なんとか辿り着いたボーダー本部、と思いきや襲ってきていたエネドラ。
休む暇なく俺は千佳をエンジニアの寺島雷蔵さんに預けて急いでエネドラ用にと使わずにいたアギトアームズに換装。
「予想していた通り、か」
俺の予想はハズレていなかった。
「やっと、面白そうなのが来てくれたか!メガネメロン!」
最早、原型残ってないぞ。
俺の登場に笑みを浮かべてハイになるエネドラ。
放出されている電磁波が酒で酔っぱらってる過去の栄光にすがっている鬱陶しい中年よりもおかしく、脳がおかしいことになっている。このままだと大変な事になる。と言うか、死相が見える。
「三雲くん、なのか?」
話はある程度は伝わっているとレプリカから聞いてはいるが、いざこの姿を見ると驚きを隠せないようだ。
「俺は俺で、修や千佳を助ける為に此処に来ただけです。ボーダーや街の為に戦いには来てません」
あくまでも線引きを示す。
堤さんとは色々と付き合いはあるものの、こればかりは譲るつもりは一切無い。
「弟の為だろうが玉狛のトリオン怪獣の為だろうが、構わねえよ。嵐山だって街よりも家族優先だって堂々と言ってんだからな。三雲……って、弟の方も居るんだったな。とにかく、力、貸せ!」
「諏訪さん、だったっけ……コイツ、俺、一人でどうにかなりますよ」
俺の言ってる事を気にせず初対面なのに共闘しようと言ってくる器の大きさに驚きつつ、エネドラの対処について言う。
「三雲、あの黒い角は黒トリガーで性状を変える能力を持ってやがる。お
「弓場さん、余裕じゃないんです。じゃんけんなんですよ」
「じゃんけんだと?」
慢心とも言われる程に余裕ぶっこいてる事を注意されたが、裏を返せばそう思える程のなにかがあるからだ。
アフトクラトルが襲撃してきた際の事を想定し、色々と考えた。新型の色付きのラービットは特になにかしなくてもスペックのゴリ押しで通じる。故に考えなければならないのは人型だ。
やられる前にやれ!のクロックアップしか浮かばなかったヴィザ翁とハイレイン、何処から出てくるか分かるからウォーターメロンガトリングなりなんなりでカウンターできるミラ、此方も同じ力や同じ事をして倒せば良いランバネインとヒュースと色々と頭を悩ませて対策を考えた。
その中でも唯一頭を悩ませずに考えられたのがエネドラだ。
「アイツがグーなら、俺が今使っているのはパー。じゃんけんではグーは絶対にパーには勝てない……相性が良いんですよ」
ワールドトリガーは全員が同じ武器を使い創意工夫し戦うバトル物……の筈だ。
「悪いが、此処からは能力バトル物だ」
フレイムセイバーを出現させ、エネドラへと突撃する。
「三雲、そいつに斬る系の攻撃は効かねえ!」
止める諏訪さんを余所にフレイムセイバーで首を一閃。
ポトリとエネドラの首が落ちるのだが、エネドラはしめたと笑みを浮かべる。
「おいおい、アドバイスを聞いてやらねえのか?オレには効果が」
「ふん!!」
「っがあぁ!?」
斬り落とされたエネドラの頭部にフレイムセイバーを一刺しからの胴体一閃。
今まで余裕ぶっていたエネドラから苦しむ声が聞こえ、直ぐに俺との距離を取った。
「て、めえ……さっきといい、今といい、オレを燃やしやがったな!」
「自分がなにをされたかやっと気付いたか」
エネドラは核となる部分を除けば液体になることが出来る。
ワンピースのロギア宜しく液体となった相手は斬っても撃っても攻撃は効かない。
「体を液体化させる能力はすさまじいが、割と簡単に攻略が出来る。一つ目は凍らせることだが、液体に不純物とか混ざっていると何度で凍るか分からないからこの手は使えない。二つ目は更に不純物を混ぜる。小麦粉とかそういうのを混ぜて動きを鈍くしたりする。食堂辺りまで走ってけば小麦粉は手に入るが、そんな暇はないし効率が悪い。三つ目は燃やすこと……この姿ならそれが容易だ」
