「いや〜うん……メロンくん、大丈夫?」
「お前に気にされるほど柔には出来ていない」
記者会見が巻き起こった夜のこと。眠気もやってきたので寝ようとしたら家に向かって石が投げ込まれた。幸いにも修の部屋でなく私の部屋に石が飛んできて家の窓が割れて頬にガラスの破片が飛んできたりした。修に怪我がなくて良かったと思うと同時に石を投げ込んだ馬鹿野郎にそれ相応の制裁を加えてやりたいとは思っている。
「あんな如何にもヤラセな事をやったら誰だって怒るでしょ。忍田さんもカンカンだったよ、一般市民に怖い思いをさせるなって」
「どの口がほざくと言っておけ。三門市という街を戦場に変えているんだ、記者達マスコミは基本的には日本人で日本の事しか書かない記者なら戦場カメラマンになったつもりで居なければ死んでしまうと」
「そんな米花町みたいな街じゃない、三門市は」
頬にガーゼをくっつけて翌朝やってきたのはボーダーの本部……ではなく玉狛支部だ。
迅はここに私が来ることを分かっていたようですんなりと出迎えてくれており、私はその事については特には驚かない。この男はそういうものだと認識しているから。この街は本当にヴァイオレンスで危険なことが多い。
「迅さん、三雲くん、あったよ」
出されたお茶を啜っているとノートパソコンを片手に宇佐美が現れる。
パソコンの画面を見せてくるので見つめると掲示板の様な所にアクセスされており……我が家こと三雲家と修に関する情報が載っていた。宇佐美はそれを見せていてあまりいい顔をしていない。勿論迅もいい顔をしていない
「すまなかった」
「それはなにに対しての謝罪だ?」
頭を下げてきた迅に問う。
修を危険な目にあわせた事か、修をボーダーに入隊させたのに最後まで面倒を見なかった事か、それとも今回の一件なのか。
「ボーダーが生き残る為に君達家族に迷惑を掛けてしまった」
「ボーダーが本当に謝らないといけないのは私じゃない……アイツや一般市民達だ。死者こそ出なかったものの被害は被った、どれだけ前回より良くても街を戦場に変えている事実には変わりはない」
私は私の意思で色々とやっているんだ。謝られる筋合いは何処にもない。自分の行いに後悔はなくもないがそれでも自分の道を真っ直ぐと進んで生き抜くつもりだ。迅は私の思いが通じたのか下げていた頭を上げる。
「でもホントに酷いよね。三雲くんが居なかったらもっと大変な事になってたかもしれないのに、家に石を投げるなんて」
「街を戦場に変えて怪我人を出したんだ。暴力に訴えたい気持ちも分かるさ……ただ怒りの矛先を向ける位置が間違っている。ぶん投げるのならそこのグラサンに向かってぶん投げるべきだ」
「いやいや、オレも必死になって頑張ってたからね……それでどうするの?石を投げた奴を探すの?だったら手伝うけど」
「お前の力が無くても、自力でどうにかする事が出来る」
家の窓ガラスを割った石を机の上に置いた。
石から発する石を持っていた人間の極々僅かに残された電磁波から何処の誰が石を投げてきたのかが分かる。メガネを外して石に残存する電磁波を解析していると修と母さんと林藤支部長がやってくる。
「改めてはじめまして、何時もうちの修がお世話になっております。三雲修の兄の三雲貴虎です」
「メロンくん、オレと態度が違いすぎない?」
私はハッキリとコイツが苦手なだけだ。
林藤支部長に頭を下げて挨拶をすると林藤支部長は座れよと椅子に座るように言ってくるので椅子に座る
「まず今回の一件だが全面的にボーダーの不手際と俺は見ている。ラッドの駆除の際に全員のトリオン体を修のモデルにして撹乱したが逆にそれが修の知名度を上げてしまった。ボーダーに対して反感を抱いている奴等に好き勝手に書かれない為に裏工作したってのにホントに申し訳ない」
「別に構いませんよ、記者会見の場を思いっきりぶち壊す事が出来たのでスッキリしてますし」
林藤支部長が頭を下げてきたが、この一件に対してはある程度は割り切っている。
石をぶん投げられた事に対しては本当に予想外だったが今までの事を考慮すれば多少は納得する……まぁ、後で石をぶん投げた奴に対しては徹底的に潰すけども。
「や、アレはやっぱやりすぎだろう」
「後悔はしていません」
林藤支部長的にもインベスを暴れさせる事はやりすぎと見られている。だが私や母は後悔はしていない。それだけムカついていたのだから。
「それでボーダー側としてはどの様な対処を取ってくださるのですか?」
