劣化品の名を持つ者(物)   作:鎌鼬

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前回から約一ヶ月・・・・・・っ!!!!
投稿が遅れて本当にすいませんでした。


え?遅れた理由?

・・・・・・戦闘描写って難しいよね?
おかしい表現になってるかも知れませんが見逃すか優しく諭すようにコメントしてください。


IS学園と学園最強

 

 

俺のことが世間に公表されてからしばらくしてたしか三月の三週間目のどれかだったと思う今日の頃、俺はオータムに連れられてIS学園に来ていた。

 

 

聞けば今日は俺の実技試験を行うらしい。ちなみに筆記試験は時間の都合上で免除らしい、正直これには頭が空っぽな俺としては助かった。

 

 

マドカたちはどうしたかと言えば現在は俺の空いた穴の任務をしているとか、帰ったらうんと甘えさせてやろう。そしてマドカたちはなんとIS学園はスコールの知り合いが経営しているらしく、その人の助けで無理矢理に捩じ込んだらしい。

 

 

すげぇよ。スコールの顔の広さもだけど、それを行えるその人も凄いよ。

 

 

「どうしたハルキ、今さら緊張してるのか?」

『安心してくださいオータム、ハルキの心拍数は平時のままです。緊張はしていません』

『まぁハル様ですから緊張なんて言葉知らないだけかもしれないでしょうけどね♪』

『こら紅、本当のことでも言ってはいけない言葉もあるのですよ』

「俺としてはサクラの言葉に傷ついたんだが」

 

 

俺たちは今学園の入り口で案内の人が来るのを待っている。そして会話をしているのは俺とオータム、サクラとオータム作の人工AI通称紅(べに)。

 

 

紅の性格は作ったはずのオータムが悩んでしまうほどに非常にフランクなものになっていた。「どうしてだ!?」と叫んでいたオータムが印象的だったが、技術部の連中の手を借りたことを聞いて納得した。キチガイどもが手を貸せばこうなると納得できるのだ。

 

 

「にしても遅いな、向こうに指定された時間から五分は経つぞ」

「向こうも忙しいんじゃねえか?ただでさえ珍しい男性操縦者が四人も見つかったんだ、しかもその全員がIS学園に強制入学ともなれば仕事が山のように増えることは間違いなし・・・・・・まぁうちのキチガイどもに比べれば楽なんだろうけどよ」

『お疲れさまですオータム』

「確かにキチガイどもに比べればなぁ・・・・・・」

 

 

実験していて爆発は当たり前、搭乗者のことを考えられない武器は作る、ふざけたようなデザインの提案はする・・・・・・うんキチガイだな。でもそれでいてもきちんと実績を残しているのが凄い。

 

 

「す、すいませ~ん!!遅れてしまいました!!」

 

 

キチガイのことを考えてしんみりしていると誰かがやって来た。たぶんこの人が案内役の人なのだろうけど・・・・・・小さい、俺の身長が185センチあることを除いても小さい。この人実は生徒何じゃないの?

 

 

「私はIS学園教師の山田真耶です。本日はよろしくお願いします」

 

 

「はじめまして、私は彼の付き添いで『みつるぎ』渉外担当の巻上礼子と申します。本日はよろしくお願いします」

 

 

オータムのキャラが変わり過ぎて鳥肌がヤヴァイ。いや、こういうのが必要なのはわかってるけどいくらなんでも変わりすぎだと思う。

 

 

『キャラが変わりすぎて悪かったな』

『急にプライベートチャンネルで通信するなよ。俺としては何時ものオータムの方が好きだけど』

『そ、そうか』

 

 

そういうとオータムはプライベートチャンネルを切った。でも見れば顔は変化していないが耳が少し赤くなっている・・・・・・怒ったか?

