「思ったよりも、やるようだな」
三門市を絶賛襲撃中の近界民の国の一つ、アフトクラトル。
そのアフトクラトルの面々が別の近界や此方の世界に来る為の船の会議室のようなもので戦況を眺めている。
近年、玄界(地球)でトリガー使いが現れ組織を立ち上げ人を拐うことが出来なくなるどころか同じ場所にしかトリオン兵が出せなくなったとの情報を得て、玄界について調査をすべく、あわよくば人を拐うべくラッドを放った。
大事になるかと少しだけ期待はしたものの、結果的には5回にも満たない回数しか門は開かない。それどころか、よく分からないトリガーを使ってないメガネの成人男性(貴虎)に物理的に破壊され、幼そうなメガネに相手の基地に持ち出され、あっという間に解析され駆除された。
駆除の際にボーダーの隊員が総動員で動いた為、情報を得ることが出来ると思ったのも束の間、右を見ても左を見てもメガネ、メガネ、メガネで三種類の武器しか使っていない。
ラッドは他国でも使われる偵察をする為のトリオン兵。玄界もその事に気付き、トリオン体を弄くり武器を統一した。その為か、あまり情報を得ることが出来なかった……あまりだ。
「全て統一されていない色とりどりの服。
最大で4名で固まって動いているのを見る限りは、少数の部隊で回しているのか」
アフトクラトルの今回襲撃した近界民の隊長である黒い角のはえた男、ハイレインはじっくりと品定めをする。
モールモッドのように量産され何処の国でも使っている特に変哲も無いトリオン兵はあっさりと撃破。イルガーの様に爆撃型のトリオン兵も一度は本部を攻撃するもその後は真っ二つに切断。玄界の成長も中々だと思い、次に打つ手を考える。
尚、モールモッドを簡単に倒したボーダー隊員も普通のラービットには苦戦しておりボーダー隊員を1名、捕獲に成功している。
「なにを今さら情報を集めてんだよ。
玄界の兵なんぞオレ一人で充分なんだから、チマチマしたことしてんじゃねえよ、隊長さんよ!」
ハイレインと同じく黒い角がはえたオカッパ+ロン毛みたいな髪型の男、エネドラは暴れたくてウズウズしていた。
ボーダー隊員の強さが分かり、有象無象の雑魚も同然だと見下している。悲しい話、それは事実であり暴れて全員をぶっ倒せば良いだけだとハイレインに出撃命令を出せと言う。
「口を慎め、エネドラ。上官に対して失礼だぞ」
「あ、テメーこそ誰に向かって口を聞いてるんだ?雑魚が!」
アフトクラトル側で最年少の黒くない角つきの男、ヒュースは注意をするもにらみあう。
一触即発のギスギスとした空気となる中、最年長であり角が生えておらずこの中で最も危険な老人、ヴィザが杖をコツンと鳴らすとその空気は消える。
「いけませんよ、この様な狭い場所で、ましてや船の中での戦闘は」
「……っち」
「申し訳ありません」
余りにも酷すぎると私が動く。
遠回しにそう伝えるとにらみ合いが納まり、話が戻る。
「皆殺しはともかく。オレもそろそろ動きたい。船は窮屈で、このままでは腕が鈍ってしまう」
黒くない角をはやした大柄の男性、ランバネインも出たいと言う。
「まぁ、待て。お前達の出番はもうすぐ来る……どうだ?」
「メガネ、ではありませんが白色の服を纏った玄界の兵達は戦闘以外の、街の住民の避難等を優先しています」
後少し、後少しで動くと我慢させ唯一の女性であり黒い角をはやした女性、ミラに調べて貰った事を聞いた。
「メガネの方はどうだ?」
「幼い方のメガネは現在、戦闘中です。
ですが特に目立った強さは持っておらず、アフトクラトルの角なしの子供よりもトリオンが低く、その直ぐ近くにいる玄界の民の方がトリオンを含め全てのレベルが高いです」
「大人の方のメガネはどうだ?」
「未だに行方が分かりません」
「そうか……」
門を発生させる機能を備えたラッドを放ったアフトクラトル。
ボーダーはラッドの存在に全くといって気付いておらず、門を発生させる機能とあいまって、効果は絶大……だった。
