「そこまで!出席番号順に回収するから、手を動かすな」
中間テスト最後の科目、化学基礎の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
化学を主に担当している佐衛門三郎先生は出席番号一番から解答用紙を回収していく。
「29、30……よし、全員分あるな。今日は特にホームルームとか無いから、これで終わりだ。テストは月曜日に纏めて返却する。解散!」
「起立!気をつけ、礼。ありあぁざっしたぁ!」
コンビニのノリで学級委員長が挨拶するとテストを終えたクラスメイト達が順次出ていく。
私は筆箱にペンを仕舞わず化学のノートと教科書を机の上に広げて、問題用紙を見る。化学のテストなので化学用語とか書く問題が多く、思ったよりも早くテストが終わるので自己採点の為に問題用紙に答えを書いておいた。
「三雲、どうだった?」
「今、採点中だ。文章による説明系の問題は正解不正解かは知らないが……まずまずだ」
「その割には全て○だな」
「いや、今間違いがあった。
一学期の中間だから、それなりに取っておかないと後に響くだろう。説明系の答えで90いくかいかないとこか……で、あれどうする?」
「……」
私と三輪しかいない教室を覗くカチューシャもとい米屋。
声をかけたいのだが、どうやって声をかけようかという気まずさと絶望が混じっている電磁波を発している。
向こうが声をかけてくるまで待っておけばと思ったが、三輪も三輪でどうすれば良いのか悩んでいる。土日に泣きついてくる米屋を全員で既読スルーしたと言っていたな。
「何時までそうしているんだ?出水も、入ってこい」
「おれ、位置的に見えないところにいたんだけど」
「私の視力を舐めるな。
ただただ遠くのものを見る以外にも色々と目が良いんだ……テスト、どうだった?」
「あ~……微妙。すいへいりーべーとかの元素記号とかはいけたけど、原子とか怪しい」
「因みに答えはこれだ」
「っげ……陽子と電子の位置間違えた」
「因みに文章問題があっていれば、90越える」
「んだよ、自慢かよ!」
「自慢じゃない。米屋の方はどうだ?」
「オレ……いや、元素記号を覚えるのまではよかったけどその元素記号がなにを表してるのか分かんなかったぜ!」
「おいおい……で、赤点か?」
「おい!!」
上手く話題に乗ってくれて教室に入ってきた米屋。
私が上手く三輪と米屋の間を取り持つと思っていたかもしれないが、そんなに私は優しくはない。米屋にハッキリと聞くと俯き、段々と膝をついた。
「be動詞ってなんだっけ!?」
「おまっ、そのレベルかよ!?」
「テストで出るとこだけ、暗記してたからマトモに覚えてねえんだよ!」
まぁ、学校の英語なんてそんなもんだからな。
単語とか何処が出るとかを事前に学習して、それがあってるかどうかの確認テスト。実戦で使えるかどうかとなれば話は色々と別である。
「威張って言うことか……三輪とか熊谷とかから聞いたぞ。
ボーダーの中でも下から数えて直ぐの成績だって……似たの何名かいるのも」
「……中間これだと、期末がやべえ。
このままだと防衛任務もランク戦もそれどころか給料の差し押さえされて、夏休み補習で遊べねえ」
「陽介……期末、頑張るか?」
余程今回のテストがヤバいと感じたのか、声が震えている。
そんな米屋の前に立ち、三輪が肩を叩いて次から頑張るのかと真剣な顔をする。米屋は頑張るとコクりと頷く。
「三雲、すまないが」
「次は手伝う。米屋、期末で挽回するぞ」
「三雲……」
「だから、今から勉強だ。
幸い、中間の問題用紙は取っているから先ずはそれで復習を……おい、目線を合わせろ」
今から勉強だと分かると全くといって目線を合わせない米屋。
ここで躓いていたら、期末で赤点回避どころか進級が怪しくなる。心を鬼にして化学のノートを取り出そうとすると三輪が腕を掴んだ。
「……陽介は限界を迎えている」
「オレ、ベンキョウ、ガンバル。メザセ、ナツヤスミ」
何故にカタコト?