ある程度は私が割り切っているとはいえボーダーが原因で事件は巻き起こった。ならばある程度はボーダーに責任があり、個人情報をさらけ出しているボーダー側はどの様にこの一件を始末してくれるのか……なにもしないと言うのは無いだろう。
「それなんだが、一旦修とおふくろさんを玉狛支部住まいにするって事で話が纏まった……ボーダーに家が知られているなら今度の公開遠征に修が行けば修に対する反感は減るのは確かだ。だったら暫くの間、
妥当な落とし所だな……ただ1つを除いて。
「修と母さんと言っていたが私はどうなるのですか?」
修と母さんの今後について教えてもらった、何故か私だけ省かれてしまっている。
その事について問い詰めると林藤支部長は困った様な顔をしており、額に手を置いた。
「いや、
「……要するにこれ以上は玉狛に戦力を増やさせないぞ、か……そんな事をしなくても私は玉狛でなく修の味方だというのに」
「メロンくんって結構ブラコンだよね」
「家族思いと言え」
ボーダーの黒トリガーを退ける事が出来るトリガーとトリガー使いが玉狛支部に居ると厄介なんだろう。
1つの組織なのに色々と余計な派閥があるのはめんどくさい……いっそのこと全員締め上げるのもありなのかもしれないな。
「ストップ、メロンくん、ホントに危ないことをしないでくれ」
「ただ考えただけだ、実行するつもりはない」
実際にボーダーの隊員を締め上げている未来が見えたのか迅は制止する。あくまでも考えただけだ。
「悪いな。組織のいざこざに巻き込んでしまって」
「構いませんよ……どうせ少ししたら私もそんな組織の一員になるんですから」
ボーダーに入隊する事は既に確定している、三輪との約束を守る為にも割と嫌なのだがボーダーという組織に入ってやる。
この様子だと玉狛支部所属でなく本部所属扱いになるだろうがそれでも別に構わない。修の脅威にさえならなければ別になにも問題はない事だ。
「じゃあ、私は荷物を取ってくるわ……修、行くわよ」
「うん……その、兄さんも頑張ってね」
「お前のその声援が私の力になる……さて、真面目な話をしましょうか」
修と母さんが玉狛支部を後にした。これでやっと真面目な話をすることが出来る。
YGGDRASILLと書かれたアタッシュケースを机の上に置くと中からフォーゼロックシードを取り出した。
「このロックシードに関して玉狛支部で調べてほしい、勿論タダでとは言わない」
フォーゼロックシードを林藤支部長に託すと林藤支部長は無言で見つめる。
「どういう風の吹き回しだ?ボーダー本部でお前の持っている錠前型のトリガーを研究しているだろう」
「私がボーダーに提出したのは戦闘に使える錠前ではない……ボーダー相手にくだらないミスを私が犯すとでも思いましたか?アレは栄養補給をする為の道具だ」
ヒマワリロックシードは戦う為に使う道具じゃない。戦極ドライバーにセットする事でベルトを経由して栄養を摂取する事が出来るものだ。
「お前さん、何気に策士だな。鬼怒田さんが聞いたら卒倒するぞ」
「ヒマワリロックシードだけでも充分な価値はある……量産や開発する事が出来るかどうかはまた話は別だが」
アレはヘルヘイムの果実を機械化させた物でこの世界にはヘルヘイムは存在していない。
システムをコピーしてトリオン器官から栄養を供給するシステムが作れるぐらいだろうな。
「なんで今になってトリガーを提出するの?」
「……私は今の今までトリガーを起動しなかった、有事の際にのみ戦おうとしていた。持ち前の器用さで使いこなしているがそれでも限界があった」
大規模な侵攻の際に色々とプランを練っていた。ヒュースとヴィザをどうにかしないといけないと思っていた。
ヴィザは最悪遊真に任せる方針でとにかくヒュースの足止めもとい撃退をするプランを練っていた……その結果がNSマグネットによる磁力の無効化だったが結果としてNSマグネットはNマグネットとSマグネットとして出てきて周りの磁力を帯びた物を引っ張るだけに終わった。それだけでなくコズミックステイツ専用武器であるバリズンソードが出てこなかった。フォーゼアームズについて熟知していなかったんだ。
「おそらくこのトリガーには私の知らない隠し機能の様な物が備えられている。それがなんなのか確かめてほしい……ボーダー本部だと危険過ぎるだなんだと言われそうでな」
「危険もなにもメロンくんのトリガーってボーダーのトリガーと根本的な部分から違うんでしょ」
