「……うん」
テストから数日後、答案用紙とにらめっこをする貴虎、諏訪、橘高さん。
「話は色々と聞いていたけれど、酷いわね」
テストの点数に結構、ドン引きし頭を悩ませている。
「バカだバカだとは言うけど、中学生レベルの問題だろ……テレビの方と違って俺達学生だっつーのに、やっぱ自習すっ飛ばしたのが悪かったか?」
「いや、自習を入れたらもっと酷い気がしますよ……」
本家みたいに撮れ高重視にしたり、自習時間にギャグを挟むことを余りせずに抜き打ちテストを行った結果、酷かった。
次回からは自習時間を与えるべきかと検討したりしなかったりと3人は頭を悩ませながら、○付けを行っていった。
※
「ん……修、結果が出たみたいだぞ」
テストを受けた数日後、玉狛支部に居る修と京介の元にボーダーから支給される携帯端末を経由して採点が終わったとの連絡が来た。
「思ったよりも、時間が掛かりましたね」
「まぁ、10人以上の解答を○付けをしたり、珍解答を見つけ出したりして大変だからな」
テレビの様にはスムーズにはいかないものである。
学業には特に不安が無い二人は特に焦ることなく本部へと足を運ぶのだが、本部へと続く地下道に緑川がいた。
「緑川」
「っげぇ!?三雲先輩」
コソコソしている緑川に声をかけると嫌そうな顔をする。
テストの結果が発表されるというのに自分達と反対の方向を歩もうとしているその姿はまさに逃げようとしている様に見える。
「お願い、三雲先輩!とりまる先輩!見逃して!!」
「見逃してって、そんな」
「テストの答案が帰ってくるって考えると、胃がキリキリするんだよ……絶対、怒られる点数だ」
ガクガクと震える緑川。
テストの点数に怯えるぐらいならば普段から真面目に勉強していれば良いだけの話。
それが出来ないから今、こうしてテストから逃げようとしているのだが。
『ピンポンパンポン、言い忘れたことがありました。逃げた場合は、全部の答案を公開します』
「……にゃあああああ!!」
緑川達の逃亡を考えていないわけではない。
公開処刑されるのと更に酷い公開処刑をされるのとどちらが良いと、どちらにせよ地獄に突き落とす事を放送で流すと走っていく緑川。
本部へと辿り着くとなんの放送だろうとなにも知らない隊員達がざわめくのだが、直ぐに気にしないでください。後日通達がありますと放送が鳴り響く。
「あ、三雲くんに烏丸先輩……はぁ」
「茜、会って早々にため息は失礼でしょ」
部屋に向かう道中、日浦と熊谷と遭遇した。
「だって、難しかったじゃないですか。今回のテスト」
「難しかったって、中学3年レベルまでのテストよ?」
成績が良いとは言えない熊谷だが、少なくとも今回のテストは学校のテストよりも楽だったと感じている。
二等辺三角形の面積の求め方とか国民の三大義務とか、諺や熟語の意味や、簡単な英文と本当に小学生から中学三年までの間に習うことばかりで、簡単だった。
しかし、簡単ではなかった日浦は頬を膨らませる。
「私、まだ中学三年です」
来年と言うか後少しで高校生の日浦だが、一応はまだ中学生である。
「三雲くん、テストは難しかったよね!!」
同じく中学3年生である修に意見を求める。
「最後の方と一般常識だけ難しかったけど、それ以外はなんの問題もなく書けたけど……」
「ガーン!」
遊真が転校してきた初日にやったリアクションと同じことをする日浦。
その姿を見て空閑もその内、呼ばれてしまうんじゃと危機感を少し覚えるのだが、事情を知っている貴虎は呼ばないのである。
「玉狛支部の隊員は基本的に成績優秀なんだから、逃げちゃダメよ」
尚、一番頭悪いのが林藤支部長で一番頭良いのが宇佐美だ(陽太郎と遊真は除く)
「なんか揉めてるわね」
教室前に辿り着くものの、なにやら揉めている。
「お前、なんでおれを呼ばなかったんだよ!太刀川さんから全部聞いたぞ!」
「お前、バカじゃないから良いだろう」
「弾バカだよ!馬鹿野郎!!」
3バカなのに成績は良いので一人ハブられた男、出水。
