「申し訳ありません【
貴虎が修の元に向かっている一方その頃だ。
ミラはハイレインにエネドラを始末する事には成功したものの、代わりに黒トリガーである【泥の王】が破壊された事を報告する。
元々エネドラは時が来れば始末する予定であり【泥の王】は回収するつもりだったが予想外の一手をくらってしまった。ミラはハイレインの顔色を少し伺ってしまう。
「あのメロンにやられてしまったか」
「はい……」
「全く厄介なメロンだ」
本当に本当に厄介な事に貴虎が場を、盤面を滅茶苦茶にしている。
ボーダーの隊員達を連れ去ろうと計画したはいいがこちらが向こうの戦力を読みに来ていると読まれ、武器の統一等をされて情報を得られなかった。
今回はボーダーの隊員達を連れ去ろうとラービットを配置するもののあっさりと倒されるどころかヒュースと相討ちに終わったかの様に見せて復活するとんでもない荒業をしてきてランバネインを撃退するなど、本当になにからなにまで邪魔しかされていない。
「ミラ、
ランバネインは意見を出す。金の雛鳥を捕らえさえすればどれだけの赤字を出しても全てがチャラになる。
千佳を貴虎が安全に運んでくれたのはトリオン兵を経由して見ている。エネドラに付けた発信機はまだ生きているのでそこからボーダーの本部に乗り込み千佳の元に向かうのも1つの手ではある。
「いや、敵の基地に単身で乗り込むのは危険過ぎる」
しかしその案をハイレインは却下する。
エネドラを回収しに行こうとした際に貴虎はミラが出てくる場所を当ててウォーターメロンガトリングをぶっ放した。ミラの【窓の檻】もそこまで万能でなく、既にエネドラにつけた発信機はボーダー隊員達に回収されて警戒されている。乗り込むのは得策ではない。
「ヴィザ翁が完全に浮いている……ヒュースはどうなっている?」
「布で顔を隠された状態で運ばれています」
「そうか……致し方あるまい、出るぞ」
「よろしいのですか!?」
「ここまで来てなに1つ成し遂げられない方が危険だ」
敵国の大将的存在であるハイレインは座っていた椅子から立った。
国宝を含めた黒トリガー複数に最新鋭の強化トリガー、更にはトリガー使い捕獲用のトリオン兵でトリガーの能力を備えたラービット、過剰過ぎる様に見えるほどの戦力を導入してたった数名しか拉致出来なかったでは洒落にならない。
「先ずはヴィザ翁を回収しろ……」
早速最後のプランをハイレインは作り上げる。
本来ならばヒュースが使える状態だったのでヒュースのトリガーで修達との間合いを詰めるのだが、貴虎が真っ先にヒュースと相討ちになって落とされた為に完全に浮いた駒になってしまっている。アフトクラトル側での最強戦力をここに来て手札に戻す
「ギャアアアア!!」
「落ち着いてって言っても無理か」
一方その頃の修達はボーダーの本部目指して走っていた。
しかし道中そこかしこにいるラッドが門を開いてモールモッド、酷い時は色付きのラービットが飛び出してきている。夏目はハイになっているのか大声を出して叫ぶ。ボーダーに入って間もない訓練生であるC級に騒ぐな慌てるなと言うのが無茶である。
「ジンさん、まだなの?」
「もうちょっとだ、頑張ってくれ」
モールモッドを軽々と倒していく遊真は何時まで逃げに徹していればいいのか尋ねる。
C級隊員達を連れていかなければ、少しでも気を抜いてしまえば拐われてしまう可能性がある。それこそぶっ倒さなければならないのだが、守らないといけないC級隊員をそっちのけで戦うのを迅が止めている。
「そろそろ……来た!」
「よぅ、メガネボーイ!」
「久しぶりだな!」
「迅さん、三雲先輩、応援に来たよ!!」
迅が声を出すと同時にトリオンキューブが飛んでくる。
ランバネインを倒したA級三馬鹿の米屋、出水、緑川の3人が増援として修達の元へとやってきた。迅は待っていましたと笑みを浮かべると遊真を見て頷く。遊真に好きな様にトリオン兵を倒していいとの合図がくだった。
「
今まで耐えてきた分の鬱憤を晴らすかの様に力いっぱいモールモッドをぶん殴る。
A級の増援により遊真を護衛から防衛に切り替える事が出来ている。このまま順調に行けばこの場にいるC級隊員達が拐われる事は無い……このまま順調に行くことが出来ればの話だが