三輪が待ったをかけたのと、出水が普段はおれ達が見るからと頭を下げてきたのでこれ以上は勉強はせずに家に帰ると同じく中間テストを終えた修がいた。
「あ、おかえり、兄さん。テスト、どうだった?」
「全教科平均以上だな。
修の方はどうだ?麟児さんの家庭教師、効果はあったか?」
「どうだろう……期末テストを見ないと、分からないかな」
「そうか。もし分からないことがあれば、聞いてくれ。
もし、千佳に分からないことがあったのならばお前が答えるんだぞ。千佳は中学最初の中間テストだからな、ここの成績で勉強に集中するかどうかが決まってしまう」
人に教えることで、見えなかった新しい世界が見えてくる。
修のテストは全科目平均以上だと占いで出ており、ケアレスミスもない。修を見ていると、米屋と比較してしまう。
だが米屋には米屋の良さがある。総合的に見れば修の方が何倍も上だが。
「おかえりなさい。お昼はオムライスだから、少し待ってて」
「その間にシャワー浴びてくるよ。
まだ5月中旬なのに、蒸し暑い。時期とかじゃなくて、状況を見て制服、クールビズにしてほしいぐらいだよ」
「諦めなさい。
そういうのを決める偉い人は冷房が効いた部屋にいて、現場の声が聞こえないのよ」
母さんの言葉が地味に真理をついている。
修は色々と怖い会話をしているなと冷や汗を垂らしているが、先にシャワーを浴びるのは私だ。
自分の部屋に戻り、制服を脱いで家で着る服を押入れの収納から取り出していると、大きな金庫が目に入る。
「半年以上、使っていないな」
大きな金庫の中には転生特典と言う名のトリガーが入っている。
しかしまぁ、半年以上まともに使っていない。というよりは、一度も使ったことのない物も存在している。次に使うときがあるならば来年のこの時期、戦う相手は……あの人達になる可能性がある。
「兄さん、入るよ……それ」
「中身を確認しているだけだ。
曲がりなりにも機械で半年も放置していれば、どうなるか分からない。錆びてフレッシュ感が失くなっている可能性がある」
余計なことを考えてしまったせいで、つい金庫を開けてしまいトリガーが入っている三つのジュラルミンケースを取り出してしまったのを修に見られた。修はまた使うのかと固まるのだが、今は使う理由は何処にもない。
「近界民達がこの街を襲ってくる。それこそトリガーを使う人達を連れてきてだ」
「な!?」
「近い将来だ、近い将来。
別に驚くことでもないだろう。あの話をお前が納得しているなら、だが」
「……トリガーは元々、近界民の物……」
修には色々と言ってある。
三輪達に話した近界民が人間で普段から戦ってるのロボット説以外にも、トリガーは元々近界民達が開発した物とか近界民の国が複数あるとか向こうの世界に何度か遠征しているとか色々と余計な事を言っている。
トリガーは元々近界民達が開発した物説の説明は人間と普段から戦っている近界民(トリオン兵)には自衛隊の武器が全く効かず、トリガーによる攻撃は効果があるという点を逆に考える。
トリガーは近界民を研究して開発された物だと公表されており、普段から戦っている無駄に大きい奴等を研究したとなると、先ず、研究に必要な最初の近界民をどうやって捕まえたかとなる。
そこで近界民人間説が正しく近界民の世界にも色々と国があると仮定した後、此方を襲撃してくる国の敵国の住人がトリガーを此方の世界の豊富な資源と引き換えに提供したと考えた。