太刀川を経由し、テストの事を知った出水はハブられていたことに対して文句を言いに来たのだが、選ばれるのは基本的にはバカなので、選ばれないのは当然である。最終的には次回は出水も出演することで収まる。
「メロンくんさ」
「無職は帰れ」
サイドエフェクトで面白いことが起きていると気付いた迅はやって来たのだが、秒で追い返される。
自分がいれば、もっと面白いことになったのにどうして誘ってくれなかったのと言おうとするのだが貴虎は迅を最初から相手にしない。というか、その気になればDのメモリで迅に成り代われる。
「無職じゃない。実力派エリートだって。
メロンくん、なんでこんな面白い企画に混ぜてくれないの?サイドエフェクトでシフト調整とかして、面白い答えを書いてくれる人を選抜したのに」
「お前が無職で、模範とならないボーダー隊員だからに決まってるだろ。
そんなんだから生駒さんに【じゅんじゅんと並んだら、双子とかじゃなくて引き立て役の踏み台やん】って、言われるんだ!」
「言ったな、生駒っちに本気でキレたことを言いやがったな!!」
全力で罵倒したり言い争ったりする迅と貴虎。
普段はどちらかと言えば冷静な二人は混ぜるな危険の組み合わせでありベストマッチはしない。
滅多なことでは見れない迅の姿に微笑ましく見守るのだが、奴がぶっこんだ。
「三雲、迅は無職じゃなくて自称実力派エリートのフリーターだ」
「太刀川さん、間違ってないけど今、言わなくても良いよね!」
「ついでに付け加えると、セクハラ魔よ」
「熊谷ちゃんも……」
「ほら、とっとと帰れ……次回、呼んでやるから」
テストを解答する側として。
迅を追い返すと、教室に入る修達。机の上にはトリガーが置かれており、起動しろと言う意味だと察した修はホグワーツの制服を纏う。
「全く……橘高さん、今のところ全面カットでお願いします」
「ワイプ中継じゃダメかしら?」
「ダメです」
割と面白いものが撮れたのにとしょんぼりする橘高さん。
因みにだが、彼女のポジションは佐野先生で、貴虎のポジションは矢部である。
「全員揃ったようだな!」
「待て、諏訪。なんだっ、その……金八先生は!」
修達が席についた数分後、諏訪が教室に入ってきたのだが何故か金八先生の格好をしており、御丁寧にカツラまでつけていた。
「すわさん、全然似合わなーい」
「うるせえ。オレも着たかねえけど、主任さんがどうしてもって言ったから仕方なくやってんだよ!」
仕方なくで付き合ってる諏訪さんはイケメンである。
生暖かい視線を向ける一同だが、お前等の格好も大概であることを忘れてはいけない。
「しっかし、まぁ、アレだよな」
「諏訪さん、今先生なんで先生っぽく」
「おおっと、そうだった」
素のまま進行しようとしたので貴虎から止められる。
「……今回のテストの企画の話を聞いて、本家と違ってオレ達は学生だから赤点は無いんじゃないかって思ったんだよ」
「赤点があったのかよ」
諏訪学院の赤点は平均点の半分以下である。
「先生な、こんな事でお前達を怒りたくないんだ」
「だったら怒らない方が良いと思いまー、ぬぅおあ!?」
「黙れ……ッチ」
教師が割と言いそうな矛盾してることに挙手し、反発する太刀川。
そんな太刀川の額にチョークが命中し煙をあげる。
「やべえよ、金八先生とは程遠いよ」
やんくみともGTOとも異なるなんとも言えない教育者、諏訪さんにビビる米屋。
「すわさんは金八先生じゃなくて金髪先生だよ」
「誰が上手いことを言えつった。先生な、こんなことで本当に怒りたくないんだぞ!」
「諏訪サン、そんなに酷かったのか?」
「100点一人もいねえんだよ!!」
今回のこのテスト、小学生から中学三年までのレベルであり、試験を受けている受験生達は本家の方と異なり三十過ぎたおっさんとかでなく、学校に通っているボーダー隊員達。言わば、現役なのである。
殆どが普通校出身だが、大学生組の中に進学校出身の風間と弓場がいる。なんならばお嬢様校出身の月見も居るのだが、どの科目も満点は一人も居ない。
「100点、一人も居ないんですか!?」
衝撃のカミングアウトに驚く小荒井。
「ビックリすんな。採点してたオレ達もビックリしてんだからよ!
