メガネ(兄)   作:アルピ交通事務局

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第67話

「ところでそれ、動けるんすか?」

 

「問題ない」

 

『ヨロイモード!』

 

 スイカアームズへとアームズチェンジした貴虎。

 スイカからひょっこりと頭を出しているだけで、このままドングリコロコロ宜しく転がるのかと気になった夏目が聞くと大玉モードからヨロイモードへとチェンジ。ヨロイモードのスイカアームズを見たC級隊員はなにが襲って来たとしても勝てると喜ぶ。

 

『ジャイロモード!』

 

 ヨロイモードの動作を確認した貴虎はスイカアームズの3つ目のモード、ジャイロモードへとモードチェンジ。

 プロペラの音を鳴らし、ほんの十数cmだけ滞空し千佳が居る方向を向く。

 

「千佳、いくぞ」

 

「?」

 

 貴虎の差しのべた手について理解していない千佳。

 やっぱりかと貴虎は自分の口から今からどうなるのかを語る。

 

「作戦を実行するには、なによりも俺達が必要だ。

一秒でも早くボーダーの本部に帰らないとならない……俺と千佳は別のルートを使う」

 

 二人は一秒でも早く向かわなければならない。

 全員を連れて陸路を走っていくルートは道中にトリオン兵に襲われる事を考慮しても本部に辿り着くまでに余りにも時間が掛かる。住居をマリオの様に跳び移る三次元的な立体移動で一直線に向かおうにも、引き連れているのは訓練生のC級。全員が常に一定の速度を保ちつつ一直線で走ることは不可能で千佳と貴虎は別のルートを通る。

 陸路がダメならば水路……と言いたいが、使えそうにない。となれば、残るは空路。

 空にはトリオン兵がいるがバドと言うトリオン兵で、色つきのラービットですら秒殺できる貴虎にとって千佳を連れてジャイロモードで倒すのは造作もなくなによりも早い。

 

「千佳を掴んでいくから最高速度を出せないが本部には数分で辿り着く」

 

 ジャイロモードの飛行速度は200kmを越える。凄くちゃっちく言えばドローンの三倍の速度で飛び回ることが出来る。

 千佳がいるので最高速度で向かうことは出来ないが、それでも歩いたり跳んだりして本部へ向かうよりも早く辿り着く。そして言わないが、千佳が居なくなればトリガー使いが自分達を襲ってくることは基本的に無い。トリガー使いはだ。

 門を開くラッドが送り込んでくるラービット等のトリオン兵は別で、千佳を優先せずに他のC級を狙う。

 

「京介……誰かと合流するまではお前一人だ」

 

 千佳の離脱はメリットとデメリット、両方ある。

 トリガー使いに襲われる可能性が減るのがメリットで、千佳のトリオンを使っての攻撃が出来なくなるのがデメリット。

 A級をも倒すラービットが複数出ると京介一人ではどうにもならない。実力云々の話でなく、単純に数が足りない。

 

「俺だけ……修は」

 

 誰かと会うまで一人で戦い抜かなければならないことを教えられると、数に数えられていない修を見る。

 修の手にはレイガストが握られているのだが、シールドもブレードも出ていない。出せないと言った方が正しい。

 

「もう、無理だ」

 

 千佳のトリオンを使用すべく臨時接続をした修のトリオン体には異常が起きた。

 セットしているトリガーが使えなくなり、修はシールド1つ出すことが出来ない。元より戦力として数えられるのか怪しいレベルの修。トリガーでの攻撃が出来ない以上は、京介一人で頑張るしかない。

 

『機能障害が起きている。この場所に直せる手段はなくトリオン体を一度破壊して再構成するのが一番手っ取り早い』

 

 天下の鬼怒田さんがいる本部やメガネ会長こと宇佐美がいる玉狛支部でならば機能障害を直せるがこの場所で直す術は無い。

 

「緊急脱出するか?」

 

 ジャイロモードのバルカン砲を向ける貴虎。

 それで撃てば修のトリオン体は破壊され、玉狛支部へと緊急脱出して終わる。

 

