を何処か任意の場所か適当なところに飛ばすことが出来るサポートバージョンの2つがあった。

 後はもうどうすれば良いのか決まっている。

 

「ヒカリ、今ユズル何処だ!!」

 

「イコさん、今何処すか!!」

 

 集まることの出来ない隊を、影さん達をユズルの元へと飛ばせる。隠岐達を生駒さんのところへ飛ばせる。

 そうすることにより本来ならば戦えない、戦うことが出来ない部隊を侵攻に参戦させる事が出来る。

 既に動いている部隊にああだこうだ指示だしたところで素人の俺だと色々と限界がある。本部長にやらせた方がいい。俺がやるのは動くことが出来ない人達を動かすことだ。

 

「……僕は弓場さんのところに飛ばしてほしい」

 

 後一人いれば揃うリーチ状態の影浦隊と生駒隊。

 早速通信を入れるのだが本部の方で色々とゴタゴタ(イルガー襲来とか)があり、通信が完全に復旧しない中、王子さんはチームメイトの元でなく弓場さんの元に行きたいと言い出した。

 

「いや、そういうワガママは」

 

「ワガママじゃないよ、タトバ。

今から本部内部の防衛に向かわないといけないけど、その道中で必ず近界民との戦闘が発生する。無駄な時間を使う暇は何処にも無いんだ。だったら、僕はそいつを相手にしようと思う。トノは?」

 

「多分、それが一番だと思いますよ。

内部で戦闘になったら狙撃手は使い物にならないんで、道を作るのに集中した方が早く辿り着ける」

 

 弓場さんの強さがどれぐらいなのか実際この目で見たわけじゃないが物凄く強いとサイドエフェクトが言っている。

 だからまぁ、ラービットとも勝負出来るだろうが、その時間はハッキリと言えば無駄だ。

 

「熊谷はどうする?」

 

 二人の意見を聞き、弓場さんの元に飛ばすことを決めたあと、最後に熊谷に訪ねる。

 日浦の元に飛ばすか、那須の元に飛ばすか、どちらにせよ危険度は高めだが返ってきたのはこの場に残るという第3の答えだった。

 

「この場に残るわよ」

 

「……そうか」

 

 第3の答え。この場に残る。

 外は物凄く危険で本部すらも襲撃されているので、その選択も間違いじゃない。

 

「勘違いしないで、行ったところで足手まといになるとか焼け石に水とかそういうのじゃなくて、誰かが此処に残らないとダメだからよ。規模からして警戒区域から出てくる可能性があるわ。そうなったら人が多く集まる避難場所は近界民にとって一番の穴場よ」

 

 此処にいるのは主にボーダー隊員じゃない三門市の住民で割合で言えば学生がそこそこ。

 この中に気付いていないだけでボーダーに入れるぐらいのトリオン能力を持った奴がいる……かもしれない。それに気づいた近界民が襲ってくるかもしれない……ぶっちゃければ、此処に襲ってくる状況になった時点でボーダーは負けたも同然なんだが、誰かが残っていないと大変な事になる可能性も無いとは言えない。

 本部との連絡がつくと、俺の事を報告せずに各々のオペレーターに直接通信してこの場には居ない隊員や隊長の居場所を聞き、場所を割り出すとボーダーから支給される端末で住所を入力、どの辺りなのかを画像で見せてくれる。

 

「先ずは影浦隊から……出来れば、南と東の地区で戦ってください」

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!』

 

 影さんと北添さんに弾を撃ち、ユズルの元へと飛ばす。

 

「……成功みたいよ」

 

 この場から消えた影さんと北添さん。

 ちゃんとユズルの元へと飛ばされたか確認をとり熊谷は笑う。今は一人でも多く、強い奴等が現場に駆け付けなければ大変な事になる。

 

「連れてきたで!!」

 

「ちょ、近界民!?」

 

「隠岐さん、事情の説明を!」

 

「向こうに行ってからや。頼んだで」

 

「任せろ」

 