「っ!」
迅は見てしまう、これから起きる厄介な出来事を。騒動の渦の中心にいる修を思わず見てしまい、頭を回す。
これから起きる出来事にどうすれば対処できるか見える未来から逆算して覆す方法は無いかと思考を張り巡らせていると……空から光る燕が舞い降りる。
「全員それに触れるな!!」
突然現れた光る燕が具体的になんなのか分かってはいないが触れるとどうなるのかサイドエフェクトで見えたので危険だと叫ぶ。
声を大きく荒げても燕が急に何処かに行くわけでもない。迅はスコーピオンを燕に向かって投げると燕は消え去ったが代わりにスコーピオンがトリオンキューブに変化した。
「こいつは触れるだけで即死の攻撃だ。
「ハイレイン殿の【卵の冠】の能力を一瞬にして見抜くとは……中々の眼力、ではなさそうですね」
「っ!!」
ラッドを経由して門が開かれた。今までに何度も起きた出来事なのでそこで驚くことはしないのだが、問題は門から出てきた人物だった。
レイジを一瞬にして倒したアフトクラトルの最高戦力、ヴィザがここに来てやってきた。ヴィザの顔を見ると迅のサイドエフェクトは能力を発揮し、これからなにが起きるのか……自分達が全滅してしまう未来を見てしまう。
「遊真、あの爺さんを頼めるか?」
「ちょっと無理っぽい……けど、そうしないとヤバいんでしょ」
全滅を回避する方法は唯一つだけあり、それを遊真に実行してもらう。
遊真もヴィザを観察し、冷静に考える。この爺さんは強い、自分よりも遥か上の存在だと。まともに挑めば勝つことは不可能だ。
「メロンくんが居てくれたら、なんて都合がいいか」
限りなく可能性が低い未来にここでの貴虎の登場がある。今こうして絶賛ピンチなのでそれは無い。
貴虎がいればヴィザ相手に初見殺しに近い必殺技で倒すことが出来たが、ここで都合良く現れるなんて事は無い。
「
「これは……通常のトリガーではありませんね」
地面を強く殴りつけて土砂を巻き上げる遊真。
遊真の使っているトリガーの出力が明らかに通常のトリガーでない事をヴィザは見抜き、次の手に移ろうとするがその前に自身の持っている杖にグルグルと鎖が巻き付いている事に気付く。土砂を巻き上げたのはこの為だったのかと気付くが既に遅かった。
「
鎖を掴んだ遊真は跳んでいく。
鎖に捕まっているヴィザは引っ張られてしまい、この場から去ってしまう
「これで最悪の未来は回避することが出来た」
ヴィザがここにいる人間は全員トリオン体でここは敵地だからと無差別に星の杖を暴れさせる未来は存在していた。
如何に未来予知が出来てもそれに反応する事が出来なければ意味はない。純粋な高火力で殴られると未来予知がチートでも回避は不可能……まぁ、貴虎はサイドエフェクトありきだが避けることが出来るけども。
「あっちからか!」
遊真達がこの場から去っていくと出水は燕の出どころに気付く。近くのビルの屋上から出ているとハウンドを撃つのだが手応えが全然無い。
燕は相変わらず襲ってきており根本を叩かなければならないがその根本を見ることすら出来ない。
「ほぅ、ランバネインを倒した
「……迅さん、アイツが敵の大将で間違いないですか?」
ビルから飛び降り、周りに蜂や魚やらを泳がせながらハイレインはやってきた。
コイツが敵の親玉かどうかを烏丸は迅に確認を取った。迅はコイツを攻略すればこの大規模侵攻を終えることが出来ると頷いて返事をした。
『ガイスト起動 緊急脱出まで残り172秒』
「京介、お前」
「誰かが相手にするしかないでしょう……俺が犠牲になりますので迅さんは攻略の糸口を見つけてください」
ここに来て烏丸は温存していた玉狛トリガーのガイストを起動した。
ガイストとは一言で言えばパラメーターを操り1つの能力に特化するトリガーで、烏丸は素早さと弧月の切れ味を増した
「【
「っ、マントの下に」
「エスクード!」
マントの下にも蜂達が隠れており、烏丸の強化状態の弧月が届きはしなかった。
自身の黒トリガーよりも早い事を素直に称賛しつつも魚を別の方向に移動させるとそこから門が開いて烏丸の背後に小さな門が開くが、迅が烏丸の背後に
「今のを見抜いただと?」
殆ど初見殺しの攻撃を迅は防いだ。