『兄殿、聞いてはいけない。撃つんだ』

 

 戦えないと分かっている以上は撃って楽にする。

 修の心の強さと戦闘の弱さを遊真と共に見ていたレプリカは修を撃つように勧めるのだが撃とうとしない。

 戦えないと分かっているのならば、撃たなければならない。戦うことができなくなった修がラービットに捕まらない様にするには緊急脱出するしかない。そんな事を分からないほど貴虎はバカじゃない、なのに撃たない。

 

「僕は、このままいくよ」

 

 レイガストを入れるホルスターに入れていたロストドライバーを取り出す修。

 修が戦えないのは機能障害によってアステロイドやレイガストが使えなくなったから。それならば何をすればいいか、別のトリガーを使えばいい。幸いと言うべきか、修の手元には別のトリガーが、ロストドライバーがある。

 

「つかない?」

 

 ロストドライバーを腰に当てる修だが、ロストドライバーから紐が出ずに装着されない。

 何度も何度も腰に当てるのだが一向に反応せず、どう言うことかと貴虎に聞こうとするまえに貴虎は答えた。

 

「今、お前はトリガーを使用している状態だ。それは別のトリガーだぞ」

 

 ボーダーのトリガーを使用している状態だから、ロストドライバーというトリガーを使えない。ボーダーのトリガーをサポート出来ても同時使用は不可能である。

 

『オサム、兄殿の持つトリガーは特殊だ。ボーダーのものともアフトクラトルのものとも違い、緊急脱出はできない。それを使えばどうなるかは私にもわからないが、君は此処からの戦闘には向いていない』

 

「僕は弱いよ」

 

 ロストドライバーを使うことを推奨しないレプリカ。最終警告をするのだが、修は折れない。

 

「弱いし、運が悪かったり、貧乏くじを引いたりして、知らないことが多い。

これを使ったら大変なことになるのは知っているけど、どう大変になるのかは僕も知らない。けど、だからってなにもやらない訳にはいかないし、なにもやらなくて良い理由にもならない」

 

『オサム……』

 

「心配してくれてありがとう。

危険だとしても僕が、そうしたいとそうすべきだと思ったから使うんだよ」

 

 ここぞという時に逃げない為にも、自分がそうすべきだとそうしたいと思ったことをする修。

 今がそのここぞという時。どれだけの危険があったとしても、修はロストドライバーを使うだろう。

 

「それを使ったら最後、弾を撃つのもシールドを出すことも出来ないしお前は弱い。使えるものは全て使え」

 

 トリガーを解除するまえに忠告する。

 修のトリガーは機能障害が起きているだけでトリオン体はピンピンしており、それを生かすに越したことはない。

 これからどんな奴と戦うかは分からないので一度だけどんな攻撃を受けても大丈夫な体は役に立つ。 未知の相手ならば、あえて一度攻撃を受けてどういう攻撃をしてくるか学習することが出来る。

 

「出穂ちゃん、コレを」

 

「コレって、メロンさんがチカ子に渡した物じゃ」

 

「今からトリオンが無くなる私が持っていても意味が無いよ。

コレの使い方は知っているけど、コレでなにが出てくるかは分からない。けど、貴虎さんが渡してくれた物だから、きっと貴虎さんの代わりになってくれると思うの」

 

「それ本当にいざというときに使えよ」

 

 本部に辿り着けばトリオンをサクラハリケーンに注入し、本部で待機するだけで、そこからなにも出来ない。

 この場を去る千佳も最後の置き土産として出穂に貴虎が渡したロックシードを渡し、使い方について説明をする。

 

 

 

 

 

 城戸司令からアフトクラトルの船をハッキングする作戦を行うと、動ける部隊に通達された。

 

「空飛ぶスイカは敵でなく味方で、撃つんじゃないってメロンくんなんでもありだな」

 

「オサムのおにいさんはメロンなのかスイカなのか、どっちなんだ?」

 