「ああ、そうだ……だがそれでも私はこのトリガーを使わせてもらう。前みたいなヘマをやらかさない為にもこのトリガーの隠し機能を熟知しておきたいんだ」
今更戦極ドライバーを手放せと言われても、はいそうですかと手放すつもりはない。
鎧を身に纏う装着型の仮面ライダーだが、使いこなせれば圧倒的な力になる……まぁ、それよりもエターナルの力の方が圧倒的なまでに上なのだがな。
「なるほどな……今、うちのエンジニアは外部スカウトに行っている。鬼怒田さんの協力を得られないとなるとそいつに力を貸して貰わないといけないわけで……解析するにはそれなりの時間がかかるぞ?」
「構いません……なにも知らないよりはマシだ」
それで一度痛い目に遭っている。同じ失敗を繰り返さない為にも、あの日より強くなるしかない。
「分かった。お前のトリガーに関して玉狛支部で独自に調べさせてもらおう」
「では、報酬の方を」
「そんなもんいるかよ。ボーダーの人間に未知のトリガーの研究をしてくれって頼まれてるだけだ」
「……そうですか」
「三雲、無理に一線を引こうとするんじゃねえ。お前も今度からボーダー隊員になるんだ。もっと俺達を頼ってくれて構わない」
「それはできない相談ですね……ボーダーという組織には色々と疑問を抱いている。はいそうですかで意識を変えられるほど立派な人間じゃない」
ボーダーを味方とは思えても仲間とは思いたくない、何処かで一線を引いておかなければ気が緩んで不測の事態を起こしてしまう。
そういう一線は割と大事なんだ。でないとランク戦を一種のeスポーツ感覚で楽しもうとしてしまう自分がいる。それは非常にまずい……カッコいいお兄ちゃんが戦闘狂になってしまうのは色々とまずい。
「なにか分かった事があれば直ぐに教えてください……それと修をよろしくお願いします。あいつは根が真面目ですが時にはとんでもない予想外な出来事を巻き起こすので上手く制御しておかないとなに仕出かすか分かりません」
「それメロンくんにも言える事だよね」
「私は自分でどうにか出来るから問題ないんだ」
「本部に行くんだろ?車に乗ってけよ」
「いえ、サクラハリケーンがあるので」
サクラハリケーンは鎧武の次のライダーの愛機と違って公道を走ってもなにも問題は無い。
迅は私の行為に呆れてはいるが断固として阻止するつもりは無い。林藤支部長には悪いがこのサクラハリケーンは私の物なのでどう使おうが勝手である。玉狛支部との交渉が済んだので私はサクラハリケーンに搭乗し、ボーダーの本部に入ることが出来る指定された入口にまで向かう。
「おいおい、公道をトリガーで走るなよ」
ボーダーの本部に入ることが出来る入口にまでやってくるとそこには米屋がいた。
サクラハリケーンに乗っている私に対して呆れているが私は気にする事なくサクラハリケーンをロックビークル状態に戻す。
「出迎えご苦労……お前だけか?」
「いんや、おれも居るぞ」
ウィーンとボーダーの本部に入ることが出来る通路の入口が開くとトリオン体に換装した出水がいた。
「裏口入隊だというのに随分と豪華な顔触れだな」
高校生A級隊員2人にボーダー本部を案内されるとは、ボーダーは暇なのか。
「まぁ、おれも槍バカもお前が来てくれる事を待ち望んでたからな」
今回私がボーダーの本部に足を運んだのは……ボーダー隊員になる為の試験を受けに来たからだ。
そういうのは区役所とか区民会館とかの施設で行われる物で今日も本部以外で入隊試験が執り行われているが、それとは別に私だけ別に試験を受ける事になった。出水や米屋はそんな試験の付き添いみたいなもので2人はボーダー本部に私を案内してくれる。
大規模な侵攻の際にはエネドラをぶっ倒す為に全速力で走っていった為にボーダーの内部がどんな構造でどんな感じか見ることが出来なかったからな……まぁ、そうは言っても今度からここでお世話になるからな。
「秀次、三雲の奴を連れてきたぞ」
開発室と思わしき場所に案内をされるとそこには三輪がいた
「まさかとは思うが」
「試験官は三輪がやることになった。三輪自身がやらせてくれって懇願してきてな……まぁ、三輪ならば問題無く熟してくれると上も判断したから問題無い」
「そうそう。別に難しいテストを受けろっていうわけじゃねえんだ」
「……」
今から行うのはボーダーに入隊する為に必要な試験だ。
試験と言ってもトリオン能力を計測するとか……ではなさそうだな……
