「今から名前呼ぶから呼ばれた奴は受け取りに来いよ」
2月3日(月曜日)高校3年や中学3年生は卒業のシーズンを迎えるこの頃だ。
まだ高校生2年生の私には卒業だの就職だのの話は早い……大学には一応は行くつもりでいる。考古学関係を勉強したいのでそっち系の大学を探す……異世界の存在が発覚したから考古学系の学校、地味に倍率が高くなっているが……まぁ、なんとかなるだろう。
「出水」
「はーい」
今日の授業が終わりを告げるのだが何時もとは違うイベントが発生する。
プリントを渡すから呼ばれた奴はプリントを取りに来いと授業終わりのホームルームで告げられる。あいうえお順で呼ばれるので出水がプリントを受け取りに行くのだが出水は受け取ったプリントを見てあまりいい顔をしない。
「米屋」
「はいっす……っげぇ!!」
「え〜今、呼ばれたメンツがなんなのか薄々分かっている連中は分かるかもしれないけど、今、呼ばれたのはボーダーに所属している面々だ。皆も知っての通り防衛任務で学校を休む事が多々ある。今まではなぁなぁで済ませて来たけども今年から1,2年には特別課題を与える事にした。月末までに出してくれればいいレポート形式の課題でパソコンを使ってもいいウィキとかをコピーしたらアウトな課題だ」
「なんで今頃になって出すんですか!去年も一昨年もこんなん出なかったじゃないっすか!!」
「ボーダー推薦の枠を疑問視する声が学校やボーダーから出てきた。ボーダーと提携している所謂進学校は自主的に勉強する事が出来るタイプの人間が多く学校の成績を高く維持している。だが、ウチみたいな普通校は自主的に勉強する事が出来ない、勉強そのものが苦手な連中が居る。ボーダー隊員として優秀だから学業を見逃してとなぁなぁでボーダー推薦枠を使って進学したのは良いけどもレポートの提出が遅れてたりレポートがダメだったりと大学側で色々とあったんだ」
「太刀川さんだな」
「絶対、太刀川さんだ」
レポート形式の課題で問題を起こしてるならあの人しか居ないと米屋と出水は口にする。
しかし口にしたからと言ってなにかが変わるわけではない。レポート形式の課題を出されてしまった。
「毎月の頭にレポート形式の課題を出すから、月末までに出してくれればそれでいい」
「え、じゃあ来月もやるんすか!?」
「ああ。だが、安心しろ米屋。3年生になったらこのレポート形式の課題は無しになる。3年生になったら就職だ進学だと色々と忙しくなるからな」
「だったら学年末のこんな時期に出さずに来年から出してくれてもいいじゃないっすか!」
「いや、お前みたいな自主的に勉強出来ない、しない奴が変にボーダー推薦枠を使って進学出来ない様にする為にこのレポート形式の課題が大事なんだよ。適当な内容だったりウィキを丸コピしたり平仮名で字数を稼いだりする奴にはボーダー推薦枠を使わせない様にする為の措置だ」
「くそ、太刀川さんめ」
「パソコンを使っていいんだ。いちいち手書きで清書しなくていいんだ。月の頭から開始して月末に提出すればそれだけでいいんだ……大分、学校側も妥協した方なんだぞ」
なんだったらそれ専用に抜き打ちテストを用意しても良かったんだと先生は言う。
まぁ、言っている事に間違いは無いよな。ボーダーライフが忙しすぎて学校の成績を落としたというのは洒落にならない。
「なんでよりによって学年末テストがある時期に出すんすか」
「なんでもボーダーの新しいスポンサーがボーダーの学業面を心配したそうだ……まぁ、今の今までが緩かったから、諦めろ」
大事な進級が掛かったテストが間もなく待ち受けてる。