 その通達を聞いて三3三の顔になる遊真。

 空飛ぶスイカは敵でなく味方で撃つんじゃないとハッキリと言えばなに言ってるか分からないのだが、文字通り空飛ぶスイカになっている。未来視を利用して貴虎がスイカアームズになっている未来を見ている迅はなんでもありだと笑う。

 

「それでジンさん、おれたちはどうすれば良いんだ?」

 

 空飛ぶスイカを撃つな以外にも本部に向かう修達のサポートもしろと通達が来ているのだが、何処もかしこも手一杯。

 迅も遊真も確かな実力者であるから会話をする余裕があるのだが、そこかしこにトリオン兵がいる。そのトリオン兵を倒すことは二人にとって造作もない事だが、倒す時間を別の事に使うべき、例えば修達の元に向かうとかと考える。

 

「オサム達のところに向かえるのなら、早く行きたいんだけど」

 

 本音を言えば今すぐにオサム達のところに向かいたいのだが、向かうに向かえない遊真。

 単純に敵と間違われるからと折角の黒トリガーなんだから働けとラービット撃退をさせられている。

 

「数十秒だけ待ってくれよ」

 

 急いで行きたいが、それが凶と出ることだけは避けたい。

 迅の未来視で修達のところに向かうのは良いことなのか視て予測してもらうのだが、ここで1つのアクシデントがある。

 

「メロンくん関連が多すぎる」

 

 今まで視えなかった貴虎が視えたことにより、細かく未来が視える様になった迅。

 急いでありえる未来からなにが最悪でなにが最善か、確実に起きうる出来事等を頭の中で選り分けて処理をするのだが、嫌な未来が幾つも見えてしまう。

 

「まずいな……メガネくんとメロンくん、二人ともケガをする未来は確定だ」

 

「どうにかならないの?」

 

「怪我そのものの回避は無理だ。怪我の具合を下げることぐらいしか出来ない」

 

 作戦が成功し、ボーダーの勝利で起きうる全ての未来で修と貴虎は怪我を負う。と言うよりはだ

 

「メロンくんに関しては手遅れだ」

 

 貴虎の方はもうアウトである。

 

『そうか、ジンには視えているのか』

 

「レプリカ、オサムのおにいさんが手遅れってどういうこと?」

 

『兄殿は生身の肉体に怪我を負っている』

 

「生身の肉体って、なんでだよ」

 

『チカのトリオンを用いて放ったオサムのアステロイドに撃たれた際に、兄殿はふき飛ばされた。

ふき飛ばされた兄殿はトリガーが解除され、崩れてしまった住居の破片などがぶつかり生身の肉体に怪我を負っている。兄殿の安否を確認する際に血に染まった住居の破片を見つけた』

 

 レプリカが貴虎を探した際に見つけた物、それは血がついた住居の破片だった。

 見つけた当初は何処かに避難出来なかった人が居るのかと探してみるも何処にもおらず、状況からして生身の肉体に戻った貴虎の血だと判断。そしてその判断は少しだけ間違っており、殆ど当たっていた。

 

「大丈夫なのか?」

 

『分からない。しかし、ジンが見ている未来からしてこの戦いが終わるまでは無事な可能性がある』

 

「誰かにやられる未来は視えるけど、それ以外の未来は視えない。

視えてないだけかもしれないけど、それでもそういう未来になる可能性は低い……けど、現状より重症になる未来は多く視える。それを阻止することは難しいし、本人も覚悟の上で此処に来ているはずだ」

 

 悪いが、貴虎関係は手は貸せない。

 

 迅はスケベなおしり大魔人だが、非情な人間ではない。大怪我を負うのならば、助ける正義感はある。

 それよりも危険な未来が幾つも見えておりそれを回避する為の仕込みを色々としてきたのだがもしかすると全て無駄になる可能性が浮上している。無駄になったとしても危険な未来を迎えるのだけは阻止しなければならない。

 