岡村さんのとこはもう勉強しない人達とかでしてるけど、オレ達勉強してる学生だぞ?因みに、小荒井の国語の点数は62点だ」
「ちょ、なんでいきなりバラすんですか?」
「お前、難しい問題を飛ばして空欄にしてたから珍解答が無くて撮れ高0なんだ。なんだったら、今が初台詞だ」
※作者の技量の問題である。
中学三年レベルまでの問題だから余裕だろうと思っていたちゃんと勉強をしている組は、100点を1つも取れていないことにショックを受け、商品券が欲しかった京介は落ち込む。修は少し残念そうにする。
「62点……62点ッスか」
帯島は真剣に考える。
国語は日常的に使うもので、テストの問題も基本的な読み書きだった。故に習っていないところもスラスラと答えを書くことが出来た。
そしてバカを除けば一番頭の悪いとされる小荒井の国語の点数が62点、ならば小荒井よりも頭の悪い奴は、頭の良い奴は、どういう点数なのかと、考えてしまう。
「まぁ、なんだかんだ言って国語だからな。
漢字とか諺とかも漫画とか新聞を見てたりしたら自然と身に付くもので、全科目で平均点は一番高い。一番成績の良い点数は97点!月見だ!」
「あら、残念……何処で間違ってたのかしら」
「え~と……何処だ、三雲?」
「いや、私じゃなくて橘高さんの仕事ですよ」
矢部ポジの貴虎は基本的には野次を飛ばす仕事であり、テストのナレーション等が橘高さんである。
「ええっと、これね。【以下の諺と同じ意味を持つ諺を答えなさい。】【豚に真珠】、普通に考えれば猫に小判、犬に論語とかね」
「なんて書いてあるかしら?」
「おいおい、それをモニターで出すのがこの動画の醍醐味だぞ」
サラッと自分だけ逃れようとする月見さんだが、そんなに甘くはない。
「豚に真珠と同じ意味を持つ諺を答えなさい、月見の答え!」
「『暖簾に腕押し』」
「あ~……これ、撮れ高無いですからカットしてください」
「ちょっと失礼じゃない?」
面白くないから仕方ない。
豚に真珠と暖簾に腕押しは意味が似ているには似ているものの、あくまでも似ているだけで同じ意味ではない。割とやりそうなミスなので、撮れ高らしい撮れ高は無い。
「因みにだけれど、沢村さんと本部長と柿崎さんも似たミスをしていたわ」
「間違ってたって、オレ、なにを書いたか覚えてないんだけど?」
「後で返却される答案用紙を確認してください。あ、動画を視聴しているボーダー隊員達、この辺に出てるから」
撮れ高の無い答えに需要なんぞ何処にもない。ちょっとメタい編集の発言をする。
柿崎さん 糠に釘 沢村さん 豆腐にかすがい 忍田本部長 柳に風
国語の同じ意味を書く系の問題は全体的にかっこよく書こうとしたら失敗が多いようだ。
「採点してたら、分かったけどもケアレスミスが割と多いな。
国語の問題は文字をちゃんと書かないといけないし、熟語とか諺とか書かないといけないから仕方ねえっちゃ、仕方ねえ……って、思ってたんですけどね、先生は!!」
「まさか……」
バンッと教卓を叩く諏訪さんに全員の頭に不吉な数字が過る。
「安心しろよ……一桁代だ」
「一桁台って、諏訪サン、マジなのか?」
「大マジだよ。オレも橘高も三雲もドン引きしたわ!」
理系じゃない人は英語や数学が合わない。合わない人は合わず、努力しても限界がある。
そこで一桁台の点数はまだ理解することが出来るのだが、国語である。
「自分は一桁台じゃないって思うバカは挙手してくださいね。諏訪先生は、キレますから」
「いや、怒らないのが普通だろう」
貴虎にツッコミを入れながらも挙手する槍バカ。
いくらなんでも国語で一桁台は無いと太刀川、緑川、ヒカリ、小佐野も挙手する中、双葉も挙手をする。