常に留年と隣り合わせな米屋にとっては死活問題、ただでさえ一夜漬けみたいなもので勉強してところてん形式で頭からスコンと落として行っている。覚える単語だけでも多いのに更には自力で色々とやらなければならないレポート形式の課題が出されたとなるとそれはもう大変だろう。
成績が中の上の出水もテストに加えてレポート形式の課題を出されてしまっているのでどうしたものかと困っている。
「月末までに提出すればいいから、学年末テストが終わった後にレポートに取り掛かればいい。時間は沢山あるんだから少しぐらいレポートに時間を注ぎ込め」
「……うす……」
元気がないな、米屋。苦手な勉強の課題を出されてしまったのだから仕方がないといえば仕方がない事だ。
ボーダーに所属している面々に課題が行き届いたので帰りの挨拶をして解散する
「なんでお前は呼ばれてねえんだよ」
このままボーダー本部に直帰する私は米屋達と一緒に帰る事になる。
米屋はボーダー隊員に課題が出された筈なのに私に対しては出されていないと愚痴を零す
「まだ正確にはなっていないからな」
ボーダーからトリガーを頂いては居るものの、正式にボーダーの隊員にはなっていない。
公式のサイトに正隊員は名前が載るけども、まだ私はC級ですら無いので名前は載っていない。故に今回の課題から免れた。
「来月の課題は受けないといけないがな」
今月の課題からは免れたが来月のレポート形式の課題は出さなければならない。
来月にはボーダーの正隊員として活動をする……三輪の復讐の共犯者になるんだ、生半可な気持ちじゃないと学校の成績も維持しておかないと。成績を落としてしまえば母さんが悲しんでしまう。
「だぁーっ!レポートどうしよう、なにから始めればいいんだ」
「レポートも良いけども学年末テストも忘れるなよ。お前、赤点を叩き出したら補習だけで済まない可能性が高いんだから」
米屋の成績はホントに酷い、CO2を二酸化酸素だと勘違いするぐらいに成績は酷い。
レポート形式の課題は学校の成績にも内申点にも繋がらない、ボーダー推薦枠が欲しい人が真面目にやらないといけない課題だ……大学の進学はどうあがいても絶望的な米屋は課題よりも学年末テストを乗り越えないといけない。
「よぉし、気晴らしにランク戦をやんぞ!」
「お前はなにを言い出すんだ、気晴らしのランク戦は勉強に行き詰まった時にするもので開幕早々にするものじゃない」
「ランク戦はやってくれるんだな」
そんなこんなでボーダー本部の私の部屋に辿り着いた。
米屋は帰ってきたのならばバトるかとトリガーを起動させるがそんな暇は今のところはない。気晴らしのランク戦は米屋が勉強や課題に行き詰まった時にするものだ。
「課題はパソコンを使って印刷してもいい緩めのレポート形式の課題だから後回しだ。学年末テストの方を優先するぞ」
「じゃあ、やる気を起こさせる為にランク戦を」
「1本じゃなくて5本ぐらいやってやるから我慢しろ」
「言ったな!約束しろよ、今日は1本だけじゃなくて5本勝負だ」
「はいはい、分かった分かったから……取り敢えずテスト対策をするぞ」
取り敢えず私の部屋は色々と置いているので別のところで勉強をする。
制服から私服に着替えた後にトリガーを起動して謎のマスクメロンマンになるとボーダーの勉強が出来そうなスペースに向かう
「上手い具合に槍バカを制御出来てるな……さてと、おれはレポート形式の課題の方を消化して」
「いずみん先輩!」
米屋の勉強を見ようとしていると緑川が飛び出してきた。
急に声をかけられたので出水はビクッとしているのだが緑川だと分かると直ぐになんだよお前かよといった顔をする。
「どうしたんだ?」
「今日、学校に行ったらさレポート形式の課題を出されたんだよ。でも、レポート形式の課題なんてやったことないしどうすればいいのか分かんなくてさ。いずみん先輩、太刀川さんのレポートを手伝った事あるよね?どうすればいいのか教えてください」