普段とは違うところに門が発生した為に全くといって備えが出来ておらず、非番のボーダー隊員が出動するというアフトクラトルに圧倒的に有利な状況になっていたのだが、二人のメガネにより情報を得られなかった。
「大人の方のメガネはマークしておけ。やつは危険な存在だ」
「おいおい、たかがラッドを見つけただけだろ?そんなもん、ガキでも出来ることだ」
ハイレインは大人のメガネ(貴虎)を危険な存在だと認識していた。
「確かにラッドは子供でも見つけることは出来る……情報があればだ」
門を発生させる機能を備えたラッドを町中に放った。
それを偶然、誰かが見つけてラッドの駆除がはじまった……と言うことならば話は分かる。だが、そうではない。
「あの大人のメガネは、ラッドがいることを見抜いていた」
イレギュラー門が幾つも発生しており、世間にも色々と知られているのならまだしも数回しか門は開いておらず、更に言えば二人のメガネが住んでいる家付近では門は一切開いていない。それなのに大人のメガネはラッドがイレギュラー門の原因だと分かっているかの様に探し出しており、玄界のトリガーを使う組織に渡るようにした。
実際のところは貴虎が死人が出たことを思い出したので、さっさと片付けようとしただけであり、それが裏目に出てハイレインに目をつけられていた。
「それでどうするんだ、隊長殿?」
様子見をするのはまだ良いが、この後にどうするのかを聞くランバネイン。
襲撃する側のアフトクラトルと防衛する側のボーダー、圧倒的なまでにアフトクラトルの方が有利であり、基本的になにをしても有利に事が進む。
「脱出機能を作ったエンジニア、玄界の長の首、もしかするとあるかもしれない黒トリガー、雛鳥、どれも捨てがたい」
現在、ボーダーの戦力を拡散させることに成功している。
襲撃してきたアフトクラトルの目的はボーダーを殲滅するにあらず、優秀なトリオン能力を持った人間を拐うこと。しかし、それ以外の事も今後の事を考えればしたいところ。
拡散した戦力の大半は並のボーダー隊員でラービットを相手にするのは難しく、A級(唯我を除く)が相手にしなければならず、ラービットよりも強いトリガーを使う人間である自分達が出向いて倒す。
ボーダーのトリガーに緊急脱出機能があるのは分かっている。脱出先がバカデカい基地なのも見抜いている。並の兵をラービットが、強い奴を自分達が倒して捕獲または緊急脱出、その後に本部を襲撃すればトリガーを使用する事が出来ないボーダー隊員を楽々と捕まえることが可能だ。
「奴等の底がまだ見えない以上、まだだ。
現に玄界の基地から北西の方に放ったトリオン兵が一掃された。今は、白色の隊服のものを拐うのを優先する」
まだ底を見せていない。
ハイレインはもう少しと様子見をすることを決めた。
「お~……まったいら。根付さんと唐沢さんがまた大変な事になるな」
実力派エリートこと迅は北西の地区……だった場所に辿り着いた。
北西の地区は隕石でも落ちたのかはたまた核兵器でも使用したんじゃないかと疑う程の更地で、そこにポツーンと一人の男が、ボーダーに今、一人しかいないS級隊員の天羽がいた。
「これもうちょっとどうにかならなかったか?」
「迅さん」
土地を使わせてもらっているのに、更地にしてしまった天羽。
こりゃまた胃を痛めるなとサイドエフェクトで根付が天羽のやった更地の事で苦しんでる未来を見てしまう。天羽の黒トリガーの都合上、こうなるのは分かるがもう少し優しめにと訴えるのだが面倒そうにする。
「やだよ、どいつもこいつもつまんない色を出してる雑魚ばっかでやる気なんて起きないよ」
「おお、逞しいな。そんな逞しい天羽に一つ頼みたい事があるんだけど、良いか?」
「なに?」
「オレの担当の西側もしてくんない?」
「ええ……なんで?」
迅は西を、天羽は北西に向かうトリオン兵を倒せと命じられた。
その命をちゃんと遂行しており、雑魚退治を面倒そうにする天羽。迅はぼんち揚げを取り出して天羽に渡す。