 隠岐と隠岐が引っ張ってきた水上さん、南沢を生駒さんの元へと飛ばす。

 

「最後は二人だな」

 

「君は、どうするつもりなんだい?」

 

 王子さんと外岡を弓場さんの元に飛ばす。

 その為に銃口を向けると、それが終わった後の事を王子さんは聞いてきた。

 

「……どうしてほしい?」

 

 あえて俺はその質問に答えずに質問で返す。

 この後にすることはもう決まっている。だからこそ、聞き返してみる。

 

「そうだね……それ、銃に挿し込んでるけど、腰の横にも挿し込めるところがあるよね?

今は他人に使っているけど、君自身もワープが出来る筈だ。なら、強くて尚且つ一ヶ所に固まっている部隊を……県外スカウトに行っている片桐隊と草壁隊を今すぐに此方に連れてきてほしいな」

 

「悪いが、そんな事をしている暇は無いんだ」

 

 この場にいないA級を連れてくるのは名案だが、もう時間が無いも同然だ。

 俺の答えを聞いた王子さんはだよねと納得をしており、外岡と共に撃たれて弓場さんの元へと飛んでいった。

 

「弟さんのところに向かうのね」

 

 全員を飛ばし終え、今度は自分の番だとスカルマグナムからゾーンメモリを引き抜くと察した顔をした熊谷が声を掛けてきた。

 

「県外スカウト中の片桐隊と草壁隊が居てくれれば心強い。

でも、その為には先ずは貴虎くん自身が県外に出て片桐隊と草壁隊に直接会って、またさっきみたいに飛ばさないといけない……このワープにどれぐらいのトリオンを使っているかは知らないけど、きっとかなりのトリオンを消費する」

 

「ボーダーは、四年半前に表に出てきたボーダーは好き勝手にしたんだ。

表に出てきた後も表に出てくる前も好き勝手にしている……だったら、俺も好き勝手させてもらう」

 

 これが最善かと言われれば違うだろう。

 王子さんの言うとおり、熊谷の言うとおり県外スカウトに行っているA級の草壁隊と片桐隊を呼べば、この侵攻で少しだけ有利になる。だが、それをしない。

 

「好きにすれば良いんじゃないの?」

 

 堂々と好きにすると宣言した俺に熊谷はそれで良いと頷いてくれる。

 

「割とあっさりとしているな」

 

 もうちょっとなにか言ってくるものだと思ったのだが、なにも言わない。

 

「私も弟が居るの。もし、赤の他人二人と弟の命のどちらかを選べと言われればきっと弟を選ぶわ」

 

「今、そういう重い話は嫌なんだがな……」

 

 サラッとそういうことを平気で言える熊谷は凄いなー。まぁ、俺も言えるには言えるんだが。

 

「別に重い話じゃないわよ。

嵐山さんと柿崎さんが入隊して間もない頃に、中学生の隊員が出来たって報じて、その時に市民と家族のどちらを優先するかで家族ってなんの迷いもなく答えた事を話したかっただけよ」

 

「勘弁してくれ、俺はあんな人になれないしなりたくない」

 

「あっそ……ボーダーのトリガーと違って、緊急脱出出来ないんだから、絶対に負けるな!」

 

「まぁ、やれるだけのことはやってみる」

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!』

 

 バシンと熊谷に背中を押され、マキシマムスロットにゾーンのガイアメモリを挿し込む。

 嵐山さんの家族を優先する発言を熊谷に出されるとは思っていなかった。周りがああだこうだ言ってきたのならば、それを理由にして指示に従わずに修や千佳に色々としようと考えてたが……まぁ、やれるだけのことはやってみる。

 

「……っ!!」

 

 ゾーンのメモリを使いワープした俺を見送った熊谷は地面を強く殴った。

 

「なんで、なんで私はここにいるの!!」

 

 俺が居なくなった後、此処に残ろうと決めた熊谷は地面を殴る。

 那須が緊急脱出したらや日浦の事を考えたり、万が一に備えてこの場に残った。残らないといけないから残り、そうしなければならないと熊谷は自分の中でも一応の納得はしているのだが、怒り、苦しんでいる。