「おぉ……お前もか」
緑川の方もレポート形式の課題を出されている。
これ、裏で私が出させるように指示していたと告げるとブチギレるだろう。一部のボーダー隊員にとってふざけんじゃねえの死活問題だ。でも、そういう感じのフォローをしておかないと後々痛い目を見る。
「学年末テスト前なのにいきなり過ぎるよね。なんで急に今になってこんな事を言い出したんだろう」
「ボーダーのスポンサーが学業関連のアレコレを心配したり、ボーダー推薦枠を使って入学したのに真面目に授業受けてねえとか色々と問題になってるらしいぞ」
「……もしかして太刀川さんが原因なの?」
「かもしれねえ……おれ達もレポート形式の課題を出されちまってるんだよ」
「嘘ぉ!?」
自分達だけじゃない事を知って、軽くショックを受ける緑川。
他人のレポート形式の課題を心配している暇は何処にもない。出水はレポート形式の課題を手伝う事は出来ないと緑川を帰らせた。
「やっぱいきなり過ぎてるよな」
学年末テストが近い、志望校の受験が近いなど色々と勉強シーズンが被っている。
そんな中でレポート形式の課題を出されてしまったらそれはもう大変だろう。現になんでレポート形式の課題をしないといけないんだと愚痴を零してるのが聞こえる。いきなりの事過ぎていると出水も愚痴を零す。
「【学業とボーダーの両立って難しいものだな。ボーダーって上に行けば行くほどアホが多いって都市伝説まであるらしいし】」
「それフィクション、当真さんと太刀川さんが原因でアホが多いと思われがちだけどボーダーの上はちゃんと勉強出来る人は出来るからな」
でも、トップはDANGERをダンガーと読み間違える残念な人だろう……何処かでめちゃイケ形式のテストでも受けさせるか。
「問1、日本の時代を旧石器時代から現在まで述べよ」
「え〜と……旧石器時代の前だったら分かるんだけどな」
「なんだ?神話とか分かるのか?」
「いやいや、アレだよ。全てはビックバンから始まったんだろう」
「お前、どっから始めようとしてるんだ。百歩譲っても天沼矛だろう」
「あめのぬぼこ?」
何だそれと首を傾げるんじゃない。大体ビッグバンで世界創成したってのは歴史的に合ってるかどうかすら怪しいんだぞ。
米屋に旧石器時代よりも後の時代を、縄文、弥生、飛鳥、奈良、平安と歴史の年号を暗記させる。世界史とか地歴公民は大体覚えておけば赤点を回避することが出来る
「1192じゃなく1185作ろうに変わっているからな」
「あ〜ダメだ。頭が痛くなってきた。ちょっと小腹も空いてきたし売店でなんか食おうぜ」
年号暗記に苦しむ米屋は音を上げる。ランク戦をしようぜと誘ってこないだけまだマシなのかもしれない。
そういえばオヤツを頂いていなかったなとなにかグミ的な物を購入しようと売店に向かうと米屋が財布を出した。
「勉強見てくれるお礼に奢ってやるよ」
「じゃあ、このメロン味のグミを……米屋はどうするんだ?」
「オレはアメリカンドッグ、いや、アメリカンドッグスを2つだ」
「……何故に複数形?」
「え、アメリカンドッグ2つ以上の時ドッグスって付けねえ?」
「つけるわけ無いだろう……むしろなんでつけるんだ?」
「馬鹿野郎、最後にズとかスとかついていた方が知性的でカッコイイだろう」
「バカはお前だ、2個以上だから成立はしてるがカッコいいカッコ悪いで付けるものじゃない……因みにトリガーが2つ以上ある時は?」
「トリガーズ」
「正気か、お前」
馬鹿なのは前々から知っていたけども、ここまで来ると狂っている様に見えるぞ。
いや、戦闘狂だからどちらかと言えば狂っているのは分かっているが……グミ美味しい