「敵さんが本格的に動きはじめるから、オレも動いた方が良いみたいで……?」
「どうしたの?」
天羽に渡したぼんち揚げを1つ食べようとしながら、自分の出番だと説明しようとした時だった。天羽から1つ、不思議、と言って良いのかは分からないなんとも言えない不思議で不確定だが向かおうと思えば向かえる未来が見える。
それは誰かに勉強を教えて貰っている未来。天羽はS級で、下手すれば風刃を握った自分よりも強い。しかし、京介同様に高校一年生であり、成績は中の下でなんとも言えない成績。高校1年には別役太一、高校2年には仁礼光、米屋陽介、高校3年には当真勇、そして大学には太刀川と成績が残念すぎる面々が居るので、勉強をしておかないと色々と五月蝿い。
今日は1月20日で三学期のテストまではまだ時間があり勉強をするのは普通のこと……なのだが、問題は場所と教えてる人物である。
その未来では天羽がボーダー本部の休憩スペースでテスト対策の勉強を教わっているのだが、その教えてくれる相手が誰なのかが分からなかった。目ぼしいボーダー隊員の顔は知っているボーダー内限定では超有名人の迅が知らない人物。
「……天羽さ、テスト前に勉強を教わったりする?」
「教えてくれる人は居るよ。
俺、真ん中ぐらいの成績だから別に教わることなんてないし別役を教えた方が良いんじゃないかって言ったら、あいつは知らん、お前は危険な事をしてるんだからせめて良い成績をとって親を安心させた方がいいって言ってきたよ」
「……そいつ、誰だ?」
「迅さん、なにが見えたの?」
「ここ最近、オレのサイドエフェクトが上手く当たらないんだ。
その原因が米屋と出水の知り合いみたいなんだけど、オレが知らない人物なんだ」
割とボーダー隊員の直ぐ近くに居る未来が多々見えるのに、その人物だけは見えない。
その人物に会おうとしても会える未来が存在せず、逆探知しようにも出来ない。まるでそいつも未来を見ているかのようだ。
「ああ、確か二人と同じクラスだったよ……三雲さんは」
「……え?」
「あの人、ボーダーの隊員じゃないのにとんでもない色を出してる。多分、忍田さんより強いよ」
天羽から聞けた意外すぎる人物と余りにも意外すぎる情報。
迅は修に兄がいるのを、貴虎の事を一応名前は知っている。京介達が防衛任務で授業を受けられていないので勉強を教えたり、米屋達にノートを貸したりしており、視力を強化するサイドエフェクトを持っている。ボーダーという組織は嫌いだが、そこで働いているボーダー隊員は別と一線を引いている。
そんな人物が1位の太刀川の師匠で太刀川よりも強い忍田本部長よりも強いと言う。
「ボーダー隊員でもないのに、忍田さんよりも強い……いや、待てよ」
ボーダー隊員ならまだしも、一般人(笑)の男が忍田本部長よりも強い筈がない。
そう否定をしようとするのだが、あることを思い出す迅。スカルのことではない、それよりも遥か昔、そう、ボーダーが表に出た大規模な侵攻があったあの日のことで、自分が出来る最善のことをやろうと必死になってトリオン兵を退治していた時を思い出した。
「あいつ、まさかメロン剣士か!?」
天羽に自分の地区を頼みに行ったら予想外にも程がある情報を得た迅。
暗躍どころの騒ぎではない時、ボーダー本部は爆撃型のトリオン兵、イルガーの襲撃にあった。
数体のイルガーの内の一体が今です自爆しなさいの勢いで自爆をして本部の基地を攻撃するのだが、幸いというべきか少し前に千佳がアイビスで大穴を開けた為に本部の壁は補強されており、破壊されずにいた。
しかし後、何回か爆発されれば流石に本部も壊れる。イルガーがどんなトリオン兵なのかレプリカから伝えられると本部に居た太刀川が残っていたイルガーを全て真っ二つにした。
「通信が完全に復旧しました」
爆撃により通信が乱れてしまった。しかし、復旧はした。
乱れる直前に通信を取ろうとしていた嵐山隊に忍田本部長は通信を入れ、乱れたことを詫び本部の無事を伝えて指示をしようとした時だった。
