あの後三門市民病院に向かい、早速容態を見てもらった。
肋が折れていて更には足の方にヒビが入っていたりと色々と危ない状態だった。幸いにも折れた骨が臓器に突き刺さっていたり手術してどうにかしないといけないレベルの怪我ではない……打撲とかが割と酷かったが。
ボーダーのトリガーは生身の人間にぶつかっても問題無い様に作られているから生身の肉体の上に撃ってこいと言った。修達にその事を伝えれば……いや、ダメだな。そんな事をしたら逆に戦極ドライバーやゲネシスドライバーを使わないでくれと言われてしまう。
「全く、無事に帰って来ないのは薄々勘づいていたけど血まみれになるなんて……相手を血祭りに上げた返り血にしておきなさいよ」
怪我の容態から数日間の入院が決まった。病院に向かうと母さんが先回りしており血塗れの私に一瞬だけ驚き、ビンタをお見舞いされた。
明らかに怪我人にする行いじゃないのだがそこは母さんだからとしか言いようがない。相手を血塗れにした返り血に染まってこいとか本当にヴァイオレンスな母である……でもだからこそだろう。ホッとする事が出来るのは。
「おぃーっす!三雲、怪我したらしいけど大丈夫か!」
そんな何気ない日常はあっという間に消え去ってしまう。
何処からかというか十中八九修を経由して私が入院している事を聞いた米屋と出水と緑川、A級三馬鹿がやってきた。一応は私の心配をしてここに来てくれている……が、正直な話、顔をあまり合わせたくはない。あんな出来事があったからな。
「あ、どうも三雲さんのお姉さん。俺は緑川と言います」
「あらお上手ね……修と貴虎の母の三雲香澄よ」
「え、お母さん!?」
緑川は母さんに挨拶をすると恒例の行事が行われる。
緑川は私と母さんを何度も何度も見比べると出水に耳元で囁く
「DNAって濃いんだね」
容姿が手塚国光の為に通常よりも老けてみえる私に対して見た目が若々しい40過ぎのおばさんの母。
遺伝子が程よい感じで引き継がれており緑川はDNAの強さを感じる。DNAがなんなのか具体的には全く分かっていないけれども。
「うちの馬鹿息子が何時もに加えて今回世話になったわね……」
「……今回、ね」
お見舞いに来てくれた出水達に母さんは礼を言って頭を下げる。
今回という単語に出水は引っかかる。母さんは分かっていてあえて言ったのだろう……なにも知らない系の母親にだけはなるつもりはない。それが母さんの意思だ。
「その容態じゃ焼肉は暫くは無理っぽいな」
「あの時言っただろう。私は焼肉に付き合うつもりはない、お前達だけで行って楽しんでこい」
入院は長引いているわけではないが打ち上げの焼肉に参加出来ない事を出水は残念がる。
私はあの時点で焼肉を食べる事が出来ないぐらいにボロボロになっていた。焼肉は楽しい時間だが私は行くつもりは無い。行けたとしても行かない。私はボーダーの仲間になった覚えは一切無いんだ。
「……三輪はどうしている?」
出水達三馬鹿トリオがやってきてくれたのでふと気になった。
三輪はどうしているのだろうか。今まで色々と隠していた事が今回になって色々と知られた。三輪はその事に対してどう思っているのだろうか。
「秀次の奴は来ねえ……お前が向こうからやってくるのを待ってるんだ。今回の件でショックを受けてたけどある程度は覚悟してた……オレが1番驚いてる。お前がトリガーを隠し持ってた事に」
「そうか……三輪には状況が落ち着き次第顔を出すことを伝えておいてくれ」
「あいよ……じゃあ、またな」
「ああ、また」
出水達は私のお見舞いをしたら帰っていった。
お見舞いの品はいいとこの羊羹だったが生憎な事に臓器にダメージを受けているのでそんなに食べる事は出来ない。母さんに代わりに食べてもらう。食べ物系のお見舞いの品は当たり外れが激しい。けれど貰えるだけ嬉しい気分だ。
三輪は待ってくれているので何れは会いに行かないといけない……ボーダーに行くのは本音を言えば嫌だが
「後、何人か来るな」
出水達が完全に去っていったが私のサイドエフェクトが言っている。ただ1番大事な人が来るのは最後……的中率は87%と言ったところか。
「三雲くん、怪我したって聞いたけど」
私の占いは的中した。
出水達が完全に去った後に熊谷が花束を持ってやってきた……
「すまない、花を入れる花瓶がもう」
「え、あ、ごめんなさい」
花を持ってきてくれたのは嬉しいことだが花を入れる花瓶は無い
正確に言えば花を入れる花瓶はあるにはあるのだが既に別の花が添えられており、置くところが何処にもない。熊谷は失敗したと焦るがそこは母さんがフォローをしてくれる。