「黒江、なんでお前も手を上げている?」
「双葉です……分からない問題が多かったので」
「安心しろ。小佐野以外の挙手してる奴等で一番点を取ってる」
「よかった……」
今回最年少の中学一年の双葉。
中学3年の範囲までが出題されるこのテストは難しかったようだが、それでもバカ達よりは点数が上である。小佐野は割と良い点数だった。
「最年少の双葉よりも下だけどもそれでも一桁台じゃねえぞって人……おい!」
「全然、ぶれないな」
双葉よりも下と言われても動じない馬鹿達は手を下げない。
それで良いのかと貴虎は呆れているのだが、一桁は本当に恥ずかしいのである。
「さて、そんな中、バカどもとは関係無いと私はセーフだと思っている日浦!!」
「え!?」
自分は大丈夫なゾーンと日浦は静観していたのだが、突如として諏訪先生に呼ばれて驚く。
「茜、あんたまさか!?」
「無いです!それは絶対に無いです!全問埋めました!自己採点はしてませんが、50点は越えてます!」
まさか茜がと一桁の数字が過る熊谷だが、全力で否定する日浦。
「安心して、68点よ」
その時、橘高から助け船を出された。
「俺、日浦より下なの?」
「書けないところを諦めて書かないのはダメよ……けど、それよりも」
パッとモニターに映し出される【豚に真珠】
「さっき、月見が間違えた豚に真珠。
豚に真珠だが、同じ意味を持つことわざを書く以外にも豚に真珠の意味を書けという問題があってだな……先ずは熊谷の解答だ」
「私はちゃんと書きましたよ!」
「『熊谷友子の答え【値打ちのあるものを価値の分からない人に渡しても無駄なこと】」
「模範的な解答よ」
「よかった……は!?」
モニターに映し出された自身の解答は模範的な解答であり、良かったとホッとするのも束の間、どうして自分の解答が先に出されたのか察する熊谷。
自然と日浦の方に顔が向いており、たまたま目線が貴虎と合うと貴虎は首を横に振る。
「『【意外なところから意外なものが出てくる】』……っぶ」
「なんで笑うんですか!」
「橘高副担任、笑っちゃダメです」
書いている内容が余りにも面白く、思わず吹き出してしまう橘高さん。
「これは棚からぼた餅と勘違いしたのか?」
日浦の解答の間違いを冷静に考察する風間さん。
棚からぼた餅は思いがけないところで幸福を手にすること。意外なところから意外なものが出てくると言う意味と若干だけ似ているが異なっている。
「先生達も、3人で色々と話し合いました。
最初は棚からぼた餅と間違えてしまったのかと、けど、三雲が気付きました。そしてレイジがやってくれました!」
トンっと教卓の上に一口カツが乗った皿を出す諏訪さん。
「日浦、食え!!!レイジ特製の一口カツだ!」
「これ、パワハラになりませんよね?」
「ま、まぁ、問題は無いと思うぞ」
箸で一口カツを掴み、日浦の元に歩み寄る諏訪さん。
なにも事情を知らない人から見ればかなりヤバい絵面であり、通報される案件で大丈夫かと思わず本部長に確認を取るのだが、バラエティー馴れをしていないせいか少しだけ引いている。
「モグッ……あ、美味し、んん!?」
「日浦、あっちの方向にカメラは無いからな」
レイジさん特性の一口カツを食べて満足げな顔をするのだが、直ぐに異変に気付く。
貴虎はハンカチを取り出して、カメラで撮影が出来ない場所を指差すと日浦は移動し、口元をハンカチで抑える。
「三雲さん、なにを……」
「豚に真珠をさせた」
「あ、真珠が出てきました!」
食べた豚カツから出てきたのは、なんと真珠。
「先生達は必死に考えまして、最終的にはこの子は牡蠣と勘違いしてるんじゃないかと気付いたんです」
「あ、はい!そうなんです!