ゴゴォッと刀身に炎を纏うフレイムセイバー。
中二感満載だが、これを使うのには物凄く気を使わなければならない。いや、本当にボーダーを溶かしかねない。
「ふざけんな!そこらの火で蒸発するほど、オレの体は柔かねえ!」
「悪いな、この剣は7000℃まで出すことが出来る」
「なん、だと……」
フレイムセイバーは7000℃出せる。
太陽の表面温度が6000℃ほどと言われているから、それ以上の温度を出せると言うことだ。
「三雲、7000℃って、基地を」
「今、こうしてカッコつけて炎を出せるぐらいの温度調整はしてます」
摂氏7000℃と聞き、別の心配をする弓場さん。
摂氏7000℃の刀身をぶん回したらどうなるか?刀身が放つ熱だけで周りの物が溶けるのは確かで、ボーダーの機材はドロドロに溶けてしまう。
出力の調整を間違えることはあってはならず、こうしてカッコつけて刃に炎を纏わせているのは物凄く難しい事だ。
『三雲く━━』
「次は、気体だろう」
小佐野が周りにエネドラのトリオン反応が広がっていることを放送で知らせようとしてくるが、見えている。
フレイムセイバーを左手で持つと空いている右手にストームハルバードを出現させ、右手を振ると突風が巻き起こり、気体となっていたエネドラの一部は本体に向かって飛ばされる。
「テメエ……」
プルプルと震えるエネドラ。
「因みに1つだけ良いことを教えてやる。伊達や酔狂でこの姿にはなっていない。この姿は毒ガスとかは通さない様に出来ている」
体内に侵入さえ出来ればこっちのものだと希望を持たれては困る。
こいつは今、此処で徹底的に潰す。だから、希望を与えない。仮面ライダーに変身している時は、毒ガスとかは効かない。
そう、エネドラの対処法は悩むことはなにもなかった。
体を液体化するならばフレイムセイバーで燃やし尽くせば良い。
体を気体化するならばストームハルバードで吹き飛ばせば良い。
体の核となる部分を偽装するならサイドエフェクトで本物を見つければ良い。
体の内部からガスブレードを広げて攻撃してくるならばガスを通さなければ良い。
その答えが直ぐに出た。
「諏訪さん、堤さん、弓場さん……他は、まぁ、いいか。カッコいいボーダー隊員ってのを見せてくれ。道は切り開くから」
俺との相性が最悪な事に気付くエネドラ。
そろそろ遊ぶのを止めて、確実なとどめを刺すべく銃手の3人の支援を要請。
「やっと出番か。待たせ過ぎだぞ、こら」
「オレ達の出番、無いかと思ってたよ」
「見せてやるよ。カッコいいボーダー隊員ってのをな!!」
俺一人で大体どうにかしており見ているだけだった大人三人は生き生きする。
自分達が何をすればいいのか、することがなにか分かって笑っている。
「……ざけんな、ふざけんなぁあああ!!オレは、オレ様は、黒トリガーなんだ!!猿に、わけのわからねえトリガーなんぞにやられるわけがねえ!!」
「わけがわからないからやられるんだよ……知っているか?未知とは恐怖なんだ」
絶対的なまでに相性が悪いことを認めようとしないエネドラ。
俺を倒そうと液状やガス状のブレードを向けてくるが、サイドエフェクトで何処から向かってくるか分かるので液体はフレイムセイバーで蒸発させ、ガスブレードはストームハルバードに吹き飛ばされていき、性状が変化出来ない核となる部分が段々と露呈していく。
「三雲、もう充分だ!!」
それを見た諏訪さんは俺に引くことを命ずる。
二丁の散弾銃を構えており、何時でも弾けると見せつける。
「じゃあ、カッコいいところを見せてくれよ」
徹底的に痛めつけておいたエネドラ。
「これで終わりだ!」
堤さんがそういうと3人は引き金を引く。