今のならば誰でも仕留めれる自信がハイレインにはあったのでその事を疑問に思い、迅を見つめる
「なるほど、そういうことか」
この侵攻の際に最初からずっと違和感を感じていた。誰かに誘導されている様な感じだった。
「迅さん!!」
「メガネくん……切り札を使うんだ!」
サイドエフェクトで視えてしまう。シールドを貼ろうが壁を出そうがハイレインの卵の冠は自分に命中してしまう事を
「くっそ、捌ききれねえ!」
米屋達にも魚や蜂が飛んでくる。
米屋は槍を振り回していくが槍もまたトリオンで構築されている物で問答無用でトリオンキューブに変化をしていき、最終的には自分の手元に触れてしまいウネウネと捻れていく
「っ、緊急脱出!」
「よねやん先輩!」
「大丈夫だ、緊急脱出したから生身の肉体に戻ってる。それよかあのワクワク水族館野郎だ」
米屋と迅の緊急脱出に動じる緑川。
出水は問題無いとフォローを入れながらもハイレインに向かって
「メガネくん、なにかあるんだろ!」
攻撃が当たらない事に若干苛立ちながらも出水は冷静に状況を分析する。
緑川と烏丸もこのままいけば緊急脱出してしまう。そうなればここで戦える人物は修だけになり、迅は修に切り札を使ってくれと言っていた。ならばそれに便乗し、自分もそれに賭ける事にする。
「メガネ先輩、今こそコレを使うべきっすよ!」
「なにが出るかわからないけど、使ってくれ!」
『ディケイド!』
万が一の時を想定して託されたロックシード……ディケイドロックシードを夏目は解錠した。
すると夏目の上空にジッパーの様なものが出現しジッパーが開くとピンク色もといマゼンタカラーの仮面ライダー、仮面ライダーディケイドが現れた。
「トリオン兵を呼び出す道具だったのか!」
「ええっと、とりあえずアイツをボコボコにして!!」
出てきたディケイドは夏目を見る。
指示を待っているので夏目は指示を出すとライドブッカーからカードを取り出してネオディケイドライバーにカードを挿入する
『KAMENRIDE EXーAID MUTEKI GAMES』
「姿が、変わった」
『輝け流星の如く黄金の最強ゲーマー ハイパームテキエグゼイド』
「なんすかこの歌は……なんか金ピカっすけども行って来い!」
夏目が指示するとハイパームテキなディケイドエグゼイドは走り出す。
ハイレインはディケイドエグゼイドに警戒しつつも蜂を飛ばす……ディケイドエグゼイドは蜂に触れるが……トリオンキューブにはならなかった。
「なに!?」
相手がトリオン兵ならばトリオンで出来ているのならば卵の冠の効果は適用されるはず。
その定説はディケイドエグゼイドには通じない。現在のディケイドエグゼイドはあらゆる攻撃に対してムテキの耐性を得ているのだから。
ガシャコンキースラッシャーを取り出してハイレインの右腕を切り落とした。
「よっしゃあ!なんだかよくわからないけどこれでってええ!?」
ディケイドエグゼイドがチートっぷりを発揮していると急に夏目の体がトリオン体から生身の肉体に戻った。
それと同時にディケイドエグゼイドの姿が薄れていき、最終的には姿を消していった
「これは、トリオン切れか!?」
ディケイドロックシードは一応はトリガーという事になっており、動力はトリオンとなっている。
エネルギーを使い回し出来るインフィニティのウィザードならばまだしもハイパームテキなエグゼイドになるとそれはもうトリオンは限界を迎えてしまう。
「ああ、錠前が灰色に!」
夏目のトリオンが底をついたのでディケイドロックシードは灰色に染まる。
錠前を開けたり閉めたりするが一切反応しない。
「まさか【卵の冠】の攻撃が効かないトリオン兵が存在するとは……その錠前はいただく!」
「ぎゃあああ、ってあれ?」
「効いてねえ……まさか!」
ハイレインは夏目に向けて攻撃をするが一切のダメージを受けていない。出水はその光景を見て1つの結論に辿り着く
「トリオンにしか効かねえのか」
ハイレインの攻撃はトリオンにしか通じない……まぁ、トリオン以外が通じるとは限らないのだが。
「このままではトリオン漏出過多になってしまうな」
「回復も出来るのかよ……」
「出水先輩、すみません!もう限界です!」