 

 

『ハル様はもう少し乙女心を理解された方な良いと思います』

『私も紅に同感ですね』

『お前ら俺の扱いが酷くない?』

「では彼が四人目の?」

「そうです、『みつるぎ』の社員の雨宮ハルキです」

「どうも」

 

 

オータムもとい礼子の言葉にサクラたちとの通信を切って教師に適当な挨拶を返す。

 

 

雨宮というのは『みつるぎ』の社員として登録していた俺の偽名でIS学園に入学するさいにはそのままそれを使うことにした。マドカたちも雨宮の名字を使うことにしているので書類上では俺たちは四人兄妹というとこになる。ちなみに発案者はスコールで母さんの名前のレイティ=レイン=雨という感じの連想ゲームみたいになっている。

 

 

「よろしくお願いします。それでは試験を行うアリーナへ向かいましょう」

 

 

そうして俺たちは教師に従ってアリーナに向かうことなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが今日試験を行うアリーナです」

 

 

案内をされた先は観客席つきの広いアリーナのビット、入り口のところに第三アリーナと書かれていたところを見るとこれと同じ規模の物が最低でもあと二つあることになる。流石は国が経営しているだけあって規模が違う。

 

 

「本日雨宮さんには試験官と五分間の戦闘を行ってもらい、それでISの適性や戦闘技術を測定させてもらいます。ちなみにこの試験の結果に関係なく雨宮さんにはIS学園に入学してもらうことになります」

 

 

事前の操縦訓練もなくいきなり試験ね、サクラを使っていた俺ならともかく他の奴らにはキツくは無いか?いきなり使ったこともない物を渡されて「さぁ戦え」って無理ゲーにも程があるぞ。どこぞの愉悦している外道神父を彷彿とさせるほどの外道っぷりだな。

 

 

『にしても周りの奴らの目が気にくわないな』

『あれだ、どうせ女尊男卑の思考に染まった連中だろ。気にするだけ無駄ってやつだ』

 

 

案内された教師とは別に何人かこのビットには人がいるのだがそのほとんどが俺を見下すような目で見ている。まぁ俺の白髪赤目という周りとはまったく違う外見を除いても女尊男卑の風潮が大きいからだろう。

 

 

ISを乗れるのは女性だけ、つまり女性は偉い、男性は下等である。そんなアホみたいな風潮がISが現れてから広がった。町に行けば見知らぬ女性に荷物持ちをさせられるのは当たり前、中には見に覚えの無い罪を女性に着せられて慰謝料を取られた挙げ句に職を失わされるという男性もいる。

 

 

俺も前に一度オータムとマドカたちと買い物に出たときに知らない女から「そこの白髪の痛い奴!!私の荷物を持たせてあげるわ!!光栄に思いなさい!!」とか言われたことがある。それを無視していたらそいつがぎゃあぎゃあと騒ぎだしマドカたちに路地裏に連れていかれた。そしたらマドカたちが赤い斑点を着けて帰って来たのでハンカチで拭いてあげたのは記憶に残ってる。

 

 

「やっほ~♪お待たせしたわね」

 

 

奥の部屋からISスーツを着た女性が現れる。髪の色は青っぽく目は俺と同じで赤い・・・・・・関係無いけどISスーツって体が強調されるから正直にいって目のやり場に困る。誰だ考えた奴は!!礼を言いたいから出てこい!!

 

 

「あんたが今回の試験官さん?」

「そうよ♪私はIS学園生徒会長の更識楯無、よろしくね」

 

 

そう言って更識は扇子を広げるとそこには「生徒会長」と書かれている、一々書いたのか?・・・・・・それよりも盾無?