貝から真珠が取れるって前々から知っていて、もしかしたら豚からも真珠が出てくるんじゃないかって。ほら、貝から真珠が取れるって今時の人達なら当然知ってるじゃないですか。そこから意外なところから意外なものがって」
「出てこないぞ」
「ついでに調べておいたが、貝殻の真珠は砂とかの異物混入で生まれるもんだったぞ。要するにこの答えは異物混入してますって言ってんだ!!」
異物混入ダメ、絶対!
昨今の食の事情的に絶対に許されないことを書いてしまう日浦、これは大きく減点しなければならない。
日浦の異物混入に教室内は爆笑の渦に包まれ、顔を真っ赤にする日浦。しかし、国語の問題は更なる爆弾を抱えている。
「けど、安心しろよ……もっとスゲエ、ミラクルが世の中にはあるんだからよ」
「ミラクル?」
なんのことだと頭に?を浮かべると、モニターに問題が写る。
【漢字の読み仮名を書け【炸裂弾】】
「え~この問題はスゲエぞ。
このクラスの3分の1の生徒が間違えて、全員が同じ間違いをしてる。因みに正しい答えがこれだ」
「三雲修の答え【さくれつだん】」
「もしかして」
冷や汗をたらりと一滴流す修。間違えた答えが過る。
「太刀川、風間、米屋、緑川、小佐野、仁礼、別役、忍田本部長の答え【メテオラ】」
「問題を見たときから誰かやらかすとは思ってたけど、バカのオールスターじゃねえか!!」
ものの見事にやらかした面々に大笑いをする諏訪さん。心の底から間違えた面々を嘲笑っている。特にこういう時にしか煽る機会が無い風間さんに。
「風間、くーん!これは【メテオラ】じゃありません【さくれつだん】でーす!」
「……ボーダー内ならそう読める」
苦し紛れの言い訳をする風間さん。
「ボーダー限定で、社会では通じねえんだよ!」
「本部長、なんで間違えたんですか?」
「……素で間違えてしまった」
両手で顔を隠す本部長。さくれつだんと書けば良いものをメテオラと書くとは流石は本部長(煽り)。ボーダーの大人として模範となってます(煽り)
「さて、こんな初歩的なミスを犯したがそれでも一桁台じゃないと思うやつ……ホント、ブレねえなお前等」
「そりゃ一桁はな」
「太刀川さん、どっから湧いてくるんですか、その自信は」
誰一人手を下げないバカ達。
炸裂弾をメテオラと読むミラクルを巻き起こしたのにめげない心はスゴいが、貴虎は醜く感じてしまう。
「だって、ほら国語だろ?」
「意味が分かりません」
「国語ってのは、日常でも使うことなんだ。
漫画読んだり報告書書いたり、メニューとかを見たりするのに使うもので、この中で最年長の俺は一番文字を読んだり見たり喋ったりしてるから一番国語力がある。つまりこの中では一番上だ」
うわ、スッゴいバカな理由。
「そんな太刀川さんよりも上だと思う人……よし、オチは分かっていた。仁礼、お前なんで太刀川さんよりも上だと言い切れる?」
いい加減、一人ぐらいは手を下ろせよと叫びたくなるが我慢し、近くにいたヒカリに自信の理由を聞く。
「アタシにはコレがあるからな!」
自信の理由である鉛筆を机の上に置く。
鉛筆には1から6までの数字が書かれており、所謂鉛筆ころがしに使う鉛筆だった。
「ヒカリ、ズリいぞ!そんなの反則だ!」
「んだよ、お前も鉛筆貰ってたはずだろ!」
「諏訪先生、ヒカリ先輩にカンニングの容疑があります!!」
「おーし、お前達喋るんじゃねえ!口を閉じろ!」
ヒカリのコロコロ鉛筆を抗議する米屋と別役。
諏訪はどうしてそうなるとイラッとし、中指を立てて黙らせる。
「橘高さん、あそこはモザイク処理でいきますか」
「面白そうね」
諏訪先生の中指はモザイク処理されることになります。
「コロコロ鉛筆、その手があったか」
「バカ川さん、なに言ってるんですか?国語の問題は記述式の問題で、語群から選ぶ選択系の問題は無いですよ」
俺もその手を使えば良かったと後悔するバカ(太刀川)だが、国語の問題で鉛筆ころがしは余り使えない。
「で、結局、誰が一桁台なんですか?」
混沌とした空気の中、冷静に聞いてくる京介。