「この花、家に飾っておくわ」
「あ、ありがとうございます……三雲くんのお母さん?」
「ええ、そうよ……間違われなかった事は久々ね」
「前に母さんだって伝えたからな」
熊谷は若干だが疑心を抱いているが母さんは母さんだと頷く。
チラリと熊谷は花瓶に添えられている花に目をやる……この花の贈り人は……うん、まぁ、言ったらめんどくさい事になるので言わないでおこう。それよりもなにか話題を……そうだな……
「日浦はどうなっている?」
「……ダメみたい」
一応は色々と言ったので日浦がどうなっているのか気になる。
サイドエフェクトを経由してボーダーを辞めさせられる未来を言い当てたが……熊谷は目線を合わせようとしていない。成果が芳しくない、それどころかダメだった可能性が高い。
「まぁ、拉致被害者が出てしまったから当然と言えば当然か」
日浦家は今頃三門市から出ていく事が決まっている。今回C級隊員が攫われたのならば次は自分の娘が攫われるかもしれない。
ボーダーが上手いことそういう風に感じさせない見せない様にしているがやっていることは実際のところ戦争で、幾ら娘に才能があるとはいえ戦争に行かせるのは親として断固反対だろう。
「どうにかして茜を辞めさせない方法は無いのかしら?」
「ボーダー隊員でもなんでもない私によく相談出来るな」
「三雲くんをそれだけ信頼しているの……なにか出来る事は」
「一人暮らし出来るプランを練ってこい。学業の成績を維持しつつ高校卒業までにA級隊員になる、交渉のカードは幾らでもある……一度、家出みたいな事をしてボーダーの寮的なところに1日だけコッソリと泊まってみて強い意志を見せたりしてみろ」
日浦をどうにかしてボーダーに残すプランは幾つかあるが、成功するかどうかはまた別の話である。
とにかくやれることはやっておいた方がいい。それっぽいプランを一応は練ってみせる。熊谷は真剣な顔で聴いてくれており、このままいけばそのプランを実行するだろう。
「三雲くんは、ボーダーの人間、じゃないわよね?」
「私はトリガーを持っている一般人だ」
「それ絶対に一般人じゃないわよ……とにかく茜と色々と話し合ってみるわ」
「やれることは色々とある、出来る限りの事をやるんだ。そうすれば自分の明日ぐらい変える事はできる」
なにもしない奴に最高の明日はやってこない。
私の言葉が力になったのか熊谷は立ち上がり病室を後にする……騒がしい連中だ。
「よぉ、メロンくん」
「帰れ」
「そう邪険にしないでくれよ」
「私はお前が生理的に無理なんだ」
熊谷が去った後にやってきたのは実力派エリートを名乗る無職だった。
コイツは相手にするだけ色々と無駄な存在なので邪険にして何処かに行けと睨み返すのだが伊達に実力派エリートを名乗っていないので私が放つ威圧感には飲み込まれない
「貴方、なにをしに来たの?」
「メロンくんの今後について話し合いに来ました……久しぶりと言えばいいのかな」
「久しぶりでもなんでもない、私はお前に会いたくはなかった」
「オレは会いたかったよ」
お前がどう思っていようが勝手だが私はお前を嫌っている。生理的にも受け付けられない人種だ。
迅は私の今後について色々と話し合いに来たと言ってはいる……選択肢を誤ったな。母さんは表情を少しだけ変えて迅を部屋から追い出した。
「貴方じゃ話にならないわ。もっと力と権力を持った奴が出てきなさい」
「待ってください。メロンくんはこのままだと」
「構わないわよ、それで」
迅には見えているのだろう、このままいけば厄介な事になるのを。ただ母さんも私もそれで構わないと思っている。
ボーダーとバチバチやり合う関係性でも悪くはない……ロストドライバーが壊れて変身している私がこんな感じで今、全面戦争したらどうなるか……何故かは知らないけど母さん、バグルドライバーⅡを装備してるんだよな。
「貴方が出しゃばらないで。この子の未来はこの子が掴み取るのだから……ハッキリと言って邪魔よ」
母さんはバッサリと迅を切り捨てる。相変わらずこういうところは非情な人だ……まぁ、迅が居て裏でコソコソするから口裏を合わせてくれと言う頼みは聞き入れないだろう。迅が未来視で色々と視えている様に私もサイドエフェクトで色々と視えている。
不幸が自分に舞い降りてくる?笑わせるな、それぐらい自力でどうにかしてみせる。
「それでコレ、どうするつもりなの?」
そう息巻いていると母さんは壊れたロストドライバーを取り出す。