「こうしてちゃんと顔を合わせるのは何日ぶりだ?」
三輪は無言でこちらを見つめている。
入院している間に知り合いのボーダー隊員や彼女が来たりしたが三輪だけはやってくる事がなかった。私がトリガーを隠し持っていた事に対してショックを受けていたのか……三輪は絶賛悩んでいると言ったところだな。
「何故トリガーを隠し持っていた?」
「その手の問答は既にボーダーの上層部と繰り広げた。落とし物を拾って警察に届け出た。半年以上持ち主が現れなかったから自動的に私の物になった……隠していた理由はボーダーが信用ならないからだ。こういう言い方はアレだが私がラッドを見つけて修に渡しておいたからどうにかなったわけで……そうでないと一般市民に死者という被害が出ていただろう。相手が少し手口を変えてきただけであたふたする組織に身は置けない。私が色々とボーダー嫌いなのは知っているだろう?」
トリガーを隠し持っていた理由なんて色々とある。そして三輪は私がボーダー嫌いを知っている。理由は幾らでも見繕う事が出来るのでそれらしい言葉を並べてみると三輪は更に私に尋ねてきた
「その力があれば
「お前は……酷く純粋だな」
「なに?」
「悪者と正義の味方が居ると思っているのか?大間違いだ……私達がやっているのは勧善懲悪のヒーロー劇じゃない、戦争という愚かな殺し合いだ」
憎しみから生まれる憎悪や行いから負の連鎖ははじまる、永遠にだ。
どれだけ綺麗に見繕っても私達のやっている事は戦争なんだ……姉を失ったのは戦争だったから仕方ないで受け入れろと言うのは酷だ。言葉は慎重に選ばなければならない。
「お前の様に復讐する力を求めた人もいれば戦争が、非日常が入ってこない平穏を求めている人だっているんだ。私のこの力は家族やお前の様に力を求める人間でなく力を求めていない人間の為に振るう。そう決めているんだ」
「力を求めていない人間だと……そんな奴がいるのか……」
「ああ、居るんだ。私の力の一部は万が一等を想定して彼女に脅威が差し迫った時とかの為に託している……復讐に走るなとは言わない、だが復讐する事を、強くなる事やノブレス・オブリージュの精神を他人にまで強要するな。向き合い方は人それぞれなんだ」
「……俺の復讐は間違いだと言いたいのか?」
「そんな事は言っていない……私はやろうと思えばボーダーに入隊するのでなく外部協力者の道もあった。だが、その道は選ばなかった。お前との約束を守る為に、お前の復讐の共犯者になる為に私はここまでやってきたんだ」
唐沢さんも困惑していた、私ならばもっと賢い選択があったのだろうと。
ボーダーの隊員になるのではなく有事の際にボーダーに協力して力を貸す外部協力者の道もあった。その道の方が楽で私も後々有利に事を運ぶ事が出来る……それでもボーダーの協力者でなくボーダーの隊員になったのは三輪との約束を守る為だ。
「お前が今以上に力を求めるというのなら、お前に力を貸してやる……その為の手段も用意してある」
ゲネシスドライバーは誰にでも使う事が出来る……斬月・偽に変身する。まぁ、三輪が嫌だというのならばそれは仕方ないことだが。
私が協力者に、共犯者になってくれる事に対して納得はしてくれたのか私を無言で見つめる事はやめて私に背を向ける。
「仲直りする事は出来たか?」
「お前は相変わらずだな」
米屋は私と三輪が喧嘩をしているといった認識をしている。
強ち間違いとは言い切れないのがなんとも言えないがそんな単純なものではない……いや、難しく考えれば偉くなったと勘違いをしてしまう事もある。もっと米屋の様にシンプルに考えた方がいい
「それで私のなにを試すつもりだ?言っておくが自前のトリガーを使っての戦闘はしないぞ、私のトリガーは強力な反面大きすぎるデメリットも背負っている。そもそもボーダーのトリオン体を擬似的に再現出来る機械に接続出来るかどうかすら怪しい」
斬月やスカルはあくまでも有事の際に使うものであって普段使いするものではない。
まぁ、ガイアメモリの中にはとんでもない事が出来るメモリも存在している……だからこそ表舞台に曝け出してはいけない。特にダミーメモリとかホントに危ない使い道しかない。
「いきなり戦えとは言わない……基本的には普通の入隊試験と一緒の事をしてもらう。だが、お前にはサイドエフェクトがある……それを調べ上げる」
「そうか」
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