近界民からトリガーを貰いトリガーと同じ動力源を持つ近界民(ロボット)を倒して、解剖して解析。その説があっているならば、ボーダーは近界の国に行く船なんかも作っている可能性がある。その敵国以外にも複数の国があるならば、トリガーをくれ。代わりに資源やると交渉している可能性は高いと……原作開始前に色々といらん事を言った。隠し持っているトリガーを隠す為にいらん知識を与えた。
「少なくともボーダーという組織が出来てから、近界民に人が拐われましたとは聞いていない。
隠している可能性があるかもしれないが被害があったという話は聞かない。近界民達はなにを狙っているか知らないが、少なくとも近界民はほぼ毎日来ている。何度も何度も作戦を失敗したら諦めないのかと思えるほどに。まぁ、近界民の国が複数あると考えれば、此方の世界を襲撃する国が一つじゃないと考えられる。しかし2年以上も成果が無いとなれば何れは何かしらの仕掛けをしてくるだろう。何故、人間を拐えなくなったのか?その原因はなにか?と」
「それって、いったい」
「分からない。
近界民が人間だとするならば、スパイを……コーヒーのCMみたいな事をしていたりするんじゃないのか?」
「……」
「もし、本当に心配ならばボーダーに入れば良い。
母さんも父さんも確実に反対するだろうが、私はお前の背中を後押しする。これを持っていっても文句は言わない」
三つあるジュラルミンケースの内の一つを修の前に置いた。
中にはトリガーが入っており、修にも使える物でデメリットはあるがボーダーのトリガーよりも遥かに性能が良い。それを持っていけば、割とどうにでもなる。残りの二つは死んでも貸さないが。
修がどうしようと冷や汗を垂らしているのでこれ以上はとジュラルミンケースを金庫にしまい、シャワーを浴びて家でゴロゴロと過ごそうとするが、ボーダーについて会話をしたのでついついボーダーの事を考えてしまう。
「大規模侵攻辺りで確実にバレる。
まぁ、逃げたりあの手この手を使うからトリガーを奪われて記憶消去は絶対に無い……トリオン量がどれだけかは知らないが、絶対に入れとか言ってくるんだろう……修達は遠征部隊入りしたら、嫌でも此方が手薄になる。その間に街の防衛ぐらいはするとして、ボーダーの規定内のトリガーじゃないと規律とかを乱しそうだし連携が取れない……トリガー構成を……」
凄く痛い妄想をしているなとは感じているが、やめられないとまらない。
その未来は何だかんだで来るだろうなと自分がボーダー隊員ならどういうトリガー構成にするのかと紙を取り出して、妄想してみる。
「……普通にやったら村上先輩と似たようなトリガー構成になるな」
メガネ(兄)「当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話!!」
槍バカ「今回はこのオレ、米屋と三雲がお送りするぜ!」
メガネ(兄)「今回は三輪じゃなかったか?」
槍バカ「変わってくれって頼まれたんだよ。愛想良くしないといけないんだろ?秀次、こういう仕事は専門外だからさ」
メガネ(兄)「まぁ、三輪の爽やか笑顔や大爆笑なんて殆ど放送事故みたいなものだからな」
槍バカ「いやでも、そういうのも大事な仕事だって分かってるから秀次も秀次なりに頑張ってるんだぜ」
メガネ(兄)「だが、愛想良く笑う三輪はホラーだぞ?」
槍バカ「そうじゃなくて、こうキラーンを出そうとしてたんだ。オレは出せるけど、あいつ出せないんだ」キラーン
メガネ(兄)「私もそれは出せないぞ……メガネのレンズが曇り目が見えなくなってメガネがキラーンと光るのなら出来るが」メガネキラーン
槍バカ「キラーン談義は置いといて今回はボーダーに関する説明をするぜ!