お腹にロストドライバーを翳してみるもののベルトは巻かれる事は無い。電磁波から視える様にロストドライバーは完全に壊れてしまっている。戦極ドライバーもそうだが私にはエンジニアとしての技量は無い。サイドエフェクトでどの辺りが壊れているのか見抜く事は出来ても直し方までは分からない。戦極ドライバーやゲネシスドライバーだけではボーダーと全面戦争を繰り広げるには難しい。
「ボーダーの人に直してもらう……のは無理だな」
そもそもベルトをボーダーに差し出す事はしない。
ベルト一式の所有権は既に私にあるのだから私の物だ。ボーダーに差し出す理由がそもそも無い。ボーダーのエンジニアが確実にロストドライバーを修理してくれるという保証は無いので一瞬だけ頭に過ぎるが直ぐに首を横に振る
「失礼します」
「入院したって聞いたんすけどホントだったんですね」
ロストドライバーをどうしようか悩んでいるとまたまたお見舞いにやってきてくれた人が来た。
千佳ちゃんとそのお友達の夏目で、お見舞いの品を受け取る。お見舞いの品はジュースなのでコレならば私でも食べる事が出来ると小さくガッツポーズを取った。
「君達が無事でなによりだよ。相手は化け物染みた強さを持っていたから……ホントに良かった」
今更ながらホントに良かった事である。
原作通りならば千佳は危うく攫われかけたりするし、夏目も捕らえられかける。そして修は死にかける……それが私の肋骨と体の一部の怪我で納まったのだから今更ながら誇り高い。
「メロンさん、あの時はホントにありがとうございました。メロンさんがチカコに渡した錠前が無かったら今頃はどうなっていたか」
「聞いた話だと途中でトリオン切れを起こして生身の肉体に戻ってしまったのだろう?すまないな、変な物を渡してしまって……それでどんな感じだったんだ?この錠前、ロックシードからはなにが出てきた?」
「錠前に掘られてるピンク色のバーコードみたいなのが出てきて黄金のキラキラ光る奴に変身したっす」
「キラキラと光る黄金?」
ディケイドロックシードを使えば恐らくはインベスの代わりにディケイドが出てくると踏んだのだが。
キラキラと光る黄金……ということは仮面ライダーブレイドのキングフォームにでも変身したのか?
「こう変な歌も流れて、歌の通りマジで無敵でしたよ!」
「歌に無敵だと?……一応の為に聞いておくがこの錠前から出てきた奴はどんなベルトを腰に巻いていた?」
「えっと……ピンク色でした!」
「ピンク色、か」
このディケイドロックシードを使って出てきたディケイドは通常のディケイドでなくネオディケイドライバー装備のディケイドだったのか。
私も知らない様々な隠し機能が備わっているらしいが、ディケイドロックシードで呼び出すディケイドは通常の仮面ライダーディケイドでなくジオウに出てくるネオディケイドライバーのディケイドで平成一期だけでなく平成二期の仮面ライダーにも変身する事が……待てよ。
「千佳ちゃん、ちょっと試してみたい事があるんだけど力を貸してくれるか?」
「いったいなにをするんですか?」
「コレを使ってほしいんだ」
もしかしたらコレでロストドライバーを直せるかもしれない。
ディケイドロックシードを千佳ちゃんに渡して解錠すると空中にジッパーの様な物が出現し口を開くとそこからネオディケイドライバーを装備した仮面ライダーディケイドが出てきた。
「えっと……どうすれば」
「コレを修理出来るかどうか聞いてくれ」
ロックシードから出てきたディケイドにロストドライバーを見せる。するとディケイドはベルトを開いてライドブッカーからカードを取り出してネオディケイドライバーにカードを装填。
『KAMEN RIDE DRIVE TYPE TECHNIC』
「あ、また別の姿に変身した!?」
「ディケイドはなんでもありだからな……どうやら上手く行きそうだ」
仮面ライダーディケイドドライブもとい仮面ライダードライブ タイプテクニック
クールな心を持つことで変身する事が可能になるが、ディケイドにそんな制約は無い(多分) 作業者を模した黄緑色のボディで特出すべき能力は機械に圧倒的なまでに強いことだ。はじめて目にした機械でも瞬時に構造が分かる。ロストドライバーも機械の一種であるならば解析する事が出来る筈だ。
ロストドライバーを託すと瞬時に解析しだして触手の様なものが出現してロストドライバーの壊れた所に触れていく。電磁波を経由して分かる。壊れていったロストドライバーが段々と直っていっている。
「ありがとう、君が教えてくれなかったらこの答えに辿り着く事が出来なかったよ」
「いやぁ、それほどでも」
