「さぁ、続いては数学だ」
国語のテストの解答用紙を一同に返却した。ある者は顔を青くしある者は安堵のため息を吐いており、ある者は悔しがっている。
本家と違い本業が学生のボーダー隊員である彼等は点が取れて当然、むしろ取れなくてどうすると言った感じである。司会進行役である諏訪は国語の話題を終わらせて次の課題、一般教養の数学に変える
「さっきも言った様に100点の奴は1人も存在しねえ……1位だと思う奴は挙手しろ」
国語の解答用紙を見ていた一同も顔色を変える。
国語では失態を犯したがここではそんなミスは犯していないと風間は挙手をする。月見も挙手する。弓場も挙手する。どちらかといえば勉強出来る組は当然の様に手を上げている。馬鹿は馬鹿な事を自覚している為に1位争いには乗ってこない
「数学の1位は……弓場、お前だ!」
「っしゃあ!……あ、失礼しました」
1位を取ったことに大きくガッツポーズを弓場は取った。思わずといったところか直ぐに冷静になり場を乱した事を謝罪する。
1位を取ることが出来たのだから喜びを噛み締めてもいいことなので諏訪達司会進行役は特に咎める事はせずに進行を続ける。
「よし、じゃあビリじゃねえって奴等……ぶれねえな、お前等ホントに」
米屋達馬鹿代表は流石にビリにはなっていないと手を上げた。
さっきと似た感じの展開になっているがそこは是非も無し。ブレる事の無い米屋達に呆れつつ珍回答を探していく
「諏訪さん、コレにしましょう……台形の面積を求める問題」
「そうだな。先ずは軽く行くか、台形の面積を求める問題。先ずは柿崎の解答」
「台形の面積の求め方【(上底+下底)×高さ÷2】、正解」
「ま、初歩的な問題でほぼ全ての奴が正解していた……米屋!!」
「ええっ、オレすか!?」
突如として名指しで呼ばれる米屋。
ちゃんと答えは書いていてあっていると主張する前にモニターは動いてしまう。
「台形の面積の求め方【たて×黄÷4】……っぶ」
「橘高さん、笑っちゃいけないですよ……っぶ」
米屋の珍回答に橘高も貴虎も思わず震える。
それだけこの問題の答えに笑うところしかないのだ。
「お前、どっからツッコミを入れればいい?」
「オレとしては渾身の出来なんすけど」
「何処がだ!」
諏訪は大声でツッコミを入れる。
縦という字が感じで書けないから平仮名で書いたことに、横と書きたかった筈なのだろうが木偏を入れる事を忘れて黄色の黄になってしまっている事に、台形もなんだかんだで四角形だから4で割る物だと思っていた事に。
たった1つの答えでここまでのツッコミを入れさせてくるのは流石の槍バカとしか言いようがない。
「じゃあ、次の問題は円周率だ。円周率を現すギリシャ文字を書けという超簡単な問題……小荒井の答え」
「円周率をギリシャ文字で現すと【元】…………」
「小荒井、面白味に欠ける解答は処理するのが困るぞ」
ミスを犯した小荒井だが、よくある初歩的なミス故に貴虎は苦言する。これでも充分なケアレスミスなのだが珍回答とは言えず面白さに欠けている。真面目なテストの筈が珍回答の公開処刑となっている事については誰もツッコミを入れない。元とπを間違えるなんて面白くもなんともない解答なのだから。
「本物の珍回答を見せてやれ……別役太一の答え!」
「円周率をギリシャ文字で表すと【ENSYURITU】……ギリシャ文字で表せつってんだろうが!」
「だからローマ字にしたじゃないですか」
「別役、ローマはイタリアでギリシャとは違う国だ」
「マジすか!?」
最早国すら違う、流石は本物の悪、一味も二味も違う。
貴虎が割と本気で呆れている中で諏訪は風間の模範的な解答であるπを出して、その場を終わらせて次の問題に進む。
「次の問題は速度の問題で超サービス問題だ、時速60kmを分速に変換する問題だ……沢村さんの答え」
「時速60km=分速【1000m】……模範的な解答ですね」
「まぁ、冷静に考えれば
「アタシっすか……やべぇ、なに書いたか自分でも思い出せねえ……」
自分でやった問題なのに全くといって記憶にない光。
なんて書いたのか必死になって思い出すよりも先に目の前のモニターが動く
「時速60km=分速【3600000m】」
「え〜ちゃんとした時速を計算すればこの乗り物はマッハ3ぐらいを出している、何処の世界にマッハの問題を求めるテストがあると言うんだ」
「うっ……ほら、そこはアレだよアレ……」
「アレとはいったいなんだ?」
「それはだ…………すみませんでした」
貴虎に苦手意識を持っている光は貴虎に睨まれたが為に頭を下げてしまった。
頭を下げたからと言って急にテストの点数が良くなると言ったわけもなく光はオロオロと椅子に座ってしまう。