散弾銃が回転式銃が強力な
「逃がすか」
戦極ドライバーのカッティングブレードを三回切る。
『トリニティフォーム!』
「はぁあああ」
足元に斬月のライダークレストが出現。
呼吸を整えて高くジャンプして、エネドラが逃げた先をサイドエフェクトで予測する。
「なんで、ここが」
「俺のサイドエフェクトがそう言っているんだ」
逃げた先に回り込まれた事を受け入れきれないエネドラ。
お前からは死相しか見えない……恨みらしい恨みは無いが、ここで倒されてもらう。俺のライダーキックはエネドラの核を貫き、エネドラは元の姿に戻った。
「って、最後までお前が良いとこどりかよ」
自分達で倒したと思った諏訪さんは少しだけ残念そうにする。
そんな諏訪さんに対して一言二言言ってみたいことはあるものの言っている暇は無い。エネドラを倒した瞬間からタイマーが切られている。
「っ……
黒トリガーである自分が倒された事を受け入れきれないものの冷静さは失っていないエネドラ。
死相が物凄く浮かんでおり、狙う瞬間は極々僅かだとロックシードホルダーに付けているウォーターメロンロックシードに手を伸ばしながら距離を詰める。
『ウォーターメロン!!』
「!」
「おい、待て三雲ぉ!!」
「今はもう生身の肉体だ!!」
俺の行いに驚く諏訪さん、弓場さん、堤さん。
アギトアームズを解除しつつ、戦極ドライバーにウォーターメロンロックシードをセット。そのままカッティングブレードを引く。
『ウォーターメロンアームズ!!乱れ玉、バ・バ・バ・バ・ン!!』
「そこだ!!」
ウォーターメロンアームズへと変身し、装備品であるウォーターメロンガトリングを撃つ。エネドラでなく、なにもない所に向けて……いや、なにもないと言うのは少しだけおかしいだろう。
「な!?」
アフトクラトルの門の様な物を開く事が出来る黒トリガー【
「っ!!」
流石のミラも自分が出てくるところを予測して待ち構えられるのははじめてで、防御することは出来ず右腕を破壊し、足を撃ち抜く事に成功した。しかし、それと同時に激痛が走り今までのツケが回り出してきた。
まだだ。まだ、ここで終わるわけにはいかない。
「左手の……そこか!!」
原作ではミラはこの後、エネドラを殺して黒トリガーの
その事を知っている俺は色々と考えた。別にエネドラに対してなにか特別な感情を持っているわけではないので死のうが知ったことではない。ただ言えることは俺が相手だったから黒トリガーを相手に完封する事が出来た。つまりだ
「この機会を逃すわけにはいかない」
黒トリガーをぶっ壊す。
エネドラが装備している待機状態の見た目がなんとも気持ち悪い泥の王目掛けて無双セイバーの弾丸を撃ち、貫く。
「なんて事をしやがる!!」
「悪の根を断っているに過ぎない」
黒トリガーが脅威的なのは言うまでもない。
またアフトクラトルが攻めてこないと言いきれないのなら、今の内に可能性を潰していく。
「ミラ、さっさと船──っ!!」
「!」
「予想外だったわ」
ミラにさっさと船に返すように言うエネドラだったが黒い棘の様なものが体に突き刺さった。
エネドラは何故と驚いた顔をするのだが直ぐに全てを察してしまう。エネドラはここで切り捨てられる存在だった
「まさか泥の王を破壊するだなんて……」
「ミ、ラ、てめぇ……」
「エネドラ、貴方はもうおしまいなのよ。気づいているかしら、角の浸食が目にまで届いているのを」
エネドラの左目が濁っている。
トリオン能力を拡張させる角の影響がモロに出てしまっているのだろう。やたらと凶暴なのはその為で……エネドラは不要な存在だと切り捨てられる。
「ふん!」
エネドラがここで殺される事は知っているので変に動揺はしない。