 

 

「楯無・・・楯無・・・」

「あら?楯無の名前に聞き覚えがあるの?」

「あぁ、俺の知り合いにも楯無っているんだよ。でもそいつは男でこう細い体つきの奴なんだけどさ」

「もしかしてそれは私の父の先代の楯無かもね」

「先代?ならあったことがあるかもしれないな。あ、もしかしたらこれで思い出すかも」

 

 

俺はカチューシャを外して前髪を下ろす。そうすると前髪が鼻の辺りまで下りてきて顔の半分が隠れてしまった。

 

 

「・・・・・・もしかしてハル兄?」

「あー確かにそう呼ばれてかもな・・・たしか七年位前だっけ?」

「わー!!ハル兄だ!!ほんと久しぶり!!私よ私、ほら父様の後ろで隠れていた二人覚えてる?」

「・・・・・・あ、思い出したかも。たしか妹がいて・・・・・・か、か、簪だっけ?」

「そうそう!!間違って無いわよ!!」

 

 

そう言うと更識は心の底から嬉しそうな顔をして俺に抱きついてきた。

 

 

こいつとの出会いは俺が亡国機業に救われてからすぐのことでスコールの知り合いだという人の家に療養の名目で半年ほど匿ってもらったことがある。そこで出会ったその人の娘姉妹が更識なのだ。ハル兄と呼ばれる仲と言っても仲が良かったといえるのはマドカたちで、俺はマドカたちに誘われて少し顔を出す程度だったのだけども。

 

 

ところで更識さん?ISスーツで強調されてる大きい胸が当たってるから離れてほしいんですけど?

 

 

「んっんん!!ハルキ、時間の都合があるのでそろそろ(そんなガキに抱きつかれてデレデレしてんじゃねぇよ!!)」

「はいはいわかったよ」

 

 

分かったからヒールでピンポイントで足の小指を踏むのは止めてくれオータム。顔色を変えるほどじゃないけど痛いことは痛いんだぞ。

 

 

「・・・・・・はっ!?そ、そろそろ試験の方を始めましょうか!!」

 

 

俺と更識とのやり取りを見てからオータムとのやり取りを見て正気に戻った教師。顔が赤いのはどうしてだ?俺と更識との絡みで何かいやらしい妄想を働かせていたのか?この淫乱メス豚教師め!!!まぁ突っ込みはここまでにしておこう。

 

 

「たしか五分間戦闘すれば良かったんだっけ?」

「はい。ただしIS学園の生徒会長というのは事実上でIS学園最強、加えて彼女はロシアの現代表生です。まともにやりあおうなんてしないで逃げて時間を稼いでください。」

 

 

・・・・・・ふぅん、ISを操縦したことの無い奴が更識の相手をするならこの教師の判断は間違っても無いだろう。でも俺は違う。七年前のあの日からサクラを使い続けてきて稼働時間だけならダントツでトップクラス、加えて代表生程度ならこの七年間で腐るほど戦ってきた。特にスコールがヤヴァイ。あの機体の金の繭に手こずりすぎてシールドエネルギーを一割しか減らせなかった。あれはハードなんてもんじゃない、クリアできる気がしない。

 

 

『あ、そうだハル様。私の言葉を口に出して復唱してください。できる限り自信満々な表情を浮かべて』

『紅、貴女はハルキになにをさせるつもりですか?』

『だぁいじょうぶですよお姉ちゃん、ちょっとあるキャラの台詞を言ってもらうだけですから。いいですかハル様ーーーーーーー』

 

 

そして俺は紅の指示通りにある台詞を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは雨宮さん、頑張ってください」

 

 

IS学園の教師山田真耶が準備を終えたハルキに応援を送る。彼の相手は現ロシア代表生の更識楯無、IS学園の生徒会長でもあり事実上の学園最強でもある。それでも優しい彼女には彼に勝てないなどという否定的な言葉を送ることができなかった。だからしたのは“五分間時間を稼いで逃げる”というアドバイス。もしこれが達成できるならハルキは代表生相手に五分撃墜されなかったという事実を得ることになる。先に試験を受けた織斑兄弟と違いハルキともう一人の男子は後ろ楯が無いに等しい。もしも何か被害を受けるとすれば真っ先に二人に向かうことになるだろう、もう一人の男子は山田が上手い位に加減をしたこともあって三十分撃墜されずに戦うことができた。手加減したとはいえ元代表候補生の山田相手に三十分立ち回ったという事実を受けてIS委員会は彼に専用機を送ることを検討している。だからハルキにも山田は加減をして後ろ楯を得られるようにと考えていた。だが突然予定が変わり、山田が相手をするはずだったのに直前で更識楯無が相手をすることになってしまった。IS学園とは言えども一枚岩ではない。女尊男卑の教師陣が裏で手を組みハルキの評価を落とすために仕組んだことだった。他の三人ーーーーーーーあの世界最強である織斑千冬の兄弟は別だがーーーーーーーは間に合わなかったがせめてこの男だけでも。ISによって高い地位を得た女性たちが恐れることは女性しか乗れないはずのISを動かせる男性によって今の地位を失うことである。彼女たちは甘い密を奪おうとする敵を排除するために形振りを構っていられなかった。