 

「こうなることが分かってたのに……」

 

 誰よりも何処よりも早く大規模侵攻があると間接的だが伝えられていた那須隊。

 その為ではないが強くなろうと上を目指そうとしたが、結果はB級7位と上位止まり。しかもそれは今とは違い影浦隊や二宮隊が居ない時で、今は益々と上の壁の厚みが酷くなっている。

 後から入ってきた緑川や黒江といったボーダー的な意味でも年齢的な意味でも年下な隊員は既にA級で、実力は自分よりも遥かに上回っている。

 こうなることが分かってたのに、それが来ても良いようにと必死になって努力したが、それでもまだまだ弱い。

 

「私が強くならないと、いけないのに……強くないから停滞しているのに」

 

 自分がこうして残っているのも、B級上位で安定することも出来ずに中位で停滞するのも、全て自分が弱いからだ。

 弱いから此処に残ったのではないが、それでも自分の弱さに怒る熊谷は右手の甲を見る。右手の甲には7849と数字が浮かんでおり、その数字は熊谷が使う弧月に与えられたポイント。自身が弱いという証明になる証だった。

 

『こちら本部!爆撃に遭い、通信が乱れたわ。

冬島隊員の名を騙った三雲(兄)の身柄はどうなったの?こっちのレーダーには、貴女しか写っていないのだけれど』

 

「……実はですね」

 

 泣いている暇は何処にもない。

 今は自分の悔しさや怒りを押さえ込み、自分に出来ることをしようと熊谷は前を向いて、俺についての説明をはじめた。




当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定というなの裏話

T2ゾーンメモリ

説明

26番目のT2ガイアメモリで、ZのZONE。
地帯の記憶を宿しており、座標さえ知っていればワープすることが可能なガイアメモリで基本的に移動短縮とか物を集めたりに使う。
ベルトのマキシマムスロットに挿し込めば自身が知っている場所にワープをしたり、近場の物を集めることが出来る。
スカルマグナムやトリガーマグナムの様な銃のマキシマムスロットに挿し込んで撃つ場合は2パターン存在し、1つは撃った相手を何処かにワープさせる弾。もう1つは撃った弾をワープさせて不意討ちをする迅と貴虎のサイドエフェクト以外では回避不能(防御及び全て斬るのは可能)の奇襲に向いた技。

T2スカルメモリ

説明

19番目のT2ガイアメモリでSのSKULL
骸骨の記憶が宿っており、貴虎との適合率は二番目に高く、エターナルメモリを使えば面倒な事になるので基本的にロストドライバーで戦う時は基本的にスカルメモリで戦う。
使用している間は骸骨となり、生と死の境界線上を越えたり越えてなかったりとなにかとややこしい状態になり基本的に死んだ骸骨。
骸骨の為か生態由来の攻撃(毒ガス、水分を抜き取る、光で視界を遮る)は全くといって通用せず、対人系の一部サイドエフェクトが効かず、生体反応(トリオン反応)で調べるレーダーにも引っ掛からない(そこに物があるかどうかの質量等のレーダーには引っ掛かる)
例として自身に向けてくる人の感情を受信する感情受信体質の影浦に怒りや敵意の感情を向けても、人に対して効果を発動するサイドエフェクトなので骸の骨であるスカルの感情は受信しない。
死んでしまった人間に来世はあっても未来はもう存在しない。その為か未来視のサイドエフェクトを持つ迅でも骸の骨であるスカルの未来は視ることは出来ず、変身している間は迅のサイドエフェクトを無力化する。
ノーマルトリガー時は射程が短く、黒トリガー時も何処に刃を放ったのかサイドエフェクトでバレバレで尚且つ銃を使ってくるので迅にとっては仮面ライダースカルとなった貴虎はこの上なく相性の悪い相手で迅を完封出来る形態の1つ。

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯
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