ハイレインは落ちているトリオンキューブからトリオンを吸収していく。すると切られた腕が段々と生えてきた。
それと同時に烏丸の活動時間に限界が来た。烏丸は最後の悪足掻きとも言うべきか銃撃戦特化の形態に切り替えて弾を撃つのだが、ハイレインの魚の壁を越えることは出来なかった。
「いよいよ、ヤベえな」
なんとか生き残ってはいるものの、勝ち筋の様なものが見えてこない。
増援もやってこないこの状況、本部ではアフトクラトルの船に乗り込む計画を練っているがまだ間に合わない。
「足元を疎かにしていいのか」
「っ、しまっ!」
色々と思考を張り巡らせるていると足元にトカゲがやってきている事に気付かなかった。
膝の辺りまで一気に駆け抜けてくるトカゲは弾けて出水の足をトリオンキューブ化させて出水のバランスを崩す
「くそ……三雲、悪い!」
目の前にいる友人の弟になんの力も貸せなかった事を出水は悔やみ緊急脱出した。
「やはり脱出機能は強いな……アフトクラトルでも中々に見ないトリオン操作能力の使い手だったが、実に残念だ」
「やばい、もう……」
A級隊員はこの場にもう緑川だけ。
夏目は絶体絶命のピンチに追い詰められてしまうが修は前に出て夏目を庇おうとしている
「メガネ先輩っ……」
夏目は知っている。修はもうまともに戦うことが出来ないのを。
千佳との緊急接続が原因でアステロイドを撃つことが出来ない。レイガストもまともに振るう事が出来ない
「迅さんは僕に言ったんだ、切り札を使えって」
夏目も万が一を想定してロックシードを受け取っていたが、迅は夏目に対しては言っていない。
修の持っている切り札を使えと言っており、修は自分が持っている切り札を……ロストドライバーを取り出した。
『オサム。それはボーダーのトリガーではない、なにが出てくるのか分からない』
「分かっている……けど、兄さんが託してくれて迅さんが使えと言ってくれたんだ……この切り札に賭ける」
修はトリオン体から生身の肉体に戻る。すると今までは無反応だったロストドライバーは動き、修の腰にベルトを出現させて巻き付いた。
やっぱりコレもトリガーの一種なんだと改めて再認識し、修はジョーカーメモリを取り出した。
『ジョーカー!』
「変身」
『ジョーカー!』
ロストドライバーにジョーカーメモリを差し込みメモリを傾ける。
すると修の肉体は変質していき黒一色の仮面ライダー……仮面ライダージョーカーに変身した
「凄い、体から力が湧いてくる」
『力が湧いてくる?』
ちびレプリカは修の発言にやや疑問を持つ。
修は溢れ出る力でハイレインに向かって走り出すのだがハイレインは油断をすることはせず燕を修にぶつける……
「なにも起きないだと!?」
ここで仮面ライダーについて説明をしておかないといけないことがある。
仮面ライダーには肉体変化系と装着系の2つのタイプがいる。装着系はその名の通り、生身の上から武装を装着する仮面ライダー。現在貴虎が使っている戦極ドライバーやゲネシスドライバーで変身する鎧武系のライダーやドライブ系のライダーはトリオン体を構築するのでなくトリオンで出来た鎧に身を纏い、トリオンで出来た武器を持っている。じゃあロストドライバーで、ガイアメモリで変身する仮面ライダーはなんなのか……
「これならイケる!」
ガイアメモリで変身するのは……鎧を身に纏うタイプのライダーではない。そういう見た目の生物に変身する肉体変化系の仮面ライダーである。
修は新しくトリオン体に換装したのではなくそういう感じの見た目の生物に文字通り変身した……つまるところ、角つきのハイレイン達に近い存在になっている。
『ジョーカー!マキシマムドライブ!』
「ライダーパンチ」
マキシマムスロットに差し込むと左腕に力が収束する。ハイレイン目掛けて拳を振りかぶるとハイレインの体は貫かれた。
当初の予定ではライダーパンチを撃とうとしたところで変身が解除されてしまい、レプリカが遊真の黒トリガーの機能を使って自身がロストドライバーの代わりを務めてライダーパンチでぶっ倒す予定だったけども面倒になったからやめた。
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