『影浦隊到着!!近界民をぶっ潰しまわる!!』
「え!?」
『生駒隊、現着しました!今から、バッサバッサと倒しますわ!』
「ど、どういうこと!?」
影浦隊の隊長である影浦と生駒隊の隊長である生駒から通信が入った。
現場に到着したのでトリオン兵を駆除するという通信。元A級にB級上位の部隊が揃い来てくれることはとても良いことなのだが、S村さんは驚いていた。
「どうして貴方達がそこにいるの、ついさっきまで避難場所に居たわよね!?」
影浦、北添、水上、南沢、隠岐。
この5人は部隊が揃いそうに無いので避難場所を襲撃されない様にと色々としていて、ついさっきまで三雲貴虎の身柄を確保する様に命じられていた。
モニターに映る三門市の地図を見るS村さん。ついさっきいた避難場所と今いる場所を確認し、距離がどれぐらいかとざっと簡単に計算し、その上で叫ぶ。
「建物を跳んでいっても間に合わないわよ!?」
マリオの如く立体的に建物から建物へと移動したとしても、今いる場所に向かうことが出来ない。
機動力に優れた隊員ならばもしかしたらとなるが、影浦隊には機動力が無い(足遅い)北添がいる。爆撃を受けて、通信が乱れている間になにがあったのか、生駒に問い質してみた。
『それがなんか急に現れたんです』
「どういうことだ!?お前達、なにをしたんだ!?」
生駒から出た答えは生駒自身も全くといってわかっていないということ。
落ち着きを少しずつ取り戻した本部は生駒隊と影浦隊に意識を向け、どうやって現場に向かったのかを鬼怒田さんが聞いた。
『オレが聞きてえぐらいだ!!熊谷に聞いてくれ!!』
『取りあえず、ワープできるらしいからワープして貰いました』
「なにい!?」
言っていることから何となくだが話の流れを掴む鬼怒田さん。
モニターを確認すれば避難場所に熊谷だけ残っており、王子と外岡は本部に向かっている弓場の直ぐ側に居ることが判明した。
「こちら本部!爆撃に遭い、通信が乱れたわ。
冬島隊員の名を騙った三雲(兄)の身柄はどうなったの?こっちのレーダーには、貴女しか写っていないのだけれど』
急に現れた。
生駒もユズルも弓場も似たような事を言い、ワープした者達もワープしてくれるからワープしてもらったと述べる。
そうなれば矛は当然、熊谷に向く。忍田本部長は避難場所ではいったいなにがあったのか、残っている熊谷に聞いた。
『実はですね、本部が貴虎くんと通信を切り、通信が乱れている少しの間にですね、その……トリガーを起動しました』
「どういう意味?」
『USBメモリの様なトリガーを貴虎くんが取り出しまして……確か、スカルと音声が鳴っていました』
「なんじゃと!?」
今日いったい、何度言うんだと言わんばかりに叫びまくる鬼怒田さん。
「まずいですよ。避難場所に近界民が紛れ込んでいたとなると」
避難場所に何時の間にやら近界民が紛れ込んでいた。
そうなると今やっている事がなにもかも無駄になると根付さんは顔を青ざめさせるのだが、それよりも恐ろしい事を報告する。
『影浦さんが近界民だと思い取り抑えました。
トリガーを起動したから貴虎くんじゃないと一早く動いて動きを抑えたのですが……貴虎くんでした』
スカルが貴虎に成り済まして現れたと思ったら、貴虎だった。
「どういうことだ?」
それには黙っていられなかった城戸司令も口を開く。
『最初は貴虎くんは何処に行ったかを聞いたんですが、自分がそうだと言って、影浦さんの家がお好み焼き屋をやっていることや出水の千発百中Tシャツの様な、近界民が知っていたらおかしそうな事を普通に言っていました。その後に、ワープが出来ることを教えられて、ワープをして貰いました』
スカルについて色々と情報を集めるも、全くといって良い程集まらない。
残留しているトリオンを調べることも出来ず、かといって何処かで門が開き、そのまま帰った痕跡もなく、近界民が逃げ込んだと大々的に報じることも出来ず、野放しになっていた。