それよりもミラを倒せるかどうか無双セイバーの弾を撃つがミラは少しだけ体勢が悪くなるがそれだけだった。
こちらに対して敵意を持っているのは電磁波で分かる……どう出てくる?いや、それよりも時間を稼ぐか
「ったく、国の一大事だってのにくだらねえ内乱を起こすとは……そんなんじゃ他の奴等に先を越されるぞ」
「っ、何故それを知っている!?」
俺の挑発にミラは反応した。諏訪さん達はなにを言っているといった顔をしている。こういう時に内部通信が出来ないのは痛いな。
「さて、私はなんでも知っている情報通なんでな」
ホントは原作知識だけどもとりあえずは警戒させておく。
既に警戒心は高い状態だったミラは俺に激しく敵意を向けてきて小窓を使ってくるのだがサイドエフェクトで空間の歪みの様なものを先読みして回避する。そんなやりとりをしている内にエネドラは血を流しながら倒れてしまう。ミラから受けた攻撃の当たりどころも悪い。心臓をやられたのならば手の施しようがない。
「っち……逃げたか」
俺に攻撃は通じない。目的である【泥の王】は俺の手により破壊されてしまったのでここにいる理由はもう無い。
ミラは大窓を開けて自分の遠征艇に戻っていった……一応は撤退させているから俺達の勝ちになるが……まだ戦いは終わっていない。
「上に繋いでください、現在どうなっていますか?」
千佳とサクラハリケーンを持ってくることには成功した。後はトリオンをチャージしていけばいい。
問題はそれまでにこちらがなにをしようとしているのかがバレないのとそれまでの時間を稼がないといけない
『雨取隊員からトリオンを抽出している。このまま行けば無事に敵地に乗り込む事が可能だ』
「そうか……」
『君の弟やその仲間達も順調に本部に向かってやってきている……だが、コレで終わりではない』
「他のところになんて行くつもりは無い。俺は俺の私利私欲で動いているんだ……修達と合流する」
ボーダーの本部的には他の地域に行ってほしいのだろうが、俺は街の為に戦っているんじゃない。家族の為に戦っているんだ。
ボーダーの本部に足を運ぶのははじめてだがサイドエフェクトで何処になにがあるのかは分かる。俺は修達が居る方向に向かって走ろうとするが倒れてしまう
「大丈夫か三雲くん!」
「まだ、大丈夫です……っ……」
ここまでアドレナリンを全開にして突っ切ってきたけれどもそろそろ俺の体に限界が来始めている。
仮面ライダーの変身アイテムと言う名のトリガーは強力な反面、絶対的なまでの欠点がある
「お、おい血まみれじゃねえか!?」
「これぐらいはかすり傷に過ぎませんよ」
それはトリオン体に換装しないこと。
修に千佳のトリオンを用いてアステロイドを撃って貰った際に破壊された瓦礫に体をぶつけたりして大きな怪我を負っている。迅はこの事をサイドエフェクトで視て気付いていたんだろう。
「医務室に行けよ、脅威はもう去ってんだ。怪我が軽い内に治しとけ」
「諏訪さん悪いですけど、それは聞けない話ですよ……弟が待っているんです」
怪我を放って置くことが出来ないのは百も承知だ。だが、それでも修達が心配なんだ。
エネドラとヒュースとランバネインを倒して残すところは黒トリガー使い3人。遊真に1人頼んだとしても残り二人は……俺の考えが正しければ修が変身すれば勝てる可能性があるぐらいだ。
「変身」
『メロンアームズ 天・下・御・免』
俺は傷ついた体に鞭を打ちながらも変身した。
痛みで意識が飛びそうなのを気力1つで耐え抜いている。この程度の痛みなら千佳の悲しみより軽い……止める事が出来たのに止めなかった俺はクズ野郎だ
「待ってろ、修」
俺は修の元に向かって走り出した。
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