「一先ずは京介達が安全圏内に入るまでサポートする。

京介達がオレ達のサポート無しでも大丈夫になったら、人型を倒しに行く……まだ出てきていない人型も居るから、オレ達が足止めなりなんなりしないと」

 

「了解。レプリカ、頼んだぞ。お前が失敗すれば全てが終わりだ」

 

『ああ、行ってくる』

 

 アフトクラトルの船を強制帰還させる為に必要な鍵であるレプリカの本体は遊真達と別れる。

 子機では出力がどうしても落ちる。一瞬で船を強制帰還させるには本体の力が必要であり、本体は全速力で本部へと向かう。

 

『できれば、星の杖の使い手とは戦わなければいいが』

 

 それにより遊真が弱体化した。

 レプリカのサポートを受けて戦っていた遊真はレプリカからのサポートをそこまで受けられなくなった。

 それでも充分に強いのだが、やはりネックとなるのは星の杖である。

 

 

 

 

 

「千佳、大丈夫か?」

 

「は、はい」

 

 

 ロックシードの使い方の説明を軽くして修達へ別れを告げて飛行する貴虎と千佳。

 本来は一人で使うスイカアームズを千佳がしがみつく形で二人搭乗しており、バランスを崩さない様に集中している……なにせ、コレがはじめてのジャイロモードによる飛行なのだから。

 

「下を見るな。目を瞑って、自分達に害意のあるものが近付いて来ないかを察知するんだ」

 

 下を見てしまいブルッと怯える千佳を右手で抱き締めて安心させ、サイドエフェクトをレーダー代わりに使う。

 数分、アクシデントさえ起きなければ数分で本部へと辿り着く。本部へと辿り着けばトリオンが抜き取られてトリオン体は解除される。そうなればハイレインの攻撃は効かず拐われる可能性も下がる。

 

「頼むから、来るなよ」

 

 緊張の糸を滾らせて進む貴虎。

 空に巨大なスイカが飛んでいるとあればアフトクラトルはなんらかのアクションを起こす。ラービットは撃ち落とせる。イルガーは背中に乗れればスイカ双刃刀で乱切りにすることが出来る。しかし、人型だけは無理だ。

 既に警戒区域内に入っている。ヴィザがミラのトリガーで船に帰還し、ハイレインと共に目の前に出現なんて事も普通にありえる。そうなったらそうなったでクロックアップという最終手段を使い、ヴィザとハイレインの両方を倒せるのだが現在スイカアームズのジャイロモードで空を飛んでおり、アームズチェンジをして千佳を守れるかどうかが怪しいところ。

 

「っ、来ます!」

 

「門は……いや、コレは!」

 

 貴虎が来るな来るなと強く念じるものの、来てしまう。

 

「はっはっは!空飛ぶスイカと聞いて、なんらかの比喩と思えば本当に空飛ぶスイカか!」

 

 本部基地がある方向とは若干それた方向からやって来たランバネイン。

 貴虎のスイカアームズを見て、大笑いをするのだが千佳が居ることに気付く。

 

「コレは運が良い!メガネ……メロン……スイカ……金の雛鳥とセットでいるとは!」

 

 貴虎をぶっ倒せば、千佳を捕まえられる。

 強者と戦えて金の雛鳥を捕まえられることはランバネインにとってこの上なく最高である。そして貴虎にとっては最悪でしかない。よりによってコイツかと焦っている。

 本来ならばランバネインは本部付近の旧三門大学で米屋と出水と緑川の三バカとB級達が協力して倒し、それを知っている貴虎はランバネインは倒してくれると思っていた。

 

「玄界の兵との戦いから抜け出したかいがあった!」

 

 貴虎の思っていた事になんの間違いもない。

 B級隊員達が居るところにランバネインは出て、茶野隊を軽くひねりB級隊員達を一人で相手にし、尚且つ余裕を持っており、米屋や出水、緑川が参戦しても動じずに戦いを楽しんでいた。そのままいけば原作通り普通に米屋達が勝ってた……のだが、貴虎の復活により急遽変更。ランバネインは貴虎を倒せとハイレインに命じられた。