 

 

「ところで先生、一つ聞いてもいいか?」

「はい、なんでしょうか?」

 

 

ISスーツを持っていないということでダークグレーのビジネススーツを着たままアリーナ内に向かおうとするハルキは不意に足を止めて山田に問いを投げ掛けた。

 

 

「何、すぐにすむ質問だ。時間を稼ぐのは構わないがーーーーーーー」

 

 

学園にやって来た時と同じ、年上だろうが敬語を使うことはしないふざけているとしか思えない口調のまま、

 

 

「別に、倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

負けるつもりなど微塵もないと、明確な意思を表示した。

 

 

「雨宮さん・・・・・・はい!!ガツンとイッパツ!!決めちゃってください!!」

「そうか、なら期待に答えるとしよう」

 

 

期待に答える、そう答えたハルキは紅い忍者を連想させるISを展開、ビットに備え付けられているカタパルトからアリーナ内に飛び立った。

 

 

ハルキがアリーナへと飛び立った後のビット内は笑いに包まれた。それはもちろんいい意味ではなく嘲笑うような意味で。一般的に見れば現ロシア代表生対素人の対決になる、それで勝とうだなんて考えている男が可笑しくてしょうがないのだろう。そんな中でハルキを笑っていないのはたったの三名。ハルキを応援していた山田、嘲笑う女たちに内心苛立っている巻上礼子ことオータム、そしてハルキの対戦相手となる更識楯無。楯無はハルキの七年前の時点での実力を知っていた。無論自分は強いという自覚はある、だがそれもハルキと比べてしまえばアリとゾウのようなもの、抗う間も無く叩き潰される自信があった。気楽にやればいいと肩を叩いてくる教師たちに不快感を覚えながらも盾無は自身のISであるミステリアス・レイディを展開させてカタパルトの上に乗る。

 

 

「待たせたわね」

「・・・・・・」

 

 

アリーナ中央には紅いISを装備したハルキが佇んでいた。楯無の軽い謝罪にハルキは反応しない、いや、全身装甲の中で唯一露出しているとも言える右目の視線は楯無のまっすぐに捉えている。ハルキは集中していたのだ、目の前の敵の一挙一動を逃さないようにと。それを理解した楯無は神経を尖らせてランスを構える。

 

目の前にカウントが現れる。

 

「円黒兎」

ハルキの右手に黒い中型の機関銃が握られる。

 

「白兎丸」

続けて左手に握られるのはリボルバー式の白い銃。

 

 

 

カウントがゼロになった瞬間楯無は瞬時加速を使いハルキに突進する。戦闘の主権を握るためにハルキの裏をかこうと真っ先に奇襲を仕掛ける。瞬時加速から放たれたランスの刺突は

・・・・・・

何もない空間を貫いた。

 

 

「(いない!?どこに!?)」

 

 

ハイパーセンサーを使い辺りを確認すれば頭上に紅い影が見える。咄嗟にスラスターを吹かせてその場から逃げれば間髪入れずに銃弾の雨が楯無のいた場所に降り注ぐ。ハルキは開始すると同時に上空へと飛び上がったのだ。ハイパーセンサーのお陰で360°全方向が確認できるようになっているとはいえそれを見るのは人間、どうしても前方に注意がいってしまう。さらに人間というのは左右の動きならともかく上下の動きにはどうしても反応が著しく落ちてしまう。それを見越しての上空への移動と銃撃に盾無は内心で舌を巻く。