「あぁ、ダメだ!学年末テストだけじゃなくてレポート形式の課題も終わらせないといけないとなると全然ペンが進まねえ」
軽く小腹を埋めると米屋が音を上げる。
学年末テストの対策をしているがコレが終わってもまだレポート形式の課題がある。まだまだ先が長い、と言うか長過ぎる。まぁ、無くても米屋はペンを全然動かそうとしないけれど……ボーダーの訓練とかはすんなりと理解するのに厄介な相手である
「おい、聞いたか!進学校の六穎館組はレポート形式の課題を出されてないんだってよ」
「ぬぅぁにぃ!?」
ペンを取り出してテスト対策をしていると出水が慌てた様子で報告に来る。
六穎館、進学校組は自主的に勉強する事が出来るタイプで学力が元から高いんだからレポート形式の課題は必要じゃない
「オレ達がテストに苦しんでるってのに古寺のやつ!!」
「他人を妬む暇があるならさっさとテスト対策を終わらせてレポート形式の課題に取り組むんだ」
ウガァと怒る米屋を冷静に宥める。
他人は他人、自分は自分と割り切ってレポート形式の課題を……ん?なんか急に静かになったぞ
「そうだ……普通校組は全員同じ課題を出されてるんだ。だったら誰かのを写せばそれで済む!!」
「いや、ウィキをコピペするんじゃないと釘を刺されたんだぞ。レポートをコピーしたらおんなじだろう」
「だったら、レポートを奪うしかねえ!!」
コイツはいったいなにを言っているんだ。
米屋から放たれる電磁波は変な方向に狂いだしており、米屋は弧月(槍)を構えてランク戦が行えるブースに向かうとそこには太刀川さんがいた。
「太刀川さん、ちょうどいいところに居てくれた」
「ん?どうした、ランク戦は出来ないぞ……レポートが溜まっててな。進級が掛かってるレポートなんだが何処から手を付ければいいのか」
「だったら誰かのを奪いましょうよ……オレ達にレポート形式の課題を出したんなら、それをまるっと利用しようぜ!」
「米屋お前……名案じゃないか!」
あ〜また話がややこしくなってきたな。
太刀川さんはレポート形式の課題をカツアゲする事に賛成し、そうと決まればと何処かに同学年の人は居ないかと探し出している。このままだとホントにカツアゲしかねない。
「太刀川さん、レポート形式の課題は自分でやるものっすよ!」
出水が至極まともな事を言う。
「それが間に合わないからこうしてるんだろうが!!」
「いや、だからダメですって!」
「邪魔だ、出水!お前が邪魔をするというのならば俺はお前を斬り倒して屍を超えていく!」
「例え誰が出てこようがオレ達のレポート形式の課題の回収は終わらねえ!」
「【無駄にデカい口を叩いてるんじゃねえよ】」
「1人で終わりそうにないからデカい口を叩いてるんだよ!」
「2人でも終わらないからこうしてるんじゃねえか!!」
……ダメだ、この二人レポート形式の課題が原因でバーサーカーになっちまってる。レポートが彼等をバーサーカーに……私は、俺は友人や人生の先輩になんて事をしてしまった……いや、太刀川さんは関係無いか。
「【出水、2人がレポート形式の課題をカツアゲする前に2人を叩きのめすぞ】」
「今日のトリガー構成、マスタークラス以上の
「【問題無い……勝負だ、ダンガーたちぇかわ、ライスピア】」
「三雲ォ、オレが勝ったらオレ達のレポートを手伝えぇ!」
亡者と化した米屋と太刀川さんに俺と出水は挑む。
こんな事をやっている暇は無いのだが2人を止めないと更にレポート形式の課題をカツアゲする馬鹿が増えてしまう。凶戦士と化したバカ二人を相手に丸一日消費するとは思わなかった。
ギャグなのであまり気にしないで……次は真面目に本編書くから
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