 

「フルーツで呼ぼうとして悩んだのだろうから言っておく。この姿は鎧武者(アーマードライダー)・斬月だ!」

 

「そうか。ならば、鎧武者・斬月!お前をここで倒し金の雛鳥をもらおう!」

 

「っ!」

 

 空を飛ぶことが出来るランバネインに対してボーダー側は空を飛ぶことが出来る隊員はいない。

 その場にボーダーでもトップクラスの機動力を持つ緑川が居たが、跳ぶことは出来ても飛ぶことは出来ずに追跡が出来ない。

 

「千佳、全力でしがみつけ!」

 

 ランバネインは米屋達との戦闘を抜け出し、自分に向かってきたと分かれば直ぐに逃げの一手に走る。

 ランバネインを相手にする事を想定していなかったわけではない。万が一の時を想定し、ランバネインと対峙した際にどう戦うかは考えていたのだが、実行に移すことは出来ない。

 ランバネインの使うトリガー、雷の羽(ケリードーン)は至ってシンプルで強力なトリガーだ。

 腕から背中から銃からとにもかくにも威力が高く早く射程が長く曲げれる弾を連発し、空も飛ぶことが出来る。ヴィザと同じくシンプルで強力なトリガーで、ある意味相手にしづらい。

 

「フォーゼが使えない以上は……」

 

 スイカアームズは飛ぶことが可能だが、搭載されている武器はバルカン砲のみ。威力はあれども単調な攻撃しか出来ない。

 フォーゼアームズならばネットやジャイアントフット等で飛んでいる相手を撃墜する手段を持っており、ロケットで飛ぶことが出来る。

 ランバネインを相手にする際はフォーゼアームズでの戦闘を想定していたのだが、肝心のフォーゼロックシードは灰色に染まっており、使用不可だった。つまるところ要するにガバっているのである。

 

「そのスイカ、割らせて貰うぞ!鎧武者・斬月!」

 

 逃げる貴虎に銃口を向けるランバネイン。

 撃ち出された弾はスイカアームズに当たり、装甲を貫いていく。

 

「貴虎さん、このままだと!」

 

「分かっている」

 

 装甲が貫かれ徐々にバランスが取れなくなり慌てる千佳。

 このままだと撃墜されてしまうと何かしないといけないと貴虎に進言するが貴虎は戦わずに逃げる。 

 

「空を飛びながらでは狙いが定まりにくいが、デカい的を外すほどオレの腕は悪くはないぞ!」

 

 そんな貴虎と付かず離れずの距離を保つランバネイン。

 スイカアームズの装甲を確実に壊していくのだが壊れない。

 

「む……再生機能持ちか?」

 

 それなりに当てているつもりだが、思ったよりも穴が少ない事に気付くランバネイン。

 よくよく見ると撃った跡がなくなっており、再生していることに気づく。スイカアームズはロックシードの方がエネルギー切れをしない限りは壊されたとしても勝手に再生する機能がついている。

 

「ならば、再生出来ない程に粉々に砕く!」

 

 スイカアームズを無視して本体を狙えば済む話だが、粉々に砕いてみせると豪快な性格が邪魔をするランバネイン。

 

 

 

 

 

 

 

「弾バカ、どこだぁああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ランバネインがスイカアームズを打ち砕く準備に入ると、貴虎は叫ぶ。

 突如出した大声に少しだけ驚くが直ぐに冷静になり、下を見るランバネイン。

 

「ここは、先程の!」

 

 貴虎が方向を変えて、逃げた先は旧三門大学。

 そこはつい先程までランバネインがB級合同と戦っていた場所であり、貴虎はその場に居るとサイドエフェクトで確信を持って叫んだ。

 貴虎の叫びは通じたのか、下から弾が飛んでくる。

 

「一手、遅かったな」

 

「ああ、そうだな」

 