ロストドライバーの修理は放っておけば終わる。
それもこれも夏目と千佳ちゃんが一緒になって来てくれたおかげ……迅が裏で手引きしていない事を祈りたい。あの野郎に借りを作るのは本当に嫌だ…………っ
「どうやらそう簡単には終わらない様だな」
「失礼する」
タイプテクニックがロストドライバーを修理している中で1人の男性が、風間蒼也が病室に入ってきた。
真剣な顔をしておりその手にはパソコンがある。
「……お前が三雲の兄か」
「ええ……はじめまして、それともお久しぶりのどちらでしょうね」
「……お久しぶりの方だ」
私の事を強く睨んでくる風間さん。母さんより圧を感じないので全くと言って怖くはない。
お久しぶりと言ってきているということは私が仮面ライダースカルである事を知っているのか。
「城戸司令がお前と話し合いがしたいそうだ。病院からの外出許可が降りなかったのでパソコンを使った対談をしたい」
「……それはどういう目線でどういう立ち位置で言っている?」
今こんな状態なので病院から出れないのでパソコンを経由した対談をしたいのは分かった。だが問題はどういう立ち位置、どういう目線かだ。
「私を近界民か敵かと思っているのか、それとも偉そうにトリガーはボーダーの物だと言って取り上げる上から目線なのか。私に対してどういうつもりで接して、対談するつもりだ?言っておくがこのトリガーに関して所有権はこちらにある物でボーダーが管理しなければならない等と言ったくだらん理屈を並べに来たのならば対談に応じるつもりはない。さっさと帰れ」
ボーダーは私をどう捉えているのか、そこが問題だ。
私をボーダー以外でトリガーを持っている人間と認識してそのトリガーを奪ってこいと言うつもりなのか……原作から考えてボーダーは時と場合によっては強盗染みた真似をするだろう。もしガイアメモリと戦極ドライバーを奪いに来るのならば、寄越せというのならばそれなりの対応をさせてもらう。
「何故トリガーを持っているかもあるが5月の一件に関して話し合いがしたい」
風間さんはチラリと千佳ちゃんと夏目を見る。
この場に居てはならない人間なので何処かに行ってほしい
「すまないが席を外してくれないか?今から大事な話し合いをする」
風間さんはハッキリと千佳ちゃん達に言う。
威圧感が僅かだが伝わってきているのか二人はあっさりと頷くと病室を出ていく
「貴女もこの場からお引き取りください」
「嫌よ」
母さんにも病室から出ていけと言うのだが母さんは出ていかない。
「この子のトリガーとこの子が5月にやった馬鹿な事についての話し合いでしょ?だったら尚更な事、私が立ち合わないといけないわ」
「だが」
「それでも無理だと言うのなら最初からこの話は無かった事にするわよ。ボーダー以外にトリガーを持っている人間がいて関与する事が出来ない、それが1番ボーダーにとって厄介な状況の筈よ……それとも実力を行使するかしら?そういうやり方が好みなら私が相手になるわよ」
『仮面ライダークロニクル』
母さんは仮面ライダークロニクルガシャットを取り出して起動する……なんで使えるんだ。
いや、それよりも風間さんが固まっている。ここまで言い返されるのがはじめてなんだろうか。風間さんから念話の様な物の電波が飛び出しているので上層部に話をつけているのだろう。
「……分かった。貴女を含めた上で話し合いに応じよう」
「そうですか……先に言っておきますけど、トリガーを寄越せとかそういう話には一切応じるつもりはありません」
あくまでもコレは私の物だと主張する一線を引いておく。
相手には交渉のプロだなんだと居るからなにが飛び出てくるかは分からない。場合によってはそもそも交渉に応じないと言う手もある。
「そこの裏で隠れてる奴等も出てこい」
「見えているのか?」
「生憎、視力はいい方なんですよ」
病室の入口の前にヒッソリと待機している歌川と菊地原。
私が座っているベッドからは完全に死角になっているところに立っているが電磁波で丸見えだ。
「そういえば修と遊真はどうなっている?まさかここまでやったが騒動を起こしたからクビというわけではないだろうな」
「彼等については見れば分かる」
『はじめまして、三雲貴虎くん。私がボーダー総司令の城戸正宗だ』
これは……なるほど、厄介な事になっているな。
やる気起きないので当小説が二乗ほど面白くなるおまけコーナーと言う名の設定とか裏話は書かない
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