 

 

「(やっぱりあの程度じゃ無理か・・・でも)」

 

 

自分へと容赦なく降る弾丸を避けながら楯無は闘志を燃やす。

 

 

「(だからこそ倒しがいがあるってものよ!!)」

 

 

決意を固めて楯無はミステリアス・レイディに着いている一対のアクア・クリスタルを起動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験が開始されてから三分ほどたったビット内、そこでは沈黙で包まれていた。それは試合に魅いっているという物ではなくその内容に驚愕しているからである。

 

 

現ロシア代表生対素人なはずの一般男性、肩書きだけを見るなら誰もがロシア代表生である楯無の勝利を予想するだろう。しかし現実は違っていた。現状は五分五分、いや、七分三分ほどの割合でハルキが押していた。楯無はミステリアス・レイディの特殊武装であるナノマシンによって水を操っているがハルキには届かない。水が触れたと思った瞬間にはすでにその場にハルキの姿はなく、遠く離れた場所から届く銃声でようやくそこに移動していたことがわかる。

 

 

試験官の女教師たちが嘘やら夢に違いないやらと呟いているのを見て巻上礼子ことオータムは内心でほくそ笑んでいた。

 

 

「(けっ、いい気味だぜ。男だからって理由で見下してるからそんなことになるんだよ。大鎌なんか打鉄なら素手で対処できるしな。にしても更識楯無・・・更識志郎の娘か・・・いい腕をしている。まだ延びしろがあるにしてもマドカたちならほぼ互角で戦えればいい方じゃないか?将来的には私クラスにまで届くかもしれない)」

 

 

オータムの楯無への評価はかなり高い。オータムはマドカたちの教官紛いのことをしているので自然と学園最強と自称していた盾無と教え子たちを比べてその自称が慢心では無かったことを知る。

 

 

「(それにしても・・・どうしてハルキはさっきから銃しか使っていないんだ?いつもなら銃で崩してからの接近戦がメインだっていうのに・・・まさか?)」

 

 

ハルキの戦い方に不信感を覚えたオータムは空中に小型のモニターを投影する。そこに書かれているのは紅桜の武装リスト。それに目を通したオータムは自分の考えが正しかったことを知る。

 

 

「(開発局のやつらあとでぶちのめす・・・・・・なんで紅桜には遠距離系の武装しか積んでねぇんだよ!!)」

 

 

そう、接近戦用の武器がないのだから接近戦をしないのではなくて出来ない。たったそれだけの話。とりあえずオータムは帰ったら開発局の全員をグーパンすることを誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(あぁもう!!弾幕がスゴすぎる!!水で何とか防げてるけどこのままではダメだわ!!)」

 

 

開始から三分三十秒が経過したアリーナ内で楯無はハルキの猛攻に攻めあぐねていた。威力は驚異ではないが圧倒的な手数を誇る機関銃と弾数が八発だけだが当たりどころによっては一撃でも必殺の威力になるリボルバー銃、対称的な武器を使いながらもハルキは開始時からのアドバンテージを維持したままで戦っていた。始めは多少の被弾は覚悟して楯無は接近しようとしていたがそれも紅桜のスピードで回避されて無駄と悟り、今はナノマシンで操作している水を盾にしながら銃撃戦を行っている。互いに被弾は少ないが弾薬の消費は激しい。その中で先に動いたのはハルキだった。

 

 

円黒兎と白兎丸を粒子に変換して収納し、新たな武器を取り出す。それは横3m、縦1m程はある巨大なトランクだった。何かあると直観で感じ取り身構える楯無にハルキはトランクを向ける。向けられたトランクには穴が空いておりーーーーーそこから巨大な釘が打ち出された。

 

 

「っ!?」

 

 

発射された予想外の凶器に驚きながらも水を盾にしながら回避行動をとる。高速で発射された釘は水の盾を容易く貫き、アリーナの壁に頭だけを残して深々と突き刺さった。

 

