この話では非道な表現が書かれます
翌日、学校を終えた俺は今日の献立を考えながら下校していた
一夏と秋十は篠ノ之道場と言うところに遊びに行っており、一夏は誘ってくれたのだが秋十が物凄く迷惑そうな目で俺を見ていたので家事を理由に逃げ出した
俺の下校経路は人に会わないよう人気の無い道を選んで帰っている
今思えばそれが間違い立ったのだろう
「あのすいません」
春季「はい?」
道ですれ違った人に声をかけられて振り返る
そこには人の良さそうな笑顔を浮かべた男性が紙を片手に持っていた
「君この辺りの子供だよね?すまないけどこの場所分かるかな?」
男性が俺と目線を合わせる為にしゃがんで紙を差し出す
それに俺は大した警戒もなく近づいていき、
バチン!!!
春季「グッ!?」
腹に何かを押し付けられた感覚があったと思ったら瞬間強い衝撃がはしり、俺は崩れ落ちた
薄れる意識の中で俺が見たのは男性の手に握られた黒い物とさっきまでとは別物の笑顔を浮かべた男性の姿だった
春季「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
夥しい情報が頭の中に流され、俺の脳内を埋め尽くす
誘拐されてからどのくらいたったか分からないが、俺は拐われてから延々とこうした人体実験をされていた
目を覚ました時には真っ白い部屋にいて、怪しげなコードを大量につけられた状態で拘束されていた
そこから俺の日常は一変する
まずは訳の分からない手術を施行させられて頭を除いた体全身を余すとこなく弄くられた
そして手術が終わってからも間を置かず薬を投与
それの反応を見終わった後に脳内に強制的に情報を流し込まれる
最近では手術はされなくなったがその代わりに投薬と情報の流し込みの量が増えてきた
春季「ぁあ・・・・・・あぁ・・・・・・」
どうやら今日の情報の流し込みは終了したらしい
頭の中にあるのは銃を始めとした様々な兵器の使い方、色んな国の言語、そしてISと呼ばれる兵器の使用方法
春季「はる・・・・・・き・・・・・・おれ・・・は・・・は・・・・・・るき・・・・・・」
ぐるぐると頭のなかをループする情報を無視しながら俺は自分の名前を呟く
こうでもしないと自分の名前さえも忘れてしまいそうだから
家族はいた気がする
名前が思い出せない
姉一人と弟が二人だったはず
顔を思い出せない
姉は俺に優しくしてくれた
声すら忘れてしまった
データを取り続ける研究員達を尻目に延々と自分の名前を呟く
『もうこの検体も限界だな』
『廃棄しますか?』
『そうだな、先程新しい検体を捕らえたと報告があった
どうやらこれと同じあのチフユ・オリムラの弟らしいぞ』
春季「おり・・・・・・むら・・・?」
なんだろう?オリムラという名前に聞き覚えがあるような・・・・・・
『ではこちらは廃棄いたしますね』
研究員の一人が俺の拘束を解き、紙をつかんで引きずる
拘束は解かれたがマトモな食事も与えられていない俺には抵抗するほどの体力など残されておらずなすがままにされるしかなかった
そしてその研究員はいつも俺に投薬するために使われていた注射器を捨てるためのダストシュートの前に行き、
迷うことなく俺をその穴の中に捨てた
『さぁ次の検体が来るまでに片付けるぞ』
『『『はい』』』
暗い・・・・・・ここはどこだ・・・・・・
霞む目を凝らし射し込む僅かな光から情報を得ようと必死になる
そうして出した結論はここは大きなゴミ箱の中だということ
異臭の漂う密閉された空間、書類らしき紙類も破棄された機械も関係なしに捨てられている
このゴミの中で生きているのは俺だけ・・・・・・目を瞑ってしまおう、そうすればすべてが終わる・・・・・・
終わって、良いのか?
あの世へ逝くために微睡んでいた時に思いついた素朴な疑問
僅かな点に過ぎなかったそれは急速に拡大していき俺の思考を塗り潰す
仰向けに倒れていた体をうつ向かせて匍匐前進のように動き出す
速度は遅い
匍匐前進に合わせて実験の影響か体がまるで石のように重いのだから
何か目的を持っていてそれを達成して死ねたなら良いだろう、その目的の道途中にして力尽きて倒れるのも良い
しかし俺は何の目的も持てていない
言い換えればまだスタートラインにすら立てていない
そんな状態で、死にたくない
何故なら、まだ俺は何もしていないのだから・・・・・・!!!!
《子供・・・・・・ですか?このような廃棄場に?》
不愉快に思う方もいるかもしれないので早めに切り上げました