「続いても時間の問題だ。1日が何分か答える問題……日浦!」
「ちゃ、ちゃんと答えを書きました!正解の筈です!」
「日浦茜の答え 1日=【1440分】」
「問題のない面白みも欠けている解答だが正解だ。一日は24時間、1時間は60分、24×60をすれば簡単に答えは出る……太刀川さん、そうですよね」
「お、おぅ。24時間だからな!」
貴虎に睨まれると冷や汗を流す。
奴もまたテストになにを書いたのか全然覚えていない勢の1人であり、もしかしたらと考えているとモニターに答えが映し出される
「太刀川さんの答え1日=【365,4年に1回366分】」
「それは年月の事だろうが!俺達が聞いているのは1日であって一年がどんだけあんのか聞いてるんじゃねえよ!」
「あれ、おかしいな。テストの時に1年について書けって書いてあった気がするんだが」
「慶、見苦しい言い訳はするんじゃない!」
「忍田さん、すみません……ホントにすみません」
結構ガチめに本部長に太刀川は怒られる。
あまりにも初歩的な問題をミスしてばかりの連発であり、言われていないだけで他にも様々な珍回答を彼は残しているのだが言わないのが貴虎なりの優しさだったりする。
「6時間5分しかない1日とか絶対やだぞ。寝たら直ぐに次の日を迎えてるから……4年に1回、366分ってなんの帳尻合わせだ!1分ぐらいで狂う程に地球は小さくねえぞ!」
「諏訪……お前」
「ここぞとばかりに笑ってますね……」
司会進行役という美味しい役割を得た為に諏訪はゲラゲラと笑う。
諏訪は美味しい役を手に入れて頭に乗っている事を貴虎や風間は気付くがその事は深く言及しない。だって誰が見てもこんなの美味しい役に決まっている。例え他の隊員がやっていてもゲラゲラと笑うだろう。
「次は計算の問題だ……どれにする?」
「複雑な問題だと分かりづらいですし、コレなんてどうですか?」
「お、いいなそれ」
思う存分に笑い終えたので次に進行していく。
何処かに珍回答がないのかと諏訪は貴虎を呼び寄せて話し合い、橘高に問題を読んでもらおうとするのだがあえてここで制止して黒板に数式もとい問題を書いていく。
「【4+6×3−2】さぁ、この問題を……緑川、答えてみろ」
「三雲さんさ、幾らなんでもオレを馬鹿にしすぎ……28」
「そんなんだからバカにされるんだよ」
「ええっ、違うの!?」
幾らなんでもそりゃ外しはしないという問題を緑川は見事に外した。
その事に黒江は大きくため息を吐いて正しい答えを教えようとする。
「駿、()がついていない限りは掛け算と割り算は先に終わらせておくものなのよ……答えは20ですよね」
「ああ、正解だ……初歩的な事だ、緑川、×」
不正解の人間には厳しくいく。それが社会の構図なのだから。
他にも色々と珍回答があり発表される度に諏訪達司会進行役は震えて笑う。人の面白い解答でとにかく馬鹿笑いをする。制裁を加えてやろうかと思えるぐらいには馬鹿笑いが続きやっと納まると次の問題が出てくる。
「さぁ、次の問題ですが九九の7の段を書けという超サービス問題!……忍田本部長、7、1が」
「7だ」
「風間さん7,2」
「14」
「帯島、7,3」
「21っす!」
「黒江、7,4」
「28です」
「緑川、7,5」
「35だよ」
「修、7、6」
「えっと、42」
「太刀川さん、7、7」
「48!」
「え」
「え」
「別役、7,8」
「56」
「小佐野、7,9」
「63だよ」
貴虎が適当に当てて九九の7の段を言わせる。
ほぼ全員間違いなく答える事が出来ており、ただ1人だけ間違えた男がいる。間違えた男は手を広げて指を折り7の段の確認をし始める。
そんな事をしなくてもたった今、貴虎が隊員達と一緒に答え合わせをしたのだが、段々と太刀川の顔色は悪くなっていく。
「太刀川さん、7,7?」
「……48だ」
「はい、モニター作動!」
「【7×1=7,7×2=14,7×3=21,7×4=28,7×5=35、7×6=42、7×7=48、7×8=55、7×9=63】……なんで?」
橘高は疑問に思った。途中で7の段を間違えており、そのまま間違えると思いきや9のところで間違いを訂正した。普通ならば「あれこれ、間違いなんじゃ」と疑問を抱くのに全くといって疑問を抱かない。どうしてだろう。馬鹿にしか分からない謎である。そんなこんなで数学は終わりを迎えて次の科目である理科がやってくる。
「理科のテストは平均点はいい方だ……ただ某本家の方でも馬鹿がやたらと理科の成績が良かったりするわけで、あんまり良い話じゃない。理科のテストに自信があるという人達……おっと、意外と多いぞ」