 飛んできた弾は真っ直ぐしか飛ばず、簡単に避けるランバネイン。

 貴虎に向けて一斉砲撃の準備は整い、弾が発射された。

 

「!」

 

「お前が気付くのに一手、遅れた」

 

 発射と同時に、ランバネインの肩が破壊される。

 ランバネインの肩もとい肩パッドには空を飛ぶのに必要な噴出口があり、その内の1つが破壊されて機動力が激減する。

 

「玄界の狙撃兵か。しかし、鎧武者・斬月に当てる弾は止まらん!」

 

「言っただろう。一手遅れていると」

 

『大玉モード!』

 

 先に動いた者でなく旧三門大学に向かっている事に気付くか気付いていないかが勝敗を分ける。

 貴虎はランバネインの撃った弾が当たる直前にジャイロモードから大玉モードに変形。

 

「ギリギリを狙う、絶対に放すんじゃないぞ!!」

 

「うん!」

 

 そのままスイカアームズを脱ぎ捨て、旧三門大学に落ちる貴虎と千佳。

 十数階建てのマンションよりも遥かに高い位置から落下していく。

 

「スイカアームズはここで終わりか」

 

 空を見上げれば、破壊されるスイカアームズ(大玉モード)

 再生することはなく、破片は地面に向かって落ちてくるので貴虎は戦極ドライバーからスイカロックシードを取り外すと、スイカロックシードは灰色に染まる。

 

「ちゃんと運転出来るか怪しいが乗る、ん?」

 

「え?」

 

 スイカアームズはもう無理だと諦め、ダンデライナーを出して搭乗するのだが直ぐ近くにA級4位の草壁隊のエースである緑川が居た。

 

「よねやん先輩達に頼まれて助けに来たんだけど……」

 

 ジャンプ台であるグラスホッパーを巧みに扱い跳んで来た緑川。

 落ちてくる貴虎達を颯爽とお姫様抱っこで抱えて救出……する筈だったのだが、その前に貴虎がダンデライナーに搭乗してしまい救出せずに済んだ。

 向き合う貴虎と緑川。一先ずは旧三門大学まで降りていく。

 

「ナイス、緑川。って、なんだそのSFチックなの!?」

 

 三門大学まで降りていくと姿を現し、緑川を褒めようとする米屋。

 褒めるよりも先に貴虎と千佳が乗るダンデライナーに目が向き、興奮をする。空飛ぶバイクはロマンだ。

 

「よねやん先輩、この人、空飛ぶバイク持ってるから助けに行かなくても良かったよ。顔を合わせた時、凄く気まずかった!」

 

「ワリー、ワリー。でもまぁ、良いじゃんか。怪我が無いしよ」

 

 少しだけかいた恥について抗議するが、簡単に流される緑川。

 チラリとダンデライナーに視線が向いている。緑川、お前が今使っているトリガーもSFなんだぞ。

 

「おれからのラブコールはどうだった?」

 

「助かった……出水」

 

 米屋達が軽く言い争っていると、姿を現したイケメソ。出水。

 冗談を交えて貴虎の元に向かうとコツンと胸を手の甲で叩く。

 

「一月待てって言われた時は色々と思ったけど、こんな物を隠してたら言いたくないわな。何処で手に入れたんだよ、空飛ぶバイクなんてボーダーにも無いぞ」

 

「拾った」

 

「それって盗んだって言わないか?」

 

「随分前に言っただろう。盗んだバイクで走り出したことがあると」

 