メガネ(兄)「そこ既にネタバレか」
槍バカ「弾に関しては弾バカが一番だ。
攻撃手はブレード型のトリガーを使い近距離戦闘がメインで、一番やってる人が多くて一番活躍している。
攻撃手が使うトリガーは3つ、一つは見た目は日本刀みたいで見た目はオーソドックスだが一番人気の弧月。ボーダーが表に出る前からあったとかどうとかで攻守ともに優れてる。弧月には専用のオプショントリガー、旋空と幻踊の二つある。旋空は弧月の刃を伸ばして攻撃範囲の拡大をするもので、大体は15mぐらい延びる」
メガネ(兄)「米屋、米屋」
槍バカ「分かってるよ。大体ってことは、例外がある。
生駒さんっていうザ関西人だけど大阪じゃなくて京都出身のスカウト組の人は違うんだ。あの人のは弧月を伸ばす時間を短くして、その代わりに40mぐらいにまで伸ばしている。ボーダー内では居合いの達人である生駒さんしか使えない」
メガネ(兄)「私、似たようなの出来るが?というか、オプショントリガーとサラッと言っているがその辺の説明しなくて良いのか?」
槍バカ「お前、ボーダー隊員じゃないのとそこは栞の担当だ。
幻踊は弧月の穂先を変化させるオプション。まぁ、これは寸での回避を無効にしたりするのに使われる……けど、使ってる奴全然いない。今ちらっとBBFみたけど、使ってるのオレと三浦だけじゃねえか」
メガネ(兄)「刃を伸ばすのと刃を蛇にみたいにうねるのじゃ、刃を伸ばす方が使いやすい」
槍バカ「まぁ、スコーピオンで同じことが出来るからな。
ということで二つ目はスコーピオン。総合及び攻撃手一位の太刀川さんに対抗するために迅さんがエンジニア達と一緒に作り上げたトリガー。
重さはほぼ0、体のありとあらゆるところから出したりすることが可能で、様々な形に出来てやろうとおもえば×印とか○印の刃を作り出せる。オプショントリガーは存在しないが、自由度がスゲー高い。
影浦さん考案の二本のスコーピオンを無理矢理繋げて通常の倍以上のリーチを生み出すマンティス。U字型の刃を足から出して相手の足を突き刺す
メガネ(兄)「自由度が高い……が、デメリットは?」
槍バカ「物凄く脆くて弧月と刃を合わせれば確実に歯こぼれを起こす。唾競り合いなんて出来ない。
スコーピオンを使う際には攻撃は受けたり防ぐんじゃなくて、避けるのを第一にしないと、大振りの旋空弧月でスコーピオンをぶっ壊されてそのままぶった切られる」
メガネ(兄)「上手い話には裏があるな。3つ目は?」
槍バカ「3つ目はレイガスト。
オレがボーダーに入る前、射手系トリガーが強くてシールドの性能がゴミ過ぎたらしく、当時トップクラスの弧月使いの寺島雷蔵が己の体型と攻撃手のポジションを引き換えに作り上げたトリガー。
ブレードを変形させて盾に変えることが出来る
メガネ(兄)「なにか問題があるのか?」
槍バカ「他の二つと違って、ガンガン攻めて戦うトリガーじゃない。
普通に重い、スラスターの推進力が強すぎて上手く動けない、切れ味が悪い。上手く使えてる人が居ると思えば、スラスターの推進力利用して素手でぶん殴ったりしてるし、スラスターの盾モードで盾としてしか使ってなかったり、二刀流とかとんでもない使い方を……メガネボーイがある意味、雷蔵さんの考案した風に使えてるんじゃねえか?」
メガネ(兄)「そもそもで既にシールドの性能向上してるんじゃね?」
槍バカ「あ~それ普通にありえる。因みにオレは弧月使いだが、剣じゃなくて槍にして貰ってる。槍の方がなにかとトリオン消費しなくて済む……で、どうする?どれで戦う?」
メガネ(兄)「待て、これ戦う流れなのか?」
槍バカ「そりゃそうだろ。安心しな、槍しか使わねえ」
メガネ(兄)「ならば、レイガストで勝負だ」
槍バカ「しゃあ!!お前と戦うの楽しみにしてたって、槍盗むんじゃねえ!!」
メガネ(兄)「槍さえ盗めば、どうにでもなる!」
槍バカ「と、思うじゃん?もう一回、出し入れすれば」
メガネ(兄)「レイガストしまって、普通に顔面殴る!!」
槍バカ「ぐふぉお!?……じ、次回もお楽しみに」
メガネ(兄)「槍バカ倒したぞー」
ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)
-
てれびくん、ハイパーバトルDVD
-
予算振り分け大運動会
-
切り抜けろ、学期末テストと特別課題
-
劇団ボーダー
-
特に意味のなかった性転換
-
黄金の果実争奪杯