 

「(なんて武器なの!?丸で遠距離用の“盾殺し”じゃない!!)」

 

 

第二世代ISの武装の中でも最高の攻撃力を誇っているとされる“盾殺し”。それを一言で説明するなら釘撃ち機だけで十分である。火薬を爆発させて高速で釘を撃ち出す近距離用の武装なのだが如何せん使い方が難しく嫌煙される武装でもある。盾殺しが遠距離用の武装になったらこんな風になるのだろうと頭のどこかで考えながら釘の雨を回避し続ける。当たった時点で即アウト、かすってもエネルギーを持っていかれる、楯無に残された手段は完全回避しか無かった。

 

 

「(まだよ・・・・・・待て待て、焦るな・・・・・・今!!)」

 

 

釘の雨を避けながら一瞬だけハルキの動きが止まったのを楯無は逃さなかった。いかにトランクという奇抜な成りをしていようがあれは銃器に属する武器に違いない、だから楯無が待ったのは弾切れ。制限時間もなく一瞬の油断も許されない綱渡りのような賭けだったが盾無はそれに勝った。即座に瞬時加速をしハルキの目の前まで躍り出る。新たな武器を展開する隙など与えない、この一撃で決める。

 

 

「ーーーーーーっ!!」

 

 

叫びをあげながら放たれた槍の一撃は真っ直ぐにハルキの喉元へと向かいーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『五分経過しました。試験終了です』

 

 

アリーナに設置されたスピーカーから機械的なアナウンスが響いて槍を止める。

 

 

「時間切れ、かぁ・・・・・・」

 

 

確認するように呟いて楯無は槍を下ろす。

 

 

時間切れということはこの試合は引き分けとして扱われるだろうが楯無からすれば違っていた。終始ハルキに主導権を握られてのこの結果。楯無本人からすればこれは間違いなく敗けであった。

 

 

「あ~あ、久しぶりに敗けちゃったわ~」

 

 

ロシアの代表生となり、IS学園の生徒会長となり楯無は勝ち続けてきた。そこに刻まれた敗北の文字。

 

 

「やっぱ強いな、流石は代表生」

「それでもハル兄には届かなかったわ」

「そりゃああれだよ、年上だから年下に惨めなところ見せるわけにはいかないだろうが」

「ふふっ、ハル兄らしいわね。次は敗けないわよ」

「何時でもかかってこいよ、次も勝ってやるから。あと一つレクチャーするとすれば」

 

 

そこまでいうとハルキはトランクを楯無の頭上すれすれの位置で思いっきり振るった。トランクを振るったことで上から高速で降ってきた釘が弾かれて壁に突き刺ささる。

 

 

「戦いが終わっても油断するなってことくらいだな」

 

 

言いたいことを言ったのかハルキは疲れを感じさせない動きでビット内へと戻っていった。アリーナ内に残されたのは楯無一人だけになる。地面に降りてISを解除した楯無は崩れ落ちるようにして座り込んだ、全身は汗でびっしょりと塗れたった五分の戦闘とは思えないほどの疲労感を感じていた。

 

 

久しぶりに行った圧倒的に格上との戦闘。正直にいって楯無はハルキの戦闘に違和感を感じていた。手加減しているとは思えないがハルキ本来の戦い方とも思えない。つまり楯無は本来の戦い方をするほどの相手では無かったということなのか?

 

 

悔しい。その言葉が頭の中に浮かぶ。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!!・・・次は・・・勝つんだから・・・っ!!」

 

 

息絶え絶えになりながら吐き出された楯無の決意は誰にも届くことなく虚空に消えていった。

 

 

 

 





この話は

オータムちゃんまじツンデレ


亡国機業と更識ファミリーの繋がり


更識楯無の決意


の三本でお送りしました~


ちなみにいうと楯無さんはヒロインではなく、どちらかと言えばライバル的な立ち位置になります。
ハルキのことを兄として尊敬しながら越えてみせるとハルキを目標に今まで頑張っています。
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