「……根底から間違っていたのか」
必死になって探すも見つからない。半年以上も此方の世界にいるならば、なにかしらのボロは出す。
もしかすると遊真を此方の世界に連れてきた人物かもしれないという線もあり、他にも色々と考えられる事があったのだがボロらしいボロは何処にも出ていない。三門市に在住の身長約2メートルの男性を色々と調べてみるも、トリオン豊富でも弓場並の銃の腕を持つ該当者は何処にもいない。
城戸司令はそこでやっと気づく。そもそもの根底の部分が大きくズレていた事を。
風間隊を襲撃したスカルはトリガーを使う近界民ではなく、トリガーを持っている此方の世界の住人だと気づく。捜査する上で街に紛れ込んだ近界民を捜査しており、出生の記録や学校に通っている記録のある住人は自動的に省かれており、探しても探しても見つかるはずが無い。
「何故、今の今まで報告しなかった!」
『真っ先に報告しようとしたのですが通信が乱れていて出来ませんでした』
割と重要な事を報告しなかった事に怒る鬼怒田さん。
しかし、熊谷を責めることは出来ない。数分ほど前に何度か影浦や王子達から通信した記録が残っており、爆撃を受けて本部側の通信が乱れてしまったのだから熊谷達に非はそこまでない。
「スカルはその場にいるのか?」
『この場には居ません』
「行き先は……三雲隊員と繋げてくれ」
行方知らずのスカルの行き先を考えるが、それよりも最終的に何処に辿り着くか考えた城戸司令。
今の今まで黙りこんでいた存在が今になって動き出した。それにはなにかしらの訳があり、その訳となれば真っ先に浮かぶのは家族。弟が危険な事をしているとなれば、なにもしない兄は早々居ない。
「三雲!!お前、どれだけ騒ぎを起こせば気が済む!!」
『え!?』
修に通信を入れると真っ先にキレて叫んだ鬼怒田さん。
血圧が上がりすぎて血管が切れるんじゃないかと思えるぐらいの勢いで叫んでおり、修がスカルについて黙っていたことに怒る。
『どういうことですか?』
「惚けるな!お前の兄が、スカルだったぞ!!」
『そうですか……』
「驚かない、と言うことは君は兄がスカルだという事を知っていたのかね?」
『……大体は知っています』
「そうか」
修はスカルについてなにも知らないだろうなと勝手に思い込んでいて遊真にだけスカルについて知っているのか聞いていたので、勝手な先入観に囚われて修を省いたのが悪い。言わなかったことが最も悪いのだが、今ここでその事について責めている時間は無い。
「君の兄がどうしてトリガーを持っているか、色々と聞きたいことがある。
だが、今はそれをしている暇はない。聞こう、君の兄はなにをしようとしている?」
修を裁いたり、貴虎を捕まえたりと本当ならば色々としたい。
そんな暇は何処にもなく、この世界を襲撃してくる近界民にいっぱいいっぱいどころか人手が足らない。だから聞いた。なにをしようとしているのかを。
最初に現れた時は風間隊の敵として現れたが、今度は動けない影浦隊や生駒隊の手助けをしており、なにがしたいのかが読みきれない。
『分かりません』
なにをするのかがよく分からないので、修ならばなにかを知っているかもしれない。
そう思い聞いてみるものの、当の修もなにをしようとしているか分かってはいない。
『兄さんは僕と違って何手先でも見ることが出来るので意味の無いことはしません』
今現在、あちこちが大変な事になっており誰かの手を借りたい状況で、修も誰かの手を借りたい。
C級は一般市民の避難を、S級は一つの地区を担当、A級や部隊が揃ったB級はラービットを含めたトリオン兵と戦っている。それぞれがそれぞれの役割を果たしている。
今日来る事が分かっていたのならば、学校を休むという選択肢も存在していた。成績の良い兄は一日二日休んだところでなにも問題はない。だが、それでも学校に行った。
『兄さんが、なにかをしたのならそれは意味のあることです。信じてください』