まだ他の科目が残っているのでこれ以上は国語で長引かせることは出来ないと諏訪さんは判断し、一桁台の人物を発表する。
「別役太一、お前が一桁だ!!」
「ええっ!?なにかの間違いじゃないんですか!?」
「いや、間違いなのはお前の解答してる場所だ……ん?」
ドベを取ったのは別役。
成績だけを見れば順当なのだが、途中から書くところを間違えていた。そして答えも間違えていた。
どの部分を暴露してやろうかと別役の答案用紙を諏訪さんは手に取るのだが、おかしな点に気付く。
「三雲、これ」
「あ、すいません」
「……いや、多分、オレも同じ事をすると思うわ」
「なにかあったんですか……もしかして、採点ミス!?」
採点ミスを喜ぶな、馬鹿野郎。
「別役、喜べ。お前の点数が9点から8点に繰り下げだ」
「あ……あの、編集でどうにか誤魔化せないでしょうか?」
それガキの使いの出演者がなんかやろうとして、笑ってはいけないで暴露されてたやつ。
「流石に一桁はちょっと……」
「こ、今先輩にだけは」
「安心しろ。雷蔵さんと冬島さんが不慮の事故で亡くなったから、裏方を手伝って貰っていて……今現在収録を見ている」
「ガーーーン……」
※雷蔵さんと冬島さんは不慮の事故(犯人は風間さん)により、この珍解答には不参加です。
「すわさん、太一のなにを間違えてたの?」
「ああ……これだ」
「別役太一の答え【千日一善】」
「……これってなにが正しい答えなんですか?」
問題の内容は、こうだ。□に入る漢字を書きなさいというシンプルな問題。
□日□善や、□果□報とか色々とある問題で、別役は間違えた。
「一日一善だ」
正しい答えを聞く別役になんとも言えない顔で答える諏訪さん。
「ああ、一だったんですね!」
「うん……」
「よねやん先輩、あながち間違いじゃないよね」
「言うな。多分、オレも○つけてたら間違える」
本物の悪、別役太一。
彼はもしかすると千日一善を素でやってしまっている男である。
「因みに、1000日は2年と270日だ」
「ついでに補足しておくと、別役くんが書く場所を間違えていなかったら米屋くんがビリだったわよ」
「ぬぅお!まさかのオレが二番目か!」
国語の珍回答の時点で充分な撮れ高はあるが、まだまだ続くぞ珍回答。
一先ずは諏訪さんから国語のテストが返却される。
「72点……よかったッス!」
良い点数で安心し、笑顔になっている帯島ちゃんはエモかったわ(橘高談)。
当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話
国語
1位 月見 97点
担任の諏訪先生からのコメント
「オレとは違うところで間違えたが、それ以外は全部合ってる。
豚に真珠と似た意味があることわざは割と多いから、やらかすときはやらかしちまう。ケアレスミスだ」
2位 弓場 92点
副担任の橘高先生からのコメント。
「流石は19歳組の長男だわ。けど、例文の当て字はどうにかならなかったのかしら?」
3位 柿崎 88点
主任の三雲貴虎からのコメント。
「細かなミスが多く、類似してるものと間違えてたりしての88点です。
下位のバカどもとは異なりやってなかったからミスった感じで、高校生の時にやってたら100点は取れたと思います」
4位 風間 80点
担任の諏訪先生からのコメント
「風間く~ん、炸裂弾と書いてメテオラと読むのはボーダー限定で通じるんですよぉ~」
5位 沢村さん 79点
副担任の橘高先生からのコメント
「ペンディングとかディスカッションとかプレビオバトルとか日常では余り使わない言葉を用いての文の間違いが多いです」
6位 忍田本部長 77点
主任の三雲貴虎のコメント
「【炸裂弾】と書いてメテオラと読むとはさすがですね~ボーダーの本部長は伊達じゃないですね~(煽り)」
同率7位 三雲修 烏丸 76点
主任の三雲貴虎からのコメント
「山原水鶏とか青天の霹靂とか普段あんまり使わない漢字とか言葉とか俳句とか川柳でのミスが多いものの、本当に基本的な問題は間違えていない。炸裂弾をメテオラと読んでない。これなら、高校に進学しても成績は落とさないと安心できる。あ、一年の時のノートが」※貴虎(ブラコン)のコメントが長すぎるのでここまでである。