 貴虎は約一時間ぶりに米屋達と再会する。




当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話

 三雲貴虎

DANGER TRIGGER

 鎧武者(アーマードライダー) 斬月 スイカアームズ


トリオン 19(?)
攻撃 23
防御・支援 8
機動 4(20)()はジャイロモード時
技術 10
射程 7
指揮 0
特殊戦術 9


TOTAL 80

説明

鎧武者は基本的には胴体に纏う果実型の鎧を纏うが、スイカのみ異なる。
自身を飲み込む程の大きさの巨大なスイカに入り戦い、鎧を纏っているというよりはスイカのパワードスーツを着て戦っているに近い。
他のアームズと異なり、3つの形態を持っており、最初は巨大スイカの様な姿の大玉モード。
最も防御力が高い形態で、転がる事により動くことが出来てトリオン兵を押し潰すことが出来るのだが三半規管が弱ければ転がる過程で酔う。ロックシードを解錠すると一番最初に出てくるのがこの状態。
二つ目はヨロイモード。その名の通り鎧になるのだが、パワードスーツと言って良い感じの見た目をしており、一部の男性ボーダー隊員は興奮する。
搭載されている武器はスイカ双刃刀なのだが、それ以外にもスイカバーの様な剣、スイカ型のグローブ等、色々とされており使用者によって異なる。
ちゃんと使えればラービットを簡単に乱切りにすることが可能な反面、その大きさが邪魔をしてしまい、狙われやすく、余りの重さに機動力が皆無に近く緑川や遊真、影浦といった機動力のある奴がヒット&アウェイ戦法を取ると弱い。
三つ目はジャイロモード。その名の通り空を飛ぶことが出来る形態。
最高飛行速度は247.0km/h、凄くちゃっちく言えばドローンの三倍。戦闘機がマッハ出るので遅いのでは?と思ってしまうが、それでも充分な速さを持つ。
ジャイロモード使用時はバルカン砲が使える様になり、空を飛んでいる敵や空からの砲撃が可能となる。
しかし、ボーダーの狙撃主達は変態揃いで、ジャイロモードのプロペラや中にの人を狙ったりするので、ただの早い空飛ぶデカい的である。


スイカ双刃刀

攻撃力 S
軽さ  G
耐久力 A


説明

スイカ柄の薙刀。
スイカアームズで使うのを前提としており、トリオン体が持つことは不可能。
敵を輪切りにすることが出来るが、基本的には乱切りである。



まとめ。

斬ることと撃つことしか出来ないボーダーのトリガーとならばやりあえるが、近界民のトリガーは磁力を操る事の出来るので向いておらず、スイカアームズはトリオン兵を倒すのに適しているアームズ。
状況に応じて3つのモードを使い分ける事により、どんなトリオン兵でも相手にすることが出来るだろう。
因みにだが、スイカアームズを纏うのでなく地面に置いて飛び乗って搭乗すること(仮面ライダーバロンがやったスイカアームズの変身)が出来るのだが、搭乗する前に別の人物が勝手に乗っても使うことが可能で、実戦では使えないのだが、それでも一部の大きなボーダー隊員達が使わせろと五月蝿い。
荒船さん、ダンデライナーの時もそうだったけどしつこい。
風間さん、スイカアームズ動かすための部分に手が届かなかったからって落ち込まないでください。
別役、お前が乗ると大量殺戮兵器になる可能性があるからマジでやめろ。
太刀川さん、スイカ割りすんじゃねえ。
荒船さん、メロンを持ってきたとしてもダメです。しょんぼりとした顔をしないでください。
米屋、ビームサーベルもロケットパンチもついてないからな。
別役、勝手に乗って大玉モードで転がり続けて酔ったのは分かるけどもゲロを撒き散らすな!
柿崎さん、スイカアームズでスイカ割りじゃ、虎太郎も一緒……ああ、もうスイカを買いに行きますよ。太刀川さん、スイカを綺麗に斬って。

後日、弧月でスイカ割りをしたことがバレて怒られました(太刀川が)


次回予告


再会を果たすも喜ぶ間もなく追撃をするランバネイン。
ランバネインを撃退しなければ先に進むことは出来ず、貴虎は米屋達と共に戦う。次回、ワールドトリガー!【陣・羽・舐・瓜】に、トリガー、オン!

ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)

  • てれびくん、ハイパーバトルDVD
  • 予算振り分け大運動会
  • 切り抜けろ、学期末テストと特別課題
  • 劇団ボーダー
  • 特に意味のなかった性転換
  • 黄金の果実争奪杯
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