理科のテストはそんなに悪くはない。
成績が残念な方達もそれなりに自信があるらしく数学の時と打って変わってか、手を上げる人が多い。貴虎はこの中に1位は居ないが2位、3位が居ることを知っているがバカよりも点数が低いという不名誉な事態を避ける為にあえて言わない。イケメソである。
「じゃあ、まずはこの問題。光合成に必要な物は光と水と
「えっ……えっ!?」
「おいおい、マジかよ。クマだけ不正解とかありえるのか?」
「意外とこういう事ってあるんですよ。橘高さん」
「熊谷の答え 光合成に必要な物は光と水と【日光】である……」
「ケアレスミスだな」
問題の答えが映し出されると熊谷はしまったという顔をする。
いきなり五教科のテストを受けさせられれば1問ぐらいはケアレスミスをする。貴虎は熊谷の側に寄り肩をポンと叩くと首を横に振った。ドンマイとしか言いようがない。
確実に点を取ることが出来る問題をうっかりミスで落としてしまった事に軽くショックを受けているがショックを受けている場合でなく司会は進行していく。
「……これ」
「どうかしました?」
「正解にしていいのかしら?合ってるといえば合っているのだけれど」
「あ〜…………太刀川さん、米屋、緑川、起立」
「な、なんだよ。問題の答えはCO2であってるだろう」
橘高がテストの解答に違和感を感じた。その事を貴虎に報告すると貴虎の目の色は変わり、太刀川、米屋、緑川の3名を立たせる。
3人とも答えはちゃんと書いてあり、正解だと主張をするのだが貴虎の目は厳しい。
「CO2と書かずに正式名称で書いてみろ」
「え……」
「んだよ、それくらい簡単だよ」
この3名共にこの問題の答えをCO2と書いてある。
別に答えとしてはなにも間違っていない。光合成に必要なのは光と水とCO2なのだから……ただし、それがホントに皆の知っているCO2ならばだ。米屋は前に出て黒板に文字を書いていく
「【二酸化酸素】だろう」
「はい、アウト!!」
ドヤ顔で米屋は答えるが諏訪は黒板消しで米屋の書いた答えを消していく。
それと同時に太刀川や緑川が冷や汗を流している。米屋の書いた答えが間違っているのならばいったいなにが正しい答えなのだろうかと必死になって頭の中を探すのだが答えに辿り着かない、だってバカだもの。
「CO2=二酸化炭素です……一応は答えはあっているけど、間違った覚え方をしてたので○から△に変更しますね」
「そんな、稼ぎどころを奪うだなんて……酷いぞ、三雲!!」
なんとでもいえ、普通は二酸化炭素を二酸化酸素と間違える事はしないんだ。
米屋達の答案用紙に△マークが刻まれると一同は次の問題に進む。
「え〜……おい、コレ下ネタだけど大丈夫なのか?」
「いいんじゃないですか?思春期真っ只中の学生らしい答えになってますし……橘高さんが嫌でしたら飛ばしますけど」
「いいえ、別にいいわよ。この程度で恥ずかしがる程、初心じゃないわ」
次の問題の解答を見て3人で話し合う。
次の問題の内容とは花粉がめしべの柱頭についている事を
「花粉がめしべの柱頭についている事をなんと言うか、この問題の答えは……三雲の答え」
「花粉がめしべの柱頭についている事を【受粉】」
「まぁ、修なら答える事が出来て当然の問題だ……仁礼!」
「アタシかよ……なんて書いたっけな」
「花粉がめしべの柱頭についている事を【セックス】という」
「あながち間違いと言えないけどもお前、お前、よくこんな解答を書いたな」
R指定ド直球ドストレートの解答に貴虎は呆れる。
「受粉までの過程を書けと言っているんじゃないんだ。受粉した事を書けって言ってるんだ……思春期とかそういうのが気になるのが分からなくもないけれども、保健体育のテストでもなんでもないのにセックスって答えは出てこねえよ。百歩譲って人工授粉とかだからな」
なんでこんな問題でこんなミスが起こりうるのか、やはりそういう感じの事が気になるお年頃というもの。
他にも様々なバ解答が映し出され、教室内に爆笑の渦を巻き起こしていく。
「じゃ、理科のトップは……沢村さんですね」
ある程度の笑いの撮れ高を取ることが出来たのでテストの順位を発表していく。
理科の科目の1位は沢村であった。沢村は小さくガッツポーズを取っており、ボーダー隊員達の前で示しをつけることが出来た。コレで馬鹿ではボーダー社員になる事は出来ないぞと証明できた。
「理科のビリは……緑川、お前だ。黒江と接戦を繰り広げていたがギリギリお前の方が点数が足りない」
「そ、そんなぁ」
理科の科目のビリは緑川だった。
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