9位 小佐野 73点
担任の諏訪先生からのコメント
「正直、コレを見たときは驚いたわ。カンニングだと疑った事を許してくれ。
漢字を書く系は酷かったが単文とかことわざとか慣用句とか普通に正解して点を稼いでた」
10位 帯島 72点
副担任の橘高先生からのコメント
「思ったよりも良い点数をとっていて満面の笑みで小さくガッツポーズを取っていた貴女はエモかったわ……」
「予習や復習、自習を欠かさずにした成果がハッキリと出ているわ」
11位 熊谷 70点
担任の諏訪先生からのコメント
「文学史系の問題のミスが多いな。
宮沢賢治の代表作を雨ニモ負ケズ以外で答えなさいを白紙だったのはちょっと驚いた。柿崎や歌川とバスケしたりするのも良いけど、たまには小説とかを読んで見るのも良いんじゃねえか?」
12位 日浦 68点
副担任の橘高先生からのコメント
「熊谷ちゃんと同じく、文学史の間違いが多いわ。
芥田川竜之介じゃなくて芥川龍之介、難しい方の漢字を書かずに簡単な方で誤魔化したらダメよ。それと真珠は貴女のものよ」
13位 小荒井 62点
主任の三雲貴虎からのコメント
「答えが分からないところを無視して、分かるところを書くのは良いが、その分、撮れ高は0だぞ、お前」
14位 黒江 51点
担任の諏訪先生からのコメント
「此処から一気に点数が下がったな。
もうすぐ2年だが中1のお前には分からない問題が結構あった……と、思ったが、中三とかでやる古文を現分に直す問題も幾つか正解してた。学校とボーダーを今みたいに両立しときゃ、小荒井と同じ年に受ければ小荒井以上の点は取れてたと思うぜ」
15位 緑川 44点
副担任の橘高からのコメント
「此処から成績が悪い子が一気に落とすエリアなのは、なんとなく分かっていたけれど酷いわね。比喩の意味がよくわかってない分もあったわよ」
16位 太刀川 40点
主任の三雲貴虎からのコメント
「【今日、東京に行きますけど、なにか欲しいお土産はありますか?】を古文にしたら【今日、江戸にいくけど、なんか欲しい手土産はありんすか】にはなりません。タイムスリップしてますし、鈍ってるだけです。中学生以下だと恥を知れ」
17位 仁礼 37点
担任の諏訪先生からのコメント
「語群が多いテストならまだしも、記述式の問題が多い国語では鉛筆ころがしは通用しねえよ。どやってた割にはケツから3番目じゃねえか!」
18位 米屋 29点
副担任の橘高先生からのコメント
「もう、何処からツッコミを入れれば良いの?珍回答が多過ぎてお腹が痛いし、誤字脱字が酷すぎて頭が痛いわ。鉛筆があるかないかの問題じゃないわ」
19位(ビリ) 別役 8点
主任の三雲貴虎からのコメント
「途中から書いてる位置が間違ってて、答えも間違えまくってたぞ。
位置さえ間違ってなければ、米屋は越えれたのに本当になにやってんだ。今さんに叱られてこい、今、般若の面をつけてるから怖いぞ」
今結花からの怒り
「太一、鈴鳴支部の裏に来なさい」
※
はい、次回は本編です。
このバカテストを書いてたら6話ぐらい使うから、忘れた頃にちょくちょくやる感じです。
ほんと、数学とかの珍回答どうしようか。本家とかヘキサゴンを見てギャグを書かないとできないよ。
ギャグ短編(時系列は気にしちゃいけない)
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てれびくん、ハイパーバトルDVD
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予算振り分け大運動会
-
切り抜けろ、学期末テストと特別課題
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劇団ボーダー
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特に意味のなかった性転換
-
黄金の果実争奪杯