「……ならば、もう一つだけ聞こう。君の兄は味方かね?」
『兄さんは僕と千佳の味方です』
「そうか……」
ついさっき本当に少しだけ会話をしたがボーダーに対して嫌悪感を剥き出しにしていた。
修は味方ですと言わずに自分と千佳の味方だと言った。その事でどうするべきかと考えるのにも時間は足りない。今は戦力をどう分散させるか、誰を何処に配置し向かわせるかが重要で、何処にいるのか一切分からない男の足取りを探す時ではない。
少なくとも動くことが出来ない影浦隊や生駒隊を揃え、此方に向かおうとする弓場の元に外岡と王子を飛ばしたのをみて、今は敵ではないと考える。
『本部長、避難が進んでいる地区のC級の援護に向かわせてください!!そこには、その地区には僕達のチームメイトがいます』
避難が進んでいない地区を優先し、一ヶ所ずつトリオン兵を倒す方針に決まったが千佳が心配な修。
避難が進んでいる地区にも戦力は必要で、本部長はそれを許可しようとするのだが城戸司令はそれを許可しなかった。正確に言えば、修が向かうことは良いが、自身の黒トリガーを起動した遊真は市街地には向かってはいけないと、ラービットを倒せる黒トリガーを持て余す余裕がなく一人で向かうように言うのだが
「私が三雲くんに同行します!」
修と遊真の直ぐ側にいた嵐山隊の木虎が自分も向かうことを言う。
本部長からの信頼も厚い嵐山隊。あっさりと認可され、千佳達の所に向かうことに。
「ありがとう、木虎」
自分一人ではトリオン兵が倒せる自信がなく心細かった修。嵐山隊の木虎が来てくれるなら安心だとホッとする。
「勘違いしないで。B級の貴方が行くよりも私が行った方が効率が良いのよ。貴方が言わなければ、私が言っていたわ。ついてくるなら、勝手にしなさい」
修のお礼を素直に受け取れない木虎。
言っていることが若干正論なので言い返すことも出来ず、千佳達がいる地区へと向かった。
「ただいま」
その頃の貴虎はというと、家に帰っていた。
当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定というなの裏話
アフトクラトル
近界の中でも大きく神の国と呼ばれている国。
他の近界民の国と比較しても段違いであり黒トリガーが13個も所持している記録がレプリカにある。
トリガーを使う人間を捕らえるトリオン兵ラービットだけでなく、後天的に優れたトリオン能力を得る角の様な見た目トリガーを脳に埋め込んだりするトリガーに間する技術にも優れており、国は4人の領主で回している。
近界民が済む国自体がトリガーで出来ていてマザートリガーと呼ばれており、定期的に人柱的な生け贄を捧げなければ国自体が崩壊(物理)し、マザートリガーの寿命が来ていて人柱的な生け贄を捧げなければならない。
修の様にトリオン能力に優れていない人間を生け贄にすれば国は小さくなり(物理)、逆に千佳の様にトリオン能力に優れまくった人間を生け贄にすれば国が大きくなる(物理)ので、トリオンが豊富な雛鳥を探して色々な国を四人の領主達が選りすぐりの精鋭を率いて襲撃。
マザートリガーに捧げても良いレベルのトリオン能力を持つ人物を連れてくる事に成功したら、アフトクラトルの次の政権を握ったりすることが出来るので割と必死なのだが、国の住民同士が色々とゴタゴタしている。しかしそんなのは何処でも同じである。
今回、襲撃してきているアフトクラトルの近界民6人の内の5人が角持ちで、内2人はアフトクラトル特製の強力なトリガー。残りの3人は強烈極まりない黒トリガー使い。
唯一、角がないジジイはアフトクラトルで国宝扱いの黒トリガー使いで、トリオン体なのでスタミナ云々の概念は無く、若々しい肉体と老練された技術を巧みに扱い大人の余裕を常に崩さない……ジャンプ作品のジジイはマジで油断できない。難易度ルナティックな相手である。
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